特許第5762135号(P5762135)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5762135
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/58 20060101AFI20150723BHJP
【FI】
   H01R13/58
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-116680(P2011-116680)
(22)【出願日】2011年5月25日
(65)【公開番号】特開2012-248301(P2012-248301A)
(43)【公開日】2012年12月13日
【審査請求日】2014年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100192474
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 健次
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅田 順
(72)【発明者】
【氏名】新村 修
(72)【発明者】
【氏名】横山 和弘
(72)【発明者】
【氏名】吉田 春樹
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 毅
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−128025(JP,A)
【文献】 特開2008−052976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ケーブルが連結される第1コネクタ部品と、
第2ケーブルが連結され、前記第1コネクタ部品に嵌り合うことで、前記第1ケーブルと前記第2ケーブルとの間での電気的な接続を確保する第2コネクタ部品と、
前記第2コネクタ部品を前記第2ケーブルの軸方向周りに回転可能に保持するハウジングと、を備え、
前記第1コネクタ部品が前記第2コネクタ部品に嵌合した状態において、前記第1コネクタ部品および前記第2コネクタ部品は、前記ハウジングに対して回転可能である、コネクタであって、
前記第1コネクタは、前記第1ケーブルが接続される雄型電極と、前記雄型電極を取囲むように設けられる円筒形状領域と、を有し、
前記第2コネクタ部品は、前記第2ケーブルが接続される雌型電極と、前記雌型電極が内部に設けられ、前記円筒形状領域の内部に収容される円柱形状領域と、を有し、
前記ハウジングは、前記円柱形状領域を、その軸方向の周りの回転を規制せずに収容する収容領域を有する、コネクタ。
【請求項2】
前記円柱形状領域には、半径方向の外方に張出す環状フランジを有し、
前記ハウジングは、前記円柱形状領域の一部を前記収容領域に差し込んだ状態において、前記円柱形状領域が通過する貫通孔を有するとともに、前記環状フランジを前記ハウジングの表面とともに挟み込む固定プレートを備える、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
一つの前記ハウジングに複数の前記第2コネクタ部品が保持され、
複数の前記第2コネクタ部品のそれぞれに嵌合する複数の前記第1コネクタ部品が準備され、
一つの前記固定プレートは、複数の前記第1コネクタ部品の数に対応した複数の前記貫通孔を有する、請求項2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタは、たとえば特開2007−227256号公報(特許文献1)、特開2008−257983号公報(特許文献2)、特開2007−250362号公報(特許文献3)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−227256号公報
【特許文献2】特開2008−257983号公報
【特許文献3】特開2007−250362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクタは、ケーブル同士を電気的に接続する場合に用いられる。ケーブルには、ケーブルの配線時、使用時、コネクタの連結時にケーブルの軸方向周りにケーブルを回転させる力(以下、回転力と称する)が生じる。
【0005】
特に、高電圧かつ高電流が流れる高圧電気系統に用いられるケーブル(ワイヤーハーネス)は、その線径が通常のケーブルよりも太いことから、ケーブル自体に大きな回転力が発生する。その結果、コネクタのケーブルが連結される領域には大きな力が加わることになる。
【0006】
この発明の目的は、上記課題を解決することにあり、ケーブルに生じる軸方向周りにケーブルを回転させる力を吸収することが可能な構造を備えるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に基づいたコネクタにおいては、
第1ケーブルが連結される第1コネクタ部品と、
第2ケーブルが連結され、前記第1コネクタ部品に嵌り合うことで、前記第1ケーブルと前記第2ケーブルとの間での電気的な接続を確保する第2コネクタ部品と、
前記第2コネクタ部品を前記第2ケーブルの軸方向周りに回転可能に保持するハウジングと、を備え、
前記第1コネクタ部品が前記第2コネクタ部品に嵌合した状態において、前記第1コネクタ部品および前記第2コネクタ部品は、前記ハウジングに対して回転可能である、コネクタであって、
前記第1コネクタは、前記第1ケーブルが接続される雄型電極と、前記雄型電極を取囲むように設けられる円筒形状領域と、を有し、
前記第2コネクタ部品は、前記第2ケーブルが接続される雌型電極と、前記雌型電極が内部に設けられ、前記円筒形状領域の内部に収容される円柱形状領域と、を有し、
前記ハウジングは、前記円柱形状領域を、その軸方向の周りの回転を規制せずに収容する収容領域を有する
【0012】
上記コネクタの他の形態においては、上記円柱形状領域には、半径方向の外方に張出す環状フランジを有し、上記ハウジングは、上記円柱形状領域の一部を上記収容領域に差し込んだ状態において、上記円柱形状領域が通過する貫通孔を有するとともに、上記環状フランジを上記ハウジングの表面とともに挟み込む固定プレートを備える。
【0013】
上記コネクタの他の形態においては、一つの上記ハウジングに複数の上記第2コネクタ部品が保持され、複数の上記第2コネクタ部品のそれぞれに嵌合する複数の上記第1コネクタ部品が準備され、一つの上記固定プレートは、複数の上記第1コネクタ部品の数に対応した複数の上記貫通孔を有する。
【発明の効果】
【0014】
この発明に基づいたコネクタによれば、ケーブルに生じる軸方向周りにケーブルを回転させる力を吸収することが可能な構造を備えるコネクタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態おけるコネクタの構造を示す分解斜視図である。
図2】実施の形態おけるコネクタの構造を示す縦断面図である。
図3図2中III−III線矢視に対応する断面図であり、(A)回転前の状態を示す断面図であり、(B)回転後の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に基づいた実施の形態におけるコネクタについて、以下、図を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0017】
本実施の形態におけるコネクタは、回転電機のステータと回転制御を行なうインバータとの間の結合に用いられるコネクタを一例として示している。また、ステータは、三相巻線(U相、V相、W相)構造を有している。
【0018】
まず、図1および図2を参照して、本実施の形態におけるコネクタ1の構造について説明する。なお、図1は、コネクタ1の構造を示す分解斜視図、図2は、コネクタ1の構造を示す縦断面図である。
【0019】
(コネクタ1)
本実施の形態1におけるコネクタ1は、インバータに接続される第1ケーブル102が連結される第1コネクタ部品100と、ステータに接続される第2ケーブル240が連結され、第1コネクタ部品100に嵌り合うことで、第1ケーブル102と第2ケーブル240との間で電気的な接続を確保する第2コネクタ部品200と、この第2コネクタ部品200を第2ケーブル240の軸方向周りに回転可能に保持するハウジング210とを備えている。
【0020】
本実施の形態においては、3つの第1コネクタ部品100と、この3つの第1コネクタ部品100に対応して設けられる3つの第2コネクタ部品200と、3つの第2コネクタ部品200を保持する一つのハウジング210とを有している。
【0021】
(第1コネクタ部品100)
図1および図2に示すように、第1コネクタ部品100は、第1ケーブル102が接続される雄型電極105と、この雄型電極105を取囲むように設けられる円筒形状領域104とを有している。第1コネクタ部品100は、本体部101を有し、この本体部101の外周面から軸方向に沿って延在するように円筒形状領域104が設けられている。本体部101には、第1ケーブル102を通過させるための開口部101hが設けられ、第1ケーブル102と開口部101hとの間には、シール部材103が嵌め入れられている。本体部101と円筒形状領域104とは、樹脂材料等により一体成形されている。
【0022】
(第2コネクタ部品200)
図1および図2に示すように、第2コネクタ部品200は、第2ケーブル240の一端が接続される雌型電極220と、雌型電極220が内部に設けられ、第1コネクタ部品100の円筒形状領域104の内部に収容される円柱形状領域201とを有している。第2ケーブル240の他端には、端子250が結合されている。
【0023】
なお、本実施の形態では、後述するように、ハウジング210に対して第1コネクタ部品100および第2コネクタ部品200が回転することから、第2ケーブル240には多少のねじれが発生する。そのため、編組式のケーブルを用いることが好ましい。また、ハウジング210の下方に向けて湾曲するように若干の余裕を設けて配線することが好ましい。
【0024】
円柱形状領域201の内部においては、雌型電極220に対向する位置において、雌型電極220とともに雄型電極105を挟み込む弾性部材231が設けられている。また、雄型電極105も、弾性力を保持するために、ベース部221と折曲部222とを有している。なお、ベース部221の折曲部222とは反対側には、第2ケーブル240を接続するためのかしめ部223が設けられている。
【0025】
円柱形状領域201の第1コネクタ部品100側の先端部には、雄型電極105を挿入するための連通孔201hが設けられている。この連通孔201hの形状は、雄型電極105の横断面形状に対応した長方形形状を有している。なお、雄型電極105の形状および連通孔201hの形状は、本実施の形態の形状に限定されるものではない。
【0026】
また、本実施の形態においては、内部に雌型電極220および弾性部材231を収容し、先端部に連通孔201hが形成された樹脂ブロック230が円柱形状領域201の内部に収容されている。
【0027】
円柱形状領域201の外周面には、半径方向の外方に張出す環状フランジ202が設けられている。本実施の形態おいては、環状フランジ202を挟んで、円柱形状領域201の外径が、第1コネクタ部品100側よりもハウジング210側の方が太く設けられている。
【0028】
なお、円柱形状領域201の外径形状は、本実施の形態の形状に限定されるものではない。また、環状フランジ202は、周方向において連続ではなく、不連続に設けられる形態でも良い。円柱形状領域201および環状フランジ202は、樹脂材料等により一体成形されている。
【0029】
(ハウジング210)
図1および図2に示すように、ハウジング210は、第2コネクタ部品200の円柱形状領域201を、その軸方向の周りに回転可能に収容する収容領域211が3箇所に設けられている。収容領域211の内径は、円柱形状領域201の環状フランジ202のハウジング210側の外径と略同一かそれよりも若干小さく設けられている。
【0030】
収容領域211に、第2コネクタ部品200の円柱形状領域201を差し込んだ状態においては、円柱形状領域201の一部が収容領域211に収容され、環状フランジ202によって位置決めされる。また、第2コネクタ部品200を軸方向周りに回転可能な状態でハウジング210に固定するために、第2コネクタ部品200の環状フランジ202をハウジング210の表面とともに挟み込む固定プレート300が設けられている。
【0031】
固定プレート300には、第2コネクタ部品200の円柱形状領域201を通過させるための貫通孔301hが3箇所設けられている。固定プレート300は、固定ビス301bを用いて、ハウジング210に固定される。
【0032】
次に、図3(A),(B)を参照して、上記構成を有するコネクタ1の機能について説明する。第1コネクタ部品100が第2コネクタ部品200に嵌合した状態において、第1コネクタ部品100および第2コネクタ部品200は、ハウジング210に対して回転可能である。
【0033】
その結果、第1ケーブル102の軸方向周りに第1ケーブル102を回転させる力が作用した場合には、第1コネクタ部品100および第2コネクタ部品200は、ハウジング210に対して回転する(図3(A)から(B)の状態、図中Fは軸方向周りの回転方向を示す)。
【0034】
その結果、第1コネクタ部品100と第2コネクタ部品200との間に加わる、第1ケーブル102の軸方向周りの回転力が、第1コネクタ部品100と第2コネクタ部品200とが回転することで吸収される。これにより、第1ケーブル102の軸方向周りの回転力が軽減され、雄型電極105と雌型電極220との間の安定的な接触状態を維持させることが可能となる(図3(B)の状態)。
【0035】
たとえば、第1ケーブル102の軸方向周りの回転力が第1コネクタ部品100と第2コネクタ部品200との間に加わった場合には、雄型電極105が雌型電極220に対してねじれ、雄型電極105の一部が雌型電極220から離れるといういわゆる片接触が生じる。また、片接触が原因で、雄型電極105および雌型電極220に損傷が生じることが考えられる。
【0036】
しかし、本実施の形態におけるコネクタ1によれば、上記したように、第1ケーブル102の軸方向周りの回転力が軽減されることから、コネクタ1における接触状態の維持を確保することが可能となる。
【0037】
なお、上記実施の形態においては、回転電機のステータと回転制御を行なうインバータとの間の結合に用いられるコネクタを一例として示し、一つのハウジング210に対して3組の第1コネクタ部品100および第2コネクタ部品200を収容する場合について説明したがこれに限定されるものでない。他の同様の構成が必要となるコネクタに対して本発明の構成を適用することができ、第1コネクタ部品100および第2コネクタ部品200の数量は適宜選択されるものである。
【0038】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0039】
1 コネクタ、100 第1コネクタ部品、101 本体部、101h 開口部、102 第1ケーブル、103 シール部材、104 円筒形状領域、105 雄型電極、200 第2コネクタ部品、201 円柱形状領域、201h 連通孔、202 環状フランジ、210 ハウジング、211 収容領域、220 雌型電極、221 ベース部、222 折曲部、223 かしめ部、230 樹脂ブロック、231 弾性部材、240 第2ケーブル、250 端子、300 固定プレート、301b 固定ビス、301h 貫通孔。
図1
図2
図3