特許第5761878号(P5761878)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許57618786−{ジフルオロ[6−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル]メチル}キノリンの多形および水和物の形態、塩、ならびに製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5761878
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】6−{ジフルオロ[6−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル]メチル}キノリンの多形および水和物の形態、塩、ならびに製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20150723BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20150723BHJP
   A61K 31/5025 20060101ALN20150723BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20150723BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20150723BHJP
   A61P 35/02 20060101ALN20150723BHJP
   A61K 45/00 20060101ALN20150723BHJP
【FI】
   C07D487/04 145
   !C07B61/00 300
   !A61K31/5025
   !A61P43/00 111
   !A61P43/00 105
   !A61P35/00
   !A61P43/00 121
   !A61P35/02
   !A61K45/00
【請求項の数】10
【全頁数】74
(21)【出願番号】特願2014-50488(P2014-50488)
(22)【出願日】2014年3月13日
(62)【分割の表示】特願2010-512686(P2010-512686)の分割
【原出願日】2008年6月19日
(65)【公開番号】特開2014-166998(P2014-166998A)
(43)【公開日】2014年9月11日
【審査請求日】2014年3月13日
(31)【優先権主張番号】07012176.9
(32)【優先日】2007年6月21日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】60/945,641
(32)【優先日】2007年6月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390033008
【氏名又は名称】ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トム・コルネリス・ホルテンス・ゴベルツ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・エルビン・エドモンド・ベールツ
(72)【発明者】
【氏名】カリナ・レイズ
(72)【発明者】
【氏名】ジユリウス・バルター・ヨゼフ・デイケンス
(72)【発明者】
【氏名】ジークリート・カール・マリア・ストクブロークス
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−518364(JP,A)
【文献】 UY 30041 A1,2007年 5月31日
【文献】 AMER,A. et al,The reaction of 1-hydrazinophthalazine with phthalaldehydic acid. Occurrence of ring-chain tautomers (1),Journal of Heterocyclic Chemistry,1981年,Vol.18, No.8,pp.1625-1628
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D487/00−491/22
C07B 61/00
A61K 31/33− 33/44
A61P 1/00− 43/00
A61K 45/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式(X)
【化1】
ここでPGは保護基である
の中間体を式(XI)
【化2】
ここでEは−OH、−O(-)(+)若しくは−OR1であり、ならびにMはアルカリ金属で
あり、およびR1はC1-6アルキルである
の中間体と反応させ、それにより式(XII)
【化3】
の中間体を得ること
(b)式(XII)の中間体から保護基PGを除去し、それにより式(XIII)
【化4】
の中間体を得ること、
および(c)式(XIII)の中間体を式(I)の化合物に転化すること
を含んでなる、式(I)
【化5】
の化合物の製造方法。
【請求項2】
工程(c)で得られた式(I)の化合物を2−プロパノール中で最低4時間還流し次いで室温に冷却する、工程(d)を更に含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(c)で得られた式(I)の化合物をエタノール/水混合物(50/50)から60℃で結晶化する、工程(d)を更に含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(c)で得られた式(I)の化合物が0.1N HCl中に25℃で溶解されそして沈殿物が形成するまで式(I)の化合物が添加される、工程(d)を更に含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
Eが−O(-)(+)である、請求項1ないし4のいずれか1に記載の方法。
【請求項6】
保護基PGがtert−ブトキシカルボニルである、請求項1ないし5のいずれか1に記載の方法。
【請求項7】
保護基PGが工程(b)で酸の存在下で取り除かれる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
酸がHCl、HBr、硫酸、トリフルオロ酢酸またはスルホン酸から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
スルホン酸がp−トルエンスルホン酸、p−ブロモベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、カンファースルホン酸、メタンスルホン酸またはエタンスルホン酸である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
酸がメタンスルホン酸またはエタンスルホン酸である、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、6−{ジフルオロ[6−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル]メチル}キノリン(化合物(I))の新規多形および水和物の形態ならびに塩、それらの製造方法、前記多形若しくは水和物の形態または塩の最低1種を含んでなる製薬学的組成物、ならびにこうした組成物の治療的および/若しくは予防的使用に関する。本発明は化合物(I)の新たな製造様式もまた提供する。
【背景技術】
【0002】
化合物6−{ジフルオロ[6−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル]メチル}キノリン(本明細書で化合物(I))は、特許文献1として公開された同時係属出願特許文献2に開示される。化合物(I)はタンパク質チロシンキナーゼモジュレーター、とりわけc−Metの阻害剤である。
【0003】
肝細胞増殖因子(HGF)(分散因子としてもまた知られる)受容体c−Metは、細胞の増殖、形態形成および運動性を調節する受容体チロシンキナーゼである。c−Met遺伝子は170kDのタンパク質に翻訳され、これは140kDのβ膜貫通サブユニットおよび50kDのグリコシル化細胞外αサブユニットから構成される細胞表面受容体にプロセシングされる。
【0004】
c−Met中の突然変異、c−Metおよび/若しくはHGF/SFの過剰発現、その細胞によるc−MetおよびHGF/SFの発現、ならびに過剰発現および/若しくは異常なc−Metシグナル伝達が多様なヒト充実性腫瘍に存在し、そして血管新生、腫瘍発生、浸潤および転移に参加すると考えられている。例えば制御されないc−Met活性化を伴う細胞株は高度に浸潤性および転移性の双方である。c−Met受容体を発現する正常および形質転換細胞の間の顕著な差違は、腫瘍細胞中のチロシンキナーゼドメインのリン酸化がしばしばリガンドの存在に依存しないことである。
【0005】
c−Metの突然変異/変化は、腫瘍および癌腫、例えば遺伝性および散発性ヒト乳頭状腎細胞癌、乳癌、肝転移を場合によっては伴う結腸直腸癌、胃癌、神経膠腫、卵巣癌、肝細胞癌、頭頚部扁平上皮細胞癌、精巣癌、基底細胞癌、肝癌、肉腫、悪性胸膜中皮腫、黒色腫、多発性骨髄腫、骨肉腫、膵癌、前立腺癌、滑膜肉腫、甲状腺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)および小細胞肺癌、膀胱の移行上皮癌、精巣癌、基底細胞癌、肝癌、ならびに白血病、リンパ腫および骨髄腫、例えば急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、急性未分化白血病(AUL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、前リンパ球性白血病(PML)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、成人T細胞ALL、三血球系骨髄異形成を伴うAML(AML with trilineage myelodysplasia)(AML/TMDS)、混合系統白血病(MLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性障害(MPD)、多発性骨髄腫、(MM)、骨髄肉腫、非ホジキンリンパ腫およびホジキン病(ホジキンリンパ腫ともまた呼ばれる)を包含する多数のヒト疾患で同定されている。
【0006】
c−Metの過剰発現は、例えば、乳癌、非小細胞肺癌、膵内分泌腫瘍、前立腺癌、食道腺腫、結腸直腸癌、唾液腺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫および子宮内膜癌のようなある種の疾患の予後の潜在的に有用な予測因子であるともまた考えられている。
【0007】
多様なヒト癌の病因における異常なHGF/SF−Metシグナル伝達の役割のため、化合物(I)を包含するc−Met受容体チロシンキナーゼの阻害剤は、c−Metが過剰発現されない若しくは別の方法で変えられていないものを包含する浸潤性/転移性の表現型にMet活性が寄与する癌の処置に広範な応用を有する。c−Metの阻害剤は血管新生もまた阻害し、そして従って関節リウマチおよび網膜症のような新たな脈管構造の形成を伴う疾患の処置に有用性を有すると考えられる(非特許文献1)。
【0008】
特許文献2(特許文献1)は化合物(I)の製造方法を開示し、ここで、最後の段階で、2,2−ジフルオロ−2−キノリン−6−イルアセトヒドラジドおよび3−クロロ−6−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)ピリダジンを1−ブタノール中で長時間還流して化合物(I)を提供する(非特許文献2)。しかしながら、これらの比較的過酷な反応条件は、副生成物、とりわけジフルオロ(キノリン−6−イル)酢酸ブチルおよび3−ブトキシ−6−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)ピリダジンの形成につながり得る。これゆえに、反応後に化合物(I)は反復されるクロマトグラフィーにより精製される必要があり、これは上の製造方法の収量を低下させ得かつスケールアップ可能性(upscalability)を妨げ得る。
【0009】
従って、化合物(I)の改良された製造方法、とりわけ、改良された収量、より高い純度、製造工程のより少ない操作および/若しくはより良好なスケールアップ可能性を見込みうる方法を提供する必要性が存在する。
【0010】
結晶多形および水和物はその化合物の多様な固体状態の分子形態を表す。異なる結晶多形および水和物は格子中の分子の異なる充填により異なる結晶構造を表す。これは異なる結晶対称性および/若しくは単位格子パラメータをもたらし、それらは物理特性に直接影響する。
【0011】
結晶多形形態および水和物は、製薬業界、およびとりわけ適する剤形の開発に関与する者に興味深い。多形形態若しくは水和物が臨床若しくは安定性試験の間に一定に保持されない場合、使用若しくは試験される正確な剤形はロットごとに比較可能でないことがある。化合物を臨床試験若しくは商業的製品で使用する場合に、高純度の選択された多形形態若しくは水和物を伴う化合物の製造方法を有することもまた望ましい。存在する不純物が望ましくない毒物学的効果を生じうるためである。ある種の多形形態若しくは水和物は、高められた熱力学的安定性、高められた化学的安定性を表しうるか、若しくはより容易に大量に高純度で製造されることができ、そして従って製薬学的製剤への包含により適する。ある種の多形若しくは水和物は、吸湿傾向の欠如、改良された溶解性、異なる格子エネルギーによる高められた溶解速度、および改良された(経口)生物学的利用性などのような他の有利な物理特性を表しうる。
【0012】
従って、とりわけこうした形態が改良された特性を引き起こしうる化合物(I)の別個のかつ特徴付けられた多形形態および水和物を得る必要性が存在する。
【0013】
塩もまたある化合物の異なる分子形態を表す。ある種の塩の形態は、高められた熱力学的安定性を表しうるか、若しくはより容易に大量に高純度で製造することができ、そして従って製薬学的製剤への包含により適する。ある種の塩は、吸湿傾向の欠如、改良された溶解性、異なる格子エネルギーによる高められた溶解速度、および改良された(経口)生物学的利用性などのような他の有利な物理特性を表しうる。
【0014】
これゆえに、こうした形態が改良された特性を引き起こしうる化合物(I)のさらなる塩の形態を得る必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】第WO 2007/075567号明細書
【特許文献2】第PCT/US2006/048241号明細書
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Michieliら P.2004.Cancer Cell 6(1):61−73
【非特許文献2】Albright,J.D.ら 1981 J.Med.Chem.24:592−600
【発明の概要】
【0017】
[発明の要約]
本発明は、当該技術分野における上で論考された必要性を扱う。
【0018】
より具体的には、化合物(I)が1種以上の多形若しくは水和物の結晶形で存在し得ることが驚くべきことに見出された。これらの形態は、例えば癌を包含する増殖性の適応症のようなc−Met関連障害の処置のための処方された生成物で使用しうる。各形態は例えば生物学的利用性、安定性若しくは製造可能性において他者を上回る利点を有しうる。大量の製造および取扱いに他の多形形態より適することがありそうである化合物(I)の結晶多形形態が発見された。高純度のこれらの多形若しくは水和物の形態の製造方法を本明細書に記述する。
【0019】
本発明のさらなる一目的は、化合物(I)の他の多形若しくは水和物の形態を実質的に含まない化合物(I)の各多形若しくは水和物の形態の製造方法を提供することである。
【0020】
加えて、上で論考されたところの多様な多形若しくは水和物の形態の化合物(I)を含んでなる製薬学的製剤、およびこうした製薬学的製剤を投与することによるc−Met関連の過剰増殖状態の処置方法を提供することが、本発明の一目的である。
【0021】
従って、局面において、本発明は、式(I)の化合物すなわち6−{ジフルオロ[6−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル]メチル}キノリン:
【0022】
【化1】
【0023】
の結晶形態および水和物を提供する。
【0024】
従って、一局面において、本発明は、結晶形態が形態Iの実質的に純粋な多形である式(I)の化合物の結晶形態を提供する。形態Iは、その非吸湿性の特徴ならびに良好な結晶学的および化学的安定性によりとりわけ有利でありうる。
【0025】
別の局面において、本発明は、従って、結晶形態が6.1±0.2、16.5±0.2および19.0±0.2の回折角(2θ)にピークを含んでなるX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、式(I)の化合物の結晶形態を提供する。強度の変動が、強度に影響する過程、最も重要にはサンプルの処理履歴により発生しうる。
【0026】
さらなる一局面において、本発明は、結晶形態が図1に示されると本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含んでなるXRPDパターンを有する、式(I)の化合物の結晶形態を提供する。
【0027】
さらなる一局面において、本発明は、従って、結晶形態が、1027±2、835±2および822±2の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなる;より具体的には1578±2、1027±2、982±2、971±2、892±2、852±2、835±2および822±2の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなる;なおより具体的には1578±2、1027±2、1077±2、1050±2、982±2、971±2、961±2、932±2、892±2、852±2、835±2、822±2、772±2、675±2、576±2、554±2および528±2の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなるIRスペクトルを有する、式(I)の化合物の結晶形態を提供する。
【0028】
また具体的には、本発明は、結晶形態が表2若しくは図2に示されると本質的に同一の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなるIRスペクトルを有する、式(I)の化合物の結晶形態を提供する。
【0029】
一局面において、化合物(I)の多形形態Iは、1027±2、982±2および892±2の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなる;より具体的には1542±2、1323±2、1175±2、1121±2、1027±2、982±2、971±2、961±2、892±2、716±2、675±2および554±2の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなる、それに特異的なIRスペクトルのピークを特徴とする。
【0030】
さらなる一局面において、本発明は、従って、結晶形態が、1分あたり10℃の走査速度で走査する場合に示差走査熱量測定(DSC)により測定されるところの199.0℃と203.5℃の間の融解吸熱を有する、式(I)の化合物の結晶形態を提供する。
【0031】
一局面において、本発明は、結晶形態が形態IIの実質的に純粋な多形である式(I)の化合物の結晶形態を提供する。
【0032】
なおさらなる一局面において、本発明は、従って、結晶形態が、1分あたり10℃の走査速度で走査する場合にDSCにより測定されるところの189.0℃と197.0℃の間の融解吸熱を有する、式(I)の化合物の結晶形態を提供する。
【0033】
一局面において、本発明は、結晶形態が形態IIIの実質的に純粋な多形である式(I)の化合物の結晶形態を提供する。
【0034】
別の局面において、本発明は、従って、結晶形態が、6.7±0.2、11.3±0.2および15.3±0.2の回折角(2θ)にピークを含んでなるX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、式(I)の化合物の結晶形態を提供する。強度の変動は、強度に影響する過程、最も重要にはサンプルの処理履歴により発生し得る。
【0035】
さらなる一局面において、本発明は、結晶形態が図3に示されると本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含んでなるXRPDパターンを有する、式(I)の化合物の結晶形態を提供する。
【0036】
さらなる一局面において、本発明は、従って、結晶形態が、1576±2、1225±2、836±2および830±2の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなる;より具体的には1576±2、1225±2、1179±2、1146±2、1105±2、1042±2、987±2、969±2、836±2、830±2および811±2の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなる;なおより具体的には1576±2、1332±2、1248±2、1225±2、1179±2、1158±2、1146±2、1105±2、1042±2、987±2、969±2、932±2、850±2、836±2、830±2、811±2および772±2の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなるIRスペクトルを有する、式(I)の化合物の結晶形態を提供する。
【0037】
また具体的には、本発明は、結晶形態が、表4若しくは図4に示されると本質的に同一の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなるIRスペクトルを有する、式(I)の化合物の結晶形態を提供する。
【0038】
一局面において、化合物(I)の多形形態IIIは、1042±2、987±2および969±2の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなる;より具体的には2953±2、1537±2、1332±2、1179±2、1105±2、1042±2、987±2、969±2、714±2および672±2の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなる、それに特異的なIRスペクトルのピークを特徴とする。
【0039】
一局面において、本発明は式(I)の化合物の水和物の形態を提供する。水和物の形態はとりわけ安定であることができ、そして従って例えば水性懸濁液のような水性媒体中で有利でありうる。
【0040】
別の局面において、本発明は、従って、水和物の形態が、8.4±0.3、19.5±0.3および29.0±0.3の回折角(2θ)にピークを含んでなるX線粉末回折(XRPD)パターンを有する式(I)の化合物の水和物の形態を提供し;強度の変動が、強度に影響する過程、最も重要にはサンプルの処理履歴により発生し得る。
【0041】
さらなる一局面において、本発明は、水和物の形態が図5に示されると本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含んでなるXRPDパターンを有する、式(I)の化合物の水和物の形態を提供する。
【0042】
さらなる一局面において、本発明は、従って、水和物の形態が、836±2、825±2および668±2の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなる;より具体的には3299±2、1577±2、985±2、836±2、825±2、774±2、685±2および668±2の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなる;なおより具体的には3299±2、1577±2、1224±2、1183±2、1158±2、1114±2、1051±2、985±2、836±2、825±2、774±2、734±2、716±2、685±2、668±2および481±2の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなるIRスペクトルを有する、式(I)の化合物の水和物の形態を提供する。
【0043】
また具体的には、本発明は、水和物の形態が表6若しくは図6に示されると本質的に同一の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなるIRスペクトルを有する、式(I)の化合物の水和物の形態を提供する。
【0044】
一局面において、化合物(I)の水和物の形態は、3299±2、985±2および668±2の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなる;より具体的には3299±2、1539±2、1481±2、1341±2、1183±2、1126±2、1114±2、991±2、985±2、977±2、914±2および668±2の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなる、それに特異的なIRスペクトルのピークを特徴とする。
【0045】
関連する一局面において、本発明は、最低50重量%、例えば最低60%、好ましくは最低70%、例えば最低80%、より好ましくは最低90%、例えば最低95%若しくは最低98%の多形形態Iを含んでなる固体の形態の式(I)の化合物を提供する。
【0046】
一局面において、本発明は、最低50重量%、例えば最低60%、好ましくは最低70%、例えば最低80%、より好ましくは最低90%、例えば最低95%若しくは最低98%の多形形態IIIを含んでなる固体の形態の式(I)の化合物を提供する。
【0047】
一局面において、本発明は、最低50重量%、例えば最低60%、好ましくは最低70%、例えば最低80%、より好ましくは最低90%、例えば最低95%若しくは最低98%の上の水和物の形態を含んでなる固体の形態の式(I)の化合物を提供する。
【0048】
一局面において、本発明は、多形形態I、IIおよびIIIならびに水和物の形態から選択される最低2形態の混合物を含んでなる固体の形態の式(I)の化合物を提供する。好ましくは、前記混合物は、固体の形態の式(I)の化合物の最低50重量%、例えば最低60%、好ましくは最低70%、例えば最低80%、より好ましくは最低90%、例えば最低95%若しくは100%さえを構成しうる。
【0049】
好ましい一態様において、固体の形態の式(I)の化合物は多形形態Iおよび多形形態IIIの混合物を含み得る。多形形態のIおよびIIIの前記混合物は、好ましくは(w/w):約90%の多形形態Iおよび約10%の多形形態III;若しくは約80%の多形形態Iおよび約20%の多形形態III;若しくは約70%の多形形態Iおよび約30%の多形形態III;若しくは約60%の多形形態Iおよび約40%の多形形態IIIを含有しうる。
【0050】
さらなる一局面において、本発明は、化合物(I)の上の多形形態および水和物、とりわけ多形形態IおよびIIIならびに水和物の形態の製造方法を提供する。
【0051】
別の局面において、本発明は、
(a)式(II)
【0052】
【化2】
【0053】
ここでW1は脱離基である、
の中間体を、式(III)
【0054】
【化3】
【0055】
の中間体と酸の存在下で反応させて、それにより式(I)の化合物の塩を得ること;および
(b)前記塩を塩基と接触させてそれにより式(I)の化合物を得ること
を含んでなる、式(I)の化合物の製造方法を提供する。
【0056】
好ましくは、上の段階(a)で使用される酸は、約3未満、より好ましくは1に等しいか若しくはそれ未満のpKaを有する。とりわけ好ましい態様において、段階(a)で使用される酸はハロ水素酸、より好ましくはHCl若しくはHBr、硫酸(H2SO4)、トリフルオロ酢酸、またはスルホン酸、より好ましくはp−トルエンスルホン酸、p−ブロモベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、カンファースルホン酸、メタンスルホン酸若しくはエタンスルホン酸でありうる。
【0057】
発明者は、驚くべきことに、中間体(II)および(III)の反応での酸の包含が前記反応を大きく促進することを理解した。結果、該反応は、以前よりかなり低い温度(例えば120℃未満で、例えば80℃と110℃の間)起こることができ、これは副生成物の形成を低下させる。従って純粋な化合物(I)を得るためのカラムクロマトグラフィーを回避し得る。加えて、酸の包含は、反応時間もまた、好ましくは20時間未満に、より好ましくは15時間未満に、なおより好ましくは例えば約4時間と約10時間の間のような10時間若しくはそれ未満に短縮しうる。これは副生成物の形成の機会もまた減少させ得、ならびに該過程を促進する。さらに、該反応の収率を、従って、反応混合物の約85%若しくはそれ以上と同じくらいの転化、および約75%若しくはそれ以上、または約80%若しくはそれ以上の単離される収率と同じくらいまで改良し得る。また、形成される塩を反応混合物から沈殿させる可能性により、反応混合物からの純粋な化合物としての塩の単離は大きく単純化され、それにより大規模な処理(work−up)および抽出処置を回避する。
【0058】
従って、本発明は、式(I)の化合物の塩、より好ましくは1に等しいか若しくはそれ未満のpKaを有する酸との塩、およびなおより好ましくはHCl、HBr、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸若しくはp−トルエンスルホン酸との塩もまた提供する。上で説明されたとおり、こうした塩は式(I)の化合物の製造でとりわけ有用な中間体である。加えて、認識され得るとおり、こうした塩はまた、例えば改良された安定性、溶解性、生物学的利用性などのような際立った薬理学的利点を表しうる化合物(I)の付加的な形態も表す。とりわけ、本発明は、酸(但し該酸はHClでない)との式(I)の化合物の塩、より好ましくは1に等しいか若しくはそれ未満のpKaを有する酸との塩、およびなおより好ましくはHBr、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸若しくはp−トルエンスルホン酸との塩を提供する。
【0059】
これを鑑み、本発明は、酸の存在下で中間体(II)を中間体(III)と反応させることを含んでなる式(I)の化合物の塩の製造方法もまた提供する。
【0060】
関連する局面において、本発明は以下のいずれかを提供する。すなわち
−結晶形態が形態Iの実質的に純粋な多形である式(I)の化合物の結晶形態を含んでなる製薬学的組成物;
−結晶形態が形態IIIの実質的に純粋な多形である式(I)の化合物の結晶形態を含んでなる製薬学的組成物;
−結晶形態が本明細書に教示されるところの実質的に純粋な水和物である式(I)の化合物の結晶形態を含んでなる製薬学的組成物;
−固体の形態の式(I)の化合物を含んでなる製薬学的組成物であって、前記固体の形態が、多形形態I、IIおよびIIIならびに水和物の形態から選択される最低2形態の混合物を含んでなり;好ましくは、前記混合物は前記固体の形態の最低50重量%、例えば最低60%、好ましくは最低70%、例えば最低80%、より好ましくは最低90%、例えば最低95%若しくは100%さえを構成することができ;
−固体の形態の式(I)の化合物を含んでなる製薬学的組成物であって、前記固体の形態が多形形態Iおよび形態IIIの混合物を含んでなり;好ましくは、前記混合物が(w/w):約90%の多形形態Iおよび約10%の多形形態III;若しくは約80%の多形形態Iおよび約20%の多形形態III;若しくは約70%の多形形態Iおよび約30%の多形形態III;若しくは約60%の多形形態Iおよび約40%の多形形態IIIを含有しうるか;または
−式(I)の化合物の塩を含んでなる製薬学的組成物であって;好ましくは前記塩は1に等しいか若しくはそれ未満のpKaを有する酸とであることができ;より好ましくは、前記塩は、HCl、HBr、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸若しくはp−トルエンスルホン酸から選ばれる酸、より好ましくはHBr、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸若しくはp−トルエンスルホン酸のいずれかとでありうる。
【0061】
さらなる一局面において、本発明は、タンパク質チロシンキナーゼモジュレーター、とりわけc−Metの阻害剤としての、ならびに、とりわけ細胞若しくは被験体のc−Metのキナーゼ活性を低下若しくは阻害するための、および/または細胞若しくは被験体でのc−Met発現を調節するための、ならびに/または被験体における細胞増殖性疾患および/若しくはc−Metに関係する障害を予防若しくは処置、好ましくは処置するための;式(I)の化合物の多形形態I、II若しくはIIIのいずれかまたはそれらのいずれかの混合物;および/あるいは式(I)の化合物の水和物の形態;および/あるいは式(I)の化合物の塩を提供する。
【0062】
別の局面において、本発明は、被験体のc−Metのキナーゼ活性を低下若しくは阻害するための、および/または被験体でのc−Met発現を調節するための、ならびに/または被験体における細胞増殖性疾患および/若しくはc−Metに関係する障害を予防若しくは処置、好ましくは処置するための医薬品の製造のための;式(I)の化合物の多形形態I、II若しくはIIIのいずれかまたはそれらのいずれかの混合物;および/あるいは式(I)の化合物の水和物の形態;および/あるいは式(I)の化合物の塩の使用を提供する。
【0063】
関連する一局面において、本発明は、in vitroの細胞のc−Metのキナーゼ活性を低下若しくは阻害、かつ/またはin vitroの細胞でのc−Met発現を調節するための;式(I)の化合物の多形形態I、II若しくはIIIのいずれかまたはそれらのいずれかの混合物;および/あるいは式(I)の化合物の水和物の形態;および/あるいは式(I)の化合物の塩の使用を提供する。
【0064】
また、本発明は、治療上有効な量の式(I)の化合物の多形形態I、II若しくはIIIのいずれかまたはそれらのいずれかの混合物;および/あるいは式(I)の化合物の水
和物の形態;および/あるいは式(I)の化合物の塩を被験体に投与することを含んでなる、被験体のc−Metのキナーゼ活性の低下若しくは阻害、ならびに/または細胞若しくは被験体でのc−Met発現の調節、ならびに/または被験体における細胞増殖性疾患および/若しくはc−Metに関係する障害の予防若しくは処置、好ましくは処置方法を提供する。好ましくは、これらは本明細書に教示されるところの製薬学的組成物の形態で投与し得る。好ましくは、被験体は動物、より好ましくは温血動物、なおより好ましくは哺乳動物、例えばヒト若しくはヒト以外の哺乳動物でありうる。
【0065】
本発明のこれらおよびさらなる局面ならびに好ましい態様は、以下の節および付随する請求の範囲に記述する。
【発明を実施するための形態】
【0066】
[発明の詳細な記述]
本明細書で使用されるところの単数形「ある(a、an)」および「該(the)」は、文脈が別の方法で明瞭に示さない限り単数および複数双方の指示物を包含する。
【0067】
本明細書で使用されるところの「含んでなること」、「含んでなる」および「より構成される」という用語は、「包含すること」、「包含する」若しくは「含有すること」、「含有する」と同義であり、および包括的であるか若しくは制限がなく、ならびに付加的な列挙されないメンバー、要素若しくは方法段階を除外しない。
【0068】
終点による数値範囲の列挙は、それぞれの範囲内に含まれる全部の数字および画分ならびに列挙される終点を包含する。
【0069】
パラメータ、量、一時的期間などのような測定可能な値を指す場合に本明細書で使用されるところの「約」という用語は、開示される発明で実施するためにこうした変動が適切である限り、指定される値のおよびそれから±10%若しくは未満、好ましくは±5%若しくは未満、より好ましくは±1%若しくは未満、およびなおより好ましくは±0.1%若しくは未満の変動を包含することを意味している。限定語「約」が指す値は具体的におよび好ましくはそれ自身もまた開示されることが理解されるべきである。
【0070】
本明細書の本発明に対する背景の論考は本発明の情況を説明するために包含する。これは、指される物質のいずれかが、請求の範囲のいずれかの優先日の時点でいずれかの国で公表されたか、既知であったか若しくは普遍的な一般知識の一部であったことの承認と解釈されるべきでない。
【0071】
略語
本明細書で使用されるところの以下の略語は以下の意味を有することを意図している(本明細を通じ、必要な場合は追加の略語を提供する)。
BTEAC 塩化ベンジルトリエチルアンモニウム
DAST ジアルキルアミノサルファートリフルオリド
Deoxo−FluorTM ビス(2−メトキシエチル)アミノサルファートリフル
オリド
DIPEA N,N’−ジイソプロピルエチルアミン
DMSO ジメチルスルホキシド
DSC 示差走査熱量測定
ICH 調和国際会議
iPr イソプロピル
IR 赤外
OAc アセテート
OMs メタンスルホニルオキシ(−OSO2CH3
OTf トリフラート基(−OSO2CF3
OTs p−トルエンスルホニルオキシ(−OSO265
3
Pd/C パラジウム/カーボンブラック
PdCl2(PPh32 ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(
II)
Pd(dppf)Cl2 ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フ
ェロセン]パラジウム(II)
Pd(OAc)2 酢酸パラジウム
Pd(PPh34 テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0

Peppsi−iPr pyridine−enhanced pre−cat
alyst preparation stabili
zation and initiation(Sig
ma−Aldrichの商標)
RT 室温
TGA 熱重量分析
THF テトラヒドロフラン
XRPD X線粉末回折
【0072】
式(I)の化合物の多形形態
「多形」という用語は、同一化合物の他の結晶形態に比較して別個の空間格子配置をもつ化合物の結晶形態を指す。
【0073】
「水和物」という用語は、結晶構造中に結合水を含んでなる化合物の固体状態の分子形態を指す。
【0074】
「スラリー」という用語は、液体媒体、典型的には水若しくは有機溶媒に懸濁された固体物質を指す。
【0075】
本発明は式(I)の化合物の数種の多形および水和物の結晶形態ならびに塩を提供する。前記化合物の各結晶形態は、以下、すなわちXRPDパターン(すなわち多様な回折角(2θ)のX線粉末回折ピーク);DSCサーモグラムの吸熱により具体的に説明されるところの融点開始(および水和した形態については水和の開始);DSCサーモグラムにより具体的に説明される再結晶開始;IR分光法;TGA挙動;水の吸着;水溶解性;ICHの高強度光条件下での光安定性、ならびに物理的および化学的貯蔵安定性の1種若しくはそれ以上を特徴とし得る。
【0076】
「X線粉末回折パターン」という用語は、実験的に観察される回折図若しくはそれ由来のパラメータを指す。X線粉末回折パターンは、ピーク位置(横軸)および表示ピーク強度(縦軸)を特徴とする。
【0077】
「ピーク強度」という用語は、所定のX線回折パターン内の測定(カウント)若しくは相対シグナル強度を指す。相対ピーク強度に影響し得る因子は、サンプル厚および好ましい方向(すなわち結晶粒子が無作為に分布されていない)である。本明細書で使用されるところの「ピーク位置」という用語は、X線粉末回折実験で測定かつ観察されるところのX線反射位置を指す。ピーク位置は単位格子の寸法に直接関する。それらのそれぞれのピーク位置により同定されるピークは、式(I)の化合物の多様な多形形態I若しくはIIIまたは水和物の回折パターンから抜き出された。
【0078】
「相対強度」という用語は、サンプルのX線回折パターン若しくはIRスペクトル由来の強度値を指す。回折パターンの完全な縦軸範囲スケールは100の値を割り当てられる。
【0079】
「2シータ値」若しくは「2θ」という用語は、XRD実験の実験の設定に基づくピーク位置を指し、そして回折パターンで普遍的な横軸単位である。該実験の設定は、入射ビームがある格子面と角シータ(θ)を形成する場合に反射が回折される場合、該反射ビームが角2シータ(2θ)に記録されることを必要とする。
【0080】
化合物(I)の各多形形態、水和物若しくは塩のXRPDパターンは、発電機PW3040を伴うPhilips X’PertPRO MPD回折計PW3050/60で測定した。該装置はCu LFF X線管PW3373/00を装備している。化合物をゼロバックグラウンドサンプルホルダ上で広げた。装置パラメータは、すなわち測定条件は後に続くとおりであった。すなわち、発電機電圧45kV;発電機電流量40mA;構造
Bragg−Brentano;ステージ:スピナーステージ(spinner stage)。測定条件は後に続くとおりであった。すなわち、走査モード:連続;走査範囲:3ないし50° 2θ;ステップサイズ:0.0167°/ステップ;計数時間:29.845秒/ステップ;スピナー旋回時間:1秒;放射線型:CuKα;放射波長:1.54056Å;入射ビーム路(プログラム。発散スリット:15mm;Sollerスリット:0.04rad;ビームマスク:15mm;抗散乱スリット:1°;ビームナイフ:+);回折ビーム路(長抗散乱シールド(long anti scatter shield):+;Sollerスリット:0.04rad;Niフィルター:+;検出器:X’Celerator。
【0081】
当業者は、ピーク位置(2θ)が若干の装置間変動性、典型的には約+0.1°若しくは−0.1°を示しうることを認識するであろう。従って、ピーク位置(2θ)が報告される場合、当業者は、こうした数字がこうした装置間変動性を包含することを意図していることを認識するであろう。さらに、本発明の固体の形態が、所定の図で示されるものと本質的に同一のXRPDパターンを有すると記述される場合、「本質的に同一」という用語は、回折ピーク位置のこうした装置間変動性を包含することを意図している。さらに、当業者は、相対ピーク強度が装置間変動性、ならびに結晶化度、好ましい方向、調製されたサンプル表面、および当業者に既知の他の因子による変動性を示すことができ、そして質的尺度としてのみ採用されるべきであることを認識するであろう。
【0082】
化合物(I)の各多形形態若しくは水和物のIRスペクトルは、KBr窓およびGe/KBrビームスプリッタをもつDTGS検出器を伴うThermo Nexus 670
FTIR分光光度計を使用して測定した。該装置は、Si結晶を伴うHarrick Split Pea micro ATRアクセサリを装備していた。スペクトルは、以下のパラメータ、すなわち走査数:32;分解能:1cm-1;波長範囲:4000ないし400cm-1を使用して収集した。全スペクトルを正規化しかつベースライン補正した。
【0083】
化合物(I)の多様な多形若しくは水和物の形態または塩はまた示差走査熱量測定(DSC)を使用しても識別された。DSCは、温度の上昇を用いて固体サンプルと適切な参照の間の熱エネルギーの差違を測定する。DSCサーモグラムは、典型的にはサンプルが加熱される際の吸熱(エネルギー取り込みを示す)およびまた発熱(エネルギー放出を示す)を特徴とする。DSCサーモグラフは、RCS冷却装置を装備されたTA−Instruments Q1000 MTDSCを使用して得た。サンプルは、適切な蓋で閉じられる標準的アルミニウムTA−Instrumentサンプル皿に秤量した(約3mg)。以下のパラメータを使用した。すなわち、初期温度:25℃;加熱速度:10℃/分;最終温度:300℃;窒素流速:50ml/分。DSC分析を実施する加熱の速度(すなわち走査速度)、DSC開始温度を定義かつ決定する方法、使用される較正標準、装置較正、ならびに相対湿度およびサンプルの化学的純度に依存して、本発明の化合物により表される吸熱は変動しうる(融解する結晶多形について約0.01〜5℃、および吸熱の上若しくは下の水和物脱水について約0.01〜20℃。いずれの所定のサンプルについても、観察される吸熱は装置間でもまた変動しうるが;しかしながら、それは一般に本明細書に定義される範囲内にあることができるが、但し装置が同様に較正される。
【0084】
化合物(I)の多様な多形若しくは水和物の形態または塩は熱重量分析(TGA)を使用してもまた識別された。TGAは、空気若しくは窒素のような制御される雰囲気中で試料を加熱する際に試料の重量の変化を記録する試験処置である。熱重量曲線(サーモグラム)は物質の溶媒および水含量ならびに熱安定性に関する情報を提供する。TGAは、以下のパラメータ、すなわち初期温度:室温;加熱速度:20℃/分;分離係数:4;最終条件;300℃若しくは<80[(w/w)%]を使用して、TA Instruments Q500熱重量分析計で実施した。
【0085】
化合物(I)の多様な多形若しくは水和物の形態または塩は、異なる安定性および異なる溶解性によってもまた識別されうる。
【0086】
本発明の多形若しくは水和物の形態は、好ましくは実質的に純粋であることができ、式(I)の化合物の所定の多形が、10重量%未満、例えば9%未満若しくは8%未満、好ましくは7%未満、例えば6%未満、より好ましくは5%未満、例えば4%未満、なおより好ましくは3%未満、例えば2%未満、およびなおより好ましくは1%未満の、式(I)の化合物の他の多形若しくは無定形形態を包含する不純物を包含することを意味している。こうした純度は例えばXRPDにより測定しうる。
【0087】
本発明の塩は、好ましくは実質的に純粋であることができ、式(I)の化合物の所定の塩が、10重量%未満、例えば9%未満若しくは8%未満、好ましくは7%未満、例えば6%未満、より好ましくは5%未満、例えば4%未満、なおより好ましくは3%未満、例えば2%未満、およびなおより好ましくは1%未満の、式(I)の化合物の遊離塩基を包含する不純物を包含することを意味している。
【0088】
本固体の形態は混合物中で一緒にもまた存在しうる。本発明の多形若しくは水和物の形態または塩の混合物は、該混合物中に存在する形態のそれぞれに特徴的なX線回折ピークを有することができる。例えば、2種の多形の混合物は、実質的に純粋な多形に対応するXRPDパターンの畳み込み(convolution)であるXRPDパターンを有することができる。
【0089】
多形形態I
多形形態Iは式(I)の化合物の無水結晶である。形態Iは非吸湿性であり、ならびにとりわけ結晶学的および化学的に安定である。形態Iは化合物(I)の現在同定されている多形の熱力学的に最も安定な形態であると考えられている。加えて、遊離塩基の形態Iは、化合物(I)の塩に比較してラットモデルで類似の生物学的利用性を示した。
【0090】
10℃/分の走査速度でのDSCは、典型的には199.0℃と203.5℃の間の形態Iの融解吸熱を生じる(図7)。
【0091】
形態Iは表1に示されるところの回折角(2θ)にピークを含んでなるXRPDパターンを特徴とする。表1に示される2θ角は約0.2 2θ変動しうる。
【0092】
【表1】
【0093】
図1は形態Iの例示的XRPDパターンを提供する。
【0094】
形態Iは表2に示されるところの吸収帯(cm-1)にピークを含んでなる赤外(IR)スペクトルを特徴とする。表2に示される吸収帯は約2cm-1変動しうる。
【0095】
【表2】
【0096】
VW(非常に弱い):0%ないし10%;W(弱い):>10%ないし30%;M(中程度):>30%ないし60%;S(強い):>60%ないし90%;VS(非常に強い):>90%ないし100%
【0097】
図2は形態Iの例示的IRスペクトルを提供する。
【0098】
多様なpHでの形態のIの水溶解性を表7に要約する(実施例4を参照されたい)。
【0099】
多形形態Iは、式(I)の化合物をアルコール溶媒から結晶化すること、およびそのように形成された結晶を収集することにより製造し得る。とりわけ適するアルコール溶媒は、エタノール、イソプロパノール、または例えばブタノール若しくはペンタノールのような高級アルコール、あるいはそれらの混合物を包含する。該製造は、RTと溶媒の還流温度の間の温度で、好ましくは約50℃以上、例えば約60℃以上、より好ましくは約70℃以上、例えば約80℃以上の温度で実施しうる。該製造は最低2時間、好ましくは最低4時間進行しうる。
【0100】
多形形態Iは、式(I)の化合物を非プロトン性溶媒から結晶化すること、およびそのように形成された結晶を収集することによってもまた製造し得る。とりわけ適する非プロトン性溶媒は、酢酸エチル若しくはジクロロメタン、または好ましくはそれらの混合物を包含する。該製造はRTと溶媒の還流温度の間の温度で実施することができ、そして最低2時間、好ましくは最低4時間進行しうる。
【0101】
加えて、多形形態Iは、式(I)の化合物を高温でアルコールおよび水の混合物から結晶化すること、ならびにそのように形成された結晶を収集することによってもまた得ることができる。とりわけ適するアルコールはエタノール若しくはメタノールである。該混合物は、好ましくは約40:60と約90:10の間のアルコール:水(vol/vol)、より好ましくは約50:50と約80:20の間のアルコール:水(vol/vol)を含有しうる。結晶化は最低60℃の温度で遂げることができる。
【0102】
多形形態II
多形形態IIはDSCにより観察され、そして形態IIIの熱処理および再結晶により得ることができる。10℃/分の走査速度でのDSCは、典型的には189.0℃と197.0℃の間の形態IIの融解吸熱を生じうる(図8)。
【0103】
多形形態III
多形形態IIIは式(I)の化合物の無水結晶である。
【0104】
10℃/分の走査速度でのDSCは形態IIIの融解吸熱を生じうる(図9;この特定の曲線中で、193℃のシグナル それは形態IIにより;該曲線は形態IIIの転化を示す)。
【0105】
形態IIIは表3に示されるところの回折角(2θ)にピークを含んでなるXRPDパターンを特徴とする。表3に示される2θ角は約0.2 2θ変動しうる。
【0106】
【表3】
【0107】
図3は形態IIIの例示的XRPDパターンを提供する。
【0108】
形態IIIは、表4に示されるところの吸収帯(cm-1)にピークを含んでなる赤外(IR)スペクトルを特徴とする。表4に示される吸収帯は約2cm-1変動しうる。
【0109】
【表4】
【0110】
VW(非常に弱い):0%ないし10%;W(弱い):>10%ないし30%;M(中程度):>30%ないし60%;S(強い):>60%ないし90%;VS(非常に強い):>90%ないし100%
【0111】
図4は形態IIIの例示的IRスペクトルを提供する。
【0112】
多様なpHでの形態IIIの水溶解性を表7に要約する(実施例4を参照されたい)。
【0113】
多形形態IIIは、水性溶媒に溶解した式(I)の化合物の塩を塩基で中和すること、およびそのように形成された沈殿を収集することにより製造し得る。例示的塩は式(I)の化合物のメタンスルホン酸(メシル酸)塩であることができ;適する水性溶媒は例えば酢酸エチル/水混合物であることができ;適切な塩基は例えばアンモニアである。
【0114】
多形形態IIIは、式(I)の化合物をRTと約60℃の間の温度でアルコール/水系から結晶化すること、およびそのように形成された結晶を収集することによってもまた製造し得る。とりわけ適するアルコール/水混合物は、約30:70と約70:30の間のアルコール:水(vol/vol)のメタノール/水およびエタノール/水系を包含する。
【0115】
多形形態IIIは、式(I)の化合物を約0.01Nの濃度の水性HClから沈殿させること、およびそのように形成された結晶を収集することによりさらに製造し得る。
【0116】
加えて、多形形態IIIは、式(I)の化合物の水和物の約115℃での熱処理によってもまた得ることができる。
【0117】
多形形態IIIは、約60℃の温度の非プロトン性極性溶媒/水系中で形態Iをスラリーにすること、およびそのように形成された結晶を収集することにより同様に製造し得る。とりわけ適する溶媒系は、約30:70と約50:50の間のアセトン:水(vol/vol)のアセトン/水混合物である。
【0118】
水和物の形態
本発明は式(I)の化合物の水和物の形態をさらに企図している。水和物の形態は例えば水性懸濁液中のような水性媒体中でとりわけ適する。
【0119】
水和物の形態は、表5に示されるところの回折角(2θ)にピークを含んでなるXRPDパターンを特徴とする。表5に示される2θ角は約0.3 2θ変動しうる。
【0120】
【表5】
【0121】
図5は水和物の形態の例示的XRPDパターンを提供する。
【0122】
水和物の形態は、表6に示されるところの吸収帯(cm-1)にピークを含んでなる赤外(IR)スペクトルを特徴とする。表6に示される吸収帯は約2cm-1変動しうる。
【0123】
【表6】
【0124】
VW(非常に弱い):0%ないし10%;W(弱い):>10%ないし30%;M(中程度):>30%ないし60%;S(強い):>60%ないし90%;VS(非常に強い):>90%ないし100%
【0125】
図6は水和物の形態の例示的IRスペクトルを提供する。
【0126】
多様なpHでの水和物の形態の水溶解性を表7に要約する(実施例4を参照されたい)。
【0127】
水和物の形態は、式(I)の化合物を約0.1Nの濃度の水性HClから沈殿させること、およびそのように形成された結晶を収集することにより製造し得る。
【0128】
化合物(I)の塩
本発明は、化合物(I)の塩、より具体的には、塩酸、臭化水素酸、メタンスルホン酸(メシル酸塩)、エタンスルホン酸(エシル酸塩)若しくはp−トルエンスルホン酸(トシル酸塩)、より好ましくは、臭化水素酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸若しくはp−トルエンスルホン酸とのその塩をさらに企図している。
【0129】
本明細の別の場所に説明されるとおり、上のような塩は化合物(I)の合成の過程で得ることができ、そしてそれらのとりわけ有利な中間体を表しうる。
【0130】
加えて、本塩は、化合物(I)の遊離塩基の形態を未希釈の(neat)若しくは好ましくは溶媒中のいずれかの対応する酸で処理することによってもまた得ることができる。好ましい一態様において、化合物(I)の遊離塩基の形態をアルコール、好ましくは高温のアルコールに溶解し得、そしてそれへの酸の添加により中和し得、そしてそのように形成された沈殿を収集する。
【0131】
上の塩の抜粋された特性を実施例9ないし11に示す。
【0132】
合成過程
さらなる一局面において、本発明は式(I)の化合物若しくはその塩の新たな製造方法に関する。とりわけ、第一の過程は、下のスキーム1に記述されるところの反応、ならびに、場合によってはかつ好ましくはスキーム2および3ならびに「好ましい合成経路」の節に開示されるところの中間体を製造するための反応を必要とする。第一の過程の利益は扱われており、そしてそれぞれのスキームでさらに説明する。
【0133】
第二の過程は下のスキーム5に記述され、ならびに、場合によってはかつ好ましくは下のスキーム6および7で開示されるところの中間体を製造するための反応もまた必要としうる。第二の過程の利益は、とりわけ、発癌性かつ危険なヒドラジンならびに遺伝毒性中間体3−クロロ−6−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)ピリダジンおよび2,2−ジフルオロ−2−キノリン−6−イルアセトヒドラジドの反応過程からの回避を包含する。
【0134】
本発明の化合物(I)の製造過程のいずれかの間に、関係する分子のいずれかの感受性すなわち反応性の基を保護することが必要かつ/若しくは望ましいことがある。これは、Protecting Groups、P.Kocienski、Thieme Medical Publishers、2000;およびT.W.Greene & P.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版 Wiley Interscience、1999に記述されるもののような慣習的保護基によって達成しうる。保護基は、当該技術分野で既知の方法を使用して、便宜的な後の段階で除去しうる。
【0135】
本明細書で特許請求される合成方法の反応は、有機合成の当業者により容易に選択されうる適する溶媒中で実施され、前記適する溶媒は、一般に、該反応を実施する温度、すなわち溶媒の凍結温度から溶媒の沸騰温度までの範囲にわたりうる温度で出発原料(反応体)、中間体若しくは生成物と実質的に非反応性であるいずれかの溶媒である。所定の反応を1種の溶媒若しくは1種以上の溶媒の混合物中で実施しうる。特定の反応段階に依存して、特定の反応段階に適する溶媒を選択しうる。
【0136】
反応のいずれかを実施した後、または保護基(1個若しくは複数)を除去した後、中間体および/若しくは最終化合物を、以下の段階におよび/若しくは反応をモニターするために必要な場合は、濾過、溶媒抽出、熱による若しくは真空下の溶媒蒸発、再結晶、摩砕、クロマトグラフィーまたはイオン交換樹脂を使用する方法のような、有機合成化学の分野で既知の方法により処理かつ/若しくは精製しうる。
【0137】
【化4】
【0138】
ここで:
1は脱離基であり
Qはキノリン−6−イルすなわち
【0139】
【化5】
【0140】
である。
【0141】
スキーム1は式(I)の化合物に至る合成経路(a)を具体的に説明する。該経路は、6位で1−メチル−1H−ピラゾル−4−イルおよび3位で適切な脱離基W1で置換されているピリダジン(II)ならびに2,2−ジフルオロ−2−キノリン−6−イルアセトヒドラジド(III)を反応させて、化合物6−{ジフルオロ[6−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル]メチル}キノリン(I)を得ることを必要とする。
【0142】
本発明において、中間体(II)および(III)を酸の存在下で反応させる。従って、経路(a)は本明細書で(a’)および(a”)と称される反応を含んでなると企図することができる。第一の反応(a’)は該反応で使用される酸との化合物(I)の塩を生じる。反応(a”)において、前記塩を適する塩基で処理して化合物(I)の遊離塩基の形態を達成し得る。
【0143】
上の合成に適する脱離基W1は当業者に公知のとおり慣習的でありうる。好ましい一態様において、脱離基W1はハロゲン、より好ましくはCl、Br若しくはI、および適するスルホネート基、より好ましくはOMs、OTs、OTf若しくはベンゼンスルホニルオキシ(−OSO265)から選択しうる。他の潜在的に有用な脱離基W1は、アセトキシ(−OC(=O)CH3)、トリフルオロアセトキシ(−OC(=O)CF3)およびニトロオキシ(−ONO2)を包含しうる。好ましくは、脱離基W1はハロゲン、より好ましくはCl、Br若しくはIである。一態様において、脱離基陰イオンは反応(a’)で使用される酸の陰イオンと同一でありうる。
【0144】
反応(a’)で使用される酸は、好ましくは約3未満、例えば約2.5未満、より好ましくは約2未満、例えば約1.75未満、約1.5未満若しくは約1.25未満のpKaを有しうる。なおより好ましくは、前記酸のpKaは、1に等しいか若しくはそれ未満(すなわちpKa≦1)、例えば≦0.8若しくは≦0.6、なおより好ましくは≦0.4、例えば≦0.2若しくは≦0、なおより好ましくは≦−0.2、例えば≦−0.4若しくは≦−0.6、および非常に好ましくは≦−0.8、例えば≦−1.0、≦−1.2若しくは≦−1.5でありうる。とりわけ好ましくは、前記酸は強酸でありうる(すなわち約−1.79未満のpKaを有する)。酸に関する「pKa」という用語は当該技術分野で確立されており、そして25℃の水中で測定される酸の解離定数の逆数の対数を指す。前記酸が多塩基性酸である場合、そのpKaの最低1種が上の好ましい値を有し得る。pKa値は例えばLange’s Handbook of Chemistry(第16版、Speight J.G.による、McGraw−Hill、2005)に列挙されている。
【0145】
とりわけ好ましい態様において、反応(a’)で使用される酸はハロ水素酸、より好ましくはHCl若しくはHBr、硫酸(H2SO4)、トリフルオロ酢酸若しくはスルホン酸、より好ましくはp−トルエンスルホン酸、p−ブロモベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、カンファースルホン酸、メタンスルホン酸若しくはエタンスルホン酸でありうる。非常に好ましくは、前記酸は反応(a’)を大きく促進するメタンスルホン酸でありうる。
【0146】
酸は、前記中間体(1種若しくは複数)を上回るモル過剰により、中間体(II)および/若しくは(III)に関して例えば約0.1倍若しくは約0.25倍若しくは約0.5倍若しくは約0.75倍モル等量からの範囲にわたるような多様な量で反応(a’)に存在しうる。好ましくは、該反応は、中間体(II)および/若しくは(III)に関して前記酸の制限なしに約1.1倍と10倍の間、より好ましくは約1.1倍と5倍の間、なおより好ましくは約1.1倍と3倍の間、なおより好ましくは例えば約1.2倍、約1.4倍、約1.6倍若しくは約1.8倍のような約1.1倍と2倍の間若しくは約1.1倍と1.5倍の間のモル過剰のような、中間体(II)および/若しくは(III)を上回る前記酸のモル過剰を使用しうる。
【0147】
先に示したとおり、反応(a’)への酸の包含は、有利には反応温度を120℃未満に低下させることを可能にし得、それは、従来技術で観察されるところの中間体(II)および/若しくは(III)のアルコール溶媒との不要な副反応を回避しうる。これゆえに、好ましい態様において、反応(a’)は、120℃より低い温度、例えば≦118℃、≦116℃、≦114℃、≦112℃若しくは≦110℃で実施しうる。好ましくは、反応(a’)は、例えば50℃と115℃の間若しくは80℃と110℃の間のような、約50℃と<120℃の間、より好ましくは約80℃と<120℃の間、なおより好ましくは約100℃と<120℃の間で実施しうる。
【0148】
反応(a’)は、適切な溶媒、好ましくは適するアルコール溶媒中で実施しうる。「アルコール」という用語は、飽和炭素原子(1個若しくは複数)に結合された1個若しくはそれ以上のヒドロキシ基−OHを含んでなる有機化合物を指す。アルコールは、場合によっては例えばアルコキシ基のような他の官能基を含みうる。反応(a’)での使用に適切なアルコール溶媒は反応温度および好ましくは周囲温度でもまた液体であり、そして中間体(II)および(III)を溶解しかつ/若しくは前記中間体を該反応温度で反応させることが可能である。より好ましくは、反応(a’)はより高沸点のアルコール溶媒(例えば約80℃に等しいか若しくはそれ以上の沸点を有する)を必要としうる。好ましい例は、とりわけ、プロパノール、ブタノール、ペンタノールおよび1−メトキシ−2−プロパノールを包含し、後者がとりわけ適する。発明者は、二級若しくは三級アルコール溶媒(例えばイソプロパノール、sec−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノールなど)を使用することが、中間体(II)および/若しくは(III)とのアルコール溶媒の不要な副反応を一級アルコールに関して有利に低減しうることもまた理解した。
【0149】
既に示されたとおり、とりわけ溶媒がそれからの前記塩の沈殿を見込む上のような適するアルコールである(例えばとりわけ好ましくは1−メトキシ−2−プロパノール)反応(a’)での化合物(I)の塩の形成は、前記沈殿された塩の例えば濾過、遠心分離若しくはデカンテーションによる反応混合物からの高収量かつ単純な回収を提供しうる。これは、有利には、甚だしい処理および抽出処置を回避しつつ満足すべき程度の純度で化合物(I)塩を提供し得る。
【0150】
これゆえに、反応(a’)のとりわけ好ましい一態様は反応スキーム(a’1)に具体的に説明される。
【0151】
【化6】
【0152】
ここでW1は上で定義されたところの脱離基である。
【0153】
反応(a”)において、反応(a’)で得られた化合物(I)の塩を、十分量の適する塩基での処理を介して遊離塩基の形態にさらに転化し得る。この目的上適する塩基は、一般に、化合物(I)に関して比較的より強い塩基性をもつものである。好ましくは、前記塩基は、約7以上、例えば約7.5以上、好ましくは約8以上、例えば約8.5以上、およびなおより好ましくは約9以上の(それらの共役酸の)pKaを有しうる。例示的塩基は、限定されるものでないが、アルカリ金属水酸化物、好ましくはNaOH若しくはKOH、炭酸塩、好ましくはNa2CO3若しくはK2CO3、アンモニアおよび有機塩基、好ましくは、例えばベンジルアミン、メチルアミン、ジおよびトリメチルアミン、エチルアミン、ジおよびトリエチルアミン、エチレンジアミンならびにジイソプロピルアミンのような一級、二級若しくは三級アミンを引用することにより挙げることができる。アンモニアがとりわけ好ましい。
【0154】
反応(a”)における塩基での化合物(I)の塩のアルカリ化は、当業者に一般に利用可能である適する条件下で実施しうる。具体的説明として、そして制限としてでなく、前記酸は未希釈の塩基と反応させうる。より好ましくは、中和は、化合物(I)の塩および塩基を溶解しかつ/若しくは前記塩および塩基を反応させることが可能な適する溶媒中で実施しうる。なおより好ましくは、溶媒は遊離塩基の形態の化合物(I)のそれからの沈殿もまた見込むことができ、それにより例えば濾過、遠心分離若しくはデカンテーションにより前記沈殿された化合物(I)の高収量かつ単純な回収を提供する。好ましい溶媒は、例えば水、または他の水と混合可能なプロトン性溶媒、好ましくはアルコール、例えばメタノール、エタノール若しくはイソプロパノールとの水の混合物のような水性溶媒を包含しうる。
【0155】
反応(a’)で得られる化合物(I)の塩若しくは反応(a”)で得られるそれらの遊離塩基の形態を、例えば溶媒抽出、再結晶、クロマトグラフィー、若しくはイオン交換樹脂を使用する方法のような有機合成化学の分野で既知の1種若しくはそれ以上の方法によりさらに精製し得ることが、当業者により認識されるはずである。
【0156】
上の中間体(II)および(III)は当業者に既知の方法により得ることができる。以下の反応スキーム2および3は、前記中間体の製造の潜在的に好ましいが制限しない例を具体的に説明することを意味している。
【0157】
【化7】
【0158】
ここで
1、W2は脱離基であり
Yはボロン酸種、亜鉛酸塩若しくはスタンナンである。
【0159】
スキーム2は、例えばSuzuki(Miyaura N.,Suzuki A.1995.Chem.Rev.95:2457)、Negishi(Negishi E.ら
1977.J.Org.Chem.42:1821)若しくはStille(Stille J.K.1986.Agnew.Chem.,Int.Ed.Engl.25:508、およびその中の参考文献)の条件下の脱離基W1およびW2で3,6−二置換されたピリダジン(V)と1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル置換ボロン酸種(好ましくは限定されるものでないがボロン酸、ボロン酸エステル、トリフルオロボロン酸カリウムを包含するハロボロン酸塩、若しくはボランを挙げることができる)、亜鉛酸塩またはスタンナン(IV)の間の遷移金属に触媒されるクロスカップリング反応(b)を必要とする、式(II)の中間体を得るために採用される例示的一経路を具体的に説明する。
【0160】
クロスカップリング反応(b)は、例えばPd(PPh34、PdCl2(PPh32、Pd(dppf)Cl2、Pd/C、Pd(OAc)2若しくはPeppsi−iPr触媒(Organ M.G.ら 2006.Chemistry−A European Journal 12(18):4743−4748およびその中の参考文献)のような触媒により媒介される不活性環境中で一般に実施しうる。適用できる場合、式(IV)の化合物、とりわけボロン酸種を、例えば、例えばNa2CO3、K2CO3、NaOCH2CH3、CsF、N(CH2CH33、NaOAc、KOAc、DIPEA若しくはK3PO4のような適する塩基により活性化しうる。これらの反応は、一般に、極性の非プロトン性溶媒(例えばTHF、2−メチルTHF、DMF、DMA)若しくは二相溶液中で約60℃から約150℃までの範囲にわたる温度で起こりうる。
【0161】
脱離基W1は上のスキーム1で詳述されたとおりである。クロスカップリング反応(b)に適する脱離基W2は当業者に公知である。好ましくは、脱離基W2はハロゲンおよび全フッ素置換スルホネート、より好ましくはI、Br、ClおよびOTf、ならびになおより好ましくはI、BrおよびOTfから選択しうる。脱離基W1およびW2は同一若しくは異なりうる。
【0162】
式(IV)のボロン酸種、亜鉛酸塩若しくはスタンナンが商業的に入手可能でない場合、それは、対応するハロゲン化物から、若しくは直接メタル化/トランスメタル化手順により合成し得る。本方法で有用な式(IV)の例示的な制限しない商業的に入手可能なボロン酸種は、1−メチル−1H−ピラゾル−4−ボロン酸ピナコールエステル(Sigma−Aldrichカタログ番号595314;Xu G.とGilbertson SR.2005.Org.Lett.7:4605−4608)である。
【0163】
【化8】
【0164】
ここで:
1はCl、Br若しくはIであり
1はC1-6アルキルであり
Qはキノリン−6−イルすなわち
【0165】
【化9】
【0166】
である。
【0167】
スキーム3は式(III)の中間体を得るために採用される例示的経路を具体的に説明する。
【0168】
該経路は、C1-6アルキルジフルオロ(キノリン−6−イル)アセテート(IX)(ここでR1はC1-6アルキル、好ましくはC1-4アルキル、より好ましくはC1-3アルキル、およびなおより好ましくはメチル若しくはエチルである)を、2,2−ジフルオロ−2−キノリン−6−イルアセトヒドラジド(III)を製造するのに十分な条件下でヒドラジン若しくはヒドラジン同等物と接触させることを必要とする反応(g)を含んでなる。
【0169】
単独の若しくは別の基の一部としての「C1-6アルキル」という用語は、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−メチル−プロピル、ペンチル、ヘキシルなどのような1と6の間、例えば1、2、3、4、5若しくは6個の炭素原子の一価の分枝状若しくは非分枝状炭化水素基を意味している。C1-6アルキル基は、具体的には、C1-4アルキル基、より具体的にはC1-3アルキル基、ならびになおより具体的にはメチルおよびエチル部分もまた包含する。単独の若しくは別の基の一部としての「C1-4アルキル」という用語は、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−メチル−プロピルなどのような1と4の間、例えば1、2、3若しくは4個の炭素原子の一価の分枝状若しくは非分枝状炭化水素基を意味している。単独の若しくは別の基の一部としての「C1-3アルキル」という用語は、例えばメチル、エチル、プロピルのような1と3の間、例えば1、2若しくは3個の炭素原子の一価の分枝状若しくは非分枝状炭化水素基を意味している。
【0170】
反応(g)のヒドラジン同等物は、無水ヒドラジン、ヒドラジン水和物、ならびに、例えば酢酸ヒドラジン、臭化水素酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジンおよびヒドラジンセミスルファートのようなヒドラジンの塩を包含する。好ましくはヒドラジン水和物を使用しうる。ヒドラジン塩を使用する場合、水酸化ナトリウム若しくは炭酸ナトリウムのような塩基の付加的な量がヒドラジン塩の酸を中和するのに必要とされうることが理解される。典型的には、該反応は、化合物(IX)に関して制限なしに1.2倍と20倍の間、より好ましくは1.5倍と10倍の間、なおより好ましくは例えば約2.5倍、約3.0倍、約3.5倍、約4.0倍若しくは約4.5倍のような2.0倍と5倍の間のモル過剰のヒドラジン若しくはヒドラジン同等物のような、モル過剰のヒドラジン若しくはヒドラジン同等物を使用しうる。
【0171】
反応(g)は、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、メトキシプロパノール、ブタノール若しくはアミレン水和物(2−メチル−2−ブタノール)のようなアルコール溶媒中、RTと溶媒の還流温度の間の温度、例えばおよそ周囲温度で一般に起こることができる。発明者は、アミレン水和物が反応混合物からの沈殿した生成物(III)の例えば濾過、遠心分離若しくはデカンテーションによる高収量および単純な回収を可能にするため、それがとりわけ有利でありうることを理解した。
【0172】
これゆえに、反応(g)のとりわけ好ましい一態様が反応スキーム(g1)に具体的に説明される。
【0173】
【化10】
【0174】
ここで:
1は上で定義されるところのC1-6アルキルである。
【0175】
反応(e)および(f)は式(IX)の中間体に到着するための代替経路を描く。反応(e)は、6−ハロキノリン(VI)(ここでX1はCl、Br若しくはI、好ましくはBr若しくはI、より好ましくはIである)の式R1OC(=O)CF22(ここでR1は上のとおりでありかつX2はCl、Br若しくはI、好ましくはBr若しくはI、より好ましくはBrである)のC1-6アルキルハロ(ジフルオロ)アセテートとの銅に媒介されるクロスカップリングを必要とする。反応(e)は、典型的には、DMSOのような極性の非プロトン性溶媒中、銅触媒、例えばCu(0)(ナノ)粉末により媒介される不活性環境で実施しうる。活性の銅種が硫酸銅(II)およびアスコルビン酸のナトリウム塩からその場で生成される様式もまたとりわけ企図している。
【0176】
反応(f)において、C1-6アルキルオキソ(キノリン−6−イル)アセテ―ト(VIII)(ここでR1は上のとおりである)をデオキソフッ素化(deoxofluorinated)して中間体(IX)を生じる。該反応は、一般に、化合物(VIII)を、例えばジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロフルオロメタン、グリム若しくはジグリムのような適する非水性溶媒中、とりわけDAST(好ましくはジエチル−DAST)、Deoxo−FluorTM(Lal Sら 1999.J.Org.Chem.:7048−7054)若しくは四フッ化イオウ(SF4)を包含する技術既知のデオキソフッ素化剤と接触させることを必要とする。カルボニルないしジェミナル二フッ化物の転換(f)は、典型的には室温若しくはそれ以上で実施しうる。
【0177】
好ましい一態様において、デオキソフッ素化反応(f)は、ルイス酸触媒、好ましくはHFの存在下にSF4を使用して実施しうる。好ましくは、該反応は、化合物(VIII)に関して、制限なしに1.5倍と20倍の間、好ましくは2.0倍と10倍の間、より好ましくは例えば約3.0倍、約3.5倍、約4.0倍若しくは約4.5倍のような2.5倍と5倍の間のモル過剰のSF4のようなモル過剰のSF4を使用しうる。該反応は、好ましくは、化合物(VIII)に関して制限なしに1.1倍と5倍の間、好ましくは1.1倍と3倍の間、より好ましくは例えば約1.7倍、約2.0倍若しくは約2.3倍のような1.5倍と2.5倍の間のモル過剰のHFのようなモル過剰のHFもまた使用しうる。SF4/HF媒介性のデオキソフッ素化反応は、例えば上に列挙されたところの適切な非水性溶媒、好ましくはジクロロメタン中、好ましくは周囲温度と約60℃の間、より好ましくは約30℃と約60℃の間、若しくは約35℃と約50℃の間、例えば約40℃若しくは約45℃で遂げることができる。
【0178】
従って、反応(f)のとりわけ好ましい一態様が反応スキーム(f1)に具体的に説明される。
【0179】
【化11】
【0180】
ここで:
1は上で定義されたところのC1-6アルキルである。
【0181】
反応(c)および(d)は式(VIII)の中間体に到着するための代替経路を描く。反応(d)は、C1-6アルキルキノリン−6−イルアセテート(VII)(ここでR1は上のとおりである)の式(VIII)のC1-6アルキルオキソ(キノリン−6−イル)アセテートへの酸化を必要とする。該反応は、適する溶媒、例えばジオキサン中、例えば二酸化セレン(SeO2)のようなカルボニル化合物中での活性メチレン基の酸化に適切な剤を使用しうる。
【0182】
反応(c)は、有利には、6−ハロキノリン(VI)(ここでX1はCl、Br若しくはI、好ましくはBr若しくはI、より好ましくはIである)のグリニヤール錯体を製造すること、および前記錯体をモル過剰の式R1OC(=O)C(W3)=O(ここでR1は上のとおりでありかつW3は脱離基である)のシュウ酸塩誘導体と反応させることを必要としうる。
【0183】
ヘテロアリールハロゲン化物のグリニヤール試薬の製造は当該技術分野で公知であり、そして、典型的には、本明細書で6−ハロキノリン(VI)のようなヘテロアリールハロゲン化物を、例えばTHF、2−メチルTHF、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエチルエーテル若しくはジメトキシエタンのような適切なエーテル溶媒中;および有利には0℃より下、例えば0℃と−80℃の間の温度で、ハロゲン化合物に関して典型的には約1.05から約2モル等量までの過剰で添加されたMg(0)(例えばMg削り屑(turning)若しくは粉末)、iPrMgBr、iPrMgCl若しくはiPrMgCl.LiClのような試薬と反応させることを必要としうる。グリニヤール試薬の生じる溶液若しくは懸濁液は、場合によっては過剰のMgの除去後に、さらなる処理なしで次の段階で使用し得る。
【0184】
6−ハロキノリン(VI)のグリニヤール試薬を、これゆえに、モル過剰のシュウ酸エステル誘導体R1OC(=O)C(W3)=Oと反応させて化合物(VIII)を得る。モル過剰の前記シュウ酸エステル誘導体は、化合物(VIII)に関して、制限なしに1.5倍と20倍の間、好ましくは2.0倍と10倍の間、より好ましくは例えば約3.0倍、約3.5倍、約4.0倍若しくは約4.5倍のような2.5倍と5倍の間のモル過剰でありうる。本反応は、有利には、上のようなエーテル溶媒、一般にはグリニヤール試薬を製造するのに使用されると同一の溶媒中で実施しうる。また有利には、該反応は0℃より下、例えば0℃と−80℃の間の温度で実施しうる。十分な反応時間後に、該反応を、例えばNH4OAc若しくは好ましくはNH4Clのようなそれ自体既知の適切なクエンチング剤を使用して有利にクエンチしうる。
【0185】
適切な脱離基W3は当業者により理解されることができ、そして、好ましくはCl、−OC(=O)R2、−OR2若しくは−NR23(ここでR2およびR3はそれぞれ独立にC1-6アルキル、好ましくはC1-4アルキル、より好ましくはC1-3アルキル、およびなおより好ましくはメチル若しくはエチルである)を包含しうる。好ましくはW3は−OR2であり、すなわち、シュウ酸エステル誘導体はシュウ酸ジアルキルR1OC(=O)C(OR2)=Oであり、ここでR1およびR2はそれぞれ独立にC1-6アルキル、好ましくはC1-4アルキル、より好ましくはC1-3アルキル、およびなおより好ましくはメチル若しくはエチルである。好ましくは、前記シュウ酸ジアルキル中のR1およびR2は例えばシュウ酸ジブチル、シュウ酸ジメチル若しくはシュウ酸ジエチルのようなものでありうる。
【0186】
本発明はまた、中間体(VIII)の高収量を確保するために反応(c)で使用されるべきとりわけ有利な条件も決定した。とりわけ、グリニヤール試薬は、好ましくはTHF中iPrMgCl.LiClを使用して6−ヨードキノリンから製造しうる。好ましい温度は0℃と−60℃の間、より好ましくは例えば約−20℃若しくは約−30℃のような−10℃と−40℃の間の範囲にわたる。生じるグリニヤール錯体をTHF中のモル過剰(上のような)のシュウ酸ジエチルに添加する。この反応の温度は、好ましくは0℃と−60℃の間、より好ましくは例えば約−30℃若しくは約−40℃のような−20℃と−50℃の間である。該反応は、好ましくはNH4Clを使用して適切にクエンチし得る。
【0187】
従って、反応(c)のとりわけ好ましい一態様が反応スキーム(c1)に具体的に説明される。
【0188】
【化12】
【0189】
好ましい合成経路
挙げられたとおり、本発明は、酸の存在下で中間体(II)および(III)を反応させることにより塩若しくは遊離塩基の形態の化合物(I)を得、それは例えば所望の生成物の改良された収量および単純化された精製のような大きな利点を見込む。
【0190】
中間体(II)および(III)は、原則として、当業者に利用可能ないずれの方法(言及が第WO2007/075567号明細書になされる)によっても得ることができる一方、先行するスキーム2ないし3は、合成過程全体、例えば生成物の収量および/若しくは純度、ならびに/または該過程の容易さおよび/若しくはスケールアップ可能性をさらに改良し得る利点を提供する好ましい選択肢を詳述する。
【0191】
従って、好ましい態様において、本発明の化合物(I)の塩若しくは遊離塩基の形態の製造方法は、
−化合物(IV)および(V)から中間体(II)を製造するための上のような反応(b);ならびに/若しくは
−中間体(IX)から中間体(III)を製造するための上の反応(g1)について定義されたところの条件を好ましくは使用する上のような反応(g);ならびに/若しくは
−中間体(VIII)から中間体(IX)を製造するための上の反応(f1)について定義されたところの条件を好ましくは使用する上のような反応(f);ならびに/若しくは−6−ハロキノリン(VI)から中間体(VIII)を製造するための上の反応(c1)について定義されたところの条件を好ましくは使用する上のような反応(c)
をさらに含みうる。
【0192】
これゆえに、とりわけ好ましい態様において、化合物(I)の塩若しくは遊離塩基の形態の製造方法は、以下のスキーム4に沿って進行しうる。
【0193】
【化13】
【0194】
ここで、全部の数値および文字はそれぞれ上で教示されたところの化合物および反応を描き;角カッコ中の反応(a”)の包含はこの段階が場合によっては包含されうることを示す。
【0195】
なおより好ましい一態様において、スキーム4の6−ハロキノリン(VI)から中間体(III)への経路は、上で詳述されたところの反応(c1)、(f1)および(g1)の連続を必要としうる。
【0196】
【化14】
【0197】
ここで
PGは保護基であり
Eは−OH、−O(-)(+)若しくは−OR1であり、ここでMはアルカリ金属でありかつR1はC1-6アルキルでありQはキノリン−6−イルすなわち
【0198】
【化15】
【0199】
である。
【0200】
スキーム5は、式(I)の化合物に至る代替合成経路を具体的に説明する。
【0201】
該経路は、6位で1−メチル−1H−ピラゾル−4−イルで、および3位で保護された(PG、スキーム6を参照されたい)ヒドラジノ部分で置換されたピリダジン(X)、ならびに、カルボキシル化合物(XI)、または、場合によっては、例えばカルボニルイミダゾール誘導体(イミダゾリド)、アシルハロゲン化物(例えば塩化若しくは臭化アシルのような)、混合無水物、2−クロロピリジニウム若しくは3−クロロイソキサゾリウム誘導体、チオエステルなどのような前記カルボキシル化合物(XI)の反応性官能性誘導体を反応させることを必要とする反応(h)を含んでなる。
【0202】
カルボキシル化合物(XI)は、好ましくは、カルボン酸(すなわちEが−OHである)、アルカリ金属カルボン酸塩(すなわちEが−O(-)(+)であり、ここでMはアルカリ金属、好ましくはNa+若しくはK+である。スキーム7を参照されたい)、またはエステル(すなわちEが−OR1であり、ここでR1はC1-6アルキル、好ましくはC1-4アルキル、より好ましくはC1-3アルキル、なおより好ましくはメチル若しくはエチルである。化合物(IX)を参照されたい)でありうる。好ましい一態様において、前記化合物(XI)はアルカリ金属塩でありうる。
【0203】
アシル化(h)を実施するための反応条件は当該技術分野で公知のとおりでありうる。例えば、カルボキシル化合物(XI)の反応性アシル化種は、塩化チオニル、三塩化リン、五塩化リン、オキシ塩化リン若しくは塩化オキザリル、好ましくは塩化チオニル;カルボニルジイミダゾール;2−クロロ−1−メチルピリジニウム;クロロチオカルボン酸S−ピリジン−2−イルなどのような適するハロゲン化剤を、場合によっては4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)のような触媒の存在下;適する極性非プロトン性溶媒例えばアセトニトリルのような適切な溶媒中で使用して形成しうる。当業者は、反応体の残存する部分、とりわけN−PG結合の完全性を確保するために反応(h)の適切な試薬および条件を選ぶことができる。
【0204】
PG保護された中間体(XII)はその後反応(i)で脱保護されてヒドラジノ化合物(XIII)を得る。N−脱保護の正確な条件は保護基PGの性質に依存し、そしてGreeneとWuts(上記)のような文献に十分に記述されている。例として、および制限としてでなく、tBoc(tert−ブトキシカルボニル)基は酸加水分解により、Cbz(カルボベンジルオキシ)基は水素化により、トリフルオロアセチル基は穏やかな条件下での加水分解により、およびベンゼンスルホニル基は光活性化脱スルホニル化により除去しうる。
【0205】
好ましい一態様において、保護基PGはtBocでありうる。酸加水分解(i)によるこの基の除去はヒドラジノ化合物(XIII)の塩を提供し、これは有利には反応混合物から沈殿し得、それにより増大された収量および例えば濾過、遠心分離若しくはデカンテーションによる単純な回収を見込む。tBoc加水分解に使用される酸は、有利にはスキーム1で定義されるところの酸、好ましくはハロ水素酸、より好ましくはHCl若しくはHBr、硫酸、トリフルオロ酢酸またはスルホン酸、より好ましくはp−トルエンスルホン酸、p−ブロモベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、カンファースルホン酸、メタンスルホン酸若しくはエタンスルホン酸から選ぶことができる。好ましくは、前記酸はメタンスルホン酸でありうる。
【0206】
分子内環化反応(j)はヒドラゾノ中間体(XIII)を化合物(I)に転化する。該反応は、例えば60℃と110℃の間のような、高温、例えば50℃と溶媒の還流温度の間で遂げることができる。適する溶媒はより高沸点のアルコール、例えばプロパノール、ブタノール、ペンタノール、好ましくは1−メトキシ−2−プロパノールを包含しうる。場合によっては、形成された水を、水抽出剤(water−abstracting agent)を使用して共沸蒸留分離若しくは除去しうる。
【0207】
化合物(I)が塩として形成される場合(例えばPG除去が酸加水分解を必要とする場合)、遊離塩基の形態の(I)は、上のスキーム1で反応(a”)に記述されるとおり適する塩基を用いて遊離し得る。
【0208】
上の中間体(X)および(XI)は当業者に既知の方法により得ることができる。以下の反応スキーム6および7は、前記中間体の製造の潜在的に好ましいが制限しない例を具体的に説明することを意味している。
【0209】
【化16】
【0210】
ここで:
1は脱離基であり
PGは保護基である。
【0211】
スキーム6は式(X)の中間体に至る合成経路(k)を具体的に説明する。該経路は、上のスキーム1で教示されたところのピリダジン誘導体(II)を式NH2NHPG(ここでPGは適切な窒素保護基である)のヒドラジン誘導体と反応させることを必要とする。
【0212】
「窒素保護基」という用語は、試薬と窒素原子の望ましくない反応から中間体を保護する目的上前記原子上に置かれる基を指す。本明細書で使用のための適する窒素保護基は慣習的アミン保護基であることができ、それらは一般に、当該技術分野(例えばT.W.GreeneとP.G.M.Wuts,“Protective Groups in Organic Synthesis、”第3版、Wiley Interscience、1999)で既知のようなヒドラジン窒素を保護するのにもまた適切である。例示的窒素保護基PGは、引用によりしかし制限を伴わず、tBoc(tert−ブトキシカルボニル)、Cbz(カルボベンジルオキシ)、アリール置換Cbz、トリフルオロアセチルおよびベンゼンスルホニルのような部分を包含する。窒素保護基の導入は当該技術分野で公知である。加えて、保護されたヒドラジン誘導体が商業的に入手可能である(例えば、Boc−ヒドラジド:Fluka カタログ番号19740;Cbz−ヒドラジン:Fluka カタログ番号17307)。
【0213】
典型的には、反応(k)は、化合物(II)に関して、制限なしに1.2倍と20倍の間、より好ましくは1.5倍と10倍の間、なおより好ましくは例えば約2.5倍、約3.0倍、約3.5倍、約4.0倍若しくは約4.5倍のような2.0倍と5倍の間のモル過剰のヒドラジン誘導体のようなモル過剰のヒドラジン誘導体を使用しうる。反応(k)は、一般に、例えばプロパノール、2−プロパノール、好ましくは1−ブタノールのようなアルコール溶媒中、RTと溶媒の還流温度の間の温度で起こりうる。
【0214】
【化17】
【0215】
ここで:
1はC1-6アルキルであり
Mはアルカリ金属であり
Qはキノリン−6−イルすなわち
【0216】
【化18】
【0217】
である。
【0218】
スキーム7は、エステル誘導体(IX)の塩基性条件下での加水分解(ケン化)(m)を必要とする、式(XI)(ここでEは−O(-)(+)であり、そしてMはアルカリ金属、好ましくはNa+若しくはK+である)のカルボン酸塩誘導体を得るために採用される例示的一経路を具体的に説明する。エステル誘導体(IX)は、一般に、スキーム3で教示されるとおりであることができ、R1はC1-6アルキル、好ましくはC1-4アルキル、より好ましくはC1-3アルキル、およびなおより好ましくはメチル若しくはエチルである。
【0219】
塩基で触媒されるエステル加水分解の条件は当業者に公知であり、そして典型的にはエステル、本明細書で中間体(IX)を水性塩基、好ましくはアルカリ金属水酸化物、より好ましくはNaOH若しくはKOHと反応させることを必要とする。適する水性溶媒は、例えば、水および他の水と混合可能なプロトン性溶媒、好ましくはアルコール、例えばメタノール、エタノール若しくはイソプロパノールと水の混合物を包含する。該反応は一般に高温、例えば溶媒の還流温度までで実施しうる。
【0220】
式(I)の化合物の多形若しくは水和物の形態および塩の製薬学的製剤および用途
本発明の有効成分(すなわち、以下の記述で使用されるところの、式(I)の化合物の多形形態、水和物の形態若しくは塩、または本明細書に開示されるところのそれらのいずれかの混合物)は、細胞若しくは被験体でのc−Met活性を包含するチロシンキナーゼ活性若しくは発現を阻害する、c−Met活性を包含するキナーゼ活性若しくは発現を低下させる、およびc−Metの発現を調節する、または被験体でのc−Metキナーゼ活性若しくは発現に関係する障害を処置するために使用し得る。c−Met活性の阻害はc−Met発現を間接的に調節すると考えられる。
【0221】
本局面の一態様において、本発明は、本発明の有効成分と細胞を接触させる段階を含んでなる、細胞中のc−Metのキナーゼ活性の低下若しくは阻害方法およびc−Metの発現の調節方法を提供する。本発明は、被験体に本発明の有効成分を投与する段階を含んでなる、被験体でのc−Metのキナーゼ活性の低下若しくは阻害方法およびc−Metの発現の調節方法もまた提供する。本発明は、本発明の有効成分と細胞を接触させる段階を含んでなる、細胞での細胞増殖の阻害方法をさらに提供する。
【0222】
細胞若しくは被験体でのc−Metのキナーゼ活性若しくは発現は、本明細書に記述されるc−Metキナーゼアッセイのような当該技術分野で公知の手順により測定し得る。細胞中のc−Metキナーゼ活性の阻害は、ELISAアッセイ形式を使用して若しくはウエスタンブロッティングによりc−Metリン酸化のレベルを測定することによってもまた測定し得る。
【0223】
本明細書で使用されるところの「被験体」という用語は、処置、観察若しくは実験の対象であった動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。本明細書で使用されるところの「接触させること」という用語は、有効成分が細胞により取り込まれるような細胞への有効成分の添加を指す。本局面に対する他の態様において、本発明は、細胞増殖性障害若しくはc−Metに関係する障害を発症する危険にさらされている(若しくは発症しやすい)被験体の予防的および治療的双方の処置方法を提供する。こうした障害は、c−Met発現(若しくは過剰発現)および/またはc−Met突然変異に関係する既存の状態を包含する。
【0224】
一例において、本発明は、本発明の有効成分および製薬学的に許容できる担体を含んでなる製薬学的組成物の予防的有効量を被験体に投与することを含んでなる、被験体での細胞増殖性障害若しくはc−Metに関係する障害の予防方法を提供する。
【0225】
前記予防剤の投与は、疾患若しくは障害が予防されるか若しくはそうでなければその進行を遅らされるような、細胞増殖性障害若しくはc−Metに関係する障害に特徴的な症状の発現の前に起こり得る。
【0226】
別の例において、本発明は、本発明の有効成分および製薬学的に許容できる担体を含んでなる製薬学的組成物の治療的有効量を被験体に投与することを含んでなる、被験体での細胞増殖性障害若しくはc−Metに関係する障害の処置方法に関する。前記治療薬の投与は、前記治療薬が細胞増殖性障害若しくはc−Metに関係する障害について補償するための治療としてはたらくような、障害に特徴的な症状の発現と同時に起こり得る。
【0227】
別の例において、本発明は、本発明の有効成分および製薬学的に許容できる担体を含んでなる製薬学的組成物の治療的有効量を被験体に投与することを含んでなる、c−Met発現のレベル若しくはc−Met活性の調節が細胞増殖性障害若しくはc−Metに関係する障害を改善するようはたらきうるような、被験体における細胞増殖性障害若しくはc−Metに関係する障害の調節方法に関する。
【0228】
「予防的有効量」という用語は、研究者、獣医師、医師若しくは他の臨床家により探求されているところの障害の発症を被験体において阻害する若しくは遅延させる有効成分若しくは製薬学的剤の量を指す。本明細書で使用されるところの「治療的有効量」という用語は、処置されている疾患若しくは障害の症状の改善を包含する、研究者、獣医師、医師若しくは他の臨床家により探求されている被験体で生物学的若しくは医学的応答を導き出す有効成分若しくは製薬学的剤の量を指す。本製薬学的組成物の治療的および予防的有効用量の決定方法は当該技術分野で既知である。
【0229】
本明細書で使用されるところの「組成物」という用語は、指定される量の指定される成分を含んでなる生成物、ならびに指定される量の指定される成分の組合せから直接若しくは間接的に生じるいかなる生成物も包含することを意図している。
【0230】
本明細書で使用されるところの「c−Metに関係する障害」若しくは「c−Met受容体チロシンキナーゼに関係する障害」という用語は、c−Met活性、例えばc−Metの過剰活性と関連する若しくはそれが関わる疾患およびこれらの疾患に付随する状態を包含する。「c−Metの過剰活性」という用語は、1)通常はc−Metを発現しない細胞でのc−Met発現;2)通常は活性c−Metを有しない細胞によるc−Met活性;3)不要な細胞増殖につながる増大されたc−Met発現;若しくは4)c−Metの構成的活性化につながる突然変異のいずれかを指す。「c−Metに関係する障害」の例は、異常に大量のc−Met若しくはc−Metの突然変異によるc−Metの過剰刺激から生じる障害、または異常に大量のc−Met若しくはc−Metの突然変異による異常に大量のc−Met活性から生じる障害を包含する。c−Metの過剰活性が、細胞増殖性障害、腫瘍性障害および癌のような多数の疾患の病因に関与していることが既知である。
【0231】
「細胞増殖性障害」という用語は、多細胞生物体に対する害(すなわち不快感若しくは減少された平均余命)をもたらす、多細胞生物体中の細胞の1若しくはそれ以上のサブセットの不要な細胞増殖を指す。細胞増殖性障害は多様な型の動物およびヒトで発生し得る。細胞増殖性障害は、腫瘍性障害(本明細書で使用されるところの「腫瘍性障害」は、異常な若しくは制御されない細胞増殖から生じる腫瘍を指す)および他の細胞増殖性障害を包含する。
【0232】
c−Metに関係する細胞増殖性障害の例は、白血病、リンパ腫および骨髄腫、例えば急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、急性未分化白血病(AUL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、前リンパ球性白血病(PML)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、成人T細胞ALL、三血球系骨髄異形成を伴うAML(AML/TMDS)、混合系統白血病(MLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性障害(MPD)、多発性骨髄腫、(MM)、骨髄肉腫、非ホジキンリンパ腫およびホジキン病(ホジキンリンパ腫ともまた呼ばれる)を包含する、腫瘍および癌腫、例えば遺伝性および散発性ヒト乳頭状腎癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、神経膠腫、卵巣癌、肝細胞癌、頭頚部扁平上皮細胞癌、精巣癌、基底細胞癌、肝癌、肉腫、悪性胸膜中皮腫、黒色腫、多発性骨髄腫、骨肉腫、膵癌、前立腺癌、滑膜肉腫、甲状腺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)および小細胞肺癌、膀胱の移行上皮癌、精巣癌、基底細胞癌、肝癌、ならびに関節リウマチおよび網膜症のような新たな脈管構造の形成を伴う疾患を包含する。
【0233】
c−Metの過剰活性がそれらの病因に関与している他の細胞増殖性障害は、c−Metが過剰発現されない若しくは別の方法で変えられていない癌を包含する、c−Met活性が浸潤性/転移性の表現型に寄与している癌を包含する。本局面に対するさらなる一態様において、本発明は、被験体における細胞増殖性障害若しくはc−Metに関係する障害の発症を処置若しくは阻害するための併用療法を包含する。該併用療法は、本発明の有効成分の治療的若しくは予防的有効量、ならびに化学療法、放射線治療、遺伝子治療および免疫療法を包含する1種若しくはそれ以上の他の抗細胞増殖療法を被験体に投与することを含んでなる。本発明の一態様において、本発明の有効成分は化学療法とともに投与しうる。本明細書で使用されるところの化学療法は化学療法剤を必要とする治療を指す。多様な化学療法剤を本明細書に開示される併用処置法で使用しうる。例示として企図している化学療法剤は、限定されるものでないが、白金化合物(例えばシスプラチン、カルボプラチン、オキザリプラチン);タキサン化合物(例えばパクリタキセル、ドセタキソール(docetaxol));カンプトテシン化合物(イリノテカン、トポテカン);ビンカアルカロイド(例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン);抗腫瘍ヌクレオシド誘導体(例えば5−フルオロウラシル、5−フルオロ−デオキシウリジン一リン酸(5FdUMP)、ロイコボリン、ゲムシタビン、カペシタビン);アルキル化剤(例えばシクロホスファミド、カルムスチン、ロムスチン、チオテパ);エピポドフィロトキシン/ポドフィロトキシン(例えばエトポシド、テニポシド);アロマターゼ阻害剤(例えばアナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン);抗エストロゲン化合物(例えばタモキシフェン、フルベストラント)、葉酸代謝拮抗薬(例えばプレメトレキセド(premetrexed)二ナトリウム);低メチル化薬(hypomethylating agent)(例えばアザシチジン);生物製剤(例えばゲムツザマブ(gemtuzamab)、セツキシマブ、リツキシマブ、ペルツズマブ、トラスツズマブ、ベバシズマブ、エルロチニブ);抗生物質/アントラサイリン(anthracyline)(例えばイダルビシン、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、カルミノマイシン、ダウノマイシン);代謝拮抗薬(例えばクロファラビン、アミノプテリン、シトシンアラビノシド、メトトレキサート、デシタビン):微小管阻害剤(例えばコンブレタスタチン、コルヒチン、ノコダゾール);トポイソメラーゼ阻害剤(例えばカンプトテシン);分化剤(例えばレチノイド、ビタミンDおよびレチノイン酸);レチノイン酸代謝阻害剤(RAMBA)(例えばアキュテイン);キナーゼ阻害剤(例えばフラボペリドール、イマチニブメシル酸塩、ゲフィニチブ、ラパチニブ、スニチニブ、バンデタニブ、BIBW2992、17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロペンタデシン):ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(例えばティピファルニブ(tipifarnib));ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えばN−ヒドロキシ−2−[4−[[(1H−インドル−3−イルメチル)アミノ]メチル]−1
−ピペリジニル]−5−ピリミジンカルボキサミドおよびその2,2,2−トリフルオロ酢酸塩(JNJ−26481585));ユビキチンプロテアソーム経路の阻害剤(例えばボルテゾミブ、ヨンデリス(Yondelis)、N1−[2−(1H−インドル−3−イル)エチル]−N4−4−ピリジニル−1,4−ベンゼンジアミン(JNJ26854165))を挙げることができる。
【0234】
さらなる有用な剤は、ベラパミル(許容される化学療法剤に抵抗性の腫瘍細胞で化学受容性を確立しおよび薬物感受性悪性病変におけるこうした化合物の有効性を増強するために抗腫瘍薬と組合せで有用であることが見出されたカルシウム拮抗薬)を包含する。Simpson WG,The calcium channel blocker verapamil and cancer chemotherapy.Cell Calcium.1985 Dec;6(6):449−67を参照されたい。加えて、未だ出現されない化学療法剤を、本発明の有効成分とともに有用であるとして企図している。
【0235】
本発明の別の態様において、本発明の有効成分は放射線治療とともに投与しうる。本明細書で使用されるところの「放射線治療」は、それの必要な被験体を放射線に曝露することを含んでなる治療を指す。こうした治療は当業者に既知である。放射線治療の適切なスキームは、放射線治療を単独で若しくは他の化学療法剤とともに使用する、臨床治療で既に使用されているものに類似であることができる。
【0236】
本発明の別の態様において、本発明の有効成分は遺伝子治療とともに投与しうる。本明細書で使用されるところの「遺伝子治療」は、腫瘍発生に関与する特定の遺伝子に標的を定める治療を指す。可能な遺伝子治療戦略は、欠陥のある癌阻害遺伝子の修復、増殖因子およびそれらの受容体をコードする遺伝子に対応するアンチセンスDNAでの細胞形質導入若しくはトランスフェクション、リボザイム、RNAデコイ、アンチセンスメッセンジャーRNAおよび小分子干渉RNA(siRNA)分子のようなRNAに基づく戦略、ならびにいわゆる「自殺遺伝子」を包含する。本発明の他の態様において、本発明の有効成分は免疫療法とともに投与しうる。本明細書で使用されるところの「免疫療法」は、腫瘍発生に関与する特定のタンパク質にこうしたタンパク質に特異的な抗体を介して標的を定める治療、例えばトラスツズマブを指す。例えば、血管内皮細胞増殖因子に対するモノクローナル抗体が癌の治療において使用されている。
【0237】
本発明の有効成分に加えて第二の医薬品を使用する場合、該2種の医薬品は、同時に(例えば別個の若しくは1つの組成物中で)、いずれかの順序で連続して、ほぼ同時に、または別個の投薬スケジュールで投与しうる。後者の場合、該2化合物は、有利な若しくは相乗効果が達成されることを確実にするのに十分である期間内にならびに量および様式で投与することができる。組合せの各成分の好ましい投与方法および順序ならびにそれぞれの投薬量および投与計画は、本発明の有効成分ともに投与される特定の化学療法剤、それらの投与経路、処置されている特定の腫瘍および処置されている特定の宿主に依存することができることが認識されるであろう。
【0238】
当業者により理解されるであろうとおり、化学療法剤の適切な用量は、一般に、化学療法剤を単独で若しくは他の化学療法剤とともに投与する臨床治療で既に使用されているものと同様若しくはそれ未満であることができる。
【0239】
最適な投与方法および順序ならびに投薬量および投与計画は、慣習的方法を使用して、および本明細書に示される情報を鑑み、当業者により容易に決定し得る。
【0240】
例のみとして、白金化合物は、有利には、体表面積1平方メートルあたり1ないし500mg(mg/m2)、例えば50ないし400mg/m2の投薬量、とりわけシスプラチンについて処置クールあたり約75mg/m2の投薬量、およびカルボプラチンについて約300mg/m2で投与する。シスプラチンは経口で吸収されず、そして従って注入を介して静脈内、皮下、筋肉内若しくは腹腔内で送達しなければならない。
【0241】
例のみとして、タキサン化合物は、有利には、体表面積1平方メートルあたり50ないし400mg(mg/m2)、例えば75ないし250mg/m2の投薬量、とりわけパクリタキセルについて処置クールあたり約175ないし250mg/m2の投薬量、およびドセタキセルについて約75ないし150mg/m2で投与する。
【0242】
例のみとして、カンプトテシン化合物は、有利には、体表面積1平方メートルあたり0.1ないし400mg(mg/m2)、例えば1ないし300mg/m2の投薬量、とりわけイリノテカンについて処置クールあたり約100ないし350mg/m2の投薬量、およびトポテカンについて約1ないし2mg/m2で投与する。
【0243】
例のみとして、ビンカアルカロイドは、有利には、体表面積1平方メートルあたり2ないし30mg(mg/m2)、とりわけビンブラスチンについて処置クールあたり約3ないし12mg/m2の投薬量、ビンクリスチンについて約1ないし2mg/m2の投薬量、およびビノレルビンについて約10ないし30mg/m2の投薬量で投与しうる。
【0244】
例のみとして、抗腫瘍ヌクレオシド誘導体は、有利には、体表面積1平方メートルあたり200ないし2500mg(mg/m2)、例えば700ないし1500mg/m2の投薬量で投与しうる。5−フルオロウラシル(5−FU)は、一般に200から500mg/m2まで(好ましくは3から15mg/kg/日まで)の範囲にわたる用量を含む静脈内投与を介して使用する。ゲムシタビンは、有利には処置クールあたり約800ないし1200mg/m2の投薬量で投与し、およびカペシタビンは、有利には約1000ないし2500mg/m2で投与する。
【0245】
例のみとして、アルキル化剤は、有利には、体表面積1平方メートルあたり100ないし500mg(mg/m2)、例えば120ないし200mg/m2の投薬量、とりわけシクロホスファミドについて処置クールあたり約100ないし500mg/m2の投薬量、クロラムブシルについて約0.1ないし0.2mg/kg体重の投薬量、カルムスチンについて約150ないし200mg/m2の投薬量、およびロムスチンについて約100ないし150mg/m2の投薬量で投与しうる。
【0246】
例のみとして、ポドフィロトキシン誘導体は、有利には、体表面積1平方メートルあたり30ないし300mg(mg/m2)、例えば50ないし250mg/m2の投薬量、とりわけエトポシドについて処置クールあたり約35ないし100mg/m2の投薬量、およびテニポシドについて約50ないし250mg/m2で投与しうる。
【0247】
例のみとして、アントラサイクリン誘導体は、有利には、体表面積1平方メートルあたり10ないし75mg(mg/m2)、例えば15ないし60mg/m2の投薬量、とりわけドキソルビシンについて処置クールあたり約40ないし75mg/m2の投薬量、ダウノルビシンについて約25ないし45mg/m2の投薬量、およびイダルビシンについて約10ないし15mg/m2の投薬量で投与しうる。
【0248】
例のみとして、抗エストロゲン化合物は、有利には、特定の剤および処置されている状態に依存して1日約1ないし100mgの投薬量で投与しうる。タモキシフェンは、有利には1日2回5ないし50mg、好ましくは10ないし20mgの投薬量で経口投与し、治療効果を達成しかつ維持するのに十分な期間治療を継続する。トレミフェンは、有利には1日1回約60mgの投薬量で経口投与し、治療効果を達成しかつ維持するのに十分な期間治療を継続する。アナストロゾールは、有利には1日1回約1mgの投薬量で経口投与する。ドロロキシフェンは、有利には1日1回約20〜100mgの投薬量で経口投与する。ラロキシフェンは、有利には1日1回約60mgの投薬量で経口投与する。エキセメスタンは、有利には1日1回約25mgの投薬量で経口投与する。
【0249】
例のみとして、生物製剤は、有利には、体表面積1平方メートルあたり約1ないし5mg(mg/m2)の投薬量で、若しくは異なる場合は当該技術分野で既知のとおり投与しうる。例えば、トラスツズマブは、有利には処置クールあたり1ないし5mg/m2の投薬量、とりわけ2ないし4mg/m2で投与する。
【0250】
投薬量は、例えば7、14、21若しくは28日ごとに反復されうる処置クールあたり例えば1回、2回若しくはそれ以上投与しうる。本発明の有効成分は、全身で、例えば静脈内、経口、皮下、筋肉内、皮内若しくは非経口で被験体に投与し得る。本発明の有効成分はまた被験体に局所投与もし得る。局所送達系の制限しない例は、血管内薬物送達カテーテル、ワイヤ、薬理学的ステントおよび腔内敷石(endoluminal paving)を包含する腔内医療用具の使用を包含する。本発明の有効成分は、さらに、標的部位での該化合物の高い局所濃度を達成するための標的化剤とともに被験体に投与し得る。本発明の有効成分は、数時間から数週間までの範囲にわたる期間、薬物若しくは剤を標的組織と接触して維持するという目的を伴い、迅速放出若しくは徐放のため処方しうる。
【0251】
本発明はまた、製薬学的に許容できる担体とともに本発明の有効成分を含んでなる製薬学的組成物も提供する。該製薬学的組成物は、約0.1mgと1000mgの間、好ましくは約100ないし500mgの本発明の有効成分を含有することができ、そして選択される投与様式に適するいかなる形態にも構成しうる。「製薬学的に許容できる」という句は、動物若しくはヒトに適切なように投与される場合に有害な、アレルギー性の若しくは他の不利な反応を生じない分子実体および組成物を指す。家畜の用途は本発明内に等しく包含され、そして「製薬学的に許容できる」製剤は臨床および/若しくは家畜双方の使用のための製剤を包含する。本発明はまた、投与様式に依存して、0.05から99重量%まで、より好ましくは0.1から70重量%まで、なおより好ましくは0.1から50重量%までの有効成分、および1から99.95重量%まで、より好ましくは30から99.9重量%まで、なおより好ましくは50から99.9重量%までの製薬学的に許容できる担体(全部のパーセンテージは組成物の総重量に基づく)を含んでなる製薬学的組成物も提供する。
【0252】
担体は、限定されるものでないが結合剤、懸濁化剤、滑沢剤、香料(flavorant)、甘味料、保存剤、色素およびコーティングを挙げることができる必要かつ不活性な製薬学的賦形剤を包含する。経口投与に適する組成物は、丸剤、錠剤、カプレット剤、カプセル剤(それぞれ即時放出、調時放出および徐放製剤を包含する)、顆粒剤ならびに散剤のような固体の形態、ならびに溶液、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および懸濁剤のような液体の形態を包含する。非経口投与に有用な形態は無菌溶液、乳剤および懸濁剤を包含する。
【0253】
本発明の製薬学的組成物は本発明の有効成分の徐放のための製薬学的組成物もまた包含する。該組成物は徐放担体(典型的にはポリマー性担体)および本発明の有効成分を包含する。徐放の生物分解可能な担体は当該技術分野で公知である。これらは、その中に有効成分(1種若しくは複数)を捕捉しかつ適する環境(例えば水性、酸性、塩基性など)下でゆっくりと分解/溶解し、そしてそれにより体液中で分解/溶解しかつその中の有効成分(1種若しくは複数)を放出する粒子を形成しうる物質である。該粒子は好ましくはナノ粒子(すなわち直径約1ないし500nm、好ましくは直径約50〜200nm、および最も好ましくは直径約100nmの範囲の)である。
【0254】
本発明は本発明の製薬学的組成物の製造方法もまた提供する。本発明の有効成分は慣習的製薬学的調合技術に従って製薬学的担体と緊密に混合され、その担体は投与、例えば経口若しくは筋肉内のような非経口に望ましい製剤の形態に依存して広範な形態を取りうる。経口剤形の組成物の製造において、通常の製薬学的媒体のいずれも使用しうる。従って、例えば懸濁剤、エリキシル剤および溶液のような液体の経口製剤について、適する担体および添加物は、水、グリコール、油、アルコール、着香料、甘味料、保存剤、着色剤などを包含し;例えば散剤、カプセル剤、カプレット剤、ゲルカプセル剤および錠剤のような固体の経口製剤について、適する担体および添加物はデンプン、糖、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などを包含する。投与におけるそれらの容易さのため、錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口投与単位形態であり、その場合固体の製薬学的担体が明らかに使用される。所望の場合は、錠剤を標準技術により糖コーティング若しくは腸溶コーティングしうる。非経口製剤について、担体は通常滅菌水を含むことができるとはいえ、例えば溶解性を補助するような目的上若しくは保存のための他成分を包含しうる。注入可能な懸濁剤もまた製造することができ、その場合は適切な液体の担体、懸濁化剤などを使用しうる。徐放のための製剤中では、徐放担体、典型的にはポリマー性担体および本発明の有効成分を最初に有機溶媒に溶解若しくは分散する。得られる有機溶液をその後水性溶液に添加して水中油型乳剤を得る。好ましくは、該水性溶液は界面活性剤(1種若しくは複数)を包含する。その後、該有機溶媒を水中油型乳剤から蒸発させて、徐放担体および本発明の有効成分を含有する粒子のコロイド懸濁液を得る。
【0255】
本明細書の製薬学的組成物は、投薬単位、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、注射剤、茶さじ1杯などあたり、上述されたところの有効用量を送達するのに必要な有効成分の量を含有することができる。本明細書の製薬学的組成物は、単位投薬単位、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、注射剤、坐剤、茶さじ1杯などあたり、1日あたり約0.01mgから200mg/kg体重までを含有することができる。好ましくは、該範囲は1日あたり約0.03から約100mg/kg体重まで、最も好ましくは約1日あたり0.05から約5
10mg/kg体重までである。化合物は1日あたり1ないし5回の投与計画で投与しうる。投薬量は、しかしながら、患者の要件、処置されている状態の重症度および使用されている化合物に依存して変動しうる。連日投与若しくは定期的後(post−periodic)投与いずれかの使用を使用しうる。
【0256】
好ましくは、これらの組成物は、経口、非経口、鼻内、舌下若しくは直腸投与のため、または吸入若しくはガス注入による投与のため;錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、無菌の非経口溶液若しくは懸濁剤、計量式エアゾル若しくは液体スプレー剤、滴剤、アンプル、自動注入器装置または坐剤のような単位剤形にある。あるいは、該組成物は、週1回若しくは月1回投与に適する形態で提示されることができ;例えば、デカン酸塩のような有効成分の不溶性塩を、筋肉内注入のためのデポー製剤を提供するように適合させうる。錠剤のような固体組成物を製造するため、主有効成分を製薬学的担体、例えばトウモロコシデンプン、乳糖、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムもしくはガムのような慣習的打錠成分、および他の製薬学的希釈剤、例えば水と混合して、本発明の有効成分若しくはその製薬学的に許容できる塩の均質な混合物を含有する固体の処方前(preFormulation)組成物を形成する。これらの処方前組成物を均質と呼ぶ場合、該組成物が錠剤、丸剤およびカプセル剤のような等しく有効な剤形に容易に細分されうるように有効成分が組成物全体に均一に分散されていることを意味している。この固体の処方前組成物をその後、0.1から約1000mgまで、とりわけ0.1から約500mgまでの本発明の有効成分を含有する上述された型の単位剤形に細分する。該新規組成物の錠剤若しくは丸剤をコーティング若しくは別の方法で調合して、延長された作用の利点を提供する剤形を提供し得る。例えば、錠剤若しくは丸剤は内部投薬および外部投薬成分を含み得、後者は前者の上の外被の形態にある。該2成分を、胃中での崩壊に抵抗するようにはたらきかつ内部成分を無傷で十二指腸に送らせる若しくは放出を遅らせる腸溶層により分離し得る。こうした腸溶層若しくはコーティングに多様な物質を使用し得、こうした物質はセラック、アセチルアルコールおよびセルロースアセテートのような物質を伴う多数のポリマー酸を包含する。
【0257】
本発明の有効成分を経口で若しくは注入による投与のため組み込み得る液体の形態は、水性溶液、適して香味を付けられたシロップ、水性若しくは油性懸濁液、ならびに綿実油、ゴマ油、ココナッツ油若しくはラッカセイ油のような可食油を含む香味を付けられた乳剤、ならびにエリキシルおよび類似の製薬学的ベヒクルを包含する。水性懸濁液のための適する分散助剤若しくは懸濁化剤は、トラガカント、アラビアゴムのような合成および天然のガム、アルギン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン若しくはゼラチンを包含する。適して香味を付けられた懸濁化剤若しくは分散助剤中の液体の形態は、合成および天然のガム、例えばトラガカント、アラビアゴム、メチルセルロースなどもまた包含しうる。非経口投与には無菌の懸濁液および溶液が望ましい。適する保存剤を一般に含有する等張製剤を、静脈内投与が望ましい場合に使用する。
【0258】
有利には、本発明の有効成分は単一1日用量で投与することができるか、または総1日投薬量を1日2、3若しくは4回の分割用量で投与しうる。さらに、本発明の有効成分は、適する鼻内ベヒクルの局所使用を介する鼻内の形態で、若しくは当業者に公知の経皮皮膚貼付剤を介して投与し得る。経皮送達系の形態で投与されるために、投薬量の投与はもちろん投薬計画を通じて間欠的よりむしろ連続的であることができる。
【0259】
例えば、錠剤若しくはカプセル剤の形態の経口投与のため、有効成分を当業者に既知の経口の非毒性の製薬学的に許容できる不活性担体と組合せることができる。エタノール、グリセロール、水などのような液体を造粒目的上使用し得る。さらに、所望の若しくは必要な場合は、適する結合剤;滑沢剤、崩壊剤および着色料もまた混合物に組み込み得る。適する結合剤は、デンプン、ゼラチン、グルコース若しくはβ−乳糖のような天然の糖、トウモロコシ甘味料、アラビアゴム、トラガカントのような天然および合成のガム、またはオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを制限なしに包含する。崩壊剤は、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどを制限なしに包含する。
【0260】
本発明の生成物の1日投薬量は、1日あたり成体のヒトあたり1から5000mgまでの広範囲にわたり変動しうる。経口投与のため、該組成物は、好ましくは、処置されるべき患者への投薬量の症候性の調節のため、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、150、200、250および500ミリグラムの有効成分を含有する錠剤の形態で提供される。該薬物の有効量は、通常は1日あたり約0.01mg/kgから約200mg/kg体重までの投薬量レベルで供給する。とりわけ、該範囲は、1日あたり約0.03から約15mg/kg体重まで、およびより具体的には1日あたり約0.05から約10mg/kg体重までである。本発明の有効成分は1日あたり4若しくは5回までまたはそれ以上、好ましくは1日あたり1ないし2回の投与計画で投与しうる。
【0261】
投与されるべき最適投薬量は当業者により容易に決定されることができ、そして、使用される特定の化合物、投与様式、製剤の濃度、投与様式および疾患状態の進行とともに変動することができる。加えて、患者の齢、重量、食事および投与時刻を包含する、処置されている特定の患者と関連する因子が、投薬量を調節する必要性をもたらすことができる。
【0262】
本発明の有効成分は、小型単層小胞、大型単層小胞および多層小胞のようなリポソーム送達系の形態でもまた投与し得る。リポソームは、限定されるものでないが、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、カルジオリピン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトール、ジアシルトリメチルアンモニウムプロパン、ジアシルジメチルアンモニウムプロパンおよびステアリルアミンのような両親媒性脂質、トリグリセリドのような中性脂質、ならびにそれらの組み合わせを挙げることができる。それらはコレステロールを含みうるか、若しくはコレステロールを含まないことができるかのいずれかである。
【0263】
本発明の有効成分は局所にもまた投与し得る。血管内薬物送達カテーテル、ワイヤ、薬理学的ステントおよび腔内敷石のようないかなる送達装置も利用しうる。こうした装置のための送達系は、投与者により制御される速度で化合物を送達する局所注入カテーテルを含みうる。
【0264】
本発明は、腔内医療用具、好ましくはステント、および治療的投薬量の本発明の有効成分を含んでなる薬物送達装置を提供する。「ステント」という用語はカテーテルにより送達されることが可能ないかなる装置も指す。ステントは、外科的外傷による血管組織の不要な内向きの増殖のような物理的異常による血管閉鎖を予防するのに慣例に使用する。それはしばしば、管の腔の内側に残されて閉塞を解消するのに適切な管状の拡張する格子型構造を有する。ステントは腔壁に接触する表面および腔に露出される表面を有する。腔壁に接触する表面は管の外側表面であり、そして腔に露出される表面は管の内表面である。ステントはポリマー性、金属性若しくはポリマーおよび金属性であり得、そしてそれは場合によっては生物分解性であり得る。
【0265】
一般に、ステントは拡張されない形態で腔に挿入され、そしてその後自動的に若しくはin situで第二の装置の助けを借りて拡張される。典型的な一拡張方法は、血管の壁成分と会合された閉塞を剪断かつ破壊しおよび拡張された腔を得るために、狭窄した血管若しくは身体通路内で膨張される、カテーテルに取り付けられた血管形成バルーンの使用により起こる。米国特許第6,776,796号明細書(Faloticoら)に記述されるところの自己拡張型ステントもまた利用しうる。炎症および増殖を予防する薬物、剤若しくは化合物とのステントの組合せは、血管形成術後再狭窄の最も有効な処置を提供しうる。
【0266】
本発明の有効成分は多数の方法でおよびいずれかの数の生物適合性素材の利用においてステントに組み込まれ若しくは付着され得る。例示的一態様において、剤をポリマーポリピロールのようなポリマーマトリックスに直接組み込み、そしてその後ステントの外表面にコーティングする。剤は拡散によりポリマーを通ってマトリックスから溶離する。ステントおよびステントへの薬物のコーティング方法は当該技術分野で詳細に論考されている。別の例示的態様において、ステントを最初に化合物、エチレンコビニルアセテートおよびポリブチルメタクリレートの溶液を含んでなる基層としてでコーティングする。その後、ステントをポリブチルメタクリレートのみを含んでなる外層でさらにコーティングする。外層は、該化合物があまりにも迅速に溶離されかつ周囲の組織に進入することを予防するための拡散障壁として作用する。外層すなわち上塗りの厚さが、マトリックスから剤が溶離する速度を決定する。ステントおよびコーティング方法は、WIPO公開第WO9632907号明細書、米国特許公開第2002/0016625号明細書およびそれらの中に開示される参考文献で詳細に論考されている。
【0267】
本発明の有効成分および生物適合性素材/ポリマーの溶液は、多数の方法でステント中若しくは上に組み込みうる。例えば、溶液をステント上に噴霧しうるか、若しくはステントを溶液中に浸漬しうる。好ましい一態様において、溶液をステント上に噴霧しそしてその後乾燥させる。別の例示的態様において、溶液を一極性に電気的に荷電させることができ、そしてステントを反対の極性に電気的に荷電させる。この様式で、溶液およびステントは相互に誘引されることができる。この型の噴霧方法の使用において浪費を低減させることができ、そして塗膜の厚さに関するより多くの制御を達成しうる。剤は、好ましくは、一組織と接触させるステントの外表面にのみ付着される。しかしながら、数種の化合物についてはステント全体をコーティングしうる。ステントに塗布される化合物の用量および該薬物の放出を制御するポリマーコーティングの組合せが、薬物の有効性で重要である。該化合物は、好ましくはおよそ6か月およびそれ以上まで最低3日間、好ましくは7と30日の間、ステント上に留まる。
【0268】
いずれかの数の非可食性生物適合性ポリマーを本発明の有効成分とともに利用しうる。多様なポリマーを多様なステントに利用しうることに注意することが重要である。例えば、上述されたエチレンコビニルアセテートおよびポリブチルメタクリレートマトリックスはステンレス鋼ステントとともに良好に機能する。他のポリマーは、ニッケルおよびチタンの合金のような超弾性特性を表す素材を包含する他の素材から形成されるステントとともにより効果的に利用しうる。
【0269】
再狭窄は冠動脈血管形成術後の重大な罹病率および死亡率の原因である。再狭窄は、弾性反跳、血栓形成、内膜過形成および細胞外マトリックスリモデリングを包含する4過程の組合せにより起こる。数種の増殖因子が、再狭窄につながるこれらの過程で役割を演じていることが最近同定された。Schiele TMら、2004、”Vascular
restenosis−striving for therapy.”Expert
Opin Pharmacother.5(11):2221−32を参照されたい。血管平滑筋細胞(VSMC)はc−Met受容体を発現する。c−Metのリガンド、肝細胞増殖因子への曝露は、遊走性の表現型を表すようにこれらの細胞を刺激する。Taherら、Hepatocyte growth factor triggers signaling cascades mediating vascular smooth muscle cell migration.Biochem Biophys
Res Commun.(2002)298(1):80−6;Morishita R,Aoki M,Yo Y,Ogihara T.Hepatocyte growth factor as cardiovascular hormone:role of HGF in the pathogenesis of cardiovascular disease.Endocr J.(2002)Jun;49(3):273−84を参照されたい。動脈の中膜から内膜へのVSMC遊走がアテローム硬化症および再狭窄の発症である役割を演じているため、c−Metキナーゼ活性のアンタゴニストはこれらの疾患の処置で実現可能な治療戦略を提示すると考えられる。
【0270】
従って、本発明は、ステントのような腔内医療用具からの放出による治療上有効な量の本発明の有効成分の制御送達を含んでなる、血管壁の再狭窄、内膜過形成若しくは炎症を包含するc−Metに関係する障害の処置方法を提供する。
【0271】
体腔へのステントの導入方法は公知であり、そして本発明の化合物で被覆されたステントは好ましくはカテーテルを使用して導入する。当業者により認識されるであろうとおり、方法はステント埋め込みの場所に基づいてわずかに変動することができる。冠動脈ステント埋め込みのために、ステントを持つバルーンカテーテルを冠動脈に挿入し、そしてステントを所望の部位に配置する。バルーンを膨張させステントを拡張する。ステントが拡張する際にステントが腔壁と接触する。ステントを一旦配置すれば、バルーンを縮小させかつ除去する。ステントは、化合物を持つ管腔と接触する表面が腔壁表面に直接接触する正しい位置に留まる。ステント埋め込みは、必要とされるとおり、抗凝固治療により付随されうる。
【0272】
本発明のステントでの使用のための剤の送達のための最適条件は、使用される多様な局所送達系、ならびに使用される化合物の特性および濃度とともに変動しうる。最適化されうる条件は、例えば、化合物の濃度、送達容量、送達速度、血管壁の浸透の深さ、近位膨張圧、穿孔の量および大きさ、ならびに薬物送達カテーテルバルーンの密着度合いを包含する。条件は、例えば平滑筋細胞の増殖能力または血管抵抗性若しくは腔径の変化により測定されるところの再狭窄による大きな動脈閉塞が起こらないような傷害の部位での平滑筋細胞増殖の阻害のため最適化しうる。最適条件は、慣例のコンピュータによる方法を使用して動物モデル研究からのデータに基づき決定し得る。
【0273】
本発明の有効成分の別の代替投与方法は、その意図している作用部位、すなわち血管内皮細胞若しくは腫瘍細胞に複合体を向ける標的化剤に化合物を複合することによることができる。抗体および抗体以外の双方の標的化剤を使用しうる。標的化剤とその対応する結合パートナーの間の特異的相互作用のため、本発明の有効成分は標的部若しくはその近くに高い局所濃度で投与し得、そして従って標的部位の障害をより効果的に処置する。抗体標的化剤は、腫瘍細胞、腫瘍脈管構造若しくは腫瘍間質の標的化可能な若しくは接近可能な成分に結合する抗体若しくはそれらの抗原結合フラグメントを包含する。腫瘍細胞、腫瘍脈管構造若しくは腫瘍間質の「標的化可能な若しくは接近可能な成分」は、好ましくは、表面で発現される、表面が接近可能な若しくは表面に局在化される成分である。抗体標的化剤は、壊死性腫瘍細胞から放出される細胞内成分に結合する抗体若しくはそれらの抗原結合フラグメントもまた包含する。好ましくは、こうした抗体は、浸透可能となるように誘導されうる細胞、若しくは実質的に全部の腫瘍および正常細胞の細胞ゴーストに存在するがしかし哺乳動物の正常生存細胞の外側に存在しないか若しくは接近可能でない不溶性細胞内抗原(1種若しくは複数)に結合するモノクローナル抗体若しくはそれらの抗原結合フラグメントである。本発明において、標的化可能な若しくは接近可能な成分はc−Met受容体でありうる。それは標的組織上若しくはその近くで接近可能かつ発現されるからである。
【0274】
本明細書で使用されるところの「抗体」という用語は、IgG、IgM、IgA、IgE、F(ab’)2、Fab’、Fab、Dabのような一価フラグメント、ならびに組換え抗体、ヒト化抗体、二特異性抗体などのような工作された抗体のような、いかなる免疫学的結合剤も広範に指すことを意図している。抗体はポリクローナル若しくはモノクローナルいずれでもあり得るとは言え、モノクローナルが好ましい。事実上いかなる充実性腫瘍型の細胞表面に対する免疫学的特異性も有する当該技術分野で既知の非常に広範な抗体が存在する(Thorpeらへの米国特許第5,855,866号明細書中の充実性腫瘍に対するモノクローナル抗体に関する要約表を参照されたい)。腫瘍に対する抗体の製造および単離方法は当業者に既知である(Thorpeらへの米国特許第5,855,866号明細書、およびThorpeらへの米国特許第6,34,2219号明細書)。
【0275】
抗体に治療的部分を複合するための技術は公知である。例えば、Monoclonal
Antibodies And Cancer Therapy、Reisfeldら(編)中、Amonら、“Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy”、pp.243−56(Alan R.Liss,Inc.1985);Controlled Drug Delivery(第2版)、Robinsonら(編)中、Hellstromら、“Antibodies For Drug Delivery”、pp.623−53(Marcel Dekker,Inc.1987);Monoclonal Antibodies ’84:Biological And Clinical Applications、Pincheraら(編)中、Thorpe、“Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review”、pp.475−506(1985)を参照されたい。類似の技術を、本発明の有効成分を抗体以外の標的化剤に結合するのにもまた応用し得る。
【0276】
当業者は、小分子、オリゴペプチド、多糖若しくは他のポリアニオン性化合物のような抗体以外の標的化剤との複合体の形成方法を知っているであろうか、若しくは決定することが可能であろう。
【0277】
血液中で合理的に安定であるいかなる結合部分も本発明の有効成分を標的化剤に連結するのに使用し得るとは言え、生物学的に遊離可能な結合および/または選択的に切断可能なスペーサー若しくはリンカーが好ましい。「生物学的に遊離可能な結合」および「選択的に切断可能なスペーサー若しくはリンカー」は、循環中で合理的な安定性をなお有するが、しかしある条件下すなわちある環境内で若しくは特定の剤と接触してのみ若しくは優先的に遊離可能、切断可能若しくは加水分解可能である。こうした結合は、米国特許第5,474,765号および同第5,762,918号明細書に記述されるところの例えばジスルフィドおよびトリスルフィド結合ならびに酸不安定性結合、ならびに米国特許第5,474,765号および同第5,762,918号明細書に記述されるところのペプチド結合、エステル、アミド、ホスホジエステルおよびグリコシドを包含する酵素感受性結合を包含する。こうした選択的遊離設計の特徴は、意図している標的部位での複合体からの化合物の徐放を容易にする。
【0278】
本発明は、標的化剤に複合された本発明の有効成分の有効量および製薬学的に許容できる担体を含んでなる製薬学的組成物を提供する。
【0279】
本発明はさらに、標的化剤に複合された本発明の有効成分の治療的有効量を被験体に投与することを含んでなる、c−Metと関係する障害、とりわけ腫瘍の処置方法を提供する。
【0280】
抗体若しくは増殖因子のようなタンパク質または多糖を標的化剤として使用する場合、それらは好ましくは注入可能な組成物の形態で投与される。注入可能な抗体溶液は、2分から約45分まで、好ましくは10から20分までの経過にわたり静脈、動脈若しくは脊髄液に投与することができる。ある場合には、皮内および腔内投与が、皮膚の特定の領域および/若しくは特定の体腔に近密な領域に制限される腫瘍に有利である。加えて、クモ膜下腔内投与を脳中に位置する腫瘍に使用しうる。
【0281】
標的化剤に複合された本発明の有効成分の治療的有効量は、個体、疾患の型、疾患状態、投与方法および他の臨床的変数に依存する。有効投薬量は動物モデルからのデータを使用して容易に決定可能である。充実性腫瘍を持つ実験動物が、臨床環境に移す前に適切な治療用量を最適化するのに頻繁に使用される。こうしたモデルは効果的な抗癌戦略の予測において非常に信頼できることが既知である。例えば、充実性腫瘍を持つマウスは、最小毒性を伴い有益な抗腫瘍効果を与える治療薬の作用範囲を決定するための前臨床試験で広範に使用される。
【0282】
前述の明細は本発明の原理を教示し、実施例は具体的説明の目的上提供される一方、本発明の実務は、以下の請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内にあるところの通常の変形、翻案および/若しくは改変の全部を包含することが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0283】
図1】式(I)の化合物の多形形態IのXRPDパターンを具体的に説明する。
図2】式(I)の化合物の多形形態IのIRスペクトルを具体的に説明する。
図3】式(I)の化合物の多形形態IIIのXRPDパターンを具体的に説明する。
図4】式(I)の化合物の多形形態IIIのIRスペクトルを具体的に説明する。
図5】式(I)の化合物の水和物のXRPDパターンを具体的に説明する。
図6】式(I)の化合物の水和物のIRスペクトルを具体的に説明する。
図7】式(I)の化合物の多形形態IのDSC走査を具体的に説明する。
図8】式(I)の化合物の多形形態IIの融解吸熱を示すDSC走査を具体的に説明する。
図9】式(I)の化合物の多形形態IIIのDSC走査を具体的に説明する。
図10】U87MG腫瘍増殖阻害に対する化合物(I)の効果を具体的に説明する。
図11】U87MGの最終腫瘍体積に対する化合物(I)の効果を具体的に説明する。
図12】S144腫瘍退縮に対する化合物(I)の効果を具体的に説明する。
【0284】
実施例
【実施例1】
【0285】
化合物(I)の多形形態I
a.製造方法1
式(I)の化合物(3g、クロマトグラフィーにより純粋かつ乾燥)を2−プロパノール(30mL)中で最低4時間還流する。室温に冷却した後、固形物を濾過しかつ50℃で乾燥して、2.1gの形態Iを提供する。
【0286】
b.製造方法2
式(I)の化合物を、33%ジクロロメタン/67%メタノール溶液(約7.5mg/mL)として、0.5mLガラスインサートバイアルを含有する96ウェルプレートの1ウェルに運んだ(200μl/ウェル)。プレートをその後窒素下乾固まで蒸発させてウェル中に残存するおよそ1.5mgの無定形固形物を残した。次に酢酸エチル/ジクロロメタン混合物(50/50v/v%)をウェルに分注した。プレートをその後Teflonコーティングしたゴム製マットを使用して封止し、50℃で15分間超音波処理し、そしてその後50℃で1時間加熱した。加熱した後にプレートを室温と平衡化させ、そして封止されて一夜室温で放置した。プレートの封止をその後除去し、そして溶媒をゆっくりと蒸発させて形態Iを提供した。
【0287】
c.製造方法3
式(I)の化合物のメタンスルホン酸(メシル酸)塩(1.31gを還流でメタノール/水(50/50、vol/vol;300mL)に溶解する。炭酸ナトリウムをpH>7まで添加する。混合物を室温に冷却し、固形物を濾過し、洗浄しかつ50℃で乾燥して9.75gの形態Iを提供する。
【0288】
形態Iの例示的XRPDパターンを図1および表1に;IRスペクトルを図2および表2に;DSC走査を図7に示す。
【実施例2】
【0289】
化合物(I)の多形形態III
a.製造方法1
式(I)の化合物のメタンスルホン酸(メシル酸)塩(8.7g)を酢酸エチル/水混合物(50/50 vol/vol;400mL)に溶解する。炭酸ナトリウム(2.5g)の添加が式(I)の化合物の遊離塩基の形態を遊離し、それは溶媒混合物から結晶化する。固形物を濾過し、洗浄しかつ50℃で乾燥して6.53gの形態IIIを提供する。
【0290】
b.製造方法2
式(I)の化合物(0.5g、クロマトグラフィーにより純粋若しくは粗)を、60℃でメタノール/水混合物(50/50、vol/vol;10mL)若しくはエタノール/水混合物(50/50、vol/vol;10mL)から結晶化する。固形物を濾過しかつ50℃で乾燥して0.44gの形態IIIを提供する。
【0291】
c.製造方法3
式(I)の化合物(100mg、クロマトグラフィーにより純粋)を25℃で0.01N HCl(50mL)から沈殿させる。固形物を濾過しかつ50℃で乾燥して形態IIIのサンプルを提供する。
【0292】
d.製造方法4
式(I)の化合物の水和物(10mg、実施例3で製造されるところの)を115℃で1時間加熱して、形態IIIを生じる(単離されない)。
【0293】
e.製造方法5
式(I)の化合物の形態I(0.5g、実施例1で製造されるところの)をアセトン/水混合物(50/50、vol/vol;12mL)中60℃で1時間加熱する。固形物を濾過しかつ50℃で乾燥して0.48gの形態IIIを提供する。
【0294】
形態IIIの例示的XRPDパターンを図3および表3に;IRスペクトルを図4および表4に;DSC走査を図9に示す。
【実施例3】
【0295】
水和物の形態
製造方法
式(I)の化合物(100mg、クロマトグラフィーにより純粋)を25℃で0.1N
HCl(25ml)に溶解する。この溶液の5mLのサンプルに、沈殿物が形成するまで式Iの化合物を添加し(濃度:15mg/mL)、次いで該溶液の残存部分を添加しかつ一夜攪拌する。固形物を濾過しかつ50℃で乾燥(制限された時間)して水和物の形態を提供する。
【0296】
水和物の形態の例示的XRPDパターンを図5および表5に;IRスペクトルを図6および表6に示す。
【実施例4】
【0297】
溶解性
式(I)の化合物の多形形態IおよびIIIならびに水和物の形態の溶解性を多様なpH値の水性条件で試験した。表7は、これらの形態の良好な溶解性および形態Iの優れた溶解性を示す(値はmg/mlでである)。
【0298】
【表7】
【実施例5】
【0299】
水性環境での水和物の形態の安定性
式(I)の化合物の水性懸濁液16mg/mlを9日まで約4℃で貯蔵した。サンプルを貯蔵1、2および9日後に採取した。懸濁液を濾紙上に広げそして室温で2時間乾燥した。得られた物質をXRPDにより分析した。
【0300】
出発原料は多形形態IおよびIIIの混合物を含有した一方、4℃で1日、2日および9日間貯蔵した懸濁液のXRDパターンは、水和物の形態のものと矛盾がなかった。さらに、水和物は水性媒体中で最低9日間安定のままであった(XRDは実質的に変化しない)。
【0301】
加えて、走査型電子顕微鏡(SEM)による粒子径の測定は、4℃で9日間の貯蔵が水和物の粒子径に影響を有しなかったことを示した。
【実施例6】
【0302】
化合物(I)の多形形態Iの特性
形態Iは吸湿性でない
多様な相対湿度条件で25℃での水の吸着および脱着を、相対湿度の関数として重量変化を記録することにより、約10mgの式(I)の化合物の形態Iで検討した。
【0303】
初期乾燥段階の間に0.05%の重量減少が記録された。得られた乾燥生成物は周囲湿度に依存して0.5%までの水を吸着し、そして試験の間吸湿挙動を示さずかつ結晶性のままであった。
【0304】
形態Iの結晶学的安定性
化合物(I)の多形形態Iの結晶構造の安定性を、室温(RT)で<5%、50℃で、56%および75%相対湿度(RH)、ならびに40℃かつ75%RHで6週の期間の開放条件での化合物の貯蔵後に研究した。
【0305】
サンプルをTGA、DSC、XRPDおよびIR分光法により分析した。結果は表8にある。
【0306】
【表8】
【0307】
多形形態Iは結晶学的に安定である。多様な条件下での貯蔵後に変化が観察されない。XRDパターンおよびDSC曲線は貯蔵の前および後で同一のままである。56%および75%相対湿度(RH)下室温(RT)で6週間貯蔵したサンプルのIRスペクトルは、いくつかの小さな余分のシグナル(±Ref)を含有する。
【0308】
形態のIの化学的安定性
形態Iの化学的安定性を、1、4および8週の期間、多様な開放貯蔵条件、すなわち40℃/75%RH;50℃;RT/<5%RH;RT/56%RH;RT/75%RHおよび0.3da ICH高強度光で試験した。化合物を貯蔵後にHPLCおよび目視検査により分析した。結果は表9にある。
【0309】
【表9】
【0310】
多形形態Iは全部の検討した条件下で化学的に安定であった。
【実施例7】
【0311】
化合物(I)の多様な形態のスラリー転化
形態IIIおよび混合物形態III/水和物でのスラリー転化
0.25mlの溶媒(2−プロパノール;若しくは2−プロパノン/水(8/2、v/v);若しくはメタノール/水(8/2、v/v))を伴う20mgの形態IIIをバイアルに分注した。各溶媒について3バイアルを調製し、そして異なる温度(4℃、RT、40℃)で2日間それぞれ貯蔵した。貯蔵後にスラリーを濾紙上に広げ、固体画分を収集しかつRTで2時間乾燥した。さらなる実験において、溶媒としてメタノール/水(8/2、v/v)を使用して形態IIIを水和物で種入れした(seed)。多形組成物をXRPDを使用して測定した。結果は表10にある。
【0312】
【表10】
【0313】
2−プロパノールおよびメタノール/水(8/2、v/v)については、水和物の形態で種入れした後でさえ転化は見出されなかった。2−プロパノン/水(8/2、v/v)中では、水和物の形態への転化が全部の試験した温度で起こった。
【0314】
形態IIIおよび形態Iの混合物でのスラリー転化
形態IIIおよび形態Iの混合物30mgならびに0.25mlの溶媒(2−プロパノール;若しくはエタノール/水(8/2、v/v))をバイアルに入れた。各溶媒について2バイアルを調製し、そしてそれぞれを異なる温度(RT、70℃)で一夜貯蔵した。貯蔵後にスラリーを濾紙上に広げ、固形物画分を収集しかつRTで2時間乾燥した。多形組成物をXRPDを使用して測定した。結果は表11にある。
【0315】
【表11】
【0316】
形態Iがサンプル中に存在した場合は、形態IIIの形態Iへの多形転化がRTおよび高温で起こった。この転化は水含有媒体中でもまた起こった。
【0317】
一緒にすれば、上のデータは、形態IがRTから70℃までで最も安定な多形であることを示す。形態I種入れ物質の存在は形態Iへの転化率を増大させる。2−プロパノン−水混合物を4℃から40℃までの温度で使用する場合、水和物の形態への転化が見出される。
【実施例8】
【0318】
多様な形態の化合物(I)の熱転化
形態III若しくは水和物の形態を、開放サンプル皿を使用して選択した温度まで(等温1分間)DSCオーブン(加熱速度10℃/分)で熱的に処理した。選択した温度は、形態IIIについて110℃および170℃、ならびに水和物の形態について70℃、110℃および170℃である。得られた画分の多形組成をXRPDにより測定した。表12はDSC処理した形態IIIのXRPDパターンを要約する。表13はDSC処理した水和物のXRPDパターンを要約する。
【0319】
【表12】
【0320】
【表13】
【実施例9】
【0321】
化合物(I)の塩の製造および特性
化合物(I)の遊離塩基(3g;7.95mmol)を無水エタノール(40mL)に溶解しかつ78℃に加熱した。酸(2−プロパノール中6M HCl、2.0ml(12mmol);水中48%HBr、0.98mL(8.75mmol);メタンスルホン酸、917mg(9.54mmol);エタンスルホン酸、1.05g(9.54mmol)若しくはp−トルエンスルホン酸一水和物(1.66g(8.75mmol))を熱反応混合物に添加した。反応混合物を室温に冷まさせた。生じる沈殿物を濾過分離し、エタノールで洗浄しかつ真空下60℃で乾燥した。
【0322】
得られた固形物を酸滴定、カール・フィッシャー滴定およびHPLCにより分析した。物理的特徴付けを実施した(DSC、TGA、XRDおよびIR、DVS)。
【0323】
HCl塩はXRD結果に基づけば結晶性生成物である。IRスペクトルはハロゲン化水素酸塩の特徴的なバンドの存在を示し、該生成物は溶媒和している。DSC曲線は236.4℃での該生成物の分解を伴う融解を示す。余分の吸熱シグナルが溶媒蒸発により72.8℃に観察される。HCl塩は吸湿性生成物であり、乾燥される(乾燥窒素流下25℃で1時間)場合に周囲湿度に依存して11.4%までの水を吸着する。
【0324】
メシル酸塩はXRD結果に基づけば結晶性生成物である。IRスペクトルはスルホン酸塩の特徴的なバンドの存在を示す。DSC曲線は239.0℃での該生成物の分解を伴う融解を示す。メシル酸塩は吸湿性生成物であり、乾燥される(乾燥窒素流下25℃で1時間)場合に高相対湿度で4.5%までの水を吸着する。
【0325】
HBr塩はXRD結果に基づけば結晶性生成物である。該IRスペクトルはハロゲン化水素酸塩の特徴的なバンドの存在を示し、該生成物は溶媒和している。DSC曲線は246.6℃での該生成物の分解を伴う融解を示す。余分の吸熱シグナルが溶媒蒸発により97.8℃に観察される。HBr塩は吸湿性生成物であり、乾燥される(乾燥窒素流下25℃で1時間)場合に周囲湿度に依存して11.4%までの水を吸着する。
【0326】
トシル酸塩はXRD結果に基づけば結晶性生成物である。IRスペクトルはスルホン酸塩の特徴的なバンドの存在を示す。DSC曲線は225.4℃での該生成物の融解を示す。トシル酸塩は非吸湿性生成物であり、乾燥される(乾燥窒素流下25℃で1時間)場合に周囲湿度に依存してわずか0.2%までの水を吸着する。
【0327】
エシル酸塩はXRD結果に基づけば結晶性生成物である。IRスペクトルはスルホン酸塩の特徴的なバンドの存在を示す。DSC曲線は217.3℃での該生成物の融解を示す。エシル酸塩は吸湿性生成物であり、乾燥される(乾燥窒素流下25℃で1時間)場合に高相対湿度で34%までの水を吸着する。
【実施例10】
【0328】
化合物(I)の塩の水溶解度
過剰の化合物(I)の多様な塩を水とともに20℃で24時間攪拌した。濾過後、溶液中の化合物(I)の濃度をUV分光法により測定した。結果を表14に要約する。
【0329】
【表14】
【実施例11】
【0330】
化合物(I)の塩のラットへの投与後の吸収および血漿キネティクス
5匹の雄性SDラット(225±11g)を塩形態あたりに使用した。各ラットから完全な血漿濃度時間プロファイルを得た。水道水および食餌は任意に利用可能であった。該試験は、HBr、HCl、メタンスルホン酸(メシル酸塩)、エタンスルホン酸(エシル酸塩)若しくはp−トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)との化合物(I)の塩を必要とした。個々の塩は、0.5%メトセル(methocel)懸濁液に1mg塩基等量/mlの最終濃度まで分散した。該製剤を室温で貯蔵した。
【0331】
投与は胃挿管による経口であった。すなわち、10mg塩基等量/kgの用量を得るために10ml/kg。
【0332】
血液サンプルを用量投与後30分、1、2、4、7および24時間に収集した
血液は尾静脈からMultivette(R)600 K3Eチューブ(Sarstedt)への複数サンプリングにより収集した。サンプルを直ちに融解氷上に置き、そして4℃でおよそ1900×gで10分間の遠心分離後に血漿を得た。全サンプルを分析前に日光から遮蔽しかつ−18℃以下で保存した。
【0333】
血漿サンプルを適格な研究LC−MS/MS法(定量下限(LLOQ)は1.00若しくは5.00ng/mlであった)を使用して化合物(I)について分析した。制限される薬物動態分析を、WinNonlinTM Professional(Version 5.1)を使用して実施した。lin/log補間を伴うlin/log台形則を使用する非コンパートメント解析を全データに使用した。個々のおよび平均の血漿濃度の概要ならびに若干の基礎的薬物動態パラメータを表15に見出し得る。
【0334】
【表15】
【実施例12】
【0335】
化合物(I)の一製造経路
6−{ジフルオロ[6−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル]メチル}キノリン
【0336】
【化19】
【0337】
段階1:6−ヨードキノリン
【0338】
【化20】
【0339】
6−ブロモキノリン(80.1g、0.385mmol)をn−ブタノール(0.8L)に溶解する。銅触媒CuI(3.7g、0.019mol)、銅リガンドN,N’−ジメチルエチレンジアミン(3.4g、0.0385mol)およびヨウ化物源NaI(115.5g、0.770mol)を添加し、そして混合物を不活性雰囲気下加熱ジャケット中で120℃に加熱する。処理(0.8Lの水を反応混合物に添加し、有機層を分離しかつ蒸発させる)および精製(粗蒸発残渣を150mLジイソプロピルエーテルから結晶化した)後に6−ヨードキノリンを80%収率で得た。
【0340】
1H NMR(600MHz、クロロホルム−d)δppm 7.39(dd、J=8.31、4.15Hz、1H)7.83(d、J=9.06Hz、1H)7.86−7.96(m、1H)8.02(d、J=8.31Hz、1H)8.19(s、1H)8.91(s、1H)
【0341】
段階2:オキソ(キノリン−6−イル)酢酸エチル
【0342】
【化21】
【0343】
不活性雰囲気下で255gの6−ヨードキノリン(1mol)をTHFに溶解しかつ−20℃に冷却し、そして808gのIpMgCl.LiCl(1.1モル)を添加する。この冷溶液を、低温(−78℃)の1800mLのTHF中の438gのシュウ酸ジエチル(3モル)の溶液に添加する。反応混合物を0℃に加熱しかつ飽和酢酸アンモニウム溶液(0.8L/モル)でクエンチする。オキソ(キノリン−6−イル)酢酸エチルをこの混合物から酢酸エチル(1L)で抽出する。クロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン/酢酸エチル)後に、オキソ(キノリン−6−イル)酢酸エチルを70%収率で得た。
【0344】
1H NMR(600MHz、クロロホルム−d)δppm 1.47(t、J=7.18Hz、3H)4.52(q、J=7.18Hz、2H)7.52(dd、J=8.31、4.15Hz、1H)8.20(d、J=8.69Hz、1H)8.29(dd、J=8.69、1.89Hz、1H)8.30(dd、J=8.12、1.32Hz、1H)8.59(d、J=1.89Hz、1H)9.05(dd、J=4.34、1.70Hz、1H)
【0345】
段階3:2,2−ジフルオロ(キノリン−6−イル)酢酸エチル
【0346】
【化22】
【0347】
適するオートクレーブ反応槽に170g(0.74mol)のオキソ(キノリン−6−イル)酢酸エチルおよび1.3Lのジクロロメタンを負荷した。その後、26gのHF(1.3mol)および400gのSF4(3.7mol)を気体瓶から反応槽に液化した。混合物を60℃で24時間加熱した。周囲温度に冷却した後に混合物を水でクエンチしかつNaHCO3の添加により中和した。有機層の分離および蒸発後に残渣をクロマトグラフィー分離して、138gのジフルオロ(キノリン−6−イル)酢酸エチルを提供した(収率は74%である)。
【0348】
1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δppm 1.30(t、J=7.05Hz、3H)4.33(q、J=7.30Hz、2H)7.45(dd、J=8.31、4.28Hz、1H)7.91(dd、J=8.81、2.01Hz、1H)8.11−8.14(m、1H)8.19(d、J=8.81Hz、1H)8.21(dd、J=7.55、1.26Hz、1H)8.98(dd、J=4.03、1.51Hz、1H)
【0349】
段階4:2,2−ジフルオロ−2−キノリン−6−イルアセトヒドラジド
【0350】
【化23】
【0351】
不活性雰囲気下の反応槽に31.05mLの2−メチル−2−ブタノールおよび12.58mL(0.259mol)のヒドラジン水和物を添加した。その後、125mLの2−メチル−2−ブタノール中の26g(0.103mol)のジフルオロ(キノリン−6−イル)酢酸エチルの溶液を室温でヒドラジン溶液に添加した。沈殿物を反応混合物から濾過分離し、そして水で洗浄しかつ50℃で乾燥した。22.51gの2,2−ジフルオロ−2−キノリン−6−イルアセトヒドラジドを90%収率で得た。
【0352】
1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δppm 4.77(br.s.、2H)7.65(dd、J=8.31、4.28Hz、1H)7.92(dd、J=8.81、2.01Hz、1H)8.18(d、J=8.81Hz、1H)8.28−8.33(m、1H)8.56(d、J=8.31Hz、1H)9.00−9.06(m、1H)10.18(br.s.、1H)
【0353】
段階5:3−クロロ−6−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)ピリダジン
【0354】
【化24】
【0355】
水(253mL)およびTHF(842mL)を反応バルーンに入れた。攪拌される反応混合物に、試薬、すなわちリン酸カリウム一水和物86.2g(374mmol)およびBTEAC2.25g(9.88mmol)を1種類ずつ添加した。その後、3−クロロ−6−ヨードピリダジン45g(187.2mmol)および1−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール46.73g(224.6mmol)を添加し、そして最後にトリフェニルホスフィン1.96g(7.49mmol)および二酢酸パラジウム420mg(1.87mmol)を添加した。反応混合物を65℃で16時間加熱した。反応混合物を60℃に冷まさせた。その後、935mLの水および301.5gの塩化ナトリウムを添加した。混合物を15分間攪拌しかつ45℃に冷まさせた。層を分離し、そして有機層を374mLの水中45gの塩化ナトリウムの溶液で洗浄した。有機層を分離しかつ硫酸マグネシウム(225g)および炭(charcoal)(4.5g)とともに攪拌した。混合物を濾過しかつ蒸発させた。蒸発残渣をトルエンと2回共蒸発させ、そして200mlの最終容量までさらに蒸発させた。この残渣を室温で16時間攪拌した。生じる固形物を濾過により収集した。固形物を減圧で乾燥して29.7gの表題化合物(152.6mmol、収率82%)を提供した。
【0356】
1H NMR(600MHz、クロロホルム−d)δppm 4.00(s、3H)7.46(d、J=8.69Hz、1H)7.56(d、J=9.06Hz、1H)7.98(s、1H)8.11(s、1H)
【0357】
段階6:6−{ジフルオロ[6−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル]メチル}キノリン
【0358】
【化25】
【0359】
不活性雰囲気下の反応槽に、73.84g(0.38mol)の3−クロロ−6−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)ピリダジン、90g(0.38mol)の2,2−ジフルオロ−2−キノリン−6−イルアセトヒドラジドおよび1200mLの1−メトキシ−2−プロパノールを添加した。その後、29.85mL(0.455mol)のメタンスルホン酸を添加し、そして反応混合物を80℃で8時間加熱した。周囲温度に冷却した後、表題化合物のメシル酸塩を反応混合物から濾過分離した。この塩を400mLのエタノールおよび300mLの水の混合物に溶解し、200mLの水中50mLのアンモニア(0.65mol)での80℃でのアルカリ化後に、表題化合物の遊離塩基が沈殿し、そして濾過分離された。この沈殿物を50℃で乾燥し、そしてその後2−プロパノール(1.8L/mol)から再結晶して表題化合物を75%収率で得た。
【0360】
1H NMR(600MHz、クロロホルム−d)δppm 4.01(s、3H)7.40(d、J=9.44Hz、1H)7.50(dd、J=8.31、4.15Hz、1H)7.95(s、1H)7.98(s、1H)8.08(dd、J=8.69、1.89Hz、1H)8.14(d、J=9.82Hz、1H)8.25(d、J=9.06Hz、1H)8.27(dd、J=8.31、1.51Hz、1H)8.29(d、J=1.13Hz、1H)9.02(dd、J=4.15、1.89Hz、1H)
【実施例13】
【0361】
化合物(I)の一製造経路
6−{ジフルオロ[6−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル]メチル}キノリン
【0362】
【化26】
【0363】
段階1:2−[6−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)ピリダジン−3−イル]ヒドラジンカルボン酸tert−ブチル
【0364】
【化27】
【0365】
カルバジン酸tert−ブチル8.98g(6.73mmol)および3−クロロ−6−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)ピリダジン(11.9g、61.1mmol)を1−ブタノール(245mL)中で混合した。この混合物を90℃まで加熱しかつその温度で16時間攪拌した。反応混合物を冷却し、そして水(250mL)および酢酸エチル(250mL)を添加した。該二層混合物をpHが7になるまで炭酸水素ナトリウムで中和した。その後有機層を分離し、そして水層を酢酸エチル(250mL)で抽出した。合わせた有機層を水(250mL)で1回洗浄しかつ蒸発させた。残渣をイソプロピルエーテル中で攪拌し、濾過分離しそして真空下で乾燥した。収量:5.9g(20.3mmol;33%)の表題化合物。
【0366】
段階2:2,2−ジフルオロ(キノリン−6−イル)酢酸ナトリウム
【0367】
【化28】
【0368】
8.1g(32.2mmol)のジフルオロ(キノリン−6−イル)酢酸エチルを反応バルーンに添加した。メタノール(40.5mL)および水(2.9mL)を添加した。この溶液に、1.29gの水酸化ナトリウム(32.2mmol)を室温で16時間添加した。生じる固形物を濾過分離しかつ真空下で乾燥した。収量4.5g(18.4mmol;57%)。
【0369】
段階3:6−{1,1−ジフルオロ−2−[(6E)−6−ヒドラゾノ−3−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)ピリダジン−1(6H)−イル]−2−オキソエチル}キノリン
【0370】
【化29】
【0371】
900mg(3.67mmol)のジフルオロ(キノリン−6−イル)酢酸ナトリウムをアセトニトリル(27mL)に溶解した。1.17g(4.04mmol)の2−[6−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)ピリダジン−3−イル]ヒドラジンカルボン酸tert−ブチルを添加し、そして300mg(4.41mmol)の1H−イミダゾールを一度に添加した。0.561mL(7.71mmol)の塩化チオニルを室温で5分にわたり添加した。該混合物を室温で2時間攪拌し、(2E)−2−{2−[ジフルオロ(キノリン−6−イル)アセチル]−6−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)ピリダジン−3(2H)−イリデン}ヒドラジンカルボン酸tert−ブチルを生じた。その後、0.722mL(11.0mmol)のメタンスルホン酸を室温で添加しかつ16時間攪拌した。生じる固形物をアルゴン雰囲気下に濾過分離し、6−{1,1−ジフルオロ−2−[(6E)−6−ヒドラゾノ−3−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)ピリダジン−1(6H)−イル]−2−オキソエチル}キノリンを生じ、そしてそれ自体を次の段階で使用した。
【0372】
段階4:6−{ジフルオロ[6−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル]メチル}キノリン(化合物(I))
上の段階3からの粗6−{1,1−ジフルオロ−2−[(6E)−6−ヒドラゾノ−3−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)ピリダジン−1(6H)−イル]−2−オキソエチル}キノリン(3.67mmol)をアルゴン下反応バルーン中に移した。36mLの1−メトキシ−2−プロパノールを添加し、そして該混合物を105℃で1時間攪拌した。その後、反応混合物を追加の1時間穏やかな還流(108℃)に移した。反応混合物を室温に冷まさせ、そして100mLの水中10gの炭酸ナトリウムの溶液に注いだ。100mLのトルエンを添加しかつ層を分離した。水層をトルエン(100mL)で抽出した。合わせた有機層を水で洗浄しかつ蒸発させ、700mgの化合物(I)(1.86mmol;51%)を生じた。
【実施例14】
【0373】
式(I)の化合物のc−Met阻害活性
組換えc−Metタンパク質のクローニング、発現および精製
本実施例は、c−Met受容体チロシンキナーゼ活性を有するc−Metの細胞質ドメインのクローニング、発現および精製を記述する。該細胞質ドメインは435アミノ酸を有し、そしてチロシンキナーゼのSRCファミリーとの高い相同性を示す(Parkら、1987、Proc Natl Acad Sci U S A.84(18):6379−83)。本明細書で製造されるところのc−Met細胞質ドメインは、c−Metキナーゼ活性およびそれに対する本発明の剤の効果のin vitroアッセイに使用しうる。
【0374】
チロシンキナーゼドメインを含有するMet受容体の細胞質ドメインのcDNAをPCRにより増幅した。オリゴヌクレオチドはGibco−BRL(カリフォルニア州カールズバッド)により特注合成した。フォワードオリゴヌクレオチドmetkinF2は、3073と3078の間のヌクレオチドがクローニング目的上のBamHI部位を創製するよう変えられたことを除き、NM_000245に列挙されるヌクレオチド配列のヌクレオチド3068−3097に同一である。リバースオリゴヌクレオチドmetkinR2aは、4372−4367の間のヌクレオチドがクローニング目的上のXhoI部位(下線を付けられる)を創製するよう変えられたことを除き、NM_000245に列挙されているものの相補配列のヌクレオチド4378−4348に同一である。該オリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして使用して、Quick Clone胎盤cDNA(Clontech;25 Palo Alto、CA)からMet受容体細胞質ドメインcDNAを増幅した。増幅は、50μl容量中でTaq DNAポリメラーゼ(Gibco−BRL;カリフォルニア州カールズバッド)、1.25mMの各dNTP、200nMの各オリゴを使用して実施した。熱サイクルプロファイルは、Perkin Elmer 9600サーモサイクラーで、それぞれ94℃30秒間、60℃30秒間および72℃1分間を含有する30サイクルであった。
【0375】
Met受容体の細胞質ドメインの増幅されたcDNAを発現ベクターにクローン化した。PCR産物をBamHI(New England Biolabs;マサチューセッツ州ビバリー)およびXhoI(New England Biolabs)で消化した。消化された1.3kbの生成物を、Gene Clean(Qbiogene;カリフォルニア州アーヴィン)を使用して1%アガロースゲルから単離かつ精製した。ベクターpFasBacHTa(Gibco−BRL)をBamHIおよびXhoI(New England Biolabs)で消化し、そして、4.7kbの直鎖状フラグメントを、Gene Clean(Bio 101)を使用して1%アガロースゲルから精製した。1.3kbのMet cDNAフラグメントは、10μlの最終容量中でT4 DNAリガーゼ(New England Biolabs)を用いてpFastBacHTaベクターに4℃で16時間連結した。pFastBacHTaのBamHI部位にMet細胞質ドメインのcDNAをクローン化することは、N末端のHis標識タンパク質の発現を見込むように該cDNAを該ベクターのHis−6標識とインフレームに置いた。ライゲーション混合物の半分(5μL)を使用して、50μlのDH5αコンピテント大腸菌(E.coli)細胞(Gibco−BRL)を形質転換した。形質転換混合物を、100μg/mlアンピシリンを含有するLBアガロースプレートにプレーティングし、そして37℃で16時間インキュベートした。コロニーをこれらのプレートから拾い、そして100μg/mlアンピシリンを含有するLBブロス中で16時間増殖させた。プラスミドDNAはQiagenプラスミドDNA精製試薬(Qiagen;カリフォルニア州バレンシア)を使用して単離し、そしてクローンをBamHI/XhoIでの消化によりスクリーニングした。消化物から遊離される適切な大きさのフラグメントを有した3クローンをACGT,IncにDNA配列分析のため提出した。
【0376】
1クローン、pFastBacHTmetkin−15は、クローン化したc−Met細胞質ドメイン中に突然変異を含有せず、そして発現のための組換えバキュロウイルスを生成するのに使用した。組換えバキュロウイルスは、製造元により指定されるプロトコルに従い、Gibco BRL Bac−To−Bac系を使用して生成した。簡潔には、DH10Bac細胞をpFastBacHTmetkin−15で形質転換し、クローンを選択し、ウイルスDNAを単離し、そしてMet cDNA挿入物についてPCRによりスクリーニングした。Sf9昆虫細胞を該組換えバキュロウイルスDNAでトランスフェクトした。P0ウイルスストック25を含有する培地を収集しかつその後の2回のウイルス増幅に使用した。
【0377】
複数濃度の増幅したウイルスストックを使用してSf9細胞を感染させた。細胞をトランスフェクション24、48および72時間後に収集した。感染させたSf9細胞を50mMトリス−HCl pH8.0、150mM NaCl、150mMイミダゾール、1.0mM PMSF、0.5%NP40、3.5μg/mlロイペプチン、3.5μg/mlアプロチニン中で溶解し、そして総タンパク質濃度をBCAアッセイ(Pierce;イリノイ州ロックフォード)で測定した。細胞ライセートを4〜15%SDS−PAGEで分離し、その後イムノブロット分析のためニトロセルロースメンブレンに転写した。ニトロセルロースブロットを抗His6抗体でプロービングして、His標識metキナーゼタンパク質の発現を確認した。最適のウイルス濃度対Sf9細胞の比を、多様な感染条件から収集したライセートの検査により決定した。最大タンパク質回収は感染48時間後に起こった。
【0378】
Met受容体のHis標識細胞質ドメインの小スケール発現/精製を実施した。Met受容体のHis標識細胞質ドメインを発現する組換えバキュロウイルスでトランスフェクトしたSf9昆虫細胞を、50mMトリス−HCl pH8.0、150mM NaCl、150mMイミダゾール、1.0mM PMSF、0.5%NP40、3.5μg/mlロイペプチン、3.5μg/mlアプロチニンを含有する緩衝液中で溶解した。ライセートを、PBS中Ni−アガロースビーズ(Qiagen)の50%溶液5mlと4℃で回転して2時間インキュベートして、His標識タンパク質を捕捉した。Ni−アガロースビーズに結合したHis標識タンパク質を含有するライセートを10mlカラムに負荷した。Ni−アガロースビーズを充填させ、そして上清を流れさせた。充填されたカラムをその後60mlの洗浄緩衝液(溶解緩衝液と同一)で洗浄した。5mlの溶離緩衝液(50mMトリス−HCl pH8、150mM NaCl、150mMイミダゾール、1.0mM PMSF)をカラムに添加し、そして10画分(各0.5ml容量)を収集した。各画分の小アリコートを4〜15%SDS−PAGEにより分離し、そしてイムノブロット分析のためニトロセルロースに転写したか、若しくはクマシー染色(Bio−Safe Safe Coomassie、Bio−Rad)のため処理したかのいずれかであった。クマシー染色ゲル上の主要なタンパク質バンドは、イムノブロットにより検出されたHis標識タンパク質に対応するHis6−MetKinの適切な大きさ(52kD)を有する。クマシー染色ゲルから推定されるところのタンパク質濃度はおよそ2mg/mlであった。
【0379】
組換えウイルスストックを、ハイスループットスクリーニングに十分な量のHis6−MetKinの大スケール発現および精製のため、契約実験室Pan Vera(ウィスコンシン州マディソン)に移送した。60Lスケールアップおよび4段階精製スキームが、95%以上純粋である98.4mgのタンパク質を生じた。
【0380】
c−Metキナーゼの自己リン酸化に対する化合物(I)の影響
本自己リン酸化アッセイは、放射活性ATPを使用してc−Met自己リン酸化に際してのリン酸の取り込みを測定する。スクリーニングのための該アッセイ手順は後に続くとおりである。
【0381】
材料
c−Met酵素(Panveraから購入された、ロット40047X、2,4mg/ml);「アッセイ緩衝液」(13,3mM MOPS pH7;0,33mM EDTA);「酵素緩衝液」(20mM MOPS pH7;1mM EDTA;0.01% Brij 35;5%グリセロール;0.1%βメルカプト−EtOH);100mM MgAc;3%リン酸;75mMリン酸;1mM ATPストック;[33P]−γ−ATP(NEN、NEG602H);丸底96ウェルプレート(Corning、3799);Filtermat P30−フィルター(Perkin Elmer);「酵素混合物」(698,80μlの上のような酵素緩衝液+1.17μlの上のようなc−Met酵素);「基質混合物」(946,00μlの100mM MgAc+50,00μlのATP(0.1mM)+4,00μlの上のような[33P]−γ−ATP)。
【0382】
プロトコル段階
1.ウェルあたり15μlのアッセイ緩衝液を分配する。
2.試験されるc−Met阻害剤(例えば化合物(I)またはその形態若しくは塩)のDMSO中希釈0.5μlを添加する。
3.ウェルあたり5μlの酵素混合物を添加する(対照:ブランクの酵素緩衝液)。
4.ウェルあたり5μlの基質混合物を添加する。
5.室温で60分間インキュベートする。
6.3%リン酸(ウェルあたり5μl)で反応を停止する。
7.プレートを振とうする。
8.ウェルから5μlをフィルターマット(filtermat)P30にスポットする。
9.フィルターを75mMリン酸で5分間3回洗浄する。
10.フィルターをメタノールで2分間1回洗浄する。
11.フィルターを60℃で1時間乾燥する。
12.フィルターを低エネルギー蛍光体貯蔵プレート(phosphor storage plate)上で蛍光体貯蔵カセットに一夜曝露し、そして適するホスホイメージャー(本明細書ではTyphoon)を使用してシグナルを検出しかつ定量する。
【0383】
結果
上で詳述されたアッセイを使用して、c−Metキナーゼ阻害のIC50値は、化合物(I)の遊離塩基の形態およびHClとの化合物(I)の塩についてそれぞれおよそ7.01×10-9Mおよび1.32×10-8Mと決定された。
【実施例15】
【0384】
式(I)の化合物の生物学的活性
U87MG神経膠芽腫腫瘍異種移植モデル
緒言
U87MG神経膠芽腫細胞株(Piedmont Research Center LLC)はc−Met受容体を発現しかつヒト成長因子(HGF)に応答する。本研究は、c−Metの阻害剤での処置がU87MG神経膠芽腫腫瘍異種移植モデルに対し有効であるかどうかを検討した。本研究は、腫瘍増殖阻害(TGI)アッセイを利用して15ヌードマウスの群で経口(p.o.)化合物単剤療法を試験した。対照群はベヒクルすなわち20%ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン(HPBCD)で処置した。全処置は、樹立された皮下(s.c.)U87MG腫瘍を持つマウスで第1日(D1)に開始した。
【0385】
方法および材料
マウス
雌性無胸腺ヌードマウス(Harlan)は、試験のD1に18.1〜25.0gのBW範囲を伴う10〜11週齢であった。動物は、水(逆浸透、1ppm Cl)、ならびに18.0%粗タンパク質、5.0%粗脂肪および5.0%粗繊維からなるNIH 31
Modified and Irradiated Lab Diet(R)を随意に給餌された。マウスは、21〜22℃(70〜72°F)および40〜60%湿度で12時間の明周期の固定マイクロアイソレーター中で照射済ALPHA−dri(R)bed−o−cobs(R)実験動物床材上に収容した。全動物は、米国実験動物管理公認協会(Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care)(AAALAC)により完全に認定されている実験動物医学施設に収容した。動物が関わる全部の処置は、NIHの実験動物の管理と使用に関する指針(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)に従って実施し、また、全部のプロトコルは内部動物管理および使用委員会(Internal Animal
Care and Use Committee)(IACUC)により承認された。
【0386】
腫瘍移植
異種移植は、無胸腺ヌードマウスでの一連の移植により維持したU87MGヒト神経膠芽腫腫瘍断片から開始した。各試験マウスは、右脇腹に移植した皮下U87MG腫瘍断片(1mm3)を受領し、そして平均サイズが200mm3に近づく際に腫瘍の増殖をモニターした。12日後すなわち試験の第1日に、動物を、172〜352mm3からの範囲にわたる個々の腫瘍体積および216mm3の群平均腫瘍体積をもつ4群(n=12〜15マウス/群)に分類した。腫瘍体積は、式
【0387】
【数1】
【0388】
ここで、w=腫瘍の幅およびl=長さ(mm)
を使用して計算した。腫瘍重量は、1mgが1mm3の腫瘍体積に同等であるという仮定を用いて推定しうる。
【0389】
薬物処置
本発明の化合物の投薬溶液は、水中20%ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン(HPBCD)よりなるベヒクル中で毎週新たに調製した。全群で、0.2mL/20gマウスの投薬容量を、各動物の体重に合わせて増減(scale)した。用量は化合物のHCl塩の形態を見込むよう与えた。
【0390】
腫瘍増殖阻害(TGI)分析
TGIは、以下の関係
【0391】
【数2】
【0392】
によりベヒクル処置対照群の腫瘍体積中央値のパーセンテージとして表される、ベヒクル処置および薬物処置マウスの腫瘍体積中央値の間の差違から計算した。
【0393】
MTV(n)は、動物の数n(その日の試験で残存している)の腫瘍体積中央値(MTV)と定義する。
【0394】
毒性
動物を試験の最初の5日間毎日およびその後週2回体重測定した。マウスはいかなる有害な薬物関連の副作用の明白な徴候についても頻回に検査し、そして毒性の臨床徴候を観察された場合に記録した。許容できる毒性は、試験の間の20%未満の群平均体重(BW)減少、および10動物で1件以下の処置関連(TR)死亡と定義する。死亡は、それが臨床徴候および/若しくは剖検により明示されるところの処置の副作用に帰される、または投与期間中若しくは最後の投与の10日以内の未知の原因による場合にTRと分類する。死亡は、該死亡が薬物の副作用に関係したという証拠が存在しない場合に治療無関係(NTR)と分類する。死亡は、死亡の原因が未知である場合に処置無関係の未知(NTRu)と分類する。
【0395】
統計学的およびグラフ解析
中央値の解析のためのMann−WhitneyのU検定を使用して、MTV間の差違の統計学的有意性を決定した。Prism 3.03(GraphPad)for Windowsを統計学的解析およびグラフ表示に使用した。腫瘍増殖は試験の各群について時間に対する腫瘍体積中央値としてプロットした。加えて、最終腫瘍体積および最終腫瘍増殖阻害パーセント(%TGI)もまた該グラフ若しくは別個の棒グラフに表示した(*
=p≦0.05、**=p≦0.01、***=p≦0.001)。U87MG腫瘍増殖研究
の結果を図10および図11に示す。
【0396】
図10:化合物(I)を25、50および75mg/kgの用量でp.o.投与した。全用量が、無胸腺ヌードマウスで皮下で増殖させたU87MG腫瘍の統計学的に有意の腫瘍増殖阻害を生じた(p<0.01)。腫瘍退縮もまた全3用量で観察された。25mg/kg用量は第1日に1日1回(q.d.)および第12日まで1日2回投与した。50mg/kg用量は7日間1日2回、24時間休薬、その後第12日までq.d.投与した。50mg/kg用量と同様、75mg/kg用量は7日間1日2回、24時間休薬、その後第12日までq.d.投与した。
【0397】
図11:化合物(I)を25、50および75mg/kgの用量でp.o.投与した。処置の最終日(第12日)、平均腫瘍体積が、25、50および75mg/kgの用量でそれぞれ94%(p<0.01)、96%(p<0.01)および97%(p<0.01)減少した。25mg/kg用量は第1日に1日に1回(q.d.)および第12日まで1日2回投与した。50mg/kg用量は7日間1日2回、24時間休薬、その後第12日までq.d.投与した。50mg/kg用量と同様、75mg/kg用量は7日間1日2回、24時間休薬、その後第12日までq.d.投与した。
【0398】
S114腫瘍モデル
方法
マウス
雌性無胸腺ヌードマウス(CD−1、nu/nu、9〜10週齢)をCharles River Laboratories(マサチューセッツ州ウィルミントン)から得、そしてNIHの基準に従って管理した。全マウスは、21〜22℃および40〜50%湿度で維持した室中で12時間の明/暗周期で無菌のマイクロアイソレーターケージ中クリーンルーム条件下に群で収容した(5マウス/ケージ)。マウスは照射済の標準げっ歯類食餌および水を随意に給餌された。全動物は、米国実験動物管理公認協会(Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care)(AAALAC)により完全に認定されている実験動物医学施設に収容した。動物が関わる全部の処置は、NIHの実験動物の管理と使用に関する指針(Guide for the Care and Use
of Laboratory Animals)に従って実施し、また、全部のプロトコルは内部動物管理および使用委員会(Internal Animal Care and Use Committee)(IACUC)により承認された。
【0399】
S114腫瘍
ヒト成長因子(HGF)およびヒトc−Met受容体双方を過剰発現するよう工作されたマウスNIH 3T3由来細胞株S114をDMEM培地(Life Technologies、メリーランド州ベセスダ)で増殖させた。注入直前に細胞を洗浄し、計数し、そしてPBSに再懸濁した。体重が20〜21グラム以上の雌性無胸腺ヌードマウスに、0.1mLの送達容量中の5×106細胞を大腿の左鼠径部領域に皮下接種した。腫瘍を5日間増殖させた。
【0400】
薬物処置
マウスに20%HPBCD中100mg/kgの化合物若しくはベヒクル(20%HPBCD、対照群)を経口投与した。投与は連続4日継続した。本発明の化合物は20%HPβCDの澄明な溶液として連日新たに調製し、そして上述されたとおり投与した。体重を試験の終了時に測定し、そして10%超の体重減少を化合物の認容性の欠如の指標として使用した。許容できない毒性は試験の間の20%を超える体重減少と定義した。マウスは、有害な薬物関連の副作用の明白な臨床徴候について各用量で毎日緊密に検査した。体重若しくは行動の重大な変化は試験中に示されなかった。
【0401】
解析
試験終了日に、最終腫瘍体積および最終体重を各動物で得た。100%CO2を使用してマウスを安楽死させ、そして腫瘍を直ちに無傷で摘出しかつ重量測定し、最終腫瘍湿重量(グラム)が一次有効性エンドポイントとしてはたらいた。Prism 3.03(GraphPad)for Windowsを統計学的解析およびグラフ表示に使用した。S114腫瘍研究の結果を図12に示す。
【0402】
図12および表16:化合物(I)を100mg/kg、q.d.の用量で連続4日間p.o.投与した。S114腫瘍は化合物(I)で処置した全5マウスで退縮した。さらに、5マウスの3匹の腫瘍は試験の終了までに触知不可能で検出不可能な腫瘍に退縮した。
【0403】
【表16】
【0404】
以下に本発明の主な特徴と態様を列挙する。
【0405】
1. 式(II)
【0406】
【化30】
【0407】
ここでW1は脱離基である
の中間体を式(III)
【0408】
【化31】
【0409】
の中間体と反応させることを含んでなり、
前記反応させることが酸の存在下であることを特徴とする、
式(I)
【0410】
【化32】
【0411】
の化合物の塩の製造方法。
【0412】
2. (a)式(II)
【0413】
【化33】
【0414】
ここでW1は脱離基である
の中間体を式(III)
【0415】
【化34】
【0416】
の中間体と酸の存在下で反応させ、それにより式(I)の化合物の塩を得ること;および(b)前記酸を塩基と接触させて、それにより式(I)の化合物を得ること
を含んでなる、式(I)の化合物の製造方法。
【0417】
3. 式(III)の中間体が、
(a)式(VI)
【0418】
【化35】
【0419】
ここでW1はクロロ、ブロモ若しくはヨードである
の6−ハロキノリンのグリニヤール試薬を式(VIII)
【0420】
【化36】
【0421】
ここでR1はC1-6アルキルである
の中間体に転化すること;
(b)式(VIII)の中間体をデオキソフッ素化して、それにより式(IX)
【0422】
【化37】
【0423】
の中間体を得ること、
および(c)式(IX)の中間体をヒドラジン若しくはヒドラジン同等物で処理し、それにより式(III)の中間体を得ること
を含んでなる方法により製造される、1若しくは2のいずれかに記載の方法。
【0424】
4. 前記酸が約3未満、好ましくは約2未満、より好ましくは1に等しいか若しくはそれ未満のpKaを有する、1ないし3のいずれか1つに記載の方法。
【0425】
5. 前記酸が、ハロ水素酸、好ましくはHCl若しくはHBr、硫酸(H2SO4)、トリフルオロ酢酸、またはスルホン酸、好ましくはp−トルエンスルホン酸、p−ブロモベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、カンファースルホン酸、メタンスルホン酸若しくはエタンスルホン酸から選ばれる、1ないし4のいずれか1つに記載の方法。
【0426】
6. 前記酸がメタンスルホン酸である、5に記載の方法。
【0427】
7. (a)式(X)
【0428】
【化38】
【0429】
ここでPGは保護基である
の中間体を式(XI)
【0430】
【化39】
【0431】
ここでEは−OH、−O(-)(+)若しくは−OR1であり、ならびにMはアルカリ金属であり、およびR1はC1-6アルキルである
の中間体と反応させ、それにより式(XII)
【0432】
【化40】
【0433】
の中間体を得ること
(b)式(XII)の中間体から保護基PGを除去し、それにより式(XIII)
【0434】
【化41】
【0435】
の中間体を得ること、
および(c)式(XIII)の中間体を式(I)の化合物に転化すること
を含んでなる、式(I)
【0436】
【化42】
【0437】
の化合物の製造方法。
【0438】
8. 結晶形が、以下すなわち
−6.1±0.2、16.5±0.2および19.0±0.2の回折角(2θ)にピークを含んでなるX線粉末回折(XRPD)パターン;
図1に示されると本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含んでなるXRPDパターン;
−1027±2、835±2および822±2の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなるIRスペクトル;
−表2若しくは図2に示されると本質的に同一の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなるIRスペクトル;
−1027±2、982±2および892±2の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなるIRスペクトル;
−1分あたり10℃の走査速度で走査する場合に示差走査熱量測定(DSC)により測定されるところの199.0℃と203.5℃の間の融解吸熱
のいずれか1種若しくはそれ以上を有する、式(I)
【0439】
【化43】
【0440】
の化合物の結晶形。
【0441】
9. 結晶形が実質的に純粋である、8に記載の結晶形。
【0442】
10. 結晶形が、以下すなわち
−6.7±0.2、11.3±0.2および15.3±0.2の回折角(2θ)にピークを含んでなるXRPDパターン;
図3に示されると本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含んでなるXRPDパターン;
−1576±2、1225±2、836±2および830±2の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなるIRスペクトル;
−1042±2、987±2および969±2の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなるIRスペクトル;
−表4若しくは図4に示されると本質的に同一の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなるIRスペクトル;
のいずれか1種若しくはそれ以上を有する、式(I)
【0443】
【化44】
【0444】
の化合物の結晶形。
【0445】
11. 結晶形が実質的に純粋である、10に記載の結晶形。
【0446】
12. 式(I)
【0447】
【化45】
【0448】
の化合物の水和物の形態。
【0449】
13. 前記水和物の形態が、以下すなわち
−8.4±0.3、19.5±0.3および29.0±0.3の回折角(2θ)にピークを含んでなるXRPDパターン;
図5に示されると本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含んでなるXRPDパターン;
−836±2、825±2および668±2の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなるIRスペクトル;
−3299±2、985±2および668±2の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなるIRスペクトル;
−表6若しくは図6に示されると本質的に同一の吸収帯(cm-1)にピークを含んでなるIRスペクトル
のいずれか1種若しくはそれ以上を有する、12に記載の水和物の形態。
【0450】
14. 8、10若しくは12に記載されるところの結晶形から選択される最低2形態の混合物を含んでなる、固体の形態の式(I)の化合物。
【0451】
15. 酸との式(I)
【0452】
【化46】
【0453】
の化合物の塩であって、但し酸がHClでない塩。
【0454】
16. 前記酸が、HBr、硫酸(H2SO4)、トリフルオロ酢酸、またはスルホン酸、好ましくはp−トルエンスルホン酸、p−ブロモベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、カンファースルホン酸若しくはメタンスルホン酸から選ばれる、15に記載の塩。
【0455】
17. 製薬学的に許容できる担体とともに8ないし16のいずれか1つに記載されるところの式(I)の化合物の形態のいずれか1種若しくは混合物を含んでなる製薬学的組成物。
【0456】
18. 被験体でc−Metのキナーゼ活性を低下若しくは阻害し、かつ/または被験体でのc−Met発現を調節し、かつ/または被験体における細胞増殖性障害および/若しくはc−Metに関係する障害を予防若しくは処置するための医薬品の製造のための、8ないし16のいずれか1つに記載されるところの式(I)の化合物の形態のいずれか1種若しくは混合物の使用。
【0457】
19. 8ないし16のいずれか1つに記載の化合物および1種若しくはそれ以上の他の化学療法剤の組合せ。
【0458】
20. 8ないし16のいずれか1つに記載の化合物および放射線治療若しくは遺伝子治療の組合せ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12