【実施例】
【0055】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は本発明を限定する意図のものではない。
【0056】
実施例および比較例に用いられる評価方法を下記に示す。
1.表面抵抗値
実施例および比較例にて得られた手袋から、直径約8cmの円状の編地を切り出し試験片とした。該試験片を表面抵抗値測定装置(MONROE ELECTRONICS社製、「272A型」)(印加電圧:10V)にセットし、15秒後の値を読み取って表面抵抗値とした。15秒後の値を読み取る場合、EN1149−1に一部準拠した。測定条件は、室温23℃、湿度45%とした。
2.導電性繊維の脱離量
2.1 発塵性試験
実施例および比較例で得られた手袋を、各々1000枚準備した。準備した手袋を、50gのノニオン系活性剤(ゲンブ社製、商品名「スーパーL」)を純水113Lに入れた洗液で15分間洗い、次いで、超純水で3回すすいでクリーン洗浄を行った。クリーン洗浄後、Japanese Industrial Standard B 9923(タンブリング法)に従って、10枚の手袋から発塵した1
cft当たりに気中に浮遊している0.5μm以上のパーティクルの個数(手袋10枚分のパーティクルの個数)を測定した。測定値を繊維の脱離量に対応するとして評価した。
【0057】
本発明においては、浮遊しているパーティクルの個数が、10個未満であるものが実用に耐えうるものであるとする。
2.2 粘着テープ強制剥離試験
実施例および比較例で得られた手袋を、各々3枚準備した。準備した手袋のうち、
学振型染色堅ろう度試験機(大栄科学精器製作所社製、商品名「RT−200」)を用い、1枚を綿白布で100回摩擦し、別の1枚を綿白布で300回摩擦した。次いで
、摩擦していない手袋、100回摩擦した手袋、300回摩擦した手袋に、それぞれ粘着テープ(ニチバン社製、「セロハンテープ」)(サイズ:20mm×20mm)を、荷重300gにて5秒かけて貼り付けた後剥がす、という操作を、同一の粘着テープを用いて5回繰り返した。その後、粘着テープ表面をマイクロスコープ(KEYENCE社製、商品名「VHX−900」)で観察して、付着した導電性繊維の本数をカウントした。この本数の測定値を、繊維の脱離量に対応するものとして評価した。
【0058】
本発明においては、付着した導電性繊維の本数が10本未満であるものが実用に耐えうるものであるとする。
3.伸縮復元率
Japanese Industrial Standard L 1013にて定義される伸縮復元率測定法を、
図7を用いて以下に説明する。
【0059】
実施例および比較例で得られた手袋を構成する複合糸から、フィラメント糸を採取して、フック5に巻きかけ、(0.176mN×表示テックス数)の荷重7をかけ、かせ長約40cm、巻き数10回の小かせを作り、合計で20本の糸束となる試料6とした。次いで、60℃の水に20分間漬浸してから水切りし、ろ紙上で24時間自然乾燥させた。この試料6を、
図7にて示すように、(0.176mN×20×表示テックス数)の荷重7に、さらに(8.82mN×20×表示テックス数)の荷重8をかけた状態で、温度20±2℃の水9の中に静かに垂下して2分間浸漬した。その後、水中から取り出してかせ長を測り、直ちに、荷重取り外し用リング10を用いて、(8.82mN×20×表示テックス数)の荷重8を除き、2分間放置した後、再びかせ長を測った。そして次式によって伸縮復元率Er(%)を算出した。
【0060】
Er=[(a−b)/a]×100
a:(0.176mN×20×表示テックス数)の荷重7に、更に(8.82mN×20×表示テックス数)の荷重8を加えたときのかせ長(mm)
b:(0.176mN×20×表示テックス数)の荷重7をかけたときのかせ長(mm)
なお、測定は5回行い、その平均値を伸縮復元率とした。
【0061】
次に、実施例および比較例に用いられる材料を下記に示す。
(A)フィラメント糸
・(A−1)ウーリーナイロン(70d−24f、伸縮復元率24%)(東レ社製)
・(A−2)ウーリーナイロン(70d−24f、伸縮復元率7%)
ウーリーナイロン(A−1)をボビンにソフト巻きし、巻き密度を0.2〜0.3g/cm
3に調整した。次いで、ボビンにソフト巻きしたウーリーナイロン(A−1)を、染色機(日阪製作所社製、商品名「LLCD−50/90」)に入れ、約90℃×約1時間の湯洗いを経て、脱水15分間、乾燥70℃×200分間を行うことにより、伸縮復元率を7%に低下させて用いた。
・(A−3)ポリエステル糸(50d−36f生糸、伸縮復元率1.5%)(KBセーレン社製)
・(A−4)ウーリーナイロン(70d−24f、伸縮復元率10.0%)
ウーリーナイロン(A−1)をボビンにソフト巻きし、巻き密度を0.2〜0.3g/cm
3に調整した。次いで、ボビンにソフト巻きしたウーリーナイロン(A−1)を染色機(日阪製作所社製、商品名「LLCD−50/90」)に入れ、約75℃×約1時間の湯洗いを経て、脱水15分間、乾燥70℃×200分間を行うことにより、伸縮復元率を10.0%に低下させて用いた。
・(A−5)ウーリーナイロン(70d−24f、伸縮復元率5%)
ウーリーナイロン(A−1)をボビンにソフト巻きし、巻き密度を0.2〜0.3g/cm
3に調整した。次いで、ボビンにソフト巻きしたウーリーナイロン(A−1)を染色機(日阪製作所社製、商品名「LLCD−50/90」)に入れ、約100℃×約1時間の湯洗いを経て、脱水15分間、乾燥70℃×200分間を行うことにより、伸縮復元率を5%に低下させて用いた。
・(A−6)ウーリーポリエステル(75d−36f、伸縮復元率1.2%)
ウーリーポリエステル(
75d−36f、伸縮復元率20%)をボビンにソフト巻きし、巻き密度を0.2〜0.3g/cm
3に調整した。次いで、ボビンにソフト巻きした前記のウーリーナイロンを染色機(日阪製作所社製、商品名「LLCD−50/90」)に入れ、約95℃×約1時間の湯洗いを経て、脱水15分間、乾燥70℃×200分間を行うことにより、伸縮復元率を1.2%に低下させて用いた。
・(A−7)高強度ポリエチレン(100d−36f、伸縮復元率2%)(東洋紡社製)
・(A−8)アラミド繊維(200d生糸、伸縮復元率2.5%)
(B)導電性繊維
・(B−1)銅染色繊維糸(50d−30f、伸縮復元率3.0%)(日本蚕毛社製、商品名「サンダーロン」)
・(B−2)カーボン繊維糸(20d−3f、伸縮復元率2.9%)(KBセーレン製、商品名「9R1」)
・(B−3)ステンレス繊維(32.7d、伸縮復元率1.2%)(日本精線製、商品名「ナスロン」)
・(B−4)銅染色繊維糸(75d−18f、伸縮復元率3.0%)(ショーワグローブ社製
、硫化銅複合繊維)
・(B−5)銅染色繊維糸(40d−13f、伸縮復元率2.5%)(日本蚕毛社製、商品名「サンダーロン」)
・(B−6)銅染色繊維糸(40d−13f、伸縮復元率3.0%)(日本蚕毛社製、商品名「サンダーロン」)
(実施例1)
(A−2)4本を芯にして(B−1)1本を300T/Mで巻いてカバーリングして複合糸を得た。カバーリング(および後述する合燃)は、錘−ダブルカバーリング機(カキノキ社製、商品名「KC5D108」)で行った。得られた複合糸を手袋全体(指先から裾まで)に用いて手袋を編んだ。手袋の編製は13G編機(島精機社製、商品名「New SFG」)にて行った。
【0062】
(実施例2)
実施例1にて得られた複合糸と(A−1)を用いて、複合糸:(A−1)=1:2のコース割合で手袋を編んだ。
【0063】
(実施例3)
実施例1にて得られた複合糸と(A−1)を用いて、複合糸:(A−1)=1:10のコース割合で手袋を編んだ。
【0064】
(実施例4)
(A−2)1本を芯にし、(B−1)1本を添え糸とし、これらを(A−2)2本を用いて300T/Mで巻いてカバーリングして複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は7.1%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0065】
(実施例5)
(A−2)4本を芯にして、(B−2)1本を300T/Mで巻いてカバーリングして複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は7.3%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0066】
(実施例6)
(A−2)2本を芯にして、(B−2)1本を添え糸とし、これらを(A−2)2本を用いて300T/Mで巻いてカバーリングして複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は7.3%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0067】
(実施例7)
(A−2)3本を芯にして、予め(B−1)1本と(A−3)1本とを200T/Mで合撚して得られた合撚糸を300T/Mで巻いてカバーリングして複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は6.3%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0068】
(実施例8)
(B−1)に代えて(B−2)1本を用いたこと以外は実施例7と同様にして複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は6.7%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0069】
(実施例9)
(A−2)1本を芯にし、予め(B−1)1本と(A−3)1本とを200T/Mで合撚して得られた合撚糸(伸縮復元率2.9%)を添え糸とし、これらを(A−1)2本を用いて300T/Mで巻いてカバーリングして複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は5.2%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0070】
(実施例10)
(B−1)に代えて(B−2)1本を用いたこと以外は実施例9と同様にして複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は5.7%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0071】
(実施例11)
(B−1)3本を200T/Mで合撚して得られた合撚糸を芯にし、(A−2)2本を300T/Mで巻いてカバーリングして複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は5.5%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0072】
(実施例12)
(A−2)1本を芯にし、予め(B−1)2本を200T/Mで合撚してある糸を添え糸とし、これらを(A−2)2本を300T/Mを用いて巻いてカバーリングして複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は6.2%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0073】
(実施例13)
(B−1)2本を300T/Mで合撚して得られた合撚糸と、(A−2)2本とをさらに300T/Mで合撚して複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は5.9%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0074】
(実施例14)
(B−1)1本と(A−2)1本とを300T/Mで合撚して得られた合撚糸を芯糸とし、(A−2)1本を用いて300T/Mでカバーリングして複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は6.9%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0075】
(実施例15)
実施例1で得られた手袋を金属製浸漬型に被せ、ポリウレタン(DIC社製、商品名「クリスボンMP−812」)をN,N‘ジメチルホルムアミドに溶解させた溶液(固形分濃度:10質量%)に、掌のみ浸漬し、50℃×1時間で温水置換した。その後、100℃×30分間乾燥して、掌部分がポリウレタン樹脂で被覆された手袋を得た。
【0076】
(実施例16)
(A−4)2本を芯にし、(B−1)1本を300T/Mで巻いてカバーリングし、複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は8.5%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0077】
(実施例17)
(A−6)2本を芯にし、(B−1)1本を300T/Mで巻いてカバーリングし、複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は2.2%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0078】
(実施例18)
(A−7)2本を芯にして(B−1)1本を300T/Mで巻いてカバーリングし、複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は2.7%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0079】
(実施例19)
(A−8)1本を芯にし、(B−1)で300T/Mで巻いてカバーリングし複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は3.2%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0080】
(参考例1[実施例20は欠番])
(B−3)1本と(A−6)2本を芯にし、(B−1)で300T/Mで巻いてカバーリングして複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は2.2%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0081】
(実施例21)
(A−5)4本を芯にして、(B−4)1本を300T/Mで巻いてカバーリングし複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は5.0%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0082】
(実施例22)
(A−5)4本を芯にして、(B−5)1本を300T/Mで巻いてカバーリングし複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は5.2%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0083】
(実施例23)
ウーリーナイロン30d、1本にて丸編機(八田縦編社製、商品名「MA100」)によりトリコット編み生地(布帛)を得た。該トリコット編み生地全体に、実施例1で得られた複合糸を用いて一本針本縫い電子千鳥縫い自動糸切りミシン(ブラザー社製、商品名「LZ2−B856E−301」)を用い、1cm間隔でミシンをかけた。その後、手袋形状にカットし、縫製した。
【0084】
(比較例1)
(A−1)3本を芯にして、(B−1)1本を300T/Mで巻いてカバーリングし複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は20.5%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0085】
(比較例2)
(A−1)4本を芯にして、(B−1)に代えて(B−2)を用いた以外は比較例1と同様にして複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は23.2%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0086】
(比較例3)
(A−1)1本を芯にし、(B−1)1本を添え糸とし、これらを(A−2)2本で300T/Mにて巻いてカバーリングし複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は11.7%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0087】
(比較例4)
(B−1)に代えて(B−2)1本を添え糸とした複合糸を用いた以外は、比較例3と同様にして手袋を編んだ。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は12.6%であった。
【0088】
(比較例5)
(A−1)2本を芯にし、(B−1)1本にて300T/Mで巻き、その上を(A−1)1本で300T/Mで逆まきにて巻き、更にその上を(A−1)1本で300T/Mで逆まきにて巻いて、導電性繊維が隠れるようにした複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は21.7%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0089】
(比較例6)
(B−1)に代えて(B−2)を用いた以外は、比較例5と同様にして複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は23.4%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0090】
(比較例7)
(A−1)4本を合撚して得た糸を、手袋全体に用いて手袋を編んだ。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は24.5%であった。
【0091】
(比較例8)
(A−2)に代えて(A−1)を用いた以外は、実施例13と同様にして複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は15.8%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0092】
(比較例9)
(A−2)に代えて(A−1)を用いた以外は、実施例14と同様にして複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は13.1%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0093】
(比較例10、11)
比較例1、2にて得られた手袋を用いたこと以外は、実施例15と同様にして、掌部分がポリ
ウレタン樹脂にて被覆された手袋を得た。
【0094】
(比較例12)
(B−6)3本を芯にし、(A−1)2本を300T/Mにて巻いてカバーリングし、複合糸を得た。得られた複合糸中のフィラメント糸全体の伸縮復元率は14.8%であった。得られた複合糸を手袋全体に用いて手袋を編んだ。
【0095】
(比較例13)
ウーリーナイロン30d、1本にて丸編機(八田縦編社製、商品名「MA100」)によりトリコット編み生地(布帛)を得た。該トリコット編み生地全体に、比較例1で得られた複合糸を用いて、一本針本縫い電子千鳥縫い自動糸切りミシン(ブラザー社製、商品名「LZ2−B856E−301」)を用い、1cm間隔でミシンをかけた。その後、手袋形状にカットし、縫製しようとしたが、複合糸が伝線してしまい、縫製することができなかった。
【0096】
実施例
、参考例、比較例にて得られた手袋の物性を試験した。実施例1〜12の評価結果を表1に、
実施例13〜19、参考例1、実施例21〜23の評価結果を表2に、比較例1〜13の評価結果を表3に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
実施例1〜19、21〜23の結果から明らかなように、導電性繊維の脱離量を低減させるためには、導電性繊維を巻きつける芯糸、添え糸、あるいは撚り合わせる糸の伸縮復元率を0〜10%とすることが必須である。伸縮復元率を0%〜10%とすることによる効果は、比較例と比べると明らかである。
【0101】
また、実施例21、22から明らかなように、導電性繊維は、1フィラメントあたりのデニール数が多いほど脱離量が少なくなる傾向にあることがわかった。また、実施例9と実施例10の対比から明らかなように、カーボン繊維での脱離量は銅染色繊維での脱離量よりも少なくなっていることがわかった。
【0102】
さらにまた、実施例7〜14の結果から、以下のことが明らかである。つまり、カーボン繊維、銅染色繊維の双方とも、導電性繊維同士もしくはポリエステル糸などと合撚することによって、テープ強制剥離試験においてより脱離しにくくなることがわかった。また、芯に導電性繊維を用いる場合、導電性繊維どうしを合撚して用いると、導電性繊維の脱離量を低減できることがわかった。さらに導電性繊維と、他繊維、すなわち生糸や伸縮復元率が10%以下であるポリエステル・強化ポリエチレン・アラミド・ナイロン・アクリル製繊維とを合撚した場合であっても、導電性繊維の脱離量を低減できることがわかった。
【0103】
比較例5から明らかなように、導電性繊維を用いた手袋では、導電性繊維が隠れるようにしても脱離量に変化がないことがわかった。