【課題を解決するための手段】
【0011】
第一の態様において、本発明は、好ましくは、使い捨てタイプの、事前に充填されたシリンジを製造するための組立体キットを供する。組立体キットは、カートリッジの近位端セクションに取り付けられるグリップ手段を含む。カートリッジはスリーブ状又は円筒状の幾何形状のものであり、そしてその近位端セクションで、カートリッジの内部容積をシールするための軸方向に移動できる栓を含む。カートリッジの内部容積は注射可能な医薬品で事前に充填され、それは、遠位に置かれた出口部分を通してカートリッジから排出することができて、その出口は典型的には、針、カヌーレ等の孔開けエレメントによって、又は相当する孔開け又は注射手段によって孔を開けることができる中隔を用いてシールされる。
【0012】
組立体キットは、カートリッジの遠位端セクションに取り付けられ針台(needle mount)を更に含む。針台は、流体輸送方式で(in a fluid-transferring way)、カートリッジの内部容積に連結されるニードルアセンブリ用の台として役立つ。最後に、組立体キットは、カートリッジの栓に連結可能なプランジャー棒を含む。プランジャー棒によって、手動で又は自動的に、例えば、適切な投与機構を用いて、遠位に向けた推力が栓にかけることができる。
【0013】
組立体キットを用いて、歯科用麻酔薬で充填された従来のカープルのような、事前に充填されたカートリッジは、事前に充填された使い捨てシリンジ用のベースとして役立つことができる。かなり嵩高いそして過剰寸法のシリンジラックにおいてカートリッジを配置する代わりに、組立体キットの少なくとも3つのコンポーネントは、カートリッジの各部分で別々に組立てることができる。このようにして、従来のカートリッジ又はカープルは、歯科用麻酔薬のような各医薬品を注射するために製造されそして適合された使い捨ての事前に充填されたシリンジへと容易にそして万能に変換することができる。
【0014】
更に、カートリッジは少なくとも部分的に保護スリーブ中に埋め込まれる。カートリッジは典型的にはガラスで作られたバレルを含む故、例えば、うかつに地上に落とされたとき、バレル又はカートリッジは破損されることになる。ここで保護スリーブは保護手段として役立ち、そして破損した場合の、カートリッジの制御されない破片の散らばりを防ぐ。
【0015】
本発明の好ましい実施態様に従えば、組立体キットの単一コンポーネント、つまり、グリップ手段、針台及び/又はプランジャー棒はプラスチック材料、特に単独又は多コンポーネントの射出成形プロセスにおいて成形された射出成形されたプラスチック材料で作られる。
【0016】
組立体キット用にプラスチック材料を使用することによって、組立体キットの製造コストが著しく低い範囲に保持することができて、そして事前に充填されたカートリッジを使い捨ての事前に充填されたシリンジへ転換することがコスト効率よく実行することができる。
【0017】
更に好ましい実施態様に従えば、グリップ手段及び/又は針台は、カートリッジの各周辺又は外側のセクションと摩擦的に及び/又は確動的に及び/又は接着剤で係合されるように適合される。好ましくは、グリップ手段及び/又は針台は、取り外しできないようにそして好ましくはぐらつかないようにカートリッジと係合される。グリップ手段及び/又は針台をカートリッジ又はカープルに取り外しできないように連結することによって、カートリッジの内容物が投与されたときに、使用者は全体の器具を廃棄することを強いられる。カートリッジに取り外しできないように連結されたグリップ手段及び/又は針台を有することによって、例えば、組立体キットの複数回使用による、交叉感染の潜在的リスクが低減することができる。
【0018】
更に好ましい実施態様において、プランジャー棒は、栓と摩擦的に及び/又は確動的に及び/又は接着剤で係合されるように適合される。この目的のために、プランジャー棒の遠位に置かれた端部セクション、及び栓の各近位に向いた端面は、スナップフィット又はねじ込み係合のような対応するインターロック手段を相互に含み得る。
【0019】
更に、そして別の好ましい実施態様に従えば、プランジャー棒及び/又はグリップ手段は、使用者の指を受けるように適合されたリング部分を含む。閉じられた又は開いたリング部分を有することを介して、組立体キット及び事前に充填されたシリンジの全体的な取り扱いが助けられる。従って、使用者は、その人差し指を用いてグリップ手段を掴み得て、一方でその親指を、遠位に向けられた圧力をプランジャー棒にかけることに、又は非血管内注射の場合に、プランジャーストッパーを後退させて吸引を可能にすることに使用できる。
【0020】
更なる実施態様において、注射針又はカヌーレは、針台自身がカートリッジに取り付けられる前に、該針台に事前に組立てられる。または、針台は、注射針及びカートリッジの流体移送連結の前に、カートリッジに取り付けられる。
【0021】
保護スリーブは、特に、カートリッジがガラスでできている場合のように、カートリッジの材料が破壊されるようになる場合、破片の遮蔽を供するのに役立つ。保護スリーブはカートリッジ又はそのバレルの外周に専ら取り付けられるように設計できる。従って、保護スリーブは好ましくは、少なくとも部分的にカートリッジを包んでいる鞘として作用する。
【0022】
更なる実施態様において、保護スリーブは別々の部分として設計され得るか又はカートリッジの本体に接着剤で取り付けることができる。好ましくは、保護スリーブは、カートリッジ又はそのバレルの外部表面全体のほとんど
にわたって接着剤で取り付けられる。
【0023】
あるいは、保護スリーブが針台の近位での延長部として設計されることさえも考えられる。このようにして、針台は、カートリッジを少なくとも部分的に収容するように適合される、スリーブ状リセプタクルを含む。そのようなスリーブ状リセプタクルは、一方で、カートリッジの保護を供し、そして他方で、カートリッジが破損した場合の、ガラス破片の制御されない散らばりを防ぐように適合された破片の遮蔽として役立つ。
【0024】
保護スリーブは柔軟な又は非弾性的な材料を含み得る。それはカートリッジに確動的に係合され及び/又は取り付けられ得る。
【0025】
また、そして更なる実施態様に従えば、保護スリーブは、カートリッジの外周に接着剤で取り付けられた箔又は網になったグリッドを含む。保護スリーブは箔からさえ成り得る。
【0026】
特に、箔が実質的に透明であるとき、箔又は保護スリーブはエンドユーザーによって殆ど見ることができず又は認識されることができない。また、カートリッジの全体の設計及び外観は、実質的に変更なしで留まる。箔が特に柔軟である故に、破壊が起こっても、カートリッジの破片部分が箔に接着的に付着して留まるので、多くの破片に繋がるカートリッジの破壊はエンドユーザーに対してもはや有害ではなくなる。
【0027】
組立体キットのカートリッジ及び種々のコンポーネントの構成しだいで、カートリッジの各部分へのグリップ手段、針台及びプランジャー棒の取り付けは必ずしも無菌又は殺菌条件下で実行される必要はない。もし、例えば、針台が注射針などと共に事前に組立てられるならば、カートリッジの遠位端セクションへの針台の組立は、好ましくは、少なくとも殺菌又は無菌条件下で実行されるであろう。
【0028】
別の独立した態様に従えば、本発明は、薬物送達器具用のカートリッジに関しており、ここでカートリッジは、ガラスでできた、そしてバレルの内容積をシールするためにその中に配列された、軸方向に移動できる栓を有する実質的に円筒状のバレルを含む。更に、カートリッジは、万一バレルが破れた場合に、破片の遮蔽を供するために、少なくとも部分的に接着剤でバレルに取り付けられた保護箔又は保護用の網になったグリッドを含む。
を含む。
【0029】
更なる態様において、本発明は、事前に充填されたカートリッジに基づいて、事前に充填されたシリンジアセンブリを製造する方法を供する。カートリッジは注射可能な医薬品を含有し、そして軸方向に移動できる栓を用いてシールされる。事前に充填されたカートリッジを事前に充填されたシリンジへと製造し又は変換するために、少なくともグリップ手段がカートリッジの近位端セクションに取り付けられ、カートリッジの遠位端セクションに針台が取り付けられ、ここで針台が、流体輸送方式で、カートリッジの内部容積に連結されるニードルアセンブリ用の台を供する。本方法は、遠位に向けた推力を栓にかけるために、特に、カートリッジから薬物製品を排出するために、カートリッジの栓にプランジャー棒を取り付ける工程を更に含む。また、カートリッジは少なくとも部分的に保護スリーブ中に埋め込まれる。そこに取り付けられるべき保護スリーブを有するカートリッジを製造するこの最後の工程は、カートリッジの製造過程において既に実行され得る。
【0030】
組立体キットの少なくとも3つのコンポーネントを事前に充填されたカートリッジに組み立てることを介して、該カートリッジ又はカープルは、注射を介して医薬品を投与するように適合される、事前に充填されたシリンジに変換及び転換できる。
【0031】
シリンジの一体式の(integral)又はベースコンポーネントとして事前に充填されたカートリッジを使用することによって、そうでなければ、匹敵する使い捨ての事前に充填されたシリンジの開発が必要であろう、かなりの時間及びコスト集約的な、適合性及び安定性の調査が節約できる。従って、本発明に対して、既存のカートリッジ及びカープルは修正される必要が無くて、組立体キットに関連付けて直接、使用できる。
【0032】
更に好ましい実施態様に従えば、尖ったカヌーレ又は針を含むニードルアセンブリは、カートリッジに針台が固定された後に、針台に取り付けられる。針台自身がカートリッジの中隔を貫通しない故に、事前に充填されたシリンジの製造は、非殺菌又は非無菌環境下でさえ実行できる。もし、ニードルアセンブリが、カートリッジの転換又は変換の後に、針台に取り付けられなければならないとすれば、該ニードルアセンブリのみが、好ましくは、滅菌又は無菌環境下で取り付けられなければならない。
【0033】
更に独立した態様において、本発明は、好ましくは、事前に充填されたシリンジアセンブリの製造のための組立体キットと組み合せた、事前に充填されたカートリッジの使用に関する。カートリッジは、注射可能な医薬品で事前に充填されるカートリッジの内部容積をシールしている、軸方向に移動できる栓を含む。カートリッジ自身は、事前に充填されたシリンジアセンブリを製造するための、ひいては、事前に充填されたカートリッジを、好ましくは、使い捨ての事前に充填された、そして使用の準備ができたシリンジアセンブリに転換する又は変換するための、事前に充填されたシリンジアセンブリを製造する目的で、少なくともグリップ手段、針台、プランジャー棒及び/又は保護スリーブをそこに取り付けるように適合されたベースユニットとして役立つ。
【0034】
本発明に対して種々の修正及び変更が、その精神と範囲を逸脱することなくできることは当業者にとって明白であろう。更に、なお、添付された請求の範囲において使用された如何なる参照符号も、本発明の範囲を制限するものとして考慮されるべきではない。
【0035】
制限するものではないが、好ましい実施態様に関連して、そして図を参照して、本発明を以下にもっとより詳細に説明する: