(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5761881
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】弁類の作動状態監視装置
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20150723BHJP
F16K 37/00 20060101ALI20150723BHJP
F16T 1/48 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
G05B23/02 V
F16K37/00 F
F16T1/48 D
F16T1/48 C
F16K37/00 H
F16K37/00 M
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-254963(P2014-254963)
(22)【出願日】2014年12月17日
(62)【分割の表示】特願2010-136524(P2010-136524)の分割
【原出願日】2010年6月15日
(65)【公開番号】特開2015-97098(P2015-97098A)
(43)【公開日】2015年5月21日
【審査請求日】2014年12月17日
(31)【優先権主張番号】特願2009-187508(P2009-187508)
(32)【優先日】2009年8月12日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】小池 正
(72)【発明者】
【氏名】永瀬 守
【審査官】
青山 純
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−131707(JP,A)
【文献】
特表2003−503785(JP,A)
【文献】
実開平05−040677(JP,U)
【文献】
特開平10−227400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
F16K 37/00
F16T 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蒸気トラップを通して復水が排出される排出復水集合管としてのマニフォールド又は複数の弁を通して流体を分配供給する流体分配供給管としてのマニフォールドを構成する複数の弁類の夫々に作動状態検出用のセンサを装備すると共に、
無線通信により中央管理装置と情報交換するセンサ管理用の端末器に複数の前記弁類の夫々に装備された作動状態検出用の前記センサの夫々を接続し、
前記端末器は、前記マニフォールドを構成する複数の前記弁類の夫々及び前記マニフォールドを構成する複数の前記弁類の夫々に装備された作動状態検出用の前記センサの夫々よりも上方に、且つ、前記マニフォールドでない構造物に配備してあることを特徴とする弁類の作動状態監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場やプラントなどの流体配管系に配備される各種用途の弁や蒸気トラップなどに代表される弁類の作動状態を監視する弁類の作動状態監視装置に関し、特に複数の弁類の夫々に作動状態検出用のセンサを装備するとともに、無線通信により中央管理装置と情報交換するセンサ管理用の端末器に複数の作動状態検出用のセンサを接続する弁類の作動状態監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の弁類の作動状態監視装置は、例えば特許文献1に開示されている。この種の弁類の作動状態監視装置では、無線通信により中央管理装置と情報交換するセンサ管理用の端末器に担当する複数の作動状態検出用のセンサを接続する必要があり、端末器にいずれの作動状態検出用のセンサを接続するかを決定しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,145,529号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の弁類の作動状態監視装置において、端末器にいずれの作動状態検出用のセンサを接続するかを決定するには、端末器と夫々の作動状態検出用のセンサとの配置関係や離間距離や障害物等を考慮しなければならず、接続決定作業に多大な時間と労力を要する問題点があった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、合理的な構成を採用することにより上記の問題点を効果的に解消できる弁類の作動状態監視装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の弁類の作動状態監視装置は、
複数の蒸気トラップを通して復水が排出される排出復水集合管としてのマニフォールド又は複数の弁を通して流体を分配供給する流体分配供給管としてのマニフォールドを構成する複数の弁類の夫々に作動状態検出用のセンサを装備すると共に、無線通信により中央管理装置と情報交換するセンサ管理用の端末器に複数の前記弁類の夫々に装備された作動状態検出用の前記センサの夫々を接続し、前記端末器は、
前記マニフォールドを構成する複数の前記弁類の夫々及び
前記マニフォールドを構成する複数の前記弁類の夫々に装備された作動状態検出用の前記センサの夫々よりも上方に
、且つ、前記マニフォールドでない構造物に配備してあることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の弁類の夫々に装備された作動状態検出用のセンサを端末器に接続することにより、端末器にいずれの作動状態検出用のセンサを接続するかを決定するのに要する時間及び労力を削減することができ、弁類の作動状態監視装置の構築を容易にすることができるという優れた効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の弁類の作動状態監視装置の全体を示す概略平面図である。
【
図2】本発明の端末器の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の別の弁類の作動状態監視装置の全体を示す概略平面図である。
【
図4】本発明のセンサの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、
図1乃至
図3を参照して説明する。
図1は工場やプラントなどの流体配管系に配備された複数の蒸気トラップ1の作動状態を監視する作動状態監視装置を示す。複数の蒸気トラップ1を通して復水が排出される排出復水集合管2としてのマニフォールド3は、排出復水集合管2の左右に夫々4個の復水入口、上端に1個の復水出口、下端に1個のブロー口を有し、左右の復水入口に夫々上流側から入口弁4、蒸気トラップ1、出口弁5を配備するとともに、下端のブロー口にブロー弁6を配備して構成する。復水入口の数は8個に限らず、4個や16個あるいはその他の必要な個数だけ設けることができる。蒸気トラップ1の夫々の入口部に振動センサや温度センサにより構成する作動状態検出用のセンサ7を装備する。マニフォールド3の上部に無線通信により中央管理装置8と情報交換するセンサ管理用の端末器9をUボルト(図示せず)で固定して配備する。端末器9はマニフォールド3の近傍にある既設のまたは新設の柱等の構造物に取り付けてもよい。端末器9に複数の蒸気トラップ1の夫々に装備された作動状態検出用のセンサ7の夫々をリード線10(最上段のみ図示し、2乃至4段は図示せず)を介して接続する。
【0010】
端末器9は、
図2に示すように、マイクロプロセッサを用いたデジタル回路部21、複数のセンサ7の検出情報を順次に入力するための入力切換用スイッチ回路22aを有するアナログ回路部22、アンテナ23aを用いて情報の送受信を行なう通信部23、アナログ回路部22及び通信部23への供給電力を制御する電源制御部24、電源電池25、設定情報などを記憶する記憶部26、LEDを用いた警報灯27、から構成する。端末器9のデジタル回路部21は、中央管理装置8から無線通信により付与された設定情報に従い設定時間ごとに、あるいは設定時刻に、アナログ回路部22を電源制御部24による供給電力制御により休眠状態から覚醒状態にして、複数のセンサ7の検出情報を順次に入力し、この入力工程の後、電源制御部24による供給電力制御によりアナログ回路部22を再び休眠状態に戻す。また、入力したセンサ検出情報はデジタル回路部21で処理する。そして、センサ検出情報の入力に続き、端末器9のデジタル回路部21は、通信部23を同じく電源制御部24による供給電力制御により休眠状態から覚醒状態にして、デジタル回路部21で処理したセンサ検出情報を中央管理装置8へ送信するとともに中央管理装置8からの指示情報を受信し、この送受信工程の後、電源制御部24による供給電力制御により通信部23を再び休眠状態に戻す。
【0011】
なお、端末器9のデジタル回路部21は、通信部23が休眠状態下において自身宛ての中央管理装置8からの信号を受信したときには、それに対する対応のために通信部23を一時的に覚醒状態にする。また、端末器9のデジタル回路部21は、電源電池25の出力電圧及び通信部23で受信する信号の信号強度を監視するとともに、中央管理装置8からの指示に従って複数のセンサ7の機能チェック及び端末器各部の機能チェックを行ない、電源電池25の出力電圧が設定値未満に低下したときや、受信信号の信号強度が設定値未満になったとき、あるいはまた、複数のセンサ7及び端末器各部の機能チェックで異常が検出されたとき、異常信号を中央管理装置8に送信するとともに警報灯27を点滅して報知する。なお、端末器9は電源電池25に限らず、一般商用電源や自家用電源あるいは太陽電池などの補助電源も使用できる。
【0012】
中央管理装置8は、
図1に示すように、マイクロプロセッサを用いた演算制御部11及びハードディスク等を用いた記憶部12を備えるパーソナル型のコンピュータ本体13にディスプレイ装置14、キーボード15などの周辺装置とともに無線モデム16を接続して構成してあり、この無線モデム16を用いて端末器9との無線通信を行なう。中央管理装置8の演算制御部11は、端末器9から送られる前述のセンサ検出情報に基づき、各蒸気トラップ1の作動状態を診断し、診断結果をディスプレイ装置14に表示し記憶部12に記録するとともに、端末器9に対して警報灯27の点滅を通信により指示する。また、中央管理装置8の演算制御部11は、端末器9から前述の機能チェックや信号起用度低下などについて異常信号を受信したとき、異常情報をディスプレイ装置14に表示し記憶部12に記録する。なお、中央管理装置8の記憶部12には、無線モデム16を用いた通信を含む上記の各処理を演算制御部11に実行させるプログラムを格納してある。
【0013】
図3は本発明の別の実施の形態として、工場やプラントなどの流体配管系に配備された複数の弁31の作動状態を監視する作動状態監視装置を示す。複数の弁31を通して流体を分配供給する流体分配供給管32としてのマニフォールド33は、流体分配供給管32の左右に夫々4個の蒸気出口、上端に蒸気入口、下端にブロー口を有し、左右の蒸気出口に夫々弁31を配備するとともに、下端のブロー口にブロー弁36を配備して構成する。蒸気出口の数は8個に限らず、4個や16個あるいはその他の必要な個数だけ設けることができる。弁31の夫々の出口部に振動センサや温度センサにより構成する作動状態検出用のセンサ7を装備する。マニフォールド33の上部に無線通信により中央管理装置8と情報交換するセンサ管理用の端末器9をUボルト(図示せず)で固定して配備する。端末器9はマニフォールド33の近傍にある既設のまたは新設の柱等の構造物に取り付けてもよい。端末器9に複数の弁31の夫々に装備された作動状態検出用のセンサ7の夫々をリード線10(最上段のみ図示し、2乃至4段は図示せず)を介して接続する。
【0014】
前述の実施の形態では、端末器9にセンサ7の夫々をリード線10を介して接続したが、端末器9にセンサ7の夫々を無線通信により接続してもよい。この場合、センサ7の夫々は、
図4に示すように、マイクロプロセッサを用いたデジタル回路部41、作動状態検出用の検出部42、アンテナ43a を用いて情報の送受信を行なう通信部43、検出部42及び通信部43への供給電力を制御する電源制御部44、電源電池45、設定情報などを記憶する記憶部46、LEDを用いた警報灯47、を有する構成とする。また、端末器9は、
図2に示す構成からアナログ回路部22及びセンサ7を除いた構成とする。端末器9に無線通信により接続するセンサ7のデジタル回路部41は、中央管理装置8から無線通信により付与された設定情報に従い設定時間ごとに、あるいは設定時刻に、検出部42及び通信部43を電源制御部44による供給電力制御により休眠状態から覚醒状態にして、蒸気トラップ1あるいは弁31の作動状態を検出部42により検出し、検出情報を通信部43により端末器9へ送信し、この送信工程の後、電源制御部44による供給電力制御により検出部42及び通信部43を再び休眠状態に戻す。なお、センサ7のデジタル回路部41は、通信部43が休眠状態下において自身宛ての中央管理装置8からの信号を受信したときには、それに対する対応のために通信部43を一時的に覚醒状態にする。また、センサ7のデジタル回路部41は、電源電池45の出力電圧及び通信部43で受信する信号の信号強度を監視するとともに、中央管理装置8からの指示に従ってセンサ各部の機能チェックを行ない、電源電池45の出力電圧が設定値未満に低下したときや、受信信号の信号強度が設定値未満になったとき、あるいはまた、センサ各部の機能チェックで異常が検出されたとき、異常信号を中央管理装置8に送信するとともに警報灯47を点滅して報知する。なお、センサ7は電源電池45に限らず、一般商用電源や自家用電源あるいは太陽電池などの補助電源も使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、工場やプラントなどの流体配管系に配備される複数の弁類の夫々に作動状態検出用のセンサを装備するとともに、無線通信により中央管理装置と情報交換するセンサ管理用の端末器に複数の作動状態検出用のセンサを接続する弁類の作動状態監視装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0016】
1 蒸気トラップ
2 排出復水集合管
3 マニフォールド
7 センサ
8 中央管理装置
9 端末器
10 リード線
31 弁
32 流体分配供給管
33 マニフォールド