(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記突出部は筒状に形成され、前記ミスト放出室内の天井面に前記突出部の外周を離間して囲む外筒部が設けられていることを特徴とする請求項2または3記載の洗濯機。
前記ミスト放出室内の底面であって前記接続部の開口に対して前記ミスト発生室側に位置して、前記接続部の開口から滴下した水が前記ミスト発生室内へ流入することを規制する隔壁が設けられていることを特徴とする請求項1から4いずれか一項記載の洗濯機。
前記ミスト発生室の下部壁には、前記ミスト発生部に対して前記ミスト放出室とは反対側に位置させて水抜き口が設けられていることを特徴とする請求項1から9いずれか一項記載の洗濯機。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、洗濯機の複数の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0009】
(第一実施形態)
まず、第一実施形態について、
図1から
図7を参照して説明する。
図1に示すように、洗濯機10は、トップカバー11、外箱12、水槽13、および回転槽14を備えている。洗濯機10は、回転槽14の回転軸が地面に対して重力方向へ延びるいわゆる縦軸型であり、乾燥機能を備えた全自動洗濯機である。トップカバー11は、
図2にも示すように、枠体111、外蓋112、後カバー113、および操作パネル114などから構成されている。以下、重力方向を基準に上下を定め、また操作パネル114側を洗濯機10の前方として説明する。
【0010】
トップカバー11は、全体として上面が前方へ向かって下降傾斜する形状に形成されている。具体的には、枠体111は、例えば合成樹脂製であり、全体として上下方向に連通する矩形の筒状に形成され、上側部分が前方へ向かって下降傾斜している。枠体111は、
図3に示すように、矩形の筒状を形成する周壁が二重構造になっており、その周壁の内部には下側が開口した空間が形成されている。外蓋112は、合成樹脂製であり、矩形の板状に形成されて枠体111の上側を覆っている。この外蓋112は、後端部分を支点にして枠体111に対し回動可能であるとともに、中心部分で前後に分割されて、この中心部分を支点に折れ曲がる二つ折れ式である。これにより、外蓋112は、枠体111の上下方向の連通部分の上側、すなわち枠体111の開口を開閉する。
【0011】
また、後カバー113は、例えば合成樹脂製などで構成されている。この後カバー113は、左右方向に長い矩形の板状に形成された上面部と、この上面部と同様に板状に形成されて上面部の後端部に直角に設けられた背面部と、を一体にして構成されている。この後カバー113は、枠体111の上側であって外蓋112の後方に固定され、外蓋112とともに枠体111の上側を覆い、さらに枠体111の後側を覆っている。
【0012】
操作パネル114は、左右方向に長い矩形の板状に形成され、外蓋112に対して後カバー113とは反対側に設けられている。これら外蓋112、後カバー113、および操作パネル114は、トップカバー11の上面を構成している。操作パネル114は、詳細は図示しないが、操作部や表示部などを有し、洗濯機10の作動全般を司る図示しない制御装置に接続されている。使用者は操作パネル114の操作部を操作して、例えば洗い運転や乾燥運転などの運転モードを選択する。そして、その選択結果や運転状態などは表示部に表示される。
【0013】
外箱12は、鋼板などによって、上側が開口した矩形の箱体に形成されている。そして、トップカバー11は、外箱12の上側に設けられ、外箱12の上側の開口を覆っている。この場合、トップカバー11および外箱12は、洗濯機10の外殻を構成している。外箱12の内部には、槽として水槽13および回転槽14が設けられている。水槽13は、中心軸が上下方向へ延びる円筒状に形成されて、外箱12の内部に収容されている。この水槽13の上面は、
図4に示す水槽カバー131によって構成されている。水槽カバー131には、その一部に図示しないほぼ円形の開口が形成されているとともに、この開口を開閉する図示しない内蓋が設けられている。
【0014】
水槽カバー131には、
図4に示すように、排気口15および給気口16が設けられている。これら排気口15および給気口16は、水槽カバー131を貫いて水槽13の内部に連通している。また、この水槽13は、詳細は図示しないが、外箱12の四隅から垂れ下がる防振装置に吊り下げられている。これにより、水槽13は外箱12に対して弾性的に支持されている。
【0015】
回転槽14は、上側が開口した円筒状に形成されて、水槽13の内部に収容されている。回転槽14は、上下方向へ延びる回転軸を水槽13の中心軸と一致させて、この回転軸を中心に水槽13に対して相対的に回転する。この場合、詳細は図示しないが、回転槽14の底部付近には、撹拌羽根いわゆるパルセータが回転槽14に対して相対回転可能に設けられている。このパルセータは、回転されることにより回転槽14内の洗濯水に水流を起こし、これにより回転槽14内に収容された洗濯物が洗濯される。
【0016】
水槽13の下面外側には、パルセータおよび回転槽14を回転駆動する駆動装置が設けられている。駆動装置は、モータやクラッチなどで構成されている。この駆動装置は、洗濯、すすぎ運転時には、回転槽14に対して図示しないパルセータを相対的に回転させて、回転槽14内部の洗濯水に水流を起こす。また、脱水運転時には、回転槽14および図示しないパルセータを一体的に一方向へ高速回転させて、これにより洗濯物を遠心脱水する。この場合、モータは、例えばその回転力を回転槽14およびパルセータに対して直接伝達する、いわゆるダイレクトドライブモータでもよいし、また、例えばブラシレスモータと減速機とを組み合わせたものでもよい。
【0017】
この構成において、洗濯物は、外蓋112、および水槽13の内蓋を開放した状態で、枠体111の内側、水槽カバー131の開口、および回転槽14の開口を通して出し入れされる。また、回転槽14は、詳細は図示しないが、円筒状の筒状部分の全域に複数の孔が形成されている。この複数の孔は、洗濯運転時および脱水運転時には水が出入りする通水孔として機能し、乾燥運転時には空気が出入りする通風孔として機能する。
【0018】
トップカバー11には、
図2にも示すように、後カバー113の左側部分に位置して給水口17および風呂水給水口18が設けられている。給水口17および風呂水給水口18は、図示しない給水装置に接続されている。この給水装置は、給水口17および風呂水給水口18の下方に位置してトップカバー11の内部に設けられている。給水口17は、図示しないホースを介して水道の蛇口に接続される。一方、風呂水給水口18には、図示しない風呂水取水用のホースが接続され、図示しないポンプによって風呂水が汲み上げられる。そして、水道水や風呂水は、これら給水口17又は風呂水給水口18を通し、図示しない給水装置を介して水槽13および回転槽14内へ供給される。
【0019】
また、洗濯機10は、温風供給装置19を備えている。温風供給装置19は、水槽13および回転槽14内へ洗濯物の乾燥用の温風を供給する。この温風供給装置19は、
図2および
図3に示すように、後カバー113の右側部分に位置してトップカバー11の内部に設けられている。温風供給装置19は、ケース20によって外殻が構成されている。この温風供給装置19は、
図4に示すように、ケース20の内部に、第一フィルタ21、第二フィルタ22、送風装置23、ヒータ24、およびサーミスタ25などを収容して構成されている。
【0020】
具体的には、ケース20は、その内部において上流側から順に、フィルタケース部201と、ファンケース部202と、ヒータケース部203とが一体に構成されている。ケース20内における最上流側つまりフィルタケース部201の上流側には、排気ダクト26の一端側が接続されている。そして、排気ダクト26の他端側は、水槽13の上面に設けられた排気口15に接続されている。また、ケース20内における最下流側つまりヒータケース部203の下流側には、給気ダクト27の一端側が接続されている。そして、給気ダクト27の他端側は、水槽13の上面に設けられた給気口16に接続されている。これにより、ケース20は、その内部において、上流側および下流側がともに水槽13内および回転槽14内に連通している。水槽13および回転槽14内の空気は、
図4の矢印Cに示すように、排気ダクト26、ケース20、および給気ダクト27内を通って循環する。この場合、これら排気ダクト26、ケース20、および給気ダクト27のそれぞれの内部によって、水槽13および回転槽14に連通する風路この場合循環風路が形成されている。
【0021】
第一フィルタ21および第二フィルタ22は、フィルタケース部201内において上流側から順に設けられている。第二フィルタ22は、例えば第一フィルタ21よりも目の細かいものとしている。この場合、糸くずなど比較的大きな異物を第一フィルタ21で捕獲し、第一フィルタ21で逃した比較的小さな異物を第二フィルタ22で捕獲するようにしている。
【0022】
送風装置23は、例えば複数の羽根を有するいわゆるシロッコファンなどであり、送風羽根231およびファンモータ232などから構成されている。送風羽根231は、ファンケース部202内における上流側、つまりファンケース部202内にあってフィルタケース部201との接続部分の近傍に設けられている。この場合、送風羽根231は、風路内に設けられている。送風装置23は、送風羽根231がファンモータ232によって回転されることに基づき、フィルタケース部201側の空気をヒータケース部203側へ送風する。また、ファンケース部202の途中部分には、ファンケース部202と外部とを連通する排出口204が形成されているとともに、この排出口204を開閉するダンパ28が設けられている。排出口204を開放した状態で送風装置23が駆動されると、送風装置23から送風される空気の一部は、矢印Dに示すように、排出口204を通って外部へ排出される。
【0023】
ヒータ24およびサーミスタ25は、ヒータケース部203内において上流側から順に設けられている。ヒータ24は、ヒータケース部203内の空気を加熱する。また、サーミスタ25は、ヒータケース部203内の空気の温度を検出する。これにより、送風装置23の駆動によってファンケース部202から送風された空気は、ヒータ24およびサーミスタ25によって、洗濯物の乾燥に適した温度に加熱される。
【0024】
また、洗濯機10は、
図3および
図4に示すように、ミスト発生装置29を備えている。ミスト発生装置29は、いわゆる静電霧化装置であり、静電霧化を利用して、除菌や脱臭などの作用を有するミスト、この場合ヒドロキシラジカルを含むミストを発生させる。このミスト発生装置29は、
図3に示すように、外箱12の右側上部に設けられ、トップカバー11内部すなわち枠体111の周壁の内側に収容されている。
【0025】
ミスト発生装置29は、具体的には
図5に示すように、外ケース30の内部に電源ユニット31および霧化ユニット32を収容して構成されている。電源ユニット31は、詳細は図示しないが、交流電源を直流に変換する整流回路や昇圧回路などで構成され、霧化ユニット32に対して例えば−4.5kVの負の高電圧を出力する。また、外ケース30には、
図6に示すように、電源ユニット31と霧化ユニット32との間に位置して開口部301が形成されている。この場合、
図4および
図6の矢印Eに示すように、開口部301を通して外ケース30内に外気が取込まれる。
【0026】
霧化ユニット32は、
図6および
図7に示すように、霧化ユニットケース33内に、ミスト発生部34および給水部35などを収容して構成されている。霧化ユニットケース33は、上下に分割された上ケース331および下ケース332から構成されている。上ケース331および下ケース332の接続部分は、下ケース332の上側部分が上ケース331の下側部分の内側に入り込んだ、いわゆるラビリンス構造に構成されている。これにより、霧化ユニットケース33の外部で発生した水滴などが、上ケース331と下ケース332との接続部分から霧化ユニットケース33内へ浸入することを抑制している。
【0027】
そして、霧化ユニットケース33内には、ミスト発生室36およびミスト放出室37が形成されている。ミスト放出室37は、ミスト発生室36に対して横方向、この場合水平方向における後方に併設されてミスト発生室36に連通している。また、ミスト発生室36の底面は、ミスト放出室37の底面に対して下方に位置している。霧化ユニットケース33には、ミスト発生室36の前側部分すなわち
図6における左側に、上側取込み口333、および上側取込み口333の下方に位置する下側取込み口334が形成されている。開口部301から外ケース30内に取込まれた外気は、
図6の矢印F、Gに示すように、上側取込み口333および下側取込み口334からミスト発生室36内へ取込まれる。
【0028】
ミスト発生部34は、ミスト発生室36内の下側部分に設けられている。具体的には、ミスト発生部34は、保水部材38、導電部材39、および複数のミスト放出電極40などから構成されている。この場合、ミスト発生室36の底面側から上方へ向かって、保水部材38、導電部材39、複数のミスト放出電極40の順に配置されている。
【0029】
保水部材38は、多孔質材料、例えばポリエステルなどの樹脂繊維から構成されるフェルト材や、微小な連続気泡を有する樹脂の発泡体などで構成され、吸水性および保水性を有している。この保水部材38は、ほぼ矩形のシート状に形成され、ミスト発生室36内の底面の上側に配置されているとともに、その一部がミスト発生室36内の下側部分の側面に沿って配置されている。
【0030】
また、導電部材39は、例えば、ポリエステルなどの樹脂繊維と導電性物質としてのカーボン繊維とを混紡したものや、微小な連続気泡を有する樹脂の発泡体に導電性物質としてのカーボン粉末を添加したものなどで構成され、吸水性、保水性、および導電性を有している。導電部材39は、ほぼ矩形のシート状に形成されて、保水部材38の上側に設けられている。そして、導電部材39は、詳細は図示しないが、電源ユニット31の出力側の電極が接続されている。これにより、電源ユニット31から出力された高電圧は、導電部材39に印加される。
【0031】
ミスト放出電極40は、例えば、ポリエステルなどの樹脂繊維と導電性物質としてのカーボン繊維とを撚り合せたもので構成され、吸水性、保水性、水の吸い上げ特性、および導電性を有している。この場合、ミスト放出電極40に、白金ナノコロイドを担持させてもよい。ミスト放出電極40は、上下方向へ延びるピン状に形成され、支持部材41を上下方向へ貫いて設けられている。これにより、ミスト放出電極40は、支持部材41に支持されている。この場合、支持部材41には、四本のミスト放出電極40が設けられている。
【0032】
このミスト放出電極40の上側部分は、支持部材41の上面から上方へ向かって突出し、上側へ向かって先細るとともに、その先端部が滑らかな曲面に形成されている。また、ミスト放出電極40の下側部分は、支持部材41の下面から下方へ向かって突出している。この場合、ミスト放出電極40は、
図7に示すように、底面および下側の外周面の一部が導電部材39に接触している。これにより、ミスト放出電極40は、導電部材39を介して、保水部材38に保水された水を吸い上げる。また、ミスト放出電極40には、導電部材39を介して、電源ユニット31から出力された負の高電圧が印加される。
【0033】
ミスト放出電極40は、内部に水を含んだ状態で負の高電圧が印加されると、静電霧化現象を発生させる。つまり、内部に保水した状態のミスト放出電極40に対して負の高電圧を印加すると、ミスト放出電極40の先端部に電荷が集中する。ミスト放出電極40の先端部に集中した電荷は、この先端部に含まれる水に対して表面張力を超えるエネルギーを与える。すると、ミスト放出電極40の先端部では、エネルギーを与えられた水がレイリー分裂を起こして微細な霧状の粒子に分裂する静電霧化現象が発生する。このとき、ミスト放出電極40の先端部からは、ヒドロキシラジカルを含み負に帯電した水粒子つまりミストが放出される。このミストは、ヒドロキシラジカルの強い酸化作用によって、除菌や脱臭などの効果を発揮する。
【0034】
この場合、ミスト発生部34は、ミスト放出電極40に対応する対極を設けていない。そのため、ミスト放出電極40からの放電は非常に穏やかなものになる。これにより、放電電極と対極との間でコロナ放電が発生することなく、オゾンなどの有害ガスの発生を抑制することができる。
【0035】
給水部35は、ミスト発生室36内の上側部分において、ミスト発生部34の上方に設けられている。具体的には、給水部35は、ペルチェ素子42、冷却板43、および放熱器44などから構成されている。この場合、冷却板43は、ペルチェ素子42の下側に設けられ、放熱器44は、ペルチェ素子42の上側に設けられている。
【0036】
ペルチェ素子42は、吸熱面421および発熱面422を構成する二種の金属片を接合して板状に構成されている。ペルチェ素子42は、電圧が印加されると、吸熱面421側から発熱面422側へ熱が移動するペルチェ効果が生じ、これにより吸熱面421が冷却されるとともに、発熱面422が発熱する。このペルチェ素子42は、吸熱面421を下方すなわちミスト放出電極40側へ向けるとともに、発熱面422を上方へ向けて設けられている。ペルチェ素子42の下側には、吸熱面421に接触させて冷却板43が設けられている。冷却板43は、例えばアルミなどの熱伝導率が高い金属板などで構成されている。そして、ペルチェ素子42および冷却板43は、保持部材45の内部に保持されている。保持部材45は、例えば絶縁性および耐熱性に優れる樹脂などで構成されている。
【0037】
また、冷却板43の下側の面には絶縁シート46が設けられている。絶縁シート46は、例えば、50μm程度の厚さのポリエステルフィルムで構成され、電気絶縁縁性に加え、耐水性および耐熱性にも優れている。絶縁シート46は、冷却板43よりも大きなシート状に形成され、その一方の面つまり冷却板43側の面に粘着面を有して冷却板43の下側の面に貼り付けられている。このように、絶縁シート46は、冷却板43の下側の面を覆うことにより、冷却板43とミスト放出電極40との間を電気的に絶縁している。つまり、絶縁シート46によって、ミスト発生部34と、ペルチェ素子42との間が電気的に絶縁されている。この場合、絶縁シート46は電気絶縁部として機能している。
【0038】
ペルチェ素子42の上側には、放熱器44が設けられている。放熱器44は、例えばアルミなどの熱伝導率の高い材料で構成されている。放熱器44は、台座部441および複数の放熱部442を一体に形成されている。台座部441は、ペルチェ素子42の発熱面422に平行な板状に形成され、この発熱面422に近接または接触して設けられている。放熱部442は、板状に形成され、台座部441に対して直角に設けられている。
【0039】
この構成において、ペルチェ素子42に電圧が印加されると、ペルチェ素子42は、ペルチェ効果によって吸熱面421が冷却されるとともに発熱面422が発熱する。発熱面422に生じた熱は、放熱器44の台座部441から放熱部442へ伝わり、放熱部442から空気中へ放熱される。この場合、上側取込み口333からミスト発生室36内の上部に取込まれた空気が複数の放熱部442の間を流れることによって、放熱部442に伝わった熱が効率よく空気中へ放熱される。
【0040】
一方、ペルチェ素子42は、吸熱面421が冷却されることにより、冷却板43および絶縁シート46を介して絶縁シート46周辺の空気を冷却する。すると、絶縁シート46の下面には、周囲の空気中の水分が結露して水滴が生じる。この結露水が、ミスト発生用の水として、ミスト放出電極40に供給される。このように、給水部35は、ペルチェ素子42の駆動によって絶縁シート46に生じる結露水を、ミスト発生用の水としてミスト発生部34のミスト放出電極40へ供給する。この場合、下側取込み口334からミスト発生室36内の下部に新鮮な外気を取込むことによって、効率よく水滴を発生させることができる。
【0041】
絶縁シート46の下面とミスト放出電極40の先端との間の寸法は、絶縁シート46の下方にミスト放出電極40が存しない場合において、絶縁シート46の下面に生じる水滴がその自重によって落下する直前の大きさに成長した場合の、その水滴の上下方向の寸法よりも十分に小さい寸法、例えば0.5mm程度に設定されている。これにより、絶縁シート46の下面に生じる水滴は、その自重によって落下する大きさに成長する前に、ミスト放出電極40の先端に接触して、ミスト放出電極40に吸い込まれる。なお、絶縁シート46の下面に生じる水滴の大きさは、絶縁シート46の表面状態、例えば粗さや濡れ性によって異なる。そのため、絶縁シート46の下面とミスト放出電極40の先端との間の寸法は、絶縁シート46の表面状態などの特性に応じて適宜変更することが好ましい。
【0042】
ミスト発生室36の下部壁つまり下ケース332には、この下ケース332を上下方向貫いて水抜き口361が形成されている。この水抜き口361は、ミスト発生室36内において、ミスト発生部34のミスト放出電極40に対してミスト放出室37とは反対側に位置し、ミスト発生室36内と外部この場合外ケース30の内側とを連通している。保水部材38の保水許容量を超える水がミスト発生室36内に生じると、その水は、水抜き口361を通して霧化ユニット32の下方へ排出され、さらに外ケース30内の底面に滴下されて蒸発する。
【0043】
また、霧化ユニットケース33は、
図6に示すように、接続部47、突出部48、および外筒部49を有している。これら接続部47、突出部48、および外筒部49は、上ケース331と一体に形成されている。具体的には、接続部47は、管状に形成され、ほぼ水平方向へ延びる管状の一方の端が直角に曲げられてミスト放出室37の上部壁すなわち上ケース331の上側に接続されている。この接続部47の一方の端は、ミスト放出室37内において下方へ向かって開口している。また、接続部47は、他方の端が、接続管50の一方の端に接続されている。接続管50の他方の端は、
図4に示すように、風路を形成するケース20に接続されている。この場合、接続管50の他方の端は、フィルタケース部201における第一フィルタ21と第二フィルタ22との間に接続されている。これにより、接続部47は、他方の端が、接続管50を介して風路を形成するケース20における送風羽根231の上流側に接続されている。
【0044】
突出部48は、円筒状に形成されている。この突出部48は、
図6に示すように、ミスト放出室37内の天井面、すなわち上ケース331のミスト放出室37部分における下側の面から、ミスト放出室37内において下方へ突出して設けられている。突出部48は、その内周面が接続部47の内周面と滑らかに連続している。そして、突出部48は、ミスト放出室37内と接続部47内とを連通させている。つまり、ミスト放出室37内は、突出部48、接続部47、および接続管50を介して、ケース20に連通している。なお、この場合、突出部48の内径は接続部47の内径と一致しているが、突出部48の内径は接続部47の内径よりも小さくてもよい。
【0045】
また、この突出部48は、その下側端部が、ミスト放出室37内の底面すなわち下ケース332のミスト放出室37部分における上側の面から所定寸法よりも大きく離間している。この場合、所定寸法とは、突出部48の下側端部に結露などによって生じる水滴が、その自重で落下する直前の大きさに成長した場合の、その水滴の上下方向の寸法を意味している。この所定寸法は、突出部48の内周面の表面状態、例えば粗さや濡れ性などの特性に基づいて決定される。本実施形態の場合、突出部48の下側端部は、ミスト放出室37の底面から例えば5mm以上離間している。
【0046】
外筒部49は、その内径が突出部48の外径よりも大きい円筒状に形成されている。そして、外筒部49は、ミスト放出室37内の天井面からミスト放出室37内において下方へ向かって、突出部48の突出量と同程度突出して設けられている。また、外筒部49の内周面は、突出部48の外周面から離間している。これにより外筒部49の内周面と突出部48の外周面との間に隙間が形成されている。この隙間は、下側においてミスト放出室37内と連通している。このように、外筒部49は、突出部48の外周を離間して囲んでいる。
【0047】
また、霧化ユニットケース33は、隔壁51を有している。隔壁51は、下ケース332と一体に形成されている。具体的には、隔壁51は、ミスト放出室37内の底面すなわち下ケース332のミスト放出室37側部分における上側の面であって、接続部47の開口に対してミスト発生室36側に位置して設けられている。また、この場合、隔壁51は、外筒部49の外周面よりもミスト発生室36側に位置している。この隔壁51は、板状に形成されて、ミスト放出室37内の下部における両側面すなわち下ケース332のミスト放出室37側部分における左右両側の面を繋いでいる。そのため、ミスト放出室37内の下側部分は、隔壁51によって前後に区分けされている。この場合、ミスト放出室37内の下側部分において隔壁51よりも後側すなわち接続部47側は、隔壁51および下ケース332の内側面によって囲まれた貯水部52を形成している。
【0048】
次に、上記構成の作用について説明する。
図示しない制御装置は、使用者が操作パネル114を操作して運転モードが設定されると、設定された運転モードに応じて、洗い、すすぎ、脱水運転の他、乾燥運転および除菌脱臭運転の各運転を実行する。以下、そのうちの乾燥運転および除菌脱臭運転について説明する。
【0049】
まず、乾燥運転について説明する。
図示しない制御装置は、乾燥運転を開始すると、送風装置23およびヒータ24を駆動するとともに、ダンパ28を駆動して排出口204を開放する。水槽13および回転槽14内の空気は、送風装置23が駆動されると、その送風作用によって、水槽13および回転槽14内と、ケース20内とを循環する。つまり、水槽13および回転槽14内の空気は、送風装置23の送風作用によって、排気口15から排気ダクト26を介してフィルタケース部201内に吸い込まれる。そして、フィルタケース部201内に吸い込まれた空気は、ファンケース部202およびヒータケース部203を通り、給気ダクト27を介して再び給気口16から水槽13および回転槽14内へ送風される。
【0050】
このとき、空気中に含まれる糸くずなどの異物は、フィルタケース部201内において第一フィルタ21および第二フィルタ22を通る際に取り除かれる。また、送風装置23によって送風される空気は、ヒータケース部203内を通る際に、ヒータ24によって加熱される。これにより、給気口16から洗濯物の乾燥用の温風が供給される。回転槽14内の洗濯物は、この温風と熱交換するとともに湿気が奪われることによって乾燥される。乾燥作用を終えて湿気を含んだ空気は、送風装置23の送風作用によって、再びフィルタケース部201内に吸い込まれる。
【0051】
この場合、送風装置23の上流側となるフィルタケース部201内には、送風装置23の送風作用によって負圧が生じる。この負圧によって、フィルタケース部201内には外気が取り込まれる。つまり、外気は、外ケース30の開口部301から外ケース30内に入り、さらに、霧化ユニットケース33の上側取込み口333および下側取込み口334から霧化ユニットケース33内に入る。そして、霧化ユニットケース33内において、ミスト発生室36、ミスト放出室37、接続部47を通り、さらに接続管50を通ってフィルタケース部201内に吸い込まれる。このとき、接続部47および接続管50を流れる空気によって、接続部47や接続管50に存在する結露水などが蒸発する。
【0052】
一方、送風装置23によって下流側へ送風された空気は、その一部が、ファンケース部202内において排出口204から外部へ排出される。これにより、乾燥作用を終えて湿気を含んだ空気の一部が外部へ排出される。このようにして、水槽13および回転槽14内と、ケース20内とを循環する空気の一部が、新鮮な外気に入れ替えられる。
【0053】
次に、除菌脱臭運転について説明する。
図示しない制御装置は、除菌脱臭運転を開始すると、まず、送風装置23を駆動するとともに、ペルチェ素子42に電圧を印加して、ミスト放出電極40にミスト発生用の水を供給する。この場合、送風装置23の送風作用によって生じるフィルタケース部201内の負圧により、ミスト発生室36内には、矢印F、Gに示すように、上側取込み口333および下側取込み口334からミスト放出室37側へ向かう空気の流れが生じる。この場合、上側取込み口333から取込まれる空気は、放熱器44の複数の放熱部442の間を通って放熱器44を冷却する。これにより、ペルチェ素子42の発熱面422は冷却される。この給水部35からミスト発生部34への給水は、10分程度継続される。
【0054】
制御装置は、ペルチェ素子42に対する電圧供給を停止してミスト発生部34への給水を終了すると、引き続き送風装置23を駆動するとともに、ミスト放出電極40へ負の高電圧を印加する。この場合、ファンケース部202の排出口304は、ダンパ28によって閉鎖されている。ミスト放出電極40は、負の高電圧が印加されると、先端部で静電霧化現象が発生して、除菌や脱臭などの作用を有するミストを発生する。このとき、送風装置23の送風作用によって、ケース20内のフィルタケース部201には負圧が生じている。ミスト放出電極40で発生したミストは、この負圧によって、
図6の矢印Hに示すようにミスト放出室37へ流れ、さらに
図4および
図6の矢印Iに示すように、接続部47および接続管50を通ってファンケース部202内に吸い込まれる。そして、ファンケース部202内に吸い込まれたミストは、送風装置23の送風作用によって、給気口16から回転槽14内へ供給される。このように、ミスト発生部34で発生したミストは、水槽13および回転槽14内へ連通する風路つまりケース20内を通って、水槽13および回転槽14内へ供給される。回転槽14内の洗濯物は、このミストが触れることによって除菌および脱臭される。
【0055】
ここで、接続部47、接続管50、およびケース20などにおいて、内部の高温多湿の空気が外気との温度差によって冷却されると、接続部47、接続管50、およびケース20などの内側面に結露が生じることがある。この場合、接続部47の開口周辺に生じた結露水は、接続部47の内周面および突出部48の内周面を伝い、突出部48の下側端部から水滴となってミスト放出室37の底面に滴下される。そして、滴下した水滴は、ミスト放出室37内において、隔壁51および下ケース332の内側面に囲まれて形成された貯水部52に貯水される。このように、隔壁51は、突出部48からミスト放出室37内の底面に滴下した水が、ミスト発生室36内へ流入することを規制している。また、仮に結露水が隔壁51を超えてミスト発生室36側に流入した場合、その結露水は、保水部材38に吸収されるとともに水抜き口361からミスト発生室36の外部へ排出される。
【0056】
本実施形態の場合、霧化ユニットケース33内には、ミスト発生室36およびミスト放出室37が形成されている。このミスト放出室37は、ミスト発生室36に対して横方向、この場合水平方向に併設されている。また、ミスト発生部34はミスト放出電極40を有してミスト発生室36内に設けられている。そして、霧化ユニットケース33内とケース20内とを連通する接続部47は、一方の端がミスト放出室37の上部壁に接続されるとともにミスト放出室37内において下方へ向かって開口している。
【0057】
この構成によれば、接続部47は、ミスト発生部34のミスト放出電極40の真上から横方向つまり水平方向へずれた位置に設けられている。この場合、接続部47の内側に生じる結露水は、ミスト発生部34のミスト放出電極40に対して直接滴下されることがない。そのため、ケース20内に生じた結露水と、ミスト発生部34のミスト放出電極40とが電気的に導通することが抑制される。つまり、高電圧が印加されるミスト放出電極40と、ケース20内に設けられた送風装置23などの電気部品とが、結露水を介して電気的に導通することが抑制される。したがって、ミスト放出電極40に印加された高電圧が、結露水を介して送風装置23などの電気部品に印加されることを低減でき、その結果、これら電気部品の安全性および信頼性の向上を図ることができる。
【0058】
また、ミスト放出室37の天井面には、突出部48が設けられている。突出部48は、円筒状に形成され、ミスト放出室37内の天井面からミスト放出室37内において下方へ突出している。この構成によれば、接続部47および突出部48の内側に生じた結露水は、ミスト放出室37内の天井面を伝わることなく、突出部48の下側先端部から滴下される。そのため、接続部47および突出部48の内側に生じる結露水と、ミスト放出室37内の天井面および側面に生じる結露水とが、電気的に接続されることが抑制される。これにより、ミスト放出電極40に印加された高電圧が、ミスト放出室37内の天井面および側面に生じる結露水を介して送風装置23などの電気部品に印加されることを低減でき、その結果、これら電気部品の安全性および信頼性の向上を図ることができる。
【0059】
さらに、突出部48は、その下側端部が、ミスト放出室37内の底面から所定寸法よりも大きく離間している。これによれば、突出部48から滴下する水滴が、突出部48から離れる前にミスト放出室37内の底面に接触することが抑制される。このため、突出部48とミスト放出室37内の底面とが水滴を介して電気的に接続されることが抑制される。これにより、ミスト放出電極40に印加された高電圧が、ミスト放出室37内の底面に生じる結露水を介して送風装置23などの電気部品に印加されることを低減でき、その結果、これら電気部品の安全性および信頼性の向上を図ることができる。
【0060】
また、霧化ユニットケース33は、外筒部49を有している。この外筒部49は、ミスト放出室37内の天井面から下方へ突出して設けられ、突出部48の外周を離間して囲っている。この場合、突出部48の外周面と外筒部49の内周面との間の隙間によって空気の層が形成されている。この空気の層は、対流が起こり難いため、断熱効果を有している。このため、突出部48付近において、霧化ユニットケース33の外部と突出部48の内側とに温度差がある場合であっても、突出部48の内側の空気の冷却が抑制される。その結果、突出部48の内側に生じる結露を低減することができる。
【0061】
さらに、ミスト放出室37の底面には隔壁51が設けられ、この隔壁51は、下ケース332の内側面とともに貯水部52を形成している。そして、突出部48から滴下した結露水は、この貯水部52に貯水される。この構成によれば、突出部48からミスト放出室37内の底面に滴下された結露水は、隔壁51によって、ミスト発生室36側への流入が規制される。これにより、ミスト放出電極40に印加された高電圧が、ミスト放出室37内の底面に存在する水を介して送風装置23などの電気部品に印加されることを低減でき、その結果、これら電気部品の安全性および信頼性の向上を図ることができる。
【0062】
また、給水部35は、ペルチェ素子42を有して構成されている。この構成によれば、ミスト発生部34に対して外部からミスト発生用の水を供給する必要がなくなり、利便性が向上する。
【0063】
そして、冷却板43の下面には絶縁シート46が設けられ、これにより、ペルチェ素子42とミスト発生部34との間が電気的に絶縁されている。そして、この絶縁シート46の下面とミスト放出電極40の先端との間の寸法は、絶縁シート46の下面に生じる水滴の上下方向の寸法よりも小さい。この構成によれば、ペルチェ素子42の駆動によって絶縁シート46の下面に生じる水滴は、自重によって落下する前に、ミスト放出電極40に接触し、このミスト放出電極40に吸収される。このため、効率よくミスト放出電極40に給水することができる。
【0064】
さらに、ミスト発生室36の下部壁には、ミスト発生部34のミスト放出電極40に対してミスト放出室37とは反対側に位置して水抜き口361が形成されている。この構成によれば、仮に結露水などが隔壁51を超えてミスト発生室36側に流入し、さらに保水部材38の保水許容量を超えた場合であっても、そのような水は、水抜き口361を通して霧化ユニット32の下方へ排出される。そのため、ミスト発生室36内に水が溜まることを抑制することができる。
【0065】
さらに、水抜き口361は、ミスト放出電極40に対して上流側に形成されている。このため、ミスト放出電極40から発生したミストが水抜き口361から外部へ排出されてしまうことを抑制することができる。これにより、ミスト発生部34で発生したミストを、効率よく回転槽14内へ供給することができる。
【0066】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について
図8を参照して説明する。
この第二実施形態は、突出部53の形状が第一の実施形態と異なっている。
つまり、第二実施形態において突出部53は、その下端の切り口が水平方向に対して傾斜した鋭利形状になっている。そして、突出部53は、ミスト放出室37内の天井面からの突出量が最大である部分、つまり鋭利形状の最下端部分が、ミスト発生室36に対して奥側に位置して設けられている。
この構成によれば、接続部47および突出部53の内側で生じた結露水は、突出部53の鋭利形状の最下端部分に集まる。これにより、水滴の成長が促進され、効率よく水滴を滴下させることができる。
【0067】
また、突出部53は、ミスト発生室36を基準にして前側よりも奥側の方がミスト放出室37内の天井面からの突出量が大きい。このため、ミスト発生室36側から放出されたミストは、
図8の矢印Jに示すように、奥側に位置する突出部53の内側の面に沿って流れる。これにより、ミスト発生部34で発生したミストを、さらに効率よく回転槽14内へ供給することができる。
【0068】
以上説明した実施形態によれば、洗濯機は、ミスト発生室、およびミスト発生室に対して横方向に併設されたミスト放出室を備えている。槽内へ連通する風路とミスト放出室とを接続する接続部は、一方の端がミスト放出室の上部壁に接続されるとともにミスト放出室内において下方へ向かって開口している。これによれば、接続部の内側に生じる結露水は、ミスト発生部に対して直接滴下されることがない。そのため、ミスト発生部と風路内に設けられた電気部品とが、結露水を介して電気的に接続されることが抑制される。したがって、ミスト発生部に印加された高電圧が、結露水を介して風路内の電気部品に印加されることを低減でき、その結果、これら電気部品の安全性および信頼性の向上を図ることができる。
【0069】
なお、洗濯機10は、水槽13の中心軸および回転槽14の回転軸が水平または傾斜するいわゆるドラム式洗濯機でもよい。
また、給水部35は、ペルチェ素子42を用いるものに限らず、例えば給水ケースなど有して使用者が手動で給水するものや、水道から直接給水するものでもよい。
さらに、除菌脱臭運転時において、回転槽14は、静止させていてもよいし、モータを駆動させて回転させてもよい。
また、必ずしも温風供給装置19を備えている必要はない。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。