【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的を達成するための第一の解決手段は、
鋼球免震支承装置において、下転動板の上面側に対向させて適宜な剛材料でなる、所定の直径の荷重負荷転動面を下面側とする同直径の、所定の厚さの上転動円盤台を配設する。
【0009】
上転動円盤台の全外周縁から所定の空間幅を確保して、上転動円盤台と同剛材料でなる、円筒状の
球離脱防止壁板体を立設する。
【0010】
適宜数の
鋼球を下転動板上に載置し、更に上転動円盤台の荷重負荷転動面を剛球上に当接させ、
球離脱防止壁板体の下端高を、下転動板上面から所定の間隔を用いた高さとする。
【0011】
荷重負荷転動面線より上側となる上転動円盤台の厚みの、上方向への全外周縁の所定の高さ位置に、球非支持空間天井板の下面線を合わせて、所定の空間幅と同幅で、上転動円盤台と同剛材料の円環状の球非支持空間天井板を、
球離脱防止壁板体の内壁面に当接するよう水平状に配設して、球非支持空間天井板下面と下転動板の上面間に球無負荷停留兼移動空間を形成させる。
【0012】
上転動円盤台の上面高に球非支持空間天井板と
球離脱防止壁板体との上面高を揃え、
球離脱防止壁板体の上端全外縁側に適宜な形状の取付板を配設する。
【0013】
荷重負荷転動面の全外周縁の内側縁に沿わせて、上転動円盤台と同剛材料でなる
球進路変更円柱を適宜数、
球進路変更円柱下端高を、
球離脱防止壁板体の下端高と同高として均等間隔で配設する。
【0014】
更に球非支持空間天井板の適宜な位置に、上下面間を貫通させて適宜数の、閉止栓付の球投入孔を開孔し、球無負荷停留兼移動空間内に適宜数の
鋼球を挿入する。
【0015】
上転動円盤台と球非支持空間天井板と
球離脱防止壁板体と更に取付板と
球進路変更円柱とを、それぞれ間を適宜に固着して一体化させてなる
鋼球免震支承装置の構成である。
【0016】
上転動円盤台の適宜な剛材料としては、磁性、非磁性を問わず鋼材、鋳鉄、ステンレス材、アルミ材、合成樹脂材等々が用いられ、他に多数個の
鋼球が被免震物荷重を支持して転動免震するに抵抗できる剛材料であれば何れの剛材料も用いることができる。
【0017】
荷重負荷転動面の所定の直径は、被免震物荷重を複数台の
鋼球免震支承装置が分担支持して転動免震できる最低限以上の適宜数の
鋼球が、1段の平面状に存在して転動免震可能な直径である。また、所定の厚さとは、負担する被免震物荷重を分担支持することが出来る厚さである。
【0018】
上転動円盤台の全外周縁と円筒状の
球離脱防止壁板体間に確保する所定の空間幅は、
球離脱防止壁板体の内壁面と上転動円盤台の全外周縁間を、用いる適宜数の
鋼球が容易に往復や移動の動作が行える空間幅である。
【0019】
鋼球は上転動円盤台と同じ剛材料
で用いることができ、
鋼球の直径は適宜に用いられるが、負担する被免震物の荷重量を基にして選定する。
【0020】
球離脱防止壁板体の下端高を、下転動板上面から所定の間隔を用いた高さとする、所定の間隔は、用いる
鋼球が、平常時及び転動免震中に
球離脱防止壁板体の外側に過転流失できない間隔である。
【0021】
荷重負荷転動面線より上側となる上転動円盤台の厚みの、上方向への全外周縁の所定の高さ位置とは、荷重負荷転動面下の下転動板上から球無負荷停留兼移動空間内に転動入して来た
鋼球が、球無負荷停留兼移動空間内の下転動板上から六方充填的に停留できない適宜な高さであり、具体的には球無負荷停留兼移動空間内には
鋼球が1段の平面状にしか存在できない高さである。更に、積み重さなることなく、多数の
鋼球が1段の平面状に容易に移動することができる余裕の高さを有する高さである。
【0022】
なお、球非支持空間天井板の下面線を、
球離脱防止壁板体の内壁面に当接するよう水平状に配設しての、水平状の範囲には、正水平と、
球離脱防止壁板体又は上転動円盤台の全外周縁方向への、僅かな傾斜角も含まれており、球非支持空間天井板の下面線に適宜な僅かな傾斜角を用いることができる。
【0023】
上転動円盤台と球非支持空間天井板と
球離脱防止壁板体と取付板と更に
球進路変更円柱とを、それぞれ間を適宜に固着する手段としては、溶接や螺子着や、或いは鋳造や成形型等を用いて成形することができる。一体的に強固に固着できるなら何れの手段も用いることができる。
【0024】
本発明の目的を達成するための第二の解決手段は、
球離脱防止壁板体の外壁面側に、所定の高さの適宜な球転流失防止機構を自在状に、下転動板上に載置して配設し、
球離脱防止壁板体の上端高に、所定の上端高を用いる。
【0025】
上転動円盤台と球非支持空間天井板との上面側の適宜位置に適宜形状の複数の上転動円盤台と同剛材料でなる、被免震物荷重支持柱を、上端高を
球離脱防止壁板体の上端高に揃えて配設する。
【0026】
球離脱防止壁板体の上端全外縁側に適宜な形状の所定の幅を備えた取付板を配設する。
【0027】
被免震物荷重支持柱の下端を上転動円盤台上面に、取付板の内端側を
球離脱防止壁板体の上端外縁側に、それぞれ間を適宜に固着して一体化させてなる第一の解決手段の
鋼球免震支承装置の構成である。
【0028】
球転流失防止機構の所定の高さは、地震動により
鋼球免震支承装置が下転動板上より浮き上った状態時に、下転動板上に載置してある球転流失防止機構が、
鋼球が球離脱防止壁板体の下端から、外側に過転流失することを防止することができる高さである。
【0029】
球離脱防止壁板体の高さの下端値に、用いる
鋼球の直径値を最少限として加算した値を球転流失防止機構の高さとすることにより、
鋼球免震支承装置が下転動板上より浮き上った状態時に、球転流失防止機構が最少限、
鋼球が
球離脱防止壁板体外へ過転流失することを防止できる。
【0030】
球離脱防止壁板体の所定の上端高は、
鋼球が
球離脱防止壁板体外へ過転流失し、転動免震が不能となり
球離脱防止壁板体と
球進路変更円柱とが滑り支承化するとき、用いる
鋼球の直径値を最少限として加算された球転流失防止機構が取付板下面と下転動板間に容易納まることができる高さである。
【0031】
取付板の所定の幅は、
球離脱防止壁板体の外壁面側に備える球転流失防止機構の横幅が納まることができる幅である。
【0032】
球離脱防止壁板体が浮き上ったとき、球転流失防止機構は下転動板上にあって、
鋼球が下端外に過転流失することを防止することができるなら、適宜な材料及び構成の球転流失防止機構を用いることが出来る。
【0033】
本発明の目的を達成するための第三の解決手段は、適宜な球転流失防止機構が、
球離脱防止壁板体の外壁面の全円周縁を取り囲み、自在状に下転動板上に載置した、適宜な剛材料でなる適宜な厚みの円筒環状の板状材でなる、第二の解決手段の
鋼球免震支承装置の構成である。
【発明の効果】
【0034】
第一から三の解決手段の
鋼球免震支承装置は、比較的に小球径の多数の
鋼球が荷重負荷転動面下を1段の平面状に転動免震する構成であるため座高の低いコンパクトな装置となり、軽量で取扱が容易で、設置作業が簡単に行える。
【0035】
多数の
鋼球が荷重負荷転動面下を1段の平面状に転動免震する構成であるため、被免震物を多点支持し、下転動板は多点に分散した荷重を支持すため局点支持とはならず、剛強な専用の下転動板を必要とせず、通常の剛滑面でなる平坦なコンクリート床面、人造石床面等を下転動板として用いることができ、更に軽荷重被免震物を支持する場合では、構造用合板等でなる床面や、その他の平坦な木材床面を下転動板として利用することができる。
【0036】
被免震物の基礎盤の面積が、一盤の
鋼球免震支承装置の取付板の面積内に納まる小型の被免震物であれば、一盤の
鋼球免震支承装置のみを用いて転動免震することが可能な一盤完成型の
鋼球免震支承装置であり、大面積の被免震物では、必要とする適宜な荷重支持個所に必要とする個数だけ一盤ずつ挿入して用いることができる、
【0037】
球非支持空間天井板下面線高を、球無負荷停留兼移動空間内に移動入する
鋼球が、六方充填的に停留できない以下の適宜な高さとすることにより、球無負荷停留兼移動空間内を
鋼球が積み重なることなく、多数の
鋼球が停滞することなく1段の平面状に容易に移動することができ、剛球が荷重負荷転動面下にスムースに移動入するため、小中大の混合した変位量の地震動時はもとより、直線的な大変位量時においても
鋼球は支障なく転動免震することができ、より大変位量を許容することがでる。
【0038】
球進路変更円柱は、滑り支承として機能すると共に球進路変更の機能も兼ね備えており、転動免震時において、多数の
鋼球が下転動板の変位方向に従い揃って、直線的に球無負荷停留兼移動空間内に移動入するため停滞がおこりやすく、
球進路変更円柱により、一部の
鋼球は直進行を乱流させられることにより、進路が変更され、停滞を予防することができる。
【0039】
球離脱防止壁板体と下端高を同高とする
球進路変更円柱を荷重負荷転動面下に適宜数を均等間隔で配設することにより、地震動により万一に
鋼球が
球離脱防止壁板体外に過転流失して転動免震が不能となつた場合でも、
球離脱防止壁板体と
球進路変更円柱との双方の下端側が下転動板1上面を滑り、滑り支承機能を発揮し、最低限の免震機能を保持することができる。
【0040】
球非支持空間天井板の適宜な位置に、上下面間を貫通させて適宜数の、閉止栓付の球投入孔を開孔することにより
鋼球の磁着機能を備えない
鋼球免震支承装置内の球無負荷停留兼移動空間内への
鋼球の挿入を容易とすることができる。
【0041】
鋼球は剛球として、ステンレス球、合成樹脂球等を用いられることにより、屋外や海水、真水を使用する個所での利用が可能となり、該装置の利用範囲が広くなる経済性が得られる。
【0042】
球離脱防止壁板体の外壁面側に、適宜な球転流失防止機構を備えることにより、
鋼球の磁着機能を備えない鋼球免震支承装置の
鋼球を、
球離脱防止壁板体の外側に過転流失することを防止することができ、永久磁石とステンレス材の上転動円盤台を必要とせず、更に磁石室を必要とせず、装置が小型化する経済性が得られる。
【0043】
永久磁石を用いないため、外部磁気の進入を拒絶する機器等に用いることができき、装置の利用範囲が広くなる経済的効果が得られる。
【0044】
上転動円盤台は、剛材料であれば用いる材質は制約なく用いられ、更に厚みも制約なく用いられるため、より重荷重の被免震物荷重を支持することができる、小型の
鋼球免震支承装置となる。