特許第5761854号(P5761854)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5761854
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】炒め物の製造装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/04 20060101AFI20150723BHJP
   A47J 43/044 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   A47J37/04 A
   A47J43/044
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-185321(P2011-185321)
(22)【出願日】2011年8月26日
(65)【公開番号】特開2013-43068(P2013-43068A)
(43)【公開日】2013年3月4日
【審査請求日】2014年6月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】591002212
【氏名又は名称】株式会社品川工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100062409
【弁理士】
【氏名又は名称】安村 高明
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】藤田 隆士
(72)【発明者】
【氏名】大石 裕喜
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−299940(JP,A)
【文献】 実公昭49−044938(JP,Y2)
【文献】 実開平06−085029(JP,U)
【文献】 米国特許第03920228(US,A)
【文献】 米国特許第03995840(US,A)
【文献】 特開昭59−025716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/04
A47J 43/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱釜と、この加熱釜内に投入される食材を撹拌し得る撹拌羽根とを有する炒め物の製造装置であって、
該撹拌羽根が、回転軸と、該回転軸の下端部に固定された横部材と、該横部材の一端部に固定された第1の羽根部材と該横部材の他端部に固定された第2の羽根部材とを有し、
該第1および第2の羽根部材が、それぞれ、該横部材の端部から加熱釜の周端方向へ延設された水平部材と、該水平部材から下方へ垂設された縦部材と、該縦部材の下端部に該加熱釜の底面と間隙を介して該加熱釜の中心方向へ延設された撹拌横部材と、を有し、
該第1の羽根部材の撹拌横部材に、該加熱釜の底面から離れる方向に突曲した第1の突曲部と、加熱釜の底面に近接した第1の水平部とが形成され、
第2の羽根部材の撹拌横部材に、該加熱釜の底面から離れる方向に突曲した第2の突曲部と、加熱釜の底面に近接した第2の水平部とが形成され、
該第1の突曲部の回転軌跡と該第2の突曲部の回転軌跡が一致しない、炒め物の製造装置。
【請求項2】
前記羽根部材が、断面が実質的に円形の棒材を折り曲げて形成されている請求項1に記載の炒め物の製造装置。
【請求項3】
前記第1の羽根部材の撹拌横部材に形成された第1の突曲部が、
該撹拌横部材の加熱釜の周端側に形成され、
前記第2の羽根部材の撹拌横部材に形成された第2の突曲部が、該撹拌横部材の加熱釜の中心側に形成されている請求項1又は2に記載の炒め物の製造装置。
【請求項4】
前記第1の突曲部が、前記水平部から立ち上がった立ち上がり部と、該立ち上がり部から水平方向へ延びた上部とを有し、
前記第2の突曲部が、前記水平部から立ち上がった立ち上がり部と、該立ち上がり部から水平方向へ延びた上部とを有する請求項1〜3のいずれかに記載の炒め物の製造装置。
【請求項5】
前記撹拌羽根が、さらに、前記横部材の一端部に固定された第3の羽根部材と該横部材の他端部に固定された第4の羽根部材とを有し、
該第3および第4の羽根部材が、それぞれ、該横部材の端部から加熱釜の周端方向へ延設された水平部材と、該水平部材から下方へ垂設された縦部材と、該縦部材の下端部に該加熱釜の底面と間隙を介して該加熱釜の中心方向へ延設された撹拌横部材と、を有し、
該第3の羽根部材の撹拌横部材に、該加熱釜の底面から離れる方向に突曲した第3の突曲部と、加熱釜の底面に近接した第3の水平部とが形成され、
第4の羽根部材の撹拌横部材に、該加熱釜の底面から離れる方向に突曲した第4の突曲部と、加熱釜の底面に近接した第4の水平部とが形成され、
該第1の突曲部の回転軌跡と該第3の突曲部の回転軌跡が一致せず、
該第2の突曲部の回転軌跡と該第4の突曲部の回転軌跡が一致しない、請求項1〜4のいずれかに記載の炒め物の製造装置。
【請求項6】
前記第1の羽根部材の撹拌横部材の先端部と、前記第2の羽根部材の撹拌横部材の先端部とは離れており、両先端部間に空隙部が形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の炒め物の製造装置。
【請求項7】
加熱釜内に投入された食材を撹拌し得る炒め物の製造装置に使用される撹拌羽根であって、
該撹拌羽根が、回転軸と、該回転軸の下端部に固定された横部材と、該横部材の一端部に固定された第1の羽根部材と該横部材の他端部に固定された第2の羽根部材とを有し、
該第1および第2の羽根部材が、それぞれ、該横部材の端部から加熱釜の周端方向へ延設された水平部材と、該水平部材から下方へ垂設された縦部材と、該縦部材の下端部に該加熱釜の底面と間隙を介して該加熱釜の中心方向へ延設された撹拌横部材と、を有し、
該第1の羽根部材の撹拌横部材に、該加熱釜の底面から離れる方向に突曲した第1の突曲部と、加熱釜の底面に近接した第1の水平部とが形成され、
第2の羽根部材の撹拌横部材に、該加熱釜の底面から離れる方向に突曲した第2の突曲部と、加熱釜の底面に近接した第2の水平部とが形成され、
該第1の突曲部の回転軌跡と該第2の突曲部の回転軌跡が一致しない、撹拌羽根
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼き飯、野菜炒め等の炒め物を加熱調理する装置に関し、詳しくは米飯を含む食材を撹拌羽根で撹拌する際に、米飯が押圧されすぎることがなく、撹拌できる炒め物の製造装置およびその装置に使用する撹拌羽根に関する。
【背景技術】
【0002】
撹拌羽根を備えた釜内に、米飯、具材、調味液、水等の食材を投入して、釜内で食材を加熱撹拌して炒め物を製造する装置が提案されている(特許第2783955号、特許文献1)。
【0003】
しかし、焼き飯などの炒め物を製造する場合に、ヘラなどの撹拌羽根によって食材を撹拌すると、米飯がヘラで押されるために粘りを生じ、べとついた食感の焼き飯が製造されるといった欠点がある。
【0004】
そこで、例えば、特開2011−110356号公報(特許文献2)には、ロータリー式の筒状ドラム内に複数の撹拌羽根を備えた回転軸を配設し、ドラム内に投入される食材をドラムの回転および撹拌羽根によって撹拌するようにした加熱調理装置が開示されている。しかし、この装置では、回転軸に複数の撹拌羽根が備えられているので、清掃作業が容易ではなく、一旦ドラムの内面が焦げ付いた場合には、焦げの除去が非常に難しい。さらに、このようなロータリー式のドラムを使用する場合には、ドラムの内面全面に油を供給する必要があるので、多量の油を必要とするという欠点があり、またドラムの下面を加熱しながらドラムを回転させているので、加熱面積が小さく、そのためドラムの温度の上昇速度が遅いという欠点もある。さらに、このような調理装置は価格も高い。
【0005】
本願出願人は、実開昭48−20983号公報(特許文献3)において、比較的簡単な構成の撹拌羽根を用いた炒め物の調理装置を提案した。しかし、この装置でも米飯の撹拌が不十分であり、米飯の固まりを生じることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2783955号
【特許文献2】特開2011−110356号公報
【特許文献3】実開昭48−20983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、焼き飯などの食品を調理する場合に、米飯が撹拌羽根で押されることを防止して食品にべとつき感を生じることを防止でき、また比較的安価に製作できる炒め物の製造装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、簡単な構成であって撹拌羽根の清掃が容易である炒め物の製造装置を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、米飯の固まりが生じることを防止して撹拌効率を上げることができる炒め物の製造装置およびその装置に使用する撹拌羽根を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の炒め物の製造装置は、以下を提供する。
(項目1) 加熱釜と、この加熱釜内に投入される食材を撹拌し得る撹拌羽根とを有する炒め物の製造装置であって、
該撹拌羽根が、回転軸と、該回転軸の下端部に固定された横部材と、該横部材の一端部に固定された第1の羽根部材と該横部材の他端部に固定された第2の羽根部材とを有し、
該第1および第2の羽根部材が、それぞれ、該横部材の端部から加熱釜の周端方向へ延設された水平部材と、該水平部材から下方へ垂設された縦部材と、該縦部材の下端部に該加熱釜の底面と間隙を介して該加熱釜の中心方向へ延設された撹拌横部材と、を有し、
該第1の羽根部材の撹拌横部材に、該加熱釜の底面から離れる方向に突曲した第1の突曲部と、加熱釜の底面に近接した第1の水平部とが形成され、
第2の羽根部材の撹拌横部材に、該加熱釜の底面から離れる方向に突曲した第2の突曲部と、加熱釜の底面に近接した第2の水平部とが形成され、
該第1の突曲部の回転軌跡と該第2の突曲部の回転軌跡が一致しない、炒め物の製造装置。
(項目2) 前記羽根部材が、断面が実質的に円形の棒材を折り曲げて形成されている項目1に記載の炒め物の製造装置。
(項目3) 前記第1の羽根部材の撹拌横部材に形成された第1の突曲部が、
該撹拌横部材の加熱釜の周端側に形成され、
前記第2の羽根部材の撹拌横部材に形成された第2の突曲部が、該撹拌横部材の加熱釜の中心側に形成されている項目1又は2に記載の炒め物の製造装置。
(項目4) 前記第1の突曲部が、前記水平部から立ち上がった立ち上がり部と、該立ち上がり部から水平方向へ延びた上部とを有し、
前記第2の突曲部が、前記水平部から立ち上がった立ち上がり部と、該立ち上がり部から水平方向へ延びた上部とを有する項目1〜3のいずれかに記載の炒め物の製造装置。
(項目5) 前記撹拌羽根が、さらに、前記横部材の一端部に固定された第3の羽根部材と該横部材の他端部に固定された第4の羽根部材とを有し、
該第3および第4の羽根部材が、それぞれ、該横部材の端部から加熱釜の周端方向へ延設された水平部材と、該水平部材から下方へ垂設された縦部材と、該縦部材の下端部に該加熱釜の底面と間隙を介して該加熱釜の中心方向へ延設された撹拌横部材と、を有し、
該第3の羽根部材の撹拌横部材に、該加熱釜の底面から離れる方向に突曲した第3の突曲部と、加熱釜の底面に近接した第3の水平部とが形成され、
第4の羽根部材の撹拌横部材に、該加熱釜の底面から離れる方向に突曲した第4の突曲部と、加熱釜の底面に近接した第4の水平部とが形成され、
該第1の突曲部の回転軌跡と該第3の突曲部の回転軌跡が一致せず、
該第2の突曲部の回転軌跡と該第4の突曲部の回転軌跡が一致しない、項目1〜4のいずれかに記載の炒め物の製造装置。
(項目6) 前記第1の羽根部材の撹拌横部材の先端部と、前記第2の羽根部材の撹拌横部材の先端部とは離れており、両先端部間に空隙部が形成されている項目1〜5のいずれかに記載の炒め物の製造装置。
(項目7) 加熱釜内に投入された食材を撹拌し得る炒め物の製造装置に使用される撹拌羽根であって、
該撹拌羽根が、回転軸と、該回転軸の下端部に固定された横部材と、該横部材の一端部に固定された第1の羽根部材と該横部材の他端部に固定された第2の羽根部材とを有し、
該第1および第2の羽根部材が、それぞれ、該横部材の端部から加熱釜の周端方向へ延設された水平部材と、該水平部材から下方へ垂設された縦部材と、該縦部材の下端部に該加熱釜の底面と間隙を介して該加熱釜の中心方向へ延設された撹拌横部材と、を有し、
該第1の羽根部材の撹拌横部材に、該加熱釜の底面から離れる方向に突曲した第1の突曲部と、加熱釜の底面に近接した第1の水平部とが形成され、
第2の羽根部材の撹拌横部材に、該加熱釜の底面から離れる方向に突曲した第2の突曲部と、加熱釜の底面に近接した第2の水平部とが形成され、
該第1の突曲部の回転軌跡と該第2の突曲部の回転軌跡が一致しない、炒め物の製造装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明の炒め物の製造装置は、撹拌羽根が、回転軸と、該回転軸の下端部に固定された横部材と、該横部材の一端部に固定された第1の羽根部材と該横部材の他端部に固定された第2の羽根部材とを有し、第1および第2の羽根部材が、それぞれ、該横部材の端部から加熱釜の周端方向へ延設された水平部材と、該水平部材から下方へ垂設された縦部材と、該縦部材の下端部に該加熱釜の底面と間隙を介して該加熱釜の中心方向へ延設された撹拌横部材と、を有し、第1の羽根部材の撹拌横部材に、該加熱釜の底面から離れる方向に突曲した第1の突曲部と、加熱釜の底面に近接した第1の水平部とが形成され、第2の羽根部材の撹拌横部材に、該加熱釜の底面から離れる方向に突曲した第2の突曲部と、加熱釜の底面に近接した第2の水平部とが形成されていることにより、縦部材は、加熱釜の壁面に沿って回転移動し、撹拌横部材は加熱釜の底面に沿って所定の間隔をおいた状態で加熱釜内を回転移動する。撹拌羽根の回転の際に、加熱釜内に投入された米飯を含む食材は撹拌横部材の突曲部ににあたりほぐされ、また加熱釜の底面近くにある食材は撹拌横部材の水平部によって撹拌される。
【0012】
ここで、第1の羽根部材の第1の突曲部の回転軌跡と第2の羽根部材の第2の突曲部の回転軌跡は一致しないので、例えば、加熱釜の周端部側においては、第1の羽根部材の第1の突曲部によって食材の上部を撹拌した後、次に第2の羽根部材の第2の水平部によって食材の下部を撹拌でき、加熱釜の中央側においては、第1の羽根部材の第1の水平によって食材の下部を撹拌した後、次に第2の羽根部材の第2の突曲部によって食材の上部を撹拌することができる。
【0013】
さらに、羽根部材は、断面が実質的に円形の棒材を折り曲げて形成することができ、従って、羽根部材によって米飯を切りながら具材などを混ぜることができる。従って、従来のヘラやスクレーパを用いて食材を撹拌することがないので、従来のように米飯に粘りが付くことがなく、ぱらぱら感のある炒め物を製造することができる。
【0014】
また、羽根部材を丸棒で構成することにより、はね部材の向きにかかわらず、米飯、グザイを切るようにして撹拌することができる。
【0015】
さらに、撹拌羽根の清掃作業が容易となる。また、丸棒を折り曲げて撹拌羽根を構成できるので、作製費用も安価である。さらに、この撹拌羽根の表面にテフロン(登録商標)コーティングなどの表面加工が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明の一実施形態の炒め物の製造装置の正面図である。
図2図2図1に示す炒め物の製造装置の平面図である。
図3図3は加熱釜および撹拌羽根を示した拡大正面図である。
図4図4図3に示す撹拌羽根の斜視図である。
図5図5図3に示す撹拌羽根の側面図である。
図6図6図3に示す撹拌羽根の平面図である。
図7図7図6のB−B線に沿った撹拌羽根の正面図である。
図8図8図3に示す撹拌羽根の正面図である。
図9図9図3に示す撹拌羽根の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を具体的に説明する。
【0018】
本発明に係る炒め物の製造装置1は、図1乃至図3に示すように、加熱釜2とこの加熱釜2内に投入された食材を撹拌し得る撹拌羽根4と、を有する。
【0019】
加熱釜2は、従来より公知のものを使用することができ、加熱釜2の底部下面あるいは周囲に加熱手段8が配置されている。加熱手段8としては、ガス、蒸気あるいは電気等によるものを使用することができる。この実施例では、加熱手段8として、ガスバーナーが加熱釜2の底部下面側に配置されている。
【0020】
加熱釜2は、底部がほぼ平坦面を有する円板状の底面10と、該底面10の周囲からやや外側へ上り傾斜した側壁面12とを有し、平面視で円形に形成されている。この加熱釜の本体は、ステンレス鋼と鉄とステンレス鋼とが積層された3層構造のもので形成することができ、錆びを防止し、および熱伝導性に優れている点で好ましい。例えば、3層クラッド鋼と称されるものを使用することができる。
【0021】
加熱手段8の両側部から軸部14が両側方へそれぞれ突設され、加熱手段8の両側部に配設された支持台16、16間に加熱釜2が転倒可能に軸支されている。
【0022】
一方の支持台16より支持フレーム20が上方へ延出され、この支持フレーム20に撹拌羽根4を転倒させる転倒手段6が設けられている。転倒手段6は、支持フレーム20の上端部に固定された横フレーム22と、該横フレーム22に固定された転倒駆動手段24とを有する。
【0023】
横フレーム22に撹拌羽根4を回転駆動させるための駆動手段26が配設されている。該駆動手段26は、モータが配設されたケース30と、該モータの回転軸に連結された動力伝達機構(例えば、駆動スプロケットと、回転軸34の上端に固定された従動スプロケットと、駆動スプロケット及び従動スプロケット間を連結するチェーンやギヤなど)32と駆動軸33とを有する。
【0024】
図3〜9に示すように、撹拌羽根4は、炒め物の製造装置1の駆動軸33に取り付けられる回転軸34と、該回転軸34の下端に固定された横部材36と、該横部材36の一端部に固定された第1の羽根部材50と該横部材36の他端部に固定された第2の羽根部材60とを有する。
【0025】
横部材36は、板材、丸棒などで構成することができ、回転軸34の下端にほぼ水平方向に取り付けられている。該横部材36の長手方向の中心位置で、該横部材36は該回転軸34の下端にネジ、溶接などによって固着されている。
【0026】
第1および第2の羽根部材50、60は、ステンレス鋼などの断面が実質的に円形の金属製の棒材を折り曲げて形成されている。
【0027】
第1および第2の羽根部材50、60は、それぞれ、該横部材36の端部から加熱釜2の周端方向へ延設された水平部材38と、該水平部材38から下方へ垂設された縦部材40と、該縦部材40の下端部に、該加熱釜2の底面10と間隙を介して該加熱釜2の中心方向へ延設された撹拌横部材42と、を有する。
【0028】
縦部材40は、加熱釜2の側壁面12に沿うように形成され、回転軸34が自転および公転して加熱釜2の壁側へ移動した際に、縦部材40は側壁面12と小間隙(例えば、3〜7mm程度)を介して配置されるようになっている。
【0029】
第1の羽根部材50の撹拌横部材42に、該加熱釜2の底面10から離れる方向に突曲した第1の突曲部54と、加熱釜2の底面10に近接した第1の水平部51と、基部59が形成されている。
【0030】
図7に示すように、第1の突曲部54は、第1の水平部51および基部59から立ち上がった2つの立ち上がり部57と、該立ち上がり部57から水平方向へ延びた上部58と、を有する。
【0031】
第1の水平部51と該加熱釜2の底面10との間の間隔L1は、加熱釜2のサイズ、食材の投入量、具材などによって所定の間隔に調整することができる。この間隔が小さすぎると、米飯を含む食材が第1の水平部51と釜の底面10との間で潰される場合があり、この間隔が大きすぎる場合には、食材の塊りが第1の水平部51と加熱釜2の底面10との間を通過するために食材の固まりができる場合がある。
【0032】
また、上部58と加熱釜2の底面10との間の間隔L2は、上記の間隔L1よりも大きく設定され、加熱釜2のサイズ、食材の投入量、具材などによって所定の間隔に調整することができる。この間隔L2が小さすぎると、米飯を含む食材の撹拌が十分行えない場合があり、この間隔が大きすぎる場合には、食材の塊りが第1の水平部51と加熱釜2の底面10との間を通過するために食材の固まりができる場合がある。
【0033】
第2の羽根部材60の撹拌横部材42の構成も、上記した第1の羽根部材50の撹拌横部材42と同様に構成されている。
【0034】
すなわち、第2の羽根部材60の撹拌横部材42に、該加熱釜2の底面10から離れる方向に突曲した第2の突曲部64と、加熱釜2の底面10に近接した第2の水平部61と、先端部62が形成されている。
【0035】
該第2の突曲部64は、第2の水平部61と先端部62から立ち上がった2つの立ち上がり部65と、該立ち上がり部65から水平方向へ延びた上部66と、を有する。水平部61または上部66と該熱釜2の底面10との間の間隔は、上記第1の羽根部材50の撹拌横部材42の場合と同様に構成されている。
【0036】
回転軸34が1回自転する場合において、第1の突曲部54の回転軌跡は、加熱釜2の比較的外側を移動し(ほぼリング状の移動軌跡となる)、第2の突曲部64の回転軌跡は、加熱釜2の比較的内側を移動する(ほぼリング状の回転移動となる)。
【0037】
そして、第1の突曲部54の回転軌跡と第2の突曲部64の回転軌跡は一致しないものである。同様に、第1の水平部51の回転軌跡と第2の水平部61の回転軌跡は一致しないものである。ここで、回転軌跡が一致しないとは、両突曲部の回転軌跡または両水平部の回転軌跡が完全に一致しないことをいい、回転軌跡が一部重なる場合(例えば、面積で換算して20%重なる場合)を本発明に含めるものとする。
【0038】
第1の羽根部材50の撹拌横部材42の先端部と、第2の羽根部材60の撹拌横部材42の先端部とは離れており、両先端部間に空隙部68が形成されている。
【0039】
この空隙部68の距離は、加熱釜2の直径、回転軸34の公転距離などに応じて適宜設定することができる。
【0040】
上記では、羽根部材50、60が横部材36の両端部に対向するようにそれぞれ固定した例を示したが、羽根部材50、60は横部材36に2対固定してもよく、あるいは3対以上固定してもよい。
【0041】
図2図9では、羽根部材が、横部材36の両端部に2対固定した例を示している。
【0042】
すなわち、撹拌羽根が、さらに、横部材36の一端部に固定された第3の羽根部材70と該横部材36の他端部に固定された第4の羽根部材71とを有する。
【0043】
第3および第4の羽根部材70、71は、第1および第2の羽根部材50、60と同様に、それぞれ該横部材36の端部から加熱釜2の周端方向へ延設された水平部材38と、該水平部材38から下方へ垂設された縦部材40と、該縦部材40の下端部に、該加熱釜2の底面10と間隙を介して該加熱釜2の中心方向へ延設された撹拌横部材42と、を有する。
【0044】
そして、第3の羽根部材70の撹拌横部材42に、該加熱釜2の底面10から離れる方向に突曲した第3の突曲部と、加熱釜2の底面10に近接した第3の水平部とが形成され、第4の羽根部材71の撹拌横部材42に、該加熱釜2の底面10から離れる方向に突曲した第4の突曲部と、加熱釜2の底面10に近接した第4の水平部とが形成されている。第1の突曲部54の回転軌跡と該第3の突曲部の回転軌跡が一致せず、該第2の突曲部64の回転軌跡と該第4の突曲部の回転軌跡が一致しないものである。
【0045】
第3および第4の羽根部材71の構成は、第1および第2の羽根部材50、60の構成と同一であるので説明は省略する。
【0046】
さらに、隣接する羽根部材を連結する上部補強部材72と下部補強部材73が設けられている。
【0047】
次に、本発明の炒め物の製造装置の作用を説明する。
【0048】
上記構成の撹拌羽根4を、加熱釜2内に配置して駆動軸33に固定し、該駆動軸33の回転駆動によって撹拌羽根4を回転させる。
【0049】
縦部材40は、加熱釜2の壁面に沿って回転移動(自転および公転)し、および撹拌横部材42は、加熱釜2の底面10に沿って所定の間隔をおいた状態で加熱釜2内を回転移動する。加熱釜2内に投入された米飯を含む食材は、撹拌横部材42の突曲部に当たってほぐされ、また加熱釜の底面10近くにある食材は、撹拌横部材42の水平部によって撹拌される。
【0050】
ここで、第1の突曲部54の回転軌跡と第2の突曲部64の回転軌跡は一致しないので、加熱釜2の周端部側においては、第1の羽根部材50の第1の突曲部54によって食材の上部を撹拌した後、第2の羽根部材60の第2の水平部61によって食材の下部を撹拌することができる。また加熱釜2の中央側においては、第1の羽根部材50の第1の水平によって食材の下部を撹拌した後、第2の羽根部材60の第2の突曲部64によって食材の上部を撹拌することができる。
【0051】
その結果、これらの羽根部材50,60、70、71によって、加熱釜2内に入れられた米飯を含む食材を効果的に撹拌することができる。
【0052】
なお、回転軸34は通常は自転および公転するが、自転のみであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
焼き飯等の食材を含む炒め物の製造装置とその装置に使用する撹拌羽根を提供することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 炒め物の製造装置
2 加熱釜
4 撹拌羽根
36 横部材
43 撹拌横部材
50 第1の羽根部材
51 第1の水平部
54 第1の突曲部
60 第2の羽根部材
61 第2の水平部
64 第2の突曲部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9