(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5761886
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】ハロ−4−フェノキシキノリンの調製方法
(51)【国際特許分類】
C07D 215/22 20060101AFI20150723BHJP
【FI】
C07D215/22
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2002-525112(P2002-525112)
(86)(22)【出願日】2001年9月7日
(65)【公表番号】特表2004-508358(P2004-508358A)
(43)【公表日】2004年3月18日
(86)【国際出願番号】US2001027689
(87)【国際公開番号】WO2002020490
(87)【国際公開日】20020314
【審査請求日】2008年8月25日
【審判番号】不服2013-24548(P2013-24548/J1)
【審判請求日】2013年12月13日
(31)【優先権主張番号】60/231,719
(32)【優先日】2000年9月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501035309
【氏名又は名称】ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】クルメル,カール,レオポルド
(72)【発明者】
【氏名】リード,ルース,シーザー
(72)【発明者】
【氏名】オルムステッド,トーマス,エー.
(72)【発明者】
【氏名】ロス,ギャリー,アラン
(72)【発明者】
【氏名】キング,イアン,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ブラッテサニ,ドナルド,ネイル
(72)【発明者】
【氏名】キャンプベル,ケント,ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ダビーズ,ジョン
【合議体】
【審判長】
中田 とし子
【審判官】
宮本 純
【審判官】
齊藤 真由美
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第98/33774(WO,A1)
【文献】
特開平07−291934(JP,A)
【文献】
De,D.et al,Journal of Medicinal Chemistry,1998年,vol.41,4918−4926頁
【文献】
Glowczyk,J.,et al,POLISH JOURNAL OF CHEMISTRY,1984年,58(1−2−3),149−156頁
【文献】
Stachel,H.D.,et al,Archiv der Pharmazie(weinheim, Germany),1985年,318(4),311−318頁
【文献】
Poschenrieder,H.,et al,Zeitschrift fuer Naturforschung,Teil B:Anorganische Chemie,Organische Chemie,1985年,41B(2),219−222頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D215/00
CAPLUS/STN
REGISTRY/STN
CASREACT/STN
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)式1の化合物と式2の化合物とを反応させて、式3の化合物を調製し;
【化1】
(ここで、R
1とR
3は独立にハロであり、R
2とR
4はHであり;あるいはR
3はハロであり、R
1はハロまたはHであり、R
2とR
4はHであり;あるいはR
4はハロであり、R
1ないしR
3はHであり;R
5は(C
1〜C
4)アルキルであり、R
6とR
7は独立に(C
1〜C
4)アルキルである)
(2)上記式3の化合物を反応させて、式4の化合物を調製し;
【化2】
(ここで、R
8は(C
1〜C
4)アルキルである)
(3)上記式4の化合物と上記式5の化合物とを反応させて、式6の化合物を調製し;
【化3】
(ここで、A−OHは、
H2Oである)
(4)上記式6の化合物と上記式7の化合物とを反応させて、式8の化合物を調製し;および
【化4】
(ここで、E−Xは、
SOCl2である)
(5)上記式8の化合物と上記式9の化合物とを反応させて、式10の化合物を調製する
【化5】
(ここで、R
9ないしR
13は独立にH、CN、NO
2、OH、ハロ、(C
1〜C
4)アルキル、(C
2〜C
4)アルカノイル、ハロ(C
1〜C
7)アルキル、ヒドロキシ(C
1〜C
7)アルキル、(C
1〜C
7)アルコキシ、ハロ(C
1〜C
7)アルコキシ、(C
1〜C
7)アルキルチオ、ハロ(C
1〜C
7)アルキルチオ、フェニル、置換フェニル、フェノキシ、置換フェノキシ、フェニルチオ、置換フェニルチオ、フェニル(C
1〜C
4)アルキル、置換フェニル(C
1〜C
4)アルキル、ベンゾイル、SiR
20R
21R
22、またはOSiR
20R
21R
22であり、ここで、R
20、R
21、及びR
22はH、(C
1〜C
6)アルキル基、フェニル、または置換フェニルであり、但し、R
20、R
21、及びR
22の少なくとも一つはH以外であるか、あるいはR
11とR
12あるいはR
12とR
13は結合して、炭素環を形成するか、R
9ないしR
13のすべてがHまたはFでない場合には、R
9ないしR
13の少なくとも2つはHであることを前提とする)
ことを含む
、ハロ−4−フェノキシキノリンを調製する方法。
【請求項2】
工程(1)〜(5)の少なくとも一つが溶媒中で行なわれる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記溶媒がスルホラン、テトラグリム、ポリエーテル、長鎖(C10〜40)アルキル芳香族化合物、C1〜6アルキル化ナフタレン、ナフタレン、ジーゼル油、燃料油、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
上記式1の化合物が3,5−ジクロロアニリンであり、上記式2の化合物がジエチルエトキシメチレンマロネートである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ドデシルベンゼンが工程(1)及び(2)において上記溶媒として使用され、スルホランが工程(3)〜(5)において上記溶媒として使用される請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
(優先権)
本出願は2000年9月8日に出願された米国仮出願第60/231,719号からの優先権を主張する。
【0001】
(発明の分野)
本発明はハロ−4フェノキシキノリンの調製方法の分野に関する。
【0002】
(発明の背景)
我々の歴史は広範囲な人間の苦難を引き起こす真菌病の発生で満ちあふれている。真菌病の影響を知るのには、推定で1,000,000人が死んだ1850年代のアイルランドのジャガイモ飢きんを見れば十分である。
【0003】
殺菌剤は、菌により引き起こされるダメージに対して植物を防御する作用をする天然あるいは合成起源の化合物である。農業の現在の方法は殺菌剤の使用に著しく依存している。事実、ある穀物は殺菌剤を使用しないと有用に生育不能である。殺菌剤を使用することによって、生産者は穀物の収量を増大し、結果として穀物の価値を増大することができる。大多数の状況において、穀物の価値の増加は殺菌剤の使用コストの少なくとも3倍の価値がある。
【0004】
しかしながら、殺菌剤を製造するコストを低下させ、それによって殺菌剤の使用に関連するコストを低下させるための研究が実施されている。上記に鑑みて、本発明者らは本発明を提供する。
【0005】
(発明の要約)
ハロ−4−フェノキシキノリンを調製する方法を提供することが本発明の目的である。本発明によれば、
(1)式1の化合物と式2の化合物とを反応させて、式3の化合物を調製し;
(2)上記式3の化合物を反応させて、式4の化合物を調製し;
(3)上記式4の化合物と式5の化合物とを反応させて、式6の化合物を調製し;
(4)上記式6の化合物と式7の化合物とを反応させて、式8の化合物を調製し;および
(5)上記式8の化合物と式9の化合物とを反応させて、式10の化合物を調製する
ことを含む方法が提供される。
【0006】
(発明の詳細な説明)
この方法における第1の工程は、反応スキームに示すように式1の化合物と式2の化合物とを反応させて、式3の化合物を調製することである。
【0007】
式1の化合物(この明細書では「化合物1」または「アニリン化合物」とも呼ばれる)においては、R
1とR
3は独立にハロであり、R
2とR
4はHであり;あるいはR
3はハロであり、R
1はハロまたはHであり、R
2とR
4はHであり;あるいはR
4はハロであり、R
1ないしR
3はHである。一般に、3,5−ジクロロアニリン(この明細書では「DCA」とも呼ばれる)を化合物1として使用することが好ましい。
【0008】
式2の化合物(この明細書では「化合物2」または「アルコキシメチレンマロネートジアルキルエステル化合物」とも呼ばれる)においては、R
5は(C
1〜C
4)アルキルであり、R
6とR
7は独立に(C
1〜C
4)アルキルである。一般に、ジエチルエトキシメチレンマロネート(この明細書では「EMME」とも呼ばれる)を化合物2として使用することが好ましい。
【0009】
式3の化合物は、また、この明細書では「化合物3」または「アニリン−アルコキシメチレンマロネートジアルキルエステル−生成化合物」とも呼ばれる。このR基は、化合物1と化合物2において定義したのと同一である。
【0010】
この反応は、化合物1と化合物2を含む反応混合物を約50から約210℃までの、好ましくは約160から約210℃の温度及び約5psiaから約50psiaまでの圧力に反応を完結させるのに充分な時間、通常約0.5〜3時間置くことにより行なわれる。一般に、化合物1に対する若干のモル過剰の化合物2を使用することが好ましい。
【0011】
この方法のこの工程は溶媒の存在下で実施可能であるが、溶媒は必要とされない。この工程の反応条件下で化合物1または化合物2と反応しない溶媒はいかなるものも有用である。好ましくは、この溶媒はこの反応条件に置いた場合反応温度を超える沸点を有する。例えば、スルホラン、テトラグリム、ポリエーテル、長鎖(C
10〜
40)アルキル芳香族化合物、C
1〜
6アルキル化ナフタレン、ナフタレン、ジーゼル油または燃料油などの溶媒は好適である。一般に、ヒドロカルビル芳香族化合物、好ましくは(C
1〜C
30)アルキル置換ヒドロカルビル芳香族化合物を使用することが好ましい。一般に、ドデシルベンゼンを使用することが更に好ましいが、実際の条件においては、(C
1〜C
30)アルキル置換アリール化合物の混合物を含有する組成物を使用することが多分安価であろう。
【0012】
この方法における第2の工程は、反応スキームに示すように式3の化合物を反応させて、式4の化合物を調製することである。
【0013】
式4の化合物(この明細書では「化合物4」または「アルコキシカルボニルキノリン化合物」とも呼ばれる)においては、R
8は(C
1〜C
4)アルキルである。
【0014】
この反応は、化合物3を含む反応混合物を約200〜270℃の、好ましくは約220〜250℃の温度及び約5psiaから約50psiaまでの圧力に反応を完結させるのに充分な時間、通常約2〜20時間置くことにより行なわれる。
【0015】
この方法のこの工程は、好ましくは溶媒の存在下で行なわれる。工程1で上述した溶媒を使用することができる。
【0016】
場合によっては、この工程は、この方法の工程3に進む前に上記化合物4を回収することを含むことができる。この回収は、例えば、米国特許第5,973,153号(参照によりこの明細書に組み込まれている)で述べられているような、化合物4を単離するいかなる手段によっても実施可能である。化合物4を単離する場合には、R
8を水素(−H)に交換することにより、場合によってはこれを酸に変換することができる。
【0017】
この方法における第3の工程は、反応スキームに示すように式4の化合物と式5の化合物とを反応させて、式6の化合物を調製することである。
【0018】
式5の化合物(この明細書では「化合物5」または「ヒドロキシ化合物」とも呼ばれる)は、ヒドロキシ基(−OH)を含有し、化合物4の−C(=O)−O−R
8基と相互作用して、式6の化合物(この明細書では「化合物6」または「ヒドロキシキノリン化合物」とも呼ばれる)を生成する任意の化合物である。一般に、H
2Oが化合物5として使用するのに好ましい化合物である。
【0019】
この反応は、化合物4と化合物5を含む反応混合物を約180〜270℃の、好ましくは約200〜230℃の温度及び約5psiaから約50psiaまでの圧力に反応を完結させるのに充分な時間、通常約2〜20時間置くことにより行なわれる。
【0020】
この方法のこの工程は、好ましくは溶媒の存在下で行なわれる。工程1で上述した溶媒を使用することができる。一般に、極性ヒドロカルビルヘテロ化合物、好ましくは(C
1〜C
10)極性ヒドロカルビルヘテロ化合物を使用することが好ましい。一般に、スルホランを使用することが更に好ましい。溶媒:化合物4の5:1ないし20:1の重量比を使用することが好ましい。
【0021】
所望ならば、化合物6と化合物7とを溶媒中で反応させる前に、化合物6を単離することが可能である。加えて、所望ならば、化合物6と化合物7とを溶媒中で反応させる前に、化合物6を乾燥することが可能である。
【0022】
この方法における第4の工程は、反応スキームに示すように式6の化合物と式7の化合物を反応させて、式8の化合物を調製することである。
【0023】
式7の化合物(この明細書では「化合物7」または「ハロ化合物」とも呼ばれる)は、ハロ基(−F、Cl、Br、またはI)を含有し、化合物6の−OH基と相互作用して、式8の化合物(この明細書では「化合物8」または「ハロキノリン化合物」とも呼ばれる)を生成する任意の化合物である。一般に、SOCl
2(別名チオニルクロライド)が化合物7として使用するのに好ましい化合物である。
【0024】
この反応は、化合物6と化合物7を含む反応混合物を約50〜100℃の、好ましくは約60〜90℃の温度及び約5psiaから約50psiaまでの圧力に反応を完結させるのに充分な時間、通常約0.5〜5時間置くことにより行なわれる。
【0025】
この方法のこの工程は、好ましくは溶媒の存在下で行なわれる。工程1で上述した溶媒を使用することができる。一般に、極性ヒドロカルビルヘテロ化合物を使用することが好ましい。触媒を使用して、反応速度を増大させることも好ましい。一般に、N,N−ジメチルホルムアミドとN,N−ジエチルホルムアミドが好ましい触媒である。
【0026】
一般に、この方法の工程5に進む前に化合物7または他の望ましくない副生成物のいずれも除去することが好ましい。
【0027】
この方法における第5の工程は、この反応スキームに示すように式8の化合物と式9の化合物とを反応させて、式10の化合物を調製することである。
【0028】
式9の化合物(この明細書では「化合物9」または「アリールオキシ化合物」とも呼ばれる)においては、R
9ないしR
13は、独立にH、CN、NO
2、OH、ハロ、(C
1〜C
4)アルキル、(C
2〜C
4)アルカノイル、ハロ(C
1〜C
7)アルキル、ヒドロキシ(C
1〜C
7)アルキル、(C
1〜C
7)アルコキシ、ハロ(C
1〜C
7)アルコキシ、(C
1〜C
7)アルキルチオ、ハロ(C
1〜C
7)アルキルチオ、フェニル、置換フェニル、フェノキシ、置換フェノキシ、フェニルチオ、置換フェニルチオ、フェニル(C
1〜C
4)アルキル、置換フェニル(C
1〜C
4)アルキル、ベンゾイル、SiR
20R
21R
22、またはOSiR
20R
21R
22であり、ここで、R
20、R
21、及びR
22は、H、(C
1〜C
6)アルキル基、フェニル、または置換フェニルであり、但しR
20、R
21、及びR
22の少なくとも一つはH以外であるか、あるいはR
11とR
12あるいはR
12とR
13は結合して、炭素環を形成するか、R
9ないしR
13のすべてがHまたはFでない場合には、R
9ないしR
13の少なくとも2つはHであることを前提とする。前出の定義において用語「置換フェニル」は、ハロ、(C
1〜C
10)アルキル、ハロ(C
1〜C
7)アルキル、ヒドロキシ(C
1〜C
7)アルキル、(C
1〜C
7)アルコキシ、ハロ(C
1〜C
7)アルコキシ、フェノキシ、フェニル、NO
2、OH、CN、(C
1〜C
4)アルカノイルオキシ、またはベンジルオキシから選ばれる3つまでの基により置換されたフェニルを指す。用語「アルキル」は、線状、分岐、あるいは環状のアルキルを指す。用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを指す。用語「置換フェノキシ」は、ハロ、(C
1〜C
10)アルキル、ハロ(C
1〜C
7)アルキル、ヒドロキシ(C
1〜C
7)アルキル、(C
1〜C
7)アルコキシ、ハロ(C
1〜C
7)アルコキシ、フェノキシ、フェニル、NO
2、OH、CN、(C
1〜C
4)アルカノイルオキシ、またはベンジルオキシから選ばれる3つまでの基により置換されたフェノキシ基を指す。用語「置換フェニルチオ」は、ハロ、(C
1〜C
10)アルキル、ハロ(C
1〜C
7)アルキル、ヒドロキシ(C
1〜C
7)アルキル、(C
1〜C
7)アルコキシ、ハロ(C
1〜C
7)アルコキシ、フェノキシ、フェニル、NO
2、OH、CN、(C
1〜C
4)アルカノイルオキシ、またはベンジルオキシから選ばれる3つまでの基により置換されたフェニルチオ基を指す。一般に、パラフルオロフェノールを化合物9として使用することが好ましい。
【0029】
この反応は、化合物8と化合物9を含む反応混合物を約40〜70℃の、好ましくは約55〜65℃の温度及び約0.5psiaから約50psiaまでの圧力に反応を完結させるのに充分な時間、通常約0.5〜20時間置くことにより行なわれる。
【0030】
この方法のこの工程は、好ましくは溶媒の存在下で行なわれる。工程1で上述した溶媒を使用することができる。一般に、極性ヒドロカルビルヘテロ化合物を使用することが好ましい。
【0031】
一般に、この反応時に塩基を使用することが好ましい。このカップリング反応を促進するいかなる塩基も使用することができる。一般に、この塩基が−OH基を含有する場合が好ましい。好適な塩基は、トリエチルアミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムである。一般に、水酸化カリウムが好ましい。
【0032】
場合によっては、工程5は、上記式10の化合物を回収することを含むことができる。この回収は、例えば、米国特許第5,973,153号で述べられているような、化合物10を単離するいかなる手段によっても実施可能である。
【0033】
一般に、工程1及び2においてはドデシルベンゼンを溶媒として、また工程3〜5においてはスルホランを溶媒として使用することが好ましい。加えて、工程3に進む前に化合物4を単離することが好ましい。
【0034】
(実施例)
これらの実施例は当業者に本発明を更に例示するために提供される。これらは本発明を限定するものと解釈されることを意図するものではない。
【0035】
実施例1:フルオロ−4−フェノキシ−5,7−ジクロロキノリンの調製
化合物3,5−ジクロロアニリン(DCA、162.7g、1.0モル)とジエチルエトキシメチレンマロネート(diethyl ethoxymethylenemalonate; EMME、221.1g、1.02モル)を1.135kgの再循環ドデシルベンゼンと83.3gの新しいドデシルベンゼンの中に混合した。機械的攪拌器とディーンスタルク蒸留装置を備えたステンレス鋼の3リットルの3つ口丸底フラスコ中でこの反応を行なった。この反応混合物を攪拌し、窒素を液体レベル下200cc/分の流量でパージした。ディーンスタルク装置中塔上で約1等量のエタノールを捕集しながら、60分間にわたって180℃まで加熱し、次に30分間で200℃までこの反応混合物を加熱した。次に、この混合物を室温まで冷却し、窒素パージ下で一晩放置した。
【0036】
次に、窒素を液体レベル下180cc/分の流量でパージし、約450RPMで攪拌しながら、この反応混合物を約7時間で240℃まで加熱した。この時間の間にほぼ1等量のエタノールを塔上で捕集した。この混合物を130℃まで冷却し、1番のワットマン濾紙付きのブフナー漏斗を用いて熱い内に濾過した。このケーキを150mlの新しいドデシルベンゼンで洗浄し、全濾液(1066.3g)を再循環するために取り出した。次に、このケーキを377g(500m1)の再循環エタノールにより2回洗浄し、続いて377gの蒸留エタノールにより1回洗浄した。次に、このケーキを500mlの熱(50℃)水により洗浄した。これにより439.7gの化合物4の水で湿ったケーキを得た。
【0037】
431.4gのこの湿ったケーキ(試料除去後)を5リットルガラス反応器中で1.8kg(約1.43リットル)の再循環スルホランに添加した。この残存する水(この湿ったケーキからの)を大気圧で90°から215℃でこの溶液から蒸留し、約130.9gの水を回収した(一部の水は排気ガスと共に失われた)。この混合物を過熱しないように注意を払い、窒素を約200cc/でこの反応器にパージした。200℃の温度に達した後、窒素パージを取り外し、この混合物を220℃までゆっくり加熱した。次に、水を6g/時の速度で5時間にわたって添加し、219℃の温度を維持しながら56gのエタノール/水をディーンスタルクトラップ中に捕集した。加熱を220℃で更に2時間継続して、反応を確実に完了させた。次に、この反応混合物を一晩冷却した。次に、この反応混合物を120℃まで加熱し、残存する水を減圧(25mmHg)で1時間除去した。次に、この反応混合物を3.71g(0.05モル)のジメチルホルムアミドと155.7g(1.31モル)のチオニルクロライドにより75℃の温度で2時間処理した。次に、この過剰のチオニルクロライドを減圧(25mmHg)下90℃で2時間除去し、25.7gのチオニルクロライドと二酸化イオウを初期のトラップ物中に回収した。次に、この内容物を室温で3日の週末の間窒素被覆(nitrogen pad)下に保持した(トリクロロキノリン化合物混合物)。
【0038】
5リットルステンレス鋼反応器を102.1g(0.91モル)のパラフルオロフェノールと300.7g(2.41モル)の45%の水酸化カリウムにより充填し、室温で混合した。このトリクロロキノリン溶液(このガラス反応器中の)を混合し、50℃まで加熱して、このスラリーの流動性を増大させ、いかなる生成固体をも崩壊させた。次に、このトリクロロキノリン混合物を5リットルステンレス鋼反応器中のこの溶液に添加し、21℃から51℃まで発熱が起こったことを認めた。この反応器を81.3gの新しいスルホランによりスラリー化し、この混合物を使用して、このスラリーの添加に使用した漏斗に詰まった固体を洗い流した。次に、この反応混合物を600RPMの攪拌速度により4時間で66℃まで加熱した。66℃で加熱した4時間後、水添加ポンプを取り付け、加速された4段階速度を用いて水をこの反応混合物に添加した。水を5ml/分の速度で40分間添加した。次の20分間速度を10ml/分まで増加させた。速度を次の10分間20ml/分まで倍加し、1200mlの水を反応器に添加するまで最終的に40ml/分(15分)まで増加させた。この反応器を4リットルビーカー中に空けるのに先立ってこの混合物を攪拌し、50℃まで冷却させた。この反応器の出口バルブを227m1の淡水により洗い流し、これをクエンチした反応混合物に添加した。次に、この反応混合物を濾過し、500mlの熱(50℃)水により洗浄し、スルホランを回収するために3665.3gの濾液を回収した。次に、この湿ったケーキを500mlの熱水により2回目の洗浄をし、化合物10を含有する342.8gの水で湿ったケーキを回収した。
【0039】
実施例2:フルオロ−4−フェノキシ−5,7−ジクロロキノリンの調製
この実施例はこの方法の工程3〜5を例示する。7018kgの湿った(〜3重量パーセントの水)スルホランを反応器の中に装填し、続いて906kgの3,5−ジクロロ−3−カルボキシ−4−ヒドロキシキノリンを装填して、湿ったスラリーを形成した。このスラリーを大気圧で220℃まで加熱して、大部分の水を除去し、その温度で5時間保持して、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシキノリンを調製した。この混合物を105℃まで冷却し、最大の真空を3時間かけて、水を除去した。次に、この混合物を追加の750kgのスルホランを用いて別な反応器に移して、移液ラインを洗い流し、70℃まで更に冷却し、次に、522kgのチオニルクロライドと13.4kgのN,N−ジメチルホルムアミドを添加し、この3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシキノリンを75℃で2時間反応させて、4,5,7−トリクロロキノリンを調製した。次に、この混合物を最大の真空と共に3時間で95℃まで加熱し、SO
2とSOCl
2を除去し、次に、移液に先立って60℃まで冷却した。次の反応器を1077kgの45%KOH水溶液と373kgのパラフルオロフェノールにより装填し、その後4,5,7−トリクロロキノリン混合物を受け入れ、追加の600kgのスルホランを受け入れて、ラインを洗い流した。次に、この混合物を水除去せずに60℃で12時間反応させて、フルオロ−4−フェノキシ−5,7−ジクロロキノリンを調製した。次に、5760kgの水を4時間にわたって添加し、次に、40℃まで冷却して、製品の結晶を生成させた。次に、この混合物を2つの遠心分離器に供給して、製品を回収した。この固体を水により洗浄した。