(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記変速速度補正部は、前記加速モードにおけるダウンシフト変速での変速速度を、前記加速意図の要求程度が小さいほうが前記加速意図の要求程度が大きい場合よりも遅くなるように補正することを特徴とする請求項4に記載の無段変速機の変速制御装置。
前記変速速度補正部は、前記変速速度設定部で設定された変速速度に、前記加速意図があると判定された時点のアクセル開度Toに基づいて決まる補正係数を乗算して、前記補正後の変速速度を決定することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の無段変速機の変速制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明にかかるベルト式の無段変速機の実施形態を説明する。
ベルト式の無段変速機10は、プライマリプーリ11と、セカンダリプーリ12と、Vベルト13と、CVTコントロールユニット20と、油圧コントロールユニット30とを備える。
【0013】
プライマリプーリ11は、エンジン1と同軸に配置されており、エンジン1とプライマリプーリ11の間には、エンジン1側から順に、トルクコンバータ2、前後進切替え機構3が設けられている。
【0014】
トルクコンバータ2は、エンジン1の出力軸に連結されるポンプインペラ2a、前後進切替え機構3の入力軸に連結されるタービンランナ2b、ステータ2c、およびロックアップクラッチ2dを備える。
【0015】
前後進切替え機構3は、ダブルピニオン遊星歯車組3aを主たる構成要素とし、そのサンギヤはトルクコンバータ2のタービンランナ2bに結合され、キャリアはプライマリプーリ11に結合される。
前後進切替え機構3は、ダブルピニオン遊星歯車組3aのサンギヤとキャリアとの間を直結する発進クラッチ3b、およびリングギヤを固定する後進ブレーキ3cをさらに備える。そして、発進クラッチ3bの締結時には、エンジン1からトルクコンバータ2を経由した入力回転がそのままプライマリプーリ11に伝達され、後進ブレーキ3cの締結時には、エンジン1からトルクコンバータ2を経由した入力回転が逆転され、プライマリプーリ11に伝達される。
【0016】
プライマリプーリ11は、このベルト式の無段変速機10にエンジン1の回転を入力する入力軸側のプーリである。プライマリプーリ11は、入力軸11dと一体となって回転する固定円錐板11bと、この固定円錐板11bに対向配置されてV字状のプーリ溝を形成するとともに、プライマリプーリシリンダ室11cへ作用する油圧(プライマリ圧Ppri)によって軸方向へ変位可能な可動円錐板11aとを備える。
プライマリプーリ11には、前後進切替え機構3と、トルクコンバータ2とを介して、エンジン1の回転駆動力が入力される。
プライマリプーリ11の回転速度は、プライマリプーリ回転速度センサ26によって検出される。
【0017】
セカンダリプーリ12は、出力軸12dと一体となって回転する固定円錐板12bと、この固定円錐板12bに対向配置されてV字状のプーリ溝を形成するとともに、セカンダリプーリシリンダ室12cへ作用する油圧(セカンダリ圧Psec)によって軸方向へ変位可能な可動円錐板12aとを備える。
【0018】
セカンダリプーリ12は、アイドラギア14とアイドラシャフトとを介して、ディファレンシャル4と連結しており、Vベルト13によって伝達された回転を、ディファレンシャル4に出力する。
セカンダリプーリ12の回転速度は、セカンダリプーリ回転速度センサ27によって検出される。
【0019】
Vベルト13は、プライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12に巻き掛けられており、プライマリプーリ11の回転をセカンダリプーリ12に伝達する。
【0020】
CVTコントロールユニット20は、目標プーリ比やVベルト13の接触摩擦力などを決定し、油圧コントロールユニット30に指令を送信して、無段変速機10を制御する。ここで、プーリ比は、セカンダリプーリ12の有効半径をプライマリプーリ11の有効半径で除した値であり、変速比と同義である。
さらに、CVTコントロールユニット20は、油圧コントロールユニット30に指令を送信して、前後進切替え機構3の摩擦締結要素(発進クラッチ3b、後進ブレーキ3c)や、トルクコンバータ2のロックアップクラッチ2dの締結・解放などを制御する。
【0021】
油圧コントロールユニット30は、CVTコントロールユニット20からの指令に基づいて、プライマリプーリ11のプライマリプーリシリンダ室11cに作用する油圧(プライマリ圧Ppri)と、セカンダリプーリ12のセカンダリプーリシリンダ室12cに作用する油圧(セカンダリ圧Psec)とを制御する。
【0022】
ベルト式の無段変速機10では、プライマリプーリ11に入力された回転が、Vベルト13を介してセカンダリプーリ12に伝達されて、プライマリプーリ11とセカンダリプーリ12とが回転している際に、可動円錐板11aと可動円錐板12aとが、プライマリ圧とセカンダリ圧に応じて、回転軸方向に往復移動する。
可動円錐板11aと可動円錐板12aが移動すると、プーリ溝幅が変化して、Vベルト13がプライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12上で径方向に移動するので、Vベルト13のプライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12に対する接触半径が連続的に変わり、プーリ比とVベルト13の接触摩擦力とが、プライマリ圧とセカンダリ圧に応じて決まる値に制御される。
【0023】
さらに、油圧コントロールユニット30は、CVTコントロールユニット20からの指令に基づいて、前後進切替え機構3に供給する油圧(Pc)を制御して、摩擦締結要素(発進クラッチ3b、後進ブレーキ3c)の締結・解放を行う。
【0024】
CVTコントロールユニット20には、エンジンコントロールユニット21、アクセル操作量センサ23、プライマリプーリ回転速度センサ26、セカンダリプーリ回転速度センサ27、そして油圧センサ29a、29bからの信号が入力される。
【0025】
エンジンコントロールユニット21は、エンジン1からベルト式の無段変速機10に入力される入力トルクの情報(トルク情報)を、CVTコントロールユニット20に出力する。
【0026】
アクセル操作量センサ23は、図示しないアクセルペダルの操作量(アクセル開度To)と、アクセルペダルの操作量の変化率(アクセル踏み込み速度Tv)を示す信号をCVTコントロールユニット20に出力する。
【0027】
プライマリプーリ回転速度センサ26は、プライマリプーリ11の回転速度を示す信号(Npri)をCVTコントロールユニット20に出力する。
セカンダリプーリ回転速度センサ27は、セカンダリプーリ12の回転速度を示す信号(Nsec)をCVTコントロールユニット20に出力する。
なお、CVTコントロールユニット20では、プライマリプーリ11の回転速度を示す信号(Npri)と、セカンダリプーリ12の回転速度を示す信号(Nsec)とに基づいて、実プーリ比(速度比)が算出されると共に、セカンダリプーリ12の回転速度を示す信号(Nsec)により、車両の速度(車速)が特定される。
【0028】
油圧センサ29aは、プライマリプーリシリンダ室11cに作用する油圧(プライマリ圧Ppri)を示す信号を、CVTコントロールユニット20に出力する。
油圧センサ29bは、セカンダリプーリシリンダ室12cに作用する油圧(セカンダリ圧Psec)を示す信号を、CVTコントロールユニット20に出力する。
【0029】
図2は、CVTコントロールユニット20のブロック図である。
図2に示すように、CVTコントロールユニット20は、加速意図判定部201と、変速モード設定部202と、目標変速比設定部203と、変速速度設定部204と、要求程度判定部205と、初回ダウンシフト完了判定部206と、変速速度補正部207と、変速制御部208と、記憶部209と、を備える。
【0030】
加速意図判定部201は、アクセル開度Toおよびアクセル踏み込み速度Tvに基づいて、運転者の加速意図を判定する。
実施の形態では、アクセル開度Toおよびアクセル踏み込み速度Tvと、通常モードおよび加速モードとの関係を規定するマップデータ(モード判定マップ)が、車速V毎に用意されており、加速意図判定部201は、アクセル開度Toおよびアクセル踏み込み速度Tvに基づいて、現時点の車速に応じて決まるモード判定マップを参照して、加速意図の有無を判定する。
なお、モード判定マップは、CVTコントロールユニット20の記憶部209に記憶されている。
【0031】
変速モード設定部202は、無段変速機の変速モードを設定するものであり、加速意図判定部201により加速意図があると判定された場合に、無段変速機の変速制御を、加速モードに設定し、加速意図がないと判定された場合には、通常モードに設定する。
【0032】
図3は、モード判定マップの一例を説明する図である。
図3に示すモード判定マップでは、通常モードから加速モードへの移行を判定する閾値および加速モードから通常モードへの移行を判定する閾値と、アクセル開度Toおよびアクセル踏み込み速度Tvとの関係が規定されている。
図中符号Aは、通常モードから加速モードへの移行を判定する閾値を結んだ加速モード移行判定線であり、図中符号Bは、加速モードから通常モードへの移行を判定する閾値を結んだ通常モード移行判定線である。
【0033】
例えば、通常モードの場合において、現時点におけるアクセル開度Toおよびアクセル踏み込み速度Tvが、図中符号X1で示す位置である場合には、加速意図判定部201により加速意図があると判定されて、変速モード設定部202により無段式変速機の変速制御が加速モードに設定される。
また、通常モードの場合において、符号X2で示す位置である場合には、加速意図判定部201により加速意図がないと判定されて、変速モード設定部202により通常モードが設定されて、通常モードが継続されることになる。
【0034】
ちなみに、加速モードの場合において、現時点におけるアクセル開度Toおよびアクセル踏み込み速度Tvが、図中符号X2で示す位置である場合には、変速モード設定部202により加速モードが継続され、符号X3で示す位置である場合には、加速モードを終了して、通常モードが設定されることになる。
なお、このモード判定マップにおける加速モード移行判定線Aと通常モード移行判定線Bとは、加速モードと通常モードの頻繁な切り替えが生ずることを防止するために、互いにΔh離れるように設定されている。
【0035】
目標変速比設定部203は、アクセル開度Toおよび車速Vに基づいて、現時点で設定されている変速モードのマップ(変速線図)を参照して、プライマリプーリの目標回転数を設定し、設定したプライマリプーリの目標回転数から目標変速比(目標プーリ比)を決定する。
【0036】
目標変速比設定部203が参照する変速線図は、記憶部209に記憶されており、記憶部209には、変速モード毎に専用の変速線図(通常モード用の変速線図、加速モード用の変速線図)が記憶されている。
図4は、変速線図を説明する図であり、(a)は、通常モード用の変速線図、(b)は、加速モード用の変速線図である。
【0037】
変速線図では、変速比が最大となる特性線Lowと変速比が最小となる特性線ODとの間に、アクセルペダルの踏み込み量に伴って増減するアクセル開度に対応した複数の特性線(
図4の場合はTV1〜TV4)が設定されており、車速Vおよびアクセル開度Toに基づいてこの変速線図を参照することで、プライマリプーリの目標回転数Ntを決定することができるようになっている。
【0038】
ここで、加速モード用の変速線図(
図4の(b)参照)では、プライマリプーリの目標回転数Ntが、通常モード用の変速線図(
図4の(a)参照)よりも高回転側に設定されており、加速モードでのダウンシフト変速では、プライマリプーリの目標回転数Ntが、通常モードにおけるダウンシフト変速よりも高くなって、エンジンから入力されるトルクが大きくなるように設定されている。
【0039】
アクセル開度がTV3、車速がV1である場合について例示すると、通常モード用の変速線図から決定されるプライマリプーリの目標回転数N1よりも、加速モード用の変速線図から決定されるプライマリプーリの目標回転数N1’のほうが高回転になるように設定されている。
【0040】
よって、車速V1の時に加速の意図があると判定されて、加速モードが設定されると、その時点で、プライマリプーリの目標回転数が、加速モード用の変速線図に基づいて設定されることになる。そうすると、プライマリプーリの目標回転数がN1’となり、この目標回転数N1’は、通常モードの変速線図での目標回転数がN1よりも高い回転数であるので、加速モードが設定された時点で、ダウンシフト変速が開始されることになる。
【0041】
変速速度設定部204は、目標変速比Rtと、車速Vと、現時点における変速比(実変速比)Rcとに基づいて変速速度を設定する。
【0042】
要求程度判定部205は、加速意図判定部201により加速意図があると判定された場合に、加速意図の程度(要求程度)の大小を判定する。
具体的には、加速意図があると判定された時点におけるアクセル踏み込み速度Tvと、その時点のアクセル開度Toに応じて決まる所定値Th_cとを比較し、アクセル踏み込み速度Tvが所定値Th_cよりも小さい場合(Tv≦Th_c)に、加速意図の要求程度が所定値よりも小さいと判定し、小さくない場合 (Tv>Th_c)に、要求程度が所定値よりも大きいと判定する。ここで、実施の形態では、所定値Th_cは、加速意図の有無を判定するときに用いられる所定
値よりも大きい値に設定される。
なお、要求程度判定部205における判定結果は、後記する変速速度補正部207に出力される。
【0043】
初回ダウンシフト完了判定部206は、変速モード設定部202において加速モードが設定された際に、かかる加速モードでの最初のダウンシフト変速が完了したか否かを判定し、判定結果を変速速度補正部207に出力する。
具体的には、加速モードが設定されたのち、プライマリプーリ回転速度センサ26から入力されるプライマリプーリ11の回転速度を示す信号(Npri)と、セカンダリプーリ回転速度センサ27から入力されるセカンダリプーリ12の回転速度を示す信号(Nsec)と、に基づいて現時点における変速比(実変速比)を算出する。そして、算出した実変速比が、目標変速比設定部203で設定された目標変速比と一致した場合に、加速モードでの最初のダウンシフト変速が完了したと判定する。
【0044】
変速速度補正部207は、変速モード設定部202において加速モードが設定された際に、運転者の加速意図の程度(要求程度)に基づいて、加速モードにおける最初のダウンシフト変速での変速速度の補正の要否を判定し、補正が必要であると判定された場合には、運転者の加速意図の程度に応じて、加速モードにおける最初のダウンスシフト変速での変速速度を補正する。
具体的には、要求程度判定部205において、加速意図の要求程度が所定値よりも小さいと判定され、かつ初回ダウンシフト完了判定部206において、加速モードでの最初のダウンシフト変速が完了していないと判定された場合に、ダウンシフト変速での変速速度の補正が必要であると判定する。そして、変速速度補正部207は、変速速度設定部204において設定された変速速度を、当該変速速度よりも遅い変速速度に補正する。
【0045】
変速制御部208は、現時点における変速比(プーリ比)を目標変速比(プーリ比)に向けて、設定された変速速度で変化させるための指令を、油圧コントロールユニット30に出力して、プライマリプーリとセカンダリプーリとを、目標変速比を実現するように制御する。
変速制御部208は、変速速度補正部207において変速速度が補正された場合には、現時点における変速比Rcを目標変速比Rtに向けて、補正された変速速度で変化させるための指令を出力する。変速速度補正部207において変速速度が補正されなかった場合には、現時点における変速比Rcを目標変速比Rtに向けて、変速速度設定部204において設定された変速速度で変化させるための指令を出力する。
【0046】
以下、実施の形態にかかるCVTコントロールユニット20における処理を説明する。
図5は、CVTコントロールユニット20において実行される変速制御処理を説明するフローチャートである。
なお、以下の説明においては、本願発明の要部にかかわる部分以外の変速制御処理は、簡略的に説明する。
【0047】
実施の形態にかかる無段変速機10には、無段変速機の変速制御に、通常モードと加速モードとが用意されている。加速モードでは、プライマリプーリの目標回転数Ntが、通常モードよりも高回転側に設定されて、加速性を優先した走行性能が発揮されるようになっている。
無段変速機10では、無段変速機の変速制御が、原則として通常モードで実行されるようになっている。そして、運転者のアクセル操作が、車両の加速を要求する操作であると判定されたときに、加速モードが設定されて、加速モードで変速制御が実行されるようになっている。
【0048】
そのため、ステップ101において、運転者のアクセル操作が車両の加速を要求する操作であるか否か、すなわち運転者に加速意図があるか否かが判定される。
具体的には、現時点におけるアクセル開度Toが、所定値Th_a以上であって、アクセル踏み込み速度Tvが所定値Th_b以上であるか否かが確認される。
【0049】
ここで、所定値Th_aは、現時点における車速Vに対してマップで規定される値である。所定値Th_bは、現時点における車速Vと、アクセルペダルの踏み込み時点のアクセル開度Toに対してマップで規定される値である。
低車速の場合と高車速の場合では、車両を加速させようとした時のアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度To)が異なり、そのときのアクセルペダルの踏み込み速度Tvも、その時点のアクセル開度に応じて異なることになる。よって、実施の形態では、所定値Th_aは、車速Vに対してマップで規定され、所定値Th_bは、車速Vとアクセル開度Toに対してマップで規定されている。
【0050】
運転者に加速意図がある場合には一般に、アクセルペダルが踏み込まれることになるので、ステップ101では、アクセル開度Toの増大による所定値Th_a超え(To≧Th_a)と、この時のアクセル踏み込み速度Tvの所定値Th_b超え(Tv≧Th_b)とに基づいて、加速意図の有無を判定している。
【0051】
実施の形態では、前記したモード判定マップ(
図3参照)において、アクセル開度Toの所定値Th_aと、アクセル踏み込み速度Tvの所定値Th_bとの関係が、加速モード移行判定線Aで規定されており、車速Vに応じてアクセル開度Toの所定値Th_aが決まると、このモード判定マップから、アクセル踏み込み速度Tvの所定値Th_bが判るようになっている。
よって、例えば現時点におけるアクセル開度Toおよびアクセル踏み込み速度Tvが、図中符号X1で示す位置である場合には、To≧Th_a、かつTv≧Th_bの要件が満たされることになるので、加速意図判定部201により加速意図があると判定されることになる。
【0052】
ステップ101の判定が否定されて、加速意図がないと判定された場合には、ステップ102の処理に移行して、変速モード設定部202が、無段変速機の変速制御を通常モードに設定する。
ここで、変速制御のモードとして通常モードが既に設定されていた場合には、通常モードが継続して設定される。
【0053】
ステップ103では、目標変速比設定部203が、通常モード用の変速線図(
図4の(a)参照)を記憶部209から読み出して、この通常モード用の変速線図に基づいて、変速制御用のパラメータを設定する。
具体的には、現時点における車速Vおよびアクセル開度Toに基づいて、通常モード用の変速線図を参照し、現時点におけるプライマリプーリの目標回転数と、目標変速比とが設定される。
例えば、
図4の(a)の場合において、現時点における車速VがV1であり、アクセル開度ToがTV3である場合には、プライマリプーリの目標回転数がN1に設定されることになる。
【0054】
ステップ104では、変速速度設定部204が、現時点における変速比(実変速比)と、ステップ104で設定された目標変速比と、現時点における車速Vと、に基づいて変速速度(実変速比を目標変速比に到達させるまでに要する時間)を設定する。
【0055】
続くステップ105において、変速制御部208が、プライマリ圧とセカンダリ圧を決定し、決定したプライマリ圧とセカンダリ圧を実現させるための指令を、油圧コントロールユニット30に出力する。
よって、油圧コントロールユニット30により、Vベルト13のプライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12に対する接触半径が連続的に変わり、プーリ比とVベルト13の接触摩擦力とが、プライマリ圧とセカンダリ圧に応じて決まる値に制御される。
【0056】
これにより、実変速比が目標変速比に向けて連続的に変化して、最終的に実変速比が目標変速比に達した時点で、ステップ105における変速制御が終了することになる。
このステップ105の処理が終了すると、前記したステップ101の処理にリターンして、加速意図の有無の判定と、判定結果に応じた変速制御が実行されることになる。
【0057】
一方、ステップ101の判定が肯定されて、加速意図があると判定された場合には、ステップ106の処理に移行して、変速モード設定部202が、無段変速機の変速制御を加速モードに設定する。
ここで、変速制御のモードとして通常モードが既に設定されていた場合には、プライマリプーリの目標回転数が通常モードよりも高回転側に設定された加速モードに、切り替えられることになる。
【0058】
続くステップ107において、目標変速比設定部203が、加速モード用の変速線図(
図4の(b)参照)を記憶部209から読み出して、この加速モード用の変速線図に基づいて、変速制御用のパラメータを設定する。
具体的には、現時点における車速Vおよびアクセル開度Toに基づいて、加速モード用の変速線図を参照して、現時点におけるプライマリプーリの目標回転数と、目標変速比とが設定される。
例えば、
図4の(b)の場合において、現時点における車速VがV1であり、アクセル開度ToがTV3である場合には、プライマリプーリの目標回転数がN1’に設定されることになる。
【0059】
ステップ108では、変速速度設定部204が、現時点における変速比(実変速比)と、ステップ104で設定された目標変速比と、現時点における車速Vと、に基づいて変速速度(実変速比を目標変速比に到達させるまでに要する時間)を設定する。
【0060】
ステップ109において、初回ダウンシフト完了判定部206が、加速モードに移行した後の最初のダウンシフト変速が完了したか否かを確認する。
具体的には、ダウンシフト変速の途中では、無段変速機の実変速比を、目標変速比に向けて変化させている途上であり、ダウンシフト変速が終了すると実変速比が目標変速比と一致する。
そのため、ステップ109では、初回ダウンシフト完了判定部206が、実実変速比と目標変速比とが一致しているか否かを確認し、一致している場合には、ダウンシフト変速が完了していると判定し、一致していない場合には、ダウンシフト変速が完了していないと判定する。
【0061】
ステップ109において最初のダウンシフト変速が完了していないと判定された場合には、ステップ110において、要求程度判定部205により、運転者の加速意図の程度(要求程度)が小さいか否かが判定される。
【0062】
具体的には、要求程度判定部205が、加速意図判定部201により加速意図があると判定された時点(ステップ102においてYes)のアクセル踏み込み速度Tvと、所定値Th_cとの比較により、加速意図の程度(要求程度)の大小を判定する。
【0063】
実施の形態では、アクセル踏み込み速度Tvが所定値Th_cよりも小さい場合(Tv≦Th_c)に、加速意図の程度が小さいと判定し、小さくない場合(Tv>Th_c)に、加速意図の程度が小さくない(大きい)と判定される。
ここで、所定値Th_cは、加速意図があると判定された時点(
図5のステップ101)におけるアクセル開度Toに対してマップで規定される値であり、加速意図の有無を判定するときに用いられる所定
値よりも大きい値である。
【0064】
ステップ110において加速意図の程度が小さいと判定されると、ステップ111において、変速速度補正部207により、変速速度の補正が実行される。
具体的には、変速速度補正部207が、ステップ108において設定された変速速度に補正係数kを乗算して、補正後の変速速度を算出する。ここで、補正係数kは、アクセル開度Toとアクセル踏み込み速度Tvに対してマップで規定される値である(k>1)。
【0065】
実施の形態では、このステップ111の処理により、変速速度が、ステップ108において設定された変速速度よりも遅くなるように補正される。
なお、ステップ109において最初のダウンシフト変速の完了の有無を確認しているのは、変速速度の補正が、加速モードに切り替えられた最初のダウンシフト変速においてのみ実行されるようにするためである。
【0066】
続くステップ112では、変速制御部208が、プライマリ圧とセカンダリ圧を決定し、決定したプライマリ圧とセカンダリ圧を実現させるための指令を、油圧コントロールユニット30に出力する。
よって、油圧コントロールユニット30により、Vベルト13のプライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12に対する接触半径が連続的に変わり、プーリ比とVベルト13の接触摩擦力とが、プライマリ圧とセカンダリ圧に応じて決まる値に制御される。
【0067】
これにより、実変速比が目標変速比に向けて連続的に変化して、最終的に実変速比が目標変速比に達した時点で、ステップ112における変速制御が終了することになる。
【0068】
実施の形態では、加速モードに切り替えられたときの運転者の加速意図の程度が小さいと判定された場合には(ステップ110においてYes)、加速モードに切り替えられた後の最初のダウンシフト変速における変速速度が、ステップ108で設定された変速速度よりも遅い変速速度に設定される(ステップ111)。
よって、変速比の切り替えに伴うプライマリプーリ(エンジン)の回転数の上昇が、遅くなるので、運転者が、エンジンの回転速度の上昇に唐突感を覚えることを好適に防ぐことができる。
【0069】
ステップ112の処理が終了すると、ステップ113において、アクセル開度Toが減少したか否かが確認される。
具体的には、現時点におけるアクセル開度Toが所定値Th_d未満である場合(To<Th_d)である場合に、アクセル開度Toが減少したと判定されるようになっている。
ここで、所定値Th_dは、現時点における車速と、加速意図があると判定された時点(アクセルペダルの踏み込み時点:ステップ101)のアクセル開度Toに対してマップで規定される値であり、これらの関係は前記したモード判定マップにおいて規定されている。
なお、所定値Th_dは、加速意図の有無を判定するときに用いられる所定値Th_aよりも小さい値である。
【0070】
このステップ113においてアクセル開度Toが減少したと判定されると、運転者がアクセルペダルを戻したことになる。そうすると、運転者の加速意図がなくなったことになるので、前記したステップ102の処理にリターンして、通常モードが設定されることになる。
一方、ステップ113の判定が否定されると、運転者が引き続きアクセルペダルを踏み込み続けていることになる。かかる場合、加速モードでの変速制御を引き続き実行するために、ステップ106の処理にリターンすることになる。
【0071】
以下、
図5および
図6を参照して、運転者の加速意図が小さい場合と大きい場合とで、変速速度がどのように変わるのかを説明する。
図6は、運転者の加速意図に応じた変速比の変化を説明するタイムチャートであり、(a)は加速意図の程度が所定値よりも小さい場合を、(b)は加速意図の程度が所定値よりも大きい場合を、それぞれ示す図である。
【0072】
アクセル開度Toがほぼ一定に保持されている定速走行時には、
図5におけるステップ101の判定が否定されるので、無段変速機10では、通常モードでの変速制御が行われている。
【0073】
時刻t0におけるアクセルペダルの踏み込みが、時刻t1において検知されて、その時点におけるアクセル開度Toが所定値Th_a以上であって、アクセル踏み込み速度Tvが所定値Th_b以上であると、ステップ101の判定が肯定されて、無段変速機の変速モードが、通常モードから加速モードに切り替わることになる。
【0074】
これにより、その時点t1における車速Vおよびのアクセル開度Toに基づいて、加速モード用の変速線図から目標変速比が設定される(ステップ107)と共に、実変速比と、目標変速比と車速とに基づいて、変速速度が設定される(ステップ108)。
なお、この時点では、時刻t2から時刻t3の間で、変速比を、その時点の実変速比Rcから目標変速比Rtに到達させる変速速度(
図6の(a)において鎖線v1に沿って変速比が変化する変速速度:鎖線V1の傾き)が設定される。
【0075】
なお、この変速速度を設定した時点(t2)は、加速モードへの切り替えが行われた直後であるので、加速モードでの最初のダウンシフト変速が完了していないことになる。そのため、ステップ109の判定が否定されて、ステップ110において、加速意図の程度が確認される。
【0076】
ここで、加速意図があると判定された時点(ステップ101においてYes)のアクセル踏み込み速度Tvが、所定値Th_c以下の要件を満たす場合には、ステップ110の判定が肯定される(運転者の加速意図の程度が小さいと判定される)ことになる。
そうすると、続くステップ111において、ステップ108で設定された変速速度が補正されて、より遅い変速速度に変更されることになる。
【0077】
具体的には、時刻t2から時刻t4の間で、変速比を、その時点の実変速比Rcから目標変速比Rtに到達させる変速速度(
図6の(a)において直線v2に沿って変速比が変化する変速速度:直線v2の傾き)に変更される。
ここで、変速速度の補正は、ステップ108で設定された変速速度に、補正係数kを乗算することで行われるようになっており、補正係数kの値は、加速意図があると判定された時点(t1)でのアクセル開度Toに基づいて設定される。
【0078】
かかる変速速度の補正により、加速モードにおいて最初に設定された変速時間よりも時間をかけて、変速比が、その時点の実変速比Rcから目標変速比Rtに到達することになる(ステップ112)。
すなわち、運転者加速意図が小さい場合には、加速モードにおける最初のダウンシフト変速の変速速度が遅くなり、エンジンの回転数が、当初設定された変速時間(変速速度)よりも時間をかけて上昇することになる。
【0079】
なお、加速モードに設定された後の2回目以降のダウンシフト変速については、ステップ109の判定が肯定されるので、ステップ108で設定された変速速度は、補正されないことになる。
【0080】
ちなみに、加速モードに設定された後にアクセルペダルが戻された場合には、ステップ113の判定が肯定されて、ステップ102の処理に移行するので、変速制御が通常モードに変更されることになる。
【0081】
なお、加速モードに切り替えられたときの運転者の加速意図の程度が大きく、加速意図があると判定された時点(ステップ101においてYes)のアクセル踏み込み速度Tvが、所定値Th_c以下の要件(Tv≦Th_c)を満たさない場合には、ステップ110の判定が否定されることになる。この場合には、ステップ108で設定された変速速度は、補正されないことになる。
【0082】
かかる場合、ステップ108において設定された変速速度、すなわち時刻t2から時刻t3の間で、変速比を、その時点の実変速比Rcから目標変速比Rtに到達させる変速速度(
図4の(a)において鎖線v1に沿って変速比が変化する変速速度:鎖線V1の傾き)が、補正されないことになるので、ステップ112におけるダウンシフト変速の制御が、
図4の(a)において鎖線v1に沿って変速比が変化する変速速度で実行されることになる。
【0083】
なお、実施の形態では、アクセルペダルの踏み込み速度が速いほど、変速速度が速くなるように設定される。よって、加速モードに切り替えられたときの運転者の加速意図の程度が小さく、かつ加速意図があると判定された時点(ステップ101においてYes)のアクセル踏み込み速度Tvが所定値Th_c以下の要件(Tv≦Th_c)を満たすものの、アクセル踏み込み速度Tvが所定値Th_cに近い場合、アクセル踏み込み速度Tvが所定値Th_cに近いほど、
図6(a)において鎖線v1で示す変速速度よりも速い変速速度が設定されることになる。
【0084】
また、加速モードに切り替えられたときの運転者の加速意図の程度が大きくて、アクセル踏み込み速度Tvが所定速度Th_cよりも大きい場合(Tv>Th_c)には、例えば、
図6の(b)に示すように、時刻t2から時刻t3’の間で、変速比を、その時点の実変速比Rc’から目標変速比Rt’に到達させる変速速度(
図4の(b)において直線v3に沿って変速比が変化する変速速度)が、変速速度設定部204において設定される。そして、この場合には、運転者の加速意図が大きいために、変速速度設定部204で設定された変速速度が補正されることがない。よって、時刻t2から時刻t3’の間で、変速比を、その時点の実変速比Rc’から目標変速比Rt’に到達させる変速速度がそのまま用いられて、ダウンシフト変速が実行されることになる。
【0085】
このように、運転者の加速意図の程度(要求程度)を、アクセル踏み込み速度Tvと所定値Th_cとを比較することで判定し、加速意図の程度が小さいと判定された場合には、加速モードにおける最初のダウンシフト変速での変速速度が、加速意図の程度が小さくない(大きい)と判定される場合よりも遅くなるように、変速速度が補正される。
よって、運転者が意図するよりも急激にエンジン回転数が高くなって、運転者がかかるエンジン挙動に唐突感を持つことを好適に防止できる。
【0086】
以上の通り、本実施形態では、プライマリプーリ11に入力されたエンジン1の回転駆動力を無段階に変化させてセカンダリプーリ12に伝達する無段変速機10の変速制御装置(CVTコントロールユニット20)において、
CVTコントロールユニット20は、運転者の加速意図を判定する加速意図判定部201と、加速意図があると判定された場合に、無段変速機10の変速制御を、プライマリプーリ11の目標回転数が通常モードよりも高回転側に設定される加速モードに設定する変速モード設定部202と、アクセル開度および車速に基づいて変速モード毎に用意されたマップを参照して、目標変速比を設定する目標変速比設定部203と、目標変速比と車速とに基づいて変速速度を設定する変速速度設定部204と、目標変速比と変速速度とに基づいて無段変速機の変速を制御する変速制御部208と、加速モードに設定された際の加速意図の要求程度の大小を判定する要求程度判定部205と、を備え、
変速制御部208は、加速意図の要求程度が所定値よりも小さいと判定された場合に、加速モードにおけるダウンシフト変速を、変速速度設定部204で設定された変速速度よりも遅い変速速度で実行し、加速意図の要求程度が所定値よりも小さいと判定されなかった場合に、加速モードにおけるダウンシフト変速を、変速速度設定部204で設定された変速速度で実行する構成とした。
【0087】
このように構成すると、運転者の加速意図の要求程度が小さい場合には、加速モードにおけるダウンシフト変速の変速速度が遅くなり、エンジンの回転数が運転者の意図している以上に急に上昇することを防止できる。これにより、加速時でのダウンシフト変速におけるエンジン回転数の変化が、運転者に唐突感を与えないようにすることができる。
【0088】
ここで、通常モードでは、燃費の向上と排出ガスの削減を意図して変速線が設定されており、加速モードでは、車両の動力性能を確保するために走行性を優先した(燃費と排出ガスを通常モードほど考慮していない)変速線が設定されている。
よって、運転者の加速意図が小さい場合には、加速モードにおけるダウンシフト変速でのエンジン回転数の吹き上がりを緩やかにして運転者に唐突感を与えないようにしつつ、燃費の向上と排出ガスの削減に寄与できる自動変速機の変速制御装置が提供される。
【0089】
さらに、従来の通常モードと加速モードとを備える自動変速機では、加速モードと通常モードの頻繁な切り替えが生ずることを防止するために、加速モード移行判定線Aと通常モード移行判定線Bとが離間するようにモード判定マップ(
図2参照)が設定されている。加速意図が小さい場合に加速モードにおけるダウンシフト変速の変速速度が遅くなると、通常モードから加速モードへの切り替え時にエンジンの回転数の急激な変化を防ぐことができるので、モード判定マップにおける加速モード移行判定線Aを通常モード移行判定線Bに近づけて走行性を優先した加速モードに入りやすくしても、運転者が唐突感を覚えることを防止できる。
そうすると、通常モードから加速モードに切り替えられたときのダウンシフト変速を、運転者の加速意図に応じて変速速度を変えることでスムーズに行うことができるようになるので、燃費の向上および排気ガスの削減を達成しつつ走行性能を満足させることができる。
【0090】
加速モードにおける最初のダウンシフト変速が完了したか否かを判定する判定部(初回ダウンシフト完了判定部206)をさらに備え、
変速制御部208は、加速意図の要求程度が所定値よりも小さいと判定され、かつ変速モードにおける最初のダウンシフト変速が完了していないと判定された場合に、ダウンシフト変速を、変速速度設定部で設定された変速速度よりも遅い変速速度で実行する構成とした。
【0091】
このように構成すると、加速モードにおける最初のダウンシフト変速の変速速度のみが、加速意図の要求程度が所定値よりも小さいと判定された場合に遅くなり、加速モードにおける二回目以降のダウンシフト変速の変速速度は、変速速度設定部204で設定された変速速度で実行されて、遅くなることがない。
加速モードに移行したのちに再度アクセルペダルが踏み込まれた場合には、運転者が車両の加速を意図していることが多いので、このような場合に変速速度が遅くならないようにすることで、運転者が車両を加速させようとしているときのドライビングフィールに違和感を持つことを好適に防止できる。
【0092】
特に、加速意図判定部201は、アクセル開度Toと、アクセル踏み込み速度Tvと、車速に応じて決まる所定値Th_a、Th_bとが、To≧Th_a、かつTv≧Th_bの条件を満たす場合に、加速意図があると判定し、
要求程度判定部205は、加速意図があると判定された時点におけるアクセル踏み込み速度Tvと、その時点のアクセル開度Toに応じて決まると共に
加速意図の有無を判定するときに用いられる所定値よりも大きい所定値Th_cとが、Tv≦Th_cの条件を満たす場合に、加速意図の要求程度が所定値よりも小さいと判定する構成とした。
【0093】
このように構成すると、車速に応じて所定値が変化することで、加速意図の有無を、低車速〜高車速までの幅広い範囲で適切に判定できる。
【0094】
加速意図の要求程度が所定値よりも小さいと判定された場合に、変速速度設定部204で設定された変速速度を補正する変速速度補正部207を、さらに備え、
変速制御部208は、加速モードにおけるダウンシフト変速を変速速度設定部204で設定された変速速度よりも遅い変速速度で実行する場合に、変速速度補正部207で補正された補正後の変速速度で実行する構成とし、
変速速度補正部207は、加速意図があると判定された時点におけるアクセル踏み込み速度Tvと、その時点のアクセル開度Toに応じて決まる所定値Th_cとが、Tv≦Th_c の条件を満たす場合に、変速速度の補正を実行する構成とした。
【0095】
このように構成すると、車速に応じて所定値Th_cが変化することで、加速意図の要求程度を停車側〜高車速までの幅広い範囲で適切に判定できる。
【0096】
変速速度補正部は、変速速度設定部で設定された変速速度に、加速意図があると判定された時点のアクセル開度Toに基づいて決まる補正係数を乗算して、補正後の変速速度を決定する構成とした。
【0097】
このように構成すると、加速意図があると判定された時点のアクセル開度Toに基づいて決まる補正係数k(k>1)を、既に決定されている変速速度に乗算するだけで、補正後の変速速度を簡単に算出できる。
【0098】
なお、この場合において、補正係数kが、加速意図があると判定された時点におけるアクセル踏み込み速度Tvと所定値Th_cとの差Δ(Δ=(Th_c)−Tv)に比例する構成とし、差Δが大きくなるほど、差Δが小さい場合よりも、補正係数kの値が大きくなるようにしても良い。
このように構成すると、加速意図の要求程度が小さくて、アクセル踏み込み速度Tvと所定値Th_cとの差Δが大きくなるほど、補正係数kの値が大きくなって、加速モードに切り替えられたときの最初のダウンシフト変速の変速速度が遅くなるので、かかるダウンシフト変速におけるエンジン回転数の変化と、運転者が感覚的に想定しているエンジン回転数の変化との解離を小さくして、運転者が唐突感を覚えないようにすることができる。
【0099】
前記した実施の形態では、加速意図があると判定された時点におけるアクセル踏み込み速度Tvと、その時点のアクセル開度Toに応じて決まる所定値Th_cとの比較により、加速意図の要求程度を判定して、補正を実行するか否かを決定する場合を例示した。
しかし、加速意図の程度は、アクセル開度の変化量ΔToにも表れるので、例えば車速に応じて決まるアクセル開度用の所定値Th_eを用意して、ΔTo≦Th_eの条件を満たす場合に、加速意図の程度が小さいと判定して、変速速度の補正が実行されるようにしても良い。
さらに、加速意図があると判定された時点におけるアクセル開度の変化量ΔToとアクセル踏み込み速度Tvの両方を用いて、Tv≦Th_c、かつΔTo≦Th_eの条件を満たす場合に、変速速度の補正を実行するようにしても良い。
【0100】
実施の形態では、無段変速機が、ベルト式の無段変速機である場合を例示したが、本発明は、トロイダル式の無段変速機に適用しても良い。