(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る吸込口体および電気掃除機の実施形態について
図1から
図22を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の外観を示す斜視図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、いわゆるキャニスタ型の電気掃除機である。電気掃除機1は、被掃除面上を走行可能な掃除機本体2と、掃除機本体2に着脱自在に接続する管部3と、を備える。
【0014】
掃除機本体2は、本体ケース5と、本体ケース5の両側方にそれぞれ位置する一対の車輪6と、本体ケース5の前半部に位置する着脱自在な塵埃分離集塵部7と、本体ケース5の後半部に位置する電動送風機8と、主に電動送風機8の運転を制御する本体制御部9と、電動送風機8に電力を導く電源コード11と、を備える。
【0015】
本体ケース5は、管部3を着脱可能な継手としての本体接続口12を有する。本体接続口12は、掃除機本体2の流体的な入口であり、管部3と塵埃分離集塵部7とを流体的に接続する。
【0016】
塵埃分離集塵部7は、電動送風機8が発生する負圧によって被掃除面から管部3および本体接続口12を経て流れ込む塵埃を含んだ空気(以下、「含塵空気」と呼ぶ。)から塵埃を分離し、捕集し、蓄積するとともに空気を電動送風機8へ送る。
【0017】
電動送風機8は、塵埃分離集塵部7を通過する空気を吸い込んで負圧を発生する。
【0018】
本体制御部9は、マイクロプロセッサ(図示省略)や、マイクロプロセッサが実行する各種演算プログラムやパラメータなどを記憶する記憶装置(図示省略)を備える。本体制御部9は、予め設定される複数の運転モードを記憶装置に記憶する。予め設定される複数の運転モードは、管部3から受け取る操作信号に対応し、運転モード間の違いとして相互に異なる入力値(電動送風機8の入力値)を有する。本体制御部9は、管部3から操作信号を受け取ると、操作信号に対応する任意の運転モードを予め設定される複数の運転モードから択一的に選択して記憶部から読み出し、当該運転モードにしたがって電動送風機8の運転制御を行う。
【0019】
電源コード11は、自由端部に電源プラグ14を備える。
【0020】
管部3は、電動送風機8の運転にともない掃除機本体2から作用する負圧によって、被掃除面から含塵空気を吸い込み掃除機本体2へ案内する。管部3は、掃除機本体2に着脱自在に接続する継手としての接続管19と、接続管19に流体的に接続する集塵ホース21と、集塵ホース21に流体的に接続する手元操作管22と、手元操作管22から突出する把持部23と、把持部23に位置する操作部24と、手元操作管22に着脱自在に接続する延長管25と、延長管25に着脱自在に接続する床面用吸込口体26と、を備える。
【0021】
接続管19は、本体接続口12を介して塵埃分離集塵部7に流体的に接続する。
【0022】
集塵ホース21は、長尺で可撓な略円筒形状のホースである。集塵ホース21の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、接続管19に接続する。集塵ホース21は、接続管19を介して塵埃分離集塵部7に流体的に接続する。
【0023】
手元操作管22は、集塵ホース21と延長管25との間に介在する。手元操作管22の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、集塵ホース21の他方の端部(ここでは、前方の端部)に接続する。手元操作管22は、集塵ホース21および接続管19を介して塵埃分離集塵部7に流体的に接続する。
【0024】
把持部23は、電気掃除機1を操作するために使用者が手で把持する部分である。把持部23は、使用者が手で容易に把持できる適宜の形状を有して手元操作管22から突出する。
【0025】
操作部24は、それぞれの運転モードに対応するスイッチを備える。具体的には、操作部24は、電動送風機8の運転停止操作に対応する停止スイッチ24aと、電動送風機8の運転開始操作に対応する起動スイッチ24bと、を備える。停止スイッチ24aおよび起動スイッチ24bは、本体制御部9に電気的に接続する。電気掃除機1の使用者は、操作部24を操作して電動送風機8の運転モードを択一的に選択できる。電動送風機8が運転を開始した後、起動スイッチ24bは運転モードの選択スイッチとしても機能する。この場合、本体制御部9は、起動スイッチ24bから操作信号を受け取る度に運転モードを強→中→弱→強→………のように切り換える。なお、操作部24は、起動スイッチ24bに代えて、弱運転スイッチ(図示省略)、中運転スイッチ(図示省略)および強運転スイッチ(図示省略)を別個に備えていても良い。
【0026】
延長管25は、伸縮可能な細長略円筒状の管である。延長管25は、複数の筒状体を重ね合わせたテレスコピック構造を有する。延長管25の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、手元操作管22の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱自在に接続する。延長管25は、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を介して塵埃分離集塵部7に流体的に接続する。
【0027】
床面用吸込口体26は、延長管25の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱自在に接続する。また、床面用吸込口体26は、木床やカーペットなどの被掃除面上を走行自在あるいは滑走自在な構造を有するとともに、走行状態または滑走状態において被掃除面に対向する底面に吸込口28を有する。さらに、床面用吸込口体26は、吸込口28に位置して回転自在な回転清掃体29と、回転清掃体29を回転駆動可能な電動機31と、を備える。床面用吸込口体26は、延長管25、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を介して塵埃分離集塵部7に流体的に接続する。
【0028】
電気掃除機1は、起動スイッチ24bの操作を受けると電動送風機8の運転を開始して掃除機本体2の内部に負圧(吸込負圧)を発生する。電気掃除機1は、例えば電動送風機8が停止した状態で起動スイッチ24bの操作を受けると、先ず電動送風機8を強運転モードで運転し、次いで起動スイッチ24bの操作を受けると電動送風機8を中運転モードで運転し、さらに起動スイッチ24bの操作を受けると電動送風機8を弱運転モードで運転し、以下繰り返す。強運転モード、中運転モードおよび弱運転モードは、予め設定される複数の運転モードであり、強運転モード、中運転モード、弱運転モードの順に入力値が小さい。
【0029】
掃除機本体2の内部に生じた負圧は、塵埃分離集塵部7、本体接続口12、接続管19、集塵ホース21、手元操作管22および延長管25を経て床面用吸込口体26の吸込口28に作用する。吸込口28に作用した負圧によって、電気掃除機1は、被掃除面に溜まった塵埃を空気とともに吸込口28から吸い込んで被掃除面を掃除する。塵埃分離集塵部7は、吸込口28が吸い込んだ含塵空気から塵埃を分離し、捕集し、蓄積する。含塵空気から分離して清浄になった空気は、塵埃分離集塵部7および電動送風機8を通過して掃除機本体2外へ排気される。
【0030】
ところで、床面用吸込口体26は居室の床面など比較的広い被掃除面の掃除に適するものであるが、例えば家具の隙間やベッドの下などの狭隘な掃除箇所や、所謂冷暖房機のような空気調和機の室内機の上面のような高所にある目視困難な掃除箇所では使い勝手に劣る。
【0031】
そこで、これら狭隘な掃除箇所や高所にある目視困難な掃除箇所における使い勝手の良い吸込口体35、および吸込口体35を手元操作管22に接続する第二集塵ホース85について説明する。
【0032】
図2は、本発明の実施形態に係る吸込口体の外観を示す斜視図である。
【0033】
図3は、本発明の実施形態に係る吸込口体の縦断面を示す斜視図である。
【0034】
図4は、本発明の実施形態に係る吸込体を示す横断面図である。
【0035】
図2から
図4に示すように、本実施形態に係る吸込口体35は、少なくとも短尺方向に並ぶ複数の吸込口36を有する長手形状の吸込体37と、吸込体37に流体的に接続される管部38と、管部38の途中にある関節39、41と、関節39、41のそれぞれを適宜の回転角度φ毎に複数の箇所で位置決め可能な位置決め機構42、43と、を備える。
【0036】
吸込体37は、扁平で中空な棒形状の基台45と、吸込口36の開口方向へ延びて吸込体37の外周縁部に並ぶサイドブラシ46と、複数の吸込口36に挟まり吸込口36の開口方向へ延びて吸込体37の長手方向に並ぶセンターブラシ47と、を備える。
【0037】
基台45は底面に吸込口36を有する。吸込口体35は吸込体37の底面を被掃除面に向けて使用される。また、基台45は、吸込口36を通じて被掃除面に対面可能な吸込室48を有する。吸込室48は、電気掃除機1が吸い込む含塵空気が通過する流路の一部である。また、基台45は、吸込体37の長手方向における中央からいずれかの端部側へ偏倚する位置にあり、かつ吸込口36の開口方向を保つ回転軸となるスリーブ49を備える。スリーブ49は、吸込室48に接続する中空部分を有し、基台45の上面から管部38の内部へ延びて吸込体37の回転中心線Cを構成する。スリーブ49の中空部分は吸込体37と管部38とを流体的に接続する開口51である。スリーブ49は管部38に引っ掛かり抜け止めとなる爪52を先端部に備える。
【0038】
吸込口36はセンターブラシ47を両側方から挟み、さらにセンターブラシ47と同様に吸込体37の長手方向に並んでいる。
【0039】
サイドブラシ46は、基台45の底面の法線方向へ向かって突出する。サイドブラシ46の先端を結ぶ軌跡は基台45の底面に略平行な面を描く。サイドブラシ46は、センターブラシ47よりも突出長さが短い。サイドブラシ46はセンターブラシ47よりも疎らであり、特に毛46aが密集している箇所と、散在している箇所とが交互にある。サイドブラシ46は、少なくとも吸込体37の長手方向に並ぶ部分、すなわちセンターブラシ47に対して平行に並ぶ部分があれば良い。
【0040】
センターブラシ47は、吸込体37の幅方向に並ぶ吸込口36を隔てるように吸込体37の幅方向における中央部分にあって吸込体37の長手方向へ並ぶ。センターブラシ47は、サイドブラシ46よりも腰が強い。このセンターブラシ47とサイドブラシ46との腰の強さの違いは、ブラシ46、47を構成するそれぞれの毛46a、47aの線径の太さ、毛46a、47aの総本数、毛46a、47aの材質、単位面積当たりの毛46a、47aの本数によって調整される。
【0041】
吸込体37は、回転中心線Cまわりに回転することによって管部38に隣合わさる収納状態と、管部38の延長方向へ突出する展開状態とを取ることができる。
【0042】
管部38は、吸込体37の長手方向における中央からいずれかの端部側へ偏倚する回転中心線Cまわりに吸込体37を回転可能に支持する。管部38は、回転中心線Cと略同軸に位置する開口51を通じて吸込体37に流体的に接続される。管部38は、回転中心線Cに略直交する方向へ延び、回転中心線Cの方向に見て吸込体37に並び、隣接する。
【0043】
また、管部38は、吸込体37よりも長く、吸込体37が管部38に隣合わさる収納状態にあって吸込体37と並ぶ並列部分55と、単独で延びる余剰部分56と、がある。管部38は、少なくとも並列部分55において吸込体37と略同等の幅がある。
【0044】
さらに、管部38は、吸込体37から突出するスリーブ49を嵌入させる開口57を有する。スリーブ49および開口57は管部38に吸込体37を支える軸受け部58である。管部38は一方の端部に軸受け部58を備え、他方の端部に継手部61を備える。吸込口体35の使用状態において管部38の一方の端部はその先端側になり、他方の端部は電動送風機8に流体的に接続される根元側になる。すなわち、軸受け部58が構成する回転中心線Cは管部38の先端部にある。
【0045】
軸受け部58は吸込体37を360°の範囲で円滑に回転可能に支持するものでも良く、スリーブ49と開口57に適宜の角度毎に嵌まり合う複数の凹凸(図示省略)を有して回転角度を段階的に切換可能であっても良い。
【0046】
関節39、41のそれぞれは、吸込体37の回転中心線Cに非平行な軸回りに揺動可能(折り曲げ可能)である。ここで、回転中心線Cに非平行な軸とは、回転中心線Cに対して交差またはねじれの位置にある軸である。本実施形態に係る関節39、41のそれぞれは、狭隘な隙間への進入が容易になるよう吸込体37の幅方向へ向く軸回りに揺動する。
【0047】
また、関節39、41のそれぞれは管部38の流路の一部であり、まっすぐに延びる直管状態、折れ曲がった屈折管状態のいずれの状態でも空気を流通できる。具体的には、関節39、41のそれぞれは、ほぼ隙間なく相互に回転可能に嵌まり合う大小二つの円筒を備える。これら2つの円筒の側壁部分は適宜に切り欠かれてそれぞれの関節39、41内流路をその可動範囲内で流通可能に保つ。
【0048】
なお、関節39、41は、いずれか一方のみ、すなわち少なくとも1つあれば良く、いずれかがあれば吸込口体35をユーザの目の高さよりも下方および上方のいずれかにおける利便を向上できる。
【0049】
関節39、41のうち1つである関節39は、管部38の余剰部分56に位置して、吸込体37が管部38のなす劣角側に位置する方向(
図2中の実線矢A方向)へ折れ曲がる。
【0050】
ここで、管部38のなす劣角側とは、関節39を跨いで管部38の一方側と他方側との中心線がなす角度のうち小さい方の角である。関節39は約60度の範囲で折れ曲がる。
【0051】
関節39、41のうち他の1つである関節41は、吸込体37が管部38に隣合わさる収納状態にあって吸込体37と管部38との並列部分55に位置して吸込体37が管部38のなす優角側に位置する方向(
図2中の実線矢B方向)へ折れ曲がる。
【0052】
ここで、管部38のなす優角側とは、関節41を跨いで管部38の一方側と他方側との中心線がなす角度のうち大きい方の角である。
【0053】
また、関節41は、並列部分55の略中央にあり、吸込体37の長手方向視において回転中心線Cとなる軸受け部58に並ぶ。
【0054】
規制機構62は、吸込体37が管部38に隣合わさる収納状態にあって回転中心線Cに交差する回転方向へ吸込体37が移動することを規制する。規制機構62は、吸込体37側の第一フック65と、第一フック65を引っ掛け可能な管部38側の第二フック66と、を備える。第一フック65と第二フック66とは、吸込体37が管部38に隣合わさる収納状態で引っ掛かり合う。他方、第一フック65と第二フック66とは、回転中心線Cまわりに吸込体37を回転させる場合には引っ掛かりを円滑に解除できる。
【0055】
本実施形態に係る吸込口体35は、長手形状の吸込体37を回転させると吸込体37の長手方向の全長にほぼ等しい回転半径で掃除範囲を拡大する。
【0056】
図5は、本発明の実施形態に係る吸込口体の一方の位置決め機構を示す図である。なお、
図5は、位置決め機構42を覆うカバーを取り外している。
【0057】
図5に示すように本実施形態に係る吸込口体35の関節39は、関節39を適宜の回転角度毎に複数の箇所で位置決めする位置決め機構42を備える。
【0058】
位置決め機構42は、関節39の側壁内に関節軸直交方向へ往復動可能なピン68と、ピン68を嵌脱可能な複数のノッチ69と、ピン68をノッチ69へ嵌め込む方向へ押し付けるコイルバネ71と、を備える。ピン68およびコイルバネ71は、関節39を構成するシリンダの一方にあり、ノッチ69は関節を構成するシリンダの他方にある。位置決め機構42は、関節39加わる力が適宜の大きさを超えてコイルバネ71に打ち勝つと、ピン68がノッチ69を乗り越えて関節39の角度を適宜の曲げ角度で保持する。ユーザは、関節39を曲げると、適宜の角度毎にピン68がノッチ69に嵌まる度、クリック感を得て、管部38を所望の角度に折り曲げることができる。
【0059】
図6は、本発明の実施形態に係る吸込口体の他方の位置決め機構を示す図である。
【0060】
図2に加えて
図6に示すように、本実施形態に係る吸込口体35の関節41は、関節41を適宜の回転角度毎に複数の箇所で位置決めする位置決め機構43を備える。
【0061】
位置決め機構43は、関節41を挟んで管部38の一方側に設けられる半球体72と、他の少なくとも1つの位置決め箇所43bにあり半球体72を嵌脱可能な円弧形状のガイド穴73を有する板部75と、を備える。板部75は、少なくとも1つの位置決め箇所43aにあり、半球体72を嵌脱可能な円形状の穴76も有する。位置決め機構43は、少なくとも1つの位置決め箇所、具体的には関節41の揺動範囲内で管部38と吸込体37とが最接近する位置決め箇所43aでは遊びが小さく、他の少なくとも1つの位置決め箇所43bでは適宜の回転角度φよりも小さい範囲で遊びが大きい。
【0062】
なお、ガイド穴73は、半球体72に比べて大径な開口であれば良く、円形であっても良い。他方、穴76は、半球体72とほぼ同じ径の開口であり、半球体72とのガタが小さいことが好ましい。
【0063】
位置決め箇所43aは管部38を直管状に位置決めして保持する。位置決め箇所43bは管部38を屈折管状に位置決めして保持する。
【0064】
ユーザは、関節41を曲げると、適宜の角度毎に半球体72が穴76またはガイド穴73に嵌まる度、クリック感を得て、管部38を所望の角度に折り曲げることができる。
【0065】
ところで、吸込口体35の関節39、41は複数あり、一方の関節39は吸込体37が管部38のなす角の劣角側に位置する方向へ折れ曲がり、他方の関節41は吸込体37が管部38のなす角の優角側に位置する方向へ折れ曲がるものである。そして、一方の関節39側にある一方の位置決め機構42は、他方の関節41側にある他方の位置決め機構43よりも位置決め状態における保持力が大きい。この位置決め機構42、43の保持力の差は、位置決め機構42のコイルバネ71のバネ定数や位置決め機構43の板部75の剛性を適宜に組み合わせたり、位置決め機構42のピン68の突出長さや位置決め機構42の半球体72の大きさを適宜に組み合わせたりして調整する。
【0066】
図7は、本発明の実施形態に係る吸込口体の規制機構を示す横断面図である。
【0067】
図7に示すように、本実施形態に係る吸込口体35の規制機構62、すなわち第一フック65および第二フック66は、相互に嵌まり合う凹凸67を備える。凹凸67は回転中心線Cの径方向に延び、凹凸67が嵌まり合うことで回転中心線Cまわりにおける吸込体37の回転を規制し、使用者の不意に吸込体37が展開状態へ回転することを防ぐ。
【0068】
図8は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の一部を示す斜視図である。
【0069】
図9は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の一部を示す側面図である。
【0070】
図8および
図9に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、電動送風機8と手元操作管22(中継管)とを流体的に接続する可撓な集塵ホース21(第一集塵ホース)と、手元操作管22と吸込口体35とを流体的に接続し、かつ集塵ホース21よりも柔軟に撓む第二集塵ホース85と、を備える。
【0071】
また、電気掃除機1は、第二集塵ホース85と吸込口体35とを流体的に接続する伸縮自在なテレスコピック構造の伸縮管86を備える。
【0072】
第二集塵ホース85は、集塵ホース21に比べて自然長から伸張し易く、また伸張した状態から収縮しやすい。換言すると、第二集塵ホース85は、集塵ホース21に比べてバネ定数が低く、かつ収縮力で縮みきった状態を自然長とする引張バネのような性質を有する。第二集塵ホース85は、手元操作管22に嵌脱可能な継手管87を一方の端部に備え、他方の端部に伸縮管86を嵌脱可能な継手管88を備える。継手管88は嵌め込まれた伸縮管86の固定とその解除とを行うロック機構89を備える。
【0073】
また、第二集塵ホース85は、集塵ホース21に比べて電動送風機8が吸い込む空気流の上流側にある。
【0074】
電気掃除機1は、手元操作管22の上流側に延長管25および床面用吸込口体26を接続する形態(
図1)では、床面上を広範囲に掃除する用途に適する。この形態の電気掃除機1は、ユーザが手元操作管22、延長管25および床面用吸込口体26を一体で前後へ往復させる動作を、集塵ホース21全体の撓みで吸収する。そして、電気掃除機1は、ユーザが掃除箇所を変えるために手元操作管22を引っ張ると、撓みがなくなり直線的になりつつも長さをほぼ保った集塵ホース21で掃除機本体2を牽引し、新たな掃除箇所に移動する。すなわち、床面用吸込口体26を使用する場合、集塵ホース21は、容易に撓んで湾曲する(曲げ剛性が低い)ことが好ましい一方で、掃除機本体2の追従性を損なうことなく牽引するために容易には伸び縮みしない(縦剛性が高い)ことが好ましい。そこで、集塵ホース21は、第二集塵ホース85に比べて伸び縮みしにくいことで掃除機本体2の追従性を保ち、操作性を向上する。
【0075】
他方、電気掃除機1は、手元操作管22の上流側に第二集塵ホース85、伸縮管86および吸込口体35を接続する形態では、例えば家具の隙間やベッドの下などの狭隘な掃除箇所や、所謂冷暖房機のような空気調和機の室内機の上面のような高所にある目視困難な掃除箇所を重点的に掃除する用途に適する。この形態の電気掃除機1は、ユーザが伸縮管86および吸込口体35を一体で任意の方向へ向ける動作を、集塵ホース21よりも柔軟な第二集塵ホース85の撓みで吸収する。そして、電気掃除機1は、ユーザが筒先(吸込口体35)の向きを変えるために伸縮管86を引っ張っても、直線的になりつつも容易に伸びる第二集塵ホース85で変位を吸収し、掃除機本体2の定位を保つ。すなわち、吸込口体35を使用する場合、第二集塵ホース85は、容易に撓んで湾曲する(曲げ剛性が低い)ことが好ましいことに加え、容易に伸縮して(縦剛性が低い)掃除機本体2の定位を保てる方ことが好ましい。そこで、第二集塵ホース85は、手元操作管22と吸込口体35との間で容易に曲がり、かつ容易に伸びることで両部位間の大変位を許可しつつ掃除機本体2の定位を保ちやすくして操作性を向上する。特に、第二集塵ホース85は集塵ホース21よりも筒先(吸込口体35)に近い上流側にあるため、ユーザが伸縮管86を引っ張る動作を、第二集塵ホース85側を主体的に使用して吸収できる。また、第二集塵ホース85は、集塵ホース21に比べて、ユーザが吸込口体35をより遠くへ差し出す動作に柔軟に湾曲、かつ延びて追従できるとともに、縮もうとする力によって弛みをなくし、無用な長さを呈することなく、ユーザの邪魔にならない。
【0076】
伸縮管86は多段階、例えば三段階に伸縮できる。伸縮管86は第二集塵ホース85の継手管88に嵌脱可能な継手部91を一方の端部に備え、他方の端部に吸込口体35を嵌脱可能な継手部92を備える。また、伸縮管86は各段に伸張状態または短縮状態の固定とその解除とを行うロック機構93を備える。
【0077】
なお、電気掃除機1は、吸込口体35のみならず、伸縮管86や、第二集塵ホース85の上流側の開口端を筒先として掃除に供することができる。
【0078】
図10から
図12は、本発明の実施形態に係る吸込口体の使用状態の一例を示す図である。
【0079】
図10に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、手元操作管22に第二集塵ホース85、伸縮管86および吸込口体35を順次接続することで、床面用吸込口体26では掃除しにくい箇所、例えば高所の掃除を行うことができる。
【0080】
電気掃除機1のユーザは、伸縮管86の根元(第二集塵ホース85に近い端部)を把持し、吸込口体35を上方に掲げて高所の掃除を行う。高所にある掃除箇所の具体例として、空気調和機の室内機ieの上面を考える場合、伸縮管86の最延長長さを約1mに設定することで、女性の平均身長(約158cmを想定)よりも数センチメートルから十数センチメートルほど身長の低いユーザであっても当該箇所へ吸込口体35を到達させることが可能である。
【0081】
なお、空気調和機の室内機ieの天面の高さは、高さ約2mの掃き出し窓の上方に若干の距離(約10cm)を隔てて高さ約25cmから約30cmの室内機を配置した場合、すなわち約2m35cmから約2m40cmと想定している。
【0082】
図11に示すように、本発明の実施形態に係る吸込口体35は、関節39を折り曲げることで吸込体37が管部38のなす劣角側に位置するおじぎのような形態になる。このおじぎ形態の吸込口体35は、例えば、空気調和機の室内機の上面のように、電気掃除機1のユーザの視点よりも高所にあり直接的な目視の困難な掃除箇所の掃除に適している。電気掃除機1のユーザは、掃除箇所に対して水平方向に離れた適宜の位置から伸縮管86を延ばすことで当該掃除箇所に吸込口体35を容易に到達させることができる。
【0083】
また、
図12に示すように、本実施形態に係る吸込口体35は、おじぎ形態に加えて吸込体37を回転中心線Cまわりに回転して展開状態にすることで関節39から伸びるアーム長を伸張できる。このおじぎ形態+展開形態の吸込口体35は、直接的な目視の困難な掃除箇所のより奥側へ到達できる。例えば、吸込体37の長手方向における長さを17cm程度に設定しておくことで、関節39を基準とする展開状態のアーム長を30cm以上に確保することが可能であり、空気調和機の室内機の上面を壁際まで掃除することが可能になる(
図10における二点鎖線の吸込体37)。
【0084】
このように、本実施形態に係る吸込口体35は、管部38を折り曲げる関節39によって高所にある掃除箇所の縁に沿って直線的(一次元的)に移動し、縁部近傍を掃除可能なだけでなく、吸込体37を展開することによって縁部からより奥側に到達して平面的(二次元的)に掃除範囲を拡大できる。
【0085】
図13および
図14は、本発明の実施形態に係る吸込口体の使用状態の一例を示す図である。
【0086】
図13に示すように、本実施形態に係る吸込口体35は、関節41を折り曲げることで吸込体37が管部38のなす優角側に位置して反り返るような形態になる。この反り返り形態の吸込口体35は、例えば、家具の隙間のように床面用吸込口体26が進入困難で狭隘な掃除箇所の掃除に適している。電気掃除機1のユーザは、掃除箇所に対して水平方向に離れた適宜の位置から伸縮管86を延ばすことで当該掃除箇所に吸込口体35を容易に到達させることができる。
【0087】
この反り返り形態の吸込口体35は、吸込体37と管部38との並列部分55に関節41があり、吸込口体35を被掃除面に押し付ける力Fを吸込体37の全体に伝え易く、被掃除面をしっかりと掃くことができる。
【0088】
ところで、従来の吸込口体は、接続管の折り曲げの位置決めが固定的であったため、ユーザの腕の振りにともなって把持位置の高さが変化すると吸込体(あるいはブラシの毛先)が被掃除面から離れたり、接地状態が不安定になったりする。他方、本実施形態に係る吸込口体36は、関節41の位置決め機構43において、他の少なくとも1つの位置決め箇所43bの遊びが大きいため、ユーザの腕振りにともない把持位置の高さ変化が生じても伸縮管86や管部38に対して吸込体37を首振り運動させることが可能であり接地を維持しやすく、被掃除面上の塵埃をより確実に掃き取る。
【0089】
また、
図14に示すように、本実施形態に係る吸込口体35は、反り返り形態に加えて吸込体37を回転中心線Cまわりに回転して展開状態にすることで関節39から伸びるアーム長を伸張できる。この反り返り形態+展開形態の吸込口体35は、狭隘な掃除箇所のより奥側へ到達できる。また、反り返り形態+展開形態の吸込口体35は、テレビ台の下方のように上下に狭い空間へ吸込体37を潜り込ませるようにして掃除することができる。
【0090】
図15は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の使用状態の一例を示す図である。
【0091】
図15に示すように、本実施形態に係る吸込口体35は、関節39、41の双方を適宜に折り曲げることで、高さ方向に制約があり幅の狭い隙間に吸込口体35を容易に到達させることができる。例えば、ベッドBの下に収納されている収納箱間の隙間のように天面が低く狭隘な掃除箇所の掃除に適している。電気掃除機1のユーザは、掃除箇所に対して水平方向に離れた適宜の位置から伸縮管86を延ばすことで当該掃除箇所に吸込口体35を容易に到達させることができる。
【0092】
図16から
図22は、本発明の実施形態に係る吸込口体の使用状態の一例を示す図である。
【0093】
図16から
図22に示すように、本実施形態に係る吸込口体35は、センターブラシ47の先端を中心に傾いて接地する。吸込口体35の傾き方は、進行方向(
図16から
図19中の実線矢P)に対して前傾する場合(
図16、
図17)もあれば、進行方向に対して後傾する場合(
図18、
図19)もある。また、吸込口体35の傾き方が切り替わらず、進行方向に対して前傾と後傾とが交互に切り替わる場合(
図20、
図21、
図22)もある。
【0094】
図16に示すように、進行方向に対して前傾する吸込口体35は、掃除箇所にある綿埃などの繊維状の塵埃D1を、進行方向へ先行するサイドブラシ46で掃き取り、サイドブラシ46の外側面に集める。このとき、後続するサイドブラシ46は掃除箇所から離れている。
【0095】
そして、
図17に示すように、吸込口体36の進行方向が切り替わると、先行していたサイドブラシ46は掃除箇所から離れて後続側になり、後続していたサイドブラシ46は掃除箇所に接地して先行側になり、サイドブラシ46それぞれの箇所の先後が逆転する。この状態で吸込口体36が進行すると、進行方向へ先行するサイドブラシ46は、掃除箇所にある繊維状の塵埃D2を掃き取る。進行方向が切り替わる前にサイドブラシ46が集めた塵埃D1は、もっぱら後続側に切り替わったときにセンターブラシ47とサイドブラシ46との間を通過し、吸込口36へ吸い込まれる。
【0096】
このように、進行方向に対して前傾する吸込口体35は、
図16と
図17との状態を繰り返して、掃除箇所の塵埃を確実に吸い込む。
【0097】
他方、
図18に示すように、進行方向に対して後傾する吸込口体35は、掃除箇所にある繊維状の塵埃D1をセンターブラシ47の先行側側面で掃き取り集める。センターブラシ47が集めた塵埃D1は適宜、センターブラシ47とサイドブラシ46との間を通過し、吸込口36へ吸い込まれる。
【0098】
そして、
図19に示すように、吸込口体36の進行方向が切り替わると、先行していたサイドブラシ46は掃除箇所に接地して後続側になり、後続していたサイドブラシ46は掃除箇所から離れて先行側になり、サイドブラシ46それぞれの箇所の先後が逆転する。この状態で吸込口体36が進行すると、センターブラシ47の後続側側面に残留している塵埃D1は、センターブラシ47が常に掃除箇所と接しているためセンターブラシ47から脱落する場合がある。しかし、脱落した塵埃D1は、センターブラシ47とサイドブラシ46との間を通過し、吸込口36へ吸い込まれる。このとき、センターブラシ47の先行側側面は、掃除箇所にある繊維状の塵埃D2を掃き取る。
【0099】
このように、進行方向に対して後傾する吸込口体35は、
図18と
図19との状態を繰り返して、掃除箇所の塵埃を確実に吸い込む。
【0100】
また、
図20および
図22に示すように、傾き方が切り替わらずに、進行方向に対して前傾と後傾とを交互に行う吸込口体35は、サイドブラシ46が先行するとき、すなわち進行方向に対して前傾するとき(
図20)には、掃除箇所にある繊維状の塵埃D1を、進行方向へ先行するサイドブラシ46で掃き取り、サイドブラシ46の外側面に集める。このサイドブラシ46が掃き取る塵埃D1は、吸込口体35が掃除箇所から離れたときに吸込口36へ吸い込まれる。他方、吸込口体35は、センターブラシ47が先行するとき、すなわち進行方向に対して後傾するとき(
図21)には、掃除箇所にある繊維状の塵埃D2をセンターブラシ47の先行側側面で掃き取り集める。センターブラシ47が集めた塵埃D2は適宜、センターブラシ47とサイドブラシ46との間を通過し、吸込口36へ吸い込まれる。
【0101】
すなわち、吸込口体35は、後傾して進行する場合には塵埃D2を適宜に吸込口36へ吸い込むことができる。他方、吸込口体35は、前傾して進行する場合には吸込口36へ向かう空気の流れの一部をサイドブラシ46で遮ることになり塵埃D1を吸込口36へ吸い込む手前でサイドブラシ46の外側面に溜め込んでしまう場合がある。しかしながら、ブラシの毛先が一様でその軌跡が平面を描く従来の吸込口体に比べれば、吸込口体35は、センターブラシ47の毛先とサイドブラシ46の毛先とが描くV字形状(山切り形状)によって容易に傾きやすく、少しでも傾いてサイドブラシ46が掃除箇所から離れてしまえばサイドブラシ46の外側面に溜まった塵埃D1を吸込口36へ吸い込むことができる(
図22)。
【0102】
このように、本実施形態に係る吸込口体35は、センターブラシ47の先端を中心に傾いて接地することで、いずれの進行方向(特に横幅方向であり、左右方向である短尺な方向)へ掃いても、ユーザの直接的な視認によることなく当該掃除箇所の塵埃を確実に掃き取ることができる。
【0103】
吸込口体35の傾き方は、進行方向(
図16から
図19中の実線矢P)に対して前傾する場合(
図16、
図17)もあれば、進行方向に対して後傾する場合(
図18、
図19)もある。また、吸込口体35の傾き方が切り替わらず、進行方向に対して前傾と後傾とが交互に切り替わる場合(
図20、
図21)もある。
【0104】
本実施形態に係る吸込口体35および電気掃除機1は、吸込体37を掃除箇所に対して傾けるセンターブラシ47と、センターブラシ47を挟んで並ぶ吸込口36と、を備えることによって、吸込口体35の往復動のいずれの進行方向(特に横幅方向であり、左右方向である短尺な方向)においても掃除箇所の塵埃を掃き取り、掃き取った塵埃を吸込口36へ確実に吸い込むことができる。
【0105】
また、本実施形態に係る吸込口体35および電気掃除機1は、サイドブラシ46を備えることによって、センターブラシ47の毛先を中心とする吸込口体35の傾き角度を安定化し、センターブラシ47の周囲に空気の流れを確実に発生させてブラシ46、47の掃き取る塵埃を確実に吸引できる。
【0106】
さらに、本実施形態に係る吸込口体35および電気掃除機1は、サイドブラシ46よりも腰が強いセンターブラシ47を備えることによって、吸込口体35が掃除箇所に対して平行な姿勢になることを防ぎ、センターブラシ47の毛先を中心とする吸込口体35の傾き運動(揺動運動)を確実化し、いずれの進行方向においてもブラシ46、47による塵埃の掃き取りの確実化と、掃き取った塵埃の吸引の確実化を可能にする。
【0107】
さらにまた、本実施形態に係る吸込口体35および電気掃除機1は、センターブラシ47よりも疎らなサイドブラシ46を備えることによって、吸込口体35の傾きの方向(前傾または後傾)にかかわらず、サイドブラシ46で掃き損なった塵埃をセンターブラシ47で確実に掃き取り、吸込口36へ吸い込むことができる。
【0108】
したがって、本実施形態に係る吸込口体35および電気掃除機1によれば、視認が困難な掃除箇所で使用したとしても当該掃除箇所の塵埃を確実に掃き取ることができる。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。