特許第5762362号(P5762362)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5762362
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】ナビゲーションシステム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20150723BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20150723BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20150723BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20150723BHJP
   G10L 13/00 20060101ALI20150723BHJP
   G10L 15/00 20130101ALI20150723BHJP
【FI】
   G01C21/26 P
   G08G1/005
   G09B29/10 A
   G09B29/00 A
   G10L13/00 100C
   G10L15/00 200Q
【請求項の数】5
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2012-156345(P2012-156345)
(22)【出願日】2012年7月12日
(65)【公開番号】特開2014-20788(P2014-20788A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2012年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(72)【発明者】
【氏名】小関 光昭
【審査官】 近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−097967(JP,A)
【文献】 特開平07−174576(JP,A)
【文献】 特開2002−195850(JP,A)
【文献】 特開2006−331363(JP,A)
【文献】 特開2002−014895(JP,A)
【文献】 特開2012−137709(JP,A)
【文献】 特開2004−138569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 − 21/36
23/00 − 25/00
G09B 23/00 − 29/14
G08G 1/00 − 99/00
G10L 13/00 − 15/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを通じて接続される第1のサーバと第2のサーバと移動体端末とを有するナビゲーションシステムであって、
前記第1のサーバは、
視覚不自由度合い属性を判定するための質問に対する前記移動体端末の使用者からの回答に基づき判定した前記使用者の視覚不自由度合い属性を、前記使用者の識別情報と共に第2のサーバに送信する視覚不自由度合い属性送信手段と、
前記第2のサーバにアクセスするための情報を、前記使用者の移動体端末に送信するアクセス情報報知手段と、
を備え、
前記第2のサーバは、
使用者の前記視覚不自由度合い属性に応じた地図データを記憶する第1の記憶部と、
出発地から目的地までを案内するための、使用者の前記視覚不自由度合い属性に応じたナビゲーションデータを記憶する第2の記憶部と、
使用者の前記視覚不自由度合い属性に応じたナビゲーション支援プログラムを記憶する第3の記憶部と、
前記第1のサーバから送られてくる、前記使用者の識別情報と前記視覚不自由度合い属性とを対応付けて保持する第4の記憶部と、
前記移動体端末から、前記使用者の識別情報を含むナビゲーションサービス要求を受けたときに、前記第4の記憶部に前記識別情報に対応付けられている前記視覚不自由度合い属性を認定する認定手段と、
前記認定手段で認定した前記視覚不自由度合い属性に応じた前記地図データ、前記ナビゲーションデータ及び前記ナビゲーション支援プログラムを、前記第1の記憶部、前記第2の記憶部及び前記第3の記憶部から読み出して、前記ネットワークを通じて前記移動体端末に送信する提供手段と、
を備え、
前記移動体端末は、
前記第1のサーバから受信した前記第2のサーバにアクセスするための情報を受信して保持する手段と、
前記第2のサーバにアクセスするための情報を用いて、前記使用者の識別情報を含むナビゲーションサービス要求を、前記ネットワークを通じて前記第2のサーバに送信する送信手段と、
前記ナビゲーションサービス要求に対して前記第2のサーバから送られてくる前記地図データ、前記ナビゲーションデータ及び前記ナビゲーション支援プログラムを受信して、前記ナビゲーション支援プログラムを起動する制御手段と、
を備えるナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記移動体端末は、
現在位置を検出する位置検出手段と、
音声合成手段と、
前記音声合成手段により音声合成された音声を前記使用者に対して提供する音声出力手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記起動した前記ナビゲーション支援プログラムにより、
前記位置検出手段で検出された現在位置が、前記ナビゲーションデータで示される経路上の予め設定された地点になったときに、前記地図データ及び前記ナビゲーションデータに基づき、前記音声合成手段を用いて、前記案内の音声合成データを生成し、生成した前記音声合成データを前記音声出力手段に供給する
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記移動体端末は、
前記使用者の音声入力を受け付ける音声入力手段と、
前記音声入力手段を通じて音声を音声認識する音声認識手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記起動した前記ナビゲーション支援プログラムにより、
前記音声認識手段により音声認識された前記使用者からの音声の質問を受けたときに、前記音声認識をした現在位置周辺の前記地図データと、前記ナビゲーションデータとに基づき、前記質問に対応する回答の案内の音声合成データを生成し、生成した前記音声合成データを前記質問に対する回答として前記音声出力手段に供給する手段を備える
ことを特徴とする請求項2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記移動体端末は、
カメラ部を備えると共に、前記カメラ部で撮影されたカメラ映像を画像認識する画像認識手段を備え、
前記制御手段は、前記起動した前記ナビゲーション支援プログラムにより、
前記ナビゲーションデータと、前記画像認識結果と、前記地図データとに基づき、案内の音声合成データを生成して、前記使用者に、前記音声合成データに基づく合成音声を提供する手段を備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記移動体端末は、
表示手段を備え、
前記表示手段の表示画面に、前記使用者の前記視覚不自由度合いに応じた地図が表示されて、前記合成音声による案内と併用可能とされてなる
ことを特徴とする請求項4のいずれかに記載のナビゲーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ナビゲーションシステムに関し、特に、視覚不自由者(目の不自由な方々)用のものに関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーションシステムにおいては、使用者により指定された出発地から目的地までの経路を探索してナビゲーションデータを生成し、探索の結果得られた経路を、表示画面に表示された地図上に表示すると共に、使用者の現在位置マークを表示しながら、使用者の移動に応じた案内をする。そして、交差点や曲がり角などにおいて、ナビゲーションデータに基づいて音声により案内をする機能も備えている。使用者は、表示画面上の地図上で自分の位置を確認しながら、音声案内も参照して、案内に従って、目的地まで移動することができる。
【0003】
上述のように、従来から、ナビゲーションシステムにおいては、音声案内も伴うので、目の不自由な方でも、当該音声案内を頼りにすることができるが、目の不自由な方の目の不自由さ度合いが考慮された音声案内となっていないので、目の不自由な方にとっては案内情報が不十分であり、実際上、利用できないのが実情である。
【0004】
この点を考慮した音声道路案内ナビゲーションシステムが、例えば特許文献1(特開2001−4396号公報)に提案されている。この特許文献1のナビゲーションシステムにおいては、目の不自由な方が、例えば外出中に、途中で現在位置が分からなくなったり、道順が分からなくなったりしたときに、所持している移動無線端末から現在位置情報や方位情報をナビゲーション送信装置に送信して問い合わせをする。すると、ナビゲーション送信装置は、この問い合わせに対して、目の不自由な方が現在いる場所の地名、番地名等の情報や、外出前に入力した目的地までの経路から外れている場合には、その復帰方法などの情報を、音声により移動無線端末に送信する。
【0005】
したがって、目の不自由な方は、移動無線端末のスピーカから放音される音声を聴取することで、自分が現在いる場所の地名、番地名等の情報や、外出前に入力した目的地までの経路から外れている場合の復帰方法を知得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−4396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術は、現在位置が何処なのか、経路から外れているか否かなどを、都度の問い合わせに対して音声により回答するものであって、出発地から目的地までの経路をトータル的に案内するものではない。このため、目の不自由な方用のトータル的な案内ナビゲーションという点では、未だ、不十分であるという問題がある。
【0008】
そして、目の不自由な方の目の不自由さの属性(視覚不自由度合い属性)には、全盲、弱視、近視、遠視、老眼など、様々な範疇が存在するが、従来は、そのような目の不自由さの度合いを考慮したナビゲーションシステムは、提案されていない。
【0009】
この発明は、以上の点にかんがみ、目の不自由な方に対して、その目の不自由さの度合いに応じたトータル的な案内ナビゲーションを可能にしたシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、
ネットワークを通じて接続される第1のサーバと第2のサーバと移動体端末とを有するナビゲーションシステムであって、
前記第1のサーバは、
視覚不自由度合い属性を判定するための質問に対する前記移動体端末の使用者からの回答に基づき判定した前記使用者の視覚不自由度合い属性を、前記使用者の識別情報と共に第2のサーバに送信する視覚不自由度合い属性送信手段と、
前記第2のサーバにアクセスするための情報を、前記使用者の移動体端末に送信するアクセス情報報知手段と、
を備え、
前記第2のサーバは、
使用者の前記視覚不自由度合い属性に応じた地図データを記憶する第1の記憶部と、
出発地から目的地までを案内するための、使用者の前記視覚不自由度合い属性に応じたナビゲーションデータを記憶する第2の記憶部と、
使用者の前記視覚不自由度合い属性に応じたナビゲーション支援プログラムを記憶する第3の記憶部と、
前記第1のサーバから送られてくる、前記使用者の識別情報と前記視覚不自由度合い属性とを対応付けて保持する第4の記憶部と、
前記移動体端末から、前記使用者の識別情報を含むナビゲーションサービス要求を受けたときに、前記第4の記憶部に前記識別情報に対応付けられている前記視覚不自由度合い属性を認定する認定手段と、
前記認定手段で認定した前記視覚不自由度合い属性に応じた前記地図データ、前記ナビゲーションデータ及び前記ナビゲーション支援プログラムを、前記第1の記憶部、前記第2の記憶部及び前記第3の記憶部から読み出して、前記ネットワークを通じて前記移動体端末に送信する提供手段と、
を備え、
前記移動体端末は、
前記第1のサーバから受信した前記第2のサーバにアクセスするための情報を受信して保持する手段と、
前記第2のサーバにアクセスするための情報を用いて、前記使用者の識別情報を含むナビゲーションサービス要求を、前記ネットワークを通じて前記第2のサーバに送信する送信手段と、
前記ナビゲーションサービス要求に対して前記第2のサーバから送られてくる前記地図データ、前記ナビゲーションデータ及び前記ナビゲーション支援プログラムを受信して、前記ナビゲーション支援プログラムを起動する制御手段と、
を備えるナビゲーションシステムを提供する。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記移動体端末は、
現在位置を検出する位置検出手段と、
音声合成手段と、
前記音声合成手段により音声合成された音声を前記使用者に対して提供する音声出力手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記起動した前記ナビゲーション支援プログラムにより、
前記位置検出手段で検出された現在位置が、前記ナビゲーションデータで示される経路上の予め設定された地点になったときに、前記地図データ及び前記ナビゲーションデータに基づき、前記音声合成手段を用いて、前記案内の音声合成データを生成し、生成した前記音声合成データを前記音声出力手段に供給する
ことを特徴とする。
【0011】
上述の構成のこの発明によれば、第1の記憶部には、使用者の視覚不自由度合い属性に応じた地図データが記憶され、第2の記憶部には、出発地から目的地までを案内するための、使用者の視覚不自由度合い属性に応じたナビゲーションデータが記憶されている。ここで、視覚不自由度合い属性とは、視覚不自由度合いが、全盲、弱視、色弱、近視、遠視、老眼のいずれであるかを示す情報である。
【0012】
制御手段は、現在位置が、ナビゲーションデータで示される経路上の案内が必要とされた地点になったときに、第1の記憶部の地図データ及び第2の記憶部のナビゲーションデータに基づき、音声合成手段を用いて、使用者の視覚不自由度合い属性に応じた案内の音声合成データを生成し、生成した音声合成データを、音声出力手段を通じて使用者に提供する。
【0013】
ナビゲーションデータは、使用者の視覚不自由度合い属性に応じたものであり、このナビゲーションデータで示される経路上の案内が必要とされた地点は、使用者の視覚不自由度合い属性に応じて定められる。そして、案内する音声を、どのような内容のものとするかは、使用者の視覚不自由度合い属性に応じて定められる。
【0014】
したがって、視覚不自由者である使用者は、自分の視覚不自由度合い属性に応じて必要な地点において、自分の視覚不自由度合い属性に応じた内容の案内音声を聴取することができ、自分の目の不自由さの度合いに応じたトータル的な案内ナビゲーションを享受することができる。
【0016】
そして、請求項の発明においては、使用者が第1のサーバに自分の視覚不自由度合い属性を登録した後、第2のサーバにナビゲーションサービスの提供を要求することにより、移動体端末は、第2のサーバから使用者の視覚不自由度合い属性に応じた地図データ、ナビゲーションデータを取得して記憶すると共に、使用者の視覚不自由度合い属性に応じたナビゲーション支援プログラムを取得して、制御手段が、このナビゲーション支援プログラムに応じて、ナビゲーションを実行するようにする
【0017】
したがって、使用者は、第1のサーバに自分の視覚不自由度合い属性を登録した後には、必要なときにのみ、第2のサーバにアクセスして、自分の視覚不自由度合い属性に応じたナビゲーションサービスを受けることができる。
【0018】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記移動体端末は、
前記使用者の音声入力を受け付ける音声入力手段と、
前記音声入力手段を通じて音声を音声認識する音声認識手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記起動した前記ナビゲーション支援プログラムにより、
前記音声認識手段により音声認識された前記使用者からの音声の質問を受けたときに、前記音声認識をした現在位置周辺の前記地図データと、前記ナビゲーションデータとに基づき、前記質問に対応する回答の案内の音声合成データを生成し、生成した前記音声合成データを前記質問に対する回答として前記音声出力手段に供給する手段を備える
ことを特徴とする。
【0019】
この請求項3の発明においては、使用者が音声入力手段を通じて、例えば「ここは何処ですか?」などの質問をすると、その質問音声が、音声認識手段で音声認識される。そして、制御手段は、その音声認識結果により、質問内容を判断して、その質問に対する回答の案内の音声合成データを、地図データ及びナビゲーションデータに基づき、音声合成手段により生成し、生成した音声合成データを音声出力手段に供給して、出力する。
【0020】
したがって、この請求項3の発明によれば、目の不自由な使用者は、自分が必要と思われる地点で、音声入力による質問をすることで、その質問に対する回答を合成音声により得ることができて、非常に便利である。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、目の不自由な方に対して、その目の不自由さの度合いに応じたトータル的なナビゲーションを可能にしたシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】この発明によるナビゲーションシステムの第1の実施形態の概要の構成例を示す図である。
図2図1における視覚不自由度合い属性登録サイトのサーバのハードウエア構成例を示すブロック図である。
図3図2の例の視覚不自由度合い属性登録サーバが記憶する視覚不自由会員情報の一例を示す図である。
図4図2の例の視覚不自由度合い属性登録サーバへの視覚不自由度合い属性の登録処理を説明するためのシーケンス図である。
図5】この発明によるナビゲーションシステムの第1の実施形態を構成するナビサービスサーバのハードウエア構成例を示すブロック図である。
図6】この発明によるナビゲーションシステムの第1の実施形態を構成する移動体端末の例としての携帯電話端末のハードウエア構成例を示すブロック図である。
図7】この発明によるナビゲーションシステムの第1の実施形態を構成するナビサービスサーバでの処理動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
図8】この発明によるナビゲーションシステムの第1の実施形態を構成するナビサービスサーバでの処理動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
図9】この発明によるナビゲーションシステムの第1の実施形態を構成する移動体端末の例としての携帯電話端末での処理動作例を説明するためのフローチャートを示す図である。
図10】この発明によるナビゲーションシステムの第1の実施形態を構成する移動体端末の例としての携帯電話端末での処理動作例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1の実施形態]
図1は、この発明によるナビゲーションシステムの第1の実施形態の全体の概要を示す構成図である。この第1の実施形態においては、インターネットや携帯電話網などの通信網を含むネットワーク1に対して、視覚不自由度合い属性登録サイト2が接続されて設けられる。そして、ネットワーク1には、ナビゲーションサービスを提供するナビゲーションサービス提供サイト3が接続されている。以下の説明において、ナビゲーションサービス提供サイト3は、ナビサービスサイト3と略称する。また、ナビゲーションサービスは、ナビサービスと略称する。
【0024】
この第1の実施形態では、ナビサービスサイト3は、図1において点線で接続して示したように、視覚不自由度合い属性登録サイト2と、視覚不自由者に対する支援サービスについて提携契約をしており、後述するように、通常の構成に加えて視覚不自由者支援のための構成を備えている。
【0025】
また、ネットワーク1には、さらに、視覚不自由者が所持する移動体端末の例としての携帯電話端末4が接続されている。携帯電話端末4は、ネットワーク1を通じて視覚不自由度合い属性登録サイト2,ナビサービスサイト3のそれぞれにアクセスすることが可能であり、当該サイト2,3から取得したWebページをディスプレイ画面に表示するためのブラウザ機能を備えている。
【0026】
この第1の実施形態では、視覚不自由者は、視覚不自由度合い属性登録サイトサイト2に対して、携帯電話端末4を用いてネットワーク1を通じてアクセスし、自分の識別情報(以下、識別情報はIDという)及びパスワードを登録した後、自分の視覚不自由度合い属性についての登録要求を行う。
【0027】
この登録要求を受けた視覚不自由度合い属性登録サイト2は、登録要求してきた視覚不自由者の携帯電話端末4に対して、視覚不自由度合い属性を判定するための質問の音声情報を送信し、その回答の情報を携帯電話端末4から受ける。そして、視覚不自由度合い属性登録サイト2は、視覚不自由者からの回答に基づいて、当該視覚不自由者の視覚不自由度合い属性を判定し、当該視覚不自由者の識別情報と対応付けて記憶登録しておくようにする。
【0028】
なお、前述もしたように、視覚不自由度合い属性とは、例えば、全盲、弱視、色盲、色弱、近視、遠視、老眼などの視覚不自由度合いを判別するための種別である。
【0029】
視覚不自由度合い属性の登録が完了すると、視覚不自由度合い属性登録サイト2は、その視覚不自由者のID及びパスワードと、当該視覚不自由者の視覚不自由度合い属性を、提携サイトであるナビサービスサイト3に送る。
【0030】
ナビサービスサイト3は、視覚不自由度合い属性登録サイト2から受け取った視覚不自由者のID及びパスワードと、当該視覚不自由者の視覚不自由度合い属性とを対応付けて、記憶部に格納する。そして、ナビサービスサイト3は、使用者が携帯電話端末4を用いて、ネットワーク1を通じて自サイト3にアクセスしてきたとき、ID及びパスワードにより視覚不自由者の確認を行う。そして、ナビサービスサイト3は、当該視覚不自由者の視覚不自由度合い属性を、確認した視覚不自由者のIDに対応付けて記憶している視覚不自由度合い属性の情報を用いて認定する。
【0031】
また、この第1の実施形態においては、視覚不自由度合い属性登録サイト2は、上述のようにして視覚不自由度合い属性登録が完了したときには、視覚不自由度合い属性登録要求してきた視覚不自由者の携帯電話端末4に、提携サイトであるナビサービスサイト3にアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)を送信する。この実施形態では、視覚不自由度合い属性登録サイト2が使用者の携帯電話端末4に送信する提携サイトであるナビサービスサイト3のURLは、視覚不自由者専用のURLであって、健常者が当該提携サイトであるナビサービスサイト3にアクセスする際のURLとは異なるものとしている。
【0032】
そして、視覚不自由度合い属性登録をした視覚不自由者が、視覚不自由度合い属性登録サイト2から受け取ったURLを用いて、携帯電話端末4により、ネットワーク1を通じてナビサービスサイト3にアクセスする。このアクセスの際には、視覚不自由者は視覚不自由度合い属性登録サイト2に登録したID及びパスワードを用いる。すると、前述したように、ナビサービスサイト3では、視覚不自由者の視覚不自由度合い属性を認定することができる。したがって、ナビサービスサイト3は、視覚不自由者の視覚不自由度合い属性に応じたナビサービスの提供が可能となる。
【0033】
[視覚不自由度合い属性登録サーバ装置10のハードウエア構成例]
視覚不自由度合い属性登録サイト2には、視覚不自由度合い属性登録サーバ10が設けられる。図2に、視覚不自由度合い属性登録サーバ10のハードウエア構成例を示す。すなわち、視覚不自由度合い属性登録サーバ10は、コンピュータにより構成されている制御部101に対して、システムバス100を通じて、通信インターフェース102と、送受信処理部103と、音声質問情報発生部104と、視覚不自由度合い属性判定部105と、視覚不自由会員情報記憶部106と、提携サイト記憶部107と、提携サイト連絡情報生成部108とが接続されて構成されている。なお、この例では、視覚不自由度合い属性登録サーバ装置10では、視覚不自由度合い属性登録要求してきた視覚不自由者を会員と見なして登録処理をするようにする。
【0034】
制御部101を構成するコンピュータの記憶部には、視覚不自由度合い属性登録サーバ10の各種の処理動作を実行するためのソフトウエアプログラムが記憶されている。
【0035】
通信インターフェース102はネットワーク1に接続されており、視覚不自由度合い属性登録サーバ10と、携帯電話端末4などとの間での通信やナビサービスサイト3などの提携サイトとの間での通信を行うためのインターフェースである。
【0036】
送受信処理部103は、携帯電話端末4などの端末装置から送られてくる情報を受信して判別し、その判別結果に従って受信した情報をシステムバス100に接続されている各部に渡す処理をする。送受信処理部103は、受信情報として携帯電話端末4からの視覚不自由度合い属性登録要求情報を受信したときには、登録要求受信手段として働き、登録要求の受信を制御部101に通知すると共に、当該登録要求に含まれる視覚不自由者のIDを視覚不自由会員情報記憶部106に渡す。また、後述する音声による質問情報に対する回答の情報を受信したときには、この送受信処理部103は、回答受信手段として働き、受信した回答の情報を視覚不自由度合い属性判定部105に渡す。
【0037】
音声質問情報発生部104は、後述するように、視覚不自由者が視覚不自由度合い属性登録を要求したときに、制御部101の指示制御に基づき、当該視覚不自由者がどのような視覚不自由度合い属性を有するかを調査するための音声による質問情報(音声質問情報)を発生する。すなわち、音声質問情報発生部104には、予め定められた複数の音声質問情報が記憶されており、制御部101の制御により、順次に、それら記憶されている音声質問情報を読み出すようにする。
【0038】
この音声質問情報としては、例えば、「あなたは全く見えないのですか?」、「あなたは赤色が見えますか?」、「あなたは緑色が見えますか?」、「あなたは青色が見えますか?」、「あなたは小さい文字はみえますか?」、「あなたは遠くが見えますか?」・・・などが予め用意されており、順次に読み出されて、携帯電話端末4の使用者である視覚不自由者に提供される。
【0039】
送受信処理部103は、この質問情報などを制御部101の制御にしたがって、通信インターフェース102を通じて送信することができる情報に変換する処理を行う。
【0040】
視覚不自由度合い属性判定部105は、音声質問情報発生部104からの音声質問情報に対する視覚不自由者の回答を解析することにより、当該視覚不自由者が有する視覚不自由度合い属性を判定する。ここで、視覚不自由度合い属性は、視覚不自由度合いを特定するために予め定められた属性を意味するものであって、この実施形態では、例えば、全盲、色盲、色弱、弱視、老眼などの大まかな属性のみではなく、より精細な属性を判定することができるようにしている。例えば色弱の場合に、赤色のみに弱い場合には色弱(赤)、青色のみに弱い場合には色弱(青)、緑色のみに弱い場合には色弱(緑)、赤色及び緑色に弱い場合には色弱(赤緑)・・・などのように判定することができるようにしている。
【0041】
視覚不自由度合い属性判定部105は、この例では、予め定められた順序で提供される複数個の音声質問情報に対する回答のパターンのそれぞれと、それぞれのパターンに対応した視覚不自由度合い属性との対応テーブルを備える。そして、視覚不自由者から視覚不自由度合い属性登録要求を受けた際に、当該視覚不自由者に対して与えた音声質問情報に対する回答のパターンから、当該視覚不自由者の視覚不自由度合い属性を、前記対応テーブルを用いて判定する。そして、視覚不自由度合い属性判定部105は、その判定した視覚不自由度合い属性を表示仕様選定部106に渡すと共に、視覚不自由会員情報記憶部106に渡す。
【0042】
視覚不自由会員情報記憶部106は、制御部101の制御の下に、送受信処理部103及び視覚不自由度合い属性判定部105から送られてくる情報を受けて、視覚不自由度合い属性登録要求してきた視覚不自由者(会員)毎の情報を、それぞれのIDに対応付けて記憶する。
【0043】
図3は、この視覚不自由会員情報記憶部106に記憶される視覚不自由会員情報の一例を示す図である。すなわち、図3の例では、使用者がこの例の視覚不自由度合い属性登録サーバ10にアクセスしてくると、サーバ10は、アクセスしてきた視覚不自由者に会員番号を付与すると共に、ID及びパスワードを定めて、それを視覚不自由会員情報記憶部106に記憶する。
【0044】
そして、制御部101は、記憶した使用者のIDに対応付けて、視覚不自由度合い属性判定部105から送られてくる視覚不自由度合い属性の情報を、この視覚不自由会員情報記憶部106に記憶する。
【0045】
また、図3の例においては、視覚不自由度合い属性登録をした使用者が利用する利用サイトの情報(例えばURLやサイト名など)が、視覚不自由会員情報記憶部106に記憶される。この利用サイトの情報は、視覚不自由度合い属性登録サーバ10から紹介された利用サイトの中から、視覚不自由度合い属性登録をした視覚不自由者が選定したサイトの情報を示すものであり、図3の例では、ナビサービスサイト4が選定されている状態を示している。
【0046】
提携サイト記憶部107は、視覚不自由度合い属性に対応した情報提供サービスについて視覚不自由度合い属性登録サーバ10と提携契約しているナビサービスサイト4などの各種サービス情報提供サイトのURLやサイト名、提供する情報サービスの内容、当該提携サイトにアクセスするための専用アプリケーションなどの情報を記憶している。前述したように、この提携サイト記憶部107に記憶されているURLは、当該提携サイトに健常者がアクセスするためのURLとは異なる視覚不自由者専用のURLとされている。
【0047】
制御部101は、視覚不自由度合い属性登録が完了した視覚不自由者に対して、利用可能なサービス情報提供サイトを、この提携サイト記憶部107から読み出して紹介する。この紹介を受けた視覚不自由者は、自分が利用したいサービス情報提供サイトをその紹介されたものの中から選定して登録することができる。この使用者毎の利用サイトの情報は、前述したように、視覚障害会員情報記憶部106に記憶される。そして、制御部101は、視覚不自由者が選定した利用サイトのURLを、この提携サイト記憶部107から読み出して当該視覚不自由者の移動体端末である携帯電話端末4に対して送信する。
【0048】
提携サイト連絡情報生成部108は、制御部101の制御の下に、視覚不自由者が選定した利用サイトに対して送信する、当該視覚不自由者のID及びパスワードと、その視覚不自由度合い属性の情報とを含む連絡情報を生成する。生成された連絡情報は、制御部101の制御により、通信インターフェース102を通じて、視覚不自由者が選定したナビサービスサイト3などの提携サイトに対して送信される。
【0049】
なお、図2において、送受信処理部103、視覚不自由度合い属性判定部105及び提携サイト連絡情報生成部108の処理機能は、制御部101がソフトウエア処理プログラムによるソフトウエア処理機能として実現するようにすることもできる。
【0050】
[視覚不自由度合い属性登録時の動作]
次に、この視覚不自由度合い属性登録システムにおいて、視覚不自由者が、携帯電話端末4から視覚不自由度合い属性登録サイト2に対してアクセスして、視覚不自由度合い属性登録をする場合における処理動作の流れを、図4のシーケンス図を参照しながら説明する。
【0051】
すなわち、視覚不自由者は、自分の携帯電話端末4において、視覚不自由度合い属性登録サーバ10のURLを入力して、ネットワーク1を通じて、視覚不自由度合い属性登録サイト2にアクセスする。
【0052】
視覚不自由度合い属性登録サーバ10は、送受信処理部103で、このアクセスを受け付ける。そして、制御部101は、アクセスしてきた視覚不自由者に対して、ID及びパスワードを登録するように依頼するメッセージを送る。このメッセージは、この例では、音声メッセージとして送られる。この音声メッセージによるID及びパスワードの登録依頼を受けた使用者は、その端末装置でID及びパスワードを入力して、視覚不自由度合い属性登録サーバ10に送信する。
【0053】
視覚不自由度合い属性登録サーバ10は、送受信処理部103で、このID及びパスワードを受信する。そして、制御部101は、そのID及びパスワードを、視覚不自由会員情報記憶部106に記憶すると共に、提携サイト連絡情報生成部108に供給する。次に、制御部101は、音声質問情報発生部104から、使用者の視覚不自由度合い属性を判定するための音声質問情報を読み出して、順次に、視覚不自由者の携帯電話端末4に送信する。
【0054】
この音声質問情報を受信した携帯電話端末4は、そのスピーカにより当該質問音声情報による音声質問メッセージを視覚不自由者に提供する。視覚不自由者が、音声によりその回答をすると、携帯電話端末4は、そのマイクロホンにより当該回答の音声を収音して回答情報を生成し、その回答情報を視覚不自由度合い属性登録サーバ10に送信する。なお、図4では、1個の音声質問に対して1個の回答を返す状態を示しているが、実際的には、複数個の音声質問が1個ずつ、視覚不自由度合い属性登録サーバ10から携帯電話端末4に提供される。そして、携帯電話端末4からは、それぞれの音声質問に対する回答が視覚不自由度合い属性登録サーバ10に送られる。視覚不自由度合い属性登録サーバ10は、前の音声質問に対する回答を受け取ると次の音声質問を携帯電話端末4に送る。以降、視覚不自由度合い属性登録サーバ10と携帯電話端末4との間で、質問と回答の授受が繰り返される。
【0055】
そして、前述したように、視覚不自由度合い属性登録サーバ10では、制御部101の制御の下に、視覚不自由度合い属性判定部105が、受信した回答に基づいて視覚不自由者の視覚不自由度合い属性を判定し、その判定結果を視覚障害会員情報記憶部106に供給する。視覚不自由度合い属性判定部105は、また、この実施形態では、提携サイト連絡情報生成部108にも判定した視覚不自由度合い属性を供給する。
【0056】
次に、視覚不自由度合い属性登録サーバ10の制御部101は、提携サイト記憶部107に記憶されている1または複数の提携サイトの情報を読み出し、視覚不自由者が利用可能なサイト情報の紹介情報として携帯電話端末4に送る。この紹介情報は、各提携サイトのサイト名及び提供する情報サービスの内容を含み、表示情報及び音声情報により送信される。
【0057】
携帯電話端末4は、この提携サイトの一覧情報をディスプレイ画面に表示する。視覚不自由者は、そのディスプレイ画面に表示されている提携サイトの一覧から自分が利用したいとして希望する1または複数の提携サイトを選定し、その選定結果を携帯電話端末4に入力する。携帯電話端末4は、視覚不自由者により選定された1または複数の提携サイト(この例では、提携サイトには、ナビサービスサイト3を含む)のサイト名などの当該提携サイトを特定するための情報(利用サイトの情報)を視覚不自由度合い属性登録サーバ10に送る。
【0058】
視覚不自由度合い属性登録サーバ10では、制御部101は、この携帯電話端末4からの利用サイトの情報を通信インターフェース102、送受信処理部103を通じて受け取る。そして、制御部101は、受け取った利用サイトの情報で指定される提携サイトのURL及び当該提携サイトにアクセスするための専用アプリケーションを提携サイト記憶部107から読み出して、携帯電話端末4に送る。
【0059】
携帯電話端末4は、これを受信すると、各利用サイトのURLを記憶すると共に、各利用サイト用の専用アプリケーションをインストールする。そして、携帯電話端末4は、視覚不自由者がアクセスを開始し易いようにするために、この例では、各利用サイト用のアイコンをデスクトップに表示する。なお、全盲の方や、弱視の方の場合には、音声による読み上げアプリケーションなどが併用されると共に、携帯電話端末4の音声認識機能が併用されて、ナビサービスサイトなどへのアクセスが実行される。
【0060】
携帯電話端末4からの利用サイトの情報を受け取った視覚不自由度合い属性登録サーバ10の制御部101は、提供サイト連絡情報生成部108に指示して、送受信処理部103から受け取ったID及びパスワードと、視覚不自由度合い属性判定部105からの視覚不自由度合い属性の情報を、利用サイトのそれぞれに送るための連絡情報として生成させるようにする。そして、制御部101は、提供サイト連絡情報生成部108で生成された連絡情報を、利用サイトのそれぞれに送る。
【0061】
提携サイトのそれぞれは、この連絡情報を受け取り、視覚不自由者用のURLへのアクセス者として、受信した視覚不自由者のID及びパスワードと、また、視覚不自由度合い属性とを登録して保持する。
【0062】
以上で、視覚不自由度合い属性登録システムにおける視覚不自由者が視覚不自由度合い属性登録サーバ10にアクセスしたときの視覚不自由度合い属性登録処理動作は終了となる。
【0063】
[ナビサービスサイト3のナビサービスサーバ20のハードウエア構成例]
ナビサービスサイト3には、ナビサービスサーバ20が設けられる。図5に、ナビサービスサーバ20のハードウエア構成例を示す。すなわち、ナビサービスサーバ20は、コンピュータにより構成されている制御部201に対して、システムバス200を通じて、通信インターフェース202と、受信情報処理部203と、視覚不自由会員情報登録部204と、Webページ提供部205と、地図情報格納部206と、ナビサービス支援プログラム提供部207と、ナビゲーションデータ生成部208と、提供地図情報判定部209と、送信情報生成部210とが接続されて構成されている。
【0064】
制御部201を構成するコンピュータの記憶部には、ナビサービスサーバ20の各種の処理動作を実行するためのソフトウエアプログラムが記憶されている。
【0065】
通信インターフェース202は通信ネットワーク1に接続されており、ナビサービスサーバ20と、視覚不自由度合い属性登録サーバ10や携帯電話端末4との間での通信を行うためのインターフェースである。
【0066】
受信情報処理部203は、視覚不自由度合い属性登録サーバ10や携帯電話端末4から送られてくる情報を受信して判別し、その判別結果に従って受信した情報をシステムバス200に接続されている各部に渡す処理をする。
【0067】
受信情報処理部203は、視覚不自由度合い属性登録サーバ10からの連絡情報を受信したときには、その連絡情報のすべてを視覚不自由会員情報登録部204に送る。また、受信情報処理部203は、連絡情報のうちの視覚不自由者のID及び視覚不自由度合い属性を、提供地図情報判定部209にも供給する。
【0068】
視覚不自由会員情報登録部204は、受信した連絡情報を、視覚不自由会員毎に、記憶部(図示は省略)に格納する。この視覚不自由会員情報登録部204の登録記憶情報は、視覚不自由者の会員番号と、IDと、パスワードと、視覚不自由度合い属性とを含む。
【0069】
ナビサービスサーバ20における視覚不自由者の会員番号は、視覚障害登録サーバ10の会員番号と同じである必要はないが、この例では同じとされる。また、ID、パスワード及び視覚不自由度合い属性は、視覚不自由度合い属性登録サーバ10から送られてきた連絡情報から取得したものがそのまま記憶される。
【0070】
受信情報処理部203は、携帯電話端末4からのアクセスが、健常者用のURLへのアクセスか、または、視覚不自由者用のURLへのアクセスかを判別するアクセス者判別部2031を備える。
【0071】
受信情報処理部203のアクセス者判別部2031で健常者用のURLへのアクセスであると判別したときには、制御部201は、当該アクセスに対しては、Webページ提供部205、地図情報格納部206、ナビサービス支援プログラム提供部207及びナビゲーションデータ格納部208から、健常者用Webページ、健常者用地図情報、健常者用ナビサービス支援プログラム及び健常者用ナビゲーションデータを提供することで対応する。
【0072】
また、受信情報処理部203のアクセス者判別部2031で視覚不自由者用のURLへのアクセスであると判別したときには、制御部201は、視覚不自由会員情報登録部204の視覚不自由度合い属性を参照して、視覚不自由度合い属性を認定し、そのアクセス者に対して、Webページ提供部205、地図情報格納部206、ナビサービス支援プログラム提供部207及びナビゲーションデータ格納部208から、アクセスしてきた視覚不自由者の視覚不自由度合い属性に応じた視覚不自由者用Webページ、視覚不自由者用地図情報、視覚不自由者用ナビサービス支援プログラム及び視覚不自由者用ナビゲーションデータを提供することで対応する。
【0073】
Webページ提供部205は、健常者用Webページの格納部(図示は省略)だけではなく、視覚不自由者用Webページ格納部2051を格納している。Webページ提供部205は、視覚不自由度合い属性と、その視覚不自由度合い属性を有する使用者が判読可能となる表示仕様との対応テーブルを備えており、アクセスしてきた視覚不自由者の視覚不自由度合い属性に基づいて、当該視覚不自由度合い属性を有する使用者が判読可能となる提供情報の表示仕様を選定する。そして、Webページ提供部205は、その選定した表示仕様のwebページをアクセスしてきた視覚不自由会員に提供するようにする。
【0074】
この例では、表示仕様として、それぞれの視覚不自由度合い属性に応じたCSS(Cascading Style Sheets)仕様を定めて用意しておくようにする。例えば赤色の色弱者には、赤色の文字を黒色に代えたCSS仕様を表示仕様として選定するようにする。また、小さい文字が見えにくい使用者には、文字は拡大した太文字とするCSS仕様を表示仕様として選定するようにする。なお、視覚不自由度合い属性が全盲や強度の弱視の場合には、携帯電話端末4の表示画面を健常者に見てもらうことで支援を受けることができるように、健常者と同じ表示内容のWebページを提供する。後述する地図の表示仕様についても、同様の処理を行う。
【0075】
なお、Webページ提供部205は、アクセスしてきた視覚不自由者に対して、例えば、そのID及びパスワードの送信依頼などを音声により行うための音声情報送信機能を備えている。
【0076】
地図情報格納部206は、地図データベースであり、健常者用の通常のカラー地図情報(文字の大きさも通常のもの)を格納する格納部(図示は省略)だけではなく、視覚不自由者用地図情報格納部2061を格納している。
【0077】
視覚不自由者用地図情報格納部2061には、視覚不自由度合い属性のそれぞれに対応した地図データが格納されている。すなわち、視覚不自由度合い属性に応じた地図データのそれぞれには、例えば点字ブロックの位置、段差、植え込み、ガードレール、斜面などの視覚不自由度合い属性に応じて必要となる情報が含まれる。
【0078】
また、視覚不自由者用地図情報格納部2061に格納される視覚不自由者用の地図データは、それぞれの視覚不自由度合い属性を有する視覚不自由者が地図を判読可能となる表示仕様で格納されている。すなわち、前述したように、視覚不自由度合い属性には、色弱(赤、青、緑)や弱視などが有り、色弱も赤に弱い、青に弱い、緑に弱いなど様々である。したがって、視覚不自由者の視覚不自由度合い属性によって適切な地図デザインや配色は異なる。例えば色弱者には白黒諧調(グレイスケール)で全てを表現とする地図配色とすべきであり、弱視者には中間諧調を省き、原色(赤、緑、青)で諧調差を最大にして表現する地図配色とすべきである。また、老眼の人に対しては太い線や大きな文字を使用し、情報量を減らした地図とすべきである。
【0079】
さらに、複数の視覚不自由度合い属性を抱えている人も多いので、上記の視覚不自由度体属性に応じた対応を組み合わせ表現することが可能な仕組みとする。また、どのような表示仕様としても視覚判別が困難であることが予想される視覚不自由者に対しては、この例では、地図上の文字の読み上げ機能や地図の拡大表示を行えるようにする仕組みも用意することが有益である。
【0080】
なお、視覚不自由度合い属性が全盲や強度の弱視である視覚不自由者の場合には、携帯電話端末4の表示画面を健常者に見てもらうことで支援を受けることができるように、健常者用の地図を、健常者用の表示仕様で提供する。
【0081】
ナビサービス支援プログラム提供部207は、健常者用支援プログラムの格納部(図示は省略)だけではなく、視覚不自由者用支援プログラム格納部2071を備えている。ナビサービス支援プログラムは、視覚不自由者による出発地、目的地、経由地、移動手段、移動目的などの指定を受け付けて、経路探索の結果として生成されたナビゲーションデータにしたがって経路案内を行うための支援プログラムである。
【0082】
経路案内は、視覚不自由度合い属性に応じて必要となる条件が異なるので、この例では、この支援プログラムも、視覚不自由度合い属性に応じたものが、視覚不自由者用支援プログラム格納部2071に用意されている。この支援プログラムは、アクセスしてきた視覚不自由者の携帯電話端末4に提供され、携帯電話端末4が備えるマイクロコンピュータが実行するようにされる。
【0083】
なお、この実施形態においては、視覚不自由度合い属性が全盲や強度の弱視である視覚不自由者用の支援プログラムは、後述するように、携帯電話端末4が備えるカメラ部で撮影されて得られるカメラ映像を画像認識することで検出することができる視覚不自由者の進行方向の混雑度合いや、自転車の接近、段差、ガードレール、側溝、植え込み、などを注意喚起(音声案内)する機能を有するように構成されている。また、カメラ映像から交差点の交通信号機の信号の色を認識して、音声案内する。
【0084】
ナビゲーションデータ生成部208は、視覚不自由者により指定された出発地、目的地、経由地、移動手段、移動目的などに基づいて、地図情報格納部206の地図データを用いて経路探索を行い、その探索の結果としてナビゲーションデータを生成する。この実施形態では、ナビゲーションデータ生成部208は、地図情報格納部206から、視覚不自由度合い属性に応じた地図データを取得して、視覚不自由度合い属性に応じたナビゲーションデータを生成する。
【0085】
視覚不自由度合い属性に応じたナビゲーションデータには、音声合成により案内するシナリオデータも含まれる。このシナリオデータも、視覚不自由度合い属性に応じて用意される。例えば、視覚不自由度合い属性が全盲、強度の弱視の方用には、階段に近づいたときに、階段までの距離や方向を音声案内するようにするシナリオデータが用意されている。また、点字ブロックの位置などを音声案内するシナリオデータも用意されている。また、電車に乗っているときに、次の停車駅や左右ドアのいずれが開閉するかなどの車内放送を聞き逃す可能性を考慮して、逐次、次の停車駅や左右ドアのいずれが開閉するかなどを音声案内するようにするためのシナリオデータも含まれる。更に、電車に乗る際に、降車駅において、エレベータやエスカレータに近い乗降車位置までの音声案内を行うシナリオデータも用意されている。
【0086】
また、カメラ映像を用いる場合には、カメラ映像から交差点の交通信号機の信号の色を認識して、音声案内するようにするシナリオデータが含まれる。さらに、カメラ映像から画像認識された段差、ガードレール、側溝、植え込み、斜面などを注意喚起(音声案内)するシナリオデータが含まれる。
【0087】
提供地図情報判定部209は、この例では、使用者の視覚不自由度合い属性と、視覚不自由者用地図情報格納部2061に格納されている地図情報との対応テーブルを備えている。そして、提供地図情報判定部209は、受信情報処理部203から受け取った視覚不自由度合い属性の情報に基づき、その視覚不自由度合い属性を有する視覚不自由会員用の地図情報を選定する。そして、提供地図情報判定部209は、選定した地図情報の識別情報と、視覚不自由会員のIDとを視覚不自由会員情報登録部204に渡す。
【0088】
視覚不自由会員情報登録部204は、受け取ったIDの視覚不自由会員についての地図情報の識別情報の情報として、提供地図情報判定部209から受け取った地図情報識別情報を登録して記憶する。
【0089】
送信情報生成部210は、アクセスしてきた携帯電話端末4などの移動体端末に対して送信する情報を生成する。送信情報生成部210は、前述したように、アクセスしてきた移動体端末の使用者が健常者であるときには、健常者用の情報を生成して、アクセス者に対して提供するようにする。また、送信情報生成部210は、アクセスしてきた移動体端末の使用者が登録されている視覚不自由者であるときには、登録されている視覚不自由度合い属性に応じたWebページ、地図情報、支援プログラムを提供し、また、ナビゲーションデータを生成して、アクセス者に対して提供するようにする。
【0090】
なお、図5において、受信情報処理部203、提供地図情報判定部209及び送信情報生成部210の処理機能は、制御部201がソフトウエア処理プログラムによるソフトウエア処理機能として実現するようにすることもできる。
【0091】
[移動体端末の実施形態のハードウエア構成例]
図6は、この発明による移動体端末の実施形態としての携帯電話端末4のハードウエア構成例を示す図である。この例は、いわゆるスマートフォンと呼ばれる携帯電話端末の構成を備える場合である。
【0092】
すなわち、図6に示すように、この例の携帯電話端末4は、マイクロコンピュータで構成される制御部401が、システムバス400を通じて、無線通信回路部402、送受信情報処理部403、通話回路部404、ディスプレイインターフェース405、タッチパネルインターフェース406、GPS測位部407、メモリ408、ナビゲーションデータ一時記憶部409、地図データメモリ410、ジャイロセンサ411、地磁気センサ412、加速度センサ413、カメラ部414、音声合成部415、音声認識部416、画像認識部417、のそれぞれと接続されている。
【0093】
制御部401は、携帯電話端末4の電話機能やその他の各種制御処理を制御するためのものである。この例では、制御部401は、メモリ408に格納されるプログラムを実行して、後述するナビサービス支援プログラムなどの種々のアプリケーション処理を実行制御するようにする。
【0094】
無線通信回路部402は、携帯電話網の基地局を通じて通信ネットワーク1に接続するためのものである。送受信情報処理部403は、無線通信回路部402を通じて受信される情報を解析し、制御部401の制御にしたがって、システムバス400を通じて必要な各部に転送すると共に、通信ネットワークに送出する送信情報を生成し、無線通信回路部402に転送する。
【0095】
通話回路部404は、電話音声の処理であり、受話器を構成するスピーカ421と送話器を構成するマイクロホン422が接続されている。
【0096】
ディスプレイインターフェース405には、例えばLCD(Liquid Crystal Display)からなるディスプレイ423が接続される。ディスプレイ423の表示画面上にはタッチパネル424が設けられており、このタッチパネル424は、タッチパネルインターフェース406に接続されている。
【0097】
この実施形態では、操作ボタンなどの操作入力は、このタッチパネル424を通じて行えるようにされており、ディスプレイ423の表示画面には、制御部401の制御にしたがって、文字入力キー操作画面や設定受付画面などが表示される。使用者は、このタッチパネル424に対して、指でタッチ操作したり、指でスライドさせたりする所定の振る舞いをすることにより、所定の操作入力をすることができる。
【0098】
タッチパネルインターフェース406は、タッチパネル424を通じた使用者による操作指示入力に応じた操作検出信号を、システムバス400を通じて制御部401に送出する。制御部401は、タッチパネルインターフェース406から受けた操作検出信号から、使用者により、どのような操作入力がされたかを検出し、その検出結果に応じた制御処理を行う。
【0099】
GPS測位部407は、GPS衛星からの電波を受信して、携帯電話端末4の現在位置を測位して検知し、その検知した現在位置の位置情報をシステムバス400を通じて制御部401に転送する。
【0100】
メモリ408は、携帯電話端末4で用いられる種々のデータの格納部であり、この実施形態では、ナビサービス支援プログラムなどのアプリケーションプログラムの記憶エリアであるプログラム記憶部408Mを備えている。
【0101】
ナビゲーションデータ一時記憶部409は、使用者が携帯電話端末4を用いてナビサービスサーバ3にアクセスし、ナビゲーションサービス要求をしたときに、後述するように、ナビサービスサーバ3から送られてくるナビゲーションデータを一時記憶する記憶部である。このナビゲーションデータ一時記憶部409は、メモリ408の一部の記憶エリアであっても良い。
【0102】
地図データメモリ410は、使用者が携帯電話端末4を用いてナビサービスサーバ3にアクセスし、ナビゲーションサービス要求をしたときに、ナビサービスサーバ3から送られてくる使用者の現在地を中心として、使用者が移動する地域の地図データを記憶する。この地図データメモリ410も、メモリ408の一部の記憶エリアであっても良い。
【0103】
ジャイロセンサ411は、携帯電話端末4の角速度や角度を検出するためのセンサである。地磁気センサ412は、携帯電話端末4が東西南北のどの方向を示しているかを検出するためのセンサである。加速度センサ413は、前後方向、左右方向、上下方向の加速度を検出するためのセンサである。
【0104】
制御部401は、これらのセンサ411〜413の出力を用いて、メモリ108に記憶されているナビサービス支援プログラムを実行することで、携帯電話端末4が、どの方向に、どれだけ移動したかを算出して、GPS測位部407で検出された位置情報と合わせて現在位置をできるだけで正確に算出するようにする。
【0105】
カメラ部414は、撮像レンズ(図示せず)を備え、この撮像レンズの光軸方向における所定の画角範囲の被写体を撮像する機能を備える。このカメラ部414が起動されると、撮像レンズを通じて取り込まれて静止画や動画として撮影されるカメラ映像(モニター画像)が、ディスプレイ423の表示画面に表示される。
【0106】
音声合成部415は、制御部401の制御にしたがって、種々の合成音声を生成する。生成された合成音声は、通話回路部404を介して音声出力手段としてのスピーカ421から放音される。この実施形態では、後述するように、制御部401は、ナビゲーションデータ一時記憶部109に記憶されているナビゲーションデータ及びシナリオデータに基づいて、視覚不自由者に対する案内音声を、この音声合成部415により音声合成してスピーカ421から放音するようにする。
【0107】
音声認識部416は、制御部401の制御にしたがって、マイクロホン422で収音された音声について音声認識を行って、その認識結果をシステムバス400に送出する。この実施形態では、制御部401は、ナビサービス支援プログラムを実行中において、その認識結果が、所定の質問や問い合わせであるときには、その質問や問い合わせに対する回答を、音声合成部415において合成音声により生成させるようにする。
【0108】
画像認識部417は、カメラ部414で撮影されたカメラ映像について画像認識を行って、その認識結果をシステムバス400に送出する。この実施形態では、制御部401は、ナビゲーションデータ一時記憶部109に記憶されているナビゲーションデータ及びシナリオデータに基づいて、カメラ映像からの画像認識結果から視覚不自由者に対して提供すべき案内音声を、音声合成部415により音声合成してスピーカ421から放音するようにする。
【0109】
[ナビサービスサーバ20での携帯電話端末4からのアクセス受信時の動作]
次に、上述のような構成を有するナビサービスサーバ20で、携帯電話端末4からの視覚不自由者によるアクセスを受信したときの動作の流れを、図7及び図8のフローチャートを参照しながら説明する。この図7及び図8の例は、制御部201が、受信情報処理部203及び送信情報生成部210の処理機能を、そのソフトウエア処理機能として実現した場合として説明する。
【0110】
先ず、地図情報提供サーバ20の制御部201は、携帯電話端末4からのアクセスの受信を監視して待ち(ステップS101)、アクセスを受信したと判別したときには、アクセスは視覚不自由者用のURLへのアクセスであるか否か判別する(ステップS102)。
【0111】
このステップS102で、アクセスは視覚不自由者用のURLへのアクセスではなく、健常者用のURLであると判別したときには、制御部201は、Webページ提供部205、地図情報格納部206及びナビサービス支援プログラム提供部207から、アクセス者に対して、健常者用のWebページ、地図情報及びナビサービス支援プログラムを提供する提供するようにする処理ルーチンを実行する(ステップS103)。
【0112】
また、ステップS102で、アクセスは視覚不自由者用のURLへのアクセスであると判別したときには、制御部201は、Webページ提供部206から視覚不自由者であるアクセス者に、ID及びパスワードの送信を依頼する音声メッセージを読み出して、アクセス者の携帯電話端末4に送信する(ステップS104)。
【0113】
アクセス者は、携帯電話端末4から、この音声メッセージに応じてID及びパスワードを送る。そこで、制御部201は、アクセスしてきた携帯電話端末4からID及びパスワードを受信したか否か判別する(ステップS105)。そして、ステップS105で、ID及びパスワードを受信してはいないと判別したときには、制御部201は、アクセスを終了する指示があったか否か判別し(ステップS106)、終了する指示はないと判別したときには、処理をステップS105に戻し、このステップS105以降の処理を繰り返す。また、ステップS106で、アクセスを終了する指示があったと判別したときには、制御部201は、終了処理を行なって(ステップS111)、この処理ルーチンを終了する。
【0114】
そして、ステップS105で、ID及びパスワードを受信したと判別したときには、制御部201は、受信したID及びパスワードと、視覚不自由会員情報登録部204に登録されている視覚不自由会員のID及びパスワードとを比較して、一致するものがあるか否かにより、登録された視覚不自由者であるか否か判別する(ステップS107)。
【0115】
このステップS107で、登録された視覚不自由者ではないと判別したときには、制御部201は、ID及びパスワードは未登録である旨のメッセージ(表示メッセージと音声メッセージ)を送出する(ステップS108)。
【0116】
そして、制御部201は、アクセスを終了する指示があったか否か判別し(ステップS109)、終了する指示はないと判別したときには、ID及びパスワードを再度受信したか否か判別し(ステップS110)、再度受信したと判別したときには、処理をステップS107に戻し、このステップS107以降の処理を繰り返す。また、ステップS110で、ID及びパスワードを再度受信してはいないと判別したときには、制御部201は、処理をステップS109に戻す。
【0117】
そして、ステップS109で、アクセスを終了する指示があったと判別したときには、制御部201は、終了処理を行なって(ステップS111)、この処理ルーチンを終了する。
【0118】
また、ステップS107で、アクセス者は登録された視覚不自由者であると判別したときには、制御部201は、取得したIDを検索子として視覚不自由会員情報登録部204を検索し、アクセスしてきた視覚不自由者の視覚不自由度合い属性を認定する(図8のステップS121)。
【0119】
そして、制御部201は、Webページ提供部205から、認定した視覚不自由度合い属性に応じた表示仕様の視覚不自由者用のWebページを読み出して、携帯電話端末4に送信すると共に、ナビサービス支援プログラム提供部207から、認定した視覚不自由度合い属性に応じた支援プログラムを読み出して、携帯電話端末4に送信するようにする(ステップS122)。
【0120】
携帯電話端末4は、提供されたWebページを表示画面に表示すると共に、Webページに付随する音声案内を放音する。携帯電話端末4の使用者(視覚不自由者)は、Webページの表示や音声案内に応じて、出発地、目的地、移動手段及び移動目的を指定して、それらを情報として伴う探索要求を送る操作をする。ここで、移動手段は、徒歩、車、自転車、バイク、バス、電車などである。また、移動目的は、買い物、散歩、会合、その他である。
【0121】
そこで、制御部201は、携帯電話端末4から、出発地、目的地、移動手段及び移動目的を伴う探索要求を受信するのを待つ(ステップS123)。そして、制御部201は、このステップS123で、探索要求の受信を確認したら、経路案内に必要な地域の視覚不自由度合い属性に応じた地図データであって、ステップS121で認定した視覚不自由度合い属性に応じた表示仕様の地図データを、携帯電話端末4に送信する(ステップS124)。
【0122】
さらに、制御部201は、ナビゲーションデータ生成部208で、視覚不自由度合い属性に応じた地図データを用いて、受信した出発地、目的地、移動手段及び移動目的の情報に適合する経路探索を行い、生成した探索結果のナビゲーションデータを、携帯電話端末4に送信する(ステップS125)。前述したように、このナビゲーションデータには、視覚不自由度合い属性に応じたシナリオデータが含まれる。
【0123】
次に、制御部201は、アクセスを終了する指示を待ち(ステップS126)、終了する指示を確認したときには、制御部201は、終了処理を行なって(ステップS127)、この処理ルーチンを終了する。
【0124】
[携帯電話端末4における支援プログラムによるナビゲーションの実行]
携帯電話端末4の使用者である視覚不自由者が、所定の案内ナビゲーションの開始指示をすると、図9及び図10に示すフローチャートが開始される。以下に説明する各ステップの処理は、携帯電話端末4の制御部401が、ナビサービスサーバ20から提供を受けた支援プログラムに従って実行するものである。
【0125】
まず、制御部401は、使用者からの案内開始指示に応じて、音声合成部415により、例えば「経路案内を開始します。」などの案内開始を告げる音声を合成してスピーカ421から放音する(ステップS201)。
【0126】
次に、制御部401は、GPS測位部407で測位された現在位置情報から現在位置を検出し、その現在位置を表示画面に表示されている地図上に表示する(ステップS202)。そして、検出した現在位置の位置情報によりナビゲーションデータを参照し(ステップS203)、検出した現在位置が、合成音声により案内を報知するとして設定されている位置であるか否か判別する(ステップS204)。
【0127】
このステップS204で、検出した現在位置が、合成音声により案内を報知するとして設定されている位置であると判別したときには、制御部401は、ナビゲーションデータ一時記憶部409に格納されているナビゲーションデータに含まれるシナリオデータにしたがって、地図データメモリ410に記憶されている地図データに基づいて、案内報知音声を合成して、スピーカ421から放音するようにする(ステップS205)。
【0128】
例を挙げると、例えば、地図データとして、現在地点から20メートル先に、道路の左側に地下に下りる階段があることを示すデータがあり、シナリオデータとして、階段までの距離、階段の行き先を知らせることが定義されている場合には、制御部401は、音声合成部415を制御して、「20メートル先の道路の左側に地下に下りる階段があります」という音声を合成して出力させるようにする。
【0129】
また、近くに点字ブロックがあることが地図データにより示されている場合には、制御部401は、シナリオデータに基づき、例えば「歩道の右側に点字ブロックがあります」という音声を合成して出力させる。また、現在位置が電車の車内であって、電車が移動しているときには、制御部401は、シナリオデータに基づき、「次は、○○駅です。右側のドアが開きます」という音声を合成して出力させる。
【0130】
ステップS205の次には、制御部401は、マイクロホン421を通じて使用者(視覚不自由者)からの音声が入力されたか否か判別する(ステップS206)。また、ステップS204で、現在位置が、合成音声により案内を報知するとして設定されている位置ではないと判別したときにも、制御部401は、このステップS206にジャンプして、視覚不自由者からの音声が入力されたか否か判別する。
【0131】
このステップS206で、視覚不自由者からの音声が入力されたと判別したときには、制御部401は、音声認識部416によりその音声入力を音声認識させて、視覚不自由者からの問いかけの内容を把握するようにする(ステップS207)。
【0132】
次に、制御部401は、ステップS207で把握した視覚不自由者からの問いかけの内容(質問)に対する回答を、ナビゲーションデータ一時記憶部409に格納されているナビゲーションデータに含まれる回答音声についてのシナリオデータにしたがって、地図データメモリ410に記憶されている地図データに基づいて、案内報知音声を合成して、スピーカ421から放音するようにする(ステップS208)。
【0133】
一例を挙げると、視覚不自由者が、例えば「近くにコンビニエンスストアがありますか?」などの質問をすると、携帯電話端末4の制御部401は、「50メートル先のビルの1階にあります。」という回答の合成音声を生成してスピーカ421から出力する。
【0134】
次に、制御部401は、ジャイロセンサ411、加速度センサ113、GPS測位部407の出力を監視して、携帯電話端末4の位置が移動した、つまり、使用者である視覚不自由者が移動したか否か判別する(ステップS209)。ステップS206で、視覚不自由者からの音声が入力されてはいないと判別したときには、制御部401は、ステップS207及びステップS208をバイパスして、このステップS209にジャンプする。
【0135】
このステップS209で、使用者である視覚不自由者が移動したと判別したときには、制御部401は、処理をステップS202に戻し、このステップS202以降の処理を繰り返す。また、ステップS209で、使用者である視覚不自由者が移動してはいないと判別したときには、目的地で到達した、あるいは、使用者により強制的な終了指示がなされたなどの理由により、案内ナビゲーションが終了であるか否か判別し(ステップS210)、終了であると判別したときには、この処理ルーチンを終了する。ステップS210で、終了ではないと判別したときには、制御部401は、処理をステップS209に戻し、このステップS209以降の処理を繰り返す。
【0136】
また、この実施形態においては、ナビサービス支援プログラムは、図9のフローチャートに示す処理動作と並行して、カメラ部414のカメラ映像に基づく注意喚起などの音声案内を実行するようにしている。
【0137】
すなわち、ナビサービス支援プログラムが起動されると、図9のフローチャートに示す処理動作と並行して、制御部401は、カメラ部414を動作させ、そのカメラ映像を取り込み、画像認識部417に供給して、画像認識を行なわせるようにする(図10のステップS221)。
【0138】
そして、制御部401は、画像認識部417の画像認識結果が、前述したような、例えば「進行方向が混雑している」、「段差がある」、などの案内報知が必要な状況になっているか否か判別する(ステップS222)。そして、ステップS222で、案内報知が必要な状況になっていると判別したときには、制御部401は、割り込みにより、図9の処理を中断して、検知した状況を案内報知する音声を、ナビゲーションデータ一時記憶部409に格納されているナビゲーションデータに含まれるシナリオデータにしたがって、案内報知音声を合成して、スピーカ421から放音するようにする(ステップS223)。
【0139】
次に、制御部401は、目的地で到達した、あるいは、使用者により強制的な終了指示がなされたなどの理由により、案内ナビゲーションが終了であるか否か判別し(ステップS224)、終了であると判別したときには、この処理ルーチンを終了する。ステップS224で、終了ではないと判別したときには、制御部401は、処理をステップS221に戻し、このステップS221以降の処理を繰り返す。
【0140】
[第1の実施形態の効果]
以上説明したように、第1の実施形態においては、視覚不自由者は、視覚不自由度合い属性登録サーバ10にアクセスして、自分の視覚不自由度合い属性を登録することにより、視覚不自由度合い属性登録サーバと提携関係にあるナビサービスサイトにアクセスしたときに、自分の視覚不自由度合い属性に応じたナビサービスを受けることができる。
【0141】
すなわち、視覚不自由者が、移動体端末の例としての携帯電話端末4を用いて、ナビサービスサーバにナビゲーションサービスの提供を要求すると、ナビサービスサーバから視覚不自由者の視覚不自由度合い属性に応じた地図データ、ナビゲーションデータが送られてくる。携帯電話端末4は、これらの情報を取得して記憶すると共に、使用者である視覚不自由者の視覚不自由度合い属性に応じたナビゲーション支援プログラムを取得して、制御手段が、このナビゲーション支援プログラムに応じて、ナビゲーションを実行する。
【0142】
したがって、視覚不自由者は、必要なときにのみ、携帯電話端末4によりサーバにアクセスすることで、自分の視覚不自由度合い属性に応じたナビゲーションサービスを受けることができる。
【0143】
そして、上述の第1の実施形態によれば、視覚不自由者は、自分の視覚不自由度合い属性に応じた音声案内ナビサービスを合成音声により受けることができる。しかも、音声認識機能により、必要なときに音声による質問をすることで、その質問に対して、その場所での的確な回答を合成音声により受けることができるので、非常に使い勝手が良い。
【0144】
また、上述の第1の実施形態によれば、自分の視覚不自由度合い属性に応じた表示仕様の地図を、表示画面に表示して利用することができるので、その点でも使い勝手が良い。
【0145】
更に、上述の第1の実施形態によれば、カメラ映像を画像認識して、その画像認識結果に応じた注意喚起などを合成音声で提供するようにするので、視覚不自由者、特に、全盲の方や強度の弱視の方にとって適切な音声案内を、リアルタイムに行うことができる。
【0146】
また、第1の実施形態では、視覚不自由者は、一つの視覚不自由度合い属性登録サーバ10に自分の視覚不自由度合い属性を登録すれば良いので、ナビサービスサイトを含む種々のサイトのそれぞれのサービス情報提供サーバにアクセスして、その都度、自分の視覚不自由度合い属性を登録するという手間が省ける。
【0147】
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態では、視覚不自由度合い属性登録サイト2を設け、その視覚不自由度合い属性登録サーバ10に、視覚不自由者が視覚不自由度合い属性の登録を行うようにした。しかし、ナビサービスサイト3が、視覚不自由度合い属性登録サーバ10の機能を有するようにしても良い。
【0148】
第2の実施形態は、その場合の一例であり、図示は省略するが、ナビサービスサイト3に設ける視覚不自由度合い属性登録サーバは、図2の構成のうち、提携サイト記憶部107と提携サイト連絡部108とは省略することができる。
【0149】
そして、この第2の実施形態においては、ナビサービスサイト3の視覚不自由度合い属性登録サーバは、視覚不自由度合い属性を登録した視覚不自由者には、ナビサービスサーバ20にアクセスするための専用のURLを通知して、この専用のURLを通じて当該ナビサービスサイト20にアクセスするように依頼する。視覚不自由者は、上述と同様に、この視覚障害者専用のURLを用いてナビサービスサーバ20にアクセスすることにより、そのサービスの提供を受けることができる。
【0150】
この第2の実施形態によれば、視覚不自由者は、ナビサービスサイト3にアクセスして、自分の視覚不自由度合い属性を登録することで、当該ナビサービスサイト3のナビサービスサーバ20が提供可能なナビサービスの提供を、視覚不自由度合い属性に係わらず、受けることができるようになる。
【0151】
[第3の実施形態]
以上の実施形態では、視覚不自由度合い属性は、サイト(サーバ)側に登録しておき、サイト側でアクセス者のIDやパスワードに基づき、当該アクセス者の視覚不自由度合い属性を認識して、提供するナビサービスの内容を、当該視覚不自由度合い属性に対応するものとするようにした。
【0152】
しかし、携帯電話端末4などの移動体端末側が、視覚不自由度合い属性を記憶保持し、ナビサービスサイト3にアクセスする際に、その視覚不自由度合い属性の情報を、ナビサービスサイト3のナビサービスサーバ20に伝達して、その視覚不自由度合い属性に応じたナビサービスを受けることができるように構成しても良い。
【0153】
第3の実施形態は、その場合の例である。すなわち、この第3の実施形態においては、移動体端末は、視覚不自由度合い属性を判定して登録するために、音声による質問を使用者に対して提供し、その質問に対する回答を受け付ける手段を備える。そして、移動体端末は、受け付けた回答に基づいて、視覚不自由度合い属性を判定して、記憶部に登録して記憶する機能を備える。
【0154】
そして、移動体端末は、ナビサービスサーバ3にアクセスする際に、記憶しているアクセス者の視覚不自由度合い属性の情報を、ナビサービスサーバ3に伝達するようにする。
【0155】
一方、ナビサービスサーバ3側では、移動体端末から送られてきたアクセス情報に含まれる視覚不自由度合い属性を認識して、対応して提供すべきナビサービスを、前述したように、視覚不自由者の視覚不自由度合い属性に応じたものとする機能を備える。
【0156】
この第3の実施形態の場合には、ナビサービスサイト3側は、視覚不自由会員情報を記憶しておく必要がないというメリットがある。
【0157】
[その他の実施形態及び変形例]
なお、上述の第1〜第3の実施形態では、ナビサービスサーバは、視覚不自由者用のURLを用意して、当該URLへのアクセス者を視覚不自由者として取り扱うように構成したが、視覚不自由会員情報として、そのIDが登録されているので、そのIDをアクセス時に参照することにより、アクセス者が視覚不自由者であるか否かを判別し、その判別の結果、視覚不自由者であるときには、上述した視覚不自由者用のURLにアクセスしてきたときと同様の処理をするようにしても良い。
【0158】
音声による質問は、例えば視覚不自由度合い属性登録サーバに視覚不自由者がアクセスしたとき、電話番号を知らせてもらい、その電話番号にサーバ側のオペレータが電話をかけることにより、視覚不自由者に提供されるようにしても良い。その場合には、回答も当該電話の通話によりなされ、サーバ側のオペレータがその回答をサーバに入力するようにする。
【0159】
なお、上述の実施形態では、移動体端末は、携帯電話端末を例にとって説明したが、携帯電話端末に限らず、種々の携帯端末を利用することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0160】
1…通信ネットワーク、2…視覚不自由度合い属性登録サイト、3…ナビサービスサイト、4…移動体端末の例としての携帯電話端末、407…GPS測位部、408…メモリ、409…ナビゲーションデータ一時記憶部、410…地図データメモリ、414…カメラ部、415…音声合成部、416…音声認識部、417…画像認識部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10