(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1,2に記載の車椅子用の装置は、構成が複雑で、装置全体が大きく、重量が重い構造になっているので、装置を移動させる際の移動性に欠け、容易に持ち運びできないという問題点があった。このため、それらの装置は、在宅診療には不向きのものであった。
また、それらの装置は、診療室等に設置する場合、その装置を設置するために、広い占有スペースを確保しなければならず、広い設置スペースが必要であるという問題点があった。
【0006】
近年、高齢化により円背の患者が増えており、例えば、円背の患者は、在宅歯科診療、歯科医院、耳鼻咽喉科医院等で治療するとき、車椅子に乗ったままの状態で治療を行なう場合が多い。円背の患者は、背中が丸まって、顔が下を向いた姿勢になっているので、治療する際に、治療し難く不安定な体位になるという問題点があった。
【0007】
そのような特許文献1,2の車椅子用の装置等では、車椅子に乗ったままの円背の患者を顔がやや上方を向くように、診療し易い安定した体勢に保持できる機能はなかった。
このため、車椅子に乗ったままの円背の患者の体位を、顔がやや上方を向いた治療し易い状態にできる車椅子補助器具が要望されていた。
【0008】
そこで、本発明は、そのような問題点を解消すべく発明されたものであって、車椅子に乗った患者の体位を治療し易く安定した状態にすることができる車椅子用補助器具、バックサポート、エアバッグ及び収納ボックスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明に係る車椅子用補助器具は、患者が乗った車椅子を傾斜させた状態で載置して診療するための車椅子用補助器具であって、前記車椅子を載置する載置面を有する一対の車椅子固定プレートと、前記一対の車椅子固定プレートを折り畳み可能にする連結具と、前記車椅子固定プレートを傾斜させた状態に支持する傾斜台と、前記載置面に載置された前記車椅子
の移動を抑止する移動抑止具と、を備え、
前記移動抑止具は、前記それぞれの載置面の長手方向の一端側に配置されて、前記車椅子の車輪が一端側方向に転動して移動するのを抑制するストッパと、前記それぞれの載置面の長手方向の他端側に設けられて、前記車椅子が一端側方向に移動するのを抑制する固定器具と、を備え、前記折畳状態の前記一対の車椅子固定プレートは、前記それぞれの載置面の幅方向の両縁側に立設された縁板部間に配置された前記ストッパと前記固定器具との間に収納空間が形成され、診療時には、前記一対の車椅子固定プレートを前記連結具を中心として展開状態にして、前記車椅子の車輪を前記移動抑止具で抑止させて前記載置面
の前記収納空間上に前記車椅子に載置すると共に、前記車椅子固定プレートの下面に前記傾斜台を配置して、前記車椅子固定プレートと共に前記車椅子を傾斜させた状態にし、非診療時には、
前記収納空間の前記載置面上に前記車椅子用補助器具の付属品を載置して、前記一対の車椅子固定プレートを前記連結具を中心として互いに重なり合う方向に回動して折畳
むことにより、前記収納空間内に前記付属品を収納可能にすることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、車椅子用補助器具は、診療時に、一対の車椅子固定プレートを展開状態にして、車椅子の車輪を移動抑止具で抑止させて載置面に車椅子に載置すると共に、車椅子固定プレートの下面に傾斜台を配置して、車椅子固定プレートと共に車椅子及び車椅子に乗った患者を傾斜させた状態にすることにより、車椅子用補助
器具は、患者を上方に傾斜させた状態の体位にすることができる。このため、斜め下方向を向いていた患者の顔が、やや斜め上方を向くようになるので、患者の体位を治療し易い状態にすることができる。
非診療時には、一対の車椅子固定プレートが重なり合う方向に回動して折畳状態になることによって、例えば、約半分の大きさに折り畳んで小さくできるため、持ち運びに便利な状態にすることができると共に、狭いスペースであっても、保管し易い状態にすることができる。
【0011】
また、車椅子用補助器具の前記一対の車椅子固定プレートは、それぞれその幅方向の両縁側に立設された縁板部を備え、前記一対の車椅子固定プレートを前記連結具を中心として折り畳んだ折畳状態にすると、前記一対の車椅子固定プレートの両端部側に配置された前記縁板部の端部同士が当接して、前記一対の車椅子固定プレートと前記一対の車椅子固定プレートの両縁側の縁板部とで閉断面を形成する状態になることが好ましい。
また、かかる構成によれば、車椅子用補助器具の移動抑止具は、載置面の長手方向の一端側に配置されたストッパによって、車輪が一端側方向に転動して移動するのを抑制することができると共に、載置面の長手方向の他端側に設けられた固定器具が車椅子が一端側方向に移動するのを抑制する。このため、二つの移動抑止具は、車椅子を車椅子固定プレート上に移動しないようにしっかりと固定して、車椅子のガタツキ等に伴って患者が揺れるのを解消することができるため、車椅子に乗った患者を安心させた状態で受診させることができると共に、患者を診療し易い状態にすることができる。
【0012】
また、かかる構成によれば、
車椅子固定プレートは、折畳状態のとき、縁板部間に配置されたストッパと固定器具との間に収納空間が形成されていることによって、付属品等の種々の品物を収納空間に収納することができるため、便利である。
【0013】
また、
本発明に係る車椅子用補助器具は、患者が乗った車椅子を傾斜させた状態で載置して診療するための車椅子用補助器具であって、前記車椅子を載置する載置面を有する一対の車椅子固定プレートと、前記一対の車椅子固定プレートを折り畳み可能にする連結具と、前記車椅子固定プレートの一端側の下面に配置されて前記一対の車椅子固定プレートを傾斜させた状態に支持する傾斜台と、前記載置面に載置された前記車椅子の移動を抑止する移動抑止具と、を備え、前記一対の車椅子固定プレートは、前記それぞれの載置面の幅方向の両縁側に立設された縁板部を備え、診療時には、前記一対の車椅子固定プレートを前記連結具を中心として展開状態にして、前記車椅子の車輪を前記移動抑止具で抑止させて前記載置面に前記車椅子に載置すると共に、前記車椅子固定プレートの下面に前記傾斜台を配置して、前記車椅子固定プレートと共に前記車椅子を傾斜させた状態にし、非診療時には、前記一対の車椅子固定プレートを前記連結具を中心として互いに重なり合う方向に回動して折畳むことによって前記幅方向の両縁側の縁板部間に形成される収納空間内に、前記傾斜台を収納可能にすることを特徴とする。
【0014】
かかる構成によれば、車椅子用補助器具は、車椅子を載置面に載置する場合、車椅子固定プレートの各載置面の一端側を下にして配置し、その裏面に収納ボックスの傾斜面を当接させて配置することによって、収納ボックスを傾斜台としても使用することができる。
【0015】
また、
前記それぞれのストッパは、前記載置面上に、幅方向に向けて移動自在に延設、または、両端部を中心として回動自在に配置されて、前記各ストッパを一方側に移動させると前記車輪が後方側へ移動するのを規制せず、前記各ストッパを他方側に移動させると前記車輪が後方側へ移動するのを規制することが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、ストッパは、載置面上に、幅方向に向けて移動自在、または、両端部を中心として回動自在に設けられていることによって、車椅子の車輪がストッパの上を通過するときに、邪魔にならないように幅方向へ移動してずらしたり、あるいは、車椅子を載置したときに、車輪が転動しないように抑止したりすることができるため、便利である。
【0021】
また、
前記一対の車椅子固定プレートは、前記連結具を中心として折り畳んだ折畳状態にすると、前記一対の車椅子固定プレートの両端部側に配置された前記縁板部の端部同士が当接して、前記一対の車椅子固定プレートと前記一対の車椅子固定プレートの両縁側の前記縁板部とで閉断面を形成する筒状の状態になり、前記傾斜台は、収納凹部を有する下ケースと、前記収納凹部の開口部を開閉自在に配置されると共に、前記車椅子固定プレートを床面に対して傾斜させた状態に配置するための傾斜面を有する上ケースと、を備えた収納ボックスからなり、前記筒状の閉断面によって形成された収納空間に収納されることが好ましい。
【0022】
かかる構成によれば、収納ボックスは、収納凹部を有する下ケースと、その収納凹部を開閉自在に配置される上ケースと、を有することにより、下ケースに対して上ケースを開閉して、収納凹部に付属品等の品物を収納させて保管することができる箱体として使用できる。さらに、収納ボックスは、車椅子用補助
器具の収納空間に収納できるので、車椅子固定プレートと一緒に保管することができる。
【0023】
また、車椅子用補助
器具の前記収納空間、または、
前記収納ボックスに折り畳んだ状態で収納されるバックサポートであって、前記バックサポートは、一対のフレームを折り畳み可能に連結し、展開すると矩形に形成される枠体と、前記枠体に張設された張設体と、前記枠体に設けられ、当該バックサポートを前記車椅子の背もたれ部に取り付けるためのベルトと、前記張設体に前面側に設けられたベルクロと、を備えたことが好ましい。
【0024】
かかる構成によれば、バックサポートは、使用する際に、枠体を展開して張設体を矩形に張設させて、ベルトで車椅子の背もたれ部に取り付けることによって、車椅子の背もたれにバックサポートを継ぎ足した状態に固定することができる。このため、車椅子は、患者の腰から後頭部に亘って背もたれがある状態にできるので、患者を治療し易い体位に楽に支えて保つことができる。また、非診療時には、矩形の枠体を折り畳んで小型にすれば、収納ボックスに入れて保管することができる。
【0025】
また、車椅子用補助
器具の前記収納空間、または、
前記収納ボックスに折り畳んだ状態で収納されるエアバッグであって、前記エアバッグは、空気が充満されることにより膨らみ、その空気を抜くことにより萎んだ状態になると共に、前記車椅子に乗った患者の胸腹部を支持する胸腹部支持凹部を有する袋体と、前記袋体内に空気を供給する供給口を開閉する栓と、を備え、前記袋体の上部には、少なくとも患者が握るためのグリップ、あるいは、前記患者の腕部の保持するための腕部保持部のどちらか一方が設けられていることが好ましい。
【0026】
かかる構成によれば、エアバッグは、空気が充満されることにより膨らんで、車椅子に乗った患者の胸腹部を支持する袋体として使用することができるので、診療中の患者を診療し易い体位に支持することができる。また、診療中、患者は、グリップを握っていれば、楽に安定した体位の状態を維持することができる。あるいは、患者は、腕部保持部によって腕部を保持すれば、腕をエアバッグに支持させて動かないようにさせておくことができる。そして、診療後は、栓を抜けば、袋体内に空気が排出されて萎むので、小さく折り畳んだ状態にして、収納ボックス内に保管しておくことができる。
【0027】
また、車椅子用補助
器具の前記収納空間、または、前記収納ボックスに収納されるエアバッグであって、前記エアバッグは、空気が充満されることにより膨らみ、その空気を抜くことにより萎んだ状態になると共に、前記車椅子に乗った患者の後頭部を支持する後頭部支持凹部を有する袋体と、前記袋体内に空気を供給する供給口を開閉する栓と、前記後頭部支持凹部側に面に設けられ、前記車椅子側に配置されたベルクロに着脱する袋体用ベルクロと、を備えていることが好ましい。
【0028】
かかる構成によれば、エアバッグは、空気が充満されることにより膨らんだ状態で、車椅子の背もたれに取り付けたエアバックサポートのベルクロ(面ファスナ)に、袋体用ベルクロを付着させることによって、エアバッグを車椅子の背もたれに取り付けることができる。エアバッグは、車椅子に乗った患者の後頭部を支持する袋体の後頭部支持凹部で支持することにより、診療中の患者の後頭部を安定した状態にすることができる。このため、患者は、診療し易い体位をエアバッグで楽に維持して診療ができる。エアバッグは、診療中、袋体用ベルクロによって車椅子側に配置されたベルクロに付着されているので、移動したり、脱落したりすることがない。術者は、診療し易い体位の患者を治療することができる。そして、診療後は、エアバッグの栓を抜いて空気を排出させれば、縮んで小さくなるので、収納ボックスに収納して車椅子用補助
器具の付属品と一緒に保管しておくことができる。
【0029】
また、車椅子用補助
器具の
前記収納空間に収納される
前記収納ボックスであって、前記収納ボックスは、折り畳んだ状態の前記バックサポートと、折り畳んだ状態の前記エアバッグと、が前記収納凹部に収納されて前記開口部を前記上ケースで閉塞した状態で前記収納空間に収納されることが好ましい。
【0030】
かかる構成によれば、収納ボックスは、折り畳んだ状態のバックサポート及びエアバッグを収納して、さらに、この収納ボックスを車椅子固定プレートの収納空間に収納できるため、車椅子に乗った患者に使用される車椅子用補助
器具の付属品を一つにして保管することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、車椅子の乗った円背等の患者の体位を治療し易い状態に維持することができると共に、運搬性及び保管性に優れた小型の車椅子用補助器具、バックサポート、エアバッグ及び収納ボックスを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、
図1〜
図10を参照して、本発明の実施形態に係る車椅子用補助器具、バックサポート、エアバッグ及び収納ボックスを説明する。なお、本発明に係る車椅子用補助器具、バックサポート、エアバッグ及び収納ボックスは、円背の患者Mの歯、鼻、口、目等を診療するのに適しているが、以下、円背の患者Mが歯科診療する場合を例に挙げて説明する。まず、車椅子用補助器具1を説明する前に車椅子2を説明する。
【0034】
≪車椅子の構成≫
図1に示すように、車椅子2は、患者Mが建物の屋外、屋内等で使用するものであって、型式等は特に限定されない。以下、車椅子2として、日本工業規格JIS T9201で定めされた大型タイプのものを使用する場合を例に挙げて説明する。なお、車椅子2には、型式により大型、中型、小型の3タイプがある。車椅子2は、その他、スポーツ型、和室用、電動椅子等があり、いずれであっても構わない。
車椅子2は、例えば、前後左右に配置された小車輪及び大車輪の合計4つの車輪21と、車輪21を支える車体フレーム22と、車体フレーム22に載設されたシート23とを主に備えている。
車体フレーム22は、例えば、背もたれ部22aと、アームレスト部22bと、レッグサポート部22cと、車椅子用の把手22dと、を連結してなる。
【0035】
≪車椅子用補助器具の構成≫
図1に示すように、車椅子用補助器具1は、医師等が診療する際に、患者Mが乗った車椅子2を患者Mと共に後下がりに傾斜させた状態に載置して、患者Mの体位を診療し易く安定した状態に支持するための装置であって、特に、円背等で背中が丸く曲がった患者Mを在宅歯科診療する際に最適な装置である。車椅子用補助器具1は、それぞれ後記する一対の車椅子固定プレート10と、収納ボックス30(傾斜台3)と、バックサポート4と、エアバッグ5と、ヘッドレストエアクッション6(エアバッグ)と、防水シート7と、を備えて構成されている。
【0036】
車椅子用補助器具1は、診療時に、車椅子2ごと患者Mを傾斜させて、患者Mの体位を診療し易い状態に支持する。
また、車椅子用補助器具1は、非診療時に、一対の車椅子固定プレート10を連結具13(
図2及び
図3参照)を中心として互いに重なり合う方向に回動して、折畳状態にすると、略バッグ形状となる小型の装置である。このため、車椅子用補助器具1は、持ち運びし易い形状、大きさで、車椅子固定プレート10と一緒に使用するバックサポート4、エアバッグ5、ヘッドレストエアクッション6(エアバッグ)、及び、収納ボックス30(傾斜台3)を車椅子固定プレート10内に収納して、例えば、部屋のコーナー部等の適宜な場所に保管して置くこともできる(
図10参照)。
【0037】
<車椅子固定プレートの構成>
図2に示すように、車椅子固定プレート10は、車椅子2(
図1参照)を載置するための板部材であり、本実施形態においては、車椅子固定プレート10を横に2枚並べて、左右一対の車椅子固定プレート10,10により車椅子2を固定するようになっている。左右一対の車椅子固定プレート10,10は、同様の構成である。車椅子固定プレート10は、車輪21(
図1参照)を載置する載置板11と、載置板11の左右両端部に立設された縁板部12と、載置板11の中央側に設置された各縁板部12の端部に設けられて連結する連結具13と、載置板11の後寄りの位置に配置されたストッパ14(移動抑止具)と、載置板11の前寄りの位置に配置された固定器具15(移動抑止具)と、左右端部の縁板部12の中央部に設置された取手16と、を備えている。車椅子固定プレート10は、例えば、木製の平板材、軽量なアルミニウム合金等の金属製平部材、あるいは、樹脂製平板材等が好ましく、その他の材料から形成されたものであっても構わない。
【0038】
なお、本実施形態においては、左右一対の車椅子固定プレート10,10を同様の構成として互いに重なり合うように折り畳むようにしたが、これに限定されるものではなく、図示は省略するが縁板部12や取手16等の構成が異なるものや左の車椅子固定プレート10と右の車椅子固定プレート10との間に固定板を設け、この固定板と左右の車椅子固定プレート10とを蝶番で連結した3枚構成のものであってもよく、種々の折り畳み形態を採用することができる。
【0039】
<載置板の構成>
載置板11は、載置面11aを有し、一対の車椅子固定プレート10間を連結具13で連結して、展開及び折り畳みができるようになっている。その一対の載置板11は、診療時に、連結具13を中心として展開状態にして、車椅子固定プレート10の下面に傾斜台3を配置して後下がりの傾斜状態にさせると共に、車椅子2の車輪21をストッパ14(移動抑止具)で抑制し、かつ、固定器具15で車椅子2を抑止させて載置面11aにその車椅子2を傾斜させた状態で載置して使用する。
【0040】
載置面11aは、車椅子2(
図1参照)の車輪21が載置される部位であって、斜めに配置される車椅子固定プレート10の上面である。載置面11aは、上面の下端部寄りにストッパ14が設置され、上面の上端部寄りに固定器具15が設置され、前端部の外側面11c(下面)に収納ボックス30(傾斜台3)が配置されて、載置面11aが斜めの状態になっている。載置面11a上には、左右の縁板部12と、ストッパ14と、固定器具15との間に、収納ボックス30等を収納するための収納空間Sが形成されている。
【0041】
<収納空間の構成>
図10に示すように、収納空間Sは、診療後に、収納ボックス30が収納される空間である。なお、収納空間Sには、折り畳んだ状態のバックサポート4、エアバッグ5、ヘッドレストエアクッション6、防水シート7等の附属品を直接入れて収納しても構わない。
【0042】
<縁板部の構成>
図2に示すように、縁板部12は、例えば、各載置面11aの幅方向の両縁にそれぞれ垂直に立設され、前後方向に延設された細長い板状部材である。中央部側の二つの縁板部12の中央側上端部は、連結具13によって回動自在に連結されている。左右外側の二つの縁板部12は、中央側部位にそれぞれ取手16が設けられ、前記車椅子固定プレート10を連結具13を中心として回動させて折り畳んだ際に、左右の縁板部12に縁が互いに当接するようになっている。このため、車椅子固定プレート10は、折り畳むと、前後方向から見て各縁板部12と、各載置板11とで四角形の閉断面を形成し、略バッグ形状となる。
なお、この縁板部12と載置板11とは一体であっても、別体であっても構わない。また、縁板部12,12には、車椅子固定プレート10を折り畳んだ状態にした際に、この折り畳んだ状態に保持する掛け金式等のロック機構を付設することが好ましい。
【0043】
<連結具の構成>
連結具13は、二枚の車椅子固定プレート10同士を折り畳み可能に連結する部材であり、連結される二枚の縁板部12の端部に設置されている。この連結具13は、例えば、蝶番、ヒンジ、弾性変形可能な合成樹脂製の板材、あるいは、革材等からなる。この連結具13の型式等は特に限定されず、一般的なヒンジでもよい。
【0044】
<ストッパの構成>
ストッパ14(移動抑止具)は、載置面11aに載置された車椅子2の大きい後方側の車輪21が後端部側(一端側方向)に転動して移動するのを抑止する部材であり、載置面11aの長手方向の低い位置側に固定されている。このストッパ14は、例えば、左右の載置面11aの後端部寄りに幅方向に向けて延設された縦断面視して略半円状のゴム製部材からなる。なお、このストッパ14の材質は、ゴム部材以外の合成樹脂、木材、金属等であってもよく、軽い材質のものが最適である。
【0045】
<固定器具の構成>
図5に示すように、固定器具15(移動抑止具)は、載置面11aに載置された車椅子2が後方側(一端側方向)へ移動するのを抑止する部材であり、例えば、巻取式ベルト締機からなる。固定器具15は、例えば、左右の載置面11aの後端部寄り(長手方向の他端側)にボルト15aによって固定される。この固定器具15は、例えば、車椅子2の車体フレーム22に掛止するためのフック15bと、先端をフック15bに取り付けたベルト15cと、ベルト15cを基端部を自動的に巻き取るリトラクタ15dと、リトラクタ15dに内設されたラチェット機構(図示省略)を解除するラチェットハンドル15eと、ベルト15cを自動巻き戻しするための巻戻用ノブ15fと、固定用の前記ボルト15aと、を備えている。
【0046】
<取手の構成>
図3に示すように、取手16は、車椅子用補助器具1を持ち運びする際に握る運搬用握り部位であり、連結具13とは反対の位置にある車椅子固定プレート10の左右両端部の縁板部12の中央部位に設置されている。取手16は、左右両端部の二つに縁板部12の外側面12aにそれぞれ設けられた一対のものからなる。
なお、取手16は、少なくとも一方の車椅子固定プレート10に設けられてあればよく、両端側の縁板部12の近傍位置にある載置板11の上端部11bに設置してもよい。
【0047】
<収納ボックスの構成>
図4に示すように、収納ボックス30(傾斜台3)は、車椅子固定プレート10を傾斜させた状態に支持する台であり、左右一対の載置板11の前端部の外側面11c(裏面)に配置される。
図10に示すように、この収納ボックス30は、傾斜面31aを有する上ケース31と、収納凹部32aを有する下ケース32と、上ケース31と下ケース32とを開閉自在に連結するヒンジ部材33と、傾斜面31aに設けられた滑り止め34と、を備えている。このため、収納ボックス30は、収納凹部32aに付属品等の品物を収納するための箱体の機能も果たす。
収納ボックス30は、傾斜台3として使用する場合、傾斜面31aを上部後方側になるようにして配置する。収納ボックス30は、診療後に保管する場合、車椅子固定プレート10の収納空間Sに収納されて、折り畳んでバッグ形状になった車椅子固定プレート10に内設される。なお、収納ボックス30の上ケース31及び下ケース32は、樹脂製からなるが、金属製あるいは木製であっても構わない。
【0048】
上ケース31は、収納ボックス30の上側半体を形成する蓋体であり、車椅子固定プレート10の外側面11c(下面)(
図3参照)に当接する傾斜面31aが後端部側に形成されている。
傾斜面31aは、後端部側に向けた斜めに下降する面であり、床面に対する車椅子固定プレート10の傾斜角度θ(
図4参照)と同じ角度で形成されている。その傾斜角度は、例えば、5度〜15度であり、好ましくは約10度である。
傾斜角度θ(
図4参照)は、患者Mが恐怖を感じることがなく、顔がやや上方を向いた治療し易い状態に安定できる角度として、5度〜15度が最適である。これにより、術者も無理な姿勢で治療することがなくなる。
下ケース32は、収納ボックス30の下側半体を形成する箱体であり、診療時に床面に載置され、非診療時に載置面11a上に載置される。下ケース32は、収納凹部32aと、収納凹部32aの上部に形成された開口部32bと、収納凹部32aを四つに仕切る三枚の仕切り板32cと、を備えている。後記するバックサポート4、エアバッグ5、ヘッドレストエアクッション6及び防水シート7は、例えば、それぞれ折り畳んだ状態で四つ区画された収納凹部32a内に収納される。
ヒンジ部材33は、上ケース31と下ケース32とを開閉可能に連結したものであればよく、機構や形状は特に限定されない。
滑り止め34は、傾斜面31aの複数個所に取り付けられたゴム製のパッド部材等からなる。
なお、上ケース31及び下ケース32には、上ケース31で開口部32bを閉塞した状態を保持する掛け金式等のロック機構を付設することが好ましい。
【0049】
≪バックサポートの構成≫
図1に示すように、バックサポート4は、患者Mが診療する際に、車椅子2の背もたれ部24に取り付けられる補助器具である。
図7(a)、(b)に示すように、バックサポート4は、矩形に形成される枠体41と、枠体41を形成する複数のフレーム42と、枠体41に張設された張設布体43と、枠体41に設けられたベルト44と、張設布体43に前面側に設けられたバックサポート用ベルクロ45と、を備えている。このバックサポート4は、非診療時、折り畳んだ状態で、収納ボックス30(
図10参照)に収納される。
【0050】
枠体41は、複数のフレーム42を連結して矩形になるようにしたものである。この枠体41は、フレーム42を折り畳み可能に連結し、展開すると矩形に形成される。
フレーム42は、枠体41を4つに分割して折り畳めるようにした円筒状のアルミニウム合金等からなるL字状のパイプフレームである。フレーム42は、各フレーム42の端部にそれぞれ内設されたインナジョイント42aと、インナジョイント42aとインナジョイント42aとの間を自動戻りするように伸縮自在に連結するゴム紐42bと、を備えている。
張設布体43(張設体)は、化繊等の布製のものからなり、枠体41の角部及び連結部を露出した状態に、それ以外の部位を筒状の抱持部43aで包むようにして枠体41に取り付けられている。
【0051】
ベルト44は、バックサポート4を車椅子2(
図1参照)の背もたれ部24に取り付けるための取付部材である。ベルト44は、基端部が左右のフレーム42の中央部やや下方に固定されたベルト本体44aと、ベルト本体44aの一方の先端部に設けられたタングプレート44bと、ベルト本体44aの他方の先端部に設けられたウェービング44cと、から構成されている。
バックサポート用ベルクロ45は、後記するヘッドレストエアクッション6(
図9参照)に設けられた袋体用ベルクロ63に着脱自在に付着する面ファスナであり、張設布体43の上部に固着されている。
【0052】
≪エアバッグの構成≫
図1に示すように、エアバッグ5は、車椅子2に乗った患者Mの胸腹部Maを支持するための補助具(クッション)であり、例えば、患者Mの胸腹部Maの前側に配置して使用する空気袋からなる。
図8に示すように、エアバッグ5は、空気が充満されることにより膨らむ袋体51と、袋体51内に空気を供給する供給口を開閉する栓52と、袋体51の上部に設けられたグリップ53と、袋体51の上部に設けられた腕部保持部材54と、腕部保持部材54の一端側を着脱自在に支持するエアバッグ用ベルクロ55と、を備えている。
図10に示すように、このエアバッグ5は、診療後、栓52(
図8参照)を開放して袋体51内の空気を抜き、圧縮させて折り畳んだ状態で収納ボックス30内に収納される。
【0053】
図8(a)、(b)に示すように、エアバッグ5の袋体51は、空気を注入することによって空気枕状に膨張し、その空気を抜くことにより萎んだ状態になる中空の略直方体であり、例えば、ビニール等の樹脂によって形成されている。袋体51は、患者M側の側面に、平面視して円弧状に形成された胸腹部支持凹部51aを有している。
【0054】
胸腹部支持凹部51aは、患者Mの胸腹部Maがフイットするように、胸腹部Maの形状に合わせて円弧状に窪んだ状態に形成されている。
栓52は、袋体51内に空気を注入したり、排出したりする供給口(図示省略)を閉塞・開放する空気止栓であり、袋体51に一体に形成されている。
グリップ53は、患者Mが手で握るための略コ字状の部材であり、例えば、袋体51の上面から上方向へ突出して形成された左右対称な一対のものからなる。
【0055】
腕部保持部材54は、診療する際に、患者Mの腕部Mbの上側を巻き付けて押されるようにして保持するシート状の部材であり、袋体51と同じ材料からなるビニール製の矩形のものからなる。腕部保持部材54は、後側(患者M側)の端部が袋体51の上面に固着され、前側の端部がエアバッグ用ベルクロ55を介在して着脱自在となっている。
エアバッグ用ベルクロ55は、一方が、前記腕部保持部材54に設けられたベルクロと、他方が、このベルクロに着脱可能に付着して袋体51の上面に設けられたベルクロと、から構成された面ファスナからなる。
【0056】
≪ヘッドレストエアクッションの構成≫
図1に示すように、ヘッドレストエアクッション6(後頭部支持用のエアバッグ)は、車椅子2に乗った患者Mの後頭部Mcを支持するための補助具であり、例えば、患者Mの後頭部Mcの後側に配置して使用する空気袋からなる。
図9に示すように、ヘッドレストエアクッション6は、空気が充満されることにより膨らむ袋体61と、袋体61内に空気を供給する供給口を開閉する栓62と、袋体61の背面に設けられた袋体用ベルクロ63と、を備えている。
【0057】
図10に示すように、このヘッドレストエアクッション6は、診療後、栓62(
図9参照)を開放して袋体61内の空気を抜いて圧縮させて折り畳んだ状態で収納ボックス30内に収納される。
【0058】
図9に示すように、ヘッドレストエアクッション6の袋体61は、前記袋体51(
図8参照)と同様、空気を注入することによって空気枕状に膨張し、その空気を抜くことにより萎んだ状態になる中空の略直方体であり、例えば、ビニール等の樹脂によって形成されている。袋体61は、車椅子2に乗った患者Mの後頭部Mc側の前面に、平面視して円弧状に形成された後頭部支持用の後頭部支持凹部61aを有している。
【0059】
後頭部支持凹部61aは、患者Mの後頭部Mcがフイットするように、後頭部Mcの形状に合わせて円弧状に窪んだ状態に形成されている。
栓62は、袋体61内に空気を注入したり、排出したりする供給口(図示省略)を閉塞・開放する空気止栓であり、袋体61に一体に形成されている。
袋体用ベルクロ63は、車椅子2(
図1参照)の背もたれ部24に固定されたバックサポート4(
図7参照)のバックサポート用ベルクロ45に着脱可能に付着して袋体61をバックサポート4に保持させるための面ファスナである。
【0060】
<防水シートの構成>
図1に示すように、防水シート7は、診療時に、車椅子2に載った患者Mの頭部Mdを挿通孔7aからシート外に出した状態で患者M及び車椅子2を上方から覆う保護シートであり、車椅子用補助器具1の附属品である。防水シート7は、例えば、水を通さない四角形のビニールシートからなり、略中央部に患者Mの頭部Mdを遊挿する前記挿通孔7aが形成されている。
図10に示すように、防水シート7は、診療後、折り畳んで収納ボックス30内に収納されて、車椅子固定プレート10の収納空間Sに保管される。
【0061】
[作用]
次に、車椅子2に乗った患者Mが車椅子用補助器具1を使用して歯科診療する場合を説明する。
車椅子用補助器具1の一式は、
図3に示すバッグ状の車椅子固定プレート10内に収納されて(
図10参照)、診療室の隅等に保管されている。
患者Mを診療する際には、
図10に示すように、車椅子固定プレート10を開放して収納ボックス30を取り出すと共に、収納ボックス30を開放して収納凹部32a内のバックサポート4、エアバッグ5、ヘッドレストエアクッション6及び防水シート7を取り出して広げる。
【0062】
次に、
図1に示すように、バックサポート4を車椅子2の背もたれ部24にベルト44によって取り付ける。すると、車椅子2の背もたれ部24は、バックサポート4によって高さ方向に継ぎ足した状態になり、背もたれ部24が上方方向へ長く延設された分だけ、さらに、車椅子2に乗った患者Mを安定した状態で支えることができる。
【0063】
そのバックサポート4の上部のバックサポート用ベルクロ45に、空気を充填して膨張させたヘッドレストエアクッション6の袋体用ベルクロ63を付着させて、ヘッドレストエアクッション6をバックサポート4に取り付け、このバックサポート4と患者Mの後頭部Mcとの間に介在させる。これにより、患者Mの後頭部Mcを柔らかいヘッドレストエアクッション6の後頭部支持凹部61aで支えることができる。
【0064】
次に、エアバッグ5に空気を充填して膨張させて、エアバッグ5の胸腹部支持凹部51aを患者Mの胸腹部Maに当てるようにしてエアバッグ5を患者Mの膝の上に載せると共に、患者Mにグリップ53を持たせる。あるいは、
図8(b)に示すように、患者Mの腕部Mbに腕部保持部材54を巻き付けるように取り付けて、腕部Mbをエアバッグ5の上面に保持させる。これにより、患者Mの腕部Mb及び胸腹部Maを柔らかいエアバッグ5で支えて体位を楽に安定させることができる。
次に、
図1に示すように、挿通孔7aに患者Mの頭部Mdを通すようにして、防水シート7で、患者M、バックサポート4、ヘッドレストエアクッション6、エアバッグ5及び車椅子2を覆う。これにより、患者Mに液体等が付着するのを防止することができる。
【0065】
続いて、
図2に示すように、車椅子固定プレート10を展開し、載置面11aの前端部の外側面11c(下面)に、傾斜面31aを当接させるようにして収納ボックス30を配置する。すると車椅子固定プレート10が後下がりに傾斜角度θの10度傾斜した状態になる。
【0066】
なお、傾斜面31aの傾斜角度θは、患者Mの円背度合いや治療部位によっては、傾斜角度θを例えば12度にした方が最適な角度となる場合がある。その場合は、収納ボックス30の下に台座(図示省略)を敷設させることによって、収納ボックス30の高さを調節して、傾斜台3の傾斜角度θを調節することが可能である。また、収納ボックス30の代わりに、台座のみを使用して車椅子固定プレート10を傾斜させることも可能である。
【0067】
図1に示すように、その車椅子固定プレート10の後側から前側方向に向けて車椅子2を移動させて、各車輪21が載置面11aの収納空間S上に位置する箇所に載置する。すると、後側の車輪21は、ストッパ14に当接して後方への移動が抑制される。
【0068】
さらに、固定器具15のフック15bを車体フレーム22に引っ掛けて、巻戻用ノブ15fを操作してベルト15cをピンと張った状態に巻き戻す。すると、固定器具15は、車椅子2が後方向に移動するのを防止することができる。このため、車椅子2は、傾斜状態の車椅子固定プレート10上を後方向へ移動することがない。
【0069】
車椅子2に乗った患者Mは、車椅子2が固定された車椅子固定プレート10が約10度傾いていることによって、その角度θ分だけ体全体が起こされる。このため、やや下方向を向いていた患者Mの顔も、角度θ分上方向を向いた体位にすることができる。その結果、術者は、患者Mを診療し易くなる。
【0070】
診療が終了したら、車椅子2に掛止されてあった固定器具15のフック15bを外して、車椅子2を車椅子固定プレート10から後方側へ移動させて平らな床面に静止させる。そして、患者Mから防水シート7及びエアバッグ5を取り外し、ヘッドレストエアクッション6及びバックサポート4を車椅子2から取り外す。
【0071】
図10に示すように、バックサポート4、エアバッグ5、ヘッドレストエアクッション6及び防水シート7をそれぞれ折り畳み、収納ボックス30のそれぞれの収納凹部32aに入れて、上ケース31で蓋をする。その収納ボックス30を車椅子固定プレート10の収納空間Sの載置面11a上に載置する。
なお、収納ボックス30にはエアバック等のほか、治療で使用する治療器具を収納することも可能である。
【0072】
その車椅子固定プレート10を連結具13を中心として折り畳んだ折畳状態にすると、左右の車椅子固定プレート10の両端部側に配置された縁板部12の端部12b,12b同士が当接して、二つの車椅子固定プレート10とその両縁側の縁板部12とで閉断面を形成する筒状(バッグ状)の状態になる(
図3参照)。
【0073】
図3に示すようなバッグ状に小さくなった車椅子用補助器具1は、取手16を持って容易に持ち運びすることができると共に、診療室の隅に置いて保管することもでき、設置スペースを取らない。
また、収納ボックス30(傾斜台3)、バックサポート4、エアバッグ5、ヘッドレストエアクッション6及び防水シート7は、すべてバッグ状になった車椅子固定プレート10内に収納できるので、保管し易い。
【0074】
≪変形例≫
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。なお、既に説明した構成は同じ符号を付してその説明を省略する。
【0075】
<車椅子用載置プレートの変形例>
図11は、本発明に係る車椅子用補助
器具の車椅子用載置プレートの変形例を示す図であり、車椅子用載置プレートを展開したときの状態を示す斜視図である。
図12は、本発明に係る車椅子用補助
器具の車椅子用載置プレートの変形例を示す図であり、車椅子用載置プレートを折り畳んだときの状態を示す斜視図である。
【0076】
例えば、前記実施形態で説明した車椅子固定プレート10は、
図11及び
図12に示すように、各載置面11aの後端に転倒防止用のフラップ17をそれぞれ設けても構わない。フラップ17は、例えば、矩形の金属製平板部材からなり、前端がヒンジ部材18によって車椅子固定プレート10に対して回動可能に設けられている。
このように、車椅子固定プレート10の後端部に後方向に向けて突出したフラップ17を設けることによって、車椅子固定プレート10が移動したり、がたついたりすることなく、車椅子2を載置面11aに容易に載せることができるようになる。また、フラップ17は、車椅子固定プレート10にヒンジ部材18によって回動自在に設置されているので、使用しないときには車椅子固定プレート10側へ折り畳んでおくことができる。
【0077】
<傾斜台の変形例>
また、前記実施形態では、傾斜台3の一例として収納ボックス30を使用した場合を説明したが、傾斜台3はこれに限定されるものではない。例えば、
図11及び
図12に示すように、傾斜台3は、車椅子固定プレート10の前端部の外側面11c(下面)に固着した傾斜脚部19であっても構わない。
【0078】
この場合、傾斜脚部19は、車椅子固定プレート10に当接する部位に傾斜面19aを有する四角柱形状の部材であり、例えば、ゴム、合成樹脂、木材、あるいはアルミニウム合金等の径金属等からなる。
【0079】
また、前記実施形態では、
図10に示すように、収納ボックス30の一例として、上ケース31と下ケース32とをヒンジ部材33で開閉自在に接続した場合を説明したが、ヒンジ部材33は無くても構わない。
つまり、収納ボックス30は、少なくとも、収納凹部32aを有する下ケース32と、その収納凹部32aの開口部32bを開閉自在に配置され、傾斜面31aを有する上ケースと、を備えていればよい。
【0080】
<ストッパの第1変形例>
図13は、本発明に係る車椅子用補助
器具のストッパの第1変形例を示す図であり、(a)はストッパの斜視図、(b)はストッパの使用状態を示す要部拡大断面図である。
前記したストッパ14(
図1及び
図2参照)は、
図13(a)、(b)に示すように、基端部の軸支部14Aaを中心として所定範囲内で回動自在に設けたストッパ14Aであっても構わない。
【0081】
この場合、ストッパ14Aは、左右方向に延設された矩形の板材からなるストッパ本体14Abと、このストッパ本体14Abを回動自在、かつ、載置板11のストッパ設置用凹部11dから出没自在に軸支する前記軸支部14Aaと、ストッパ本体14Abを軸支部14Aaを中心として上方向へ押圧して回動させるばね部材14Acと、ストッパ本体14Abの回動範囲を規制する側面視してV字形状の回動規制部材14Adと、ストッパ本体14Abの先端部に取り付けた保護カバー14Aeと、を備えている。
載置板11には、ストッパ14Aが没入自在なストッパ設置用凹部11dと、ストッパ設置用凹部11dの内底面に形成され、ばね部材14Acの下端部を保持するばね受け11eと、ストッパ設置用凹部11dの左右の内壁に形成されて、軸棒等からなる軸支部14Aaの両端部を軸支する軸受穴(図示省略)と、が形成されている。
【0082】
このように構成されたストッパ14Aは、
図13(b)に示すように、車椅子2の車輪21がストッパ14A上を後方から前方に向かって移動する際に、車輪21がストッパ14Aを押し下げてストッパ設置用凹部11d内に没入させる。車輪21がストッパ14Aよりも前側へ移動すると、ストッパ本体14Abは、ばね部材14Acによって上方向(矢印a方向)へ押し上げられて、回動規制部材4Adにより、斜め前側上方向を向いた状態になり、車輪21が後方方向へ移動するのを抑止する。
【0083】
<ストッパの第2変形例>
図14は、本発明に係る車椅子用補助
器具のストッパの第2変形例を示す図であり、(a)は上下方向に回動可能にしたストッパの一例を示す斜視図、(b)はストッパを使用しないときの状態を示す要部拡大縦断面図、(c)はストッパを使用するときの状態を示す要部拡大縦断面図である。また、
図14(a)〜(c)に示すように、ストッパ14Bは、車椅子固定プレート10に対して所定範囲、両端部の軸支部14Baを中心として回動自在に縁板部12に軸支した回動支持プレート14Bcを介在して左右に延びる棒状の車輪抑止部材14Bbで構成しても構わない。
【0084】
この場合、ストッパ14Bは、縁板部12に両側内壁に設けた軸支部14Baと、軸支部14Baに一端部を回動自在に軸支した左右一対の略三角形の板状の回動支持プレート14Bcと、左右の回動支持プレート14Bcの他端部間に架設されて軸支部14Baを中心として回動支持プレート14Bcと共に回動する棒状の車輪抑止部材14Bbと、を備えている。
図14(b)に示すように、ストッパ14Bは、車椅子2の車輪止めとして使用しない場合、車輪抑止部材14Bb及び回動支持プレート14Bcを軸支部14Baを中心として前方向(矢印b方向)へ回動させて載置面11a上に接近した状態にし、車輪21がストッパ14B上を転動可能にする。
図14(c)に示すように、ストッパ14Bは、車椅子2の車輪止めとして使用する場合、車輪抑止部材14Bb及び回動支持プレート14Bcを軸支部14Baを中心として後方向(矢印c方向)へ回動させて載置面11aから離れた状態にし、車輪21が後方向へ転動するのを抑制できるようにする。
【0085】
<ストッパの第3変形例>
図15は、本発明に係る車椅子用補助
器具のストッパの第3変形例を示す図であり、(a)は幅方向に摺動可能にしたストッパの一例を示す斜視図、(b)はストッパの設置状態を示す要部拡大縦断面図である。
また、
図15(a)、(b)に示すように、ストッパ14Cは、車椅子固定プレート10の載置板11に対して載置面11a上を幅方向(矢印d方向)に向けて移動自在に設けてもよい。
この場合、ストッパ14Cは、例えば、載置面11aに幅方向へ向かって形成された段差状のガイド溝11fの載置面11a側に、幅方向へ摺動自在に係合させたスライダ14Caと、ガイド溝11fの外側面11c(裏面)側に係止された状態に配置されてスライダ14Caと共に移動するスライダ係止部14Cbと、このスライダ係止部14Cbをスライダ14Caに固定するための連結具14Ccと、から構成されている。
そして、車輪21が車椅子固定プレート10のストッパ14C上を通過する場合は、載置面11aから突出したストッパ14Cを車椅子固定プレート10の中央部側へ移動させて、車椅子固定プレート10上を移動する車輪21がストッパ14Cに当接しない状態にする。車輪21が載置面11a上にある場合は、ストッパ14Cを車椅子固定プレート10の左右端部側へ摺動させて、ストッパ14Cが車輪21に当接して後方側へ移動するのを規制させる。
【0086】
また、前記ストッパ14Cの第3変形例において、スライダ14Caを車椅子固定プレート10に摺動自在に係止させる係止手段は、その一例としてスライダ係止部14Cbと、連結具14Ccと、からなるものを説明したが、これに限定されものではない。
例えば、ストッパ14Cは、スライダ14Caの下端部に、ガイド溝11fの段差部または下側縁部に摺動自在に係止する爪を有する爪付係止片(図示省略)を樹脂で一体形成したものであっても構わない。
【0087】
<エアバッグの変形例>
図16は、本発明に係る車椅子用補助
器具のエアバッグの変形例を示す斜視図である。
また、
図16に示すように、エアッバグ5Aは、連通する二室の空気室5Aaに区分けされたものであっても構わない。この場合、左右の空気室5Aa間には、切欠部5Abが形成されている。グリップ53Aは、掌の中に入るように立体的な握り形状のものであっても構わない。
【0088】
<バックサポートの第1変形例>
図17は、本発明に係る車椅子用補助
器具のバックサポートの第1変形例を示す図であり、(a)は展開した使用時の状態を示す斜視図、(b)は折り畳んだときの状態を示す斜視図、(c)は軸部の状態を示す要部拡大断面図である。
前記実施形態では、四つに折り畳み可能なバックサポート4について説明したが、
図17(a)〜(c)に示すように、二つ折りにして半分の大きさに折り畳むことが可能なバックサポート4Aであっても構わない。
【0089】
この場合、バックサポート4Aは、矩形の枠体41Aと、枠体41Aを形成する二本のコ字状パイプからなるフレーム42Aと、二本のフレーム42Aを回動自在に連結するねじ状の軸部材46Aと、二本のフレーム42Aを折畳んだ状態と展開した状態に支持する節度機構47Aと、張設体43Aと、不図示の着脱用のベルトと、バックサポート用ベルクロ45Aと、を備えている。
節度機構47Aは、スチールボール47Aaと、スチールボール47Aaを押圧する節度ばね47Abと、スチールボール47Aaが圧接する節度溝47Acと、から構成されている。
【0090】
<バックサポートの第2変形例>
図18は、本発明に係る車椅子用補助
器具のバックサポートの第2変形例を示す図であり、(a)は展開した使用時の状態を示す斜視図、(b)は折り畳んだときの状態を示す斜視図、(c)は連結部分の状態を示す要部拡大断面図である。
また、
図18(a)〜(c)に示すように、バックサポート4Bは、枠体41Bの長さ方向(上下方向)へ摺動して約半分の大きさに伸縮するものであっても構わない。
【0091】
この場合、バックサポート4Bは、矩形の枠体41Bと、枠体41Bを形成するコ字状の二本のフレーム42Bと、二本のフレーム42Bを摺動自在に連結するピン46Bと、ピン46Bをピン46Bの後側から押圧する板ばね47Bと、ピン46Bを出没自在に支持する貫通孔41Baと、張設体43Bと、不図示の着脱用のベルトと、バックサポート用ベルクロ45Bと、を備えている。
ピン46Bは、フレーム42Bを延ばす方向へ強く引っ張ったり、縮める方向へ強く押圧するとその力で板ばね47Bのばね力に抗して、嵌合していた貫通孔41Baから脱出してフレーム42Bの伸縮を可能にする部材である。ピン46Bは、先端が半球状に形成されて貫通孔41Baに出没自在に配置され、基端部が板ばね47Bに固着されて貫通孔41Baの方向へ押圧されている。
このようにしても、バックサポート4Bを使用しないときに、自由に半分の大きさにすることができるので、収納ボックス30への収納が可能である。
【0092】
<バックサポートの第3変形例>
図19は、本発明に係る車椅子用補助
器具のバックサポートの第3変形例を示す図であり、(a)は展開した使用時の状態を示す斜視図、(b)は折り畳んだときの状態を示す斜視図、(c)は固定部分の状態を示す要部拡大断面図である。
また、
図19(a)〜(c)に示すように、バックサポート4Cは、張設体43C、フレーム42C及び枠体41Cを合成樹脂等で一体に形成して、長さ方向(上下方向)へ摺動して約半分の大きさに伸縮するものであっても構わない。
【0093】
この場合、バックサポート4Cは、左右一対のフレーム42Cからなる二つ枠体41Cと、摺動部となる横断面視して半円状のフレーム42Cと、中央部に上下方向に延びるように形成された長孔43Caを有する二つの薄板状の張設体43Cと、二つの張設体43Cの長孔43Ca内を長さ方向へ摺動自在に挿入されて一対の張設体43Cを連結するねじ部材46Cと、不図示の着脱用のベルトと、バックサポート用ベルクロ45Cと、を備えている。
ねじ部材46Cは、一方の張設体43Cの長孔43Caを介して他方の張設体43Cのねじ穴に螺合して二つの張設体43Cを固定できるようになっている。
このようにしても、バックサポート4Cの長さ方向の大きさを自由に調整することができるので、収納ボックス30への収納が可能である。