特許第5762100号(P5762100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5762100デジタルストリーム信号転送装置、デジタルストリーム信号受信装置、デジタルストリーム信号転送方法、及びデジタルストリーム信号受信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5762100
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】デジタルストリーム信号転送装置、デジタルストリーム信号受信装置、デジタルストリーム信号転送方法、及びデジタルストリーム信号受信方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/91 20060101AFI20150723BHJP
   H04N 5/765 20060101ALI20150723BHJP
   H04N 21/4363 20110101ALI20150723BHJP
【FI】
   H04N5/91 P
   H04N5/91 L
   H04N5/91 Z
   H04N21/4363
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2011-85680(P2011-85680)
(22)【出願日】2011年4月7日
(65)【公開番号】特開2012-222573(P2012-222573A)
(43)【公開日】2012年11月12日
【審査請求日】2014年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 学
【審査官】 梅本 達雄
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/016241(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/76 − 5/956
H04N 21/00 − 21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイトルの情報を含むコンテンツの転送元フォーマットと前記コンテンツの転送先フォーマットが異なる場合の信号転送処理を行う装置において、
転送対象となる前記転送元フォーマット前記タイトル中のビデオパケットのIDを検出し、前記タイトルを含むデジタルストリーム信号の転送先で前記転送先フォーマットにより前記タイトルを再構成するための、前記IDを含むタイトル再構成情報を生成する生成手段と、
前記タイトル再構成情報を転送してから、前記タイトルを含む前記デジタルストリーム信号を転送する転送手段と、
を備えるデジタルストリーム信号転送装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記タイトル中の所定映像の位置情報を検出し、前記位置情報を含む前記タイトル再構成情報を生成する請求項1記載のデジタルストリーム信号転送装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記タイトルを構成するチャプタ境界位置情報を検出し、前記チャプタ境界位置情報を含む前記タイトル再構成情報を生成する請求項1又は2記載のデジタルストリーム信号転送装置。
【請求項4】
前記転送手段は、前記デジタルストリーム信号に対応するMPEG−TSを転送する請求項1乃至3の何れか1項記載のデジタルストリーム信号転送装置。
【請求項5】
タイトルの情報を含むコンテンツの転送元フォーマットと前記コンテンツの転送先フォーマットが異なる場合の信号を受信する装置において、
前記タイトルを再構成するためのタイトル再構成情報を受信してから、前記転送元フォーマットの前記タイトルを含むデジタルストリーム信号を受信する受信手段と、
前記タイトル再構成情報に含まれた、前記タイトル中のビデオパケットのIDを検出し、前記IDに基づき前記デジタルストリーム信号を解析し、前記タイトルを前記転送先フォーマットにより再構成する再構成手段と、
を備えたデジタルストリーム信号受信装置。
【請求項6】
前記再構成手段は、前記デジタルストリーム信号から、前記IDの複数のビデオパケットを検出し、これら複数のビデオパケットに基づき前記タイトルを再構成する請求項5記載のデジタルストリーム信号受信装置。
【請求項7】
タイトルの情報を含むコンテンツの転送元フォーマットと前記コンテンツの転送先フォーマットが異なる場合の信号転送処理を行う方法において、
転送対象となる前記転送元フォーマット前記タイトル中のビデオパケットのIDを検出し、前記タイトルを含むデジタルストリーム信号の転送先で前記転送先フォーマットにより前記タイトルを再構成するための、前記IDを含むタイトル再構成情報を生成し、
前記タイトル再構成情報を転送してから、前記タイトルを含む前記デジタルストリーム信号を転送するデジタルストリーム信号転送方法。
【請求項8】
タイトルの情報を含むコンテンツの転送元フォーマットと前記コンテンツの転送先フォーマットが異なる場合の信号を受信する方法において、
前記タイトルを再構成するためのタイトル再構成情報を受信してから、前記転送元フォーマットの前記タイトルを含むデジタルストリーム信号を受信し、
前記タイトル再構成情報に含まれた、前記タイトル中のビデオパケットのIDを検出し、前記IDに基づき前記デジタルストリーム信号を解析し、前記タイトルを前記転送先フォーマットにより再構成するデジタルストリーム信号受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、デジタルストリーム信号転送装置、デジタルストリーム信号受信装置、デジタルストリーム信号転送方法、及びデジタルストリーム信号受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TV放送は、ハイビジョン番組(高精細AV情報の番組)を主な放送コンテンツとするデジタル放送の時代に突入してきた。現在実施されているBSデジタルTV放送や地上波デジタルTV放送では、MPEG−2のトランスポートストリーム(以下、適宜MPEG−TSと略記する)が採用されている。動画を使用したデジタル放送の分野では、今後もMPEG−TSが標準的に用いられると考えられる。このようなデジタルTV放送の開始に伴って、デジタルTV放送のコンテンツをそのまま録画できるストリーマのマーケットニーズが高まってきている。
【0003】
なお、ストリーマ(デジタルビデオレコーダ)で記録されたコンテンツを他の機器に転送する方法としては、IEEE1394経由でのダビングやDLNA(Digital Living Network Alliance)のガイドラインに従った機器間でのダビングがある(DLNAは、デジタル時代の相互接続性を実現させるための標準化活動を推進する業界団体)。
【0004】
デジタル放送等で用いられるMPEG−TSを記録する為の録画フォーマットには、HD DVD Video Recording規格(以下HDVR規格)やBlu-ray Disc Audio/Visual規格(以下BDAV規格)等が知られている。これらの規格ではMPEG−TSに加え、そのMPEG−TSの属性情報やユーザーのアクセス単位となるタイトル/チャプタ等の構成情報(以下管理情報)を記録し、アクセス性やユーザビリティを高めている。しかしフォーマット間で管理情報には互換性がない。この為同じフォーマット内でのダビングであれば、ダビング対象のタイトルのMPEG−TSと管理情報のコピーで実現可能であるが、異なるフォーマット間ではこの方法ではダビングは不可能である。
【0005】
一方、MPEG−TSを主に転送する事により他機器へのダビングを可能にする方法として、上記のようなDLNAのTTSUpload機能やiLINKケーブルによるダビング等が存在する。これらの方法ではダビング元の機器は、簡単な属性情報を含む事もあるが、基本的にはMPEG−TSのみをダビング先の機器に転送し、ダビング先の機器は転送されたMPEG−TSのシンタックスを解析し新たに管理情報を構成する。この方法では異なるフォーマットを扱う機器間においてもMPEG−TSのダビングが可能となるが、ダビング元のタイトルの詳細な情報はダビング先には継承されない。
【0006】
上記したように、ダビング先の機器は転送されたMPEG−TSのシンタックスを解析し新たに管理情報を構成する。この際、MPEG−TS中の映像データについては、特定のピクチャーの位置とタイムスタンプを解析して管理情報に含める。しかし、映像データがどのパケットに含まれるかを特定するために、PATと呼ばれるパケットを解析し、次にPMTと呼ばれるパケットを解析し、その結果により映像データのパケットID(PID)を取得する。しかし、PAT, PMTの解析が完了するまでは映像データの解析はできず、この遅延によりストリームの先頭の映像データは管理情報に反映されず、結果としてダビング元のタイトルに対してダビング先のタイトルは先頭部分が欠けて再生されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−140564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、転送先で元通りのタイトルを再構成可能にするデジタルストリーム信号転送装置及びデジタルストリーム信号転送方法を提供することである。
【0009】
また、本発明が解決しようとする課題は、転送元のタイトルを再構成することができるデジタルストリーム信号受信装置及びデジタルストリーム信号受信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態のデジタルストリーム信号転送装置は、生成手段と、転送手段とを備える。前記生成手段は、転送対象のタイトル中のビデオパケットのIDを検出し、前記タイトルを含むデジタルストリーム信号の転送先で前記タイトルを再構成するための、前記IDを含むタイトル再構成情報を生成する。前記転送手段は、前記タイトル再構成情報を転送してから、前記タイトルを含む前記デジタルストリーム信号を転送する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1のフォーマット(HDVR規格)においてMPEG−TS記録に関連するデータ構造を説明する図。
図2】第1のフォーマットにおけるタイトル、チャプタと再生時間の関係を説明する図。
図3】第1のフォーマットにおいてSTCのWrap Around境界におけるデータを区別するためのオブジェクト構成を説明する図。
図4】DLNAで規定されるUploadの基本シーケンスを説明する図。
図5】DLNAのシーケンス内で用いられるCreate Objectアクション要求の一例を説明する図。
図6】シンク機器(受信機側機器)がタイトル情報を再構成する処理の一例を説明するフローチャート図。
図7図6の処理におけるストリームブロック処理の具体例を説明するフローチャート図。
図8図7の処理におけるチャプタ処理の具体例を説明するフローチャート図。
図9図6の処理におけるタイトル処理の具体例を説明するフローチャート図。
図10】情報記録媒体(光ディスク、ハードディスク等)にAVコンテンツ(MPEG−TS等の信号形態で転送されるデジタルTV放送プログラム等)を記録し再生する装置の一例を説明するブロック図。
図11】ストリームのシンタックスを解析して記録するシーケンスの一例を示す図である。
図12】ストリームブロックのシンタックスを解析して記録するシーケンスの一例を示す図である。
図13】PIDを含むタイトル再構成情報を使用する場合の効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して種々の実施の形態を説明する。図1は、第1のフォーマット(HDVR規格)においてMPEG−TS記録に関連するデータ構造を説明する図である。ここで例示する実施の形態において、プログラム(Program)はユーザにタイトルとして識別される論理的なデータ構造で、1つのメディア(光ディスク、HDD、半導体メモリ等)に1以上存在する。また1つのプログラムは1以上のセル(Cell)で構成される。セルはプログラムの一部となる論理的なデータ構造で、1つのセルは1つのストリームオブジェクト(SOB)を参照している。
【0013】
SOBを管理する情報であるストリームオブジェクト情報(SOBI)は、1つのSOBに関連する情報を含んだ論理的なデータ構造である。SOBはMPEG−TSデータで構成されるオブジェクトデータで、1つのSOBは連続した映像データで構成される。プログラム、セル、SOBIはそれぞれ属性情報やタイトルの構成情報からのみなる管理情報であり、SOBはMPEG−TSデータで構成される実映像データである。
【0014】
図2は、第1のフォーマット(HDVR規格)におけるタイトル、チャプタの構造と再生時間の関係を説明する図である。タイトルは1つのプログラムで構成される。セルはエントリポイント(Entry Point)と呼ばれるチャプタ境界情報を含む。チャプタは、エントリポイントとエントリポイントの間、あるいはタイトル先頭かタイトル末尾とエントリポイントの間で構成される。
【0015】
各エントリポイントは対応するSOBの再生時間(PTM:Presentation Time)で表現される。セルの再生開始時間(C_S_PTM)は対応するSOBのPMTで表現される。同様にセルの再生終了時間(C_E_PTM)も対応するSOBのPMTで表現される。C_S_PTM及びC_E_PTMのいずれも、SOBIに記述されたSOBの再生開始時間(SOB_S_PTM)と再生終了時間(SOB_E_PTM)の範囲内(SOBの再生時間の内側)となっている。プログラムの再生範囲は、1つ以上のセルの再生範囲を結合したものとなる。
【0016】
ここで、SOB中のビデオエレメンタリーストリーム(ビデオES)には、ピクチャー単位で再生時間がPTS(PresentationTimeStamp)として記述されている。PTSはデコーダ内部の基準時間軸であるSTC(System Time Clock)を基にした再生時間で、PTSは1/90000秒の単位で時間を表し、33ビットの情報からなる。従ってPTSで表現されるのは0x0〜0x1FFFFFFFFの範囲となる。
【0017】
デジタル放送のように常にデータが送信されるシステムにおいては、このPTSが最大値(0x1FFFFFFFF)を超える事がある。これをWrap Aroundと呼ぶ。Wrap Aroundが生じてPTSのカウントが最大値を超えた場合(PTSのカウンタのカウント動作が1周した場合)は0x0からカウントが再開される。従って1つのSOB内でWrap Aroundが起こるとSOB中には同じPTS値をもつ複数のピクチャーが存在する可能性がある。
【0018】
図3は、上記のようなWrap Around境界におけるデータを区別するためのSOBの構成を示す図である。HDVR規格の管理情報では、SOB中のデータでWrap Aroundしない一連のシーケンスを連続セグメント(CNT_SEG)として表現し、1以上の連続セグメントの情報は1以上のCNT_SEGI#1〜CNT_SEGI#nというデータ構造で表している。CNT_SEGI#1〜CNT_SEGI#n各々は連続セグメントのサイズ情報(CNT_SEG_SZ)と連続セグメントの開始パケット位置情報(CNT_SEG_S_PKT_POS)を持っている。図2のSOBのPTMは、ピクチャーのPTS値とこのCNT_SEGIの識別番号(#1〜#n)により、一意にピクチャーの位置を示している。
【0019】
もう少し詳しく述べると、HDVR規格の管理情報の一部であるストリームオブジェクト情報SOBIはストリームオブジェクトの不連続性情報SOB_DCNI(SOB Discontinuity Information)を含み、このSOB_DCNIに前記CNT_SEGI#1〜CNT_SEGI#nと、SOB_DCNIの一般情報SOB_DCNI_GIが記述されている。SOB_DCNI_GIには、CNT_SEGIの数を示す情報CNT_SEGI_Nsが記述される。前記連続セグメント(CNT_SEG)の番号(CNT_SEGN)は、表示順にPTSのWrap Aroundに基づいて決められる。あるSOB内のPTS値にWrap Aroundが起きれば、対応する再生時間(PTM)フィールド内のCNT_SEGNはインクリメントされる。SOBの最小PTM内のCNT_SEGNは‘1’であり、SOBの最大PTM内のCNT_SEGNは‘CNT_SEGI_Ns’が示す数となる。
【0020】
以下、DLNAガイドラインに従った機器間ダビングの一例について説明する。この例では、送信側機器(ソース機器)、受信側機器(シンク機器)ともに図1で示すデータ構造(HDVR規格のフォーマット)または図1に対応するデータ構造(EDAV規格のフォーマット)で録画タイトルが管理されているものとする。なお、上記EDAV規格は、Extended-ray Audio/Visual規格の略記であり、EDAV規格は、特定規格を限定するものではない。例えば、EDAV規格は、BDAV規格と読み替えても良い。BDAV規格は、Blu-Ray Disc Audio/Visual規格の略記である。
【0021】
図4は、DLNAで規定されるUploadの基本シーケンスを説明する図である。このシーケンスでは、例えば以下の処理が行われる:
<SQ01>送信側機器はアップロード先の受信側機器のUpload機能のサポート状態を確認する。
【0022】
<SQ02>送信側機器はCreate Objectアクション要求(図5を参照して後述)を使ってアップロード先アイテムを作成する。
【0023】
<SQ03>Create Objectによってアイテムを作成すると、作成されたアイテムにコンテンツ受け入れ先のURI(Uniform Resource Identifier)が“ImportURI”という形で公開される。送信側機器はこのImportURIにコンテンツデータをHTTPにより投函(HTTP Post)する事で、受信側機器に対してコンテンツをアップロードすることができる。
【0024】
送信側機器のアップロードコントローラでは、ImportURIに示されたIPアドレスとポートを使用して、HTTPセッション用の接続を行う。アップロードコントローラは、このセッションにコンテンツをHTTP POSTすることでDMS(Digital Media Server)にコンテンツを登録することができる。
【0025】
<SQ04><SQ05>Expect-100 Continueヘッダ等により受け入れ確認を行う。
<SQ03>で作成されたHTTPを使って、アップロードコントローラからHTTP POSTを行う。ただし、通常POSTでは、ヘッダと実際のデータをPOSTし、データの転送が終了(指定サイズのPOSTもしくは、チャンクで終了を宣言する)まで、POSTに対するステータスを知ることはできない。そのため、DLNAのアップロードでは、まず、コンテンツをPOSTする際にヘッダのみを転送し、相手DMSが受付できる状態であるかどうかの確認を行う。その際、“Expect-100 Continue”ヘッダを使用することで、コンテンツ本体を送る前に、ヘッダの受信状態と受け入れ準備状態を確認できる。
【0026】
<SQ06><SQ07>コンテンツデータ転送を行う。
<SQ04><SQ05>によって、受信側機器がコンテンツを受付可能な状態となったらコンテンツの転送を行う。コンテンツの転送を行う場合、POSTでは、転送が終了したときに転送のステータスをもらうので、コンテンツ転送の終了を明示的(セッション切断ではなく)に示す必要がある。そのため、転送開始時にcontent-lengthによる転送サイズ指定か、チャンク転送を行うことができるようにしておく。
【0027】
<SQ08>HTTPレスポンスを行う。
コンテンツの最後まで転送が終了するとPOSTに対するHTTPのレスポンスがコマンド送信側機器へ送られる。これにより、実際の転送が成功したかどうかを確認することができる。
【0028】
図5は、DLNAのシーケンス<SQ02>内で用いられるCreate Objectアクション要求の一例を説明する図である。このうち破線で囲われた部分が一実施の形態におけるタイトル情報を再構成するための情報であり、XML(Extensible Markup Language)の構文となっている。
【0029】
図5において、Title要素中にはタイトル名を示すname属性、タイトルの詳細な説明文を示すinfo属性、タイトルの代表的な画(サムネイル)を示すthumbnail属性が存在する。
【0030】
thumbnail属性において、サムネイルはタイトル中の再生画の1点を示すものとする。これを以下の形式で示している。
【0031】
82230F2Ah, 1, 0
上記形式の表示において、カンマで区切った1番目の値“82230F2Ah”は再生画のPTSを示している。2番目の値“1”は再生画が存在するストリームブロック(Stream Block)の番号であり、ストリームブロックの番号はStreamBlock要素の出現順から0を基準に数えられる。すなわち、ストリームブロック番号1は2番目のストリームブロックであることを示す。3番目の値“0”は再生画が存在するストリームブロック中のSTCシーケンスの番号である。STCシーケンスの番号も0を基準に数えられるので、STCシーケンス番号0はストリームブロック中の最初のSTCシーケンスである事を示す。
【0032】
Title要素中には1以上のStreamBlock要素が含まれる。ここで、StreamBlockはHDVR規格におけるSOBに相当する連続した映像データの論理構造である。StreamBlock要素中にはストリームブロックの再生開始位置を示すstartPTM要素、ストリームブロック中の再生終了位置を示すendPTM要素、ストリームブロック中のラップアラウンド数を示すWrap Around要素が存在する。
【0033】
startPTM要素はストリームブロックの再生開始位置を示しており、ストリームブロック中の先頭のSTCシーケンスに存在するPTSを指し示すものとする。
【0034】
endPTM要素はストリームブロックの再生終了位置を示しており、ストリームブロック中の最後のSTCシーケンスに存在するPTSを指し示すものとする。
【0035】
Wrap Around要素はストリームブロック中に存在するWrap Aroundの数である。
【0036】
すなわち図3に示すようにストリームブロック中にはPTS値がWrap Aroundする箇所が存在する事があり、この数をWrap Around要素で示す。
【0037】
またHDVR規格のCNT_SEGのような「Wrap Aroundしない一連のシーケンス」をSTCシーケンスという論理構造と定義し、前述したような再生画を指定するためにSTCシーケンスの番号が用いられる。Wrap Around要素が1の場合には2つのSTCシーケンスがストリームブロックに存在する事となり、先頭から0を基準に数えられる。
【0038】
ビデオのパケットID(PID)要素は、ストリームブロック中のストリーム先頭にあるメインビデオが含まれるPID値を示す。
【0039】
StreamBlock中には0以上のチャプタ要素が含まれる。チャプタ要素中にはチャプタ名を示すname属性、チャプタの先頭位置を示すptm要素、チャプタのサムネイルを示すthumbnail属性が存在する。
【0040】
ptm属性のカンマで区切られた1番目の値(例えばチャプタ名“ヘッドライン”では“3A524C91h”)はチャプタの区切りとなる再生画のPTSであり、2番目の値(例えばチャプタ名“ヘッドライン”では“0”)はSTCシーケンスの番号を示す。なお、チャプタの区切りとなる再生画はそのチャプタ要素を含むStreamBlockに存在するものとする。従ってストリームブロック番号を指定する必要はない。
【0041】
thumbnail属性はそのチャプタのサムネイルを示しており、ptm属性と同じくPTSとSTCシーケンス番号で再生画を示している。
【0042】
送信側機器(ソース機器)は送信するタイトルの前述したような情報を、送信側機器(シンク機器)で採用しているフォーマットの管理情報から取得して、Create Objectアクション要求として送信する。
【0043】
HDVR規格を例にとれば、Title要素の情報はプログラムチェーン情報(PGCI)内のプログラム情報(PGI)から、StreamBlock要素の情報はSOBIから、チャプタ要素の情報はセル情報(CI)内のエントリポイント情報(C_EPI)から得られる。
【0044】
送信側機器は<SQ06>のシーケンスによりMPEG−TS(またはTTS)のデータを送信する。
【0045】
受信側機器は、図4に示すDLNAのシーケンスに則り、<SQ02>のシーケンスにより上記タイトル情報を再構成するための情報を受信し、<SQ06>のシーケンスによりMPEG−TS(またはTTS)のデータを受信する。このとき、受信側機器は受信したMPEG−TS(またはTTS)のデータを機器内の記録メディア(光ディスクやHDD等)に記録すると共に、受信中のMPEG−TS(またはTTS)のデータを解析し、機器内で採用するフォーマットに従い管理情報を作成し、これも記録メディアに記録する。
【0046】
図11は、この<SQ06>〜<SQ07>前後でのストリームシンタックスを解析して記録するシーケンスの中でストリームブロック中のビデオの先頭ピクチャー解析に関連するもの示したものである。
【0047】
図11は、この処理がストリームブロック単位で行われる事を示しており、具体的な処理は図12に示す。
【0048】
まず、<SQ06>のシーケンスでコンテンツデータを転送するのに先立ち、受信側機器は、先頭のストリームブロックのビデオPIDをシンタックス解析モジュール303にセットし(ST421イエス)(ST422)、その後に、送信側機器は、<SQ06>のコンテンツデータのストリーム転送を開始し(ST423)、受信側機器は、コンテンツデータを受信する。
【0049】
これによりストリーム中のピクチャー情報がシンタックス解析モジュール303により検出され(ST426イエス)、このピクチャー情報の中のPTSをSOBの開始PTMとする(ST427)。
【0050】
その後は、通常の記録動作が行われるが、次のストリームブロックがある場合は、前のストリームブロックの転送が終わるまでに、シンタックス解析モジュール303に次のストリームブロックのビデオPIDをセットする(ST424イエス)(ST425)。これにより、次のストリームブロックにおいても、ストリーム先頭からのビデオの解析が可能となる。
【0051】
なお、ストリーム解析モジュール303が複数のPIDをセットできる仕組みになっている場合で、セットされたPIDがセット可能な上限を超えるような場合は、最も古いPIDを削除した後に新しいPIDをセットする。
【0052】
また、ストリーム解析モジュール303が1つのPIDしかセットできない場合は、2番目以降のストリームブロックに対してはビデオPIDをセットしなくてもよいし、前のビデオPIDを削除した後に新しいビデオPIDをセットしても良い。ただし、どちらの場合も若干の再生範囲の欠損を生じる可能性がある。
【0053】
図6は、シンク機器(受信機側機器)がタイトル情報を再構成する処理の一例を説明するフローチャートである。このフローチャートは、受信側機器が<SQ02>のシーケンスで受信した図5に示すタイトル情報を再構成するための情報を用い、タイトル情報を再構成する手順の一例を示している。
【0054】
まず、受信側機器はストリームブロック番号に0を代入する(ST10)。次にこのストリームブロック番号と受信したストリームブロック数を比較し、ストリームブロック番号の方が小さい場合は(ST12イエス)、そのストリームブロック番号に対応するストリームブロックについて処理を開始する(ST20)。ストリームブロックについて処理(ST20)を終えた後は、ストリームブロック番号に1を加算し(ST24)、判定処理(ST12)に戻る。ここで、ストリームブロック番号の方が大きい場合は(ST12ノー)、全てのストリームブロックについて処理が終わっているため、最後にタイトルの処理を行い(ST30)、図6の処理を終了する。
【0055】
ここで、図5の情報に含まれるストリームブロック数と、受信側機器が受信したMPEG−TSを解析して得られた管理情報上のSOBI数は一致する。従って、HDVR規格では図5の情報に含まれるStreamBlock要素を用い、これに対応するSOBIの情報を変更、追加する。
【0056】
図7は、図6の処理におけるストリームブロック処理(ST20)の具体例を説明するフローチャートである。図7は1つのストリームブロックに関する処理シーケンスを例示している。まず、受信したストリームブロックの開始PTMとStreamBlock要素中のstartPTMを比較する(ST200)。この比較を行う理由は、送信側機器での解析に基づく開始PTMと受信側機器での解析に基づく開始PTMが、解析能力差等により若干異なる可能性があるからである。
【0057】
ストリームブロックの開始時間がstartPTMより小さい場合(ST200イエス)、ストリームブロックの開始時間をstartPTMとする(ST202)。これにより「送信側機器でのストリームブロック開始時間」を「受信側機器でのストリームブロック開始時間」に合わせることができ、ユーザによる編集等の結果(プレイリスト編集結果等)を継承する事が可能となる。ストリームブロックの開始時間がstartPTMより大きい場合(ST200ノー)、startPTMに対応するデータが存在するかどうか不明なので、ストリームブロックの開始時間はそのままとする(ST204)。
【0058】
同様に、ストリームブロックの終了時間についてもendPTMを用いて補正する(ST206〜ST210)。
【0059】
上記のストリームブロックの処理は、HDVR規格ではSOBIの情報を設定することにより行われる。
【0060】
その後、チャプタ要素が存在する場合について、それぞれのチャプタ要素に対して処理を行う(ST214〜ST222)。
【0061】
図8は、図7の処理におけるチャプタ処理の具体例を説明するフローチャートである。
【0062】
図8は1つのチャプタに関する処理シーケンスを例示している。まず、チャプタ要素中のptmがストリームブロックの開始時間より前のときは(ST2200の分岐a)、チャプタ境界位置はストリームブロックの開始時間としてチャプタを作成する(ST2202)。チャプタ要素中のptmがストリームブロックの開始時間と終了時間の間のときは(ST2200の分岐b)、チャプタ境界位置はptmの時間とし、チャプタを作成する(ST2204)。
【0063】
チャプタ要素中のptmがストリームブロックの終了時間の後のときは(ST2200の分岐c)、次のストリームブロックがあるか否か判定する(ST2206)。次のストリームブロックが存在するときは(ST2206イエス)、チャプタ境界位置は次のストリームブロックの開始時間とし、チャプタを作成する(ST2208)。次のストリームブロックが存在しないときは(ST2206ノー)、チャプタは作成されない(ST2210)。
【0064】
チャプタを作成した場合は(ST2212イエス)チャプタの名前及びそのチャプタのサムネイル画像が記録された位置の設定が行われ(ST2214)、図8の処理は終了する。チャプタを作成しなかったときは(ST2212)ノー)、図8の処理はそのまま終了する。このチャプタの作成は、HDVR規格ではセル情報(CI)にセルエントリポイント情報(C_EPI)を作成する事で行われる。チャプタが作成された場合はname属性に従いチャプタ名が設定され、thumbnail属性に従いサムネイル位置の設定が行われる。
【0065】
図9は、図6の処理におけるタイトル処理の具体例を説明するフローチャートである。この処理では、Title要素のname属性とinfo属性に従い、タイトルの名前、説明文を設定する(ST300)。そして、thumbnail属性に従い、タイトルのサムネイル位置を設定する(ST302)。HDVR規格ではプログラムチェーン情報(PGCI)内のプログラム情報(PGI)の情報を設定することで、上記の処理が行われる。
【0066】
以上により、MPEG−TS(またはTTS)の転送によりダビングを行う方法において、タイトル情報を継承する事が可能となる。また、ダビング元とダビング先で録画フォーマットが異なっていても、タイトル情報を継承する事が可能となる。
【0067】
上記の方法は、IEEE1394経由でのダビングでも有効である。この場合、図5に示すようなタイトル情報再構成情報をIEEE1394経由で送信できなくても、別途IEEE802.3(Ethernet(登録商標))経由等で受信側機器と送信側機器の通信を行えばよい。
【0068】
図10は、情報記録媒体(光ディスク、ハードディスク等)にAVコンテンツ(MPEG−TS等の信号形態で転送されるデジタルTV放送プログラム等)を記録し再生する装置の一例を説明するブロック図である。この録再装置は、制御モジュール80、表示部104、デコーダ部59、エンコーダ部79、TVチューナ部82、STC部102、D−PRO部52、一時記憶部53、ディスクドライブ部51、キー入力部103、ビデオミキシング部66、フレームメモリ部73、TV用D/A部67、地上波デジタルチューナ部89、IEEE1394(及び/またはHDMI)I/F部74、IEEE802.3のLAN端子75、リモコン受信部104、さらに、STB部(BSデジタルチューナ等)83、緊急放送検出部83b、HDD部100a等により構成されている。この構成では、録再DVDレコーダにストリーマの機能を追加する形となっている。
【0069】
上記の構成を持つ記録再生装置(第1フォーマットレコーダ200)には、同様な構成の記録再生装置(第2フォーマットレコーダ300)が、IEEE1394またはHDMIのデジタル信号ケーブルを介して双方向接続され、及び/または、イーサネット(登録商標)のLANケーブルを介して双方向接続される。DLNAガイドラインに従った機器間接続は、例えばこのLANケーブルにより行われる。
【0070】
ここでは、第1フォーマット(HDVR規格)のレコーダ200(ストリームデータ転送装置)について詳細な構成を例示し、第2フォーマット(EDAV規格)のレコーダ300(ストリームデータ受信装置)については詳細な構成の図示を省略している。レコーダ200とレコーダ300では採用するフォーマットの違いはあるが、レコーダ300内部のブロック構成は、レコーダ200と同様でよい。
【0071】
エンコーダ部79は、A/D部84、ビデオエンコード部87、オーディオエンコード部86、副映像エンコード部(図示せず)、フォーマッタ部90、バッファメモリ部91等により構成されている。また、デコーダ部59は、分離部60、ビデオデコード部61、副映像デコード部63、オーディオデコード部64、TSパケット転送部101、V−PRO部65、オーディオ用D/A部70等により構成されている。さらに、STB部83には、デジタル放送を受信するためのアンテナ83aが接続されている。なお、STC部102は27MHzベースでカウントするように構成されている。
【0072】
記録時の信号の流れは、次のようになる。すなわち、STB部83(または地上波デジタルチューナ89)で受け取ったTSパケットデータは、フォーマッタ部90で、パケットグループ化してバッファメモリ部91へ一時保存し、一定量たまった時点でディスク100及び/または100aに記録する。このフォーマッタ部90にはPATS用の内部カウンタ90aが接続されている。TSパケットの到着時間はPATS用のカウンタ90aでカウントし、そのカウント値を各TSパケットの先頭に付けて、バッファメモリ部91でバッファリングする。このカウンタ90aはPCR(またはSCR)によりカウント間隔の微調整を行い同期化するが、STC102のようにPCR(またはSCR)の値をロードすることは無い。なお、PATSはパケットグループ内の各TSパケット(188バイト)に付されるタイムスタンプであり、このPATSにより対応TSパケットの到着時間が示されるようになっている。
【0073】
この時の動作は、第1フォーマット(HDVR規格)のレコーダ200では、TSパケットを受信すると170パケットづつグルーピング化し、パケットグループヘッダを作成する(このパケットグループヘッダはコンテント保護情報CPIを含んでおり、この保護情報によりグルーピングしたTSパケットに含まれるコンテントのコピーを認めたりムーブを認めたりコピーを禁止したりすることができる)。その場合、Packet Groupの先頭のPacketのPATSの上位2バイトのみヘッダ(FIRST_PATS_EXT)に入れ、それ以外のPATSは下位4バイトのみがTSパケットとともに(TSパケットの前のPATSに)保存される。
【0074】
すなわち、第1フォーマット(HDVR規格)で扱うオブジェクトデータ(SOB)のストリーム信号は、PATSが付されたTSパケットで構成されるところの、Timestamped Transport Stream(TTS)となっている。
【0075】
なお、第2フォーマット(EDAV規格)のレコーダ300では、TSパケットを受信すると、パケットグループ(32768バイト)及びパケットグループヘッダ(128バイト)を作成する代わりに、複数のAligned Modulesを作成する。各Aligned Module(6144バイト)は32個のResource Packetsを含み、各Resource Packet(192バイト)はヘッダ(4バイト)とTSパケット(188バイト)で構成されている。各Resource Packetのヘッダはコピー制御情報(コピーフリー、ノーモアコピー、コピーワンス、またはコピー禁止を指定する情報)と対応TSパケットの到着時間を示すタイムスタンプATSを含んでいる。
【0076】
すなわち、第2フォーマット(EDAV規格)で扱うオブジェクトデータのストリーム信号は、ATSが付されたTSパケットで構成されるところの、Timestamped Transport Stream(TTS)となっている。
【0077】
ATS(30ビット)とPATS(32ビット)は、構成ビット数に違いがあっても、「パケット到着時間を示す」点で同等の内容を持つタイムスタンプである。そのため、第1フォーマット(HDVR規格)のTTS(PATS+TSパケット)と第2フォーマット(EDAV規格)のTTS(ATS+TSパケット)は容易に相互変換できる。
【0078】
また、地上波チューナ82やライン入力から入力されたアナログ信号は、A/D部84でデジタル変換される。そのデジタル信号は、各エンコード部へ入力される。すなわち、ビデオ信号はビデオエンコード部87へ、オーディオ信号はオーディオエンコード部86へ、文字放送などの文字データは図示しない副映像エンコード部へ入力される。ここでは、例えばビデオ信号はMPEG圧縮され、オーディオ信号はMPEGオーディオ圧縮がなされ、文字データはランレングス圧縮される。
【0079】
各エンコーダ部(VR用)からの出力は、圧縮データがパック化された場合に2048バイトになるようにパケット化されて、フォーマッタ部90へ入力される。フォーマッタ部90では、各パケットがパック化され、さらに、プログラムストリームとして、多重化され、D−PRO部52へ送られる。
【0080】
D−PRO部52では、16 Logical Bock毎にECCブロックを形成し、エラー訂正データを付け、ドライブ部51によりディスク100へ(あるいはHDD100aへ)記録を行う。ここで、ドライブ部51がシーク中やトラックジャンプなどのためビジィー状態にある場合には、一時記憶部53へ入れられ、ドライブ部51の準備ができるまで待つこととなる。さらに、フォーマッタ部90では、録画中、各切り分け情報を作成し、定期的に制御モジュール80へ送る(GOP先頭割り込みなど)。切り分け情報としては、EVOBU(SOBU)のパック数、VOBU(SOBU)先頭からのリファレンスピクチャ(Iピクチャ)のエンドアドレス、VOBU(SOBU)の再生時間などがある。
【0081】
また、再生時の信号の流れは、ドライブ部51によりディスク100から(あるいはHDD100aから)データを読み出し、D−PRO部52でエラー訂正を行い、デコーダ部59へ入力される。制御モジュール80は、入力されるデータがVRデータか、SRデータかの種別を(セルタイプにより)判定し、再生前にその種別をデコーダ部59に設定する。SRデータの場合、制御モジュール80は、再生するESI番号により再生するPIDを決め、PMTより再生する各アイテム(ビデオ、オーディオ等)のPIDを決め、デコーダ部59へ設定する。デコーダ部59内では、そのPIDを元に、分離部60から各TSパケットを各デコード部61〜64へ送るとともにTSパケット転送部101へ送り、到着時間に従ってSTB部83(およびIEEE1394I/F部74)へTSパケットの形で送信する。各デコード部61〜64は、それぞれデコードを行い、D/A部67でアナログ信号に変換し、TV68で表示する。VRデータの場合、分離部60は、固定のIDに従い、各デコード部61〜64へ送る。各デコード部61〜64は、それぞれデコードを行い、D/A部67でアナログ信号に変換し、TV68で表示する。
【0082】
第1フォーマット(HDVR規格)における記録時の信号の流れでは、
1)TSパケットを受信する。
【0083】
2)STCが一周したか(Wrap Aroundしたか)をチェックし、した場合はその位置情報より、第1の管理情報(HR_MANGR.IFO)の一部(CNT_SEG情報:CNT_SEGI)を作成する。ここで、SOBIは、図示しないが、SOBの不連続情報SOB_DCNIを含んでおり、このSOB_DCNIがCNT_SEGIを1以上含むように構成されている。各CNT_SEGIはCNT_SEG_SZ(CNT_SEGのサイズ:Packet Group数)及びCNT_SEG_PKT_POS(Packet Group内でのCNT_SEGの先頭のPacket数)で構成されている。これらの情報から、記録/再生装置のシステムタイムカウンタSTCのカウント動作が1周した(Wrap Aroundした)か否かを示すことができる。これにより、例えば時間情報PTMにSOB先頭からのCNT_SEG数を入れ、事前にSTCのWrap Aroundが発生していることを確認し、タイムマップ(TMAP)の計算などに使用することができる。
【0084】
3)パケットグループの先頭の場合は、Header_ID:0x00000fa5を設定し、先頭でない場合は5)へ移行する;
4)TSパケットの到着時間をPATSとして、PATSの下位4バイトをTSパケットの前に配置し、先頭のPATSの上位2バイトをFIRST_PATS_EXTとしてPacket Group Headerに設定し、6)へ移行する;
5)TSパケットデータエリアに取り込んだTSパケットに対して、PATSの下位4バイトをTSパケットの前に付け、Packet Groupのデータリアに設定する;
6)パケットグループが終わったかどうかを判定し(170個のTSパケットをグルーピングしたかどうかを判定し)、終わってない場合は、1)へ移行し、終わった場合は、CCI処理、MNFI処理を行い、グループデータをバッファRAM内に一時保存する。
【0085】
なお、再生時は、ディスク100及び/または100aから読み出したパックデータを分離部60で解析し、TSパケットが入っているパックの場合にはTSパケット転送部101へ送り、さらに、その後、各デコーダ61〜64へ送って、再生を行う。STB部83へ転送する場合(あるいはデジタルTV等の外部機器へIEEE1394等により送信する場合)は、TSパケット転送部101は、そのデータを到着時と同じ時間間隔で、TSパケットのみを転送する。STB部83は、デコードを行い、AV信号を発生させ、そのAV信号をストリーマ内ビデオエンコーダ部を通してTV68などで表示する。
【0086】
図10の装置(第1フォーマットレコーダ200)で用いる媒体100(100a)の特徴を簡単に纏めると、次のようになる。すなわち、この媒体は、管理領域とデータ領域で構成され、データ領域にはデータが複数のオブジェクトデータ(SOB)に分かれて記録され、それぞれのオブジェクトデータはデータユニット(SOBU)の集まりで構成される。そして、1つのデータユニット(SOBU)は、MPEG−TSに準じたデジタル放送信号をTSパケット毎に複数パケットでパケットグループ化したパケットグループにより構成される。一方、前記管理領域は再生手順を管理する情報としてPGC情報(PGCI)を持ち、このPGCIはセル情報(CI)を含んで構成される。このCIが、セルエントリポイント情報(C_EPI)を含み、このC_EPIがセル(チャプタの再生単位に対応)の開始時間(C_S_PTMまたはC_S_PATS)とその終了時間(C_E_PTMまたはC_E_PATS)を記述するようになっている。これらのセル開始時間/セル終了時間の情報は、例えば図5のXML構文に含まれる破線内の情報によって、第2フォーマットレコーダ300に継承される。
【0087】
図10の装置は、上記のようなデータ構造を持つ媒体100(100a)に対して、ストリームレコーディングを行うことができる。その際、TSパケットのストリーム内からプログラムマップテーブルPMTやサービス情報SIを取り出すために、制御モジュール80はサービス情報取り出し部(図示せず;管理データ作成部80Bの一部を構成するファームウエア)を持つように構成される。またこのサービス情報取り出し部で取り出した情報を元に、属性情報(PCRのパック番号あるいはPCRのLogical Block数番号など)を作成する属性情報作成部(図示せず;管理データ作成部80Bの一部を構成するファームウエア)を持つように構成される。制御モジュール80はさらに、図6図9等の処理を行うファームウエアを、フォーマット管理部80Yとして具備している。
【0088】
ストリームレコーディングの記録/再生制御は、メイン制御モジュール80のファームウエアにより行われる。制御モジュール80はストリームレコーディングの管理データ作成部80Bを持ち、ワークRAM80Aを作業エリアとして種々な管理情報を作成し、作成した管理情報を媒体100(100a)に適宜記録する。また、制御モジュール80は、記録された管理情報を再生し、再生した管理情報に基づき種々な制御を行う。
【0089】
上記管理情報としては、第1フォーマット(HDVR規格)では第1の管理情報(HR_MANGR.IFO)が用いられ、第2フォーマット(EDAV規格)では第2の管理情報(INFO.EDAV)が用いられる。
【0090】
第1フォーマット(HDVR規格)では、例えば、録画タイトルのチャプタ分割点はセルエントリポイント情報(C_EPI)で管理され、セル(該当チャプタの再生単位)の開始時間(C_S_PTMまたはC_S_PATS)とその終了時間(C_E_PTMまたはC_E_PATS)は第1の管理情報(HR_MANGR.IFO)内のプログラムチェーン情報(PGCI)に含まれるセル情報(CI)に記述されている。
【0091】
第2フォーマット(EDAV規格)では、例えば、録画タイトルのチャプタ分割点はプレゼンテーションアイテム(PresentationItem)で管理され、プレゼンテーションアイテム(該当チャプタの再生単位)の開始時間(IN_time)とその終了時間(OUT_time)は第2の管理情報(INFO.EDAV)に含まれるプレゼンテーションリスト(記録コンテンツの再生手順を管理する情報で、第1フォーマットのプログラムチェーンに機能上対応)に記述されている。
【0092】
第1フォーマットから第2フォーマットへのダビングでは、ダビング先において、例えば第2の管理情報(INFO.EDAV)のプレゼンテーションアイテム(PresentationItem)が第1の管理情報(HR_MANGR.IFO)のセル開始時間とセル終了時間に対応する情報(IN_timeとOUT_time)を含むように、プレゼンテーションリストが再構成される。
【0093】
一方、第2フォーマットから第1フォーマットへのダビングでは、ダビング先において、例えば第1の管理情報(HR_MANGR.IFO)のセル情報(CI)が第2の管理情報(INFO.EDAV)のプレゼンテーションアイテム開始時間とプレゼンテーションアイテム終了時間に対応する情報(C_S_PTMとC_E_PTM、またはC_S_PATSとC_E_PATS)を含むように、プログラムチェーン情報が再構成される。
【0094】
また、第1フォーマットから第2フォーマットへのダビングでは第1の管理情報(HR_MANGR.IFO)に含まれるタイトル名やチャプタ名のテキストを継承するように第2の管理情報(INFO.EDAV)が再構成され、第2フォーマットから第1フォーマットへのダビングでは第2の管理情報(INFO.EDAV)に含まれるタイトル名やチャプタ名のテキストを継承するように第1の管理情報(HR_MANGR.IFO)が再構成される。
【0095】
同様に、第1フォーマットから第2フォーマットへのダビングでは第1の管理情報(HR_MANGR.IFO)に含まれるサムネイルの情報を継承するように第2の管理情報(INFO.EDAV)が再構成され、第2フォーマットから第1フォーマットへのダビングでは第2の管理情報(INFO.EDAV)に含まれるサムネイルを継承するように第1の管理情報(HR_MANGR.IFO)が再構成される。
【0096】
前述した、第1フォーマット(HDVR規格)のタイムマップ(TMAP)は、SOB内の再生時間をそのSOB内のSOBUのアドレスに変換するテーブルである。SOBUは1以上のピクチャクセス単位(Iピクチャー等の基準ピクチャーにアクセスする単位)を含むSOBの基本単位であり、SOBは複数のSOBUへ論理的に分割できる。第1フォーマット(HDVR規格)のTMAPには、再生時間PTMベースのタイムマップ(STMAPT for Type A recording mode)と、パケット到着時間PATSベースのタイムマップ(STMAPT for Type B recording mode)がある。
【0097】
第2フォーマット(EDAV規格)も同様なタイムマップを持つ。第1フォーマット(HDVR規格)のSTMAPT for Type A recording mode及びSTMAPT for Type B recording modeは、それぞれ、第2フォーマット(EDAV規格)のEP_MAPとTU_MAPに対応している。すなわち、タイムマップに関しても、第1フォーマット(HDVR規格)と第2フォーマット(EDAV規格)の間で相互変換が可能である。
【0098】
<実施の形態のまとめ>
デジタル放送等で用いられるMPEG−TSを記録するための録画フォーマットには、HDVR規格やEDAV規格等に準拠するものがある。これらのフォーマットでは、MPEG−TSに加え、そのMPEG−TSの属性情報やユーザのアクセス単位となるタイトル/チャプタ等の構成情報(以下管理情報)を記録し、アクセス性やユーザビリティを高めている。しかしフォーマット間で管理情報には互換性がない。そのため、同じフォーマット内であればダビング対象タイトルのMPEG−TSと管理情報のコピーでダビングを実現できるが、異なるフォーマット間ではこの方法ではダビングできない。
【0099】
一方MPEG−TSを主に転送する事により他機器へのダビングを可能にする方法として、DLNAのTTSUpload機能を用いる方法やIEEE1394ケーブル接続によるダビング方法等が存在する。これらの方法では、ダビング元のソース機器は、簡単な属性情報を含む事もあるが、基本的にはMPEG−TSのみをダビング先のシンク機器に転送し、ダビング先のシンク機器は転送されたMPEG−TSのシンタックスを解析し新たに管理情報を構成する。この方法では異なるフォーマットを扱う機器間においてもMPEG−TSのダビングが可能となるが、ダビング元のタイトルの詳細な情報(チャプタ分割情報等)はダビング先に継承されないという問題がある。
【0100】
また、ダビング先の機器は転送されたMPEG−TSのシンタックスを解析し新たに管理情報を構成する。この際、MPEG−TS(図13参照)中の映像データについては、特定のピクチャーの位置とタイムスタンプを解析して管理情報に含める。しかし、映像データがどのパケットに含まれるかを特定するために、PATと呼ばれるパケットを解析し、次にPMTと呼ばれるパケットを解析し、その結果により映像データのパケットID(PID)を取得する。しかし、PAT, PMTの解析が完了するまでは映像データの解析はできず、この遅延によりストリームの先頭の映像データは管理情報に反映されず、結果としてダビング元のタイトルに対してダビング先のタイトルは先頭部分が欠けて再生されてしまう。
【0101】
この問題は、本実施の形態では、次のようにして解決される。すなわち、ダビング元のソース機器はタイトル情報を再構成するための情報をダビング先のシンク機器に通知する。この情報にはストリームの再生位置情報やチャプタ境界位置情報等が含まれる。この情報は、MPEG−TS記録に対応した各種録画フォーマット(HDVRやEDAV等の異種フォーマット)に共通の概念で、MPEG−TSの仕様に基づいた情報で構成される。ダビング先の装置ではこの情報に基きタイトル情報を再構成する。つまり、この情報は各種録画フォーマットに共通のMPEG−TS仕様に基づいて構成されるため、ダビング元とダビング先で録画フォーマットが異なっていても、タイトル情報を継承することが可能となる。
【0102】
さらに、上記したタイトル情報を再構成するための情報(タイトル再構成情報)は、転送対象のタイトル中のビデオパケットのIDを含む。つまり、ソース機器の生成手段(管理データ作成部80B)は、転送対象のタイトル中のビデオパケットのIDを検出し、このIDを含むタイトル再構成情報を生成し、ソース機器の転送手段(I/F部74又はLAN端子75)は、シンク機器に対して、タイトル再構成情報を転送してから、タイトルを含むデジタルストリーム信号を転送する。
【0103】
シンク機器の受信手段(I/F部301又はLAN端子302)は、タイトル再構成情報を受信してから、タイトルを含むデジタルストリーム信号を受信し、シンク機器の再構成手段(シンタックス解析モジュール303)は、タイトル再構成情報に含まれたビデオパケットのIDを検出し、このビデオパケットのIDに基づきデジタルストリーム信号を解析し、タイトルを再構成し、シンク機器の記録再生部304は、再構成されたタイトルをハードディスクや光ディスク等のメディアに記録する。
【0104】
つまり、ダビング元のソース機器は、ダビング先のシンク機器に対して、タイトル再構成情報を通知してから、タイトルを転送する。タイトル再構成情報は、ストリームの再生位置情報、チャプタ境界位置情報、タイトル中のビデオのPIDを含む。これらの情報は、各録画フォーマットに共通の概念でMPEG−TSの仕様に基づいた情報で構成される。ダビング先のシンク機器は、タイトル再構成情報に基づきタイトル情報を再構成する。シンク機器のMPEG−TSのシンタックス解析モジュールには、あらかじめビデオのPIDを設定しておく事により、MPEG−TSの先頭からビデオの解析が可能となる。
【0105】
<実施の形態の効果>
MPEG−TS(またはTTS)の転送により異種フォーマット間でダビングを行う場合においても、タイトル情報を継承する事が可能となる。
【0106】
また、ダビング先でのタイトルの先頭部分の欠落を防止する事が可能となる。
【0107】
なお、上記の実施の形態は、iLINK経由でのデータ転送時(ダビング時)でも有効である。この場合、図5に示すようなタイトル情報を再構成する為の情報はiLINK経由では送信することができない為、別途Ethernet経由等で送信される。
【0108】
また、TSストリームを転送してダビング先でTSストリームを解析し、管理情報を再構築するようなシステムで、上記実施の形態のデータ転送処理は有効である。
【0109】
なお、上記したモジュールとは、ハードウェアで実現するものであっても良いし、CPU等を使ってソフトウェアで実現するものであってもよい。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0111】
100…第1フォーマットの光ディスク、200…送信側機器、300…受信側機器、400…第2フォーマットの光ディスク。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
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図11
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