(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5761852
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】フィルタ装置
(51)【国際特許分類】
B01D 46/00 20060101AFI20150723BHJP
【FI】
B01D46/00 C
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-160292(P2011-160292)
(22)【出願日】2011年7月21日
(65)【公開番号】特開2013-22524(P2013-22524A)
(43)【公開日】2013年2月4日
【審査請求日】2014年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000111085
【氏名又は名称】ニッタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 晴義
【審査官】
目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−073568(JP,A)
【文献】
実開昭55−174923(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D46/00−46/54
F24F1/00−1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流通口を有するベース面と、挿入口を有する側面とを備えるケーシングと、
枠体と、枠体内部に配置された濾材と、前記枠体の開口の周縁部に取り付けられるガスケットとを備え、前記挿入口から挿入されて前記ベース面上に配置されるフィルタユニットと、
前記ケーシング内部に配置され、前記フィルタユニットの挿入方向に延在する一対の案内部と、
前記フィルタユニットに取り付けられ、それぞれが前記案内部の上を移動することにより、前記フィルタユニットを前記ケーシング内部に挿入させる一対のスライダとを備え、
前記案内部それぞれには、終端側で高さが低くされて形成された第1の凹部と、前記第1の凹部よりも始端側において高さが低くされて形成された第2の凹部とが設けられるとともに、前記各スライダは、それぞれ前記案内部上を摺動する第1及び第2の摺動部を含み、
前記フィルタユニットは、前記第1及び第2の摺動部が前記第1及び第2の凹部それぞれの内部に配置されると、前記開口が前記流通口に対向しかつ前記ガスケットが前記ベース面の流通口の周縁部に接触できるように配置されることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項2】
前記第1の摺動部は、前記案内部上を摺動するときに前記第2の凹部内部に進入して係止されないように、前記挿入方向において前記第2の凹部の開口よりも長くなる部材を備えることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
前記第1の凹部は、前記挿入方向において、前記第2の凹部よりも開口が大きいことを特徴とする請求項2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の凹部の少なくとも一方は、底辺部と、前記底辺部の始端側の端部に鈍角で接続される側辺部とを備え、前記底辺部から開口に向かうに従って幅広となる形状を有することを特徴とする請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の摺動部のうち少なくとも一方は、底面部と、前記底面部の始端側の端部に鈍角で接続される傾斜面部とを備え、前記第1又は第2の凹部に対応した形状を有することを特徴とする請求項4に記載のフィルタ装置。
【請求項6】
前記第1及び第2の凹部はいずれも、底辺部と、前記底辺部の両端に接続される一対の側辺部とを備え、上方が開口したものであるとともに、前記第1及び第2の摺動部は前記第1及び第2の凹部に対応した形状を有することを特徴とする請求項1に記載のフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば縦型の排気ユニット等のケーシングに、フィルタユニットが挿入されて構成されるフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルタユニットは、空気が下から上に流通される縦型の排気ユニットでは、排気ユニットの側面に設けられた挿入口から、水平方向に挿入されて排気ユニット内部に設置されるのが一般的である。例えば、縦型の排気ユニット内部には、流通口を備えるベース面が設けられており、フィルタユニットは、そのベース面上にガスケットを介して載置される。ガスケットは、汚染空気がフィルタユニットとベース面の間の隙間から漏洩するのを防止する。
【0003】
ここでフィルタユニットは、特許文献1に開示されるように、終端の高さが他の部分より低くされたガイドレールに案内されて、排気ユニット内部に挿入されることが知られている。このような構成では、フィルタユニットは、ガスケットをベース面に対して浮かした状態で挿入される一方で、レール終端まで進むと下降して、ガスケットをベース面に接触させることが可能になる。
【0004】
したがって、ガスケットは、フィルタ挿入中にベース面に擦れて破損することが防止されるとともに、挿入が完了するとベース面に確実に押し付けられ、気密性が確保されやすくなる。さらに、ガスケットは、フィルタの上流側に配置されることになるので、使用により破損したとしても、その破損により発生した塵埃等が、下流側の清浄空気に混入しにくくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−73568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の構成では、フィルタユニットは、ケーシング内部に挿入されるとき、特定の部材によって位置決めされているわけではないため、ベース面上の所望の位置からずれて設置されることがある。このような位置ずれが生じると、例えばガスケットが流通口の上に配置され、気密性が確保できなくなる場合がある。また、各ガイドレールに摺動する摺動部材は1つのみであるので、フィルタユニットは、安定して移動するのが難しいという問題もある。
【0007】
そこで、本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、フィルタユニットをケーシング内部に安定して挿入できるようにし、また、挿入されたフィルタユニットに位置ずれが生じにくいフィルタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るフィルタ装置は、流通口を有するベース面と、挿入口を有する側面とを備えるケーシングと;枠体と、枠体内部に配置された濾材と、枠体の開口の周縁部に取り付けられるガスケットとを備え、上記挿入口から挿入されてケーシングのベース面上に配置されるフィルタユニットと;ケーシング内部に配置され、フィルタユニットの挿入方向に延在する一対の案内部と;フィルタユニットに取り付けられ、それぞれが案内部の上を移動することにより、フィルタユニットをケーシング内部に挿入させる一対のスライダとを備え、案内部それぞれには、終端側で高さが低くされて形成された第1の凹部と、第1の凹部よりも始端側において高さが低くされて形成された第2の凹部とが設けられるとともに、各スライダは、それぞれ案内部上を摺動する第1及び第2の摺動部を含み、フィルタユニットは、第1及び第2の摺動部が第1及び第2の凹部それぞれの内部に配置されると、開口が流通口に対向しかつガスケットがベース面の流通口の周縁部に接触できるように配置されることを特徴とする。
【0009】
第1の摺動部は、案内部上を摺動するときに第2の凹部内部に進入して係止されないように、挿入方向において第2の凹部の開口よりも長い部材を有することが好ましい。また、第1の凹部は、挿入方向において、第2の凹部よりも開口が大きいことが好ましい。
【0010】
第1及び第2の凹部の少なくとも一方は、例えば、底辺部と、底辺部の始端側の端部に鈍角で接続される側辺部とを備え、底辺部から開口に向かうに従って幅広となる形状を有する。第1及び第2の摺動部のうち少なくとも一方は、例えば、底面部と、底面部の始端側の端部に鈍角で接続される傾斜面部とを備え、第1又は第2の凹部に対応した形状を有する。
【0011】
第1及び第2の凹部はいずれも、底辺部と、底辺部の両端に接続される一対の側辺部とを備え、上方が開口したものであるとともに、第1及び第2の摺動部は第1及び第2の凹部に対応した形状を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、各案内部に2つの凹部が設けられるとともに、それに対応して2つの摺動部が設けられるため、フィルタユニットが、ケーシング内部に安定して挿入されやすく、また、挿入されたフィルタユニットに位置ずれが生じにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るフィルタ装置を示す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態における案内部とスライダを示す拡大斜視図である。
【
図3】第1の実施形態において、フィルタユニットが、ケーシング内部に挿入されるときの様子を示す斜視図である。
【
図4】第1の実施形態において、フィルタユニットが、ケーシング内部に配置されたときの様子を示す斜視図である。
【
図5】第2の実施形態における案内部とスライダを示す拡大斜視図である。
【
図6】第2の実施形態において、フィルタユニットが、ケーシング内部に配置されたときの様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照にしつつ詳細に説明する。
図1〜4は、本発明の第1の実施形態に係るエアフィルタ装置を示す斜視図である。
【0015】
本発明の第1の実施形態に係るエアフィルタ装置は、下から上に空気が流通される縦型の排気ユニットに設けられる。
図1に示すように、縦型の排気ユニットは、フィルタユニット10が内部に収納されるケーシング11を備える。ケーシング11は、流通口12が設けられたベース面13と、挿入口15が設けられた側面14とを備え、フィルタユニット10は、挿入口15からケーシング11の内部に水平方向に挿入され、ベース面13上に配置される。
【0016】
フィルタユニット10は、四角形枠形の枠体21と、枠体21の内部に配置された濾材22とを備える。濾材22は、例えばろ紙等のシート状濾材がひだ状に折り畳まれてブロック状にされたものである。また、枠体21の一方の開口の周縁部には、開口を取り巻くように、四角枠形のガスケット23が取り付けられる。
【0017】
ベース面13の流通口12は、四角形の開口であって、その流通口12を通った空気が、フィルタユニット10で浄化されて、フィルタユニット10の上方に送られる。流通口12の縁部は、挿入方向に対して略垂直となる辺部12A、12Bと、挿入方向に対して略平行となる辺部12C、12Dによって構成される。フィルタユニット10は、辺部12Aから辺部12Bに向かって、ケーシング11の内部に挿入される。
【0018】
ケーシング11内部には、一対のレール部材40、40が設けられ、これらレール部材40、40は、フィルタユニット10の挿入をガイドする案内部を構成する。レール部材40、40は、ベース面13の対向する辺部12C、12Dの外縁それぞれに取り付けられ、流通口12を挟み込むように配置される。そして、レール部材40、40は、フィルタユニット10の挿入方向に延在する。
【0019】
枠体21は、挿入方向に略平行となり、かつ互いに対向する側面21A、21Bと、挿入方向に略垂直で、それぞれ挿入方向の手前側及び奥側に配置される側面21C、21Dによって構成される。側面21A、21Bそれぞれには、前方スライド部31及び後方スライド部32から成るスライダ30が設けられる。スライダ30、30はそれぞれ、一対のレール部材40、40それぞれの上を摺動することにより、フィルタユニット10をケーシング11内部に挿入させる。また、側面21Cには、取手28が取り付けられる。
【0020】
ベース面13の奥側の辺部12Bの外縁には、ストッパ50が取り付けられる。ストッパ50は、板部材が断面L字形に折り曲げられた形状を有し、ベース面13に固定される底板部51と、底板部51から立設し、かつ挿入方向に略垂直となる規制板部52とを備える。規制板部52は、ケーシング11内部に挿入されたフィルタユニット10の奥側への移動を規制する。
【0021】
レール部材40、40それぞれは、細長の板部材が断面L字形に折り曲げられた形状を有しており、ベース面13に取り付けられる底板部41と、底板部41から立設するレール板部42とを備える。レール板部42は、挿入方向に平行で、かつベース面13に対して垂直に配置される。レール板部42は、レール部材40の終端側において、部分的に高さが低くされており、第1の凹部43が形成されるとともに、その第1の凹部43よりもレール40の始端側においても部分的に高さが低くなっており、第2の凹部44が設けられる。
【0022】
前方及び後方スライド部31、32それぞれは、第1及び第2の凹部43、44それぞれに対応した位置に配置される。すなわち、側面21A、21Bそれぞれにおいて、前方スライド部31は、フィルタユニット10の挿入方向における中央位置よりも奥側に、後方スライド部32は手前側に配置される。
【0023】
図2に示すように、第1の凹部43は、挿入方向に延在する底辺部43Aと、その底辺部43Aの両端に鈍角に接続される両側辺部43B、43Cを備え、上方の開口に向けて幅が広がる等脚台形状になる。第2の凹部44も同様に、底辺部44A、両側辺部44B、44Cを備え、上方の開口に向けて幅が広がる等脚台形状になる。第1の凹部43の底辺部43Aは、第2の凹部44の底辺部44Aの長さより長くなり、第1の凹部43の開口幅(挿入方向に沿う開口の長さ)は、第2の凹部44の開口幅よりも大きくなる。
【0024】
各側面21A、21Bに設けられた前方スライド部31は、板部材がL字に折り曲げられた形状を呈し、側面21A(又は21B)に取り付けられる取付板部33と、側面21A(又は21B)から垂直に突出するように配置される摺動板部(第1の摺動部)34とを備える。摺動板部34は、挿入方向に沿って長く延びるとともに、その長手方向における両端が上方に鈍角に折り曲げられ、舟形形状を有する。すなわち、摺動板部34は、取付板部33に垂直に連設される底面部34Aと、底面部34Aの長手方向における両端に、鈍角で連設される傾斜面部34B、34Cとから構成される。なお、底面部34Aは、摺動板部34がレール部材40上を移動するとき、そのレール板部42の先端部に摺動する部分である。
【0025】
摺動板部34は、第1の凹部43に嵌入するものであり、その形状は、第1の凹部43に対応したものになる。具体的には、摺動板部34の底面部34Aの長さは、第1の凹部43の底辺部43Aの長さに略等しくなる。また、傾斜面部34B、34Cと底面部34Aの接続角度それぞれは、底辺部43Aと両側辺部43B、43Cの接続角度それぞれに略等しくなる。
【0026】
後方スライド部32は、前方スライド部31と同様に、取付板部37と摺動板部(第2の摺動部)38とを備え、摺動板部38は、第2の凹部44に嵌入できるように、底面部38Aと、傾斜面部38B、38Cとを備える。底面部38Aの挿入方向における長さは、第2の凹部44の底辺部44Aの長さに略等しくなるとともに、底面部38Aと傾斜面部38B、38Cとの接続角度それぞれが、底辺部44Aと側辺部44B、44Cの接続角度それぞれに略等しくなる。
【0027】
上記したように、第1の凹部43の底辺部43Aは、第2の凹部44の底辺部44Aより長く、そのため、前方スライド部31の底面部34Aの長さも、後方スライド部32の底面部38Aの長さより長くなる。そして、前方スライド部31の底面部34Aの挿入方向における長さは、第2の凹部44の開口幅よりも長くなる。
【0028】
本実施形態では、
図3、4に示すように、フィルタユニット10は、摺動板部34、38がレール板部42、42の上に載せられた状態で奥側に押され、ケーシング11の内部に挿入される。このとき、ガスケット23は、ベース面13から浮いた状態となり、ベース面13に擦れて破損されることが防止される。
【0029】
また、摺動板部34は、底面部34Aの挿入方向における長さが、第2の凹部44の開口幅よりも長く、そのため、第2の凹部44の内部に進入することはできない。これにより、摺動板部34は、レール板部42上を移動するとき、第2の凹部44に係止されることなく、第2の凹部44を超えて奥側に進むことになる。
【0030】
一方、摺動板部34は第1の凹部43に、摺動板部38は第2の凹部44に対応した形状を有する。そのため、摺動板部34、38は、さらに奥側に移動させられると、
図4に示すように、第1及び第2の凹部43、44の内部に進入しつつ下降し、これら凹部43、44に嵌入する。すなわち、摺動板部34の底面部34Aは、第1の凹部43の底辺部43A上に載せられ、かつ、傾斜面部34B、34Cそれぞれは、両側辺部43B、43Cに沿うように配置される。同様に、摺動板部38についても、底面部38Aが底辺部44A上に載せられ、かつ、傾斜面部38B、38Cそれぞれが両側辺部44B、44Cに沿うように配置される(
図2、4参照)。
【0031】
摺動板部34、38が下降して凹部43、44に嵌入されると、フィルタユニット10も、摺動板部34、38とともに下降する。そして、フィルタユニット10は、一方の開口が流通口12に対向し、かつガスケット23が流通口12の周縁部12Eに接触するように配置される。また、枠体21の側面21Dはストッパ50の規制板部52に沿うように配置される。
【0032】
本実施形態では、不図示の押さえ部材が、ケーシング11内部において、挿入されたフィルタユニット10の上方に配置される。押さえ部材は、カム機構を有し、回転してフィルタユニット10を押さえ付けた状態で固定される。フィルタユニット10は、押さえ部材によって、上方から押圧され、ガスケット23を周縁部12Eに押し付ける。
【0033】
以上のように、本実施形態では、レール部材40に2つの凹部43、44が設けられ、これら凹部43、44に摺動板部34、38が嵌入された状態で、ガスケット23が流通口12の周縁部12Eに接触する。これにより、フィルタユニット10の移動は、ガスケット23が周縁部12Eに接触した状態で、凹部43、44及び摺動板部34、38によって規制されるので、ガスケット23が位置ずれして空気が漏洩されるのが防止される。
【0034】
また、本実施形態では、各レール部材40に2つの摺動部が摺動するので、フィルタユニット10の移動は安定しやすくなる。さらに、摺動板部34は、レール部材40上を移動するとき第2の凹部44に係止しないため、第2の凹部44が設けられたことによって、フィルタユニット10の挿入が阻害されることはない。
【0035】
なお、摺動板部34、38は、その傾斜面部34B、38Bの挿入方向に対する傾斜角度が、側辺部43B、44Bの挿入方向に対する傾斜角度に等しい。したがって、摺動板部34、38は、凹部43、44内部に進入するとき、傾斜面部34B、38Bを側辺部43B、44Bに摺動させつつ斜め方向に下降する。そのため、フィルタユニット10は、摺動板部34、38がレール部材40の先端部上に摺動するときのみならず、凹部43、44内部に進入するときも、水平状態に維持される。
【0036】
また、本実施形態では、ケーシング11の内部からフィルタユニット10が取り出される際、取手28が引っ張られて、フィルタユニット10が手前側に引き出される。この際、摺動板部34、38は、その傾斜面部34B、38Bが凹部43、44の側辺部43B、44Bに沿うように上昇して凹部43、44から出された後、レール板部42上を始端側に移動させられる。そのため、フィルタユニット10は、ガスケット23がベース面13から浮いた状態で、水平方向に引き出されるので、ケーシング11から取り出される際もガスケット23が擦れて損傷されることはない。
【0037】
なお、第1の凹部43及び摺動板部34において、上記した下降・上昇時に摺動するのは、始端側の傾斜辺部43B及び傾斜面部34Bのみで、終端側の傾斜辺部43C及び傾斜面部34Cは摺動しない。したがって、凹部43及び摺動板部34において、始端側の傾斜辺部43B及び傾斜面部34Bのみが鈍角で底辺部43A及び底面部34Aに接続されていれば良く、終端側の傾斜辺部43C及び傾斜面部34Cは、鈍角で底辺部43Aや底面部34Aに接続されていなくても良い。第2の凹部44及び摺動板部38においても同様である。
【0038】
図5は、本発明の第2の実施形態に係るレール部材と、スライダの構造を示すための部分拡大図である。本実施形態において、第1の実施形態と異なるのは、第1の凹部の構造のみである。以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を説明する。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同一の構成を有する部材について、同一の符号を付す。
【0039】
図5に示すように、本実施形態におけるレール部材60は、第1の実施形態と同様に、底板部61と、レール板部62とを有するものであるが、レール板部62の終端部は、その高さが漸次低くなって傾斜部63になる。そして、本実施形態では、傾斜部63、及びベース13面上のレール部材60よりも奥側の部分64は、レール板部62の先端部より高さが低くなった部分となり、案内部の第1の凹部65を構成する。なお、傾斜部63とレール板部62の先端部との接続角度は鈍角であるとともに、前方スライド部31における傾斜面部34Bと底面部34Aの接続角度より大きく、なだらかな傾斜となる。
【0040】
図6に示すように、フィルタユニット10がケーシング11内部に挿入されると、第1の実施形態と同様に、摺動板部34、38は、第1及び第2の凹部65、44内部に配置され、ガスケット23は周縁部12Eに接触する。
【0041】
本実施形態では、前方スライド部31の摺動板部34の形状は、第1の凹部65の形状に一致していない。そのため、摺動板部34は、第1の凹部65に嵌入した状態とならず、傾斜面部34Bが傾斜部61に当接するのみとなる。そのため、第1の凹部65によって、フィルタユニット10の移動は十分に規制することはできない。ただし、後方スライド部32は、第2の凹部44に嵌入され、これら後方スライド部32及び第2の凹部44によって、フィルタユニット10の移動は規制される。
【0042】
なお、本実施形態では、傾斜部63は省略され、レール板部62は、終端部まで高さが一定であっても良い。この場合には、案内部の第1の凹部65は、ベース面13上のレール部材60よりも奥側の部分64のみで構成されることになる。
【符号の説明】
【0043】
10 フィルタユニット
11 ケーシング
12 流通口
13 ベース面
15 挿入口
21 枠体
23 ガスケット
30 スライダ
31、32 前方及び後方スライド部
34 摺動板部(第1の摺動部)
38 摺動板部(第2の摺動部)
40 レール部材
43、65 第1の凹部
44 第2の凹部