【文献】
上田 和彦,外10名,多段階発癌・早期肝細胞癌の画像診断と病理・病態−a.CT・動注CT− Computed Tomography of Hepatocellular Carci-noma and Dysplastic Nodules of the Liver,画像診断 5月号,日本,2009年 4月25日,第29巻,p.571-576
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3の演算手段は、前記形態腫瘍度と過去に求められた形態腫瘍度との差を更に求めることで前記形態腫瘍度の経時的な変化量を得て、前記機能腫瘍度と過去に求められた機能腫瘍度との差を更に求めることで前記機能腫瘍度の経時的な変化量を得る請求項3に記載の医用画像処理装置。
前記第3の演算手段は、前記癌化特徴量と、前記形態腫瘍度の経時的な変化量と、前記機能腫瘍度の経時的な変化量とに基づいて、前記腫瘍候補の分化度を更に求める請求項4に記載の医用画像処理装置。
前記医用画像データに基づく医用画像を表示手段に表示させ、前記医用画像に表された前記腫瘍候補に、前記癌化特徴量に対応する色を付ける表示制御手段を更に有する請求項1から請求項5のいずれかに記載の医用画像処理装置。
前記医用画像データに基づく医用画像を表示手段に表示させ、前記医用画像に表された前記腫瘍候補に、前記分化度に対応する色を付ける表示制御手段を更に有する請求項5に記載の医用画像処理装置。
前記第1の演算手段は、前記腫瘍候補の大きさ、前記腫瘍候補の形状、前記腫瘍候補の表面の凹凸の形状、及び前記腫瘍候補の内部構造のうちの少なくとも1つを前記形態情報として求める請求項1から請求項7のいずれかに記載の医用画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照して、実施形態に係る医用画像処理装置について説明する。この実施形態に係る医用画像処理装置1は医用画像撮影装置90に接続されている。
【0012】
(医用画像撮影装置90)
医用画像撮影装置90は例えばX線CT装置である。医用画像撮影装置90は、被検体を撮影することで医用画像データを生成する。医用画像撮影装置90は医用画像データを医用画像処理装置1に出力する。医用画像撮影装置90の画像記憶部2は医用画像データを記憶する。
【0013】
医用画像撮影装置90は、例えば3次元領域を撮影することでボリュームデータを生成する。一例として肺を撮影対象とする。この場合、医用画像撮影装置90は被検体の胸部を撮影することで胸部のボリュームデータを生成する。
【0014】
また、医用画像撮影装置90は、被検体の同一部位を撮影対象として3次元領域を連続的に撮影することで、時系列に沿った複数のボリュームデータ(撮影された時間がそれぞれ異なる複数のボリュームデータ)を生成する。肺を撮影対象とした場合、医用画像撮影装置90は胸部を連続的に撮影することで、時系列に沿った複数のボリュームデータを生成する。
【0015】
医用画像撮影装置90は胸部のボリュームデータを医用画像処理装置1に出力する。画像記憶部2は胸部のボリュームデータを記憶する。
【0016】
この実施形態ではいわゆる造影撮影(パフュージョン検査)を行う。すなわち、医用画像撮影装置90は、造影剤が注入された被検体の同一部位(例えば肺)を撮影対象として、胸部を連続的に撮影することで時系列に沿った複数のボリュームデータを生成する。造影剤が被検体に注入されて得られたボリュームデータを「造影ボリュームデータ」と称することとする。造影剤が被検体に注入されないで得られたボリュームデータを「非造影ボリュームデータ」と称することとする。
【0017】
この実施形態において得られる医用画像データを、
図2に示す。
図2は、この実施形態において取得された医用画像データを模式的に示す図であり、非造影ボリュームデータと複数の造影ボリュームデータとを模式的に示す図である。非造影撮影においては、医用画像撮影装置90は胸部の非造影ボリュームデータ100を生成する。また、造影撮影においては、医用画像撮影装置90は、時系列に沿った複数の造影ボリュームデータを含む造影ボリュームデータ群200を生成する。造影ボリュームデータ群200は、造影ボリュームデータ201、造影ボリュームデータ202、造影ボリュームデータ203、造影ボリュームデータ204、及び造影ボリュームデータ205などの複数のボリュームデータを含む。造影ボリュームデータ群200に含まれる複数の造影ボリュームデータは、それぞれ撮影された時間が異なるデータである。例えば医用画像撮影装置90は、造影ボリュームデータ201、造影ボリュームデータ202、・・・、造影ボリュームデータ203の順番で各造影ボリュームデータを生成する。画像記憶部2は、非造影ボリュームデータ100と造影ボリュームデータ群200とを記憶する。
【0018】
(医用画像処理装置1)
医用画像処理装置1は、画像記憶部2と、特定部3と、第1の演算部4と、第2の演算部5と、第3の演算部6と、画像生成部7と、表示制御部8と、ユーザインターフェース9(UI)とを備えている。
【0019】
(画像記憶部2)
画像記憶部2は、医用画像撮影装置90によって生成された医用画像データを記憶する。画像記憶部2は、例えば胸部の非造影ボリュームデータを記憶する。また画像記憶部2は、造影撮影によって得られた時系列に沿った複数の造影ボリュームデータを記憶する。
【0020】
(特定部3)
特定部3は画像記憶部2からボリュームデータを読み込み、そのボリュームデータから肺結節(腫瘍)候補を特定する。特定部3は、例えば
図2に示す非造影ボリュームデータ100を画像記憶部2から読み込み、非造影ボリュームデータ100の画素値(CT値)に基づいて肺結節候補を特定する。例えば、特定部3は、経験的に求められる閾値以上の画素値を有する範囲を肺結節候補として特定する。または、特定部3は、造影撮影によって得られた複数の造影ボリュームデータのうち、撮影対象の周辺に造影剤が流入する前の時相に得られたボリュームデータに基づいて肺結節候補を特定してもよい。例えば
図2に示す造影ボリュームデータ201が、肺の周辺に造影剤が流入する前の時相に取得されたボリュームデータである場合、特定部3は造影ボリュームデータ201に基づいて肺結節候補を特定する。特定部3が造影ボリュームデータ201に基づいて肺結節候補を特定する場合には、非造影ボリュームデータ100は生成されていなくてもよい。すなわち、医用画像撮影装置90は非造影撮影を行わずに、造影撮影のみを行って造影ボリュームデータ群200のみを生成してもよい。特定部3は、肺結節(腫瘍)候補の位置を示す位置情報(座標情報)を、第1の演算部4と第2の演算部5と表示制御部8とに出力する。
【0021】
特定部3によって特定された肺結節候補の一例を、
図3に示す。
図3は肺の画像を示す図であり、肺結節候補の領域を説明するための図である。特定部3は、例えば非造影ボリュームデータ100の画素値(CT値)に基づいて肺結節候補110を特定する。
【0022】
(第1の演算部4)
第1の演算部4は、形態情報算出部41と形態腫瘍度算出部42とを備えている。
【0023】
(形態情報算出部41)
形態情報算出部41は、肺結節(腫瘍)候補の位置情報とボリュームデータとを受けて、肺結節(腫瘍)候補の形態の特徴を示す形態情報を求める。形態情報算出部41は、例えば非造影ボリュームデータ100に基づいて、肺結節候補の形態の特徴を示す形態情報を求める。形態情報としては、肺結節候補の大きさ、肺結節候補の形状、肺結節候補の表面の凹凸の形状、及び肺結節候補の内部構造が一例として該当する。内部構造には、肺結節候補の内部に形成された空洞の状態、又は肺結節候補の画素値(CT値)の均一性が該当する。空洞の状態には、例えば空洞の大きさ(面積)が該当する。形態情報算出部41は、肺結節候補の大きさ、肺結節候補の形状、肺結節候補の表面の凹凸の形状、肺結節候補の空洞の状態、及び画素値(CT値)の均一性のうち少なくとも1つの情報を形態情報として求める。すなわち形態情報算出部41は、肺結節候補について、大きさ、形状、表面の凹凸の形状、空洞の状態、及び画素値の均一性のうちの複数の情報を求めてもよいし、1つの情報のみを求めてもよい。例えば、形態情報算出部41によって求められる形態情報の種類を、操作者が操作部13を用いて指定してもよい。この場合、形態情報算出部41は、操作者によって指定された形態情報を求める。
【0024】
形態情報算出部41は、肺結節候補の大きさの一例として肺結節候補の面積を求める。形態情報算出部41は、肺結節候補の形状を特定し、特定された形状をSpherical(球状)、Triangular(三角形状)、Linear(直線状)、Oval(楕円状)、又はIrregularのいずれかの形状に分類する。例えば形態情報算出部41は、パターンマッチングによって肺結節候補の形状を分類する。形態情報算出部41は、肺結節候補の表面の凹凸の形状を求め、凹凸の形状をSpicular(針骨状)、Smooth(平坦)、又はLobulated(分葉)のいずれかの形状に分類する。例えば形態情報算出部41は、パターンマッチングによって凹凸の形状を分類する。形態情報算出部41は、空洞の状態の一例として、肺結節候補の内部に形成された空洞の面積を求める。形態情報算出部41は、画素値(CT値)の均一性の一例として、肺結節候補内にある複数の画素の画素値(CT値)のばらつきを求める。
【0025】
(形態腫瘍度算出部42)
形態腫瘍度算出部42は、形態情報に基づいて、肺結節(腫瘍)候補の形態に対する腫瘍の度合いを示す腫瘍度(特徴量)を求める。形態情報によって求められる腫瘍度(特徴量)を、「形態腫瘍度(形態特徴量)」と称することとする。形態腫瘍度算出部42は、形態情報をスコア付けし、スコア(点数)に基づいて形態腫瘍度を求める。例えば形態情報とスコア(点数)とが対応付けられたスコアテーブルを予め作成しておき、図示しない記憶部に予め記憶させておく。形態腫瘍度算出部42は、スコアテーブルを参照して形態情報に対応するスコア(点数)を求める。スコア(点数)は、例えば癌化した組織を基準にして規格化された値である。一例として、形態腫瘍度算出部42は、癌化した組織のスコア(点数)を「10」とし、癌化した組織のスコアを基準にして、形態情報が示す値の大きさに応じてスコア付けする。
【0026】
肺結節候補の大きさが求められている場合、形態腫瘍度算出部42は肺結節候補の大きさをスコア付けする。例えば肺結節候補の大きさとスコア(点数)とが対応付けられたスコアテーブルを、図示しない記憶部に予め記憶させておく。肺結節候補が大きくなるほど腫瘍度(腫瘍の度合い)は高いと推定されるため、肺結節候補が大きくなるほどスコア(点数)を高くする。形態腫瘍度算出部42は、スコアテーブルを参照して肺結節候補の大きさに対応するスコア(点数)を求める。
【0027】
肺結節候補の形状が求められて形状が分類されている場合、形態腫瘍度算出部42は肺結節候補の形状をスコア付けする。例えば肺結節候補の形状の分類とスコア(点数)とが対応付けられたスコアテーブルを、図示しない記憶部に予め記憶させておく。具体的には、Spherical(球状)、Triangular(三角形状)、Linear(直線状)、Oval(楕円状)、及びIrregularのそれぞれと、スコア(点数)とが対応付けられたスコアテーブルを、図示しない記憶部に予め記憶させておく。肺結節候補の形状によって腫瘍度(腫瘍の度合い)は異なると推定されるため、肺結節候補の形状の分類とスコア(点数)とを対応付けておく。形態腫瘍度算出部42は、スコアテーブルを参照して肺結節候補の形状の分類に対応するスコア(点数)を求める。
【0028】
肺結節候補の表面の凹凸の形状が分類されている場合、形態腫瘍度算出部42は凹凸の形状をスコア付けする。例えば凹凸の形状の分類とスコア(点数)とが対応付けられたスコアテーブルを、図示しない記憶部に予め記憶させておく。具体的には、Spicular(針骨状)、Smooth(平坦)、及びLobulated(分葉)のそれぞれと、スコア(点数)とが対応付けられたスコアテーブルを、図示しない記憶部に予め記憶させておく。表面の凹凸の形状によって腫瘍度(腫瘍の度合い)は異なると推定されるため、凹凸の形状の分類とスコア(点数)とを対応付けておく。形態腫瘍度算出部42は、スコアテーブルを参照して凹凸の形状の分類に対応するスコア(点数)を求める。
【0029】
肺結節候補の内部に形成された空洞の状態が求められている場合、形態腫瘍度算出部42は空洞の状態をスコア付けする。例えば空洞の大きさとスコア(点数)とが対応付けられたスコアテーブルを、図示しない記憶部に予め記憶させておく。空洞が大きくなるほど腫瘍度(腫瘍の度合い)は高いと推定されるため、空洞が大きくなるほどスコア(点数)を高くする。形態腫瘍度算出部42は、スコアテーブルを参照して空洞の大きさに対応するスコア(点数)を求める。
【0030】
肺結節候補の画素値(CT値)の均一性(ばらつき)が求められている場合、形態腫瘍度算出部42は画素値の均一性をスコア付けする。例えば画素値の均一性とスコア(点数)とが対応付けられたスコアテーブルを、図示しない記憶部に予め記憶させておく。画素値のばらつきの度合いが高くなるほど腫瘍度(腫瘍の度合い)は高いと推定されるため、画素値のばらつきの度合いが高くなるほどスコア(点数)を高くする。形態腫瘍度算出部42は、スコアテーブルを参照して画素値の均一性(ばらつき)に対応するスコア(点数)を求める。
【0031】
形態腫瘍度算出部42は、形態情報のスコア(点数)に基づいて形態腫瘍度を求める。例えば形態腫瘍度算出部42は、肺結節候補の大きさ、肺結節候補の形状、肺結節候補の表面の凹凸の形状、肺結節候補の空洞の状態、及び画素値(CT値)の均一性のうち少なくとも1つの情報のスコア(点数)に基づいて形態腫瘍度を求める。
【0032】
上述した形態情報のスコアの組み合わせは一例であり、いずれの形態情報のスコアを組み合わせて形態腫瘍度を求めてもよい。また、1つの形態情報のスコアそのものを形態腫瘍度としてもよい。形態腫瘍度算出部42によって求められる形態腫瘍度の種類を、操作者が操作部11を用いて指定してもよい。この場合、形態腫瘍度算出部42は、操作者によって指定された形態腫瘍度を求める。
【0033】
形態腫瘍度算出部42が形態情報のスコアを求める代わりに、操作者がスコアを付けてもよい。例えば画像生成部7は、非造影ボリュームデータを画像記憶部2から読み込み、非造影ボリュームデータに基づいてMPR画像データ(任意の断面における画像データ)を生成する。表示制御部8はMPR画像データに基づくMPR画像を表示部10に表示させる。操作者は表示部10に表示されているMPR画像を参照し、MPR画像に表されている肺結節候補の大きさ、形状、凹凸の形状、空洞の状態、及び画素値の均一性のうち少なくとも1つの情報についてスコア(点数)を付ける。操作者は操作部11を用いてスコアを入力する。形態腫瘍度算出部42は、操作部11によって入力されたスコアに基づいて形態腫瘍度を求める。このように操作者が形態特徴量のスコアを付けてもよい。
【0034】
(第2の演算部5)
第2の演算部5は、機能情報算出部51と機能腫瘍度算出部52とを備えている。
【0035】
(機能情報算出部51)
機能情報算出部51は、肺結節(腫瘍)候補の位置情報とボリュームデータとを受けて、肺結節(腫瘍)候補における血流動態を示す機能情報を求める。機能情報算出部51は、時系列に沿った複数の造影ボリュームデータを含む造影ボリュームデータ群200に基づいて、肺結節候補における血流動態を示す機能情報を求める。機能情報としては、肺結節候補の画素値(CT値)の上昇度、肺結節候補における血流量、肺結節候補における血液量、肺結節候補における血液の通過時間、及び肺結節候補における血流量の比が一例として該当する。
【0036】
造影ボリュームデータ群200は、造影剤が被検体に注入された状態で得られたボリュームデータである。造影剤が被検体に注入された状態で得られた画像の一例を、
図5に示す。
図5は肺の画像を示す図であり、機能情報を求める処理を説明するための図である。被検体に注入された造影剤は肺結節候補210や肺の周辺の組織に流入し、時間とともに流出する。このように時間とともに造影剤の量が変化し、造影ボリュームデータ群200の画素値(CT値)は造影剤の量に応じて変化する。機能情報算出部51は、造影ボリュームデータ群200の画素値に基づいて、肺結節候補210の機能情報を求める。
【0037】
機能情報算出部51は、画素値の上昇度、血流量、血液量、通過時間、及び血流量の比のうち少なくとも1つの情報を機能情報として求める。すなわち機能情報算出部51は、画素値の上昇度、血流量、血液量、通過時間、及び血流量の比のうちの複数の情報を求めてもよいし、1つの情報のみを求めてもよい。例えば、機能情報算出部51によって求められる機能情報の種類を、操作者が操作部13を用いて指定してもよい。この場合、機能情報算出部51は、操作者によって指定された機能情報を求める。
【0038】
機能情報算出部51は、肺結節候補の画素値(CT値)の上昇度の一例として、肺結節候補における単位時間あたりの画素値の上昇度を求める。機能情報算出部51は、肺結節候補における血流量の一例として、肺結節候補における単位体積及び単位時間あたりの血流量を求める。機能情報算出部51は、肺結節候補の血液量の一例として、肺結節候補内の単位体積あたりの血液量を求める。機能情報算出部51は、肺結節候補における血液の通過時間の一例として、肺結節候補における血液の平均通過時間を求める。機能情報算出部51は、肺結節候補における血流量の比の一例として、肺結節候補の周辺領域の血流量に対する肺結節候補の血流量の比を求める。
【0039】
(機能腫瘍度算出部52)
機能腫瘍度算出部52は、機能情報に基づいて、肺結節(腫瘍)候補の血流動態に対する腫瘍の度合い示す腫瘍度(特徴量)を求める。機能情報によって求められた腫瘍度(特徴量)を、「機能腫瘍度(機能特徴量)」と称することとする。機能腫瘍度算出部52は、機能情報をスコア付けし、スコア(点数)に基づいて機能腫瘍度を求める。例えば機能情報とスコア(点数)とが対応付けられたスコアテーブルを予め作成しておき、図示しない記憶部に予め記憶させておく。機能腫瘍度算出部52は、スコアテーブルを参照して機能情報に対応するスコア(点数)を求める。スコア(点数)は、例えば癌化した組織を基準にして規格化された値である。一例として、機能腫瘍度算出部52は、癌化した組織のスコア(点数)を「10」とし、癌化した組織のスコアを基準として、機能情報が示す値の癌化度との対応をスコア付けする。
複数のパラメータ(指標)をそれぞれスコア化する場合に、各パラメータの癌化度検出貢献度(検出精度)に応じ、スコアに重み付けを行う。
【0040】
肺結節候補の画素値(CT値)の上昇度が求められている場合、機能腫瘍度算出部52は画素値の上昇度をスコア付けする。例えば画素値の上昇度とスコア(点数)とが対応付けられたスコアテーブルを、図示しない記憶部に予め記憶させておく。肺結節候補の画素値の上昇度が高くなるほど腫瘍度(腫瘍の度合い)は高いと推定されるため、画素値の上昇度が高くなるほどスコア(点数)を高くする。機能腫瘍度算出部52は、スコアテーブルを参照して画素値の上昇度に対応するスコア(点数)を求める。
【0041】
肺結節候補における血流量が求められている場合、機能腫瘍度算出部52は血流量をスコア付けする。例えば肺結節候補における血流量とスコア(点数)とが対応付けられたスコアテーブルを、図示しない記憶部に予め記憶させておく。肺結節候補における血流量が多くなるほど腫瘍度(腫瘍の度合い)は高いと推定されるため、血流量が多くなるほどスコア(点数)を高くする。機能腫瘍度算出部52は、スコアテーブルを参照して血流量に対応するスコア(点数)を求める。
【0042】
肺結節候補における血液量が求められている場合、機能腫瘍度算出部52は血液量をスコア付けする。例えば肺結節候補における血液量とスコア(点数)とが対応付けられたスコアテーブルを、図示しない記憶部に予め記憶させておく。肺結節候補における血液量が多くなるほど腫瘍度(腫瘍の度合い)は高いと推定されるため、血液量が多くなるほどスコア(点数)を高くする。機能腫瘍度算出部52は、スコアテーブルを参照して血液量に対応するスコア(点数)を求める。
【0043】
肺結節候補における血液の通過時間が求められている場合、機能腫瘍度算出部52は血液の通過時間をスコア付けする。例えば肺結節候補における血液の通過時間とスコア(点数)とが対応付けられたスコアテーブルを、図示しない記憶部に予め記憶させておく。血液の通過時間が長くなるほど腫瘍度(腫瘍の度合い)は高いと推定されるため、通過時間が長くなるほどスコア(点数)を高くする。機能腫瘍度算出部52は、スコアテーブルを参照して通過時間に対応するスコア(点数)を求める。
【0044】
肺結節候補における血流量の比が求められている場合、機能腫瘍度算出部52は血流量の比をスコア付けする。例えば肺結節候補における血流量の比とスコア(点数)とが対応付けられたスコアテーブルを、図示しない記憶部に予め記憶させておく。血流量の比が大きくなるほど腫瘍度(腫瘍の度合い)は高いと推定されるため、血流量の比が大きくなるほどスコア(点数)を高くする。機能腫瘍度算出部52は、スコアテーブルを参照して血流量の比に対応するスコア(点数)を求める。
【0045】
機能腫瘍度算出部52は、機能情報のスコア(点数)に基づいて機能腫瘍度を求める。例えば機能腫瘍度算出部52は、肺結節候補の画素値(CT値)の上昇度、肺結節候補における血流量、肺結節候補における血液量、肺結節候補における血液の通過時間、及び肺結節候補における血流量の比のうち少なくとも1つの情報のスコア(点数)に基づいて機能腫瘍度を求める。
【0046】
一例として、画素値の上昇度、血流量、血液量、血液の通過時間、及び血流量の比のそれぞれについてスコア(点数)が求められている場合について説明する。例えば機能腫瘍度算出部52は、各機能情報のスコア(点数)をグラフに表し、そのグラフに基づいて機能腫瘍度を求める。
図6を参照して、機能情報と機能腫瘍度との関係を説明する。
図6は、機能情報と機能腫瘍度との関係を示すレーダーチャートである。一例として
図6に示すように、機能腫瘍度算出部52は、5種類の機能情報のスコアをそれぞれ変数とする五角形状のレーダーチャート(グラフ)を作成する。機能腫瘍度算出部52は、レーダーチャートにおいて各機能情報のスコア(規格化された値)をプロットし、隣同士のスコアの点を結ぶ。機能腫瘍度算出部52は、隣同士のスコアの点が結ばれた範囲400(斜線で示す範囲)の面積を求める。範囲400の面積が、機能腫瘍度に相当する。機能腫瘍度算出部52は、機能腫瘍度(例えば範囲400の面積)を示す情報を第3の演算部6に出力する。
【0047】
別の例として、機能腫瘍度算出部52は、血流量、血液量、及び血流量の比のそれぞれのスコア(点数)に基づいて機能腫瘍度を求めてもよい。この場合、機能腫瘍度算出部52は、3種類の機能情報のスコアをそれぞれ変数とする三角形状のレーダーチャートを作成する。機能腫瘍度算出部52は、レーダーチャートにおいて各機能情報のスコアをプロットし、隣同士のスコアの点を結ぶ。機能腫瘍度算出部52は、隣同士のスコアの点が結ばれた範囲の面積を機能腫瘍度として求める。血流量、血液量、及び血流量の比には、腫瘍の状態が反映されやすい。そのため、血流量、血液量、及び血流量の比に係るスコアを用いることで、腫瘍の状態を良好に反映した機能腫瘍度が得られる。
【0048】
上述した機能情報のスコアの組み合わせは一例であり、いずれの機能情報のスコアを組み合わせて機能腫瘍度を求めてもよい。また、1つの機能情報のスコアそのものを機能腫瘍度としてもよい。機能腫瘍度算出部52によって求められる機能腫瘍度の種類を、操作者が操作部11を用いて指定してもよい。この場合、機能腫瘍度算出部52は、操作者によって指定された機能腫瘍度を求める。
【0049】
(第3の演算部6)
第3の演算部6は、特徴量算出部61と変化量算出部62と分化度算出部63とを備えている。
【0050】
(特徴量算出部61)
特徴量算出部61は、形態腫瘍度を示す情報を形態腫瘍度算出部42から受け、機能腫瘍度を示す情報を機能腫瘍度算出部52から受ける。特徴量算出部61は、形態腫瘍度と機能腫瘍度とに基づいて、肺結節候補の腫瘍の度合いを示す結節特徴スコア(癌化特徴量)を求める。例えば形態腫瘍度と機能腫瘍度と結節特徴スコアとが対応付けられたスコアテーブルを予め作成しておき、図示しない記憶部に予め記憶させておく。特徴量算出部61は、スコアテーブルを参照して形態腫瘍度と機能腫瘍度とに対応する結節特徴スコアを求める。
【0051】
一例として、特徴量算出部61は、形態腫瘍度に相当する範囲300の面積と、機能腫瘍度に相当する範囲400の面積とに基づいて結節特徴スコア(癌化特徴量)を求める。例えば、形状腫瘍度に相当する範囲300の面積と、機能腫瘍度に相当する範囲400の面積と、結節特徴スコア(癌化特徴量)とが対応付けられたスコアテーブルを、図示しない記憶部に予め記憶させておく。形態腫瘍度が高くなるほど結節特徴スコアは高くなり、機能腫瘍度が高くなるほど結節特徴スコアは高くなる。特徴量算出部61は、スコアテーブルを参照して形態腫瘍度に相当する面積と機能腫瘍度に相当する面積とに対応する結節特徴スコアを求める。特徴量算出部61は、結節特徴スコア(癌化特徴量)を示す情報を表示制御部8に出力する。
【0052】
形態腫瘍度と機能腫瘍度と結節特徴スコアとの関係を、
図7に示す。
図7は、腫瘍の度合い(結節特徴スコア)を模式的に示す図である。結節モデル500などは、形態情報に基づく腫瘍度(形態腫瘍度)の程度と、機能情報に基づく腫瘍度(機能腫瘍度)の程度とを表している。各結節モデルの形状及び大きさが、形態情報に基づく腫瘍度(形態腫瘍度)の程度を表している。各結節モデル内のハッチングの種類が、機能情報に基づく腫瘍度(機能腫瘍度)の程度を表している。例えば結節モデル500、結節モデル501、結節モデル502、及び結節モデル503は、機能腫瘍度の程度が低く、現状では癌化する可能性がないことを示している。一例として結節モデル500は、直径が10mmであり機能腫瘍度の程度も低いため、現状では癌化する可能性がないことを示している。結節モデル510及び結節モデル511は、大きさが比較的大きく機能腫瘍度の程度も比較的高いため、癌化する可能性があることを示している。結節モデル520及び結節モデル521は、大きさが大きく、表面の凹凸が針状であり、機能腫瘍度の程度も高いため、癌化されたことを示している。
【0053】
実線Aは、この実施形態に係る医用画像処理装置1による検出精度の境界を示している。破線Bは、従来技術に係る方法による検出精度の境界を示している。従来のように形態情報のみに基づいて癌化の同定を行う場合には、結節モデル520及び結節モデル521に相当する腫瘍の程度を検出することができるが、結節モデル510及び結節モデル511に相当する腫瘍の程度を検出することができない。すなわち、従来技術によると、結節モデル520及び結節モデル521が示す既に癌化した結節を検出することはできるが、結節モデル510及び結節モデル511が示す癌化する可能性がある結節を検出することができない。このように形態情報のみからでは、結節モデル510及び結節モデル511が示す癌化する可能性がある結節を検出することは困難である。
【0054】
一方、この実施形態に係る医用画像処理装置1によると、形態腫瘍度と機能腫瘍度とに基づいて癌化の同定を行うことで、形態情報のみからでは癌化の同定が困難な結節を検出することが可能となる。この実施形態に係る医用画像処理装置1によると、例えば結節モデル510及び結節モデル511が示す癌化する可能性がある結節を検出することが可能となる。このように機能情報をも含めて癌化の同定を行うため、形態情報のみからでは検出が困難な状態の結節を検出することが可能となる。
【0055】
(変化量算出部62)
変化量算出部62は、別々の撮影によってそれぞれ得られた形態腫瘍度(形態特徴量)の経時的な変化量を求める。また、変化量算出部62は、別々の撮影によってそれぞれ得られた機能腫瘍度(機能特徴量)の経時的な変化量を求める。例えば被検体の同一部位を撮影対象として、医用画像撮影装置90によって別々の撮影(第1の撮影と第2の撮影)を行う。変化量算出部62は、第1の撮影によって得られた形態腫瘍度と第2の撮影によって得られた形態腫瘍度との差を求めることで、形態腫瘍度の経時的な変化量を得る。変化量算出部62は、第1の撮影によって得られた機能腫瘍度と第2の撮影によって得られた機能腫瘍度との差を求めることで、機能腫瘍度の経時的な変化量を得る。
【0056】
具体的には、医用画像撮影装置90によって第1の撮影を行うことで、非造影ボリュームデータと造影ボリュームデータとを含む複数のボリュームデータを生成する。画像記憶部2は、第1の撮影によって得られた複数のボリュームデータを記憶する。上述したように、特定部3は、第1の撮影によって得られたボリュームデータを用いて、肺結節(腫瘍)候補を特定する。第1の演算部4は、第1の撮影によって得られたボリュームデータを用いて、形態情報と形態腫瘍度とを求める。第2の演算部5は、第1の撮影によって得られたボリュームデータを用いて、機能情報と機能腫瘍度とを求める。特徴量算出部61は、形態腫瘍度と機能腫瘍度とに基づいて結節特徴スコア(癌化特徴量)を求める。第1の撮影に関するデータは、過去のデータとして画像記憶部2に記憶される。すなわち画像記憶部2は、第1の撮影によって得られた形態情報、形態腫瘍度、機能情報、機能腫瘍度、及び結節特徴スコアを、過去のデータとして記憶する。
【0057】
また、第1の撮影とは異なる第2の撮影を医用画像撮影装置90によって行うことで、非造影ボリュームデータと造影ボリュームデータとを含む複数のボリュームデータを生成する。例えば、腫瘍の進行度合いを検査するために、第1の撮影が行われた時から時間をおいて第2の撮影を行う。画像記憶部2は、第2の撮影によって得られた複数のボリュームデータを記憶する。上述したように、特定部3は、第2の撮影によって得られたボリュームデータを用いて、第2の腫瘍候補の一例に相当する肺結節(腫瘍)候補を特定する。第1の演算部4は、第2の撮影によって得られたボリュームデータを用いて、第2の形態情報の一例に相当する形態情報と、第2の形態腫瘍度の一例に相当する形態腫瘍度とを求める。第2の演算部5は、第2の撮影によって得られたボリュームデータを用いて、第2の機能情報の一例に相当する機能情報と、第2の機能腫瘍度の一例に相当する機能腫瘍度とを求める。特徴量算出部61は、形態腫瘍度と機能腫瘍度とに基づいて結節特徴スコア(癌化特徴量)を求める。画像記憶部2は、第2の撮影に関するデータを記憶する。すなわち画像記憶部2は、第2の撮影によって得られた形態情報、形態腫瘍度、機能情報、機能腫瘍度、及び結節特徴スコアを記憶する。
【0058】
変化量算出部62は、第1の撮影(過去の撮影)によって得られた形態腫瘍度と第2の撮影によって得られた形態腫瘍度とを画像記憶部2から読み込み、形態腫瘍度の差を求めることで形態腫瘍度の経時的な変化量を得る。変化量算出部62は、第1の撮影によって得られた機能腫瘍度と第2の撮影によって得られた機能腫瘍度とを画像記憶部2から読み込み、機能腫瘍度の差を求めることで機能腫瘍度の経時的な変化量を得る。
【0059】
変化量算出部62は、第1の撮影(過去の撮影)によって得られた形態情報と第2の撮影によって得られた形態情報との差を求めることで、形態情報の経時的な変化量を求めてもよい。また、変化量算出部62は、第1の撮影によって得られた機能情報と第2の撮影によって得られた機能情報との差を求めることで、機能情報の経時的な変化量を求めてもよい。すなわち、変化量算出部62は、第1の撮影と第2の撮影とにおいて同じ種類の形態情報の経時的な変化量を求めてもよい。同様に、変化量算出部62は、第1の撮影と第2の撮影とにおいて同じ種類の機能情報の経時的な変化量を求めてもよい。
【0060】
変化量算出部62は、第1の撮影(過去の撮影)によって得られた結節特徴スコアと第2の撮影によって得られた結節特徴スコアとの差を求めることで、結節特徴スコアの経時的な変化量を求めてもよい。
【0061】
変化量算出部62は、変化量を示す情報を画像記憶部2と表示制御部8とに出力する。画像記憶部2は、変化量算出部62によって求められた変化量を記憶する。例えば、変化量算出部62は、形態腫瘍度の経時的な変化量を示す情報と機能腫瘍度の経時的な変化量を示す情報とを、画像記憶部2と表示制御部8とに出力する。画像記憶部2は、形態腫瘍度の経時的な変化量を示す情報と機能腫瘍度の経時的な変化量を示す情報とを記憶する。
【0062】
(分化度算出部63)
分化度算出部63は、結節特徴スコア(癌化特徴量)と、形態腫瘍度の経時的な変化量と、機能腫瘍度の経時的な変化量とに基づいて、肺結節(腫瘍)候補の分化度を求める。例えば結節特徴スコアと、形態腫瘍度の経時的な変化量と、機能腫瘍度の経時的な変化量と、分化度とが対応付けられた分化度テーブルを予め作成しておき、図示しない記憶部に予め記憶させておく。結節特徴スコア(癌化特徴量)、形態腫瘍度の経時的な変化量、及び機能腫瘍度の経時的な変化量が大きいほど、腫瘍の分化度は高いと推定されるため、結節特徴スコア(癌化特徴量)、形態腫瘍度の経時的な変化量、及び機能腫瘍度の経時的な変化量が大きくなるほど、分化度を高くする。分化度算出部63は、分化度テーブルを参照して、結節特徴スコアと形態腫瘍度の経時的な変化量と機能腫瘍度の経時的な変化量とに対応する分化度を求める。分化度算出部63は、分化度を示す情報を表示制御部8に出力する。
【0063】
(画像生成部7)
画像生成部7は、ボリュームデータを画像記憶部2から読み込み、ボリュームデータにボリュームレンダリングを施すことで3次元画像データを生成する。画像生成部7は、ボリュームデータにMPR(Multi Planar Reconstruction)処理を施すことでMPR画像データ(任意の断面における画像データ)を生成してもよい。例えば画像生成部7は非造影ボリュームデータを画像記憶部2から読み込み、非造影ボリュームデータに基づいて3次元画像データやMPR画像データなどの画像データを生成する。画像生成部7は、3次元画像データやMPR画像データなどの画像データを表示制御部8に出力する。
【0064】
(表示制御部8)
表示制御部8は変換部81を備えている。表示制御部8は、3次元画像データやMPR画像データなどの画像データを画像生成部7から受けて、画像データに基づく画像を表示部10に表示させる。例えば表示制御部8は、非造影ボリュームデータに基づいて生成された3次元画像データを画像生成部7から受けて、3次元画像データに基づく3次元画像を表示部10に表示させる。表示制御部8は、非造影ボリュームデータに基づいて生成されたMPR画像データを画像生成部7から受けて、MPR画像データに基づくMPR画像を表示部10に表示させる。
【0065】
(変換部81)
変換部81は、結節特徴スコア(癌化特徴量)を示す情報を特徴量算出部61から受けて、結節特徴スコアの値を、その値に対応する色に変換する。例えば、結節特徴スコアの大きさに応じて色を変えて、結節特徴スコアと色とが対応付けられたカラーテーブルを予め作成しておき、図示しない記憶部に予め記憶させておく。変換部81は、カラーテーブルを参照して結節特徴スコアの値を色に変換する。
【0066】
変換部81は、形態腫瘍度の経時的な変化量を示す情報を変化量算出部62から受けて、形態腫瘍度の経時的な変化量を、その変化量に対応する色に変換してもよい。例えば、形態腫瘍度の経時的な変化量に応じて色を変えて、形態腫瘍度の経時的な変化量と色とが対応付けられたカラーテーブルを予め作成しておき、図示しない記憶部に予め記憶させておく。変換部81は、カラーテーブルを参照して形態腫瘍度の経時的な変化量を色に変換する。また、変換部81は、機能腫瘍度の経時的な変化量を示す情報を変化量算出部62から受けて、機能腫瘍度の経時的な変化量を、その変化量に対応する色に変換してもよい。例えば、機能腫瘍度の経時的な変化量に応じて色を変えて、機能腫瘍度の経時的な変化量と色とが対応付けられたカラーテーブルを予め作成しておき、図示しない記憶部に予め記憶させておく。変換部81は、カラーテーブルを参照して機能腫瘍度の経時的な変化量を色に変換する。
【0067】
変換部81は、分化度を示す情報を分化度算出部63から受けて、分化度を、その分化度に対応する色に変換してもよい。例えば、分化度に応じて色を変えて、分化度と色とが対応付けられたカラーテーブルを予め作成しておき、図示しない記憶部に予め記憶させておく。変換部81は、カラーテーブルを参照して分化度を色に変換する。
【0068】
表示制御部8は、肺結節(腫瘍)候補の位置を示す位置情報を特定部3から受ける。表示制御部8は、画像上の肺結節候補の位置に結節特徴スコアに対応する色を付けて、画像を表示部10に表示させる。例えば表示制御部8は、非造影ボリュームデータに基づいて生成されたMPR画像データを受けて、MPR画像上の肺結節候補の位置に結節特徴スコアに対応する色を付けて、MPR画像を表示部10に表示させる。
【0069】
表示制御部8は、画像上の肺結節候補の位置に分化度に対応する色を付けて、画像を表示部10に表示させてもよい。表示制御部8は、画像上の肺結節候補の位置に、形態腫瘍度の経時的な変化量に対応する色を付けて、画像を表示部10に表示させてもよい。表示制御部8は、画像上の肺結節候補の位置に、機能腫瘍度の経時的な変化量に対応する色を付けて、画像を表示部10に表示させてもよい。
【0070】
(ユーザインターフェース(UI)9)
ユーザインターフェース(UI)9は表示部10と操作部11とを備えている。表示部10は、CRTや液晶ディスプレイなどのモニタで構成されている。操作部11は、キーボードやマウスなどの入力装置で構成されている。
【0071】
特定部3と、第1の演算部4と、第2の演算部5と、第3の演算部6と、画像生成部7と、表示制御部8とはそれぞれ、CPU、GPU、又はASICなどの図示しない処理装置と、ROM、RAM、又はHDDなどの図示しない記憶装置とによって構成されていてもよい。記憶装置には、特定部3の機能を実行するための特定プログラムが記憶されている。また記憶装置には、第1の演算部4の機能を実行するための第1の演算プログラムが記憶されている。第1の演算プログラムには、形態情報算出部41の機能を実行するための形態情報演算プログラムと、形態腫瘍度算出部42の機能を実行するための形態腫瘍度算出プログラムとが含まれる。また記憶装置には、第2の演算部5の機能を実行するための第2の演算プログラムが記憶されている。第2の演算プログラムには、機能情報算出部51の機能を実行するための機能情報算出プログラムと、機能腫瘍度算出部52の機能を実行するための機能腫瘍度算出プログラムとが含まれる。また記憶装置には、第3の演算部6の機能を実行するための第3の演算プログラムが記憶されている。第3の演算プログラムには、特徴量算出部61の機能を実行するための特徴量算出プログラムと、変化量算出部62の機能を実行するための変化量算出プログラムと、分化度算出部63の機能を実行するための分化度算出プログラムとが含まれる。また記憶装置には、表示制御部8の機能を実行するための表示制御プログラムが記憶されている。表示制御プログラムには、変換部81の機能を実行するための変換プログラムが含まれる。CPUなどの処理装置が、記憶装置に記憶されている各プログラムを実行することで、各部の機能が実行される。なお、特定プログラム、第1の演算プログラム、第2の演算プログラム、及び第3の演算プログラムによって「医用画像処理プログラム」の一例を構成する。
【0072】
(動作)
この実施形態に係る医用画像処理装置1による第1の動作と第2の動作とについて説明する。
【0073】
(第1の動作)
図8を参照して、第1の動作について説明する。
図8は、この実施形態に係る医用画像処理装置による動作の一例を示すフローチャートである。肺結節(腫瘍)候補の位置が特定されておらず、機能情報も求められていない場合に、第1の動作が実行される。
【0074】
(ステップS01)
医用画像処理装置1は、医用画像データを医用画像撮影装置90から受ける。画像記憶部2は、医用画像データを記憶する。画像記憶部2は、例えば
図2に示す非造影ボリュームデータ100と造影ボリュームデータ群200とを記憶する。なお、医用画像処理装置1は、非造影ボリュームデータ100と造影ボリュームデータ群200とを対象として位置合わせを行ってもよい。
【0075】
(ステップS02)
特定部3は非造影ボリュームデータ100を画像記憶部2から読み込み、非造影ボリュームデータ100の画素値(CT値)等の情報に基づいて肺結節(腫瘍)候補を特定する。
【0076】
(ステップS03)
形態情報算出部41は、例えば非造影ボリュームデータ100に基づいて、肺結節候補の形態の特徴を示す形態情報を求める。
【0077】
(ステップS04)
機能情報算出部51は、例えば造影ボリュームデータ群200に基づいて、肺結節候補における血流動態を示す機能情報を求める。
【0078】
ステップS03の処理とステップS04の処理とは、順序が逆であってもよいし、同時に実行されてもよい。
【0079】
(ステップS05)
形態腫瘍度算出部42は、形態情報をスコア付けし、肺結節候補の形態に対する腫瘍の度合いを示す形態腫瘍度を求める。例えば
図4に示すように、形態腫瘍度算出部42は、5種類の形態情報のスコアをそれぞれ変数とする五角形状のレーダーチャートを作成する。形態腫瘍度算出部42は、レーダーチャートにおいて各形態情報のスコア(規格化された値)をプロットし、隣同士のスコアの点を結ぶ。形態腫瘍度算出部42は、隣同士のスコアの点が結ばれた範囲300の面積を、形態腫瘍度として求める。
【0080】
(ステップS06)
機能腫瘍度算出部52は、機能情報をスコア付けし、肺結節候補の血流動態に対する腫瘍の度合いを示す機能腫瘍度を求める。例えば
図6に示すように、機能腫瘍度算出部52は、5種類の機能情報のスコアをそれぞれ変数とする五角形状のレーダーチャートを作成する。機能腫瘍度算出部52は、レーダーチャートにおいて各機能情報のスコア(規格化された値)をプロットし、隣同士のスコアの点を結ぶ。機能腫瘍度算出部52は、隣同士のスコアの点が結ばれた範囲400の面積を、機能腫瘍度として求める。
【0081】
ステップS05の処理とステップS06の処理とは、順序が逆であってもよいし、同時に実行されてもよい。また、医用画像処理装置1は、ステップS03の処理の次にステップS05の処理を行い、ステップS04の処理の次にステップS06の処理を行ってもよい。
【0082】
(ステップS07)
特徴量算出部61は、形態腫瘍度と機能腫瘍度とに基づいて、肺結節候補の腫瘍の度合いを示す結節特徴スコア(癌化特徴量)を求める。
【0083】
(ステップS08)
変換部81は、結節特徴スコア(癌化特徴量)の値を、その値に対応する色に変換する。
【0084】
(ステップS09)
表示制御部8は、画像上の肺結節候補の位置に結節特徴スコアに対応する色を付けて、画像を表示部10に表示させる。画像生成部7は、例えば非造影ボリュームデータ100にMPR処理を施すことでMPR画像データを生成する。表示制御部8は、MPR画像上の肺結節候補の位置に結節特徴スコアに対応する色を付けて、MPR画像を表示部10に表示させる。
【0085】
なお、変換部81は、血流量などの機能情報を色に変換してもよい。例えば、機能情報に応じて色を変えて、機能情報と色とが対応付けられたカラーテーブルを予め作成しておき、図示しない記憶部に予め記憶させておく。表示制御部8は、画像上の肺結節候補の位置に血流量などの機能情報に対応する色を付けて、画像を表示部10に表示させる。
【0086】
以上の構成を有する医用画像処理装置1によると、形態情報と機能情報とに基づいて腫瘍の度合いを示す結節特徴スコア(癌化特徴量)を求めることで、形態情報のみからでは癌化の特定が困難な結節を検出することが可能となる。この実施形態に係る医用画像処理装置1によると、
図7に示す結節モデル510及び結節モデル511が示す癌化する可能性がある結節を検出することが可能となる。その結果、癌化する可能性がある結節を癌化する前に特定することが可能となり、癌化する可能性がある結節を早期に特定することが可能となる。以上のように、この実施形態に係る医用画像処理装置1によると、肺結節(腫瘍)候補の癌化の同定の精度(検出精度)を向上させることが可能となる。
【0087】
また、この実施形態に係る医用画像処理装置1によると、画像上の肺結節候補の位置に結節特徴スコアに対応する色を付けることで、操作者は腫瘍の度合いを容易に把握することが可能となる。
【0088】
また、この実施形態に係る医用画像処理装置1によると、1種類の医用画像撮影装置90(例えばX線CT装置)で得られた医用画像データに基づいて結節特徴スコアを求めるので、肺結節候補の癌化の同定を簡便に行うことが可能となる。すなわち、この実施形態によると、複数種類の診断装置を用いる必要がないため、病院内においての利便性を向上させることが可能となる。
【0089】
(第2の動作)
図8及び
図9を参照して、第2の動作について説明する。
図9は、この実施形態に係る医用画像処理装置による動作の一例を示すフローチャートである。医用画像撮影装置90によって撮影が過去に行われて、過去の撮影についての形態腫瘍度と機能腫瘍度とが求められている場合に、第2の動作が実行される。例えば医用画像撮影装置90によって第1の撮影が過去に行われて、第1の撮影に関するデータが既に求められている場合、第1の撮影に関するデータは画像記憶部2に記憶されている。具体的には、画像記憶部2は、第1の撮影によって得られた形態情報、形態腫瘍度、機能情報、機能腫瘍度、及び結節特徴スコアを記憶している。そして、医用画像撮影装置90によって第2の撮影が新たに行われて、非造影ボリュームデータと造影ボリュームデータ群とが新たに生成される。
【0090】
(
図8:ステップS01からステップS07)
医用画像撮影装置90によって第2の撮影が新たに行われた場合、医用画像処理装置1は、ステップS01からステップS07の処理を実行する。これにより、第2の撮影についての形態情報、形態腫瘍度、機能情報、機能腫瘍度、及び結節特徴スコア(癌化特徴量)が得られる。
【0091】
(
図9:ステップS10)
変化量算出部62は、第1の撮影(過去の撮影)によって得られたデータを画像記憶部2から読み込む。具体的には、変化量算出部62は、第1の撮影についての形態情報、形態腫瘍度、機能情報、機能腫瘍度、及び結節特徴スコア(癌化特徴量)を画像記憶部2から読み込む。
【0092】
(ステップS11)
変化量算出部62は、第1の撮影についての形態腫瘍度と第2の撮影についての形態腫瘍度との差を求めることで、形態腫瘍度の経時的な変化量を得る。
【0093】
(ステップS12)
変化量算出部62は、第1の撮影についての機能腫瘍度と第2の撮影についての機能腫瘍度との差を求めることで、機能腫瘍度の経時的な変化量を得る。
【0094】
ステップS11の処理とステップS12の処理とは、順序が逆であってもよいし、同時に実行されてもよい。
【0095】
(ステップS13)
分化度算出部63は、第2の撮影についての結節特徴スコア(癌化特徴量)と、形態腫瘍度の経時的な変化量と、機能腫瘍度の経時的な変化量とに基づいて、肺結節(腫瘍)候補の分化度を求める。
【0096】
(ステップS14)
変換部81は、分化度の値を、その値に対応する色に変換する。変換部81は、形態腫瘍度の経時的な変化量を、その変化量に対応する色に変換してもよい。変換部81は、機能腫瘍度の経時的な変化量を、その変化量に対応する色に変換してもよい。
【0097】
(ステップS15)
表示制御部8は、画像上の肺結節候補の位置に分化度に対応する色を付けて、画像を表示部10に表示させる。画像生成部7は、例えば第2の撮影によって得られた非造影ボリュームデータ100にMPR処理を施すことでMPR画像データを生成する。表示制御部8は、MPR画像上の肺結節候補の位置に結節特徴スコアに対応する色を付けて、MPR画像を表示部10に表示させる。
【0098】
表示制御部8は、画像上の肺結節候補の位置に、形態腫瘍度の経時的な変化量に対応する色を付けて、画像を表示部10に表示させてもよい。表示制御部8は、画像上の肺結節候補の位置に、機能腫瘍度の経時的な変化量に対応する色を付けて、画像を表示部10に表示させてもよい。
【0099】
以上の構成を有する医用画像処理装置1によると、形態情報と機能情報とに基づいて分化度を求めることで、形態情報のみからでは癌化の特定が困難な結節を検出することが可能となる。すなわち、癌化する可能性がある結節を癌化する前に特定することが可能となり、癌化する可能性がある結節を早期に特定することが可能となる。このように、この実施形態に係る医用画像処理装置1によると、肺結節(腫瘍)候補の癌化の同定の精度(検出精度)を向上させることが可能となる。
【0100】
また、この実施形態に係る医用画像処理装置1によると、画像上の肺結節候補の位置に分化度に対応する色を付けることで、操作者は腫瘍の分化度を容易に把握することが可能となる。
【0101】
医用画像処理装置1が第2の動作を実行しない場合には、変化量算出部62と分化度算出部63とを医用画像処理装置1に設けなくてもよい。
【0102】
第1の撮影において造影撮影が行われておらず、非造影ボリュームデータのみが生成されている場合には、第1の演算部4は、第1の撮影についての形態腫瘍度を求める。この場合、変化量算出部62は、第1の撮影についての形態腫瘍度と第2の撮影についての形態腫瘍度との差を求めることで形態腫瘍度の経時的な変化量を得てもよい。
【0103】
この実施形態において処理の対象となる医用画像データの組み合わせには、以下の(1)から(5)の組み合わせが含まれる。
(1)複数の造影ボリュームデータを含む造影ボリュームデータ群。
(2)非造影ボリュームデータと造影ボリュームデータ群。
(3)過去の撮影(第1の撮影)で得られた非造影ボリュームデータと、新たな撮影(第2の撮影)で得られた造影ボリュームデータ群。
(4)過去の撮影(第1の撮影)で得られた造影ボリュームデータ群と、新たな撮影(第2の撮影)で得られた造影ボリュームデータ群。
(5)過去の撮影(第1の撮影)で得られた非造影ボリュームデータ及び造影ボリュームデータ群と、新たな撮影(第2の撮影)で得られた非造影ボリュームデータ及び造影ボリュームデータ群。
医用画像処理装置1は、上記の(1)から(5)の組み合わせのうち、いずれの組み合わせに係る医用画像データを対象にして処理を実行してもよい。また、操作者が操作部11を用いて、処理の対象となる医用画像データの組み合わせを指定してもよい。この場合、医用画像処理装置1は、操作者によって指定された医用画像データを対象にして処理を実行する。
【0104】
この実施形態に係る医用画像処理装置1は、医用画像撮影装置90に含まれていてもよい。この場合、医用画像撮影装置90は被検体を撮影することで医用画像データを生成し、医用画像処理装置1の機能を実行することで結節特徴スコア(癌化特徴量)や分化度を求める。
【0105】
この発明の実施形態を説明したが、上記の実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。