特許第5762280号(P5762280)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5762280
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】抗菌性創傷包帯
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/00 20060101AFI20150723BHJP
   A61L 15/44 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   A61F13/00 305
   A61L15/03
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-500290(P2011-500290)
(86)(22)【出願日】2009年3月18日
(65)【公表番号】特表2011-515136(P2011-515136A)
(43)【公表日】2011年5月19日
(86)【国際出願番号】GB2009000733
(87)【国際公開番号】WO2009115804
(87)【国際公開日】20090924
【審査請求日】2012年2月1日
【審判番号】不服2014-15674(P2014-15674/J1)
【審判請求日】2014年8月7日
(31)【優先権主張番号】0805162.5
(32)【優先日】2008年3月19日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】509146126
【氏名又は名称】コンバテック・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CONVATEC TECHNOLOGIES INC
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100118625
【弁理士】
【氏名又は名称】大畠 康
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・カーショー
(72)【発明者】
【氏名】バリー・ディ・ボーダー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ジョン・ロー
【合議体】
【審判長】 千葉 成就
【審判官】 蓮井 雅之
【審判官】 栗林 敏彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−501982(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/113052(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/00
A61L15/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀イオンが結合したゲル形成繊維から得られた創傷包帯であって、銀イオン対硝酸イオンの重量対重量比が0.5〜4であり、
(i)ゲル形成繊維を含む布地を形成する工程と、
(ii)前記布地を、銀イオンを含有する水溶液に、前記水溶液を前記布地にスプレーすることにより接触させる工程と、
を含む方法により得られる、抗菌性創傷包帯。
【請求項2】
(i)ゲル形成繊維を含む布地を形成する工程と、
(ii)前記布地を、銀イオンを含有する水溶液に、前記水溶液を前記布地にスプレーすることにより接触させる工程と、
を含み、
銀めっき創傷包帯が、0.5〜4の銀イオン対硝酸イオンの重量対重量比を有していることを特徴とする、銀めっき創傷包帯を製造する方法。
【請求項3】
前記布地が、両平面に、前記銀水溶液でスプレーされる、ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記布地が、ロールの形態であり、対向両面に前記銀水溶液がスプレーされる、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記スプレーが、超音波スプレーヘッドを用いて実施されて、霧状ミストのスプレーを生成する、ことを特徴とする請求項2〜4の何れか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記スプレーヘッドに供給される水溶液の流量が、毎分10ml〜毎分100mlである、ことを特徴とする請求項2〜5の何れか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記水溶液が、水中2%w/w〜10%w/wの硝酸銀を含む、ことを特徴とする請求項2〜6の何れか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、前記布地に塩化ナトリウム水溶液をスプレーする追加の工程を含む、ことを特徴とする請求項2〜7の何れか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記塩化ナトリウム水溶液が、水中5%w/w〜15%w/wの塩化ナトリウムを含む、ことを特徴とする請求項2〜8の何れか一つに記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、前記塩化ナトリウム適用後に、前記スプレーした布地を静置させる追加の工程を含む、ことを特徴とする請求項2〜9の何れか一つに記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、前記静置期間後に、前記布地を乾燥する追加の工程を含む、ことを特徴とする請求項2〜10の何れか一つに記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、乾燥後に、前記布地を紫外光に露光する追加の工程を含む、ことを特徴とする請求項2〜11の何れか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創傷包帯、特に、銀めっきされたゲル形成布地をベースとする抗菌性創傷包帯、及びかかる創傷包帯の製造方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
長年に渡って、銀は、哺乳類の組織と適合性があると共に、広い活性スペクトルも備えた、有用な抗菌剤である、ことが知られており、銀を、創傷包帯に組み込んで、創傷包帯における銀の殺菌性の利点を得る提案が、多くなされてきた。また、銀は、創傷包帯ではない目的、通常は、導電性を高める目的で、繊維状材料に適用されてきた。銀は、概して、ゲルを形成しないそのような繊維に、様々な方法で適用されており、中には、繊維を銀溶液に浸漬するものがあるが、用いられている手順の詳細が明らかでないものが多い。
【0003】
カルボキシメチルセルロース、特に、カルボキシメチル化リヨセルは、大量の滲出液や創傷流体を吸収し、ゲルをその表面に形成する能力を、有している。材料のこの特性は、吸収とゲル形成の両方を行う創傷包帯の形成に、特に有利であることが、わかっている。セルロースのカルボキシメチル化は、国際公開第93/12275号に記載されており、カルボキシメチルセルロースを、創傷包帯に用いることは、国際公開第94/16746号に記載されている。アルギン酸カルシウム(又はナトリウム/カルシウム)は、その吸収性及びゲル化能のために、創傷包帯の形成に有用な別の材料である。創傷包帯に用いるゲル形成繊維は、水吸収繊維であり、創傷滲出液を取り込むと、湿ったり、滑ったり、又はゲル状となったりして、繊維が創傷に貼り付く傾向を減じる。ゲル形成繊維は、また、膨潤もする。ゲル形成繊維には、滲出液の吸収により、構造上の完全性を保持するタイプと、滲出液の吸収により、繊維状の形態を失って、構造のないゲル又は溶液となるタイプと、がある。
【0004】
しかしながら、銀化合物は、感光性であり、露光されると黒ずむ、という事実から、創傷包帯に銀を用いるには特有の問題がある。この結果、創傷包帯として用いるのに技術的にはたとえ好適であっても、見た目の悪い製品が製造されてしまう。
【0005】
光で銀化合物が黒ずむのには3つの特有の側面があり、商業的に受け入れられる銀めっき創傷包帯を製造しようとすると、取り組むべき必要がある。第1の側面は、製品の実際の色であり、すなわち、消費者に受け入れられる色を有する製品が求められていることである。第2の側面は、均一な外観の製品を製造することが求められていることである。第3の側面は、包装した包帯の色の安定性(寿命)である。
【0006】
これまでに、繊維を、銀イオンを含有する全溶液と実質的に同時接触させることによる繊維の不可逆的なゲル化を生じない条件で、繊維を、銀イオンを含有する溶液と接触させる工程を含む方法により、銀を繊維に適用することが、提案されてきた。このやり方による繊維の急速浸漬は、銀イオンの非常に均一な取り込みを行う、と考えられている。かかる方法は、米国特許出願公開第2004/0241213号に記載されている。しかしながら、浸漬は、繊維の不可逆的なゲル化を防ぐために、有機溶媒中でなされる。用いることのできる溶媒が限定されるばかりでなく、有機溶媒の使用により、環境上及びコスト面での問題が生じる。銀めっき繊維からの布地の製造は、創傷包帯として用いることのできる製品形態が特定のタイプの布地に限定されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第93/12275号
【特許文献2】国際公開第94/16746号
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0241213号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特定のタイプの創傷、例えば、火傷や手術創傷を治療するために、織布か不織布のいずれかの布地を用いて、結果として得られる包帯の特性を改善することが、望ましい。かかる特性としては、湿潤引張強度、可撓性、脆性削減、及び収縮削減を、挙げることができる。
【0009】
銀めっき繊維を製造し、それらから布地を形成する、先行技術の方法ではなく、ゲル形成繊維を含む布地に銀を適用する方法を、利用できるようにすると、有利である。この方法によって、銀の利点をより多くのタイプの創傷にもたらす、改善された特性を備えた創傷包帯を、製造することができる。また、銀の適用の際に有機溶媒の使用を排除した方法を、利用できるようにすると、有利である。
【0010】
更に、創傷包帯として用いられる水素化不織銀めっき布、特に、水素化カルボキシメチルセルロース繊維を含むものを、製造する方法を、利用できるようにすると、有利である。かかる布地を製造する1つの可能な経路は、セルロース布地をハイドロエンタングルして、カルボキシメチル化し、銀と反応させて、抗菌性を付与するものである。布地は予備形成されるので、銀による繊維の後処理をランダム化することはできない。従って、布地を銀と反応させる方法では、銀の布地への均一な適用を行う必要がある。
【0011】
意外にも、布地に銀溶液をスプレーすることにより、ゲル形成繊維製の布地に銀が適用されることを、見出した。
【0012】
先行技術の方法では、銀イオンを繊維に供給するのに用いる銀溶液が、水性有機溶液、特に、エチルアルコールと水との混合物のような水性アルコール溶液であるため、スプレーは敬遠される。繊維の不可逆的なゲル化を避けるには、溶媒が必要である、と考えられる。概して、可燃性及び毒性の問題、そして、方法に係る操作の安全性を確保するのに生じる問題のため、アルコール溶液のスプレーは避けられる。
【0013】
意外にも、銀溶液における溶媒のレベルを減じ、布地に水性銀溶液をスプレーすることによってさらにそれを排除できることを、見出した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明は、
(i)ゲル形成繊維を含む布地を形成する工程と、
(ii)布地を、銀イオンを含有する水溶液に、溶液を布地にスプレーすることにより接触させる工程と、
を含む、銀めっき創傷トレッシングを製造する方法を、提供する。
【0015】
また、本発明は、銀イオンが結合したゲル形成繊維から得られた創傷包帯であって、硝酸塩を含む、抗菌性創傷包帯も、提供する。
【0016】
布地に適用される溶液の容積を調節して、実質的に適正な用量の銀を、布地の各単位面積に適用することが、重要である。また、布地を過剰に湿らせないようにすることも重要である。そうしないと、繊維がゲル化して溶融する。布地と接触する溶液の容積を調節して、スプレーされる液体の実質的に全てが、布地に吸い取られて、布地の表面に自由液体が残らないようにするのが、特に好ましい。
【0017】
最終製品に存在する銀の所望の用量は、最終製品の総重量を基準として0.5%〜8%、より好ましくは、0.5%〜2%、最も好ましくは、0.75〜1.5%である。
【0018】
布地に、好ましくは、銀イオンを含む溶液と、塩化ナトリウムを含有する別の溶液と、をスプレーする。より好ましくは、布地に、まず、銀溶液をスプレーする。塩化ナトリウム溶液は、布地の変色を減じる。
【0019】
好ましくは、布地は、ロールの形態であり、スプレーは、布地の両面に、オープンリール方法で適用される。両面適用には、得られる製品が片面ではなく、患者がいずれを上にしても使える、という利点がある。
【0020】
従来の液体スプレーシステムにおいては、液体のストリームが、ストリーム内のフローパターンの乱れのために分解されるように、作られている。液体は液滴へと分解する。この分解は、圧縮空気ストリームにより、補助され、指向されて、液滴は、毎秒10〜20mの範囲の速度を有する。本発明の方法は、塩溶液をスプレーするのが好ましいため、液体流量は、スプレーヘッドでの塩ケーキング及びそれを詰まらせるを、防ぐのに、十分早くなければならない。しかしながら、布地にスプレーできる流体の量は、多すぎると、ゲル化して完全性が失われるため、制限がある。従って、従来のスプレーシステムを用いるには、早いライン速度が必要となる。
【0021】
超音波噴霧は、液体の薄膜が垂直な方向に振動している表面を通過するときに、生じる。液体膜は、エネルギーの一部を吸収して、振動し始め、表面に定常波を形成する。これらの波は、表面張力波として知られている。表面張力波の振幅が増えると、振幅は、波が不安定となり崩壊するところに、達する。そのようになると、液体の液滴が表面から噴出する。これらの液滴は、0.24〜0.37m.s−1の範囲の速度を有する。液滴の低速度は、それらが、気流に容易に取り込まれ、表面に堆積可能であること、を意味している。
【0022】
理想的に一定用量の銀を布地に与えるのに、溶液を布地に均一に適用又はコーティングするために、布地にスプレーするのに用いるジェットは、低前進速度の液滴のストリームを生成するタイプのものであるのが好ましいことを見出した。低前進速度とは、液滴が、ノズル近くに落下して、ノズルから大きな軌道を描かないこと、を意味する。スプレー液滴は、スプレーパターンを布地の幅を横切るように指向させる、強制空気カーテンにより、布地へと下方へ付勢される。超音波スプレーヘッドは、最小の前進速度を与えることが分かっている。好ましくは、各スプレーヘッドに適用される溶液の流量は、ロールのライン速度に応じて、毎分10ml〜毎分100mlである。
【0023】
好ましくは、硝酸銀溶液は、水中1%w/w〜10%w/w、より好ましくは、2〜7%w/w、最も好ましくは、3〜5%w/wの硝酸銀を含む。好ましくは、塩化ナトリウムは、水中3%〜15%w/w、より好ましくは、5〜10%w/w、最も好ましくは、5〜7%w/wの塩化ナトリウムを含む。
【0024】
スプレー後、布地は、好ましくは、ロールに巻きつけられて、反応し、塩化物イオンとの交換が生じるようにする。典型的には、静置時間は、大気温度で約5分〜1時間である。この後、濡れた布地は、好ましくは、巻き戻され、強制空気乾燥機に通されて、布地の水分量は、120%から80%w/w、更に5〜15%w/wまで、減じられる。任意で、布地をUV光(紫外光)で処理すると、同一色を発現することができる。UV管により消失するエネルギーは、約3.6KJm−2である。
【0025】
処理される布地は、カルボキシメチル化ハイドロエンタングルされた不織布であるのが好ましい。この布地は、織布の高強度であるが低吸収性と、ニードルパンチ不織布の高吸収性であるが低強度と、の折り合いをつけるものであるからである。より好ましくは、布地は、坪量が約55gsmの不織のハイドロエンタングルされたセルロースである。
【0026】
好ましくは、方法の操作でのライン速度は、毎分1m〜毎分10mである。
【0027】
本発明の創傷包帯の、包帯中での銀対硝酸塩の重量対重量比は、0.5〜4、より好ましくは1〜2、最も好ましくは1.5〜1.8である。
【0028】
本発明の方法を、以下の図面で更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の方法の一実施形態で用いる工程のフローチャートを示す。
図2】本発明の方法の一実施形態で用いるスプレー工程のフローチャートを示す。
図3】本発明の方法の一実施形態で用いるドウェル工程のフローチャートを示す。
図4】本発明の方法の一実施形態で用いる乾燥/光定着工程のフローチャートを示す。
図5】本発明の方法の一実施形態のスプレー工程で用いる、可能な機械構成を、示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明を、本発明の特に好ましい実施形態を示す以下の実施例により、例示する。
【0031】
[実施例1]
本発明の方法を、図1に示す方法工程を用いて実施した。
【0032】
スプレーコーティング方法を、図5に示すとおりに配置した機械で、図2のフローチャートに示す方法工程を用いて実施した。布地ロール(幅300mmのロールについては8kgまで、幅600mmのロールについては16kgまでの重量)を巻き戻しユニットに装着した。布地を、巻き戻しユニットから、硝酸銀溶液を均一なコート重量で布地の両面にコートするのに用いるスプレーヘッドを含むブースへ、通した。次に、布地を、塩化ナトリウム溶液をスプレーして布地の両面に均一なコート重量で布地をコートする、第2のスプレーブースへ、通した。このコーティング方法により、処理したロールの重量が略倍になった。
【0033】
布地がコートされたら、布地の濡れたロールを、ビニール袋に入れて、所定の時間に渡って暗所に保持して、「硬化」工程を行った。このドウェル期間が経過したら、布地の濡れたロールを、乾燥/UV処理段階に通した。この方法の工程を図3のフローチャートに示す。布地は、30分〜1時間の間、ドウェル段階に保持した。
【0034】
布地を、必要な時間だけ硬化させたら、乾燥段階に通して、気流中で水を布地から除去し、一定水分量まで乾燥した。乾燥布地を、UV光処理に通して、UVに露光したところ、均一なグレーの外観となった。布地の色が発現したら、パッケージへと巻いた。これらの方法工程を図4のフローチャートに示す。
【0035】
(方法条件)
上記の方法は、1平方メートル当たり、55〜80グラムの坪量の布地で、以下の方法条件を用いて行われた。
【0036】
【表1】
【0037】
(試料)
【0038】
【表2】
【0039】
[実施例2]従来のスプレー方法
この例で作製した試料は、超音波スプレーヘッドを従来のスプレーヘッドに交換した以外は、実施例1に述べたのと同様の方法により、製造された。用いた方法条件は、次のとおりであった。
【0040】
(方法条件)
【0041】
【表3】
【0042】
(試料)
【0043】
【表4】
【0044】
この方法だと、ヘッドが詰まる前に、短時間操作できるだけであった。
【0045】
[実施例3]
本発明の方法により製造された布地の重量対重量基準での銀対硝酸塩比は、前駆体布地にスプレーされた硝酸銀化合物におけるのと同じになる。銀又は硝酸塩イオン以外の他の源がなく、スプレーした布地は洗わないからである。
【0046】
(スプレー技術により作製された布地での銀対硝酸塩比)
硝酸銀は、AgNOである。
硝酸銀の相対分子質量は、170g/molである。
銀の相対原子質量は、108g/molである。
硝酸塩イオンの相対分子質量は、62g/molである。
従って、銀対硝酸塩のw/w比は、108/62=1.74である。
【0047】
本発明の布地と、Aquacel Ag(急速浸漬により銀溶液で処理しておいたカルボキシメチルセルロース包帯)について観察した比を、以下に示す。各試料について、試料中に存在する銀濃度を、酸分解で試料を分解することにより、測定した。得られた溶液を、既知の銀標準溶液に対して、原子吸光分光法を用いて測定した。硝酸塩濃度を、試料をまず脱イオン水で洗うことにより、測定した。洗浄物を、脱イオン水を用いて希釈した。イオンクロマトグラフィーにより、硝酸塩の標準溶液に対して、電気化学検出器と組み合わせたイオン交換カラムを用いて、試料を分析した。
【0048】
【表5】
【0049】
硝酸銀を布地にスプレーするものと仮定して、理論比を計算する。従って、布地で測定される銀対硝酸塩の比は、純粋の硝酸銀化合物について観察されるものと同じである。
【0050】
Aquacel Agの試料を、上述したとおりにして分析して、包帯中の銀対硝酸塩の比を求めた。
【0051】
【表6】
【0052】
(まとめ)
硝酸銀のみをスプレーした本発明の布地の銀対硝酸塩の理論比は、1.74である。表に示すスプレー方法について銀対硝酸塩の観察された平均比は、1.70、標準偏差は、0.74である。
【0053】
Aquacel Agの製造に用いる洗浄を含む銀めっき方法について観察された平均比は、11.37、標準偏差は、4.8である。大きな差は、Aquacel Agに比べた本発明の布地における銀の量によるものではなく、本発明の布地は洗っていないため、布地の硝酸塩のレベルが高いことによる。以下の実施例に示すとおり、硝酸塩含量の差は、公知の抗菌性包帯に比べると、本発明の包帯の本質的な抗菌性に影響していない。
【0054】
[実施例4]
(銀溶出速度)
実験室試験により、実施例1による本発明の方法で作製された、ナイロンフィラメントで強化した、布地からの、銀の溶出速度は、AQUACEL Ag(非スプレー方法で銀の適用されたカルボキシメチルセルロース不織布、例えば、ConvaTec)のものと同様であることが、次の方法を用いて示された。試料2gを、37℃で攪拌した0.9%(w/v)塩化ナトリウム200mlに入れた。試験を、本発明の包帯の3つの臨床試験バッチで行った。選択した時点(3時間、24時間等)で、10mlをサンプリングして、10mlの新たな溶出媒体と交換した。試料を、AA分光光度計で分析した。1000ppmの銀基準を用いた。図に、各時点での(生理食塩水への)放出速度を示す。放出は、約0.4ppmで、160時間に渡って、一定である。
【0055】
【表7】
図1
図2
図3
図4
図5