(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記車両(10)の支援装置が、前記検知装置(1〜6)の信号と少なくとももう1つの車両信号とを受信し、前記受信信号に応じて前記照明装置(20)を制御することを特徴とする、請求項1または2に記載の車両。
前記検知装置(1〜6)が、動く物体(12、13)を前記車両周辺において検知した場合、前記照明装置(20)が必ず点灯することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両。
前記検知装置(1〜6)によって静止している物体(12、13)が検知された場合、前記静止物体(12、13)が車両内部のコンピュータによって予測された前記車両(10)の走行路内に入っているときにだけ、前記照明装置(20)が点灯することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両。
前記車両(10)のギヤがリバースに挿入され、前記車両(10)の照明が点灯している場合に、前記照明装置(20)が自動的に点灯することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
多くの自動車メーカは、今日、車両の周辺を監視するモニタシステムを提供している。主に乗用車分野において最も知られている超音波システムの1つが、いわゆるパークアシストシステム又はパークトロニックシステムである。このシステムは、車両のフロント及びリヤに取り付けられている全部で10個の超音波センサによって働く。
【0003】
トラック分野では、MANが超音波を使った発進警告システムを製造しており、これは例えば特許文献1に説明されている。このシステムでは、約10個のセンサが車両運転席のフロントエッジ部分に取り付けられている。しかし、このシステムが作動するのは車両が静止している間だけであり、発進時に、あらかじめ保存された物体までの基準距離を下回っていた場合にしか警告が出されない。このシステムは、総効用の面で大きな課題がある。なぜなら、検知範囲が運転席周辺の僅かな範囲に集中しており、しかも、車両静止状態から発進する場合にしか警告が出されないからである。また、このシステムは、センサの配置状態により、車両の死角をモニタすることができない。
【0004】
さらに特許文献2は、車両の側面に近づいてくる物体を検知するための車両周辺検知システムを公開している。死角レーダーセンサは、車両側面の死角範囲を検知する。このセンサは、フロントレーダーセンサの検知範囲と重複している。
【0005】
さらに、特許文献3は、自動車周辺の見えにくい領域又は見えない領域のモニタ装置を説明している。このモニタ装置のセンサと警告表示とは、車両静止状態から規定車速までの速度範囲でしか作動しない。
【0006】
死角アシスト又はターンアシストは、通常、車両の横側にある障害物(例えば、信号待ちしているトラックの隣にいる自転車又は歩行者など)を検知する。暗がりにおいて、トラック運転者は、しばしばこれらの障害物をミラーで確認することができないか、又は限定的にしか確認できない。自転車及び歩行者は、このような状況の危険性に気づいていない場合が多い。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に詳しく説明されている実施例は、本発明の好ましい実施形態となる。
【0017】
具体的な例において、車両は超音波システムを装備することができ、このシステムは車両の前面と側面の両方の車両範囲をモニタする。側面の周辺検知は、全ての速度範囲で作動することになっており、それによって、ターンアシストの他に、走行中の死角モニタも行うことができる。車両フロントに沿って取り付けられているセンサにより、発進時点において、物体が車両の危険範囲にあることを警告するようになっている。前方の危険範囲は、運転者によって見ることのできない範囲と定義される。この範囲は、通常、車両から2mの距離である。
【0018】
超音波センサは、
図1に従って、検知範囲11が左フロントの車両コーナーから右のリヤアクスルまでの全範囲をカバーするように車両10に取り付けられる。車両10は、ここでは、セミトレーラーの牽引車両を示している。車両10は左側に運転席があるため、右側にいわゆる死角が発生する。右ハンドル車の場合、センサは、これに対応して車両10の左側の側面(助手席側)に取り付けられる。
【0019】
死角モニタには、60°の水平な開度(FOV(Field Of View))をもつセンサが適している。この前提条件の下でモニタ範囲をカバーするには、例えば12個のセンサが必要である。
図1は、考えられるセンサの配置と大まかな検知範囲11とを示している。
【0020】
検知範囲に存在する物体から反射してくるエコーを超音波センサが検知し、それにより、音速と送信信号のエコー受信時間とに応じて、距離を算出することができる。物体の反射特性により受信信号の安定性が決まり、それによって検出される距離の一貫性も決まる。移動している物体は距離判断において不安定な、弱い信号を発生させることから、通常、距離測定までのサイクル時間が長くなってしまう。サイクル時間が長くなることなく、安定した距離判断が得られるようにするため、センサ信号は、
図2に従って、移動和が求められる。この場合、1つの物体がより多くのセンサによってカバーされることにより、より多くのセンサが同時に情報を送信するという事実が前提となっている。
図2には、車両10の前面と車両10の助手席側とにそれぞれ6個のセンサ(小さな箱型シンボル)が示され、1〜6の番号が付けられている。助手席側のセンサは、車両10のほぼ全長にわたって配置され、特にその検知範囲は車両のリヤアクスルまで広がっている。センサの移動結合とは、それらの信号をペアで合計することである。特に、隣接し合うセンサとセンサの信号が、1´、2´・・・6´にまとめられる。センサ距離のこの種の移動和により、サイクル時間が上昇することなく距離判断の安定性を達成することができる。
【0021】
もう1つの発展した実施例では、速度に応じた到達範囲制限が設けられている。このシステムは、車両がターンする場合のみ支援するのではなく、死角範囲もモニタしなければならないため、車両の警告範囲を指定する必要がある。超音波センサは、一般的に、約2.5mの有効到達範囲を有している。この到達範囲は、ターン/発進アシストにも、死角アシスト機能にも設定する必要があるため、運転者には常に情報が与えられているが、不必要な警告音は最小限に制限されている。このために、前述の速度に応じた、動的到達範囲制限が用いられる。車両周辺に関して常に最善のインフォメーションが運転者に与えられるように、例えば、3段階の視覚による警告と動的到達範囲制限とが組み合わされる。警告の最後の段階は音による警告の作動となり、この警告音は衝突の危険を知らせるものである。
【0022】
考えられる警告範囲及び動的到達範囲制限の機能が
図3に示されている。到達範囲制限では、この場合2つの部分に区別される。10km/h以下の速度(その他の速度境界も選択可能)では、この場合、ターンアシストが指定され、この速度境界を上回ると死角アシストが指定される。速度に応じた到達範囲機能によって規定されている第1の警告範囲I(図の外側の検知範囲)では、例えば、黄色い警告信号が出力される。第2の警告範囲II(図の中央の検知範囲)では、例えばオレンジ色の警告信号が出力され、第3の警告範囲IIIでは、例えば赤い警告信号が出力される。ここの警告範囲I〜IIIの到達範囲は、速度に左右される。警告範囲Iは、静止状態において2.5mの距離まで達する。速度10km/hでは、到達範囲は2.0m強のみとなる。死角アシスト、すなわち速度10km/h以上では、この場合、警告範囲Iの到達距離は一定に保たれる。これに対して、警告範囲II及びIIIの到達距離は、ターンアシストと死角アシストとを分離している速度境界とは無関係に、速度が増加するのに伴って直線的に低下する。従って、様々な警告範囲の到達距離は、(速度範囲全体における、又は警告範囲から警告範囲までの)異なる機能によって動的に実現することができる。
【0023】
警告コンセプトの例には、上述の動的な到達範囲制限の他にも、様々な車両特性パラメータによってターン、発進及び車線変更に関する運転者の指示を検知する機能も含まれている。視覚/音による警告は、危険範囲に物体があり、運転者の指示が検出された場合にのみ作動することになっている。
図3に示されている到達範囲制限も、機能的に分けられた2つの部分に分割されている。10km/h以下の場合、センサの到達範囲は最大である。本発明に基づき、この速度範囲では、ターン時のプロセスが行われる。フロントモニタについては、運転者がターンするかしないかに関わらず発進時プロセスもカバーされているが、効果的な警告コンセプトは、ターンするときの発進時プロセスとターンしないときの発進時プロセスとで明らかに区別される。
【0024】
車両静止状態における警告コンセプトは、動いている物体12と静止している物体13とで区別される(
図4と
図5を参照)。このことは、以下の方程式に従って、側面の全ての物体までの距離の総和によって行われる。
【数1】
【0025】
車両10が静止状態の場合、検出された全ての物体までの距離(X1〜X6)の和が算出され、保存される。
図4に従って、静止している物体13だけがセンサの到達範囲にある場合、算出された物体までの距離は一定である。
図5に従って、物体12が警告範囲内に入ってきた場合、物体までの距離X1〜X6の和は変化し、このことは、物体が動いていることを意味するものとすることができる。
【0026】
動いている物体12が検知範囲に入っているかどうかを検知するためには、以下の条件が満たされなければならない。
【数2】
【0027】
物体までの距離、進行方向指示および発進指示の組合せにおいて、緊急度に応じて、3段階で警告することができる(
図6)。緊急度は、矢印14で示されている方向に上昇する。警告段階は、物体までの距離、運転者の指示及び緊急度に応じて、視覚的に又は音によって出力される。この場合、例えばメータパネル内に組み込まれているセグメント表示15(モニタ範囲の付いた車両シンボル)又は一般的な表示16(三角形など)が使用される。
図6上部に表示されているように、センサ又は死角アシスト装置の到達範囲に物体が存在しない場合は、危険のない状況であり、警告計器15、16が信号を発信する。
【0028】
物体はセンサの到達範囲にあるが、物体までの距離が2m以上離れ、運転者が方向指示を出していない場合、その情報は警告装置又は警告指示により参考として提供されることができる。この状況は、
図6の上から2番目のシンボルに該当する。三角形16が例えば黄色になるか、又はセグメント表示15の外側のセグメントが黄色になる。
【0029】
物体がセンサの到達範囲内にあり、物体までの距離が警告範囲II(
図3を参照)にあるが、運転者が方向指示を出していない場合、状況の緊急度は次の段階に上昇する。物体の車両までの距離は2m以上あるが、進路変更が示されているか、又は検出された場合も、これと同じ緊急度となり、1段階上の注意を必要とする。この場合、
図6の上から3番目の表示に従って、例えば、外側の黄色いセグメントの他に、セグメント表示15の中央のセグメントもオレンジ色になる。代替の方法として、三角形表示16も、例えばオレンジ色になり、エクスクラメーションマークを表示することができる。
【0030】
直接事故のおそれがある危険なケースは、物体がセンサの到達範囲内、特に警告範囲III(
図3を参照)にあり、方向指示が示されているか又は検出されており、発進が行われる場合である。この場合、三角形表示16が赤になるか、又はセグメント表示15の内側部分が同様に赤く点灯する。必要に応じて、追加的に音による警告信号も出力することができる。
【0031】
一般的に、近くに物体があって、進路変更指示と発進指示が出されている場合に、警告音を伴う赤い警告が出力されるのは、静止状態での死角モニタに該当する。第1の視覚による表示段階は、センサのモニタ範囲に物体があるという情報だけである。
【0032】
さらに発進時には車両のフロント部分がモニタされ、このことが
図7に示されている。この部分に物体があり、この部分の到達範囲が目で確認できない部分に相当する場合(物体までの距離が約2m)、視覚による表示(黄色又はオレンジ色など)が緊急度(例えば車両までの近さ)に応じて出される。車両が発進する場合、実際の警告は、視覚/音による表示の形で出力される。この警告コンセプトは、すでに
図6の例から周知であるセグメント表示15によって、又はその他の三角形表示17によって(必要に応じて、同様の三角形表示16でも)実施することができる。
図7の例では、頂点を下にした三角形がフロントモニタに使用される。それぞれ使用される表示は、この場合もメータパネルに組み込むことができる。警告段階は
図6の例と同様であり、ここでは物体が車両の死角に存在している。
【0033】
フロントの発進時警告に加え、操車モードにおいては、乗用車のパークトロニックと同様に、物体までの距離を表示することができる。物体までの最小の規定距離を下回った場合、視覚/音による警告が出力される。物体までの距離の表示は、従来のLED表示によって又はメータパネルで、物体までの最小距離を表示することによって行われる。
【0034】
走行中は、移動する個別距離(
図2を参照)が用いられる。この場合、
図3に示されている速度に応じた距離が、緊急度の評価及び視覚的表示の作動に用いられる。音による警告は、進路変更が検知され、同時に物体が車両の非常に近くで検出された場合にのみ出力される。進路変更は、簡単な実施形態ではターンシグナルが出されることであり、発展形態においては、ステリングホイールアングル及びヨーレート情報から割り出された車両の車線方向の動き又は車両進行方向の予測であるか、もしくはそれらの組合せでもあり得る。側面の空間モニタのもう1つの特徴は、車線変更又は(再び)右車線に戻る際の支援である。
【0035】
システムもう1つの特徴は、車両に対する物体の相対ポジションが大まかに検出されることである。この場合、
図8及び9に示されているように、センサ検知範囲上にラスターが置かれている。このために、例えば2つの解像度バリエーションを規定することができる。
図8の例では、側面の物体までの2つの異なる距離範囲A及びBだけが規定され、一方、
図9の例では、側面の物体までの4つの異なる距離範囲A〜Dが規定される。6つのセンサが縦方向にある場合、フロントからリヤアクスルまで達する7つの異なる縦方向の検知範囲ができる。
図8及び
図9の2つの(場合によってはそれ以上の)バリエーションは、検知される緊急度に応じて互いに組み合わせることができる。物体が近くにあればあるほど、できる限り正確な位置が必要である。
【0036】
図10に従って、物体12が最後部のセンサの到達範囲にある場合、このセンサが該当するエコーを発生させ、距離(X6)及び他のセンサからの距離のフィードバックに応じて、この物体を少なくとも1つの粗い(又は詳細な)ラスターに割り当てることができる。
図10の例では、物体12はラスターB7に割り当てられる。
図11に従って物体12が移動すると、別のセンサが該当する距離信号X4、X5、X6を送信する。これによって、物体は次のラスターB5、B6、B7に割り当てられる。これらのラスターは、物体ポジションとして警告装置又は警告アルゴリズムに伝達される。
【0037】
警告及び距離の他に、本発明に基づくシステムのもう1つの特徴は、検知された物体の位置が、コストの安いLED表示又はその他の適切な表示媒体で効果的に表示されることにある。このことは、好ましくは、ドアミラー又はメータパネルであることができる。
図12〜14は、考えられる実施形態を示している。
図12に従って、物体12は、外側最後部の検知ラスターにある。このことは、順番に配置されている7個のLED19の最後のLEDが、ドアミラー18に点灯することによって表示される。物体12が
図13に従って最後から3番目までのラスターにある場合、このことは、LED列19の後ろ3つのLEDが点灯することによって示される。物体12がさらに進み、ラスター3と4の中にきた場合、それに応じて、ドアミラー18の3番目と4番目のLEDが点灯する。車両10に対する物体12の近さは、必要に応じて、特色のある色によって示すことができる。物体の位置が大まかに示されることにより、これまでの警告コンセプトが洗練され、適切に使用することができるようになる。
【0038】
従来の超音波の使用は、駐車時の支援のみに限られていた。しかし、本発明に基づくセンサの側面配置により、死角アシストを実現することができる。この場合、このシステムは、ターンの際に、静止状態からも走行中も支援を行うことができる。システムのもう1つの特徴は、全ての速度範囲における車両近辺の死角モニタである。結果的に、このことから、右車線へ入る際にある程度の車線変更支援が行われる。さらに、すでに説明したように、このシステムは、物体が運転者からは見えない車両直前部分にあることを発進時に警告する。発展形態においては、危険な状況においてアクティブな介入が自動的に行えるようになると考えられ、衝突の危険がある場合、例えばブレーキが制御されるか、又は物体が危険領域から出るまで発進が遮断される。さらに、フロントのセンサを用いて、距離の入力によるある種の操車支援を実現することができる。その他、このシステムは、ラスターに示される物体の大まかな位置を提供することができ、それにより、警告コンセプトを洗練させることができる。
【0039】
図15は、右側に多数のセンサが配置されている車両10を示しており、分かりやすくするため、それらのセンサの最後部のセンサにのみ符号6が付けられている。これらのセンサは、車両10の助手席側の死角部分をモニタするために用いる。もちろん、
図2の例に示されているように、車両10はフロント側にもセンサを装備することができる。この例では、主として、死角部分がある助手席側に照明装置20が配置されているだけである。照明装置20は、好ましくは死角部分を照らすことのできる
フラッドライトである。
【0040】
検知装置、すなわちセンサ1〜6を用いて物体が検知された場合、車両10に組み込まれている死角アシステム又はターンアシストが照明エレメント20をオンにする。例えば、このトラックの隣にいる自転車を側面に配置されている
フラッドライトによって照らすことができるため、運転者にはこの自転車がミラーでよく見えるようになる。
【0041】
照明装置20は、上述した警告システムの警告信号が発信される場合と同様の基準に従ってオン/オフにすることができる。従って、照明装置のオン/オフは、
図3と同様に、例えば速度に応じて行うことができる。さらに、照明装置20は、物体が検知範囲で動いている場合は常に点灯するように制御することもできるし、一方で、物体が検知範囲で静止している場合は、この物体が(場合により安全な間隔を保って)、あらかじめ計算又は予測された車両の走行路内にある場合のみ点灯させることもできる。
【0042】
トラック又は車両10の側面に取り付けられている照明装置は、必要に応じて操車にも使用することができる。この場合、この照明装置20(
フラッドライト)は、例えばリバースギヤに挿入され、照明がオンにされている場合などに点灯される。
【0043】
本発明に基づくシステムにより、死角部分におけるトラックとの事故を顕著に低下させることができる。