特許第5761885号(P5761885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5761885
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】配電盤システム
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/30 20060101AFI20150723BHJP
【FI】
   H02B1/08 M
【請求項の数】6
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2015-510213(P2015-510213)
(86)(22)【出願日】2015年2月18日
(86)【国際出願番号】JP2015000773
【審査請求日】2015年4月3日
(31)【優先権主張番号】特願2014-33923(P2014-33923)
(32)【優先日】2014年2月25日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512231417
【氏名又は名称】株式会社Wave Energy
(74)【代理人】
【識別番号】100150153
【弁理士】
【氏名又は名称】堀家 和博
(72)【発明者】
【氏名】本家 正雄
(72)【発明者】
【氏名】石本 光丈
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−243867(JP,A)
【文献】 特開2010−63292(JP,A)
【文献】 実開平4−80212(JP,U)
【文献】 実開昭62−178707(JP,U)
【文献】 特開2000−184527(JP,A)
【文献】 特開2012−70498(JP,A)
【文献】 特開平7−163024(JP,A)
【文献】 特開2011−36045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/30
H02B 1/20
H02B 3/00
H02B 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの盤筐体(2)と、この盤筐体(2)外からの直流電流又は交流電流を低圧交流電流(L)に変換する変換部(3)と、この変換部(3)からの低圧交流電流(L)をより高圧な高圧交流電流(H)に変圧するトランス(4)と、このトランス(4)からの高圧交流電流(H)を盤筐体(2)外へ送電する送電部(5)を有した配電盤であって、
前記盤筐体(2)内には2つの変換部(3)と1つの送電部(5)が設けられ、前記盤筐体(2)に外から1つのトランス(4)が取り付けられ、
前記変換部(3)それぞれから1つのトランス(4)へ低圧交流電流(L)を流す低圧ケーブル(6L)と、前記1つのトランス(4)から1つの送電部(5)へ高圧交流電流(H)を流す高圧ケーブル(6H)を有し、
前記1つのトランス(4)と1つの送電部(5)が、この順で所定方向に並んで配置されていると共に、
この所定方向と略直交する方向に並んで、前記2つの変換部(3)が、前記1つの送電部(5)におけるトランス(4)とは反対の側に配置されていることを特徴とする配電盤。
【請求項2】
前記低圧ケーブル(6L)が複数集まって形成された低圧束(8L)を2組有し、前記高圧ケーブル(6H)が複数集まって形成された高圧束(8H)を1組有すると共に、
前記2組の低圧束(8L)と1組の高圧束(8H)は、前記盤筐体(2)の内外に亘る1つの位置で、並列に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の配電盤。
【請求項3】
前記変換部(3)それぞれと送電部(5)は、距離をあけて配置されていると共に、
前記変換部(3)同士も、互いに距離をあけて配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の配電盤。
【請求項4】
1つの盤筐体(2)と、この盤筐体(2)外からの直流電流又は交流電流を低圧交流電流(L)に変換する変換部(3)と、この変換部(3)からの低圧交流電流(L)をより高圧な高圧交流電流(H)に変圧するトランス(4)と、このトランス(4)からの高圧交流電流(H)を盤筐体(2)外へ送電する送電部(5)と、この送電部(5)の送電、変換部(3)の変換及びトランス(4)の変圧を補う補助機器(20)を有した配電盤であって、
前記盤筐体(2)内には変換部(3)と送電部(5)と補助機器(20)が設けられ、前記盤筐体(2)に外からトランス(4)が取り付けられ、
前記変換部(3)からトランス(4)へ低圧交流電流(L)を流す低圧ケーブル(6L)と、前記トランス(4)から送電部(5)へ高圧交流電流(H)を流す高圧ケーブル(6H)を有し、
前記トランス(4)と送電部(5)が、この順で所定方向に並んで配置されていると共に、
前記変換部(3)と補助機器(20)が、前記送電部(5)を中心としてトランス(4)から遠ざかる側に配置されていることを特徴とする配電盤。
【請求項5】
1つの盤筐体(2)と、この盤筐体(2)外からの直流電流又は交流電流を低圧交流電流(L)に変換する変換部(3)と、この変換部(3)からの低圧交流電流(L)をより高圧な高圧交流電流(H)に変圧するトランス(4)と、このトランス(4)からの高圧交流電流(H)を盤筐体(2)外へ送電する送電部(5)を有した配電盤であって、
前記盤筐体(2)内には変換部(3)と送電部(5)が設けられ、前記盤筐体(2)に外からトランス(4)が取り付けられ、
前記変換部(3)からトランス(4)へ低圧交流電流(L)を流す低圧ケーブル(6L)は、前記トランス(4)から送電部(5)へ高圧交流電流(H)を流す高圧ケーブル(6H)より長く、
前記高圧ケーブル(6H)及び低圧ケーブル(6L)は、前記盤筐体(2)内において、当該配電盤の使用者が盤筐体(2)内で移動可能な盤内スペース(16)とは反対側にある盤面材寄りに配設されていることを特徴とする配電盤。
【請求項6】
1つの盤筐体(2)と、この盤筐体(2)外からの直流電流又は交流電流を低圧交流電流(L)に変換する変換部(3)と、この変換部(3)からの低圧交流電流(L)をより高圧な高圧交流電流(H)に変圧するトランス(4)と、このトランス(4)からの高圧交流電流(H)を盤筐体(2)外へ送電する送電部(5)と、この送電部(5)の送電、変換部(3)の変換及びトランス(4)の変圧を補う補助機器(20)を有した配電盤であって、
前記盤筐体(2)内には変換部(3)と送電部(5)と補助機器(20)が設けられ、前記盤筐体(2)に外からトランス(4)が取り付けられ、
前記変換部(3)からトランス(4)へ低圧交流電流(L)を流す低圧ケーブル(6L)と、前記トランス(4)から送電部(5)へ高圧交流電流(H)を流す高圧ケーブル(6H)を有し、
前記トランス(4)と送電部(5)が、この順で所定方向に並んで配置されていると共に、
前記変換部(3)が、前記送電部(5)を中心としてトランス(4)から遠ざかる側に配置されていることを特徴とする配電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電における太陽電池など、盤筐体の外から流入した電流を低圧交流電流に変え、この低圧交流電流をより高圧な高圧交流電流に変え、この高圧交流電流を盤筐体の外へ送電する特別高圧用等のV字型配電盤などの配電盤システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、変電に要する機器を備えた変電設備ユニットが知られている(特許文献1参照)。
この変電設備ユニットは、ガス絶縁開閉装置を収納したガス絶縁開閉装置キュービクル、変圧器本体とこの変圧器本体よりも上方に配置して上記変圧器本体の熱を放散する冷却器とからなり、上記ガス絶縁開閉装置キュービクルに1次側を直結したガス絶縁変圧器、およびこのガス絶縁変圧器の2次側に直結した配電盤を備え、これらのガス絶縁開閉装置キュービクル、ガス絶縁変圧器、および配電盤を同一のベース上に設置して一つのパッケージとなし、トレーラによる一括輸送を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−184527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された変電設備ユニットは、それぞれの機器を、特許文献1の図8で示された電流の流れに従って、ただ単純に順次所定方向に並置しただけである。
そのため、変圧器から配電網等へ送電する際に、電力の損失を抑える目的で非常に高圧(特別高圧等)まで昇圧した場合、各機器を単純に電流の順次所定方向に並べただけでは、使用者の点検時などにおける高圧部分との不用意な接触を避けるべく、高圧部分(変圧器本体や高圧など)と他の機器の間に十分な周囲スペースの確保が必須となる。
又、特許文献1の変電設備ユニットは、各機器を電流の流れに従って並べただけでは、所定方向の長さが延び、ユニット全体の大型化や、輸送・設置に必要とされるスペースが非常に長大となる。
更に、特許文献1の変電設備ユニットは、その特許文献1の実施の形態4で、各機器の外箱を冷媒通路として中空化するなど、各機器の外箱分だけ、重量・容量が増加する。
【0005】
本発明は、このような点に鑑み、盤筐体内に変換部と送電部等を設け、盤筐体外にトランスを取り付け、トランスと送電部をこの順で所定方向に並べつつ、これらに略直交するように2つの変換部を並べる等によって、「不用意な接触の抑制」と「盤の小型化」を両立できる配電盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る配電盤1は、1つの盤筐体2と、この盤筐体2外からの直流電流又は交流電流を低圧交流電流Lに変換する変換部3と、この変換部3からの低圧交流電流Lをより高圧な高圧交流電流Hに変圧するトランス4と、このトランス4からの高圧交流電流Hを盤筐体2外へ送電する送電部5を有した配電盤であって、前記盤筐体2内には2つの変換部3と1つの送電部5が設けられ、前記盤筐体2に外から1つのトランス4が取り付けられ、前記変換部3それぞれから1つのトランス4へ低圧交流電流Lを流す低圧ケーブル6Lと、前記1つのトランス4から1つの送電部5へ高圧交流電流Hを流す高圧ケーブル6Hを有し、前記1つのトランス4と1つの送電部5が、この順で所定方向に並んで配置されていると共に、この所定方向と略直交する方向に並んで、前記2つの変換部3が、前記1つの送電部5におけるトランス4とは反対の側に配置されていることを第1の特徴とする。
【0007】
本発明に係る配電盤1の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、前記低圧ケーブル6Lが複数集まって形成された低圧束8Lを2組有し、前記高圧ケーブル6Hが複数集まって形成された高圧束8Hを1組有すると共に、前記2組の低圧束8Lと1組の高圧束8Hは、前記盤筐体2の内外に亘る1つの位置で、並列に配設されている点にある。
尚、本発明における「並列に配置されている」とは、2組の低圧束8Lと1組の高圧束8Hのうち少なくとも1組が、「平面視、正面視及び側面視のうち少なくとも1つで、並列に配置されている」との意味である。
【0008】
本発明に係る配電盤1の第3の特徴は、上記第1又は2の特徴に加えて、前記変換部3それぞれと送電部5は、距離をあけて配置されていると共に、前記変換部3同士も、互いに距離をあけて配置されている点にある。
【0009】
本発明に係る配電盤1の第4の特徴は、1つの盤筐体2と、この盤筐体2外からの直流電流又は交流電流を低圧交流電流Lに変換する変換部3と、この変換部3からの低圧交流電流Lをより高圧な高圧交流電流Hに変圧するトランス4と、このトランス4からの高圧交流電流Hを盤筐体2外へ送電する送電部5と、この送電部5の送電、変換部3の変換及びトランス4の変圧を補う補助機器20を有した配電盤であって、前記盤筐体2内には変換部3と送電部5と補助機器20が設けられ、前記盤筐体2に外からトランス4が取り付けられ、前記変換部3からトランス4へ低圧交流電流Lを流す低圧ケーブル6Lと、前記トランス4から送電部5へ高圧交流電流Hを流す高圧ケーブル6Hを有し、前記トランス4と送電部5が、この順で所定方向に並んで配置されていると共に、前記変換部3と補助機器20が、前記送電部5を中心としてトランス4から遠ざかる側に配置されている点にある。
【0010】
本発明に係る配電盤1の第5の特徴は、1つの盤筐体2と、この盤筐体2外からの直流電流又は交流電流を低圧交流電流Lに変換する変換部3と、この変換部3からの低圧交流電流Lをより高圧な高圧交流電流Hに変圧するトランス4と、このトランス4からの高圧交流電流Hを盤筐体2外へ送電する送電部5を有した配電盤であって、前記盤筐体2内には変換部3と送電部5が設けられ、前記盤筐体2に外からトランス4が取り付けられ、前記変換部3からトランス4へ低圧交流電流Lを流す低圧ケーブル6Lは、前記トランス4から送電部5へ高圧交流電流Hを流す高圧ケーブル6Hより長く、前記高圧ケーブル6H及び低圧ケーブル6Lは、前記盤筐体2内において、当該配電盤の使用者が盤筐体2内で移動可能な盤内スペース16とは反対側の盤面材寄りに配設されている点にある。
本発明に係る配電盤1の第6の特徴は、1つの盤筐体2と、この盤筐体2外からの直流電流又は交流電流を低圧交流電流Lに変換する変換部3と、この変換部3からの低圧交流電流Lをより高圧な高圧交流電流Hに変圧するトランス4と、このトランス4からの高圧交流電流Hを盤筐体2外へ送電する送電部5と、この送電部5の送電、変換部3の変換及びトランス4の変圧を補う補助機器20を有した配電盤であって、前記盤筐体2内には変換部3と送電部5と補助機器20が設けられ、前記盤筐体2に外からトランス4が取り付けられ、前記変換部3からトランス4へ低圧交流電流Lを流す低圧ケーブル6Lと、前記トランス4から送電部5へ高圧交流電流Hを流す高圧ケーブル6Hを有し、前記トランス4と送電部5が、この順で所定方向に並んで配置されていると共に、前記変換部3が、前記送電部5を中心としてトランス4から遠ざかる側に配置されている点にある。
【0011】
これらの特徴により、盤筐体2内に2つの変換部3と1つの送電部5を設け、盤筐体2に外から1つのトランス4を取り付け、これらトランス4と送電部5をこの順で所定方向に並べつつ、2つの変換部3を所定方向と略直交する方向に並べることで、盤筐体2内で、送電部5は、2つの変換部3よりトランス4に近い側に配設されることとなり、その結果、盤筐体2内における送電部5からトランス4への高圧ケーブル6Hの長さが、盤筐体2内における変換部3からトランス4への低圧ケーブル6Lの長さより短くなり、その短さの分だけ、使用者による点検等の際に、高圧部分と不用意に接触する可能性が減る。
これと同時に、特許文献1のように各機器ごとに設けた筐体(外箱)を設けた場合と比べて、各機器の筐体(外箱)や、各機器の間のスペースの分だけ、コンパクト化が図られ、重量の低減にも繋がる。
つまり、「不用意な接触の抑制」と「盤の小型化」の両立を実現できる。
この両立は、盤筐体2内で送電部5より内側に、変換部3と補助機器20を設けた場合や、低圧ケーブル6Lを高圧ケーブル6Hより長くし且つ高圧ケーブル6H及び低圧ケーブル6Lを盤内スペース16とは反対側の盤面材2j寄りに配設した場合も同様である。
又、本発明の配電盤1を、配電盤システムと呼んでも良い。
【0012】
又、2つの低圧束8Lと1つの高圧束8Hを、盤筐体2の内外に亘る1つの位置で並列に配設することで、盤筐体2におけるトランス4側の面材(部分)に低圧束8Lと、高圧束8Hを一括配置可能となって「構造の簡素化」が図れると共に、屋外に設置する等の場合には、この盤筐体2の内外に亘る1つの位置さえ覆うなどするだけで、防水できる(「防水の容易化」)。
更に、各変換部3を送電部5と距離をあけて配置すると共に、変換部3同士を互いに距離をあけて配置することで、使用者が、盤筐体2内で、移動したり、変換部3、送電部5などのメンテナンスを行う等のスペース(盤内スペース16)を確保できる。
尚、盤内スペース16は、配電盤1の使用者が、盤筐体2内で移動可能なスペースであれば、何れの広さ・形状でも良い。
【0013】
この他、配電盤は、前記盤筐体2に開閉可能な扉7が設けられ、前記盤筐体2外では、前記低圧ケーブル6Lの低圧束8Lが高圧ケーブル6Hの高圧束8Hより前記盤筐体2の近くで且つ低い位置に配設されてトランス4に接続されると共に、前記トランス4に接続される高圧束8Hは各高圧ケーブル6Hが平面視、正面視及び側面視の何れもで重複しない部分を有している場合もある。
又、配電盤は、前記変換部3内から空気を逃がす送風手段9の送風を受ける位置にある前記盤筐体2の内面2fに、この内面2fから突出した部分を切り欠いて突出高さを抑えた支持材10が設けられている場合もある。
更に、配電盤は、前記盤筐体2外から変換部3へ直流電流を流し込む直流ケーブル11に、この直流ケーブル11を遮断する複数のブレーカ12が設けられ、これらの各ブレーカ12は、三相交流用のブレーカを、その流入側T相端子と流出側S相端子を接続具13で接続して用い、この接続具13は、前記ブレーカ12における前記盤筐体2の後面(後面材)2b側のみに位置している場合もある。
【0014】
これらにより、盤筐体2に開閉可能な扉7を設けた場合には、この扉7とは反対側寄りに、低圧ケーブル6Lと高圧ケーブル6Hが盤筐体2の内外に亘る位置を設けることで、扉7から離れた位置に、低圧ケーブル6Lと高圧ケーブル6Hを配設可能、つまり、この低圧ケーブル6L及び高圧ケーブル6Hから扉7までの間に空間(点検スペース等)を確保でき、メンテナンス性の向上と共に、不用意な接触が更に抑制される。又、スペースに通信機器の設置も可能となる。
ここで、低圧ケーブル6Lの電力と高圧ケーブル6Hの電力が略同じであるとすれば、(電力)=(電圧)×(電流)であるから、低圧ケーブル6Lに流れる低圧交流電流Lが、高圧ケーブル6Hに流れる高圧交流電流Hより多くなることに起因している。
更に、通常、ケーブルの許容電流はその断面積に比例する(ケーブルの断面積が大きいほど、多くの電流が流れる)ことから、低圧ケーブル6Lの低圧束8Lの方が、高圧ケーブルの高圧束8Hよりも太くなり、同じ銅の素材を使っていれば、低圧ケーブル6Lの低圧束8Lの方が、高圧ケーブルの高圧束8Hよりも重くなり得る。
従って、太く重くなる低圧ケーブル6Lの低圧束8Lを、低圧束8Lより細くて軽くなる高圧束8Hより低い位置に配設した場合には、低圧束8Lの安定化が図れると共に、低圧束8Lを高圧束8Hより盤筐体2の近くに配設した場合には、細い高圧束8Hの隙間から太い低圧束8Lのトランス4への接続等が容易となり、逆に配設した時よりも、低圧ケーブル6Lと高圧ケーブル6Hの両方のメンテナンス性を同時に向上できる。
又、高圧束8Hを、各高圧ケーブル6Hが平面視、正面視及び側面視の何れもで重複しない部分を有するように構成した場合には、限られた空間の中で各高圧ケーブル6H間の距離を最大限大きく出来るので、結果的に、配電盤1としてのコンパクト化を図れると同時に、図5、6に示したように、見る角度を少し変えるだけで、各高圧ケーブル6H間から見える低圧ケーブル6Lの接続部分4Lが変わり、各高圧ケーブル6H自体のトランス4へ接続と、各高圧ケーブル6Hの間から低圧束8Lのトランス4への接続が更に容易となる。
更に加えて、変換部3内から空気を逃がす送風手段9の送風を受ける位置にある盤筐体2の内面2fに、この内面2fから突出した部分を切り欠いて突出高さを抑えた支持材10を設けた場合には、送風手段9の送風によって生じる盤筐体2内における空気の対流を妨げることなく、盤筐体2で支持材10が設けられた部分を、内面2f側から補強できる。
そして、盤筐体2外から変換部3への直流ケーブル11を遮断する複数のブレーカ12を設け、各ブレーカ12として、ブレーカの流入側T相端子と流出側S相端子を接続具13で接続したものを用い、接続具13を、ブレーカ12における盤筐体2の後面(後面材)2b側のみに位置させた場合には、ブレーカ12の左右側面に接続具13が位置するよりも広幅とはならず、隣接する各ブレーカ12を、正面視において近接配置することが可能となって、所定空間により多くのブレーカ12を配設でき、結果的に、配電盤1全体のコンパクト化を実現できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る配電盤によると、盤筐体内に変換部と送電部等を設け、盤筐体外にトランスを取り付け、トランスと送電部を所定方向に沿って並べつつ、これらに略直交する向きに2つの変換部を並べる等によって、「不用意な接触の抑制」及び「盤の小型化」の両立を、簡単な構造で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る配電盤を示す平面概要図である。
図2】第1実施形態の配電盤を示す正面概要図である。
図3】第1実施形態の配電盤を示す左側面概要図である。
図4】第1実施形態の配電盤を示す背面概要図である。
図5】第1実施形態の配電盤を示す右側面概要図である。
図6】第1実施形態の配電盤の回路図である。
図7】第1実施形態の配電盤を複数用いた太陽光発電プラントを示す概要図である。
図8】盤(箱)の東向きの外面(東面)における通常塗装、遮熱塗装、遮熱板の温度変化を比較したグラフである。
図9】盤(箱)の南向きの外面(南面)における通常塗装、遮熱塗装、遮熱板の温度変化を比較したグラフである。
図10】盤(箱)の西向きの外面(西面)における通常塗装、遮熱塗装、遮熱板の温度変化を比較したグラフである。
図11】盤(箱)の北向きの外面(北面)における通常塗装、遮熱塗装、遮熱板の温度変化を比較したグラフである。
図12】盤(箱)の天井面における通常塗装、遮熱塗装、遮熱板の温度変化を比較したグラフである。
図13】本発明の第2実施形態に係る配電盤の内部構造を示す正面概要図である。
図14】第2実施形態の配電盤の内部構造を示す平面概要図である。
図15】第2実施形態の配電盤の内部構造を示す側面概要図である。
図16】(a)は第2実施形態の配電盤の外装を示す斜め正面斜視図であり、(b)は斜め背面(後面)斜視図である。
図17】配電盤における低圧ケーブル、高圧ケーブル及びトランスの接続部分を示す斜視図である。
図18図7とは違った角度から見た低圧ケーブル、高圧ケーブル及びトランスの接続部分を示す斜視図である。
図19】低圧ケーブル、高圧ケーブル及びトランスの接続部分を示す略正面図である。
図20】低圧ケーブルとトランスの接続部分を示す拡大略側面図である。
図21】(a)は配電盤のブレーカを示す正面斜視図であり、(b)は背面斜視図である。
図22】第2実施形態の配電盤の盤筐体内における低圧ケーブル、高圧ケーブルの内部配置を示す正面概要図である。
図23】第2実施形態の配電盤の盤筐体内における空気の対流を示す概要図である。
図24】(a)は本発明の第2実施形態に係る配電盤を用いた太陽光発電プラントを示す概要図であり、(b)は配電盤と太陽電池の配置を示す概要図である。
図25】本発明の第3実施形態に係る配電盤を示す正面概要図である。
図26】本発明の第4実施形態に係る配電盤における低圧ケーブルを示す斜視図である。
図27】第4実施形態に係る配電盤における高圧ケーブルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
図1〜12には、本発明の第1実施形態に係る配電盤1が示されている。
この配電盤1は、1つの盤筐体2と、この盤筐体2外(太陽電池D等)からの直流電流を集める集電部21と、この集電部21を経た直流電流を低圧交流電流Lに変える変換部3と、この変換部3からの低圧交流電流Lをより高圧な高圧交流電流Hに変圧するトランス4と、このトランス4からの高圧交流電流Hを盤筐体2外(後述の配電網Nや、送電盤M等)へ送電する送電部5を有している。
【0018】
又、配電盤1は、盤筐体2内の空気を循環させるエアコン22と、無停電電源装置(UPS)23、上述した変換部3やエアコン22、UPS23等に電流を供給する補機24も有している。
図1〜5で示されたように、第1実施形態の配電盤1では、2つの変換部3と、1つのトランス4と、1つの送電部5を有しており、1つのトランス4と1つの送電部5をこの順で所定方向に並べつつ、これらに略直交するように2つの変換部を並べている。
【0019】
ここで、配電盤1の変換部3へ盤筐体2外から直流電流を供給するのは、後述する太陽光発電プラントPの場合は、太陽電池Dであるが、風力、水力、波力等によって回転される発電機(モータ)からの電流となる。
尚、このモータからの出力電流が交流であれば、変換部3は、交流を直流に変換するコンバータ装置と、この直流を交流に変換するインバータ装置の両方を備えていれば良く、出力電流が直流であれば、変換部3はインバータ装置だけを備えていれば良いが、以下は、太陽電池Dのように、直流電流が変換部3へ流れ込む場合を述べる。
【0020】
<盤筐体2>
図1〜5に示されたように、盤筐体2は、略直方体状に形成されていて、その前面(前面材)2a及び後面(後面材)2bには、それぞれ開閉可能な扉7(送電部前扉7a、出入扉7b、送電部後扉7c)が設けられている。
尚、略直方体状の盤筐体2における「前後」とは、出入扉7bがある側を「前」とし、出入扉7bがある側とは反対の側を「後」とする。
更に、盤筐体2における「左右」とは、盤筐体2に入った使用者が、盤筐体2における「後」から「前」へ向いた時の左手側を「左」とし、「後」から「前」へ向いた時の右手側を「右」とする。
【0021】
従って、トランス4が取り付けられているのは、盤筐体2の左面2c(左面材2cの外面、図1では右外面)になり、又、盤筐体2の右面2d(右面材2dの外面、図1では左外面)には、エアコン22の室外機が取り付けられていると言える。
尚、当然、トランス4やエアコン22の室外機等が、盤筐体2における左右逆側の面材に取り付けられていても良い。
【0022】
盤筐体2の前面(前面材)2aにおいては、送電部前扉7aが、トランス4に最も近い位置に(つまり、隣接して)設けられ、盤筐体2の後面(後面材)2bにおいては、送電部後扉7cが、トランス4に最も近い位置に(つまり、隣接して)設けられている。
又、盤筐体2の前面(前面材)2aにおいては、送電部前扉7aにおけるトランス4と反対の側(トランス4から遠ざかる側)に、送電部前扉7aに隣接して、出入扉7bが設けられている。
【0023】
出入扉7bは、使用者が、盤筐体2に出入り出来れば、必ずしも送電部前扉7aに隣接していなくとも良く、例えば、出入扉7bは、盤筐体2における右面2d(右面材2d)で且つエアコン22の室外機を躱す(避けた)位置等に設けられていても良い。
尚、盤筐体2の内部は、集電部21、変換部3、送電部5等を仕切り且つ支える支持部材31で補強されており、上述した送電部前扉7aと送電部後扉7cは、盤筐体2内における送電部5が配置されたスペースを開閉できるのであれば、この支持部材31に設けられていても良い。
【0024】
<集電部21、ブレーカ12>
図1、6にて示したように、集電部21は、変換部3が配置されたスペース内に設けられている。尚、集電部21は、後述する第2実施形態のように、変換部3とは、別のスペースに設けられていても良い。
集電部21は、盤筐体2外からの直流電流を集めるものであれば、その構成に特に限定はないが、例えば、盤筐体2内の右部(図1では左部)に位置し、上下方向に並んだ複数のブレーカ12が、左右一対に配設されている。
【0025】
このブレーカ12は、何れの構成であっても良いが、例えば、第2実施形態にて述べるものであっても良い。
尚、この集電部21を経なくては、変換部3の変換だけでなく、トランス4による変圧も、送電部5の送電も行うことが出来ないため、集電部21は、送電部5の送電、変換部3の変換及びトランス4の変圧を補う補助機器20である。
又、変換部3と同じスペースに設けられた補助機器20(集電部21)は、送電部5を中心としてトランス4から遠ざかる側に配置されていると言える。
【0026】
<変換部3>
図1、6にて示したように、変換部3は、太陽電池Dからの直流電流を低圧交流電流L(例えば、100〜200V等)に変換するインバータ装置と、このインバータ装置が変換する交流の電圧や周波数を制御する制御部と、気中遮断機(ACB)等を備えている。
これらのインバータ装置や制御部、遮断機等は、変換筐体14内に配設されており、この変換筐体14には、その内部の空気を逃がす回転ファン状の送風手段9が設けられている。
この送風手段9は、その構成に特に限定はないが、例えば、後述する第2実施形態の送風手段9であっても良い。
尚、このような変換部3は、パワコン(パワーコンディショナーの略)とも呼ばれる。
【0027】
変換部3は、上述したように、1つの盤筐体2内に2つ配置されているが、盤筐体2内において、1つのトランス4と1つの送電部5がこの順で並んだ所定方向と略直交する方向に並び且つ2つの変換部3が1つの送電部5におけるトランス4とは反対の側に配置されている。
これは、1つのトランス4と1つの送電部5が、この順で所定方向に並んで配置されていると共に、2つの変換部3が、1つの送電部5を中心としてトランス4から(平面視、正面視及び側面視の少なくとも1つで)遠ざかる側に配置されているとも言える。
更に換言すれば、2つの変換部3は、所定方向に並んだ1つのトランス4と1つの送電部5を基端として、この送電部5から枝分かれ状に配置されており、1つのトランス4、1つの送電部5、2つの変換部3が、平面視で略V字型に配置されているとも言える。
【0028】
このように配置することで、盤筐体2内で、送電部5は、2つの変換部3よりトランス4に近い側に配設されることとなり、その結果、盤筐体2内における送電部5からトランス4への高圧ケーブル6Hの長さが、盤筐体2内における変換部3からトランス4への低圧ケーブル6Lの長さより短くなり、その短さの分だけ、使用者による点検等の際に、高圧部分と不用意に接触する可能性が減る。
これと同時に、特許文献1のように各機器ごとに設けた筐体(外箱)を設けた場合と比べて、各機器の筐体(外箱)や、各機器の間のスペースの分だけ、コンパクト化が図られ、重量の低減にも繋がる。
つまり、「不用意な接触の抑制」と「盤の小型化」の両立を実現できる。
【0029】
各変換部3の位置を詳解すれば、一方の変換部3は、盤筐体2内における前面(前面材)2a側で且つ出入扉7bにおけるトランス4とは反対の側(トランス4から遠ざかる側)に設けられている。
つまり、この一方の変換部3(前変換部3a)は、送電部5と距離K(前変換部3aと送電部5との間の距離(前距離)Ka)をあけて配置されており、この前距離Kaは、出入扉7bから入った使用者が、盤筐体2内で、移動したり、変換部3、送電部5などのメンテナンスを行う等のスペース(盤内スペース16)を確保できる距離であれば、何れの値でも構わない。
尚、盤内スペース16は、配電盤1の使用者が盤筐体2内で移動可能なスペースであれば、何れの広さ・形状でも良い。
【0030】
もう一方の変換部3は、盤筐体2内における後面(後面材)2b側で且つ送電部5におけるトランス4とは反対の側(トランス4から遠ざかる側)に、上述のエアコン22、UPS23、補機24等を配置するスペースを介して配置されており、後変換部3bも、送電部5から距離K(後変換部3aと送電部5との間の距離(後距離)Kb)をあけて配置されていると言える。
この後距離Kbは、エアコン22、UPS23、補機24等を配置するのに十分なスペースを確保できる距離であれば、何れの値でも構わない。
尚、エアコン22、UPS23、補機24等には、変換部3のように、トランス4で変圧(昇圧)した高圧交流電流Hより低い電圧の電流が流れる。
【0031】
従って、これらエアコン22、UPS23、補機24等を配置しているスペース(部分)は、低圧部15とする。
又、2つの変換部3a、3b同士も、互いに距離(前変換部3aと後変換部3bとの間の相互距離)K’をあけて配置されており、この相互距離K’は、前距離Kaと同様に、使用者が、盤筐体2内で、移動したり、変換部3、送電部5などのメンテナンスを行う等のスペースを確保できる距離であれば、何れの値でも構わない。
尚、図1に示したように、第1実施形態の配電盤1においては、盤内スペース16は、平面視で略L字状となっている。
第1実施形態の盤内スペース16は、詳解すれば、相互距離K’の2つの変換部3a、4b間の変換部間スペース16’と、このスペース16’の一端から互いの距離が距離Kaである前変換部3aと送電部5の間を通って出入扉7bまでの変換部・送電部間スペース16aを有している。
【0032】
<トランス4>
図1、6で示したように、トランス4は、所謂、変圧器であって、それぞれの変換部3からの低圧交流電流L(例えば、100〜200V等)を、送電に適した高圧交流電流H(例えば、22000Vや6600V等)に変換する。
尚、トランスとは、トランスフォーマーの略である。
【0033】
トランス4は、上述したように盤筐体2に外から左面2c(左面材2cの外面)に取り付けられ、略直方体状の本体と、その外側面のうち盤筐体2側を除く3面から立設された複数の放熱フィン25と、その上面に設けられた略直方体状の接続カバー26を備えている。
この接続カバー26は、盤筐体2からの低圧ケーブル6Lの低圧束8Lとトランス4との接続部分(接続端子)、高圧ケーブル6Hの高圧束8Hとトランス4との接続部分(接続端子)を被っている。尚、接続カバー26の具体的な構成は、何れのものでも良く、取り外した後も、そのカバー後部26bが残る構成であっても良い。
【0034】
尚、低圧ケーブル6Lの低圧束8Lとは、複数の低圧ケーブル6Lが集まることで形成される低圧ケーブル6Lの束であり、高圧ケーブル6Hの高圧束8Hとは、複数の高圧ケーブル6Hが集まることで形成される高圧ケーブル6Hの束である。
これら低圧束8Lと高圧束8Hは、盤筐体2の左面(左面材)2cに設けられた唯一の挿通孔27(盤筐体2の内外に亘る位置)を通って、盤筐体2外のトランス4上方へ出ている。
【0035】
ここで、変換部3は2つあり、送電部5は1つであることから、低圧束8Lは2組有し、高圧束8Hは1組有することとなる。
言うならば、2組の低圧束8Lは、2つの変換部3に向かって、挿通孔27を基端として、この挿通孔27から枝分かれ状に配置されている(図1参照)。
尚、1組の低圧束8Lとは、複数の低圧束8Lが集まって1組となったものを含み、1組の高圧束8Hも、同様に、複数の高圧束8Hが集まって1組となったものを含む。
【0036】
又、2組の低圧束8Lと1組の高圧束8Hは、挿通孔27においては、並列に配設されており、これは、2組の低圧束8Lと1組の高圧束8Hのうち少なくとも1組が、「平面視、正面視及び側面視のうち少なくとも1つで、それぞれが並列(略平行)に配置されている」との意味である。
これにより、盤筐体2におけるトランス4側の面材(部分)に低圧束8Lと、高圧束8Hを一括配置可能となって「構造の簡素化」が図れ、且つ、各束8L、8Hは、各ケーブル6L、6Hの長手方向に沿って揃えられるため、最もケーブルが集中する挿通孔27で省スペース化が図れる。
【0037】
更に加えて、屋外に設置する等の場合には、この盤筐体2の内外に亘る1つの位置さえ覆うなどするだけで、防水できる(「防水の容易化」)。
尚、盤筐体2外では、低圧ケーブル6Lの低圧束8Lは、高圧ケーブル6Hの高圧束8Hより盤筐体2の近くで且つ低い位置に配設されていても良く、特に、高圧束8Hは、各高圧ケーブル6Hが、平面視、正面視及び側面視の何れもで重複しない部分を有していても構わない。
又、図1で示されたように、ここまで述べてきた低圧ケーブル6L(低圧束8L)と高圧ケーブル6H(高圧束8H)について、第1実施形態の配電盤1では、低圧ケーブル6Lを高圧ケーブル6Hより長くしても良い。
【0038】
<送電部5>
図1、6で示したように、送電部5は、盤筐体2内で最もトランス4に近い側(トランス4が取り付けられた左面(左面材)2c側)である左部(図1では右部)に位置し、真空遮断機(VCB)や、避雷器(SAR)などを備える。
送電部5は、盤筐体2の外部として、配電ケーブルGを介して配電網Nに接続したり、複数の配電盤1からの電力を取り纏めて送電する送電盤Mを介して配電網Nに接続するなど、最終的に配電網Nに導通し送電可能な構成であれば良い。
【0039】
送電部5においては、盤筐体2の挿通孔27を介して出入りしてくる各ケーブル6L、6Hの束8L、8Hは、挿通孔27と略同じ高さか若干高い位置のままVCB近傍まで延ばしたり、挿通孔27から盤筐体2内部へ入ってすぐに、内側面2e(側面材2e(左面材2c、右面材2d)の内面)に沿って下方に伸ばしても良い。
尚、送電部5は、特別高圧な電力(例えば、22000V等)を送電する場合には、特高部とも言え、トランスミッターとも言える。
【0040】
<エアコン22、UPS23、補機24>
図6で示したように、エアコン22やUPS23は、補機24から電流(電力)を供給されている。
エアコン22は、盤筐体2内の空気を循環できるのであれば、盤筐体2内の左右上部で且つ前後中途位置など、何れの位置に設けていても構わない。
【0041】
UPS23は、停電時などでもしばらくの間、各部に電気を供給する装置である。
補機24は、補機トランス(変圧器)や遮断機を備え、変換部3における制御電源やファン電源、エアコン22、UPS23、盤筐体2内の照明、コンセント等に電力を供給する。
尚、この補機24から制御電源を供給されるため、変換部3は、補機24が無くては、電流の変換できない。
更に、変換部3が変換できなければ、トランス4による変圧も、送電部5の送電も行うことが出来ないとも言える。よって、補機24は、送電部5の送電、変換部3の変換及びトランス4の変圧を補う補助機器20に含まれる場合もある。
【0042】
又、上述した補機24や集電部21を含む補助機器20は、変換部3と共に、送電部5を中心としてトランス4から遠ざかる側に配置されていると言える。
これにより、盤筐体2内で、この補助機器20よりも、送電部5がトランス4に近い側に配設されることとなり、その結果、盤筐体2内における送電部5からトランス4への高圧ケーブル6Hの長さが、可及的に短くなり、補助機器20を使用者が点検する等の際にも、高圧部分と不用意に接触する可能性が減る。
【0043】
<太陽光発電プラントP>
図6図7にわたって、本発明の第1実施形態に係る配電盤1を用いた太陽光発電プラントPが示されている。
この太陽光発電プラントPは、多数の太陽電池Dと、これら多数の太陽電池Dのうち所定数ごとと導通する複数の接続箱Z(遮断機等付き)と、これら複数の接続箱Z全てと導通する複数の配電盤1と、これら複数の配電盤1を取り纏める送電盤Mと、この送電盤Mと電柱等を末端とする配電網Nを導通する配電ケーブルGと、この配電ケーブルGを流れる電力量を測る電力量計を有している。
【0044】
尚、この電力量計は、配電網Nへ売電する時だけでなく、配電網Nから買電する時にも設けられる。
又最終的に送電盤Mから配電網Nへ送電する時の電圧は、売電や買電が可能な電圧(例えば、6600V等)でも良いが、送電盤Mと複数の配電盤1の間は、必ずしも売電・買電可能な電圧でなくとも良く、送電盤Mへ配電盤1が送電する電圧は、売電・買電可能な電圧よりも高圧(例えば、特別高圧(特高)として、例えば、22000V等)であっても構わない。この場合は、送電盤Mは、売電・買電可能な電圧まで降圧する変圧器を備えている。
又、太陽電池D、接続箱Z、配電盤1、送電盤Mは、設置する土地の広さ・形状に応じて配列するが、例えば、1つの配電盤1の発電力を、例えば、1500kW(各変換部3当たり750kW)とし、この配電盤1を複数台(例えば、10台以上で15000kW(15MW)以上、20台で30000kW(30MW))設けた太陽光発電プラントPとしても良い。
【0045】
上述した構成を有する太陽光発電プラントPは、発電量を上げるため、複数の太陽電池Dを、南へ行くほど低くなるように傾ける。その角度は、十分な発電量を得られるのであれば、何度でも良いが、例えば、5度等である。
又、太陽電池Dだけでなく、当然、配電盤1自身にも太陽光が当たり、配電盤1内の温度上昇等に繋がる。
そこで、配電盤1における遮熱処理について、以下に述べる。
【0046】
<遮熱処理>
ここでは、屋外で日中、3種類の盤(箱)の4面(前面材2a、後面材2b、左面材2c、右面材2d)を東西南北に向けた場合、盤の東向きの面材(つまり、東面)、南面、西面、天井面(天井面材2gの外面)の表面温度、及び盤内部の温度が、遮熱処理の有無や、その処理方法の違いで、どのように変化するかを、図8〜12に示す。
尚、3種類の盤とは、遮熱処理を施していない通常塗装の盤(図8〜12中のA)と、遮熱塗装を施した盤(図8〜12中のB)と、天井面(天井面材2gの外面)は遮熱塗装をし、東面、南面、西面に遮熱板を取り付けた盤(図8〜12中のC)である。
又、測定日は2009年8月19日で、この日の天候は晴天であった。
【0047】
図8〜12より、遮熱処理を施すことによって、通常塗装の場合よりも、盤内部の温度を約10℃下げることが可能となる。又、表1、3を比較すると、朝日を主に浴びる東面よりも、夕日を浴びる西面の温度上昇がかなり大きい(西日の方がきつい)ことがわかった。
尚、遮熱塗装と遮熱板は、略同じ特性と言える。
【0048】
そこで、出入扉7b(又は、前面(前面材)2a)を北に向ける配電盤1は、配電盤1の天井外面(天井面材2gの外面)に遮熱塗装を施し、南に向く後外面(後面材2bの外面)と、西に向く左面2c(左面材2cの外面)上部(トランス4の上方部分)に、遮熱板29を、第2実施形態のように、支持具を介して取り付けていても良い。
尚、この遮熱板29を、盤筐体2の外面との間に若干の隙間を有するように取り付けた場合には、盤筐体2側へ熱が伝わり難い。
【0049】
更に、垂直に(鉛直方向に沿って)取り付けられているため、仮に、この隙間にごみ等が入っても、この隙間を通る風によって、隙間から下方へ落ちたり、熱も溜まり難くなる。
又、配電盤1の左面2c(左面材2cの外面)上部にも、遮熱塗装を施しても良い。
【0050】
<第2実施形態>
図13〜24には、本発明の第2実施形態に係る配電盤1が示されている。
この第2実施形態において第1実施形態と最も異なるのは、変換部3を1つだけ有する点である。
つまり、第2実施形態は、1つの変換部3と1つのトランス4と1つの送電部5を有し、トランス4、送電部5、変換部3は、この順で盤筐体2の左面2c(左面材2c)から右面2d(右面材2d)へ向かう方向に並べて配置されている。
【0051】
尚、当然に、トランス4、送電部5、変換部3は、この順で盤筐体2の右面2d(右面材2d)から左面2c(左面材2c)へ向かう方向に並べて配置されていても良い。
何れの向きにせよ、トランス4と送電部5が、この順で所定方向に並んで配置されていると共に、少なくとも変換部3は、送電部5を中心としてトランス4から遠ざかる側に配置されていると言える。
【0052】
<盤筐体2>
図13〜16に示されたように、第2実施形態も、盤筐体2は、略直方体状に形成されていて、開閉可能な扉7が4つ設けられている(これら4つの扉7が設けられている側が、前面(前面材)2aである)。
尚、これら4つの扉7は、何れもが、使用者が出入りできるため、出入扉7bであるとも言える。
又、第2実施形態の配電盤1も、出入扉7bから入った使用者が、盤筐体2内で、移動したり、変換部3、送電部5などのメンテナンスを行う等の盤内スペース16が設けられており、第1実施形態と同様に、盤内スペース16は、配電盤1の使用者が盤筐体2内で移動可能なスペースであれば、何れの広さ・形状でも良い。
尚、図14に示したように、第2実施形態の配電盤1においては、盤内スペース16は、平面視で略I字状(一直線状)となっている。
第2実施形態の盤内スペース16は、詳解すれば、盤筐体2において各扉7が設けられた前面(前面材)2aと、変換部3、送電部5、集電部21や補助機器20等との間のスペースである。
【0053】
盤筐体2は、左面2c(左面材2cの外面、図13では右外面)には、トランス4が取り付けら、右面2d(右面材2dの外面、図13では左外面)にはエアコン22の室外機が取り付けられている。
盤筐体2の内部には、集電部21、変換部3、送電部5等を仕切り且つ支える支持部材や、後述の支持材10等で補強されている。
【0054】
<集電部21、ブレーカ12>
図13〜15にて示したように、集電部21は、盤筐体2内の右部(図13では左部)に位置しており、変換部3よりも更に右側に配置されている。
従って、第2実施形態でも、集電部21(補助機器20)も、送電部5を中心としてトランス4から遠ざかる側に配置されている。
【0055】
集電部21は、上下方向に並んだ複数のブレーカ12が、左右一対に配設されている。
各ブレーカ12には、太陽電池Dから後述の接続箱Zを経た直流電流を流す直流ケーブル11が、盤筐体2の左下方から各ブレーカ12の後方で接続されている。
【0056】
図23にて示した如く、各ブレーカ12は、三相交流用のブレーカ(遮断機)であって、流入側・流出側の端子の数がそれぞれ3つであるものの、流入側T相端子と流出側S相端子を接続具で接続し、残った流入側R相端子及びS相端子に、各接続箱Zからのプラス及びマイナスの直流ケーブル11を接続し、流出側R相端子及びT相端子に、変換部3へのプラス及びマイナスの直流ケーブル11を接続すれば良い。
【0057】
尚、流入側T相端子と流出側S相端子との接続具13は、従来のようにブレーカ12の左右側面に位置せず、後方側(盤筐体2の後面(後面材)2b側)のみに位置しており、隣接する複数のブレーカ12の背後を、接続具13を配置するスペースに活用できる。
これと共に、各ブレーカ12は、正面視において更に近接に配置できる分、集電部21の正面から直流ケーブル11を配設するスペースが広く確保できると同時に、集電部21及び配電盤1全体としてもコンパクト化が図れる。尚、ブレーカ12は、流入側及び流出側の各端子を、それぞれで覆うカバー12aを有していても良い。
【0058】
又、盤筐体2内で、接続箱Zからの直流ケーブル11を接続できるため、この接続部分を風雨等に晒すことがないため、ケーブル施工性も向上する。
更に、この接続具13は、導電性を有した細長い板材であって、その両端をブレーカ12後面から後方へ延びる棒状体に係止して、ナット等の固定具によって固定される。
【0059】
<変換部3>
図13、14、24にて示したように、変換部3は、1つだけであり、盤筐体2内の左右中央部に位置している。
つまり、第2実施形態では、変換部3も、送電部5を中心としてトランス4から遠ざかる側に配置されている。
【0060】
変換部3の変換筐体14の上面には、その内部の空気を上方へ逃がす回転ファン状の送風手段9が設けられている。
尚、この送風手段9からの送風は、その正対する盤筐体2の内面2f(内天井面2g(天井面材2gの内面)等)に当たる(つまり、内天井面2g(天井面材2gの内面)が、送風手段9からの送風を受ける)が、この内天井面2g(天井面材2gの内面)から突出した部分を切り欠いて突出高さを抑えた支持材10が、平面視で、送風手段9の左方近傍に設けられている(図13参照)。
この支持材10の突出高さを抑えることで、送風手段9からの送風が、内天井面2g(天井面材2gの内面)に沿って流れ、余計な渦を巻いて留まることがなくなり、盤筐体2内で対流が起こるため、変換部3が十分に冷却される。
尚、図22のように、支持材10における前後中途部の突出高さを、内天井面2g(天井面材2gの内面)と略面一となるように、抑えていても良い。
【0061】
<トランス4>
図13〜21で示したように、トランス4は、第1実施形態と同様に、変換部3からの低圧交流電流Lを、送電に適した高圧交流電流Hに変換する。
トランス4は、複数の放熱フィン25と、接続カバー26を備えており、この接続カバー26は、盤筐体2からの低圧ケーブル6Lの低圧束8Lとトランス4との接続部分(接続端子)4La〜4Lc、高圧ケーブル6Hの高圧束8Hとトランス4との接続部分(接続端子)4Ha〜4Hcを被っている。
【0062】
特に、図17〜21に示されたように、低圧ケーブル6Lの低圧束8L及び高圧ケーブル6Hの高圧束8Hは、盤筐体2の後面(後面材)2b寄りの1つの挿通孔27(盤筐体2の内外に亘る位置)を通って、盤筐体2外のトランス4上方へ出ている。
盤筐体2外では、低圧ケーブル6Lの低圧束8Lは、高圧ケーブル6Hの高圧束8Hより盤筐体2の近くで且つ低い位置に配設されており、特に、高圧束8Hは、各高圧ケーブル6Hが、平面視、正面視及び側面視の何れもで重複しない部分を有している。
又、ここまで述べてきた低圧ケーブル6Lと高圧ケーブル6Hについて、第2実施形態の配電盤1でも、低圧ケーブル6Lを高圧ケーブル6Hより長くしても良い。
【0063】
これは、各高圧ケーブル6Hを支持する支持部材28が、トランス4の接続カバー26内面から盤筐体2側へ立設された第1支持部28aと、この第1支持部28aの先端から下方へ延設された第2支持部28bと、この第2支持部28bの下端から盤筐体2から離れる方向へ延設した第3支持部28cを備え、3本の高圧ケーブル6Hが、それぞれの支持部28a〜28cに、上下左右が重ならない位置に取り付けられているからである。
このように、太く重くなる低圧ケーブル6Lの低圧束8Lの安定化が図れ、各高圧ケーブル6H間の距離を大きくして、配電盤1としてのコンパクト化を図れる。
又、図17、18で示した如く、見る角度を少し変えるだけで、各高圧ケーブル6H間から見える、低圧ケーブル6Lの接続部分4Lが変わり、様々な角度・位置から、作業者が手を伸ばして、低圧束8Lのトランス4への接続等の作業がし易くなる。
【0064】
詳解すれば、図17においては、高圧ケーブル6Hの接続部分4Haと4Hbの間に、低圧ケーブル6Lの接続部分4Lcが見えている。しかし、見る角度が変わる図18においては、高圧ケーブル6Hの接続部分4Haと4Hbの間には、低圧ケーブル6Lの接続部分4Lbが見え、高圧ケーブル6Hの接続部分4Hbと4Hcの間には、低圧ケーブル6Lの接続部分4Lcが見えることとなる。
尚、接続カバー26は、トランス4の上方に載置した後、盤筐体2の左面2c(左面材2cの外面)に設けられた当接部26a(ゴム等の弾性素材)にネジ等の固定具によって取り付けられることで、接続カバー26内部が密封される。又、上述の固定具を外すだけで、接続カバー26全体が容易にトランス4から取り外せる。尚、接続カバー26は、取り外した後も、そのカバー後部26bが残る構成であっても良い。
【0065】
<送電部5>
図13、21で示したように、送電部5も、第1実施形態と同様で、盤筐体2内で最もトランス4に近い側(トランス4が取り付けられた左面2c(左面材2cの外面))である左部(図13では右部)に位置している。
送電部5において、盤筐体2の挿通孔27を介して出入りしてくる各ケーブル6L、6Hの束8L、8Hのうち、高圧ケーブル6Hは、挿通孔27と略同じ高さか若干高い位置のままVCB近傍まで延び、高圧ケーブル6Hを、人目に付かず届きにくい高い位置で配置している。
逆に、低圧ケーブル6Lは、トランス4から変換部3に辿る際には、挿通孔27から盤筐体2内部へ入ってすぐに、内側面2e(側面材2e(左面材2c、右面材2d)の内面)に沿って下方に伸び、内床面2h(床面材2hの内面)に沿って左方に延びた後、変換部3に接続され、送電部5から遠ざけている。尚、図21に示された送電部5の下方を通る低圧ケーブル6L(低圧束8L)は、手前(上述した盤内スペース16寄りの盤面材2j(後面材2b)から離れた位置)に配設されているとも言える。
【0066】
<エアコン22、UPS23、補機24>
図13で示したように、エアコン22は、正面視で配電盤1(盤筐体2内)の左右上部で前後中途位置に1つずつ設けられ、UPS23や補機24は、送電部5の下方に配置されている。
図22には、盤筐体2内の対流の様子が示されている。
詳解すれば、エアコン22の吸気口は、上述の送風手段9からの送風が流れ込む位置(上面又は背面)に設けられているものの、左右一端側に寄っているので、送風手段9とエアコン22の間は、上述の切り欠いた支持材10等によって、風の流れを確保する。
【0067】
エアコン22の送風は、盤筐体2の前内面(扉7の裏面(後面))に沿うように、そして、互いに左右中央に向けて送風することで、エアコン22からの送風が、変換部3下部からその内部に入り、送風手段9によって上方へ送風されて、再びエアコン22に戻る。
又、同様に、集電部21やUPS23、補機24も、エアコン22の送風が下方から内部に進入し上方へ抜けて、再びエアコン22に戻る流れとなる。
【0068】
<太陽光発電プラントP>
図24は、本発明の第2実施形態に係る配電盤1を用いた太陽光発電プラントPを示す。
この太陽光発電プラントPは、第1実施形態の配電盤1を用いた太陽光発電プラントPと異なり、送電盤Mを有していない。
【0069】
又、太陽電池Dは、設置する土地の広さ・形状に応じて配列すれば良いが、例えば、6段×14列の合計84個の太陽電池Dを1つの接続箱Zに導通し、これを30セット設置すれば、2520枚を、南北約85m×東西約70mで設置しても良く(図24(b)参照)、太陽電池Dの1枚あたりの発電力が250Wであれば、標準太陽電池アレイ出力は、公称値で630kWとなる。
この他の配列として、4段×42列の合計168個の太陽電池Dを1つの接続箱Zに導通したセットを15個として同じ2520枚を設置したり、6段×28列の合計168個の太陽電池Dを1つの接続箱Zに導通した15セットを1つの配電盤1に集電し、この配電盤1を4つ設置することで、太陽電池Dを10080枚(標準太陽電池アレイ出力が公称値で2520kW)配列しても良い。
【0070】
尚、太陽電池Dと接続箱Zは、15セットずつ南北に分け、その間の中央に配電盤1を設置する(直流ケーブル11長さの均一化・短縮のため)。又、配電盤1は、扉7を北向きに配置するため、盤筐体2の後外面(後面材2bの外面)は南向きに、トランス4を取り付けた左外面(左面材2cの外面)は西向きになる。
その他の配電盤1、配電盤1を用いた太陽光発電プラントPの構成、作用効果及び使用態様は、第1実施形態と同様である。
【0071】
<第3実施形態>
図25には、本発明の第3実施形態に係る配電盤1が示されている。
この第3実施形態における第1、2実施形態との相違点は、変換部3を1つだけ有することと共に、集電部21(補助機器20)が、変換部3と送電部5の間に位置している点である。
つまり、第3実施形態は、1つの変換部3と1つのトランス4と1つの送電部5と1つの集電部21を有し、変換部3、集電部21、送電部5、トランス4は、この順で盤筐体2の左面2c(左面材2c)から右面2d(右面材2d)へ向かう方向に並べて配置されている。
【0072】
これを換言すれば、トランス4と送電部5が、この順で所定方向に並んで配置されていると共に、変換部3と集電部21(補助機器20)が、送電部5を中心としてトランス4から遠ざかる側に配置されている。
その他の配電盤1、配電盤1を用いた太陽光発電プラントPの構成、作用効果及び使用態様は、第1、2実施形態と同様である。
【0073】
<第4実施形態>
図26、27には、本発明の第4実施形態に係る配電盤1が示されている。
この第4実施形態における第1〜3実施形態との相違点は、高圧ケーブル6H及び低圧ケーブル6Lが、盤筐体2内において、配電盤1の使用者が盤筐体2内で移動可能な盤内スペース16とは反対側の盤面材2j寄りに配設されている点である。
尚、第4実施形態において、変換部3の個数は問わない。
【0074】
図26は、盤筐体2内部において、挿入孔27付近から下方へ床面材2hに向けて配設された低圧ケーブル6L(その束である低圧束6L)を示しており、第4実施形態における低圧ケーブル6L(低圧束6L)は、挿通孔27を介して出入りしていく際に、上述した盤内スペース16とは反対側の盤面材2jである後面材2b寄りに、盤筐体2の内側面2e(側面材2e(左面材2c、右面材2d)の内面)に沿って配設されて、下方に延びている。
このように後面材2b寄りに配設されるのは、低圧ケーブル6Lの下方に延びる部分だけでなく、低圧ケーブル6Lにおける送電部5の下方を通って変換部3までの部分も、後面材2b寄りに配設される。
【0075】
図27は、盤筐体2外部で且つトランス4の上方の挿入孔27付近から、盤筐体2内方へ送電部5に向けて配設された高圧ケーブル6H(その束である高圧束6H)を示しており、第4実施形態における高圧ケーブル6H(高圧束6H)も、低圧ケーブル6L(低圧束8L)と同様に、挿通孔27を介して出入りしていく際に、上述した盤内スペース16とは反対側の盤面材2jである後面材2b寄りに配設されて、挿入孔27と略同じ高さのまま、盤筐体2の内方に延びている。
その他の配電盤1、配電盤1を用いた太陽光発電プラントPの構成、作用効果及び使用態様は、第1〜3実施形態と同様である。
【0076】
<その他>
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。配電盤1等の各構成又は全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが出来る。
配電盤1は、太陽光発電以外に、風力発電等、交流電流を流入させた場合にも、利用可能である。
配電盤1は蓄電池を内蔵しても良く、太陽光発電等の発電量に余剰が生じた場合には、蓄電池に充電し、発電量が減った場合(曇り・雨天時や夜間)には、蓄電池からの電力で、各住宅(需要家)の使用量をまかなっても良い。
盤筐体2の内面2fとは、具体的には、内天井面2g(天井面材2gの内面)や内側面2e(側面材2e(左面材2c、右面材2d)の内面)、内床面2h(床面材2hの内面)の他、扉7の後面2iなど、盤筐体2の内側にある面を指す。
盤筐体2の盤面材2jとは、前面材2a、後面材2b、左面材2c、右面材2d、天井面材2g、床面材2hの他、扉7等を指す。
その他、配電盤1は、盤筐体2の天井面材2g外面に、クレーン等で吊上可能なフックを設けていても良く、このフックを介して吊り上げた配電盤1全体を、事前に施工した基礎(土台)上に据え付けても構わない。
この基礎は、コンクリート製や、鋼材(H鋼)製など何れの素材でも良く、その形状も、一様な厚みを持つベタ基礎や、盤筐体2の床面材2h下方に空間を形成するよう凹み等を有したゲタ基礎であっても構わない。
【0077】
変換部3は、上述では、2つか1つであったが、送電部5を中心としてトランス4から遠ざかる側に配置されているのであれば、3つ以上であっても良く、この場合には、トランス4と送電部5が、この順で並んだ所定方向と略直交する方向に並んで、3つ以上の変換部3が配置されていても良い。又、2つや3つ以上を含む複数の変換部3が、所定方向と略直交する方向に並ばずに配置されていても構わない。
変換部3は、送電部5との間の距離K(前距離Ka、後距離Kb)及び/又は相互距離K’を有さない位置に配置されていても良い。これらの距離K、K’を有さないことで、変換部3と送電部5や、送電部5同士が隣接(近接)し、距離K、K’の分だけ、盤筐体2の更なるコンパクト化が図れる。
尚、2つの変換部3が相互距離K’を少なくとも有さない位置に配置された場合には、各変換部3が互いに背を向け且つ背を隣接させる位置に配置し、送電部5のように、盤筐体2の前面(前面材)2a及び後面(後面材)2bに、各変換部3を開閉する扉等を設けても良い。
【0078】
送風手段9は、変換部3内から空気を逃がすのであれば、変換筐体14の上面に設けられていなくとも、変換筐体14の前面等に設けられていても良い。
又、送風手段9の送風を受ける位置とは、変換筐体14の上面に設けられた送風手段9に正対する内天井面2g(天井面材2gの内面)のように、真正面から送風を受ける場合だけでなく、盤筐体2内の空気の対流によって、送風手段9の送風が当たる内側面2e(側面材2e(左面材2c、右面材2d)の内面)や内床面2h(床面材2hの内面)、扉7の後面2iなども、送風手段9の送風を受ける位置となる。
出入扉7bを、盤筐体2におけるトランス4とは反対側に設けても良い。この場合、2つの変換部3(各変換部3)を、送電部5に隣接(当接)させて配置し、低圧部15は、送電部5と同じスペースに配置しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0079】
配電盤1は、太陽光発電プラント以外に、風力、水力、波力等によって回転される発電機(モータ)によって発電するシステムにおいて使用でき、屋外・屋内を問わず利用可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 配電盤
2 盤筐体
3 変換部
4 トランス
5 送電部
16 盤内スペース
6L 低圧ケーブル
6H 高圧ケーブル
20 補助機器
L 低圧交流電流
H 高圧交流電流
【要約】
盤筐体内に変換部と送電部を設け、盤筐体外にトランスを取り付け、トランスと送電部を所定方向に沿って並べつつ、これらに略直交する向きに2つの変換部を並べる等によって、「不用意な接触の抑制」と「盤の小型化」を両立するために、盤筐体(2)と、盤筐体(2)外からの電流を低圧交流電流(L)に変換する変換部(3)と、変換部(3)からの低圧交流電流(L)を高圧交流電流(H)に変圧するトランス(4)と、トランス(4)からの高圧交流電流(H)を盤筐体(2)外へ送電する送電部(5)を有し、盤筐体(2)内に2つの変換部(3)と1つの送電部(5)が設けられ、盤筐体(2)に外から1つのトランス(4)が取り付けられ、トランス(4)と送電部(5)がこの順で所定方向に並んで配置され、所定方向と略直交する方向に並んで2つの変換部(3)が送電部(5)におけるトランス(4)とは反対の側に配置されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図13
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