(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について
図1ないし
図11を参照して説明する。なお、以下の説明では、空気清浄機1の前面パネル3に正対したときに、手前側を「前面」または「前」、奥側を「背面」または「後」とし、上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と定義する。
【0011】
図1は本実施形態に係る空気清浄機を示す外観斜視図、
図2は本実施形態に係る空気清浄機を示す分解斜視図、
図3は脱臭フィルタの構成を示す概略斜視図である。
図1に示すように、空気清浄機1は、本体部2と、前面パネル3とを有している。本体部2は、主部枠体2aと前部枠体2bとで構成された筐体を有している。また、主部枠体2aは、前部枠体2bよりも後方に位置している。また、筐体は、主部枠体2aと前部枠体2bとが突合せ接合部2cで接続され、空気清浄機1の外郭を構成している。また、主部枠体2aの上面には、送風口2dが設けられ、この送風口2dから清浄化されたクリーンな空気が室内に送風されるようになっている。また、主部枠体2aの一方の側面(右側面)には、加湿機能用の給水タンク4が着脱自在に設けられている。
【0012】
前面パネル3は、略矩形状を呈し、光(紫外線)を透過することが可能な光透過性の材料で形成されている。なお、前面パネル3の詳細な形状について後記する。
【0013】
また、前面パネル3は、前部枠体2bの下端部を除く前面2b1の全体を覆い、前部枠体2bの周面と略面一となる形状を有している。すなわち、前面パネル3は、前面が略平坦な四角形状を呈する前面部3aと、この前面部3aの上下左右の全縁部が本体部2側(前部枠体2b側)に向けて直交する方向に延びる枠部3bとで、凹面が背面側を向くように構成されている。
【0014】
また、枠部3bの先端部は、前部枠体2bの前面2b1と互いに対向するようにして配置されている。なお、前面パネル3は、図示しない公知の掛止手段を介して前部枠体2bの前面周縁に着脱可能に構成されている。
【0015】
また、空気清浄機1の外周面には、前部枠体2bと前面パネル3との間において、空気が吸い込まれる空気吸込口5a,5a,5bが形成されている。なお、
図1では、上部の空気吸込口5a,5aと右側面の空気吸込口5bのみ図示しているが、下部の空気吸込口についても上部の空気吸込口5a,5aと同様に形成され、また左側面の空気吸込口についても右側面の空気吸込口5bと同様に形成されている。
【0016】
よって、空気清浄機1では、前部枠体2bと前面パネル3との間の上下左右の隙間から空気清浄機1の内部に空気が取り込まれるようになっている。なお、空気吸込口の位置は、前記したように上下左右に限定されるものではなく、左右のみであってもよく、上下のみであってもよく、適宜変更することができる。
【0017】
図2に示すように、空気清浄機1は、フィルタユニット6、電動送風機7(
図8参照)を備えている。
【0018】
フィルタユニット6は、空気清浄用のフィルタであり、前部枠体2bで囲まれる略矩形状の空間内に収容されている。なお、主部枠体2aには、空気加湿用の気化フィルタ(不図示)が、フィルタユニット6の後方下部に位置している。
【0019】
電動送風機7は、主部枠体2a側に位置し、電動機(不図示)とターボファン(不図示)によって構成されている。電動送風機7が駆動することにより、空気吸込口5a,5bから空気が吸い込まれ、フィルタユニット6、ターボファン(不図示)を通って、送風口2dから送出される。
【0020】
主部枠体2a内には、フィルタユニット6の後方に、複数の開口2eが形成されたシャッター板2fと、この開口2eを開閉可能にするシャッター(不図示)とを備えている。また、シャッター板2fの下部には、気化フィルタ(不図示)に空気を通流させる気化流路2gが形成されている。
【0021】
また、前部枠体2bの前面2b1には、フィルタユニット6の上部に、現在の運転状態を表示する動作状態表示部8が設けられている。この動作状態表示部8は、複数の発光部(LEDなど)8aなどで構成され、各発光部8aに対応する前面パネル3の前面部3aの表面3a1に動作状態(強、中、弱など)を示す印字部が形成されることで構成されている。すなわち、発光部8aが発光することで、光透過性を有する前面パネル3を光が背面側から前面側に透過して、前面パネル3の対応する印字部の近傍が発光するようになっている。
【0022】
また、動作状態表示部8の近傍には、前面パネル3に設けられた電源ボタン3sの操作に連動して動作するスイッチ部8bが設けられている。これにより、電源ボタン3sを押圧操作することで、電源ボタン3sの裏面に設けられた突起部3s1(
図4参照)によってスイッチ部8bが押圧され、空気清浄機1の電源のオン・オフが可能となっている。
【0023】
フィルタユニット6は、プレフィルタ11と、脱臭フィルタ12と、集塵フィルタ13と、を備えて構成されている。なお、プレフィルタ11、脱臭フィルタ12および集塵フィルタ13は、いずれも、ほぼ同一の空気通過面積を有する矩形状に形成されている。
【0024】
プレフィルタ11は、綿埃などの大きな塵埃を捕集するものであり、複数の四角い領域に区画された合成樹脂製の枠体11aに、ネット状(網状)のフィルタ部材11bが固着されたものである。なお、フィルタ部材11bの網目は、脱臭フィルタ12側への光(紫外線:以下、括弧書きを省略する)の透過を妨げない開口を有している。
【0025】
脱臭フィルタ12は、プレフィルタ11の背面側に配置され、
図3に示すように、四角形状の枠体をハニカム形状に区画したコア12aと、このコア12aの各ハニカム形状の空間内に充填される活性炭12b(脱臭剤)と、コア12aの周囲を覆って活性炭12bがこぼれ落ちるのを防止する不織布12cと、で構成されている。なお、活性炭12bは、微小孔を有する多孔質であり、空気中の臭いを吸着する機能を有し、例えば、直径1mmの粒状のものである。また、不織布12cは、光の透過を妨げず、活性炭12bに光を当てることができる構成のものである。
【0026】
また、活性炭12bの表面には、光触媒として二酸化チタン(TiO
2)の皮膜がコーティングなど公知の方法によって形成されている。このように光触媒機能が付与された活性炭12bに光が当たることにより、二酸化チタンの皮膜の表面に強力な酸化作用を有する水酸化物(OHラジカル)などが形成され、臭いの成分(有機物)を分解することができる。
【0027】
よって、活性炭12bのみでは、空気清浄機1が長期間運転されることで、脱臭能力(吸着能力)が徐々に低下するが、本実施形態のように、活性炭12bの表面を光触媒で被覆(コーティング)することで、活性炭12b自身による脱臭能力が低下したとしても、光触媒による脱臭機能(臭い成分の分解機能)が働き続けるので、脱臭能力を長期間持続することが可能になる。
【0028】
なお、脱臭フィルタ12に用いる脱臭材は、光触媒で被覆する1種類の活性炭に限定されるものではなく、ゼオライトなどその他の種類の脱臭材を混合して脱臭フィルタ12のコア12a内に充填するようにしてもよい。また、脱臭フィルタ12の両面側を不織布12cにする構成に替えて、一面側(前面側)をネットにし、他面側(背面側)を不織布12cにしてもよい。
【0029】
図2に戻って、集塵フィルタ13は、脱臭フィルタ12の背面側(後方)に配置されている。この集塵フィルタ13は、プレフィルタ11よりも微細の塵埃や有害物質などを捕集することができるものであり、例えばHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタなどで構成されている。なお、集塵フィルタ13は、光(紫外線)を透過しないフィルタ部材で形成されているものである。
【0030】
また、脱臭フィルタ12および集塵フィルタ13は、前部枠体2bの内側に形成された矩形状の内周壁面2hに沿って摺動させながら挿入されることで、内周壁面2hによって保持される。また、プレフィルタ11は、撓み変形して、その左右の両縁部の上下に形成された複数の突起11cが、前部枠体2bの前面2b1に形成された凹部2jに挿入されることで前部枠体2bに保持されるようになっている。
【0031】
このように、集塵フィルタ13の前面側(前方)に脱臭フィルタ12を配置することにより、脱臭フィルタ12の前方から入射する光を、脱臭フィルタ12に照射させることができる。
【0032】
気化フィルタ(不図示)は、フィルタユニット6によって塵埃、臭いなどの成分が除去された清浄化された空気に水分を付加する機能を有している。気化フィルタによって水分が付加された空気が送風口2dから送出されることにより、室内を加湿するようになっている。なお、給水タンク4は、気化フィルタに水分を浸み込ませる貯留水タンク(不図示)に水を補充するためのものである。なお、本実施形態では、給水タンク4を備えて、加湿機能を備えた空気清浄機1を例に挙げて説明しているが、給水タンク4を備えず加湿機能のない空気清浄機であってもよい。
【0033】
図4は前面パネルの背面を示す斜視図、
図5は
図4のA部拡大斜視図、
図6は
図4のB−B線断面図、
図7(a)は
図6のC部拡大図、
図7(b)は凸部の拡大平面図である。
【0034】
図4に示すように、前面パネル3の背面には、複数の凸部3tが形成されている。この凸部3tは、左右の両端部を除いて、前面パネル3の背面の上端部から下端部にかけて一面に形成されている。なお、複数の凸部3tが配置される面積は、脱臭フィルタ12の表面積よりも上下方向に広く形成されている。
【0035】
また、前面パネル3は、活性炭12bの表面の光触媒に対して光触媒機能を発揮させる光(紫外線)を透過することが可能な光透過性を有する透明な材料(合成樹脂)で形成されている。このような合成樹脂としては、透明なABS(Acrylonitrile butadiene styrene)樹脂、ポリカーボネート(Polycarbonate)樹脂などから選択することができる。
【0036】
また、前面パネル3の背面には、複数の凸部3tが配列された左右両端部の近傍において、上端部から下端部にわたって直線状に延びる平板状の縦リブ3c,3cが形成されている。この縦リブ3cは、前面部3aに接合されるとともに、枠部3bの上枠部3b1と下枠部3b2に接合されている。
【0037】
また、前面パネル3の背面には、縦リブ3cと枠部3bの右枠部3b3(左枠部3b4)とを接合する横リブ3dが、上下方向に間隔を置いて複数(本実施形態では3箇所)形成されている。このように、前面パネル3に縦リブ3cと横リブ3dとを設けることによって、前面パネル3の強度が確保されている。
【0038】
なお、前面パネル3の前面部3a、枠部3b(上枠部3b1、下枠部3b2、右枠部3b3、左枠部3b4)、縦リブ3c、横リブ3dは、光透過性を有する材料で一体に形成されている。
【0039】
このように縦リブ3cが光透過性を有する合成樹脂で形成されることで、空気吸込口5b(
図1参照)から入射した光が、縦リブ3cで遮断されることなく、縦リブ3cを透過させて、凸部3tに照射することが可能になる。
【0040】
また、前面パネル3は、左右両端部を覆う化粧板3e,3eを備えている。右側の化粧板3eは、光不透過性の材料で形成され、前面部3aの右端、上枠部3b1の右端、右枠部3b3の全体、下枠部3b2の右端を覆う形状である。左側の化粧板3eは、光不透過性の材料で形成され、前面部3aの左端、上枠部3b1の左端、左枠部3b4の全体、下枠部3b2の左端を覆う形状である。
【0041】
このように、化粧板3eを光不透過性の材料(例えば、光を反射し易い色)で形成することで、空気吸込口5bから化粧板3eの裏面に入射した光が、前面パネル3の前面側(表面側)に透過してしまうのを防止して、凸部3t側に反射させることが可能になる。
【0042】
なお、右枠部3b3には、上部から下部にかけて凹部3b5が形成され、左枠部3b4には、同様にして凹部3b6が形成されている。また、右側の化粧板3eには、前記凹部3b5と対応するように凹部3e1が形成され、左側の化粧板3eには、前記凹部3b6と対応するように凹部3e2が形成されている。これにより、凹部3b5と凹部3e1とによって右側の空気吸込口5bの一部が構成され、凹部3b6と凹部3e2とによって左側の空気吸込口の一部が構成されている。
【0043】
図5に示すように、各凸部3tは、いずれも同じ形状の正
四角錐形状(いわゆるピラミッド形状)を呈し、上端を一辺とする三角形状の面m1と、下端を一辺とする三角形状の面m2と、左端を一辺とする三角形状の面m3と、右端を一辺とする三角形状の面m4とで、脱臭フィルタ12(
図2参照)側に凸となる形状を有している。
【0044】
また、各凸部3tは、上下左右に密となるように配置されている。つまり、隣接する凸部3t,3tにおいて、一方の凸部3tの面m3の左端の辺部と、他方の凸部3tの面m4の右端の辺部とが共通の辺部(三角形の一辺)となるように形成されている。換言すると、前面パネル3の背面には、左右の両端部を除いて、前面部3a(
図1参照)と平行な平らな面を含まないように複数の凸部3tが配置されている。
【0045】
このように、前面パネル3の背面に凸部3tを密に配置することにより、前面パネル3(空気清浄機1)を前面側(正面)から視認したときに、前面パネル3を通してフィルタユニット6が透けて見えるのを防止することができる。これにより、前面パネル3を通してプレフィルタ11に付着した塵埃が透けて見えるのを防止することができる。また、前面パネル3に光透過性を妨げない程度の色を含ませることで(例えば、透明な黒)、前面パネル3を通したフィルタユニット6の透過視認性を抑えるようにしてもよい。
【0046】
図6に示すように、前面パネル3は、前側に凸となるように若干湾曲、すなわち左右方向の中央部から左右方向外側に向けて背面側に位置するように形成されている。なお、本実施形態では、前面パネル3の背面が湾曲している場合を例に挙げて説明するが、湾曲していないものであってもよい。
【0047】
また、前面部3aの左右両端部は、前記した化粧板3eが取り付けられる部分が、化粧板3eの厚み分だけ段差を有するように形成されている。これにより、凸部3tが形成される側の前面部3aの表面3a1と、化粧板3eの前面側に向いている表面3e3とが面一となるように構成されている。
【0048】
図7(a)に示すように、前面パネル3は、平板部3uを有し、この平板部3uの背面に複数の凸部3tが一体に形成されている。なお、
図7(a)に示す
図4のB−B断面が、平板部3uに対して直交する方向に切断したときの凸部3tの断面に対応する。これにより、凸部3tの断面は、平板部3uの面3u1に対して先細り形状となる傾斜部3t1(面m3),3t1(面m4)を有している。なお、
図7(a)では、左右方向の断面を例に挙げて説明したが、上下方向の断面の場合についても、左右方向の断面と同様に、凸部3tの断面が、平板部3uの面3u1に対して先細り形状となる傾斜部を有している。
【0049】
例えば、平板部3uの厚さ寸法Tは、3mmに設定され、凸部3tの高さ寸法Hは、1mmに設定される。また、正
四角錐からなる凸部3tの底辺の一辺の長さ寸法Lは、
図7(b)に示すように、例えば3.3mmに設定される。なお、前記した厚さ寸法T、高さ寸法Hおよび長さ寸法Lは、一例であり、凸部3tの成形性などに応じて適宜変更することができる。また、傾斜部3t1と傾斜部3t1とが成す角度α(
図7(a)参照)についても、本実施形態の角度に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0050】
図8は本実施形態に係る空気清浄機を側面側から見たときの斜視図、
図9は
図8のD部拡大斜視図である。なお、本実施形態では、空気清浄機1の右側面のみを図示して説明するが、左側面についても同様に構成されているものとして、重複した説明を省略する。
【0051】
図8に示すように、空気吸込口5bの一部が、凹部3b5と凹部3e1とで構成され、空気吸込口5bの一部が、前部枠体2bに形成された凹部2b2で構成されている。凹部2b2,3b5(
図4参照),3e1(
図4参照)は、いずれも上下方向にほぼ同じ長さで形成され、凹部3b5,3e1の凹面と、凹部2b2の凹面とが互いに対向するように配置されることで、上下方向に細長い空気吸込口5bが構成されている。なお、空気吸込口5bの幅寸法Wは、例えば25mmに設定されている。
【0052】
すなわち、本実施形態では、
図9に示すように、前面パネル3に空気吸込口5bの一部である凹部3b5,3e1が形成されるとともに、前部枠体2bに空気吸込口5bの一部である凹部2b2が形成されることで、空気吸込口5bの開口面積を拡大できるようになっている。これにより、空気吸込口5bに対して斜め後方から前面パネル3の背面の複数の凸部3tが視認できるようになっている。よって、空気吸込口5bから入射した光を、前面パネル3の凸部3tに照射し易くなる。
【0053】
また、本実施形態では、空気清浄機1の上部に形成された左側の空気吸込口5aについても、前面パネル3の複数の凸部3tを視認できる開口面積となるように構成されている(
図8参照)。
【0054】
次に、本実施形態に係る空気清浄機1の作用効果について
図10および
図11を参照して説明する。
図10(a)は本実施形態の前面パネルにおける左右からの光路を示す模式図、(b)は比較例の前面パネルにおける左右からの光路を示す模式図である。
図11(a)は本実施形態の前面パネルにおける上方からの光路を示す模式図、(b)は比較例の前面パネルにおける上方からの光路を示す模式図である。なお、
図10および
図11において、破線で示す矢印が、光の光路を示している。
【0055】
図10(a)に示す本実施形態では、空気清浄機1(
図1および
図8参照)の側面の空気吸込口5b(
図1および
図8参照)から光が導入された場合、光が凸部3tの面m3,m4に外側から当たり、脱臭フィルタ12側に反射する。そして、光がプレフィルタ11の網目および脱臭フィルタ12の不織布12cを透過し、脱臭フィルタ12の活性炭12b(
図3参照)に照射されることにより、活性炭12b(
図3参照)の表面に形成された光触媒の光触媒機能によって、空気清浄機1内に取り込まれた臭いの原因物質を分解することで脱臭することができる。
【0056】
また、
図10(a)に示す本実施形態では、それぞれの凸部3tが
四角錐状に形成されているので、空気吸込口5bから凸部3tに対して左右から光が導入された場合、および、空気吸込口5a(下部の空気吸込口は図示省略)から凸部3tに対して上下から光が導入された場合のように、上下左右からの光を脱臭フィルタ12に向けて反射させることが可能になる。なお、下部から導入される光とは、空気清浄機1を設置した床面から反射した光を意味している。
【0057】
これに対して、
図10(b)に示す比較例は、前面パネル100の背面を平坦な面とした場合である。このような比較例では、空気清浄機1の側面の空気吸込口5bから光が導入された場合、光が前面パネル100の背面側から前面側に透過してしまい、脱臭フィルタ12に光を反射させることができなくなり、光触媒機能を発揮させることができなくなる。
【0058】
また、
図11(a)に示す本実施形態では、前面パネル3の上方から光が導入された場合、光が平板部3uを通って、凸部3tの面m2(
図5参照)を透過することで、脱臭フィルタ12側に屈折する。前面パネル3の上端部から入射した光P1は前面パネル3で屈折することで、脱臭フィルタ12の上端部(上端縁部)に照射される。また、前面パネル3の下端部に入射した光P2は前面パネル3で屈折することで、脱臭フィルタ12の下端部に照射される。このように、前面パネル3の上方から入射した光であっても、脱臭フィルタ12に対して、上端部から下端部にかけて全体に光を照射させることができる。
【0059】
これに対して、
図11(b)に示す比較例では、前面パネル100の上方から光が導入された場合、光が前面パネル100をほぼ直線的に透過する。このため、前面パネル100の上端部に入射した光P10は、脱臭フィルタ12の上端部(上端縁部)に照射されることがない。また、前面パネル100の下端部に入射した光は、脱臭フィルタ12から外れた位置に照射される。このように、比較例では、脱臭フィルタ12の上端部(上端縁部)に光が照射されない領域Rが形成され、また脱臭フィルタ12に光を照射できない場合がある。
【0060】
以上説明したように、本実施形態の空気清浄機1は、集塵フィルタ13の前方に配置されて光触媒で被覆した活性炭を備えた脱臭フィルタ12と、前面2b1が開放して集塵フィルタ13および脱臭フィルタ12を収容する本体部2(前部枠体2b)と、本体部2の前面2b1を覆い、本体部2に着脱可能な前面パネル3と、脱臭フィルタ12の前方の本体部2と前面パネル3との間に形成された空気吸込口5a,5bと、空気吸込口5a,5bから空気を取り入れて脱臭フィルタ12および集塵フィルタ13に通過させる電動送風機7(
図8参照)とを備え、前面パネル3は光透過性を有する材料(ABS樹脂、PC樹脂など)で形成されるとともに脱臭フィルタ12側に凸となる正
四角錐形状の複数の凸部3tを有するものである。これによれば、前面パネル3の前方(正面)から取り込んだ光を凸部3tで屈折させて脱臭フィルタ12側に照射することができ(
図11(a)参照)、しかも空気吸込口5a,5bから取り込んだ光も凸部3tで反射させて脱臭フィルタ12側に照射させることができるので(
図10(a)参照)、空気清浄機1に対して様々な角度から入射した光を脱臭フィルタ12に照射することが可能になる。その結果、活性炭12bに形成された光触媒に対して光触媒機能を効率的に発揮させることができる。よって、空気清浄機1の長期間の運転によって、活性炭12b自体の脱臭能力が低下したとしても、光触媒による脱臭機能を持続させることできるので、脱臭能力を長期間維持することが可能になる。
【0061】
また、本実施形態では、平板部3uに対して直交する方向に切断したときの凸部3tの断面が、平板部3uの面3u1に対して先細り形状となる傾斜部3t1,3t1を有しているので、前面パネル3の前面側(正面)から入射した光を脱臭フィルタ12側に効率よく屈折させることができ、また空気吸込口5a,5bから入射した光を脱臭フィルタ12側に効率よく反射させることができる。よって、活性炭12bに形成された光触媒に対して光触媒機能をさらに効率的に発揮させることができる。
【0062】
また、本実施形態では、空気吸込口5a,5bの前後方向の隙間(幅寸法W)を、凸部3tを視認可能な寸法に設定することで、光を凸部3tに照射し易くなるので、活性炭12bに形成された光触媒に対して光触媒機能をさらに一層効率的に発揮させることができる。
【0063】
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更することができる。本実施形態では、光触媒(二酸化チタン)を活性炭の表面に被覆する場合を例に挙げて説明したが、脱臭フィルタ12に光触媒機能を施すものであれば、これに限定されるものではなく、活性炭12bが充填されるコア12aを光触媒で被覆してもよく、またコア12aを覆う不織布12cを光触媒で被覆してもよい。また、粒状の樹脂を光触媒で被覆したものを活性炭12bとともにコア12a内に充填するものであってもよい。または、これらの2以上を組み合わせて構成してもよい。
【0064】
また、本実施形態では、空気吸込口5a,5bを、本体部2の凹部2b2と前面パネル3の凹部3b5,3e1とで構成する場合を例に挙げて説明したが、空気吸込口が脱臭フィルタ12の前方に位置するものであれば特に限定されるものではなく、前面パネル3側に矩形状の長孔を形成する構成であってもよく、また本体部2側に矩形状の長孔を形成する構成であってもよい。
【0065】
また、前面パネル3の背面に形成する凸部3tは、正
四角錐形状に限定されるものではなく、平板部3uに対して直交する方向に切断したときの凸部3tの断面が、平板部3uに対して先細り形状となる傾斜部3t1,3t1を有するものであれば特に限定されるものではなく、円錐形状、六角錐形状など各種の錐形状を適用することができる。また、凸部3tの形状は、錐形状に限定されるものではなく、半球形状、半楕円形状などの半球形状であってもよい。
【0066】
また、本実施形態では、
図8および
図9において、空気吸込口5a,5bから前面パネル3の背面の複数の凸部3tが視認できる隙間(幅W)とした場合を例に挙げて説明したが、このような凸部3tを視認できる幅広の隙間(幅W)に限定されるものではなく、空気吸込口5a,5bから視認できない隙間(幅W)であっても、空気吸込口5a,5bから導入された光を凸部3tに導くことができるので、光を凸部3tを介して脱臭フィルタ12に照射することができる。
【0067】
また、前面パネル3の材料となるABS樹脂やPC樹脂などに散乱材を含有させて、前面パネル3に入射した光を脱臭フィルタ12側に散乱させる構成を付加してもよい。