(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施例における以外又は他に指示がなければ、本明細書に記載した材料の量、反応条件、継続時間(期間)、材料の定量的な性状等を表現する全ての数値は「約」という用語で全てのばあいにおいて修飾されたように理解されるであろう。
【0013】
本明細書に列挙したいかなる数値範囲もこの範囲に入る全ての下位の範囲を含むことを意図することにも理解されるであろう。
【0014】
構造、組成及び/又は機能が関連する化合物類、材料類又は物質類の群に属する本明細書に明示的に又は暗示的に開示した及び/又は請求項に開示したいかなる化合物、材料又は物質も前記群及び前記群の全ての組合せの個々の代表物を含むことも更に理解されるであろう。
【0015】
本発明は分子パラメーターを注意深く調整することによって射出成形、シート、フィルム、熱成形、ブロー成形、射出延伸{しゃしゅつ えんしん}ブロー成形(ISBM)等の応用のための低ヘイズ(超透明)ランダムブロック共重合体を提供する。
【0016】
前記パラメーターは、
1)前記第1の重合反応器(共重合体A)及び前記第2の重合反応器(共重合体B)中で製造される生成物間の適切なメルトフローレイトの差(ΔMFR)、
2)前記第1の重合反応器において製造される、共重合体Aの適切なエチレン含量、
3)前記第2の重合反応器において製造される、共重合体Bの適切なエチレン含量、
4)共重合体A及びBのエチレン含量のバランス、
5)前記ランダムブロック共重合体の結晶構造内の長間隔(long spacing)のバランス、
6)前記ランダムブロック共重合体のキシレン可溶(XS)含量、及び
7)前記ランダムブロック共重合体への適正量の透明化剤の任意の添加
を含みうる。
【0017】
これらのパラメーターの1つ以上を綿密に制御しバランスをとることで、特定の大きさと型の結晶域が成長し、耐衝撃性共重合体としては不可能と以前は考えられていた望ましく、予測できないほど低いヘイズを有するランダムブロック共重合体が結果としてえられる。
【0018】
いかなる理論に限定されることも望まないが、前記した低ヘイズは標準的な耐衝撃性共重合体にみられるものよりも小さいサイズ及び型の結晶ドメインが適切に形成された結果であると考えられる。この挙動はマトリックス重合体鎖内でゴム重合体鎖が共結晶化することに起因すると考えられる。低ヘイズは前記二相間の屈折率の至適化にも起因しうる。非常に小さいゴム粒子(約0.5ミクロン未満の直径を有する)と組み合わせた不規則な境界を伴うより小さくより開放されたスフェルライトが、本発明のランダムブロック共重合体における低ヘイズ特性と良好な耐衝撃特性の組合せを取得するための機構を提供すると考えられる。又、低分子量(LMW)の適合性ゴムはマトリックス・ドメインに移動する傾向があり、これにより非結晶ラメラ(La)が濃くなり結晶ラメラ(Lc)が薄くなる。
【0019】
更に詳細には、本発明の一実施態様においてランダムブロック共重合体が提供され、前記ランダムブロック共重合体は以下の組合せ
(a)120〜159℃の(標準ISO 3146に従いDSCを用いて測定した)融点を有する、約0.5重量%〜約6重量%のエチレン由来物及び約94重量%〜約99.5重量%のプロピレン由来物を含有する65〜97重量%の結晶性プロピレン/エチレン共重合体A、及び
(b)約8重量%〜約40重量%のエチレン由来物及び約60重量%〜約92重量%のプロピレン由来物を含有する3〜35重量%のプロピレン/エチレン共重合体B、
を含み、前記ランダムブロック共重合体は以下の特性を有する:
(i)前記プロピレン/エチレン共重合体Bは前記結晶性プロピレン/エチレン共重合体A中に分散され;本発明の第1の実施態様において、前記の2つの共重合体A及びBは相分離され、本発明の第2の実施態様において、前記共重合体A及びBは相分離されることなく連続した相ランダムブロック共重合体を形成し、
(ii)前記の2つの共重合体A及びBが相分離を示してランダムブロック共重合体を形成するばあい、分散される前記共重合体Bの粒子サイズは<1.5μm、好ましくは<1.0μm、特に好ましくは<0.5μmであり、
(iii)標準ASTM D 1003に従って測定されたヘイズは本発明のランダムブロック共重合体に関しては<12%、好ましくは<10%、特に好ましくは<7%であり、
(iv)ISO標準16152(プラスチック−ポリプロピレン中のキシレン可溶物質の測定方法)に従って測定された、23℃でのキシレン可溶画分(XS)は11%〜約25%、好ましくは12%〜約22%、特に好ましくは15%〜約20%であり、
(v)ISO標準1133に従い230℃で負荷2.16kgを伴って測定したMFRは0.1〜約150dg/分、好ましくは0.5〜約100dg/分、特に好ましくは1〜約80dg/分であり、
(vi)粉末のMFR
共重合体Aに対する粉末のMFR
ランダムブロック共重合体の比は以下の式に従い、
MFR
ランダムブロック共重合体=K(MFR
共重合体A)
式中、K=1.0〜約1.5、好ましくは1.0〜約1.3、特に好ましくは1.0〜約1.25であり、
(vii)小角X線散乱(SAXS)により決定された、結晶
間隔/非結晶
間隔比Lc/Laは約1.00〜約2.25、好ましくは1.25〜約2.00、特に好ましくは1.4〜約1.70の範囲内にあり、
(viii)前記材料は任意に核形成剤及び/又は透明化剤を約50ppm〜約5,000ppm、好ましくは約100〜約4,500ppm、更に好ましくは約120〜約4,000ppmの範囲内で含む。
【0020】
好ましくは、別の実施態様において本発明のランダムブロック共重合体は以下の組合せ、
(a)135〜150℃、好ましくは139〜146℃の融点を有する、約1重量%〜約5重量%、好ましくは1.5〜約4.5重量%のエチレン由来物及び約95重量%〜約99重量%、好ましくは95.5〜約98.5重量%のプロピレン由来物を含有する75〜95重量%の結晶性プロピレン/エチレン共重合体A、及び
(b)約10重量%〜約30重量%、好ましくは12〜約25重量%のエチレン由来物及び約70重量%〜約90重量%、好ましくは75〜約88重量%のプロピレン由来物を含有する5〜25重量%のプロピレン/エチレン共重合体B
を含み、
前記ランダムブロック共重合体は前記特性(i)〜(viii)を有する。
【0021】
特に、好ましくは、更に別の実施態様において本発明のランダムブロック共重合体は以下の組合せ、
(a)135〜150℃、好ましくは139〜146℃の融点を有する、約1.5重量%〜約4.5重量%、好ましくは2.0〜約4.0重量%のエチレン由来物及び約95.5重量%〜約98.5重量%、好ましくは96〜約98重量%のプロピレン由来物を含有する80〜92重量%の結晶性プロピレン/エチレン共重合体A、及び
(b)約10重量%〜約30重量%、好ましくは12〜約25重量%のエチレン由来物及び約70重量%〜約90重量%、好ましくは75重量%〜約88重量%のプロピレン由来物を含有する8〜20重量%のプロピレン/エチレン共重合体B
を含み、
前記ランダムブロック共重合体は前記特性(i)〜(viii)を有する。
【0022】
最も好ましくは、更に別の実施態様において本発明のランダムブロック共重合体は以下の組合せ、
(a)139〜146℃の融点を有する、約2.0〜約4.0重量%のエチレン由来物及び約96〜約98重量%のプロピレン由来物を含有する88〜92重量%の結晶性プロピレン/エチレン共重合体A、及び
(b)約12〜約17重量%のエチレン由来物及び約83〜約88重量%のプロピレン由来物を含有する8〜12重量%のプロピレン/エチレン共重合体B
を含み、
前記ランダムブロック共重合体は前記特性(i)〜(viii)を有する。
【0023】
本発明の前記重合体はシングルサイト触媒又はチーグラー−ナッタ触媒のようないかなる配位触媒を用いても製造することができ、前記チーグラー−ナッタ触媒が好ましい。
【0024】
本発明の方法は逐次重合によりランダムブロック共重合体を製造することを含む。エチレンとプロピレンを第1反応領域において共重合させ本発明の耐衝撃性共重合体のプロピレン−エチレン共重合体成分Aをえる。成分Aを次いで第2反応領域に送りそこでエチレンとプロピレンを共重合させ前記重合体に組み込まれる成分Bをえる。成分Aのエチレン含量は約0.5重量%〜約6重量%の範囲内にあってもよく、プロピレン含量は約94重量%〜約99.5重量%の範囲内にあってもよい。前記耐衝撃性共重合体の成分Bは約8重量%〜約40重量%のエチレン及び60重量%〜約92重量%のプロピレンを含む。
【0025】
本発明のランダムブロック共重合体は不活性な炭化水素溶媒中で行うスラリー重合工程において、液化プロピレン中で行うバルク重合工程において、気相重合工程において又は前記工程を組み合わせた工程において製造できる。例えば、第1段階において共重合体Aをバルク工程において製造でき共重合体Bを気相工程において製造できる。液化床又は撹拌床を用いる気相工程が好ましく、前記共重合体Aを第1の反応器中で製造し前記共重合体Bを第2の反応器中で製造する二反応器システムが特に好ましい。このような工程では前記の2つの共重合体成分A及びBのin situ配合を提供してブロック共重合体を形成するので、本発明の耐衝撃性共重合体を生じない前記の2つの共重合体成分A及びBの物理的配合と比較すると、前記工程が必要不可欠である。
【0026】
このようなシステムに使用する触媒にはチーグラー−ナッタ触媒及びシングルサイト触媒が含まれる。
【0027】
チタニウムをベースとした触媒を含むチーグラー−ナッタ触媒は米国特許第4,376,062号、同第4,379,758号及び同第5,066,737号各明細書に記載されている。チーグラー−ナッタ触媒は概してマグネシウム/チタニウム/電子供与体錯体であり、任意にシリカゲル等の適した支持体上に支持され、有機アルミニウム共触媒及び芳香族カルボン酸エステル又はアルコキシシラン化合物等の外部の選択性制御剤と併せて用いられる。
【0028】
シングルサイト触媒、例えば、メタロセン触媒は金属原子と関連する1つ以上のリガンドの有機金属配位錯体を含み、例えば、米国特許第7,169,864号明細書に記載されている。
【0029】
前記方法に従い、前記触媒成分の個別部分を触媒として有効な量で前記モノマー・プロピレン及びエチレンと共に前記反応器に連続して供給すると同時に重合体生成物を連続工程中に連続して取り除く。この目的に有用な重合技術は例えば、Polypropylene Handbook, 2nd edition, p. 361 ff. (Hanser Publishers, Munich 2005)中に記載されている。
【0030】
前記重合は概して20〜150℃の温度で1〜100barの圧力で、0.5〜5時間の平均滞留時間で、好ましくは60〜90℃の温度で10〜50barの圧力で、0.5〜3時間の平均滞留時間で行われる。前記重合は回分式か、好ましくは連続的に行うことができる。
【0031】
例えば、前記第1の反応器中に、プロピレンとエチレンの混合物を水素、触媒、有機アルミニウム共触媒及び外部の選択的制御剤と共に導入する。プロピレンとエチレンを組み合わせたモノマーに対する水素の量は、チーグラー−ナッタ触媒を使用するばあいは約10〜約200g水素/メートルトン(mt)モノマー、好ましくは約20〜約100g水素/mtモノマー、特に好ましくは約30〜約60g水素/mtモノマーの範囲内にあり、メタロセン触媒を使用するばあいは約0.05〜約20g水素/mtモノマーの範囲内にあり、好ましくは約0.1〜約10g水素/mtモノマーである。
【0032】
共重合体Aと前記重合体マトリックス内に組み込まれた活性触媒との混合物を前記第1の反応器中で製造する。この混合物を前記第1の反応器から固体触媒を更に添加する必要のない前記第2の反応器に移す。追加の共触媒及び/又は外部の選択的制御剤は任意に前記第2の反応器に添加してもよい。前記第2の反応器中で、プロピレン1モルに対してエチレン約0.10〜約0.50モル、好ましくはプロピレン1モルに対してエチレン約0.12〜約0.30モルのモル比の範囲内の気相組成物としてプロピレンとエチレンを維持する。前記共重合体Bの分子量を制御するために、前記第2の反応器中に100〜500g/プロピレン1mt、好ましくは200〜400g/プロピレン1mt、特に好ましくは250〜350g/プロピレン1mtの量の水素(H
2)を導入する。このような工程により前記共重合体A及び前記共重合体Bを含む本発明のランダムブロック共重合体が作出される。
【0033】
本発明のランダムブロック共重合体は好ましくは、約50ppm〜約5,000ppm、好ましくは約100ppm〜約4,500ppm、更に好ましくは約120ppm〜約4,000ppmの範囲内にある量で透明化剤を含む。
【0034】
前記透明化剤に属する、ジベンジリデンソルビトール型の透明化剤は好ましくは、これらに限定されないが、アルキル置換基、アルコキシ置換基又はハロゲン置換基をいずれか一方又は両方の芳香環に有するジベンジリデンソルビトール型の透明化剤及び前記ソルビトール誘導体の組合せを含み、前記アルキル置換基はC
1〜C
20であることが可能であり分岐鎖アルキル、直鎖アルキル又はシクロアルキルであってもよい。前記透明化剤のいくつかの具体例としては、ビス(3,5−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール及びそれらの組み合わせが挙げられる。前記透明化剤は市販されており、MILLAD 3940及び3988はサウスカロライナ州、スパータンバーグのMilliken Chemical Co.から、NC−4は日本、東京の三井東圧化学(Mitsui Toatsu Chemicals, Inc.)から、Uniplex CX 45−56はノースカロライナ州、グリーンズボロのUnitex Chemical Corp.から、Geniset MDは日本、東京の新日本理化株式会社(New Japan Chemical Co.)から入手できる。
【0035】
他の可能な透明化剤はMillad NX 8000(Milliken Co)、Irgaclear XT 386(Ciba Specialty Chemicals Inc.、バーゼル、スイス)、Ricaclear PC 1(Rika International、マンチェスター、英国)、ADK−STAB NA−21及びADK−STAB NA− 71 (旭電化(Asahi Denka)、東京、日本)である。
【0036】
本発明の組成物は熱安定剤、抗酸化剤、滑剤、酸スカベンジャ、相乗剤、帯電防止剤、結晶核形成剤並びに紫外線(UV)安定剤等の放射線に対して安定化する添加剤及びガンマ線照射に対する抵抗性を付与する添加剤等の添加剤も含みうる。
【0037】
抗酸化剤は一次又は二次抗酸化剤のサブクラスを含み、一次抗酸化剤の例としてはIRGANOX 1010、IRGANOX 3114(Ciba)又はETHANOX 330(Albemarle)に代表されるフェニール型添加剤が含まれる。これらの主機能は二次加工品に通常必要とされるような長期熱安定性をもたらすことである。
【0038】
二次抗酸化剤の前記クラスには、有機亜リン酸エステル又は有機亜リン酸エステル形態のいずれかにおいてリンを含む添加剤が含まれる。前記亜リン酸エステルの例としてIRGAFOS 168又はIRGAFOS 12(Ciba)、ULTRANOX 626、ULTRANOX 627 A、ULTRANOX 641(Chemtura)、DOVERPHOS S−9228(Dover Chemical Co.)が含まれる。
【0039】
有機ホスホナイト二次抗酸化剤はIRGAFOS P−EPQ (Ciba)に代表される。他の二次抗酸化剤としてはBHT又はIRGANOX 1076等の低分子量のフェニール型、又はIRGASTAB FS 042 (Ciba)等の高分子量ヒドロキシアミン類が例示として挙げられる。二次抗酸化剤の機能は主にプラスチック材料の溶融工程において溶融流れと色における安定性をもたらすことである。二次抗酸化剤の他のクラスにはIRGANOX HP−136 (Ciba)に代表されるベンゾフラノン(ラクトン)誘導体類が含まれる。
【0040】
滑剤又は離型剤はオレイン酸アミド、エルカ酸アミド又はエチレンビス(ステアリン酸アミド)を例として含む、脂肪酸アミドに代表される。
【0041】
酸スカベンジャは、例えば、ステアリン酸又は酪酸塩等の脂肪酸の塩及び関連誘導体、ハイドロタルサイト様化合物並びに特定の金属酸化物として分類しうる。各型の例としては順番にステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、酪酸カルシウム、DHT−4A (協和化学工業株式会社(Kyowa Chemical Co.) 東京、日本)、及び亜鉛又はマグネシウム酸化物が含まれる。相乗剤は一次抗酸化剤の性能を高める。相乗剤の例としてはジ−ステアリル−チオ−ジプロピオン酸 (DSTDP)、ジ−ラウリル−チオ−ジプロピオン酸(DLTDP)及びジ−ミリスチル−チオ−ジプロピオン酸(DMTDP)に代表される脂肪酸のチオエステルが挙げられる。
【0042】
帯電防止剤は成形部分の静電気を更に減衰させる。重要な実施例にはモノステアリン酸グリセリン、ジステアリン酸グリセリンがこれらの混合物と同様に含まれる。
【0043】
結晶核形成剤は概して安息香酸ナトリウム、安息香酸リチウム又は安息香酸アルミニウム等の安息香酸塩、超微粒子タルク等の無機物及びADK−STAB NA−11 又はADK−STAB NA−25(旭電化)等の有機亜リン酸塩である。
【0044】
紫外線安定化はTINUVIN 327 (Ciba) 等の光吸収体によって又はCYASORB 3346 (Cytec Industries Inc.)、TINUVIN 622、TINUVIN 770 DF又はCHIMASSORB 944 (Ciba)等のヒンダードアミン型安定剤によってもたらされる。
【0045】
ガンマ線照射に対する抵抗性は亜リン酸含有二次抗酸化剤とヒンダードアミン等の添加剤の組合せによってもたらされる。更に、Milliken’s RS 200添加剤は(米国特許第4,110,185 号及び同第4,274,932号明細書に引用された)鉱油等の他の可動添加剤としても有用である。
【0046】
好ましい抗酸化剤としては、l,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス (3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)ベンゼン(A);オクタデシル3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸(B);テトラキス[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸)]メタン(C);トリス[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(D);l,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン−2,4,6(lH,3H,5H)−トリオンを伴う3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸トリエステル(E);l,3,5−トリス−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)l,3,5−トリアジン−2,4,6−(lH,3H,5H)−トリオン(F);ビス−[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−フェニル)−ブタン酸]−グリコールエステル(G);2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−第三−ブチルフェノール)−テレフタル酸(H);及び2,2ビス [4−(2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシナモイルオキシ))エトキシ−フェニル]プロパン(I);カルシウム・ビス[モノエチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホン酸](J);l,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシナモイル)ヒドラジン(K);及び2,2−オキサミド・ビス[エチル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸](L)が含まれる。
【0047】
追加の添加剤を別個に又は前記で列挙した抗酸化剤とブレンドして用いてもよい。これは前記の全ての添加剤型に適用され、更にタルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、粘土、ケイ酸塩、二酸化チタンなどの充填剤、酸化亜鉛、クロム酸鉛、硫酸カドミウム、セレン化カドミウム、硫化亜鉛、鉛白の塩基性炭酸塩等の、顔料;酸化アンチモン等の難燃剤;紫外線安定剤、スリップ剤、抗衝撃剤、及び添加されるランダムブロック共重合体の性状及び加工性を向上させる他の添加剤を含む。
【0048】
先に列挙したものは異なる添加剤型の主要な実施例を提供しようとするが、前記実施例の範囲に限定されるものではない。前記添加剤の特定のものは多機能であり、例えば、ステアリン酸カルシウム等の酸受容体は、グリセロールモノステアレートと共に用いるようなばあいには、離型性能ももたらすことができるかもしれないことも認識される。更に、既知の添加剤の、又は既知のクラス内の添加剤のいかなる又は全ての型の組合せも本発明の範囲内にあると考えられる。
【0049】
本発明のランダムブロック共重合体は、流動性を改良し必要とされるMFR値(ISO標準1133に従って測定される)をえるために、当該技術分野で周知の工程に従って化学分解処置(ビスブレーキング又はクリッピング)に供してもよい。前記共重合体の化学分解は有機過酸化物等の遊離基開始剤の存在下で行われる。この目的で使用できる遊離基開始剤の例としては例えばジ−t−ブチル−過酸化物、(2,5−ジメチル−2,5−ジtert−ブチルペルオキシ)−ヘキサン又は3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−l,4,7−トリペルオキソノナンが挙げられる。
【0050】
本発明のランダムブロック共重合体は、類似のポリオレフィン樹脂及び標準的なポリプロピレン耐衝撃性共重合体が用いられるいかなる標準的な成形物に用いてもよい。しかしながら、優れた透明性と組み合わされた良好な剛性及び高靱性という追加された利点により標準的な耐衝撃性共重合体と比べて利用範囲が拡張され、本発明のランダムブロック共重合体は、透明性を必要とするために本質的に低靱性のランダム・プロピレン−エチレン共重合体を用いるか、靱性ではあるが数倍高価なポリカーボネート等の他の重合体を用いるしかなかった食品及び非食品容器、飲料カップ、水用ボトル、キャップ&閉鎖物、医療装置及び玩具に用いることができる。本発明の材料によれば低価格で剛性及び透明性と相まって冷凍庫温度での靱性に関する要求が満たされることになる。
【0051】
本発明によれば、FDA 177.1520に従って測定される高温ヘキサン溶融物含量が低いランダムブロック共重合体を製造でき、調理用途での使用が可能となる。加えて、本発明によれば、蒸気オートクレーブ又はガンマ線照射により医療用途のために滅菌できるランダムブロック共重合体を製造できる。その上、このようなグレードの共重合体は電子レンジでの加熱及び調理にも使用できる。
方法
以下の試験方法を下記に示す実施例に用いた。
【0052】
XS(キシレン可溶画分)はISO 16152に従い23℃で測定した。
【0053】
キシレン可溶物は重合体試料を高温キシレン中で溶解し次いでこの溶液を23℃に冷却した後の前記溶液中に残存する重量パーセントとして定義する。重合の第2段階後のキシレン溶解物と重合の第1段階のキシレン溶解物との差は本発明のランダムブロック共重合体のゴム含量に大いに関連する。
【0054】
MFR(メルトフローレイト)はISO 1133に従い230℃で2.16kgの負荷を用いて測定した。この測定に従い、MFRは標準ピストン及び負荷2.16kgを担持した実験室装置中で230℃の標準温度で標準円筒形ダイを介して押し出された重合体の重量を参照する。MFRは重合体の溶融粘度の測定値であり従ってそのモル重量の測定値である。
【0055】
ヘイズはASTM D 1003に従い6x6cmの大きさで1mmの厚さの試験片を用いて測定した。これらの板を210℃の型温で40℃の道具表面温度で射出成形した。道具は注意深く研磨され艶があり掻き傷のない表面の試験板が製造されることが保証される。前記重合体の可能な結晶化が最大限確実に行われるように室温で48時間保存した後、23℃でGretag Macbeth Color−Eye 7000A分光光度計を用いて測定を行った。試験片は板中央で測定される。ヘイズは入射ビームの方向から2.5°を超えて散乱された透過光のパーセンテージとして測定する。報告したヘイズ値は3枚の異なる板で測定した個々のヘイズ値の平均結果である。ヘイズ%数が下がれば下がるほど試験片の透明度は高くなる。30%を超えるヘイズ値を有する材料は拡散性であると考えられる。
【0056】
ガラス転移点(Tg)はASTM D 4065−06に従いねじれ動的機械分析(DMA)を用いて圧縮成形された長方形棒について測定した。温度及び周波数依存試験はRheometrics Dynamic Analyzer RDA IIを用いて行った。各材料についてペレット試料を溶融し200℃で20MPa7分間実験室加熱プレス中で均一な厚み(1mm)のシートの形態に成形した後(前記プレスの内側で)11分間冷却し;冷却水の温度は15℃であった。
試験片を前記圧縮成形シートから以下の大きさ:長さ30mm、幅10mm、厚さ1mmを切り出した。次に、測定を行う前にこれら試験片を23℃、50%相対湿度(r.h.)で最短時間88時間(ISO 291)維持した。
【0057】
前記試料を1rad/sの一定周波数で0.3%の正弦ひずみに供した(粘弾性挙動を確実に行なわせるため)。動的機械損失正接、tan
*の温度依存性を−150℃〜80℃まで3℃/分の平均加熱速度で窒素雰囲気下で測定した。最終的に各試料のガラス転移点は温度の関数として前記tan
*曲線のピークとして定義した(tan
*は保存モジュールE’に対する損失モジュールE’’の比として定義する)。
【0058】
融点(Tm)はISO標準3146に従いDSCにより5mgの重合体試料を用いて第1加熱段階を適用し20℃/分の加熱速度で230℃まで加熱し230℃で10分間保持し、その後結晶化段階で20℃/分の冷却速度で200℃から−20℃に冷却し−20℃で10分間保持した後、第2加熱段階で20℃/分の加熱速度で230℃まで加熱して測定した。報告した融点は前記第2加熱段階のサイクルのエンタルピーが最大を示す温度である。前記測定条件下でインジウムを用いた較正の後Perkin Elmer (DSC 7)及びTA Instruments (Q 1000 DSC)から入手した機器を用いた。
【0059】
ヘキサン可溶物含量(HS)はFDA177.1520に従い前記重合体からできた2ミル厚の各フィルム2gを用いて測定した。前記フィルムを50℃で2時間抽出した。抽出後、ヘキサン抽出物をフラスコ内に分離し抽出した重合体の含量を減圧下でヘキサンを除去した後重量測定法で測定した。
【0060】
前記共重合体のエチレン含量はFT−IR(フーリエ変換赤外分光法)により測定した。試験方法はプロピレン−エチレン共重合体におけるエチレン含量の定量的決定に適している。前記方法はエチレンレベルの適切な範囲をカバーする参照試料の組に基づいた較正を用いる。これら参照試料のエチレン含量は
13CNMRにより測定した。
【0061】
少量の樹脂をスペーサー枠中に配置し、ポリエステル・フィルムの間に挟み、210℃、200barで10分間200+/−10ミクロン厚のフィルムに成形し、次いで圧力下<40℃に冷却した。
【0062】
試験試料を次いでFT−IR分光計のプローブに暴露しスペクトルを関連する波数範囲内で記録する(耐衝撃性共重合体におけるエチレンの吸収帯:720〜730cm
−1)。
【0063】
スペクトルをケモメトリー・ソフトウエアパッケージにより分析するのに適した形式に変換する。FT−IRデータのケモメトリック分析によりパーセントで前記試料中のエチレン含量がえられる。
【0064】
衝撃強度をISO 179−1(プラスチック−シャルピー耐衝撃性の決定 第1部:機器による衝撃試験)に従い射出成形した試験片上に切り欠きを入れた又は切り欠きを入れないシャルピー試験によって測定した。
【0065】
小角X線散乱(SAXS)を射出成形した板(plaques)について行い前記試験共重合体における長間隔(Lp)、結晶間隔(Lc)及び非結晶間隔(La)の量を決定した。前記間隔は傾斜を改善した擬フォークト(Voigt)関数(Jade version 7、Materials Data Inc.、リバーモア、カリフォルニア州)とSAXSデータにおけるピークをプロファイルフィッテングさせることによりえた。バックグラウンドは高角及び低角リニア散乱限界により決定した2本の直線によって決定した。データは線光源システム(Rigaku Ultima 3)で収集した。前記システムは鏡及びビームを定義するスリットからの寄生散乱を低減するように多層膜鏡、0.03ミクロンの第1のスリット及び第2の1mmスリット・セットで構成した。前記システムの回折ビーム側は真空通路、0.2mmの散乱スリット及び0.01mmの検出スリットで構成した。データは1段階当たり0.005度で6秒/段階で収集した。
【0066】
前記に示した試験は実施例1、比較例A、B及びC、並びに本明細書に示す市販の透明化されたランダム共重合体について行った。
【実施例】
【0067】
本発明の様々な特徴を以下の実施例1により説明する。比較例及び試験した市販の製品は本発明を表すものではなく比較する目的で示す。
【0068】
表1に記載した全ての生成物はらせん形攪拌機を伴う2つの25m
3の気相反応器から成る反応器カスケードにおける撹拌気相工程により生成した。
【0069】
実施例1は比較例A、B及びCと同様に、前記カスケードの第1撹拌気相反応器中で生成された、結晶性プロピレン/エチレン共重合体Aと前記カスケードの第2撹拌気相反応器中で生成された、プロピレン/エチレン共重合体Bから成るランダムブロック共重合体である。
【0070】
前記第1反応器中に、プロピレンとエチレンの混合物を水素、ZN−触媒、有機アルミニウム共触媒及び外部供与体(シラン)と共に導入した。
【0071】
表1に温度、圧力及びプロピレン供給量に対するエチレン及び水素の供給比を示す。60分の平均滞留時間の後、共重合体Aと前記重合体マトリックスに組み込まれた活性触媒との混合物を追加の触媒を添加することなく前記第2反応器に移送した。前記第2反応器中で、減圧及び温度を下げて(表1参照)、再度60分の平均滞留時間で共重合体Bの重合を行った。
【0072】
前記第2反応器由来の重合体粉末(表1に示すように粉末のMFRは1.7〜2.5である)をIrgafos 168(第2抗酸化剤)、Irganox 1010(第1抗酸化剤)、ステアリン酸カルシウム(酸スカベンジャー)、グリセロールモノステアレート(GMS)(帯電防止剤)及びMillad 3988(透明化剤)の組み合わせとブレンドすることにより生成物を安定化した/生成物に添加剤を付加した。
【0073】
前記生成物を次いで2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサンによりビスブレーキングさせてMFRを12〜15(表1参照)としWerner & Pfleiderer共回転ダブル・スクリュー押し出し機でペレットとした。
【表1】
実施例1
【0074】
実施例1は二段階工程で生成した。第1段階において、プロピレン/エチレンランダム共重合体を3重量%のエチレン含量と共に気相中で重合させた。第2段階において、プロピレンに富む、低分子量プロピレン/エチレン・ゴムを重合させた。
【0075】
低分子量ゴムをえるために、適切な量の水素を前記第2反応器に添加した。この結果、K値(第1反応器の粉末のMFRに対する第2反応器の粉末のMFRの比)は1.21に達した。
【0076】
プロピレンに富むゴム相をえるために、追加量のプロピレンを重合の前記第2段階に注入した。
【0077】
前記プロピレン/エチレンランダム共重合体と前記プロピレン/エチレン・ゴムの最終生成物中の割合は91:9(重量部)であった。
【0078】
前記重合においてえられた前記重合体の粉末を押出段階中に標準的な添加剤混合物と混合した。前記重合体を250℃で二軸押し出し機中で配合した。えられた重合体組成物は0.1重量%のIrgafos 168(Ciba SCから)、0.05重量%のIrganox 1010(Ciba SCから)、0.11重量%のステアリン酸カルシウム(Baerlocherから)、0.06重量%のAtmer 122(Ciba SCから)及び0.2重量%のMillad 3988(Milliken Chemicalから)を含有した。
【0079】
1.7g/10分の粉末のメルトフローレイトから約12g/10分の最終ペレットのメルトフローレイトにビスブレーキングするために、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサンを用いた。
【0080】
他の操作条件及び生成した重合体の一般的性状は上記の表1に示す。
比較例
比較例A
【0081】
比較例Aは二段階工程で生成した。第1段階において、プロピレン/エチレンランダム共重合体を2.2重量%のエチレンと共に気相中で重合させた。実施例1と同様のプロピレン/エチレン・ゴムの組成物を第2段階において重合させた。本比較例では、より高い分子量のゴム相をえるためにより少ない量の水素しか注入しなかった。結果として、K値(第1反応器の粉末のMFRに対する第2反応器の粉末のMFRの比)は1未満にしか達しなかった。
【0082】
前記プロピレン/エチレンランダム共重合体と前記プロピレン/エチレン・ゴムの割合は91:9(重量部)であった。
【0083】
前記重合においてえられた前記重合体粉末を押出段階中に標準的な添加剤混合物と混合した。前記重合体を250℃で二軸押し出し機中で配合した。えられた重合体組成物は0.1重量%のIrgafos 168(Ciba SCから)、0.05重量%のIrganox 1010(Ciba SCから)、0.11重量%のステアリン酸カルシウム(Baerlocherから)、0.06重量%のAtmer 122(Ciba SCから)及び0.2重量%のMillad 3988(Milliken Chemicalから)を含有した。
【0084】
1.8g/10分の粉末のメルトフローレイトから15g/10分の最終ペレットのメルトフローレイトにビスブレーキングするために、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサンを用いた。
【0085】
比較例Aにおいて、第1段階の組成物(ランダム共重合体)においてエチレンの量を減らし第2段階の重合(ゴム相)において分子量を高くした結果、えられたヘイズは実施例1で達成したヘイズと比較すると高かった。
【0086】
生成した重合体の他の操作条件は表1に示す。
比較例B
【0087】
比較例Bは二段階工程で生成した。第1段階において、プロピレン/エチレンランダム共重合体を2.2重量%のエチレンと共に気相中で重合させた。本比較例では、(実施例1よりも高い)比較例Aと同様の分子量のゴム相をえるために、比較例Aと同量の水素を注入した。結果として、K値は1未満にしか達しなかった。
【0088】
比較例Bは、前記ゴム相において異なる組成とするために、第2反応器中にプロピレンの注入を行うことなく生成した。
【0089】
前記プロピレン/エチレンランダム共重合体と前記プロピレン/エチレン・ゴムの割合は90:10(重量部)であった。
【0090】
前記重合においてえられた前記重合体粉末を押出段階中に標準的な添加剤混合物と混合した。前記重合体を250℃で二軸押し出し機中で配合した。えられた重合体組成物は0.1重量%のIrgafos 168(Ciba SCから)、0.05重量%のIrganox 1010(Ciba SCから)、0.11重量%のステアリン酸カルシウム(Baerlocherから)、0.06重量%のAtmer 122(Ciba SCから)及び0.2重量%のMillad 3988(Milliken Chemicalから)を含有した。
【0091】
1.8g/10分の粉末のメルトフローレイトから15g/10分の最終ペレットのメルトフローレイトにビスブレーキングするために、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサンを用いた。
【0092】
比較例Bにおいて、第1段階の組成物(ランダム共重合体)においてエチレンの量を減らし、第2段階の重合(ゴム相)において分子量を高くし、かつその化学組成ゆえにゴム相の相溶性がより悪くなった結果、えられたヘイズは比較例Aで達成したヘイズと比較すると高かった
【0093】
生成した重合体の他の操作条件は前記の表1に示す。
比較例C
【0094】
比較例Cは二段階工程の撹拌気相工程で生成した。第1段階において、プロピレン/エチレンランダム共重合体を1.8重量%のエチレン含量と共に気相中で重合させた。比較例Cはプロピレンを注入しなかったが、前記第2反応器中により多くの量の水素を用いて生成した。結果として、K値(第1反応器の粉末のMFRに対する第2反応器の粉末のMFRの比)は1.92に達した。この値は実施例1におけるよりも高かった。
【0095】
前記プロピレン/エチレンランダム共重合体と前記プロピレン/エチレン・ゴムの割合は85:15(重量部)であった。
【0096】
前記重合においてえられた前記重合体粉末を押出段階中に標準的な添加剤混合物と混合した。前記重合体を250℃で二軸押し出し機中で配合した。えられた重合体組成物は0.1重量%のIrgafos 168(Ciba SCから)、0.05重量%のIrganox 1010(Ciba SCから)、0.11重量%のステアリン酸カルシウム(Baerlocherから)、0.06重量%のAtmer 122(Ciba SCから)及び0.2重量%のMillad 3988(Milliken Chemicalから)を含有した。
【0097】
2.5g/10分の粉末のメルトフローレイトから15g/10分の最終ペレットのメルトフローレイトにビスブレーキングするために、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサンを用いた。
【0098】
正のΔMFR
R2−R1(非常に低い分子量のゴム相)を有するにもかかわらず、第1段階の前記ランダム共重合体においてエチレンの量を減らし、重合の第2段階においてゴム相の相溶性がより悪くなった結果、比較例Cの生成物から結果としてえられたヘイズは実施例1で達成したヘイズよりも高かった。
【0099】
生成した重合体の他の操作条件は表1に示す。
市販の比較例
【0100】
3240NC及び3348SCはNovolen Technologyから市販されているランダム共重合体の名称である。
【0101】
3240NC及び3348SCは共に単一気相反応器中で生成された。3240NCは2.2重量%のエチレンを伴うプロピレン/エチレン・ランダム共重合体である。3348SCは3重量%のエチレンを伴うプロピレン/エチレン・ランダム共重合体である。
【0102】
重合においてえられた前記重合体の粉末を押出段階中に標準的な添加剤混合物と混合した。前記重合体を250℃で二軸押し出し機中で配合した。3240 NCの重合体組成物は0.1重量%のIrgafos 168(Ciba SCから)、0.05重量%のIrganox 1010(Ciba SCから)、0.11重量%のステアリン酸カルシウム(Baerlocherから)、0.06重量%のAtmer 122(Ciba SCから)及び透明化剤として0.2重量%のMillad 3988(Milliken Chemicalから)を含有した。3348 SCは追加的に0.2%のAtmer 122を抗静電気剤として含む。
【0103】
粉末のメルトフローレイトから3240NCに関しては約12g/10分及び3348SCに関しては約25g/10分の最終ペレットのメルトフローレイトにビスブレーキングするために、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサンを用いた。
【0104】
表1に示した実施例はマトリックス・エチレン含量、ゴム組成及びゴム分子量等の分子パラメーターを注意深く調整することによってのみ、ゴム相をランダム共重合体マトリックスに添加することによって非常に低いヘイズ値をえることができることを明確に示している。
【0105】
これらパラメーターを綿密に制御しバランスをとることによって特定のサイズと型の結晶域の成長がえられ、望まれてはいたが耐衝撃性共重合体では不可能と以前は考えられていた予測できないほど低いヘイズを有するランダムブロック共重合体を結果としてえることができる。
【0106】
表2には、XS値を増やすことによって示されるように、ゴム含量を増やすとより低いヘイズ値が結果としてえらえるという、従来の予想に反するこの事実が示される。
【0107】
約11%のヘイズ値を有するランダム共重合体から出発して、適切に設計したゴム相を混入させることにより、Xs含量によって測定されるこのようなゴム相の量を増大させながら、結果として透明性を更に改良させることとなる。このようにして、そして実施例1(表1)に既に示した重合パラメーターに従えば、出発ヘイズ値の約半分の最終ヘイズ値を達成することが可能であった。前記ランダム共重合体マトリックスは同一のエチレン含量を有するので、生成物における融点に著しい変化はない。
【表2】
【0108】
いかなる理論にも限定されることも望まないが、低ヘイズは標準的なランダム共重合体に見られるよりも小さなサイズ及び型の適切に形成された結晶ドメインの結果であると考えられる。この挙動はマトリックス鎖内のゴム鎖の共結晶に起因すると考えられる。非常に小さなゴム粒子(<0.4μm)と組み合わされた不規則な境界を伴うより小さくより開放されたスフェルライトが本発明のランダムブロック共重合体において低ヘイズ特性と良好な耐衝撃特性の独自のバランスを獲得するための機構を提供すると考えられる。更に、低分子量(LMW)相溶性ゴムはマトリックス・ドメインに移動する傾向があり、このことによって非結晶ラメラ(La)が濃くなり結晶ラメラ(Lc)が薄くなる。この効果は表3に示す。
【表3】
【0109】
本発明のランダムブロック共重合体(実施例1)はより小さな長間隔(Lp)とより低い結晶対非結晶間隔比(Lc/La)を有し、前記比はヘイズにおける低下と相関する。これらの結果により、本発明の共重合体Aの構造と共重合体Bの存在が共結晶化を経てこれらの構造を分裂させることにより晶子のサイズを小さくする傾向があることが示される。
【0110】
上述の記載は多くの具体物を含むが、これらの具体物は本発明を限定するものではなく、単に本発明の好ましい実施態様の例示として記載されたものとして解釈されるべきものである。当業者は本明細書に添付された特許請求の範囲によって定義されるような発明の範囲及び精神の範囲内で多くの他の実施態様を想定するであろう。