特許第5762413号(P5762413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5762413事前に充填されたシリンジを製造するための組立体キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5762413
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】事前に充填されたシリンジを製造するための組立体キット
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/28 20060101AFI20150723BHJP
【FI】
   A61M5/28
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-526052(P2012-526052)
(86)(22)【出願日】2010年8月26日
(65)【公表番号】特表2013-502958(P2013-502958A)
(43)【公表日】2013年1月31日
(86)【国際出願番号】EP2010062434
(87)【国際公開番号】WO2011023738
(87)【国際公開日】20110303
【審査請求日】2013年8月20日
(31)【優先権主張番号】09011032.1
(32)【優先日】2009年8月28日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ワーグナー
(72)【発明者】
【氏名】ベルント・ケーン
(72)【発明者】
【氏名】ヨルン・メーケル
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2000/007646(WO,A1)
【文献】 特表平03−502417(JP,A)
【文献】 国際公開第1998/025660(WO,A1)
【文献】 米国特許第03848593(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0054847(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
事前に充填されたシリンジを製造するための組立体キットであって:
−注射可能な医薬品で事前に充填されているカートリッジ(10)の内部容積をシールするための軸方向に移動できる栓(12)を含むカートリッジ(10)の近位端セクションに取り付けられるグリップ手段(20、21)、
−カートリッジ(10)の遠位端セクションに取り付けられ、そして流体輸送方式で、カートリッジ(10)の内部容積に連結されるニードルアセンブリ用の台を供している針台(18、19)、
−遠位に向けた推力を栓(12)にかけるためのカートリッジ(10)の栓(12)に連結可能なプランジャー棒(26;30)を含み、そして
ここで、カートリッジ(10)が、万一カートリッジ(10)が破損した場合に、破片の遮蔽を供するための保護スリーブ中に少なくとも部分的に埋め込まれ、そして保護スリーブは、カートリッジの外周に取り付けられた箔又は網になったグリッドを含み、カートリッジの外部表面全体のほとんどを覆い、かつ、カートリッジの外部表面全体のほとんどにわたって接着剤で取り付けられる、組立体キット。
【請求項2】
請求項1に記載の組立体キットであって、グリップ手段(20、21)、針台(18、19)及び/又はプランジャー棒(26、30)が射出成形されたプラスチック材料を含む、組立体キット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の組立体キットであって、グリップ手段(20、21)及び/又は針台(18、19)が、カートリッジ(10)の各周辺セクションと摩擦的に及び/又は確動的に及び/又は接着剤で係合されるように適合される、組立体キット。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の組立体キットであって、グリップ手段(20、21)及び/又は針台(18、19)が、取り外しできないようにカートリッジ(10)と係合される、組立体キット。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の組立体キットであって、プランジャー棒(26;30)が、栓(12)と摩擦的に及び/又は確動的に及び/又は接着剤で係合されるようになるように適合される、組立体キット。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の組立体キットであって、プランジャー棒(26;30)及び/又はグリップ手段(20、21)が、使用者の指を受けるように適合されたリング部分(28)を含む、組立体キット。
【請求項7】
注射可能な医薬品を含有し、そして軸方向に移動できる栓(12)を用いてシールされる、事前に充填されたカートリッジ(10)から出発して、事前に充填されたシリンジアセンブリを製造する方法であって、以下の工程:
−グリップ手段(20、21)をカートリッジ(10)の近位端セクションに取り付けること、
−カートリッジ(10)の遠位端セクションに針台(18、19)を取り付けること、ここで針台(18、19)が、流体輸送方式で、カートリッジ(10)の内部容積に連結されるニードルアセンブリ用の台を供する、
−遠位に向けた推力を栓(12)にかけるためのカートリッジ(10)の栓(12)にプランジャー棒(26;30)を取り付けること、及び
−カートリッジを、箔又は網になったグリッドを含み、カートリッジの外部表面全体のほとんどを覆う保護スリーブ中に少なくとも部分的に埋め込み、そして、保護スリーブをカートリッジ(10)の外部表面全体のほとんどにわたって接着剤で取り付け、万一カートリッジ(10)が破損した場合における、破片の遮蔽を供すること、
を含む、事前に充填されたシリンジの製造方法。
【請求項8】
請求項に記載の方法であって、針台(18、19)がカートリッジ(10)に固定された後に、ニードルアセンブリが針台(18、19)に取り付けられる、方法。
【請求項9】
事前に充填されたシリンジアセンブリの製造のための事前に充填されたカートリッジ(10)の使用であって、カートリッジ(10)が、注射可能な医薬品で事前に充填されるカートリッジ(10)の内部容積をシールしている、軸方向に移動できる栓(12)を含み、そしてカートリッジ(10)が、事前に充填されたシリンジアセンブリを製造する目的で、少なくともグリップ手段(20、21)、針台(18、19)、プランジャー棒(26;30)及び保護スリーブをそこに取り付けるように適合されたベースユニットとして役立ち、ここで、保護スリーブは、カートリッジの外周に取り付けられた箔又は網になったグリッドを含み、カートリッジの外部表面全体のほとんどを覆い、かつ、カートリッジ(10)の外部表面全体のほとんどにわたって接着剤で取り付けられ、万一カートリッジ(10)が破損した場合の、破片の遮蔽を供する、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンジアセンブリに関する。本発明は、特に、好ましくは注射を介して、液体医薬品を患者に投与するための、使い捨ての事前に充填されたシリンジアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
非経口調剤のような多くの医薬品は注射を介して投与されなければならない。局所麻酔薬、特に、歯科用麻酔薬を投与するために、有効調剤成分は、要求された用量が使い捨てシリンジによってそこから吸い上げることができる、複数用量含有アンプル又はバイアルのどちらかにおいて供給され、それは用量を注射によって投与するために引き続き使用される。一方で、アンプル又はバイアルから医薬品を吸い上げることは面倒であると考えられ、そして殺菌した非経口溶液が微生物又は粒状物で汚染されるリスクを有する。他方で、医療スタッフは、尖った針の端部を複数回投薬量の容器内に導入するとき、無視できない怪我のリスクに曝される。
【0003】
また、有効成分は、軸方向に移動できる栓によってシールされる、実質的に円筒状の形のカートリッジ又はカープル中で供することができる。その反対側の端部で、カートリッジは典型的に、エラストマ材料の孔を開けることができる中隔を用いてシールされる。中隔は、特に、移動可能な栓が遠位に向けて移動させられる、つまり、中隔に向かって移動させられるとき、カートリッジの内部から液体製品を排出するために、針、カヌーレ等によって孔を開けられることになる。
【0004】
麻酔薬、特に、歯科用麻酔薬で充填されたそのようなカートリッジは、典型的には金属でできたかなり大きいシリンジラック内に通常、挿入され、そしてそれと操作可能に係合される。そのようなシリンジラックを事前に充填されたカートリッジと組み合わせて使用することは、非常にしばしば、各患者に対して恐れ及び脅し効果を有する。従って、そのような大き過ぎる寸法のシリンジラックの使用は或る不快感を引き起こす。
【0005】
更に、そのような大きいシリンジラックの使用は、小児科の治療に対して特に困難であることが分かった。また、異なる患者によるシリンジラックの多数回の使用は交叉感染のリスクを増す。
【0006】
例えば、特許文献1には、注射できる形態での薬剤のための事前に充填された使い捨てシリンジアセンブリが開示されている。このシリンジ器具は、第一の開口端及びシールされた第二の端部を有する、薬剤のためのバイアルを含む。プランジャーの先端は、第一の端部上に位置付けられて、その先端をシールし、そして他端へと動かされるとき、バイアルの内容物を器具から外に無理やり押し出すであろう。指グリップはその第一の端部に隣接して搭載される。
【0007】
バイアルの第二の端部はシールされる。第二の端部上へ針を滑ることができるように搭載するための針及びハブ手段が供され、そしてそれはバイアルに近づくために針を位置付けるように、シールされた端部と軸方向に並べられる。加えて、プランジャー棒は、プランジャー先端を係合するために一端上に第一の係合手段を有して供される。更に、指グリップとハブ手段の間に、プランジャーを取り外し可能なように取り付けるために搭載器具が供される。
【0008】
そのような使い捨ての事前に充填されたシリンジは、一般的に、従来のシリンジラックと比べて構造及び形がより小さい。しかしながら、事前に充填された使い捨てシリンジは各注射できる医薬品に個々に適合され、そしてそのために設計されなければならない。従って、アンプル、バイアル又は匹敵するボトルと比較して、そのような使い捨ての事前に充填されたシリンジを開発しそして製造するためのコストは比較的に高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO 91/01152 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って本発明の目的は、歯科用麻酔薬のような医薬品を注射するための、コスト効率に優れそして万能で適用できる方法を供することである。本発明は、更に、使い捨ての、より衛生的でそしてより嵩高でない注射手段による、従来のシリンジラックの代替品であって、注射されるべき医薬品を含有している従来のカートリッジ又はアンプルを用いて更に使用できるものを供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第一の態様において、本発明は、好ましくは、使い捨てタイプの、事前に充填されたシリンジを製造するための組立体キットを供する。組立体キットは、カートリッジの近位端セクションに取り付けられるグリップ手段を含む。カートリッジはスリーブ状又は円筒状の幾何形状のものであり、そしてその近位端セクションで、カートリッジの内部容積をシールするための軸方向に移動できる栓を含む。カートリッジの内部容積は注射可能な医薬品で事前に充填され、それは、遠位に置かれた出口部分を通してカートリッジから排出することができて、その出口は典型的には、針、カヌーレ等の孔開けエレメントによって、又は相当する孔開け又は注射手段によって孔を開けることができる中隔を用いてシールされる。
【0012】
組立体キットは、カートリッジの遠位端セクションに取り付けられ針台(needle mount)を更に含む。針台は、流体輸送方式で(in a fluid-transferring way)、カートリッジの内部容積に連結されるニードルアセンブリ用の台として役立つ。最後に、組立体キットは、カートリッジの栓に連結可能なプランジャー棒を含む。プランジャー棒によって、手動で又は自動的に、例えば、適切な投与機構を用いて、遠位に向けた推力が栓にかけることができる。
【0013】
組立体キットを用いて、歯科用麻酔薬で充填された従来のカープルのような、事前に充填されたカートリッジは、事前に充填された使い捨てシリンジ用のベースとして役立つことができる。かなり嵩高いそして過剰寸法のシリンジラックにおいてカートリッジを配置する代わりに、組立体キットの少なくとも3つのコンポーネントは、カートリッジの各部分で別々に組立てることができる。このようにして、従来のカートリッジ又はカープルは、歯科用麻酔薬のような各医薬品を注射するために製造されそして適合された使い捨ての事前に充填されたシリンジへと容易にそして万能に変換することができる。
【0014】
更に、カートリッジは少なくとも部分的に保護スリーブ中に埋め込まれる。カートリッジは典型的にはガラスで作られたバレルを含む故、例えば、うかつに地上に落とされたとき、バレル又はカートリッジは破損されることになる。ここで保護スリーブは保護手段として役立ち、そして破損した場合の、カートリッジの制御されない破片の散らばりを防ぐ。
【0015】
本発明の好ましい実施態様に従えば、組立体キットの単一コンポーネント、つまり、グリップ手段、針台及び/又はプランジャー棒はプラスチック材料、特に単独又は多コンポーネントの射出成形プロセスにおいて成形された射出成形されたプラスチック材料で作られる。
【0016】
組立体キット用にプラスチック材料を使用することによって、組立体キットの製造コストが著しく低い範囲に保持することができて、そして事前に充填されたカートリッジを使い捨ての事前に充填されたシリンジへ転換することがコスト効率よく実行することができる。
【0017】
更に好ましい実施態様に従えば、グリップ手段及び/又は針台は、カートリッジの各周辺又は外側のセクションと摩擦的に及び/又は確動的に及び/又は接着剤で係合されるように適合される。好ましくは、グリップ手段及び/又は針台は、取り外しできないようにそして好ましくはぐらつかないようにカートリッジと係合される。グリップ手段及び/又は針台をカートリッジ又はカープルに取り外しできないように連結することによって、カートリッジの内容物が投与されたときに、使用者は全体の器具を廃棄することを強いられる。カートリッジに取り外しできないように連結されたグリップ手段及び/又は針台を有することによって、例えば、組立体キットの複数回使用による、交叉感染の潜在的リスクが低減することができる。
【0018】
更に好ましい実施態様において、プランジャー棒は、栓と摩擦的に及び/又は確動的に及び/又は接着剤で係合されるように適合される。この目的のために、プランジャー棒の遠位に置かれた端部セクション、及び栓の各近位に向いた端面は、スナップフィット又はねじ込み係合のような対応するインターロック手段を相互に含み得る。
【0019】
更に、そして別の好ましい実施態様に従えば、プランジャー棒及び/又はグリップ手段は、使用者の指を受けるように適合されたリング部分を含む。閉じられた又は開いたリング部分を有することを介して、組立体キット及び事前に充填されたシリンジの全体的な取り扱いが助けられる。従って、使用者は、その人差し指を用いてグリップ手段を掴み得て、一方でその親指を、遠位に向けられた圧力をプランジャー棒にかけることに、又は非血管内注射の場合に、プランジャーストッパーを後退させて吸引を可能にすることに使用できる。
【0020】
更なる実施態様において、注射針又はカヌーレは、針台自身がカートリッジに取り付けられる前に、該針台に事前に組立てられる。または、針台は、注射針及びカートリッジの流体移送連結の前に、カートリッジに取り付けられる。
【0021】
保護スリーブは、特に、カートリッジがガラスでできている場合のように、カートリッジの材料が破壊されるようになる場合、破片の遮蔽を供するのに役立つ。保護スリーブはカートリッジ又はそのバレルの外周に専ら取り付けられるように設計できる。従って、保護スリーブは好ましくは、少なくとも部分的にカートリッジを包んでいる鞘として作用する。
【0022】
更なる実施態様において、保護スリーブは別々の部分として設計され得るか又はカートリッジの本体に接着剤で取り付けることができる。好ましくは、保護スリーブは、カートリッジ又はそのバレルの外部表面全体のほとんどにわたって接着剤で取り付けられる。
【0023】
あるいは、保護スリーブが針台の近位での延長部として設計されることさえも考えられる。このようにして、針台は、カートリッジを少なくとも部分的に収容するように適合される、スリーブ状リセプタクルを含む。そのようなスリーブ状リセプタクルは、一方で、カートリッジの保護を供し、そして他方で、カートリッジが破損した場合の、ガラス破片の制御されない散らばりを防ぐように適合された破片の遮蔽として役立つ。
【0024】
保護スリーブは柔軟な又は非弾性的な材料を含み得る。それはカートリッジに確動的に係合され及び/又は取り付けられ得る。
【0025】
また、そして更なる実施態様に従えば、保護スリーブは、カートリッジの外周に接着剤で取り付けられた箔又は網になったグリッドを含む。保護スリーブは箔からさえ成り得る。
【0026】
特に、箔が実質的に透明であるとき、箔又は保護スリーブはエンドユーザーによって殆ど見ることができず又は認識されることができない。また、カートリッジの全体の設計及び外観は、実質的に変更なしで留まる。箔が特に柔軟である故に、破壊が起こっても、カートリッジの破片部分が箔に接着的に付着して留まるので、多くの破片に繋がるカートリッジの破壊はエンドユーザーに対してもはや有害ではなくなる。
【0027】
組立体キットのカートリッジ及び種々のコンポーネントの構成しだいで、カートリッジの各部分へのグリップ手段、針台及びプランジャー棒の取り付けは必ずしも無菌又は殺菌条件下で実行される必要はない。もし、例えば、針台が注射針などと共に事前に組立てられるならば、カートリッジの遠位端セクションへの針台の組立は、好ましくは、少なくとも殺菌又は無菌条件下で実行されるであろう。
【0028】
別の独立した態様に従えば、本発明は、薬物送達器具用のカートリッジに関しており、ここでカートリッジは、ガラスでできた、そしてバレルの内容積をシールするためにその中に配列された、軸方向に移動できる栓を有する実質的に円筒状のバレルを含む。更に、カートリッジは、万一バレルが破れた場合に、破片の遮蔽を供するために、少なくとも部分的に接着剤でバレルに取り付けられた保護箔又は保護用の網になったグリッドを含む。
を含む。
【0029】
更なる態様において、本発明は、事前に充填されたカートリッジに基づいて、事前に充填されたシリンジアセンブリを製造する方法を供する。カートリッジは注射可能な医薬品を含有し、そして軸方向に移動できる栓を用いてシールされる。事前に充填されたカートリッジを事前に充填されたシリンジへと製造し又は変換するために、少なくともグリップ手段がカートリッジの近位端セクションに取り付けられ、カートリッジの遠位端セクションに針台が取り付けられ、ここで針台が、流体輸送方式で、カートリッジの内部容積に連結されるニードルアセンブリ用の台を供する。本方法は、遠位に向けた推力を栓にかけるために、特に、カートリッジから薬物製品を排出するために、カートリッジの栓にプランジャー棒を取り付ける工程を更に含む。また、カートリッジは少なくとも部分的に保護スリーブ中に埋め込まれる。そこに取り付けられるべき保護スリーブを有するカートリッジを製造するこの最後の工程は、カートリッジの製造過程において既に実行され得る。
【0030】
組立体キットの少なくとも3つのコンポーネントを事前に充填されたカートリッジに組み立てることを介して、該カートリッジ又はカープルは、注射を介して医薬品を投与するように適合される、事前に充填されたシリンジに変換及び転換できる。
【0031】
シリンジの一体式の(integral)又はベースコンポーネントとして事前に充填されたカートリッジを使用することによって、そうでなければ、匹敵する使い捨ての事前に充填されたシリンジの開発が必要であろう、かなりの時間及びコスト集約的な、適合性及び安定性の調査が節約できる。従って、本発明に対して、既存のカートリッジ及びカープルは修正される必要が無くて、組立体キットに関連付けて直接、使用できる。
【0032】
更に好ましい実施態様に従えば、尖ったカヌーレ又は針を含むニードルアセンブリは、カートリッジに針台が固定された後に、針台に取り付けられる。針台自身がカートリッジの中隔を貫通しない故に、事前に充填されたシリンジの製造は、非殺菌又は非無菌環境下でさえ実行できる。もし、ニードルアセンブリが、カートリッジの転換又は変換の後に、針台に取り付けられなければならないとすれば、該ニードルアセンブリのみが、好ましくは、滅菌又は無菌環境下で取り付けられなければならない。
【0033】
更に独立した態様において、本発明は、好ましくは、事前に充填されたシリンジアセンブリの製造のための組立体キットと組み合せた、事前に充填されたカートリッジの使用に関する。カートリッジは、注射可能な医薬品で事前に充填されるカートリッジの内部容積をシールしている、軸方向に移動できる栓を含む。カートリッジ自身は、事前に充填されたシリンジアセンブリを製造するための、ひいては、事前に充填されたカートリッジを、好ましくは、使い捨ての事前に充填された、そして使用の準備ができたシリンジアセンブリに転換する又は変換するための、事前に充填されたシリンジアセンブリを製造する目的で、少なくともグリップ手段、針台、プランジャー棒及び/又は保護スリーブをそこに取り付けるように適合されたベースユニットとして役立つ。
【0034】
本発明に対して種々の修正及び変更が、その精神と範囲を逸脱することなくできることは当業者にとって明白であろう。更に、なお、添付された請求の範囲において使用された如何なる参照符号も、本発明の範囲を制限するものとして考慮されるべきではない。
【0035】
制限するものではないが、好ましい実施態様に関連して、そして図を参照して、本発明を以下にもっとより詳細に説明する:
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】事前に充填されたカートリッジの3次元図を模式的に図示する。
図2】カートリッジに取り付けられた組立体キットを模式的に示す。
図3】組立体キットの別の実施態様を図示する。
図4】グリップ手段を分離して図示する。
図5】プランジャー棒及び栓のスパップフィット連結を示す。
図6】プランジャー棒及び栓のねじ込み係合を図示する。
図7】プランジャー棒及び栓のクランプされた相互係合を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1において図示された通り、カートリッジ10は実質的に円筒状又はスリーブ状の形を含む。その左のそして遠位端セクションで、カートリッジ又はカープル10は、該カートリッジ10中に含有される医薬品がそこを通して排出されることになる出口部を形成する首部分16を含む。更に、説明されてはいないが、カートリッジ10の左のそして遠位端セクションは、注射針又はカヌーレのような孔開けエレメントによって孔を開けることができる中隔によってシールされる。中隔は金属キャップ14を用いて出口部分に固定される。
【0038】
説明されたカープル10は、種々の非経口薬剤に対して、市販品として入手でき、好ましい例において、それは歯科用麻酔薬を含有する。そのような歯科用麻酔薬の注射のために、カープル10は従来、シリンジラックと連結されそしてその中に搭載されるものであり、ここで栓12は、麻酔製剤の要求された用量を排出するために、左に、ひいては遠位方向に押される。
【0039】
本発明に従えば、事前に充填されたカープル10は、事前に充填されたシリンジに変換及び転換される。この目的のために、針台18はカープル10の首部分16に取り付けられ、一方、グリップ手段20は、カートリッジ10の反対側の近位端セクションの近くに取り付けられる。最後に、プランジャー棒26も、カープル10中に含有された液体医薬品を排出するために、栓12に遠位に向けて圧力をかけることを可能にしている栓12に取り付けられる。
【0040】
プランジャー棒26はその近位端セクションで所望ならば指リング28を含み得る。リング28は、使用者の親指を受けるために、特に、適合され、一方、半径方向に突き出ているリング部分24を有するグリップ手段20は人差し指及び中指を各々用いて握られる。
【0041】
前記組立体キットの説明されたコンポーネント18、20、26をカートリッジ10に取り付けることによって、カートリッジ10自身は事前に充填されたシリンジ40に変換する。
【0042】
図3において説明された通り、事前に充填されたシリンジ42は少し異なって構成された組立体キットを含む。針台18がコネクター23を、例えば、ルアーロックコネクターなどの形態で含む一方、事前に充填されたシリンジ42の針台19は、対応してねじ込まれ、しかし更なる図示がされていない針把持器とのねじ込み係合のように適合されたねじ込みソケット25を含む。
【0043】
事前に充填されたシリンジ42のグリップ手段21は、形及び幾何寸法においてのみシリンジ40のグリップ手段20とは異なる。しかしながら、グリップ手段20及び21は同じように効果的に作動する。事前に充填されたシリンジ42のプランジャー30は、使用者の親指を受けるための適切なサイズの表面を供する、半径方向に延びているフランジ状のボタン32を含む。
【0044】
図4において更に図示された通り、両方のグリップ手段20、21は、カートリッジ10の実質的に円筒状の本体を受けるように適合される開口部又は貫通開口部22を含む。好ましくは、カートリッジ10は、上記開口部22の周囲と軸方向に隣接する、半径方向に外側に突き出ているフランジを含む。直径的に反対の半径方向に延びているリング部分24は、グリップ手段20、21の及び事前に充填されたシリンジ40、42全体の固定及びむしろ自由に滑るグリップを支持するために、人間工学的に形づくられた表面を含み得る。
【0045】
更に図示されてはいないが、グリップ手段20、21及び針台18、19は、固定された又は柔軟な材料又は箔で作ることができ、そして好ましくは、透明である、スリーブ状のカバーによって連結され得る。このスリーブ状カバーは、カートリッジのハウジングが、ガラスのような割れ得る材料でできているときに特に有利である。カバー又は箔などがカートリッジ10を埋め込んでいると、カートリッジの破損の場合、ガラスの破片から生じ得る怪我のリスクが最小限に低減できる。
【0046】
図5において、プランジャー棒26及び栓12の可能な取り付けが図示される。ここで、プランジャー棒26のより低い遠位端セクション34は、栓12の、対応して形成されたリセプタクル35中に挿入できる、半径方向に制限された連結端34を含み、そのことによって確動的なインターロックが確立する。
【0047】
図6で図示された通りの実施態様において、プランジャー棒26’は、栓12’’の、対応してねじ込みリセプタクル37と、ねじ込み係合を確立するために設計された連結端36を含む。
【0048】
また、図7において図示された通りプランジャー棒26’’の遠位連結端は、各リセプタクル39の内側に位置付けられるとき、栓12’’を突き通すように適合された、突き出ているスパイク又は尖った先端38を含む。
【符号の説明】
【0049】
10 カートリッジ
12 栓
14 キャップ
16 首部分
18 針台
19 針台
20 グリップ手段
21 グリップ手段
22 開口部
23 コネクター
24 リング部分
25 ねじ込みソケット
26 プランジャー棒
28 指リング
30 プランジャー棒
32 ボタン部分
34 連結端
35 リセプタクル
36 連結端
37 リセプタクル
38 尖った先端
39 リセプタクル
40 シリンジアセンブリ
42 シリンジアセンブリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7