(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5762125
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】スイッチャー
(51)【国際特許分類】
H04N 21/4367 20110101AFI20150723BHJP
【FI】
H04N21/4367
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-110116(P2011-110116)
(22)【出願日】2011年5月17日
(65)【公開番号】特開2012-244270(P2012-244270A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2014年4月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(72)【発明者】
【氏名】畔上 知久
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 徹
【審査官】
矢野 光治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−061568(JP,A)
【文献】
特開2010−239557(JP,A)
【文献】
特開2010−098378(JP,A)
【文献】
特開2009−141642(JP,A)
【文献】
特開2009−100329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00−21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
HDCP規格に基づく映像・音声のソース機器が接続される入力ラインを一つ又は複数有し、また、HDCP規格に基づく接続機器がそれぞれ1台以上接続される出力ラインを複数有し、それら入力ラインと出力ラインを、スイッチ手段を介して適宜切り換え接続することで、任意の前記ソース機器と任意の前記接続機器を接続する、スイッチャーにおいて、
いずれかの前記入力ラインに接続されたソース機器の予想最大接続可能台数が予めデフォルト値として設定され、
前記設定された予想最大接続可能台数に対応する個数のダミーKSVデータを生成して、当該ダミーKSVデータを前記ソース機器に対して出力してダミー認証処理を行うダミー認証手段、
該ダミーKSVデータの個数に1台分を加算した値が前記ソース機器の最大接続可能台数を超える場合に該ソース機器が行う認証処理の要求の有無を検出する手段、
該認証要求の有無を検出する手段が、前記ソース機器からの認証要求が無かったと検出した場合には該ソース機器に対して出力された前記ダミーKSVデータの個数を該ソース機器の最大接続可能台数と推定する、最大接続可能台数推定手段、
該最大接続可能台数推定手段が推定したソース機器の最大接続可能台数を外部に出力する出力手段、
を有し、
前記ダミー認証手段は、前記認証要求の有無を検出する手段が前記ソース機器からの認証要求があったと検出した場合には1つ少ない数のダミーKSVデータを生成して、当該ダミーKSVデータを前記ソース機器に対して出力してダミー認証処理を該ソース機器との間で行うように構成された、
ことを特徴とするスイッチャー。
【請求項2】
前記予想最大接続可能台数をオペレータが手動で設定する入力手段、
を備えたことを特徴とする請求項1記載のスイッチャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像・音声のソース機器と複数のディスプレイなどの出力機器との間に設置され、ソース機器から出力される映像・音声データを任意の出力機器に切り換え配信することの出来るスイッチャーに係わり、特に著作権保護機能であるHDCP(High-band width Digital Contents Protection)に対応したソース機器及び出力機器を接続することの出来るスイッチャーに関する。
【背景技術】
【0002】
学校や病院、ショッピングセンターなどに設置されるシステムであって、映像・音声のソース機器(以下、単に「ソース機器」という。)からスイッチャーを介して複数の出力機器に映像・音声を出力するAVシステムが知られている。ソース機器が複数の場合、スイッチャーで入力を切り換えることで各出力機器に出力する映像・音声を選択することができる。映像・音声を複数の入力チャンネルに入力して、複数の出力機器に出力可能な出力チャンネルを有する機器をマトリクススイッチャーと呼ぶ(以下、まとめて「スイッチャー」という)。
【0003】
昨今、映像・音声信号はこれまでのアナログ方式に変わり、デジタル方式にシフトされつつある。高解像度マルチメディアインターフェース(High−Definition Multimedia Interface 以下単に「HDMI」という。)に準拠する映像・音声信号であって、デジタルコンテンツ等の不正コピー防止を必要とする著作権保護コンテンツであるものは、HDCPによって暗号化されて送受信され、接続に際して各機器間において認証データを相互に遣り取りし、当該認証テータに含まれる暗号キー情報が各機器において互いに認証された場合のみ、入出力が正しく行われる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−219796
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
HDCPに対応したソース機器を使用してAVシステムの設計を行う場合は、AVシステムに使用する全ての機器、即ちスイッチャーや当該スイッチャーを介して接続される複数の映像・音声出力機器などの接続機器がHDCPに対応していることを確認する必要がある。これはスイッチャーも含めた各機器がKSV(Key Selection Vector 鍵選択ベクトル)情報(暗号キー情報)のやり取りによって相互確認するHDCP認証方式を採用しているためである。本発明においてはHDCP認証方式における接続可能台数に着目する。
【0006】
HDCPの規格上はソース機器には127台の接続機器を接続して、それらの接続機器に映像・音声の配信が可能であるが、多くのソース機器では接続可能なスイッチャーを含む接続機器の台数が4〜8台程度に制限されている。たとえば最大接続数が4台というソース機器の場合、スイッチャー(または分配器)1台とディスプレイなどの接続機器が3台までが接続可能ということになる。このときスイッチャーの端子が余っているからといって4台目のディスプレイを接続してしまうと、ソース側から見た全体の接続台数が5台となり、最大接続台数を上回り、ソース機器側でHDCP認証ができず、ソース機器からの映像信号が出力されずに、4台全てのディスプレイで映像が出力されなくなるという現象が起きる。
【0007】
このため、スイッチャーAVシステムを導入する際には、まず入力用および出力用の機器をそれぞれ何台にするかを最初に確認する必要がある。HDCP認証を必要としないソース機器では接続台数に制限はない(物理的に機器が有する入出力端子数だけ接続できる)ので気にすることはないが、HDCP認証が必要なデジタル機器でAVシステムを構成する際には注意しなければならない。最悪の場合、AVシステム構築後すべてのディスプレイに映像が映らなくなるといったリスクがある。よってソース機器の最大接続台数の情報は非常に重要であるのだが、一般的には公開されていないのが現状である。
【0008】
このためAVシステム構築前に、ソース機器の最大接続台数を調べるために、実際に複数の映像・音声出力機器などの接続機器をソース機器につないでみてその最大接続台数を確認する必要があった。しかし、これは、現場に予想される最大接続台数分の接続機器を準備して、それを1台づつ接続することで、映像・音声信号がソース機器から出力されなくなった時点の接続機器の接続台数を見る必要があり、非常に手間と費用のかかる作業であった。
【0009】
本発明は、上記した事情に鑑み、HDCP認証を行うソース機器の最大接続可能台数を、本体単独で推定可能なスイッチャーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述する課題を解決するための第1の観点は、HDCP規格に基づく映像・音声のソース機器(SU1,SU2)が接続される入力ライン(N1,N2,N3)を複数有し(なお、入力ラインは単数でも可)、また、HDCP規格に基づく接続機器(D1〜D7)がそれぞれ1台以上接続される出力ライン(L1,L2,L3)を複数有し、それら入力ラインと出力ラインを、スイッチ手段(6)を介して適宜切り換え接続することで、任意の前記ソース機器と任意の前記接続機器を接続する、スイッチャー(2)において、
いずれかの前記入力ラインに接続されたソース機器の予想最大接続可能台数(MAX)
が予めデフォルト値として設定され、
前記設定された予想最大接続可能台数に対応する個数のダミーKSVデータを生成して、当該ダミーKSVデータを前記ソース機器に対して出力してダミー認証処理を行うダミー認証手段(9,10)、
該ダミーKSVデータの個数に1台分を加算した値が前記ソース機器の最大接続可能台数を超える場合に該ソース機器
が行う認証処理の要求の有無を検出する手段、
該認証要求の有無を検出する手段が、前記ソース機器からの認証要求が無かったと検出した場合には該ソース機器に対して出力された前記ダミーKSVデータの個数を該ソース機器の最大接続可能台数
と推定する、最大接続可能台数推定手段(11)、
該最大接続可能台数推定手段が推定したソース機器の最大接続可能台数を外部に出力する出力手段(12)、
を有
し、
前記ダミー認証手段は、前記認証要求の有無を検出する手段が前記ソース機器からの認証要求があったと検出した場合には1つ少ない数のダミーKSVデータを生成して、当該ダミーKSVデータを前記ソース機器に対して出力してダミー認証処理を該ソース機器との間で行うように構成されたことを特徴とする。
【0011】
上述する課題を解決するための第2の観点は、
前記予想最大接続可能台数をオペレータが手動で設定する入力手段、を備えた点である。
【発明の効果】
【0012】
上記した第1の観点によれば、スイッチャー(2)単独で、当該スイッチャー(2)に接続されたソース機器(SU1、SU2)の最大接続可能台数を推定することが出来、それまでのように、実際にHDCP規格の接続機器を最大接続可能台数分接続して、計測するような作業が不要となり、極めて便利である。
【0013】
なお、括弧内の番号等は、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明が適用される、スイッチャーを中心としたAVシステムの一例を示すブロック図。
【
図2】
図2は、スイッチャーの一例を示す制御ブロック図。
【
図3】
図3は、接続台数推定プログラムの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づき、本発明の実施例を説明する。
【0016】
AVシステム1は、
図1に示すように、HDCP規格に基づくスイッチャー2を有しており、スイッチャー2には、3個(複数)の入力ラインN1,N2,N3と3個(複数)の出力ラインL1,L2,L3が設けられている。入力ラインN1,N2,N3には、それぞれDVDプレーヤ、ビデオプレーヤ、パソコンなどのHDCP規格に基づく映像・音声に関するソース機器SU1、SU2,……がそれぞれ接続自在に設けられている。また、各出力ラインL1,L2,L3には、HDCP規格に基づく1台以上の接続機器が接続自在に設けられている。即ち、出力ラインL1には、映像・音声出力機器としてのディスプレイ、HDMI延長器、スイッチャー等の接続機器D1が接続され、接続機器D1には、接続機器D4及びD5がカスケード接続を形成する形で接続しており、更に接続機器D4には、接続機器D6がカスケード接続を形成する形で接続している。また、出力ラインL2には、1台の接続機器D2が接続しており、出力ラインL3には、接続機器D3が接続され、接続機器D3には、接続機器D7カスケード接続を形成する形で接続している。
【0017】
スイッチャー2は、
図2に示すように、主制御部3を有しており、主制御部3にはバス線5を介してスイッチ制御部6,通信制御部7,ダミーKSVデータ生成部9、認証管理部10、最大接続台数推定部11及びディスプレイ12が接続している。なお、
図2に示した図は、本発明に関連のある部分のみを示したものであり、スイッチャー2の全ての構成要素を示したものではない。
【0018】
スイッチャー2は以上の様な構成を有するので、スイッチャー2は、図示しないパネルキーや外部制御受付部などの入力部を介して入力されるオペレータからの切り換え指示に基づいて、スイッチ手段としてのスイッチ制御部6が、各ソース機器SU1,SU2、……が接続された各入力ラインN1,N2,N3と、接続機器D1〜D7が接続された各出力ラインL1,L2,L3の接続状態を任意に切り換えて、任意のソース機器SU1、SU2、……と任意の出力ラインL1,L2,L3を接続する。すると、例えば、ソース機器SU1から出力される映像・音声信号は、スイッチャー2で接続された出力ラインL3の接続機器D3、D7に出力され、ソース機器SU2から出力される映像・音声信号は、スイッチャー2で接続された出力ラインL1の接続機器D1、D4〜D6に出力され、図示しないソース機器SU3から出力される映像・音声信号は、スイッチャー2で接続された出力ラインL2の接続機器D2に出力される。この接続態様は全く任意であり、スイッチャー2の入力部を介して入力ラインと出力ラインとの間で自在に設定することが出来る。
【0019】
こうして、スイッチャー2により、あるソース機器とある出力ラインに接続された1台以上の接続機器が接続されたところで、スイッチャー2により接続されたソースと接続機器及び当該スイッチャー2相互間で、認証データを交換することでHDCP認証を行なって、当該HDCP認証が成功した場合にのみ、ソース機器からの映像・音声信号がスイッチャー2を介して当該ソース機器に接続された接続機器に伝達され、表示される。
【0020】
いま、仮にスイッチャー2の入力N1にHDCP規格のソース機器SU1が新たに接続されたものとすると、ソース機器SU1の最大接続可能台数が不明なので、HDCP規格の映像・音声信号を円滑に出力L1〜L3側の接続機器D1〜D7に出力するためには、当該新たに接続されたソース機器SU1の最大接続台数を推定する必要がある。そこで、スイッチャー2では、図示しないパネルキーや外部制御受付部などの入力手段を介したオペレータなどの指示や、ソース機器SU1が接続された際の5V信号(0Vでないことでなんらかの機器が接続されているということがわかる程度の信号でよい)などに基づいて、主制御部3が最大接続台数推定部11に対して、新たに接続されたソース機器SU1の最大接続台数を推定するように指令する。
【0021】
これを受けて最大接続台数推定部11は、図示しないメモリに格納された接続台数推定プログラムPROに基づいて、ソース機器SU1の最大接続台数を推定する演算処理を開始する。最大接続台数推定部11は、
図3に示す接続台数推定プログラムPROのステップS1で、ソース機器SU1で予想される最大接続可能台数MAXを適宜なメモリに設定する。予想最大接続可能台数MAXは、一般的に市場に流通しているソース機器SU1の最大接続台数を参考にして予めデフォルト値(例えば、MAX=8(台)など)として設定されている。なお、予想最大接続可能台数MAXは、オペレータが入力手段を介して手動で適宜設定することも可能である。また、通常、スイッチャー2にも、当該スイッチャー2に接続可能な接続機器の台数を示す、最大接続可能台数が設定されているので、当該スイッチャー2についての最大接続可能台数を予想最大接続可能台数MAXとして設定しても良い。
【0022】
次に、最大接続台数推定部11は、接続台数推定プログラムPROのステップS2に入り、ソース機器SU1とスイッチャー2が接続されていることを、通信制御部7を介してソース機器SU1とスイッチャー2間で入出力される5V信号などに基づいて確認する。ソース機器SU1とスイッチャー2の接続が確認されると、ステップS3に入り、最大接続台数推定部11は当該接続を検知したソース機器SU1側からHDCP認証要求が入力されているか否かを判定し、認証要求が入力されるまでステップS3で待機する。
【0023】
認証要求がソース機器SU1から入力されたものと判定されると、最大接続台数推定部11はステップS4に入り、認証管理部10に対してソース機器SU1からの信号に基づいてスイッチャー2自身の認証処理をソース機器SU1との間で行うように指令する。認証管理部11は、これを受けて、スイッチャー自身のKSVデータを構成する
KSV信号Bksv(受信側KSVデータ)を通信制御部7を介してソース機器SU1へ送出するなどの通常の認証処理を行なう。
【0024】
次いで、最大接続台数推定部11は、接続台数推定プログラムPROのステップS5に入り、ダミーKSVデータ生成部9に対して、ステップS1で設定された予想最大接続可能台数MAXに対応するMAX個のダミーKSVデータの生成を指令し、ダミーKSVデータ生成部9で生成されたMAX個のダミーKSVデータをソース機器SU1に対して、スイッチャー2自身が収集した、ソース機器SU1にスイッチャー2を介して接続された接続機器(スイッチャーや分配機などのHDCP規格の中継機器も含む。以下同様)のKSVデータとして通信制御部7を介してソース機器SU1に出力して、ダミー認証処理を実行する。最大接続台数推定部11は、実際にスイッチャー2に接続されている接続機器(D1〜D7)の台数とは無関係に、ステップS1で設定された予想最大接続可能台数MAXに基づいてMAX個のダミーKSVデータを生成して出力する。この処理は、ソース機器SU1にスイッチャー2を介して1台以上の接続機器を接続する場合に、スイッチャー2自身の認証処理の後に、当該スイッチャー2に接続された接続機器の認証が行われるので、ソース機器SU1側では、通常の認証処理として扱われる。
【0025】
ソース機器SU1側ではスイッチャー2から送られてきた、ダミーKSVデータの個数MAXにスイッチャー2の1台分を加算した値が、自身の最大接続可能台数を超える場合には、スイッチャー2及びスイッチャー2に接続されたMAX台数の接続機器の認証を拒否して、再度、スイッチャー2に対して認証処理の要求を行う。従って、スイッチャー2の最大接続台数推定部11は、ステップS6でソース機器SU1側から新たな認証処理の要求が有るか否かを判定するために所定時間待機する。
【0026】
ステップS5でのダミー認証処理の後、即ち、通信制御部7を介したダミーKSVデータのソース機器SU1への出力の後、ソース機器SU1からの新たな認証処理の要求があった場合には、最大接続台数推定部11は、ステップS1で設定した予想最大接続可能台数MAXが多すぎ、ダミー認証処理が失敗したものと判定して、接続台数推定プログラムPROのステップS7に入り、予想最大接続可能台数MAXを現在の値よりも「1」少なくする演算処理をして、再度ステップS2からS5までの処理を繰り返し実行する。こうして、ソース機器SU1側で、スイッチャー2から送られてきたダミーKSVデータの個数MAXにスイッチャー2の1台分を加算した値が、自身の最大接続可能台数以下となり、スイッチャー2及びスイッチャー2に接続されたMAX台数の接続機器の認証が許諾される状態となると、ソース機器SU1側からはもはや新たな認証要求がスイッチャー2に出力されることはなくなる(ステップS6の「No」)。最大接続台数推定部11は、ソース機器SU1側から暗号化されたコンテンツデータの送信が開始されたか否かを通信制御部7を介して監視し、ステップS8で、暗号化されたコンテンツデータの送信が開始されたことが確認されると、最大接続台数推定部11はダミー認証処理によるソース機器SU1側の認証が成功したものと判断し、ステップS9に入り、その時点の予想最大接続可能台数MAXを当該ソース機器SU1の最大接続可能台数と推定し、図示しないメモリに当該最大接続可能台数MAXを格納すると共に、主制御部3に通知する。
【0027】
なお、上述の実施例では、ステップS1で、最初に予想最大接続可能台数MAXを設定して、ステップS6で、ソース機器SU1からの認証要求が為されなくなるまで予想最大接続可能台数MAXを1つずつ減少させて、最大接続可能台数を推定したが、ステップS1で、予想最大接続可能台数MAXを「0」又は「1」に設定し、ステップS6でソース機器SU1からの認証要求が再度出力される状態なるまで、予想最大接続可能台数MAXを1つずつ増加させ、最初にソース機器SU1からの認証要求が再度出力された時点の「予想最大接続可能台数MAX−1」を最大接続可能台数とするように構成することも出来る。また、予想最大接続可能台数MAXを所定値と「0」との
間で1個以上の区間に分割して、それらの区間で個別に最大接続可能台数MAXを変化させて、ステップS5のダミー認証処理を1回以上行い、その結果ステップS6でのソース機器SU1からの再認証の要求の出力状態が変化した時点の予想最大接続可能台数MAXに基づいて最大接続可能台数を推定しても良い。例えば、予想最大接続可能台数MAXを10台とした場合、「0〜6台」と、「7〜10台」の二つのグループに分けて、
図3に示す最大接続可能台数の推定処理を各グループ毎に行い、最大接続可能台数を推定する。要は、設定された予想最大接続可能台数MAXに応じてスイッチャー2からソース機器SU1に出力される台数分のダミーKSVデータにより、ステップS6におけるソース機器SU1の認証状態が変化した時点の台数に基づいて、当該ソース機器SU1の最大接続可能台数を推定する。この際、前述のように二つのグループに分けた後、一方のグループの推定処理の結果がエラーとなって、最大接続可能台数MAXの推定が出来なかった場合(例えば、ソース機器の接続可能台数MAXが当該グループで設定された予想最大接続可能台数MAX以上であった場合など)には、もう一方のグループが当該グループに属する予想最大接続可能台数MAXについて、各最大接続可能台数MAX毎(ステップS7)に最大接続可能台数の推定処理中の場合には、未だステップS2〜S6の処理を行っていない最大接続可能台数MAX分について、更に二つのグループに分けて、各グループ毎に同様な最大接続可能台数の推定処理を実行し、以下繰り返して最大接続可能台数を推定してもよい。こうすることで、予想最大接続可能台数MAXが大きな場合でも、短時間で接続可能台数MAXの推定が可能となる。
【0028】
演算推定されたソース機器SU1の最大接続可能台数は、出力手段を介して外部に出力されるが、その出力手段としては、スイッチャー2のディスプレイ12、表示ランプ、RS-232C/LANなどの通信回線など多様なものが考えられる。また、出力手段の出力態様も、単にディスプレイ11上での「X台接続OK」のような出力態様でも、スイッチャー2に設けられたランプを接続可能台数分点灯させるような出力態様でも、どのような態様でも良い。これにより、スイッチャー2に、実際に接続機器D1、D2……を予想される接続可能台数分接続してソース機器SU1の認証状態を検証するような煩雑で時間の掛かる作業を行わなくても、簡単にソース機器SU1の接続可能台数を推定することが出来る。なお、この最大接続可能台数の推定処理は、スイッチャー2の各入力ラインN1,N2、N3毎に行うことが出来、各入力ラインに接続されるソース機器SU1、SU2などが変更されるたびに実行される。
【0029】
なお、ソース機器SU1、SU2はそれぞれが自身の
KSVデータを構成するKSV信号Aksv(送信側KSVデータ)をスイッチャー2に出力する構成となっている。KSV信号Aksvは機器固有の値なので、KSV信号Aksvと当該ソース機器に関して推定済みの最大接続台数MAXを、スイッチャー2内部のメモリーに参照テーブルとして保存しておくようにしてもよい。このようにすることで推定済みのソース機器については、当該ソース機器のスイッチャー2への再接続に際してソース機器側から出力されるKSVデータを構成するKSV信号Aksvに基づいて参照テーブルを参照することで、当該ソース機器の最大接続可能台数MAXを容易に判定することが出来、ソース機器の接続の度に、再度推定処理を行わなくてもよくなる。
【符号の説明】
【0030】
2……スイッチャー
6……スイッチ手段(スイッチ制御部)
9……ダミー認証手段(ダミーKSVデータ生成部)
10……自己認証手段、ダミー認証手段(認証管理部)
11……最大接続可能台数推定手段(最大接続台数推定部)
12……出力手段(ディスプレイ)
D1〜D7……接続機器
L1,L2,L3……出力ライン
N1.N2,N3……入力ライン
SU1、SU2……ソース機器