(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、ロータ冷却空気供給管に要求される主な機能(性能)は、以下の四つである。
まず一つ目は、「気密性」である。これは、ロータ冷却空気供給管が配置されている車室内の空気、すなわち、所定の温度にまで冷却される前の温度の高い空気が、ロータ冷却空気供給管内に流入し、ロータ冷却空気供給管内を通過する、所定の温度にまで冷却された温度の低い空気と混ざり合い、ロータ冷却空気供給管内を通過する空気の温度を上昇させないようにするために必要な機能である。
【0005】
二つ目は、軸方向(長手方向)への「伸縮性」である。これは、ロータ冷却空気供給管の一端(上流端)が車室に固定(拘束)され、ロータ冷却空気供給管の他端(下流端)が中間軸カバーに固定(拘束)されるため、車室と中間軸カバーとの間に生じる熱伸び差を吸収するために必要な機能である。
【0006】
三つ目は、「剛性」である。これは、ロータ冷却空気供給管が車室内、すなわち、圧縮機から燃焼器に向かう流れの速い空気中に置かれるため、ロータ冷却空気供給管が空気流によって大きく撓んだり、振動しないようにするために必要な機能である。
【0007】
四つ目は、「減衰性」である。これは、ロータ冷却空気供給管が車室内、すなわち、圧縮機から燃焼器に向かう流れの速い空気中に置かれるため、ロータ冷却空気供給管は空気流によって撓んだり、振動したりするが、これら撓みや振動が減衰されずにそのまま繰り返しロータ冷却空気供給管に加わると、ロータ冷却空気供給管に亀裂が入ったり、折損するおそれがあるので、これら撓みや振動を減衰させて、ロータ冷却空気供給管に亀裂が入ったり、折損しないようにするために必要な機能である。
【0008】
しかしながら、従来のロータ冷却空気供給管には、上記四つすべての機能を満足するものがなかった。そこで、上記四つすべての機能を満足するロータ冷却空気供給管の開発が求められていた。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、気密性、伸縮性、剛性、減衰性のすべての機能を備えたロータ冷却空気供給管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明に係るロータ冷却空気供給管は、車室を貫通して車室内に延びる配管の下流端に設けられたフランジに結合される第1のフランジと、中間軸カバーを貫通して車室内に延びる配管の上流端に設けられたフランジに結合される第2のフランジと、を備え、これら第1のフランジと第2のフランジとの間に、板厚方向に多層構造とされ、軸方向に伸縮可能とされたベローズ形伸縮管が設けられている。
【0011】
本発明に係るロータ冷却空気供給管によれば、ベローズ形伸縮管により、管内空間と管外空間とが完全に分離され、上記機能のうちの「気密性」が確保されることになる。
また、ベローズ形伸縮管は、軸方向に伸縮可能とされており、上記機能のうちの「伸縮性」が確保されることになる。
さらに、ベローズ形伸縮管は、必要なばね定数を有するようにベローズのピッチ、板厚、山数、山高さが決められており、上記機能のうちの「剛性」が確保されることになる。
さらにまた、ベローズ形伸縮管は、板厚方向に多層構造とされ、空気流によって撓んだり、振動した場合、板厚方向に重なり合った薄板同士が擦れ合って、これら撓みや振動が減衰され、上記機能のうちの「減衰性」が確保されることになる。
これにより、気密性、伸縮性、剛性、減衰性のすべての機能を備えたロータ冷却空気供給管を提供することができる。
本発明に係るロータ冷却空気供給管は、
前記第1のフランジの半径方向内側に嵌入されて前記第1のフランジに接合された第1
の管状部材と、前記第1
の管状部材の半径方向外側に嵌合されて接合された第
2の管状部材と、
前記第2のフランジの半径方向内側に嵌入されて前記第2のフランジに接合された第
4の管状部材と、前記第
4の管状部材の半径方向外側に嵌合されて接合された第
3の管状部材とを備え、前記ベローズ形伸縮管は、一端が前記第
2の管状部材の半径方向外側に嵌合されて接合され、他端が前記第
3の管状部材の半径方向外側に嵌合されて接合され
、前記ベローズ形伸縮管の半径方向外側に設けられたインターロックホースと、前記第2の管状部材の半径方向外側に嵌合された第5の管状部材と、前記第5の管状部材の半径方向外側に嵌合された第9の管状部材と、前記第3の管状部材の半径方向外側に嵌合された第7の管状部材と、前記第7の管状部材の半径方向外側に嵌合された第10の管状部材と、をさらに備え、前記インターロックホースは、一端が前記第5の管状部材と前記第9の管状部材とに挟み込まれて溶接接合され、他端が前記第7の管状部材と前記第10の管状部材とに挟み込まれて溶接接合されている。前記第1の管状部材と前記第2の管状部材と前記第5の管状部材と前記第9の管状部材とは、前記軸方向に垂直である1つの平面に交差し、前記第4の管状部材と前記第3の管状部材と前記第7の管状部材と前記第10の管状部材とは、前記軸方向に垂直である他の1つの平面に交差していることを特徴としている。
本発明に係るロータ冷却空気供給管によれば、ベローズ形伸縮管の両端をそれぞれ強固に第1のフランジおよび第2のフランジに接合させることができ、第1のフランジまたは第2のフランジにベローズ形伸縮管の両端がそれぞれ直接に接合されるものに比較して、ベローズ形伸縮管と第1のフランジまたは第2のフランジとの間の接合部の剛性と気密性とをより確実に確保することができる。
【0012】
上記ロータ冷却空気供給管において、前記ベローズ形伸縮管の半径方向外側に、ブレードホースが設けられているとさらに好適である。
【0013】
このようなロータ冷却空気供給管によれば、ブレードホースは、当該ブレードホースを構成する、例えば、ステンレス線またはステンレス製の薄板同士の間隔が広がったり狭くなったりすることにより、軸方向に伸縮可能とされており、上記機能のうちの「伸縮性」が確保されることになる。
また、ブレードホースは、例えば、ステンレス線やステンレス製の薄板が網代編み(あじろあみ)とされたものや、ステンレス製の薄板がヘール巻きされた(螺旋状に巻かれた)ものとされており、上記機能のうちの「剛性」が確保されることになる。
さらに、ブレードホースは、例えば、ステンレス線やステンレス製の薄板が網代編み(あじろあみ)とされたものや、ステンレス製の薄板がヘール巻きされた(螺旋状に巻かれた)ものとされ、空気流によって撓んだり、振動した場合、ベローズとブレードホースとが互いに擦れ合って、これら撓みや振動が減衰され、上記機能のうちの「減衰性」が確保されることになる。
これにより、上記機能のうちの「伸縮性」を阻害することなく、上記機能のうちの「剛性」および「減衰性」を向上させることができる。
【0014】
上記ロータ冷却空気供給管において、前記ベローズ形伸縮管の半径方向外側に、インターロックホースが設けられているとさらに好適である。
【0015】
このようなロータ冷却空気供給管によれば、インターロックホースは、ステンレス製の薄板が断面視コ字状になるようにして組み合わせられるとともに螺旋状構造とされ、ステンレス製の薄板同士の間隔が広がったり狭くなったりすることにより、軸方向に伸縮可能とされており、上記機能のうちの「伸縮性」が確保されることになる。
また、インターロックホースは、ステンレス製の薄板が断面視コ字状になるようにして組み合わせられるとともに螺旋状構造とされており、上記機能のうちの「剛性」が確保されることになる。
さらに、インターロックホースは、ステンレス製の薄板が断面視コ字状になるようにして組み合わせられるとともに螺旋状構造とされ、空気流によって撓んだり、振動した場合、ステンレス製の薄板同士が擦れ合って、これら撓みや振動が減衰され、上記機能のうちの「減衰性」が確保されることになる。
これにより、上記機能のうちの「伸縮性」を阻害することなく、上記機能のうちの「剛性」および「減衰性」を向上させることができる。
本発明に係るロータ冷却空気供給管は、
車室を貫通して車室内に延びる配管の下流端に設けられたフランジに結合される第1のフランジと、中間軸カバーを貫通して車室内に延びる配管の上流端に設けられたフランジに結合される第2のフランジと、これら第1のフランジと第2のフランジとの間に、板厚方向に多層構造とされ、軸方向に伸縮可能とされたベローズ形伸縮管と、前記第1のフランジの半径方向内側に嵌入されて前記第1のフランジに接合された第1の管状部材と、前記第1の管状部材の半径方向外側に嵌合されて接合された第2の管状部材と、前記第2のフランジの半径方向内側に嵌入されて前記第2のフランジに接合された第4の管状部材と、前記第4の管状部材の半径方向外側に嵌合されて接合された第3の管状部材と、を備え、前記ベローズ形伸縮管は、一端が前記第2の管状部材の半径方向外側に嵌合されて接合され、他端が前記第3の管状部材の半径方向外側に嵌合されて接合され、前記ベローズ形伸縮管の半径方向外側に設けられたインターロックホースと、前記第2の管状部材の半径方向外側に嵌合された第
5の管状部材と、前記第
5の管状部材の半径方向外側に嵌合された第
9の管状部材と、
前記第3の管状部材の半径方向外側に嵌合された第
7の管状部材と、前記第
7の管状部材の半径方向外側に嵌合された第
10の管状部材とを
さらに備え、前記インターロックホースは、一端が前記第
5の管状部材と前記第
9の管状部材とに挟み込まれて溶接接合され、他端が前記第
7の管状部材と前記第
10の管状部材に挟み込まれて溶接接合され、前記第
5の管状部材の前記インターロックホースに嵌入されている部分と前記第
7の管状部材の前記インターロックホースに嵌入されている部分とは、前記インターロックホースの奥に向かって細くなっている部分が形成され
、前記第1の管状部材と前記第2の管状部材と前記第5の管状部材と前記第9の管状部材とは、前記軸方向に垂直である1つの平面に交差し、前記第4の管状部材と前記第3の管状部材と前記第7の管状部材と前記第10の管状部材とは、前記軸方向に垂直である他の1つの平面に交差している。
このようなロータ冷却空気供給管によれば、インターロックホースがらせん状に構成されている場合でも、インターロックホースの両端に第1、2内側管状部材を容易にそれぞれ嵌入させることができ、インターロックホースの両端を第1のフランジと第2のフランジとそれぞれ容易に接合することができます。
【0016】
上記ロータ冷却空気供給管において、前記ベローズ形伸縮管の半径方向外側で、かつ、前記インターロックホースの半径方向内側に、ブレードホースが設けられているとさらに好適である。
【0017】
このようなロータ冷却空気供給管によれば、ブレードホースは、当該ブレードホースを構成する、例えば、ステンレス線またはステンレス製の薄板同士の間隔が広がったり狭くなったりすることにより、軸方向に伸縮可能とされており、上記機能のうちの「伸縮性」が確保されることになる。
また、ブレードホースは、例えば、ステンレス線やステンレス製の薄板が網代編み(あじろあみ)とされたものや、ステンレス製の薄板がヘール巻きされた(螺旋状に巻かれた)ものとされており、上記機能のうちの「剛性」が確保されることになる。
さらに、ブレードホースは、例えば、ステンレス線やステンレス製の薄板が網代編み(あじろあみ)とされたものや、ステンレス製の薄板がヘール巻きされた(螺旋状に巻かれた)ものとされ、空気流によって撓んだり、振動した場合、ベローズとブレードホースとが互いに擦れ合って、これら撓みや振動が減衰され、上記機能のうちの「減衰性」が確保されることになる。
これにより、上記機能のうちの「伸縮性」を阻害することなく、上記機能のうちの「剛性」および「減衰性」をさらに向上させることができる。
【0018】
上記ロータ冷却空気供給管において、半径方向において最も外側に位置する前記ベローズ形伸縮管の外周面と、前記ブレードホースの内周面とが、接しているとさらに好適である。
【0019】
このようなロータ冷却空気供給管によれば、空気流によって撓んだり、振動した場合、半径方向において最も外側に位置するベローズ形伸縮管の外周面と、ブレードホースの内周面とが擦れ合って、これら撓みや振動が減衰されることになるので、上記機能のうちの「減衰性」をさらに向上させることができる。
【0020】
上記ロータ冷却空気供給管において、前記ベローズ形伸縮管の半径方向内側に、フローガイドとして機能する管状部材が設けられているとさらに好適である。
【0021】
このようなロータ冷却空気供給管によれば、当該ロータ冷却空気供給管内の流路(管路)抵抗を減少させることができ、当該ロータ冷却空気供給管内を流れる冷却空気の流れを整えて乱れのない流れにすること(整流)することができる。
【0022】
本発明に係るガスタービンは、上記いずれかのロータ冷却空気供給管を具備している。
【0023】
本発明に係るガスタービンによれば、気密性、伸縮性、剛性、減衰性のすべての機能を備えたロータ冷却空気供給管を具備していることになる。
これにより、ロータ冷却空気供給管を介してロータおよび動翼に導く冷却空気の総量を低減させることができ、当該ガスタービンの性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、気密性、伸縮性、剛性、減衰性のすべての機能を備えたロータ冷却空気供給管を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態に係るロータ冷却空気供給管について、
図1および
図2を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係るロータ冷却空気供給管を側方から見た図であって、上半部は断面図、下半部は側面図、
図2は
図1に実線で示す円内を拡大して示した図である。
【0027】
図1または
図2の少なくともいずれかに示すように、本実施形態に係るロータ冷却空気供給管10は、第1のフランジ11と、第1の管状部材12と、第2の管状部材13と、ベローズ形伸縮管14と、第3の管状部材15と、第4の管状部材16と、第2のフランジ17とを備えている。
第1のフランジ11は、車室(図示せず)を貫通して車室内に延びる配管(図示せず)の下流端に設けられたフランジ(図示せず)と、図示しないボルトおよびナットを介して結合される環状の部材であり、板厚方向(
図1において左右方向)に貫通してボルトの軸部を受け入れる貫通穴(図示せず)が、周方向に沿って複数設けられている。
【0028】
第1の管状部材12は、一端(上流端)が第1のフランジ11の内側(半径方向内側)に嵌入されて溶接接合され、他端(下流端)が第2の管状部材13の内側(半径方向内側)に嵌入されて溶接接合された管状(筒状)の部材である。
第2の管状部材13は、一端(上流端)が第1の管状部材12の外側(半径方向外側)に嵌合されて溶接接合され、他端(下流端)がベローズ形伸縮管14の内側(半径方向内側)に嵌入されて溶接接合された管状(筒状)の部材である。
【0029】
ベローズ形伸縮管14は、板厚方向に三層構造とされ、軸方向(長手方向)に伸縮可能とされた管状(筒状)の部材であり、その一端(上流端)は第2の管状部材13の外側(半径方向外側)に嵌合されて溶接接合され、その他端(下流端)は第3の管状部材15の外側(半径方向外側)に嵌合されて溶接接合されている。
第3の管状部材15は、一端(上流端)がベローズ形伸縮管14の内側(半径方向内側)に嵌入されて溶接接合され、他端(下流端)が第4の管状部材16の外側(半径方向外側)に嵌合されて溶接接合された管状(筒状)の部材である。
【0030】
第4の管状部材16は、一端(上流端)が第3の管状部材15の内側(半径方向内側)に嵌入されて溶接接合され、他端(下流端)が第2のフランジ17の内側(半径方向内側)に嵌入されて溶接接合された管状(筒状)の部材である。
第2のフランジ17は、中間軸カバー(図示せず)を貫通して車室内に延びる配管(図示せず)の上流端に設けられたフランジ(図示せず)と、図示しないボルトおよびナットを介して結合される環状の部材であり、板厚方向(
図1において左右方向)に貫通してボルトの軸部を受け入れる貫通穴(図示せず)が、周方向に沿って複数設けられている。
【0031】
ここで、第1のフランジ11と第1の管状部材12とは、第1のフランジ11の端面と第1の管状部材12の外周面との間に形成される溶接部21、および第1のフランジ11の内周面と第1の管状部材12の端面との間に形成される溶接部22により接合されている。
また、第1の管状部材12と第2の管状部材13とは、第1の管状部材12の端面と第2の管状部材13の内周面との間に形成される溶接部23、および第1の管状部材12の外周面と第2の管状部材13の端面との間に形成される溶接部24により接合されている。
さらに、第2の管状部材13とベローズ形伸縮管14とは、第2の管状部材13の外周面とベローズ形伸縮管14の端面との間に形成される溶接部(図示せず)により接合されている。
【0032】
さらにまた、ベローズ形伸縮管14と第3の管状部材15とは、ベローズ形伸縮管14の端面と第3の管状部材15の外周面との間に形成される溶接部25により接合されている。
さらにまた、第3の管状部材15と第4の管状部材16とは、第3の管状部材15の端面と第4の管状部材16との間に形成される溶接部26、および第3の管状部材15の内周面と第4の管状部材16の端面との間に形成される溶接部27により接合されている。
さらにまた、第4の管状部材16と第2のフランジ17とは、第4の管状部材16の端面と第2のフランジ17の内周面との間に形成される溶接部28、および第4の管状部材16の外周面と第2のフランジ17の端面との間に形成される溶接部29により接合されている。
【0033】
本実施形態に係るロータ冷却空気供給管10によれば、ベローズ形伸縮管14により、管内空間と管外空間とが完全に分離され、「気密性」が確保されることになる。
また、ベローズ形伸縮管14は、軸方向に伸縮可能とされており、「伸縮性」が確保されることになる。
さらに、ベローズ形伸縮管14は、必要なばね定数を有するようにベローズのピッチ、板厚、山数、山高さが決められており、「剛性」が確保されることになる。
さらにまた、ベローズ形伸縮管14は、板厚方向に三層構造とされ、空気流によって撓んだり、振動した場合、板厚方向に重なり合った薄板同士が擦れ合って、これら撓みや振動が減衰され、「減衰性」が確保されることになる。
これにより、気密性、伸縮性、剛性、減衰性のすべての機能を備えたロータ冷却空気供給管10を提供することができる。
【0034】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態に係るロータ冷却空気供給管について、
図3および
図4を参照しながら説明する。
図3は本実施形態に係るロータ冷却空気供給管を側方から見た図であって、上半部は断面図、下半部は側面図、
図4は
図3に実線で示す円内を拡大して示した図である。
【0035】
図3または
図4の少なくともいずれかに示すように、本実施形態に係るロータ冷却空気供給管30は、第5の管状部材31、第6の管状部材32、線状ブレードホース33、第7の管状部材34、第8の管状部材35をさらに備えているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、上述した第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0036】
第5の管状部材31は、全体が第2の管状部材13の外側(半径方向外側)に嵌合され、一端(上流端)が第2の管状部材13の外周面に溶接接合された管状(筒状)の部材である。
第6の管状部材32は、全体が第5の管状部材31の外側(半径方向外側)に嵌合され、一端(上流端)が第5の管状部材31の外周面に溶接接合された管状(筒状)の部材である。
【0037】
線状ブレードホース33は、多数のステンレス線(図示せず)が網代編み(あじろあみ)とされた管状(筒状)の部材であり、その一端(上流端)は第5の管状部材31と第6の管状部材32との間に挟み込まれて溶接接合され、その他端(下流端)は第7の管状部材34と第8の管状部材35との間に挟み込まれて溶接接合されている。
【0038】
第7の管状部材34は、全体が第3の管状部材15の外側(半径方向外側)に嵌合され、一端(下流端)が第3の管状部材15の外周面に溶接接合された管状(筒状)の部材である。
第8の管状部材35は、全体が第7の管状部材34の外側(半径方向外側)に嵌合され、一端(下流端)が第7の管状部材34の外周面に溶接接合された管状(筒状)の部材である。
【0039】
ここで、第2の管状部材13と第5の管状部材31とは、第2の管状部材13の外周面と第5の管状部材31の端面との間に形成される溶接部41により接合されている。
また、第5の管状部材31と線状ブレードホース33と第6の管状部材32とは、第5の管状部材31の外周面と線状ブレードホース33の端面と第6の管状部材32の端面との間に形成される溶接部42により接合されている。
【0040】
さらに、第3の管状部材15と第7の管状部材34とは、第3の管状部材15の外周面と第7の管状部材34の端面との間に形成される溶接部43により接合されている。
また、第7の管状部材34と線状ブレードホース33と第8の管状部材35とは、第7の管状部材34の外周面と線状ブレードホース33の端面と第8の管状部材35の端面との間に形成される溶接部44により接合されている。
【0041】
本実施形態に係るロータ冷却空気供給管30によれば、線状ブレードホース33は、当該ブレードホース33を構成するステンレス線同士の間隔が広がったり狭くなったりすることにより、軸方向に伸縮可能とされており、「伸縮性」が確保されることになる。
また、線状ブレードホース33は、ステンレス線が網代編み(あじろあみ)とされたものであり、「剛性」が確保されることになる。
さらに、線状ブレードホース33は、ステンレス線が網代編み(あじろあみ)とされたものとされ、空気流によって撓んだり、振動した場合、ステンレス線同士が擦れ合って、これら撓みや振動が減衰され、「減衰性」が確保されることになる。
これにより、「伸縮性」を阻害することなく、「剛性」および「減衰性」を向上させることができる。
その他の作用効果は、上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0042】
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態に係るロータ冷却空気供給管について、
図5および
図6を参照しながら説明する。
図5は本実施形態に係るロータ冷却空気供給管を側方から見た図であって、上半部は断面図、下半部は側面図、
図6は
図5に実線で示す円内を拡大して示した図である。
【0043】
図5または
図6の少なくともいずれかに示すように、本実施形態に係るロータ冷却空気供給管50は、第6の管状部材32、線状ブレードホース33、第8の管状部材35の代わりに、第9の管状部材51、インターロックホース52、第10の管状部材53を備えているという点で上述した第2実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第2実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、上述した第2実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0044】
第9の管状部材51は、全体が第5の管状部材31の外側(半径方向外側)に嵌合され、一端(上流端)が第5の管状部材31の外周面に溶接接合された管状(筒状)の部材である。
第10の管状部材53は、全体が第7の管状部材34の外側(半径方向外側)に嵌合され、一端(下流端)が第7の管状部材34の外周面に溶接接合された管状(筒状)の部材である。
【0045】
インターロックホース52は、ステンレス製の薄板が断面視コ字状になるようにして組み合わせられるとともに螺旋状構造とされた管状(筒状)の部材であり、その一端(上流端)は第5の管状部材31と第9の管状部材51との間に挟み込まれて溶接接合され、その他端(下流端)は第7の管状部材34と第10の管状部材53との間に挟み込まれて溶接接合されている。
【0046】
ここで、第5の管状部材31とインターロックホース52とは、第5の管状部材31の外周面とインターロックホース52の端面と形成される溶接部61により接合されている。
また、インターロックホース52と第9の管状部材51とは、インターロックホース52の外周面と第9の管状部材51の端面と形成される溶接部62により接合されている。
【0047】
さらに、第7の管状部材34とインターロックホース52とは、第7の管状部材34の外周面とインターロックホース52の端面と形成される溶接部63により接合されている。
さらにまた、インターロックホース52と第10の管状部材53とは、インターロックホース52の外周面と第10の管状部材53の端面と形成される溶接部64により接合されている。
【0048】
本実施形態に係るロータ冷却空気供給管50によれば、インターロックホース52は、ステンレス製の薄板が断面視コ字状になるようにして組み合わせられるとともに螺旋状構造とされ、ステンレス製の薄板同士の間隔が広がったり狭くなったりすることにより、軸方向に伸縮可能とされており、「伸縮性」が確保されることになる。
また、インターロックホース52は、ステンレス製の薄板が断面視コ字状になるようにして組み合わせられるとともに螺旋状構造とされており、「剛性」が確保されることになる。
さらに、インターロックホース52は、ステンレス製の薄板が断面視コ字状になるようにして組み合わせられるとともに螺旋状構造とされ、空気流によって撓んだり、振動した場合、ステンレス製の薄板同士が擦れ合って、これら撓みや振動が減衰され、「減衰性」が確保されることになる。
これにより、「伸縮性」を阻害することなく、「剛性」および「減衰性」を向上させることができる。
その他の作用効果は、上述した第2実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0049】
〔第4実施形態〕
本発明の第4実施形態に係るロータ冷却空気供給管について、
図7および
図8を参照しながら説明する。
図7は本実施形態に係るロータ冷却空気供給管を側方から見た図であって、上半部は断面図、下半部は側面図、
図8は
図7に実線で示す円内を拡大して示した図である。
【0050】
図7または
図8の少なくともいずれかに示すように、本実施形態に係るロータ冷却空気供給管70は、第3実施形態のところで説明した第9の管状部材51、インターロックホース52、第10の管状部材53をさらに備えているという点で上述した第2実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第2実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、上述した第2実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0051】
本実施形態に係るロータ冷却空気供給管70によれば、インターロックホース52は、ステンレス製の薄板が断面視コ字状になるようにして組み合わせられるとともに螺旋状構造とされ、ステンレス製の薄板同士の間隔が広がったり狭くなったりすることにより、軸方向に伸縮可能とされており、「伸縮性」が確保されることになる。
また、インターロックホース52は、ステンレス製の薄板が断面視コ字状になるようにして組み合わせられるとともに螺旋状構造とされており、「剛性」が確保されることになる。
さらに、インターロックホース52は、ステンレス製の薄板が断面視コ字状になるようにして組み合わせられるとともに螺旋状構造とされ、空気流によって撓んだり、振動した場合、ステンレス製の薄板同士が擦れ合って、これら撓みや振動が減衰され、「減衰性」が確保されることになる。
これにより、「伸縮性」を阻害することなく、「剛性」および「減衰性」を向上させることができる。
その他の作用効果は、上述した第2実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0052】
〔第5実施形態〕
本発明の第5実施形態に係るロータ冷却空気供給管について、
図9および
図10を参照しながら説明する。
図9は本実施形態に係るロータ冷却空気供給管を側方から見た図であって、上半部は断面図、下半部は側面図、
図10は
図9に実線で示す円内を拡大して示した図である。
【0053】
図9または
図10の少なくともいずれかに示すように、本実施形態に係るロータ冷却空気供給管90は、第1の管状部材12の代わりに、第11の管状部材91を備えているという点で上述した第4実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第4実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、上述した第4実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0054】
第11の管状部材91は、一端(上流端)が第1のフランジ11の内側(半径方向内側)に嵌入されて溶接接合され、他端(下流端)が第3の管状部材15の内側(半径方向内側)に位置して第4の管状部材16の端面近傍まで延びる管状(筒状)の部材である。
【0055】
ここで、第1のフランジ11と第11の管状部材91とは、第1のフランジ11の端面と第11の管状部材91の外周面との間に形成される溶接部21、および第1のフランジ11の内周面と第11の管状部材91の端面との間に形成される溶接部22により接合されている。
また、第11の管状部材91と第2の管状部材13とは、第11の管状部材91の外周面と第2の管状部材13の端面との間に形成される溶接部24により接合され、第11の管状部材91の他端は、軸方向および径方向に対してフリーな状態(第3の管状部材15および第4の管状部材16に対して接続されていない状態)になっている。
【0056】
本実施形態に係るロータ冷却空気供給管90によれば、ベローズ形伸縮管14の半径方向内側に、フローガイドとして機能する第11の管状部材91が設けられているので、当該ロータ冷却空気供給管90内の流路(管路)抵抗を減少させることができ、当該ロータ冷却空気供給管90内を流れる冷却空気の流れを整えて乱れのない流れにすること(整流)することができる。
その他の作用効果は、上述した第4実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
また、上述した実施形態に係るロータ冷却空気供給管のいずれかを具備したガスタービン(図示せず)によれば、ロータ冷却空気供給管を介してロータ(図示せず)および動翼(図示せず)に導く冷却空気の総量を低減させることができ、当該ガスタービンの性能を向上させることができる。
【0057】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜必要に応じて変形・変更実施可能である。
例えば、第1実施形態から第3実施形態のところで説明した第1の管状部材12の代わりに、第4実施形態のところで説明した第11の管状部材91を設けるようにしてもよい。
【0058】
また、上述した実施形態では、ベローズ形伸縮管14として、板厚方向に三層構造とされたものを一具体例として挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、二層構造とされたもの、あるいは四層構造以上とされたものであってもよい。
【0059】
さらに、上述した実施形態では、ブレードホースとして、多数のステンレス線(図示せず)が網代編み(あじろあみ)とされた線状ブレードホース33を一具体例として挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、一本のステンレス製の薄板(図示せず)がヘール巻きされた(螺旋状に巻かれた)ものや、多数のステンレス製の薄板(図示せず)が網代編み(あじろあみ)とされたものであってもよい。
【0060】
さらに、半径方向において最も外側に位置するベローズ形伸縮管14の外周面と、ブレードホースの内周面とが、接しているとさらに好適である。
このように構成すると、空気流によって撓んだり、振動した場合、半径方向において最も外側に位置するベローズ形伸縮管14の外周面と、ブレードホースの内周面とが擦れ合って、これら撓みや振動が減衰されることになるので、「減衰性」をさらに向上させることができる。