特許第5762153号(P5762153)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5762153
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】押さえ板
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/10 20060101AFI20150723BHJP
   H04N 1/107 20060101ALI20150723BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20150723BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   H04N1/10
   G06T1/00 420B
   H04N5/222 Z
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-127494(P2011-127494)
(22)【出願日】2011年6月7日
(65)【公開番号】特開2012-256977(P2012-256977A)
(43)【公開日】2012年12月27日
【審査請求日】2013年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100117075
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 剣太
(74)【代理人】
【識別番号】100113103
【弁理士】
【氏名又は名称】香島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】河田 憲吾
【審査官】 宮島 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−169192(JP,A)
【文献】 特開2009−163693(JP,A)
【文献】 特開平7−135602(JP,A)
【文献】 特開昭63−37772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04 − 1/207
G06T 1/00
H04N 5/222 − 5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向下方の載置面に載置された読取媒体を副走査方向の一方側から撮像する撮像部と、
前記読取媒体に前記副走査方向の前記一方側から光を照射する光源と、
を有するオーバーヘッド型スキャナに用いられ、
前記読取媒体を鉛直方向上方から押さえる押さえ板本体と、
前記押さえ板本体の内部に配置された複数の防眩部と、
を備え、
前記押さえ板本体は、光が透過するものであり、
前記防眩部は、前記読取媒体からの反射光のうち、鉛直軸に関して前記光源からの入射光側と反対側に向けて反射する反射光を遮る
ことを特徴とする押さえ板。
【請求項2】
前記撮像部は、画像を読み取る複数の画素が主走査方向に配列されたラインセンサであり、
各前記防眩部は、読取画像を撮像する読取位置にある前記撮像部と前記読取画像とを結ぶ仮想線上に配置されており、
前記主走査方向および前記仮想線のそれぞれと直交する方向における前記防眩部の幅は、前記ラインセンサの解像度に対応する幅以下である
請求項1に記載の押さえ板。
【請求項3】
前記防眩部において、前記読取媒体からの反射光のうち、鉛直軸に関して前記光源からの入射光側と反対側に向けて反射する反射光を遮る面は、光を反射する反射面である
請求項1または2に記載の押さえ板。
【請求項4】
前記防眩部として、主走査方向に延在する第一防眩部あるいは副走査方向に延在する第二防眩部の少なくともいずれか一方を有する
請求項1からのいずれか1項に記載の押さえ板。
【請求項5】
前記オーバーヘッド型スキャナの本体に取り付け可能である
請求項1からのいずれか1項に記載の押さえ板。
【請求項6】
前記読取媒体側と反対側の面は、入射される光を拡散して反射する
請求項1からのいずれか1項に記載の押さえ板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押さえ板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、露出した状態で載置された読取媒体を鉛直方向上方から読み取る技術が公知である。例えば、特許文献1には、原稿からの反射光を読み取る読み取り機構と、読み取り機構を原稿の上方に間隔をもって保持するアームと、アームを支持するための支持部とを含む読み取り装置の技術が開示されている。特許文献1の読み取り装置は、画像入力時において原稿を照明する照明手段を備えると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−181827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
露出した読取媒体に光を照射すると、読取媒体で反射された反射光によって、ユーザーや読取媒体の周囲にいる人が眩しさを感じる虞がある。読取媒体からの反射光の拡散を抑制できることが望ましい。例えば、画像読取装置の撮像部に向かう方向と異なる方向への反射光の拡散を抑制できれば、周囲の人に眩しさを感じさせることを抑制することが可能となる。
【0005】
露出した読取媒体を読み取る場合、読取媒体に凹凸やカールなどがあると、読み取った原稿画像が湾曲したり、光量ムラによる階調不均一が発生したりするなど画像品質の低下を招く虞がある。
【0006】
本発明の目的は、画像読取装置において露出した読取媒体に光を照射するときの読取媒体からの反射光の拡散を抑制できる技術を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、画像読取装置において露出した読取媒体に光を照射するときの読取媒体からの反射光の拡散を抑制することと、露出した読取媒体を読み取る場合の画像品質の低下の抑制とを可能とする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の押さえ板は、鉛直方向下方の載置面に載置された読取媒体を副走査方向の一方側から撮像する撮像部と、前記読取媒体に前記副走査方向の前記一方側から光を照射する光源と、を有するオーバーヘッド型スキャナに用いられ、前記読取媒体を鉛直方向上方から押さえる押さえ板本体と、前記押さえ板本体の内部に配置された複数の防眩部と、を備え、前記押さえ板本体は、光が透過するものであり、前記防眩部は、前記読取媒体からの反射光のうち、鉛直軸に関して前記光源からの入射光側と反対側に向けて反射する反射光を遮ることを特徴とする。
【0009】
上記押さえ板において、前記撮像部は、画像を読み取る複数の画素が主走査方向に配列されたラインセンサであり、各前記防眩部は、読取画像を撮像する読取位置にある前記撮像部と前記読取画像とを結ぶ仮想線上に配置されており、前記主走査方向および前記仮想線のそれぞれと直交する方向における前記防眩部の幅は、前記ラインセンサの解像度に対応する幅以下であることが好ましい。
【0011】
上記押さえ板において、前記防眩部において、前記読取媒体からの反射光のうち、鉛直軸に関して前記光源からの入射光側と反対側に向けて反射する反射光を遮る面は、光を反射する反射面であることが好ましい。
【0012】
上記押さえ板において、前記防眩部として、主走査方向に延在する第一防眩部あるいは副走査方向に延在する第二防眩部の少なくともいずれか一方を有することが好ましい。
【0013】
上記押さえ板において、前記オーバーヘッド型スキャナの本体に取り付け可能であることが好ましい。
【0014】
上記押さえ板において、前記読取媒体側と反対側の面は、入射される光を拡散して反射することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る押さえ板は、鉛直方向下方の載置面に載置された読取媒体を副走査方向の一方側から撮像する撮像部と、読取媒体に副走査方向の一方側から光を照射する光源と、を有するオーバーヘッド型スキャナに用いられる。押さえ板は、読取媒体を鉛直方向上方から押さえる押さえ板本体と、押さえ板本体の内部に配置された複数の防眩部と、を備える。押さえ板本体は、光が透過するものであり、防眩部は、読取媒体からの反射光のうち、鉛直軸に関して光源からの入射光側と反対側に向けて反射する反射光を遮る。よって、本発明に係る押さえ板によれば、読取媒体からの反射光の拡散を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態に係る画像読取装置および押さえ板を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る画像読取装置の斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る押さえ板の要部拡大図である。
図4図4は、実施形態の第1変形例に係る押さえ板を示す図である。
図5図5は、実施形態の第2変形例に係る画像読取装置を示す図である。
図6図6は、実施形態の第3変形例に係る押さえ板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態に係る押さえ板につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0018】
[実施形態]
図1から図3を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、画像読取装置用の押さえ板に関する。図1は、実施形態に係る画像読取装置および押さえ板を示す図、図2は、実施形態に係る画像読取装置の斜視図、図3は、実施形態に係る押さえ板の要部拡大図である。図1には、回転軸Xと直交する断面図が示されている。
【0019】
本実施形態に係る画像読取装置(図1の符号1参照)は、室内空間に露出した状態で載置された読取媒体(図1の符号S参照)を鉛直方向の上方から読み取る。こうした画像読取装置では、光源(図1の符号21参照)から照射されて読取媒体Sによって反射された反射光が周囲に拡散し、ユーザー等が眩しさを感じる虞がある。
【0020】
本実施形態に係る押さえ板(図1の符号1−1参照)は、拡散する反射光を遮る防眩部(図1の符号5参照)を有している。防眩部5は、鉛直軸Vに関して光源21からの入射光(図1の符号7参照)側と反対側に向けて反射する反射光(図1の符号9参照)を遮る。これにより、本実施形態の押さえ板1−1は、読取媒体Sからの反射光の拡散を抑制し、ユーザー等が眩しさを感じることを抑制することができる。
【0021】
図1および図2に示す画像読取装置1は、オーバーヘッド型スキャナである。図1に示すように、画像読取装置1は、本体10および光学ユニット20を有する。画像読取装置1は、光学ユニット20の鉛直方向下方の載置面2に載置された読取媒体Sの画像を読み取ることができる。載置面2は、例えば、机の上面等の平面である。本実施形態では、画像読取装置1が載置面2と同一面上に載置される場合を例に説明するが、これに限定されるものではない。画像読取装置1が載置される箇所と、読取媒体Sが載置される載置面2とは異なっていてもよい。一例として、画像読取装置1は、載置面2を有する載置台を備えていてもよい。
【0022】
本体10は、台座部11、支柱部12およびカバー部13を有する。台座部11は、載置面2等に載置されて本体10全体を支持するものであり、本体10の基部である。画像読取装置1の電源スイッチや画像読取開始スイッチ等の操作部材は、例えば台座部11に配置される。台座部11は、例えば、扁平な形状とされており、その下面が載置面2と互いに対向するようにして設置される。本実施形態の台座部11は、扁平な直方体あるいはこれと同様や類似の形状を有しており、幅方向(後述する主走査方向)の長さおよび奥行方向(後述する副走査方向)の長さのいずれよりも鉛直方向の長さが小さい。また、台座部11における幅方向の長さは、奥行方向の長さよりも大きくされてもよい。
【0023】
読取媒体Sは、台座部11の側方の4面の内の1つの面である前面11aに読取媒体Sの一辺を突き当てるようにして載置される。つまり、読取媒体Sは、一辺が前面11aと平行となるようにして載置面2に載置される。本明細書では、矩形の読取媒体Sの一辺を前面11aに突き当てるようにして載置したときの読取媒体Sにおける前面11a側の一辺と平行な方向を「幅方向」と記載する。また、読取媒体Sにおける前面11a側の一辺と直交する辺に平行な方向を「奥行方向」と記載する。つまり、奥行方向とは、ユーザーが読取媒体Sを挟んで画像読取装置1と対向しているときのユーザーと画像読取装置1とが向かい合う方向である。奥行方向においてユーザーが読取媒体Sを挟んで画像読取装置1と向かい合う状態においてユーザーに近い側を「手前側」と記載し、ユーザーから遠い側を「奥側」と記載する。
【0024】
支柱部12は、台座部11と接続されており、台座部11から鉛直方向上方に向けて延在している。支柱部12は、例えば、断面矩形の柱状もしくは煙突状に形成されている。支柱部12の下部は、鉛直方向下側へ向かうに従い断面積が拡大するテーパ形状に形成されている。支柱部12は、台座部11の上面における1辺側に接続されている。具体的には、支柱部12は、台座部11の上面の縁を形成する4辺のうち読取媒体Sが配置される側と反対側の1辺側に接続されている。言い換えると、支柱部12は、台座部11における読取媒体Sから遠い奥側の端部に接続されている。また、支柱部12は、台座部11における幅方向の中央部に接続されている。
【0025】
カバー部13は、光学ユニット20を回動可能に支持するものであり、光学ユニット20を内部に収納することもできる。カバー部13は、光学ユニット20を鉛直方向上方から覆っている。カバー部13は、例えば、下面に形成された凹部を有し、この凹部に光学ユニット20を収納することができる。カバー部13は、支柱部12の鉛直方向上側の端部と接続されている。カバー部13は、支柱部12から奥行方向の手前側および幅方向の両側へ突出している。すなわち、カバー部13は、支柱部12から読取媒体Sが載置される側へ向けて張り出しており、かつ支柱部12から幅方向の両側に張り出している。
【0026】
画像読取装置1において、台座部11とカバー部13とは鉛直方向において互いに対向しており、両者における奥行方向の読取媒体S側と反対側の端部同士が支柱部12によって接続されている。また、カバー部13は、台座部11よりも奥行方向の手前側に張り出している。つまり、カバー部13の少なくとも一部は、読取媒体Sが台座部11に突き当てるようにして載置面2に載置されると、その読取媒体Sと鉛直方向において互いに対向する。
【0027】
光学ユニット20は、本体10に対して回転軸X周りに回転することができる。回転軸Xは、幅方向に延在している。つまり、回転軸Xは、前面11aと平行である。光学ユニット20は、カバー部13によって回転軸X周りに回動可能に支持されている。また、カバー部13内には、図示しない駆動部が配置されている。駆動部は、光学ユニット20を回転軸X周りに回転させるものである。駆動部は、例えば、電動式のモータと、モータの回転軸と光学ユニット20とを接続するギア部とを有する。モータは、例えば、ステッピングモータであり、光学ユニット20の回転角度を精度良く制御することができる。また、ギア部は、例えば、複数のギアの組合せからなり、モータの回転を減速して光学ユニット20に伝達する。
【0028】
光学ユニット20は、光源21および撮像部22を含む。光源21は、LED等の発光部を有しており、鉛直方向上方から読取媒体Sに光を照射することができる。光源21は、例えば、主走査方向に沿って複数のLEDが直線上に配置されたものであってもよい。光源21は、読取媒体Sにおける読取対象ラインL上の画像、すなわち読取画像に対して光を照射する。撮像部22は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)を有するイメージセンサであり、載置面2に載置された読取媒体Sを撮像することができる。具体的には、撮像部22は、読取対象ラインL上の読取画像によって反射されて撮像部22に入射された反射光を光電変換により電子データに変換して読取画像の画像データを生成する。
【0029】
回転軸Xと直交する半径方向において、光源21は、撮像部22よりも外側に配置されている。光源21の光軸は、回転軸Xと直交する方向である。また、撮像部22の光軸は、回転軸Xの軸方向視において光源21の光軸と同軸上にある。つまり、撮像部22には、回転軸Xの軸方向視において回転軸Xと直交する方向の光が入射し、この入射光がレンズを介して撮像部22の受光面に結像する。
【0030】
撮像部22は、画像を読み取る複数の画素が主走査方向に配列されたラインセンサである。撮像部22は、主走査方向が回転軸Xと平行な状態で光学ユニット20に配置されている。各画素は、レンズによって受光面に結像した読取画像の光を受光し、受光した光に対応する電気信号を出力する。撮像部22は、読取媒体Sの読取対象ラインL上の画像を読み取り、主走査方向のライン画像データを生成することができる。なお、撮像部22のラインセンサのライン数は、単数であっても複数であってもよい。
【0031】
画像読取装置1は、光学ユニット20の回転軸X周りの回転位置を調節することにより、読取媒体S上における副走査方向の任意の位置の読取対象ラインLの画像を取得することができる。画像読取装置1は、ライン画像データの取得と、光学ユニット20を回転させることによる読取対象ラインLの位置調整とを繰り返すことで、読取媒体S全体の画像データを取得することができる。つまり、画像読取装置1は、光源21の照射光が原稿面上を副走査方向に走査し、かつ光が照射されている読取対象ラインLの画像を撮像部22が読み取ることによって読取媒体Sの画像を生成する。画像読取装置1は、例えば、奥行方向の奥側から手前側へ順次読取対象ラインLの位置を移動させながら各読取対象ラインLのライン画像を読み取ることで、読取媒体Sの2次元画像データを生成する。
【0032】
画像読取装置1は、PC等の外部機器と接続可能である。画像読取装置1は、外部機器によって制御可能であり、かつ生成した画像データを外部機器に出力する機能を有している。また、画像読取装置1は、外部機器に接続されることなく単体で動作することも可能である。画像読取装置1は、生成した画像データを蓄積する記憶装置を有していてもよい。
【0033】
ここで、露出した読取媒体Sを画像読取装置1によって読み取るときに、その読取媒体Sに凹凸やカールなどがあった場合、読み取った原稿画像が湾曲したり、光量ムラによる原稿画像の階調不均一が発生したりする虞がある。本実施形態に係る画像読取装置1では、読取媒体Sが載置面2上に露出した状態で読取媒体Sの画像が読み取られる。つまり、画像読取装置1は、露出した読取媒体Sに対して光源21の光を照射し、撮像部22に入射する読取媒体Sからの反射光によって読取媒体Sの画像を読み取る。このため、読取媒体Sに凹凸やカールなどがある場合、画像の読み取りにおいて品質低下が生じる虞がある。
【0034】
符号1−1は、画像読取装置1に用いられる押さえ板である。押さえ板1−1は、読取媒体Sを鉛直方向上方から押さえる平板状の押さえ部材である。押さえ板1−1は、読取媒体Sを上方から圧迫することにより、読み取り時の読取媒体Sの凹凸やカールを抑制し、読取媒体Sの平面性を高めることができる。よって、押さえ板1−1は、読み取られた原稿画像における湾曲、ゆがみ、光量ムラによる階調不均一等を抑制することができ、画像読取装置1が生成する画像データの品質や精度を向上させることができる。また、押さえ板1−1は、読取媒体Sを上方から圧迫することにより、読取媒体Sを載置面2に対して固定することができる。よって、ユーザーは、読取媒体Sが動かないように手で読取媒体Sを押さえておく必要がないため、画像読取装置1の操作性が向上する。
【0035】
押さえ板1−1が読取媒体Sを圧迫する手段は、例えば、押さえ板1−1の自重によるものであり、更に、ユーザーが押さえ板1−1を鉛直方向下方に向けて押圧することが可能であってもよい。例えば、主走査方向における押さえ板1−1の両端に把手を設けるようにしてもよい。ユーザーは、読取媒体Sのカールがきつい場合などにこの把手を持って、押さえ板1−1を読取媒体Sに向けて押圧する。把手は、押さえ板1−1に対して主走査方向の外側に突出したものとすればよい。このようにすれば、把手を画像読取装置1による読取対象領域の外部に位置させることができる。
【0036】
押さえ板1−1は、平面状の原稿圧迫部3を有している。原稿圧迫部3は、例えば、矩形の面であり、載置面2との間に読取媒体Sを挟んで読取媒体Sの読取対象部を鉛直方向上方から押さえる。例えば、読取媒体Sがシート状である場合、原稿圧迫部3は読取媒体Sの読取対象面を鉛直方向上方から圧迫する。また、読取媒体Sが本や雑誌、製本された原稿、綴じられた原稿等であって、画像読取装置1の読み取り対象が読取媒体Sの見開き頁である場合、原稿圧迫部3は、見開きの両頁を鉛直方向上方から圧迫する。これにより、押さえ板1−1は、読み取り対象の頁の浮き上がりや湾曲等を抑制し、画像読取装置1が生成する画像データの品質や精度を向上させることができる。
【0037】
押さえ板1−1は、例えば、ガラスやアクリル等の可視光が透過する透明材料で形成されるものとすることができる。押さえ板1−1の材料として、光源21から照射された光の少なくとも可視光を透過させるものを用いれば、撮像部22による読取媒体Sの読み取りを阻害することなく、読取媒体Sを押さえることが可能となる。例えば、押さえ板1−1を用いることなくユーザーが読取媒体Sを手で押さえる場合、ユーザーの手が読取対象領域内に入って原稿の一部として読み取られてしまう可能性がある。これに対して、本実施形態の押さえ板1−1は、光を透過させるものであることから、原稿画像に写り込んでしまうなどの実質的な影響を与えることなく読取媒体Sを押さえることができる。押さえ板1−1の大きさは、読取可能な最大の読取媒体Sのサイズよりも大きいことが好ましい。このようにすれば、押さえ板1−1によって読取媒体Sの全面を圧迫しておくことができる。
【0038】
ここで、オーバーヘッド型スキャナとしての画像読取装置1によって載置面2に載置された読取媒体Sを読み取る場合に、読取媒体S上の照り返しにより、ユーザーが眩しさを感じる虞がある。光源21から読取媒体Sに照射されて読取媒体Sによって反射される反射光には、ユーザーの視線の方向に反射する光がある。ユーザーが、載置面2に読取媒体Sをセットして画像読取装置1に読み取りを行わせているときに、読取媒体Sを挟んで画像読取装置1に向かい合っていると、読取媒体Sの読み取りがなされている間、ユーザーの方向に反射する光によって眩しさを感じ続けることとなる。
【0039】
このように、露出した読取媒体Sに光を照射して読取媒体Sの画像を読み取る場合、従来のように画像読取装置の内部空間において読取媒体Sに光を照射する場合と異なり、照射光が外界に露出する。このため、ユーザーが反射光を眩しく感じてしまい、操作の快適性が損なわれる可能性がある。また、読取媒体Sの周囲にいる人が反射光によって眩しさを感じる虞がある。読取媒体Sによる照射光の拡散を抑制し、ユーザーや周囲の人が感じる眩しさを抑制できることが望ましい。
【0040】
本実施形態の押さえ板1−1は、内部に配置された複数の防眩部5を有する。防眩部5は、例えば板状あるいは膜状である。防眩部5は、押さえ板1−1の内部に配置され、押さえ板1−1における一つの側面と平行な方向に延在している。防眩部5は、可視光を通さない材料で形成されている。防眩部5は、読取媒体Sからの反射光のうち、鉛直軸Vに関して光源21からの入射光側と反対側に向けて反射する反射光9を遮るものである。言い換えると、防眩部5は、読取媒体Sからユーザー方向に反射する反射光9を遮る遮光部材である。防眩部5によって、鉛直軸Vに関して光源21側と反対側に反射する反射光9が遮られることにより、ユーザーが眩しさを感じることが抑制される。
【0041】
防眩部5は、押さえ板本体4の内部に配置されている。押さえ板本体4は、押さえ板1−1の本体部であり、少なくとも可視光が透過する材料で形成されている。押さえ板1−1は、押さえ板本体4と防眩部5とが一体に成形されたものであっても、複数の構成部材の組合せにより構成されたものであってもよい。押さえ板1−1は、例えば、樹脂等を固化させて押さえ板本体4を形成するときに各防眩部5を予め内部に配置しておき、押さえ板本体4と防眩部5とを一体に成形したものであってもよい。あるいは、押さえ板1−1は、複数の構成部材から押さえ板本体4を構成するようにして、隣接する構成部材の間に防眩部5を挟むようにして接着等により形成されてもよい。この場合、防眩部5は、構成部材の合わせ面に塗装によって形成されてもよい。
【0042】
原稿圧迫部3は、押さえ板本体4に形成されている。より具体的には、本実施形態の押さえ板本体4は、矩形の板状の部材あるいは扁平な直方体の部材であり、その厚さ方向の一方側の面が原稿圧迫部3である。押さえ板本体4は、原稿圧迫部3によって読取媒体Sを鉛直方向上方から押さえる。
【0043】
押さえ板1−1は、図1に示すように、防眩部5の延在する方向が主走査方向となるように読取媒体S上に載置される。以下の説明では、防眩部5の延在する方向が主走査方向となるように押さえ板1−1が載置されている状態を前提として押さえ板1−1について説明する。
【0044】
各防眩部5は、互いに離間した状態で副走査方向に所定の間隔をあけて配置されている。つまり、一の防眩部5と、これに隣接する他の防眩部5とは副走査方向に間をあけて配置されている。防眩部5は、押さえ板本体4の上面6と、押さえ板本体4の下面である原稿圧迫部3とを接続するように配置されている。すなわち、防眩部5の上端は、押さえ板本体4の上部に位置しており、防眩部5の下端は、押さえ板本体4の下部に位置している。また、防眩部5は、回転軸Xの軸方向視において直線状であって、防眩部5の上端と下端とを結ぶ直線に対して湾曲していないものとされてもよい。
【0045】
各防眩部5は、押さえ板本体4内において主走査方向の一端側から他端側まで直線状に延在している。例えば、防眩部5は、押さえ板本体4における主走査方向の一端面と他端面とを接続するように配置されている。
【0046】
防眩部5は、押さえ板本体4の内部を副走査方向の奥側の領域と手前側の領域とに仕切っている。これにより、読取媒体Sによる反射光のうち副走査方向の手前側に向かう反射光9が防眩部5によって遮られる。また、本実施形態の防眩部5は、鉛直方向の下方から上方へ向かうに従い副走査方向の奥側へ向かう傾斜を有している。これにより、読取媒体Sによって副走査方向の手前側に向けて反射される反射光9がより効果的に防眩部5によって遮られる。なお、このように傾斜させる防眩部5は、副走査方向において回転軸Xよりも手前側に位置する防眩部5に限定されてもよい。すなわち、回転軸Xよりも副走査方向の奥側に位置する防眩部5については、鉛直方向の下方から上方へ向かうに従い副走査方向の奥側へ向かうように傾斜させないこととしてもよい。
【0047】
また、防眩部5は、光源21から読取媒体Sに入射する光の入射角に合わせた角度で配置されている。回転軸Xの軸方向視において、鉛直軸Vに対する防眩部5の傾斜角度θは、光源21から読取媒体Sに入射する光の入射角αと同じである。鉛直軸Vは、載置面2の法線に対応する。ここで、入射角αは、光源21の光軸方向に照射される光7の入射角であり、光源21と読取対象ラインLとを結ぶ線と読取媒体Sとのなす角度を示す。本実施形態では、光軸方向に照射される光7は、回転軸Xの回転中心と読取媒体Sとを回転軸Xの回転中心と直交する方向に結ぶ仮想線L1上を進む。
【0048】
入射角αは、光学ユニット20の回転位置に応じて変化する。これにより、防眩部5の傾斜角度θは、副走査方向の位置に応じて異なる角度となっている。副走査方向の手前側に位置する防眩部5の傾斜角度θは、奥側に位置する防眩部5の傾斜角度θよりも大きな角度である。入射角αに応じた傾斜角度θで防眩部5が傾斜していることにより、防眩部5が読取媒体Sに対する光源21からの光を遮ることが抑制される。つまり、読取媒体Sの読取対象ラインL上に防眩部5の影が生じることが抑制される。よって、押さえ板本体4内に防眩部5が配置されたことによる読み取り精度の低下が抑制される。
【0049】
また、防眩部5は、読取媒体Sによって反射されて撮像部22に入射される光8の反射角に合わせた角度で配置されている。回転軸Xの軸方向視において、防眩部5の傾斜角度θは、読取媒体Sによって反射されて撮像部22に入射される光8の反射角βと同じである。言い換えると、各防眩部5は、読取画像を撮像する読取位置にある撮像部22と読取画像とを結ぶ仮想線L1上に配置されている。つまり、各防眩部5は、読取対象ラインLを撮像する読取位置にある撮像部22と読取対象ラインLとを結ぶ仮想線L1上に配置されている。
【0050】
本実施形態では、光源21と撮像部22とが回転軸X周りの同じ回転位置に配置されている。すなわち、回転軸Xの軸方向視において、光源21の光軸方向と、撮像部22の光軸方向とは同一である。言い換えると、光源21の光軸方向に照射されて読取媒体Sに入射する光7の入射角αと、読取媒体Sによって反射されて撮像部22に入射される光8の反射角βとは等しい。従って、本実施形態の防眩部5の傾斜角度θは、光源21から光軸方向に照射されて読取媒体Sに入射する光7および読取媒体Sによって反射されて撮像部22に入射される光8のいずれを遮ることも抑制できる角度である。
【0051】
また、図3を参照して説明するように、防眩部5の厚さは、画像読取装置1によって生成される画像に防眩部5が写り込むことを抑制可能な大きさとされている。図3は、図1の要部拡大図である。ここで、防眩部5の厚さWとは、主走査方向および仮想線L1のそれぞれと直交する方向(図3の符号Y参照、以下、「所定方向」とも記載する。)における防眩部5の幅を示す。防眩部5の厚さWは、撮像部22に入射される光8に沿った防眩部5の断面形状における所定方向の最も一方側に位置する部分と、最も他方側に位置する部分との所定方向の距離である。
【0052】
防眩部5の厚さWは、ラインセンサである撮像部22の解像度に対応する幅以下である。ここで、撮像部22の解像度とは、例えば、光学解像度である。また、解像度に対応する幅とは、撮像部22によって解像可能な最小ピッチに対応する所定方向の幅であってもよく、撮像部22の一つの画素の幅に対応する読取画像の所定方向の幅であってもよく、撮像部22に入射される光8の所定方向の幅であってもよく、撮像部22に入射される光8であって撮像部22の受光面に結像するものの所定方向の幅であってもよく、解像度に対応する読取媒体S上の1ドットの所定方向における幅であってもよく、1回のライン画像データの読み取りによって取得する読取画像の所定方向における幅であってもよい。例えば、撮像部22の光学解像度が300dpiである場合、防眩部5の厚さWは、0.085mm以下とすることができる。
【0053】
防眩部5の厚さWが撮像部22の解像度に対応する幅以下であることにより、画像読取装置1が読み取る画像に防眩部5が写り込むことが抑制される。防眩部5の写り込みを抑制する観点からは、防眩部5の厚さWはより小さい方が好ましい。例えば、防眩部5の厚さWを撮像部22の解像度に対応する幅の1/2以下や1/2未満とするようにしてもよい。
【0054】
なお、防眩部5は、厚さWが許容される値に収まる限りにおいて、光軸方向に照射される光7あるいは撮像部22に入射される光8に対して傾斜していてもよい。
【0055】
防眩部5において、副走査方向の奥側を向く面(以下、単に「奥側面」と記載する。)5aは、光を反射する反射面である。奥側面5aは、読取媒体Sからの反射光のうち、鉛直軸Vに関して光源21からの入射光(光軸方向に照射される光)7側と反対側に向けて反射する反射光9(図1参照)を遮る面である。言い換えると、奥側面5aは、鉛直軸Vを挟んで入射光7側とは副走査方向の反対方向に反射する反射光9を遮り、かつ当該反射光9を反射する反射面である。以下の説明では、鉛直軸Vを挟んで入射光7側とは副走査方向の反対方向に反射する反射光9を「所定反射光」とも記載する。
【0056】
奥側面5aによって反射された所定反射光9の少なくとも一部は、読取対象ラインLに入射する。つまり、読取媒体Sから外界に反射した光が再度読取媒体Sに戻される。これにより、読取対象ラインLに照射される総光量が増加する。その結果、読取対象ラインLにおいて反射されて撮像部22に入射される光8の光量が増加する。従って、防眩部5が設けられていない場合よりも光源21から照射する光量を少なくしたとしても、撮像部22に入射される光量を十分に確保することが可能となる。その結果、撮像部22への入射光の光量を確保しつつ光源21が照射する光量を低減させることができる。よって、読取媒体Sから周囲に拡散する反射光の光量を低減させてユーザーに眩しさを感じさせることを抑制することができる。
【0057】
奥側面5aは、可視光を全て反射するものであっても、可視光の少なくとも一部を反射するものであってもよい。奥側面5aが所定反射光9の少なくとも一部を反射するようにすれば、読取対象ラインLに照射される総光量を増加させることができる。
【0058】
奥側面5aは、光を反射するリフレクタとしての効果が高い面とされることが好ましい。奥側面5aは、例えば、反射率が高い塗料や材質で構成されてもよい。また、奥側面5aは、反射率が高い表面形状、例えば平滑度が良好な面とされてもよい。
【0059】
奥側面5aは、凹部あるいは凸部の少なくともいずれか一方を有していてもよい。例えば、奥側面5aは、凹部を有することにより、反射する光を読取媒体S上に集中させるようにされてもよい。あるいは、奥側面5aは、凸部を有することにより、読取媒体Sからの反射光を鉛直方向の下側に向けて反射しやすくするようにされてもよい。なお、凹部あるいは凸部を設ける場合、奥側面5aのみを湾曲させるようにしてもよいし、防眩部5全体を湾曲させることにより凹部あるいは凸部を形成するようにしてもよい。
【0060】
ユーザーが感じる眩しさを低減する観点から、防眩部5における奥側面5aと反対側の面、即ち副走査方向の手前側の面は、ユーザーに向かう光の反射が抑制されていることが好ましい。上記手前側の面は、例えば、光を拡散させる面とすることや、濃色の面とすることなどによりユーザーの方向に光を反射させ難くするようにしてもよい。
【0061】
複数の防眩部5を配置する密度は、適宜定めることができる。例えば、ユーザー方向に反射される光を抑制して防眩性を高める観点からは防眩部5が密に配置されていることが好ましい。一方、防眩部5が原稿画像に写り込むことを抑制する観点からは、防眩部5が粗に配置されていることが好ましい。
【0062】
例えば、予めユーザーの視線位置を想定しておき、少なくともこの想定視線位置に向けて反射する反射光を遮ることができるように防眩部5の配置が決定されてもよい。想定視線位置は、例えば、載置面2に対する視線の相対高さ位置や奥行方向における視線位置として設定することができる。図1を参照して説明すると、所定反射光9のうち、想定視線位置の方向に反射する反射光9aを遮ることができるように、隣接する防眩部5の隙間の大きさを決めるようにしてもよい。この場合、所定反射光9のうちで想定視線位置の方向に反射する反射光9aの反射角γと反射角が同じか、それよりも反射角が大きい所定反射光9を遮ることができるように各防眩部5を配置するようにすればよい。
【0063】
押さえ板1−1の上面6には、上面6における強い反射光の発生を抑制できるように光を拡散させる処理がなされてもよい。例えば、上面6の表面に微細なシボや凹凸形状を形成すること、光を拡散させるコーティングフィルムを貼付すること、光を拡散させるコーティング材を塗布すること等によるグレア低減処理がなされてもよい。上面6に対して光を拡散させる処理がなされることにより、一定の方向(例えば、正反射方向)の強い反射光が発生することが抑制される。上面6に対する処理は、例えば、少なくとも原稿圧迫部3が光を拡散させる度合いよりも上面6が光を拡散させる度合いを高くさせるようになされてもよい。
【0064】
押さえ板1−1は、読取媒体Sの全面を圧迫した状態において、副走査方向の手前側の辺が読取媒体Sよりも手前側に位置するだけの大きさであることが好ましい。このようにすれば、光源21が読取媒体Sにおける副走査方向の最も手前側を照射するときの所定反射光を遮ることができる防眩部51を押さえ板1−1内に配置することが可能となる。
【0065】
なお、本実施形態では、撮像部22が、回転軸Xの軸方向視において光源21の光軸と同軸上に配置されたが、撮像部22と光源21との相対位置はこれに限定されるものではない。例えば、光源21の光軸方向に照射される光7の方向と、撮像部22に入射される光8の方向とは異なっていてもよい。この場合、防眩部5の傾斜角度θは、光源21の光軸方向に照射される光7の入射角αと、この光7が読取媒体Sによって反射されて撮像部22に入射される光8の反射角βとの間の角度、例えば中間の角度とすることができる。
【0066】
[実施形態の第1変形例]
実施形態の第1変形例について説明する。押さえ板は、本体10に取り付け可能とされ、または本体10によって支持されるようにしてもよい。図4は、本変形例に係る押さえ板1−2を示す図である。押さえ板1−2は、軸部31を有する。軸部31は、主走査方向に延在するものであり、断面円形の棒状の部材である。押さえ板1−2は、副走査方向の奥側端部から奥側に突出する突出部32を有している。軸部31はこの突出部32に接続されている。軸部31は、本体10によって支持される被支持部として機能することができる。
【0067】
本体10の台座部11は、軸部31を支持する支持部を有している。支持部は、例えば、軸部31を鉛直方向の下方から支持することにより台座部11に対する軸部31の鉛直方向の相対位置を位置決めするものとすることができる。この場合の支持部は、回転軸Xの軸方向視における形状がU字形状の受け部とされてもよい。このようにすれば、支持部は、台座部11に対する軸部31の副走査方向の相対移動を規制することができる。また、押さえ板1−2を本体10に対して取り付け及び取り外し可能なものとすることができる。
【0068】
また、支持部は、軸部31を回転可能に保持する軸受部であってもよい。例えば、支持部は、軸部31と係合することによって軸部31が径方向に移動することを規制し、かつ軸部31が自在に回転できるように保持するものとされてもよい。ユーザーは、矢印Y1に示すように軸部31を回転中心として押さえ板1−2を回転させることができる。ユーザーは、押さえ板1−2を回転させることにより、押さえ板1−2が読取媒体Sを押さえた状態と、押さえ板1−2が読取媒体Sを圧迫していない状態とを切り替えることができる。
【0069】
押さえ板1−2は、常時本体10に取り付けられた状態で使用されるものであっても、本体10に着脱可能なものとされてもよい。また、押さえ板1−2は、折りたたみ可能とされてもよい。例えば、押さえ板1−2は、副走査方向の中央部で二つ折りとすることが可能とされてもよい。押さえ板1−2を折りたたみ可能なものとすれば、読取媒体Sを載置面2に載置したり取り出したりするときの作業スペースが小さなもので済み、押さえ板1−2の取り扱いが容易となる。また、画像読取装置1の収納時などに押さえ板1−2を折りたたむことにより、画像読取装置1のコンパクト化を図ることができる。
【0070】
押さえ板1−2を本体10に対して固定可能とし、押さえ板1−2を中空に浮かせた状態で本体10が押さえ板1−2を支持するようにしてもよい。例えば、本の見開き頁を読み取るときに、見開き頁の上に載せられた押さえ板1−2が傾斜してしまう可能性がある。押さえ板1−2が傾斜すると、防眩部5の傾斜角度θと入射角αとにずれが生じたり、防眩部5の傾斜角度θと撮像部22に入射される光8の反射角βとにずれが生じたりしてしまう虞がある。これに対して、本体10が押さえ板1−2を中空に浮かせた状態で載置面2と平行に押さえ板1−2を支持するようにすれば、防眩部5の傾斜角度θを適正に維持することができる。
【0071】
また、本体10は、押さえ板1−2を載置面2と平行に保ちながら押さえ板1−2の鉛直方向の移動を許容するガイド部を有していてもよい。このようにすれば、本等の見開き頁を押さえる場合にも押さえ板1−2を載置面2と平行に保つことが可能となる。
【0072】
[実施形態の第2変形例]
実施形態の第2変形例について説明する。上記実施形態の光源21および撮像部22は、光学ユニット20の回転に伴って読取媒体S上を走査するものであったが、これには限定されない。例えば、光源21は、固定された状態で読取媒体Sの全体に光を照射するものであってもよい。図5は、本変形例に係る画像読取装置1を示す図である。画像読取装置1において、光源21は、光学ユニット20とは独立してカバー部13に配置されており、読取媒体Sの全体に光を照射する。光源21は、カバー部13に対して固定されており、一定の位置で読取媒体Sに対して光を照射する。撮像部22は、上記実施形態と同様に光学ユニット20に配置されており、回転軸X周りに回転する。
【0073】
こうした画像読取装置1に対しても、押さえ板1−1の防眩部5は、読取媒体Sからの反射光のうち、鉛直軸Vに関して光源21からの入射光17側と反対側に向けて反射する反射光を遮る。入射光17は、固定された光源21から読取媒体S上の各部に向けて入射する光である。
【0074】
各防眩部5は、例えば、読取画像を撮像する読取位置にある撮像部22と読取画像とを結ぶ仮想線L1上に配置されている。言い換えると、防眩部5の傾斜角度θは、読取媒体Sで反射されて撮像部22に入射される光8の反射角βと同じである。また、各防眩部5は、光源21から読取媒体S上の各部に向けて入射する光17の進行方向に沿って配置されている。即ち、防眩部5の傾斜角度θは、光源21から読取媒体Sに入射する入射光17の入射角δに応じた角度である。これにより、光源21から読取媒体Sに入射する光17が防眩部5によって遮られること、および読取媒体Sで反射されて撮像部22に入射される光8が防眩部5によって遮られることがそれぞれ抑制される。
【0075】
また、撮像部22は、固定された状態で読取媒体Sの全体を撮像するエリアイメージセンサであってもよい。この場合も、防眩部5の傾斜角度θが、読取媒体Sで反射されて撮像部22に入射される光8の反射角βに基づいて設定されていれば、読取媒体Sで反射されて撮像部22に入射される光8が防眩部5によって遮られることが抑制される。
【0076】
[実施形態の第3変形例]
実施形態の第3変形例について説明する。上記実施形態の防眩部5とは異なり、本変形例の防眩部15は、副走査方向に延在している。以下の説明では、上記実施形態の主走査方向に延在する防眩部5を「第一防眩部5」とも記載し、本変形例の副走査方向に延在する防眩部15を「第二防眩部15」とも記載する。第二防眩部15は、読取媒体Sからの反射光が主走査方向に拡散することを抑制することができる。図6は、本変形例に係る押さえ板1−3を示す図である。図6には、図1とは異なり、奥行方向の手前側から見た押さえ板1−3が示されている。光源21および撮像部22の主走査方向における位置は、画像読取装置1の中央部である。押さえ板1−3は、主走査方向の中央が光源21および撮像部22の中央に対応するように配置される。光源21が照射する光は、鉛直方向下側へ向かうに従い主走査方向に広がる。
【0077】
第二防眩部15の延在する方向は、上記実施形態の第一防眩部5の延在する方向と直交する方向、すなわち副走査方向である。各第二防眩部15は、読取媒体Sからの反射光のうち、鉛直軸Vに関して光源21からの入射光27側と反対側に向けて反射する反射光29を遮る。これにより、読取媒体Sからの反射光が主走査方向に拡散することが抑制される。例えば、光源21からの光が正反射方向に拡散することが抑制される。これにより、画像読取装置1の側方に人がいたとしても、その人に眩しさを感じさせることが抑制される。
【0078】
第二防眩部15は、鉛直方向の下側から上側へ向かうに従い押さえ板1−3の幅方向の中央側へ向かうように傾斜している。第二防眩部15は、読取媒体Sで反射されて撮像部22に入射される光28に沿うように傾斜している。例えば、第二防眩部15の傾斜角度は、撮像部22に入射される光28の読取媒体Sにおける反射角と同じ角度である。これにより、第二防眩部15が撮像部22によって読み込まれる画像に写り込むことが抑制される。
【0079】
また、第二防眩部15は、光源21から読取対象ラインLの各部に入射する光27に沿うように傾斜している。例えば、第二防眩部15の傾斜角度は、読取対象ラインLの各部に入射する光27の入射角と同じ角度である。これにより、光源21から読取媒体Sに入射する光が第二防眩部15によって遮られることが抑制される。第二防眩部15において、主走査方向の中央側を向く面(以下、単に「中央側面」と記載する。)15aは、光を反射する反射面であってもよい。中央側面15aは、読取媒体Sからの反射光のうち、鉛直軸Vに関して光源21からの入射光27側と反対側に向けて反射する反射光(所定反射光)29を遮る面である。
【0080】
なお、押さえ板1−3内に第一防眩部5と第二防眩部15の両方が配置されてもよい。このようにすれば、読取媒体Sからの反射光の副走査方向の拡散および主走査方向の拡散がそれぞれ抑制される。
【0081】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0082】
1−1,1−2,1−3 押さえ板
1 画像読取装置
2 載置面
4 押さえ板本体
5 防眩部
7 光軸方向に照射される光
8 撮像部に入射される光
9 所定反射光
10 本体
20 光学ユニット
21 光源
22 撮像部
L 読取対象ライン
S 読取媒体
V 鉛直軸
W 防眩部の厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6