【実施例】
【0030】
C. 本発明の実施例の詳細な説明
本出願のさまざまな図は、本発明に基づくゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドの実施例を示している。2枚以上の図面に同じ符番が現れる場合、その符番は、本明細書および図面において一貫して用いられ、全体にわたって同一または同様の部品を参照する。
【0031】
本発明に基づくゴルフクラブの少なくともいくつかの実施例は、ウッドタイプおよびアイアンタイプのゴルフクラブ用のヘッドを含む、ゴルフクラブヘッド構造に関する。そのようなヘッドは、ワンピースの構築または複数ピースの構築を含んでいてもよい。本発明に基づく「ウッドタイプの」ゴルフクラブヘッドの例示的構造は、
図1〜
図12と関連して以下に説明され、概して符番「110」を用いて参照される。当技術分野において公知であるように、「ウッドタイプの」ゴルフクラブヘッドは、前述の任意のさまざまな材料を含む、任意の望ましい材料で作られていてよい。
【0032】
図1に、本発明の少なくともいくつかの実施例に基づくゴルフクラブ100の例を示す。従来どおり、ゴルフクラブ100は、クラブヘッド110、クラブヘッド110をシャフト104に接続するホーゼル102、およびシャフト104に係合したグリップ部材106を含む。クラブヘッド構造110のさまざまな例示的特徴および局面を、残りの図と関連して以下に説明する。
【0033】
図1に示されているように、クラブヘッド110は、任意の望ましい様式でホーゼル102を介してシャフト104に係合していてもよく、そのような様式には、当技術分野において公知および使用されている様式も含まれる(例えば、セメントまたは接着剤を介した様式、機械的接続を介した様式、解放可能な機械的接続を介した様式、溶接、はんだ付け、ろう付け、または他の融合技法を介した様式など)。シャフト部材104に任意の望ましい材料が用いられてもよく、そのような材料には、鋼、グラファイト、ポリマー、複合材料、これら材料の組み合わせなど、当技術分野において公知および使用されている従来の材料も含まれる。同様に、グリップ部材106は任意の望ましい様式でシャフト104に係合していてもよく、そのような様式には、当技術分野において公知および使用されている様式も含まれる(例えば、セメントおよび接着剤を介した様式、機械的コネクタを介した様式、解放可能な機械的接続を介した様式など)。グリップ部材106に任意の望ましい材料が用いられてもよく、そのような材料には、ゴム、ポリマー材料、コルク、コードまたは他の繊維要素が中に埋め込まれたゴム材料またはポリマー材料、布地または織物、テープなど、当技術分野において公知および使用されている従来の材料も含まれる。
【0034】
図2A〜
図12に示されているゴルフクラブヘッド110は、多数の共通する特徴を含有しており、それらは以下の説明において類似の符番で参照される。
図2A〜
図5に示されているように、クラブヘッド110は概して、打球フェース112、クラブヘッドボディ114、および少なくとも1つのブレース140を含む。少なくとも1つのブレース140は、打球フェース112および/またはクラブヘッドボディ114に取り付けられるかまたはこれらと係合していてもよい。打球フェース112が左右(フック用およびスライス用)または上下(ロフト用およびディロフト用)に調整可能であるように、ブレース140が打球フェース112に支持を提供してもよい。この調整能力の特徴は、ゴルファーが、ボールを打つ打球フェース112の角度および配向を調整することによって、インパクト時のボールの方向を調整することを可能にする可能性がある。
【0035】
クラブヘッド110は概して、最上部またはクラウン116、最下部またはソール118、ホーゼル102に近いヒール120、ホーゼル102から遠位のトウ122、フロント124、およびリヤ126を有していてもよい。クラブヘッド110およびクラブヘッドボディ114の形状および設計は、ゴルフクラブ100の使用意図によって部分的に決定されてもよい。
図1〜
図12に示されているゴルフクラブヘッド110において、ヘッド110は比較的体積が大きいが、これは、ゴルフクラブヘッド110が、長距離にわたってボールを正確に打つことを意図したドライバーまたは他のウッドタイプのゴルフクラブとして使用されるよう設計されているからである。異なる種類のゴルフクラブなど、他の用途において、異なる寸法および構成を有するようにヘッドが設計されていてもよい。ドライバーとして構成される場合、クラブヘッド110は体積が少なくとも400 ccであってもよく、いくつかの構造において少なくとも450 ccであってもよく、さらには少なくとも460 ccであってもよい。他のクラブヘッドに対する他の適切なサイズおよび構築は、当業者により容易に決定されうる。
【0036】
図2A〜
図5に示されている例示的なゴルフクラブヘッド110において、クラブヘッド110は、内部空洞128を規定する中空構造を有する(例えば、打球フェース112およびボディ114により規定されるなど)。したがって、クラブヘッド110は、その中に規定される複数の内面を有する。内面には、フェース内面130(すなわち、打球フェース112のリヤ側)および複数のボディ内面136が含まれる。
図4Aに示されているように、中空の中心空洞128は空気(または別の気体)で満たされていてもよい。しかし、他の例示的構造において、ヘッド110は、発泡材料など、別の材料で満たされるかまたは部分的に満たされていてもよい。よりさらなる実施例において、ヘッド110の固体材料がその体積のより大きな割合を占めていてもよく、そしてヘッド110はより小さな内部空洞128を有するか、または、内部空洞もしくはオープンな空間をまったく有していなくてもよい。理解される点として、いくつかの態様において内部空洞128は完全に囲まれていなくてもよい。
【0037】
加えて、ゴルフクラブヘッド110はフェース係合エリアを含んでいてもよい。本発明の局面に基づく実施例において、
図3A〜
図5に示されているように、フェース係合エリアは複数の支持ブロック161 162 163を含んでいてもよい。支持ブロック161 162 163は、ボディ内面136と係合するかまたはこれに取り付けられていてもよく、そして、クラブヘッドのボディ内面136の周囲から伸びていてもよい。支持ブロック161 162 163は、打球フェース112がクラブヘッドボディ114に取り付けられているときに打球フェース112を支持するように構成されていてもよい。加えて、詳しく後述するように、支持ブロック161 162 163は、ねじ穴など、打球フェース112のための取り付け手段を含んでいてもよい。本発明の局面に基づき、支持ブロック161 162 163は、クラブヘッドボディと一体式の構成部品として製造されてもよい。本発明に基づく別の態様において、支持ブロック161 162 163はまた、クラブヘッドボディ114に取り付けられてもよい別個の部品として製造されてもよい。支持ブロック161 162 163は、当技術分野において公知および使用されているさまざまな「係合」技法のうち任意の1つによりクラブヘッドボディ114に取り付けられてもよく、そのような技法としては、接着剤またはセメントを用いた接合;溶接、ろう付け、はんだ付け、または他の融合技法を用いた係合;および、ユーザーにより解放可能なコネクタを含む機械的コネクタ(ねじ、ボルト、ナットなど)を用いた取り付け、などがある。支持ブロック161 162 163は、1つまたは複数の金属合金を含んでいてもよい。
【0038】
図2A〜
図5に示されているように、打球フェース112はクラブヘッド110のフロント124に位置し、そして、その上に位置する打球表面113を有する。打球表面113は、使用時にボールに面しかつこれと接触するように構成され、そして、スイングなどによりゴルフクラブ100に動きが与えられたときにボールを打つように適合される。図示されているように、打球表面113は、打球フェース112の大部分を占め、比較的平らであってもよい。参照目的のため、クラブヘッド110の最上部またはクラウン116およびヒール120に近い打球フェース112の部分は本明細書において「ハイ・ヒールエリア」として参照され;クラブヘッド110の最上部またはクラウン116およびトウ122に近い打球フェース112の部分は本明細書において「ハイ・トウエリア」として参照され;クラブヘッド110の最下部またはソール118およびヒール120に近い打球フェース112の部分は本明細書において「ロー・ヒールエリア」として参照され;そして、クラブヘッド110の最下部またはソール118およびトウ122に近い打球フェース112の部分は本明細書において「ロー・トウエリア」として参照される。当技術分野において公知かつ慣例であるように、打球フェース112は、最上部から最下部への方向および/またはヒールからトウへの方向にいくらかの湾曲(例えば、バルジ半径およびロール半径)を含んでいてもよい。図示されている態様において、打球時にボールにわずかなリフトおよびスピンを与えるため、打球表面113はソール118の全体的な平面に対してわずかに傾いている(すなわち、ロフト角を提供している)。他の態様において、例えばボールの推進時に弾道またはスピンに影響を与えるなどのため、打球表面113が、異なる傾きか、またはロフト角、溝、および/もしくは他の構造を有していてもよい。加えて、いくつかの態様において、打球フェース112が不定の厚さを有していてもよい。
【0039】
図2Aおよび
図2Bに示されている態様において、所与のクラブヘッド110の打球フェース112はフェース角を有する。フェース角は、標的に対するクラブヘッド110の打球フェース112の角度である。クラブヘッド110が「スクエア」であるかまたはフェース角が0度である場合、打球フェース112はアドレス時に標的に直面する。
図3Aは、「スクエア」のフェース角を有するクラブヘッドの打球フェース112を示している。クラブヘッド110が「クローズド」であるかまたはフェース角がマイナスである場合、打球フェース112は標的の左側に揃えられる(右利きのプレーヤーの場合。左利きのプレーヤーではこれと反対になる)。クラブヘッド110が「オープン」であるかまたはフェース角がプラスである場合、打球フェース112は標的の右側に揃えられる(右利きのプレーヤーの場合。左利きのプレーヤーではこれと反対になる)。詳しく後述するように、本発明の打球フェース112のフェース角は、本発明に基づき調整されてもよい。例えば、本発明の少なくともいくつかの実施例に基づき、打球フェース112のフェース角は、(プラスまたはマイナスのいずれかで)少なくとも約1度、調整されてもよい。本発明の少なくともいくつかの実施例に基づく別の態様において、打球フェース112のフェース角は、(プラスまたはマイナスのいずれかで)少なくとも約3度、調整されてもよい。本発明の少なくともいくつかの実施例に基づく別の態様において、打球フェース112のフェース角は、(プラスまたはマイナスのいずれかで)少なくとも約5度、調整されてもよい。
図3Bは、打球フェース112のフェース角が調整された、具体的には打球フェース112にオープンまたはプラスのフェース角がある、例示的なクラブヘッド110を示している。
【0040】
加えて、
図2Aおよび
図2Bに示す実例的態様において、打球表面113は、打球時にゴルフボールにわずかなリフトおよびスピンを与えるため、わずかに傾いている(すなわち、ロフト角がある)。概して、ロフト角はゴルフボールの弾道における主要な決定要因である。
図4Aは、ロフト角が調整されていない打球フェース112を示している。クラブヘッド110により打たれたゴルフボールの弾道、距離、バックスピン、およびロールに影響を与えるため、打球フェース112のロフト角を変えることができる。詳しく後述するように、本発明の打球フェース112のロフト角は、本発明に基づいて調整してもよい。例えば、本発明の少なくともいくつかの実施例に基づき、クラブヘッド110のロフト角を少なくとも約2度、調整しても(増加または減少させても)よい。本発明の少なくともいくつかの実施例に基づく別の態様において、クラブヘッド110のロフト角を少なくとも約4度、調整しても(増加または減少させても)よい。本発明の少なくともいくつかの実施例に基づく別の態様において、クラブヘッド110のロフト角を少なくとも約6度、調整しても(増加または減少させても)よい。
図4Bは、打球フェース112のロフト角が調整された、具体的にはロフト角が増加した、例示的なクラブヘッド110を示している。
【0041】
加えて、打球フェース112のフェース角およびロフト角は一緒に組み合わせて調整されてもよい。例えば、互いとの組み合わせにおいて、フェース角がオープンまたはプラスのフェース角に調整され、そしてロフト角が増加されてもよい。別の実施例において、互いとの組み合わせにおいて、フェース角がクローズドまたはマイナスのフェース角に調整され、そしてロフト角が減少されてもよい。本発明から逸脱することなく、打球フェース112のフェース角とロフト角との任意の組み合わせが利用可能である。
【0042】
図2Aおよび
図2Bに示されているように、打球フェース112は、ユーザーまたはクラブフィッターがロフト角およびフェース角を調整することを可能にしうる複数の調整点131 132 133を含んでいてもよい。各調整点は、ねじ171 172 173と、打球フェース112に位置する対応するねじ穴171A 172A 173Aとを含んでいてもよい。本発明の他の実施例において、調整点131 132 133は、当技術分野において公知および使用されている止めねじ、ボルト、または他の機械的コネクタなど、当技術分野において現在公知であるロフト角およびフェース角の調整のための追加または異なる手段を含んでいてもよい。加えて、これらの止めねじ、ボルト、または他の機械的コネクタは、例えばPhillipsヘッドまたはスタートルク(star-torque)ヘッドなど、当技術分野において公知および使用されているような雌ヘッドを含んでいてもよい。
図2Aの本発明に基づく例示的クラブヘッド110に具体的に示されているように、打球フェース112は、第一の調整点131、第二の調整点132、および第三の調整点133を含む。第一の調整点131は打球フェース112のハイ・ヒールエリア122付近に位置していてもよい。第二の調整点132は打球フェース112のハイ・トウエリア120付近に位置していてもよい。第三の調整点133は打球フェース112のロー・ヒールエリア122とロー・トウエリア120との間付近に位置していてもよい。
【0043】
図3A〜
図5のゴルフクラブヘッド110の態様に示されているように、クラブヘッド110は、ブレースシステムまたはブレース140も含んでいてもよい。ブレース140は、支持部材としても同定または参照されうる。この例示的ゴルフクラブヘッド110において、ブレース140は、クラブヘッドボディ110の内面136から、空洞128の少なくとも一部を横切り、打球フェース112の内面130まで伸びていてもよい。
図4Aに示されている例示的ゴルフクラブヘッド110において、ブレース140は、クラブヘッドボディ114のソールから打球フェース112の内面130まで伸びている。他の構造において、ブレース140は、例えば最上部116など、ボディ114の内面136のうち異なる1つから打球フェース112の内面130まで伸びていてもよい。ゴルフクラブヘッド110が内部空洞を有している必要はなく、または内部空洞128は別の材料で満たされていてもよく、そしてブレース140はボディ内面136と打球フェース112との間の固体材料または充填材料を横切るかまたは通って伸びていてもよい。
【0044】
ブレース140が、望ましい支持機能または突っ張り機能と調整可能機能とを提供するように位置決めおよび配向(または角度付け)されているのであれば、本発明から逸脱することなく、ブレース140は、任意の望ましい位置でゴルフクラブヘッド110のソール118または最上部116まで伸びかつこれに接触していてもよい。ブレース140は、ソール118と一体的に形成されるかまたは接触させられることによって、ソール118まで伸びかつこれに接触していてもよい。本発明に基づく別の態様において、ブレースは、ソール係合部142においてソール118まで伸びかつこれに接触していてもよい。
図4Aに示されているように、ソール係合部142は、ゴルフクラブヘッド110のソール118または最上部116に取り付けられていてもよい。加えて、ソール係合部142は、クラブヘッド110のソール118または最上部116と接触するための係合エリアをブレース140に提供してもよい。ソール係合部142は、ブレース140を受けるためのレセプタクルを含んでいてもよい。加えて、ソール係合部142は、当技術分野において公知および使用されている他の取り付け手段を含んでいてもよい。
【0045】
さらにいくつかの具体的な実施例として、
図9に示されているように、ブレース140がソール118または最上部116と交差または接触する位置は、打球フェース112から後方の、フロントからリヤへの方向における全体的な奥行きDの25%〜95%の範囲内(
図9のゾーンA)であってもよく、いくつかの実施例において全体的な奥行きの25%〜75%の範囲内(
図9のゾーンB)であってもよく、さらには全体的な奥行きの30%〜65%の範囲内(
図9のゾーンC)であってもよい。ドライバー構造の場合、ブレース140がソール118または最上部116と交差または接触する位置は、打球フェース112から1.25〜4.75インチであってもよく、いくつかの実施例において打球フェース112から1.25〜3.75インチの範囲内であってもよく、さらには打球フェース112から1.5〜3.25インチの範囲内であってもよい。
【0046】
図3A〜
図4Bのゴルフクラブヘッド110において、ブレース140は、固定式ロッド144、端部152、およびバイアス部材154を含んでいてもよい。端部152は、フェース内面130と接触または係合して、ブレース140と打球フェース112との間で接触点を形成してもよい。固定式ロッド144は、固定式ロッド144の一部または全体を囲むバイアス部材154を備えた状態で、端部152とクラブヘッド110の内面136との間に位置していてもよい。本発明に基づく代替的態様において、固定式ロッド144は端部152とバイアス部材154との間に位置していてもよい。打球フェース112がユーザーにとって調整可能となるよう、バイアス部材154が打球フェース112にバイアス力を提供してもよい。
【0047】
さらに、固定式ロッド144は、固定式ロッド144の中に位置するかまたはこれから伸びている格納式ロッド146も含んでいてもよい。格納式ロッド146は、(ボールが打球フェース112に接触したときなど)打球フェース112に圧力がかかったときに固定式ロッド144の中に引っ込むことができるように、バイアス部材154に取り付けられていてもよい。固定式ロッド144および格納式ロッド146は、金属またはプラスチックなど、当技術分野において公知および使用されている材料で作られていてもよい。固定式ロッド144および格納式ロッド146は、本発明に基づき、円形、卵形、または長方形など、異なる断面形状を有していてもよい。
【0048】
加えて、端部152または接触点は、結合用の雄のボール継手150を含有する、端部152と係合したボール継手接続を含んでいてもよい。ボール継手接続は、打球フェース112が調整されるときの追加の支持を提供してもよい。端部152はボール支持部材148も含んでいてもよい。ボール支持部材148は、バイアス部材154、固定式ロッド144、または格納式ロッド146のうち1つまたは複数と係合していてもよい。加えて、ボール継手150はボール支持部材148と係合していてもよい。ボール継手150は、打球フェース112が上下および/または左右に調整されたときにボール継手150が旋回してクラブヘッド110のロフト角および/またはフェース角の調整が可能となるように、係合されていてもよい。ボール継手150は、打球フェース112が複数の方向に動くことを可能にする。加えて、ボール継手150は、打球フェース112と係合または接続した端部152と係合してもよい。
【0049】
端部152または接触点は、例えば前述のような局所的な剛性の特徴をもたらすためなど、本発明から逸脱することなく任意の望ましいサイズであってよい。さらにいくつかの具体的な実施例として、端部152は、打球フェース112の内面130の少なくとも0.1平方インチの面積をカバーしていてもよく、さらには0.1平方インチ〜3平方インチの範囲内の面積をカバーしていてもよい。他の実施例において、端部152のこの面積は0.25平方インチ〜2.5平方インチの範囲であってもよく、さらには0.5平方インチ〜1.75平方インチの範囲であってもよい。端部152はまた、本発明から逸脱することなく、打球フェース112上の任意の望ましい位置に位置決めされてもよい。同様に、ブレース140は、打球フェース112から後方に伸びそして打球フェース112に対して任意の望ましい角度を作るよう、サイズ決定されかつ打球フェース112およびクラブヘッドボディ114に対して位置決めされてもよい。
【0050】
図3A〜
図4Bに示されている例示的ゴルフクラブ100は、バイアス部材154も含んでいてもよい。バイアス部材154は固定式ロッド144および/または格納式ロッド146に沿った任意の点に位置していてもよい。
図3A〜
図4Bに示されている実施例において、バイアス部材154は、固定式ロッド144がソール118に接続している位置に隣接している。バイアス部材154は、機械的ばね、緩衝器、または打球フェース112に対してバイアス力を提供できる他の動的構造もしくは同種の装置からなっていてもよい。加えて、バイアス部材154は、金属(鋼、チタン、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属合金を含む)、セラミック、ポリマー、複合材、または繊維強化複合材など、さまざまな材料のうち1つまたは複数で形成されていてもよい。バイアス部材154は、打球フェース112が調整可能であるように、打球フェース112にバイアス力を提供してもよい。
図2Bに示されているように、バイアス部材154は、第一の方向134および第二の方向135という少なくとも2つの方向に打球フェース112が調整可能であるようにしてもよい。第一の方向134は左右の方向であってもよく、これはクラブヘッド110のフェース角を調整する方向であってもよい。フェース角の調整により、クラブヘッド110は、ゴルフボールにフックまたはスライスのいずれかを与えるよう構成されてもよい。第二の方向135は上下の方向であってもよく、これはクラブヘッド110のロフト角を調整する方向であってもよい。ロフト角の調整により、クラブヘッド110は、打球フェースにロフトまたはディロフトのいずれかを与えるよう構成されてもよく、これにより、ゴルフボールはそれぞれ高いかまたは低いかのいずれかの飛び方になる。
【0051】
ブレース140は、本発明から逸脱することなく、任意の望ましい材料および/または任意の望ましい数の個別部品で作られていてもよい。例えば、ブレース140(または少なくともそのいくつかの部分)は、金属(例えば、チタン、アルミニウム、鋼、またはゴルフクラブの構築に従来用いられている他の金属材料(合金を含む))、ポリマー、セラミックなど、比較的堅いかまたは剛性の材料で作られていてもよい。ブレース140はまた、クラブヘッド110の全体的な重心を低く保つのを助けるため、その重量の大部分がソール係合部142に向かって位置するようにサイズ決定および構築されていてもよい。
【0052】
以上に、ウッドタイプのゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッド(ドライバーを含む)との関連において本発明を説明したが、本発明の局面がそのようなクラブに限定されることはなく、本発明のさまざまな局面および特徴はアイアンタイプのゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドへの使用にも適用されうる。
【0053】
理解される点として、本明細書に説明されるさまざまなクラブヘッド構造は、打球フェースまたはそのエリアの可撓性に影響を及ぼす追加の特徴を有していてもよい。例えば、打球フェースは、厚さが比較的増大しているかまたは減少しているエリアを有していてもよい。加えて、本明細書に説明されるヘッドは、任意で、1つより多いブレースを含有していてもよく、これにより、相対的に剛性および可撓性である複数のエリアを作り出してもよい。
【0054】
本明細書に説明されるヘッドは、ゴルフクラブまたはその一部として使われてもよい。例えば、前述のように、シャフトまたはハンドル104をヘッド110に取り付けることにより、
図1に示されているウッドタイプのゴルフクラブ100かまたはアイアンタイプのゴルフクラブを製造してもよい。そのようなシャフトの取り付けは、当技術分野において公知および使用されている従来の様式で実現してもよく、これには、解放可能なゴルフクラブヘッドおよびシャフトの接続アセンブリも含まれる。他の態様において、本明細書に説明される原理に基づき、異なる種類のゴルフクラブも製造されうる。
【0055】
本発明のゴルフクラブヘッドは、クラブヘッドのロフト角および/またはフェース角を調整する特徴を含む。
図2Aおよび
図5を参照すると、ユーザーは、クラブヘッド110上の複数の調整点131 132 133のうち1つまたは複数を調整することによって打球フェース112を調整してもよい。1つの実施例において、ユーザーは、ロフトが増すように打球フェース112を調整するか、またはクラブヘッド110のロフト角を増やすことを望む可能性がある。この実施例において、ユーザーは、最下部ねじ173を反時計回りに回転させ、これによりねじ173を支持ブロック163およびクラブヘッドボディ114から緩めてもよい。この緩める行為により、打球フェース112の最下部がクラブヘッドボディ114から離れて外方向に動くことが可能になり、これにより、クラブヘッド110のロフト角が増大する。
図4Bは、ロフト角が増大した打球フェース112を備えたクラブヘッド110を示している。加えて、ユーザーは、上部フェースねじ171 172の両者を時計回りに回転させ、これによりねじ171 172を支持ブロック161 162およびクラブヘッドボディ114に締め入れてもよい。この締める行為により、打球フェース112の最上部がクラブヘッドボディ114に向かって内方向に動くことが可能になり、これにより、やはりクラブヘッド110のロフト角が増大する。これらの行為の際、ブレース140は、バイアス部材154とともに、打球フェース112をクラブヘッドボディ114に沿った正しい位置に維持するための外向きのバイアス力を提供する。
図4Bは、ロフト角が増大した打球フェース112を備えたクラブヘッド110を示している。
【0056】
本発明に基づく別の実施例において、ユーザーは、ディロフトするように打球フェース112を調整するか、またはクラブヘッド110のロフト角を減らすことを望む可能性がある。この実施例において、ユーザーは、上部フェースねじ171 172の両者を反時計回りに回転させ、これによりねじ171 172を支持ブロック161 162およびクラブヘッドボディ114から緩めてもよい。この緩める行為により、打球フェース112の最上部がクラブヘッドボディ114から外方向に動くことが可能になり、これにより、クラブヘッド110のロフト角が減少する。加えて、ユーザーは、最下部ねじ173を時計回りに回転させ、これによりねじ173を支持ブロック163およびクラブヘッドボディ114に締め入れてもよい。この締める行為により、打球フェース112の最下部がクラブヘッドボディ114に向かって内方向に動くことが可能になり、これにより、やはりクラブヘッド110のロフト角が減少する。これらの行為の際、ブレース140は、バイアス部材154とともに、打球フェース112をクラブヘッドボディ114に沿った正しい位置に維持するための外向きのバイアス力を提供する。
【0057】
本発明に基づく別の実施例において、ユーザーは、打球フェース112を閉じるように調整してクラブヘッド110のフェース角を調整することを望む可能性がある。この実施例において、ユーザーは、ハイ・トウねじ172を反時計回りに回転させ、これによりねじ172を支持ブロック162およびクラブヘッドボディ114から緩めてもよい。この緩める行為により、打球フェース112のトウ側がクラブヘッドボディ114から離れて外方向に動くことが可能になり、これにより、クラブヘッド110のフェース角が閉じる。加えて、ユーザーは、ハイ・ヒールねじ171を時計回りに回転させ、これによりねじ171を支持ブロック161およびクラブヘッドボディ114に締め入れてもよい。この締める行為により、打球フェース112のヒール側がクラブヘッドボディ114に向かって内方向に動くことが可能になり、これにより、クラブヘッド110のフェース角が閉じる。これらの行為の際、ブレース140は、バイアス部材154とともに、打球フェース112をクラブヘッドボディ114に沿った正しい位置に維持するための外向きのバイアス力を提供する。
【0058】
本発明に基づくまた別の実施例において、ユーザーは、打球フェース112を開くように調整してクラブヘッド110のフェース角を調整することを望む可能性がある。この実施例において、ユーザーは、ハイ・ヒールねじ171を反時計回りに回転させ、これによりねじ171を支持ブロック161およびクラブヘッドボディ114から緩めてもよい。この緩める行為により、打球フェース112のヒール側122がクラブヘッドボディ114から離れて外方向に動くことが可能になり、これにより、クラブヘッド110のフェース角が開く。加えて、ユーザーは、ハイ・トウねじ172を時計回りに回転させ、これによりねじ172を支持ブロック162およびクラブヘッドボディ114に締め入れてもよい。この締める行為により、打球フェース112のトウ側120がクラブヘッドボディ114に向かって内方向に動くことが可能になり、これにより、クラブヘッド110のフェース角が開く。これらの行為の際、ブレース140は、バイアス部材154とともに、打球フェース112をクラブヘッドボディ114に沿った正しい位置に維持するための外向きのバイアス力を提供する。
図3Bは、フェース角がオープンまたはプラスである打球フェース112を備えたクラブヘッド110を示している。
【0059】
加えて、打球フェース112のフェース角およびロフト角を組み合わせて一緒に調整してもよい。例えば、互いに組み合わせて、フェース角をオープンまたはプラスのフェース角に調整し、そしてロフト角を増大させてもよい。別の実施例において、互いに組み合わせて、フェース角をクローズドまたはマイナスのフェース角に調整し、そしてロフト角を減少させてもよい。本発明から逸脱することなく、打球フェース112のフェース角およびロフト角の任意の組み合わせが利用されうる。これらの調整は、ロフト角およびフェース角の両方を前述のように調整することによって完了してもよい。
【0060】
図6A〜
図6Cは、本発明の少なくともいくつかの実施例に基づくゴルフクラブヘッドに具備されうるさらなる特徴を示している。
図2A〜
図5における前述の支持ブロックに加えて、またはその代わりとして、ゴルフクラブヘッド610は、支持リブ662を含むフェース係合エリアを含んでいてもよい。支持リブ662は、クラブヘッドボディ内面636の周囲から内部空洞628に向かって横に伸びていてもよい。支持リブ662は、打球フェース612がクラブヘッドボディ614に係合または取り付けされているときに打球フェース612を支持するように構成されていてもよい。加えて、詳しく後述するように、支持リブ662は、ねじ671 672 673およびねじ穴671A 672A 673Aなど、打球フェース612のための取り付け手段を含んでいてもよい。本発明に基づき、支持リブ662は、クラブヘッドボディ614と一体式の構成部品として製造されてもよい。本発明に基づく別の態様において、支持リブ662はまた、クラブヘッドボディ614に取り付けられてもよい別個の部材として製造されてもよい。支持リブ662は、当技術分野において公知および使用されているさまざまな「係合」技法のうち任意の1つによりクラブヘッドボディ614に取り付けられてもよく、そのような技法としては、接着剤またはセメントを用いた接合;溶接、ろう付け、はんだ付け、または他の融合技法を用いた係合;および、ユーザーにより解放可能なコネクタを含む機械的コネクタ(ねじ、ボルト、ナットなど)を用いた取り付け、などがある。支持リブ662は、1つまたは複数の金属合金を含んでいてもよい。
【0061】
本発明に基づく他の例示的クラブヘッドにおいて、
図7および
図8に示されているように、クラブヘッドは、前述および
図2A〜
図5とは異なる構成の調整点を含む打球フェースを含んでいてもよい。例えば、
図7に示されているように、クラブヘッド710は、第一の調整点731、第二の調整点732、第三の調整点733、および第四の調整点734を含む計4つの調整点を含む打球フェース712を含んでいてもよい。第一の調整点731は打球フェース712のハイ・ヒールエリア122の付近に位置していてもよい。第二の調整点732は打球フェース712のハイ・トウエリア120の付近に位置していてもよい。第三の調整点733は打球フェース712のロー・ヒールエリア122の付近に位置していてもよい。第四の調整点734は打球フェース712のロー・トウエリア120の付近に位置していてもよい。理解される点として、打球フェース712は、最上部から最下部および側方から側方に調整できる。調整はまた、調整点の組み合わせを用いて行うこともできる。
【0062】
本発明に基づく別の例示的クラブヘッド810において、
図8に示されているように、クラブヘッド810は、第一の調整点831、第二の調整点832、第三の調整点833、第四の調整点834を含む計4つの調整点を含む打球フェース812を含んでいてもよい。第一の調整点831は打球フェース812のハイ・ヒールエリア122の付近に位置していてもよい。第二の調整点832は打球フェース812のハイ・トウエリア120の付近に位置していてもよい。第三の調整点833は打球フェース812のロー・ヒールエリア122とロー・トウエリア120との間付近に位置していてもよい。第四の調整点834は打球フェース812のハイ・ヒールエリア122とハイ・トウエリア120との間付近に位置していてもよい。理解される点として、打球フェース712は、最上部から最下部および側方から側方に調整できる。調整はまた、調整点の組み合わせを用いて行うこともできる。
【0063】
調整点の構成が異なる
図7および
図8のクラブヘッドについても、同じ手順および原理が当てはまる。クラブヘッドのロフト角を調整するため、打球フェースが上向きまたは下向きのいずれかに調整されてもよい。クラブヘッドのフェース角を調整するため、打球フェースがクラブヘッドのトウ側またはヒール側のいずれかに調整されてもよい。これらの調整の各々は、
図7および
図8に示されているそれぞれの調整点構成に関連する、対応する複数の調整点に対して行われてもよい。加えて、本発明から逸脱することなく、他の調整点構成もクラブヘッドおよび打球フェースに利用されうる。
【0064】
図10および
図11は、本発明の少なくともいくつかの実施例に基づくゴルフクラブヘッド1010 1110に具備されうるさらなる特徴を示している。これらの図は、打球フェース1012 1112およびクラブヘッドボディ1014 1114に対して複数の異なる位置および/または異なる配向に位置するブレースシステムを示している。概して、ブレースシステムは、
図10および
図11に示されているように、1つより多いブレースを含んでいてもよい。加えて、ブレースシステムは、打球フェース1012 1112に支持を提供するうえで、異なる角度構成を有していてもよい。
【0065】
例えば、
図10に示されているように、第一のブレースシステム1040Aが(打球フェース1012のヒールエリア120で力を印加するために)クラブヘッド構造1010のヒールエリア120の近くに位置していてもよく、そして第二のブレースシステム1040Bが(打球フェース1012のトウエリア122で力を印加するために)クラブヘッド構造1010のトウエリア122に位置していてもよい。所望であれば、任意のインレットポートを通して挿入されるブレースが、任意の望ましいフェース接触位置まで伸びるようにサイズおよび形状決定されかつ適合されていてもよい(例えば、トウエンド122に挿入されるブレースが、打球フェース1012の中間またはヒール位置120に接触するようにするなど)。
【0066】
本発明に基づく別の例示的ゴルフクラブヘッド1110は、
図11に示されているように、(打球フェース1112のヒールエリア120で力を印加するために)クラブヘッド構造1110のヒールエリア120に位置していてもよい第一のブレースシステム1140Aと、(打球フェース1112の中央エリアで力を印加するために)ヒールエリア120とトウエリア122との間であるクラブヘッド構造1110の中央エリアに位置していてもよい第二のブレースシステム1140Bと、(打球フェース1112のトウエリア122で力を印加するために)クラブヘッド構造1110のトウエリア122に位置していてもよい第三のブレースシステム1140Cとを含む。所望であれば、任意のインレットポートを通して挿入されるブレースが、任意の望ましいフェース接触位置まで伸びるようにサイズおよび形状決定されかつ適合されていてもよい(例えば、トウエンド122に挿入されるブレースが、打球フェース1112の中間またはヒール位置120に接触するようにするなど)。
【0067】
個々のクラブヘッドは、利用可能な任意の1つまたは複数のブレースシステムの配向を有していてもよく、そしてユーザーまたはクラブフィッターは、例えばクラブヘッドフェースがボールにミートする傾向である接触パターンなどに基づいて、特定のゴルファーのためにブレースシステムのどの配向を用いるかを選択することができる。例えば、
図11に示されているクラブヘッドを用いる場合、ユーザーが主に打球フェース1112のトウエンド122で接触するのであれば、(例えば、トウエンド122をより可撓性に維持するがしかし全体的なCORレスポンスをルールの制限内に保つなどのため)ヒール配向のブレースシステム1140Aを用いることが最適である可能性がある。ユーザーが主に打球フェース1112のヒールエンド120で接触するのであれば、(例えば、ヒールエンド120をより可撓性に維持するがしかし全体的なCORレスポンスをルールの制限内に保つなどのため)トウ配向のブレースシステム1140Cを用いることが最適である可能性がある。ユーザーのスイング速度が非常に速いか、または認識可能かつ反復性のあるパターンで接触が生じない場合は、(例えば、バックストップを提供してクラブの損傷を防ぐか、かつ/または、打球フェースのCOR特性をルールの制限内に維持するなどのため)中央のブレースシステム1140Bを用いることが最適である可能性がある。さまざまなブレースシステムは、例えば前述のさまざまな様式のうち任意のものなど、ブレースを受けるための構造を含んでいてもよく、かつ、(複数のブレースシステムが存在する場合に)単一のクラブヘッド内のさまざまなブレースシステムは、本発明から逸脱することなく同じであってもまたは異なっていてもよい。
【0068】
図12は、本発明の少なくともいくつかの実施例に基づくゴルフクラブヘッドに具備されうるさらなる特徴を示している。
図2A〜
図6Cにおける前述の支持ブロックまたは支持リブに加えて、またはその代わりとして、ゴルフクラブヘッド1210は、弾性の支持部材1258を含むフェース係合エリアを含んでいてもよい。加えて、この態様において、ゴルフクラブヘッド1210は
図2A〜
図5における前述のようなブレースシステムを含んでいなくてもよい。弾性の支持部材1258は、クラブヘッドボディ内面1236の周囲から内部空洞1228に向かって横に伸びていてもよい。弾性の支持部材1258は、打球フェース1212がクラブヘッドボディ1214に係合または取り付けされているときに打球フェース1212を支持するように構成されていてもよい。加えて、詳しく後述するように、弾性の支持部材1258は、ねじ1271 1272 1273およびねじ穴1271A 1272A 1273Aなど、打球フェース1212のフェース内面1230のための取り付け手段を含んでいてもよい複数の調整点1231 1232 1233を含んでいてもよい。
【0069】
この態様において、弾性の支持部材1258は、クラブヘッドボディ1214に取り付けられる弾性の部材として製造されてもよい。加えて、弾性の支持部材1258は、
図2A〜
図5に示されているのと同様に、複数の支持ブロック1261 1262 1263に取り付けられてもよい。本発明に基づく別の態様において、弾性の支持部材1258は、
図6A〜
図6Cに示されているのと同様に、支持リブに取り付けられてもよい。弾性の支持部材1258は、当技術分野において公知および使用されているさまざまな「係合」技法のうち任意の1つによりクラブヘッドボディ1214に取り付けられてもよく、そのような技法としては、接着剤またはセメントを用いた接合;溶接、ろう付け、はんだ付け、または他の融合技法を用いた係合;および、ユーザーにより解放可能なコネクタを含む機械的コネクタ(ねじ、ボルト、ナットなど)を用いた取り付け、などがある。弾性の支持部材1258は、例えばゴムなど任意の弾性タイプの材料で製造されていてもよく、そのようなゴムとしては、フルオロカーボンエラストマー、ブチルゴム、ネオプレン、ゴム状物質、ラテックスゴム、ビニルゴム、またはブナNゴムなどがある。
【0070】
弾性の支持部材1258は、前述のような調整可能な特徴のための望ましい支持またはブレースおよびバイアスを提供するように位置決めおよび配向(または角度付け)されていてもよい。弾性の支持部材1258は、打球フェース1212がユーザーにとって調整可能となりうるように、打球フェース1212にバイアス力を提供してもよい。弾性の支持部材1258は、打球フェース1212が調整されたときに追加の支持を提供してもよい。弾性の支持部材1258は、打球フェース1212が上下および/または左右に調整されたときに弾性の支持リブ1262が収縮または伸展してクラブヘッド1210のロフト角および/またはフェース角の調整が可能となるように、係合されていてもよい。弾性の支持部材1258は、打球フェース1212が複数の方向に動くことを可能にする。
図2A〜
図5について前述したように、弾性の支持部材1258は、クラブヘッド1210のフェース角を調整してもよい左右方向と、クラブヘッド1210のロフト角を調整してもよい上下方向という、少なくとも2つの方向で打球フェース1212が調整可能であるようにしてもよい。
【0071】
加えて、クラブヘッドボディは、ユーザーがクラブヘッド110のフェース角および/またはロフト角を調整しているときにユーザーを補助するためのマーキングを含有していてもよい。これらのマーキングは、ねじ、支持ブロック、支持リブ、クラブヘッドボディの内部エリア、またはユーザーが調整を見ることを補助しうる他の任意のエリアに位置していてもよい。
【0072】
加えて、本発明に基づく別の態様において、ゴルフクラブヘッドは、
図2A〜
図5に示されかつ前述されたようなゴルフクラブヘッドに含まれる、代替のブレーシングシステムを含んでいてもよい。代替のブレーシングシステムは、打球フェースの手動調整の代わりに、電子式/自動式の調整機構を含んでいてもよい。電子式/自動式の調整機構は微小電子機械システム(MEMS)であってもよい。MEMSは、操作可能な状態で打球フェースに接続され、そして、ブレースを含むためのブレーシングシステムの一部であってもよい。ユーザーは、ゴルフクラブヘッドの打球フェースのフェース角および/またはロフト角を調整するため、MEMSを介してブレーシングシステムを自動的に調整できる。双安定構造および他の機械的または電子機械的な構造を用いたシステムなど、他の調整システムも利用されてもよい。
【0073】
本明細書に説明されるゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドは、既存の製品と比較して多数の恩典および利点を提供する。例えば、規制機関により定められたCOR制限を越えることなく、打球フェースの特定のエリアのCORレスポンスが他のエリアより高くなるよう、ヘッドの打球フェースに局所的な剛性および局所的な可撓性を提供するようにブレースを戦略的に配置および設計することができる。ゴルファーおよびクラブフィッターは、ユーザーがゴルフクラブで複数回のスイングを行って、(例えば感圧性接触テープを用いるなどして)そのゴルファーがボールとの接触を行う傾向があるクラブヘッドフェース上のエリアを決定することによって、本発明の局面を利用できる。主な接触エリアが同定されたら(例えば、そのゴルファーがクラブのトウエリアでボールを叩く傾向があるなど)、プレー中に最も頻繁にボールに当たる打球フェースのエリアでCORレスポンスが最も高くなるようにヘッドを構築してもよい。このことは、接触エリアの位置を求め、そして主な接触エリアから離れた位置(この例ではヒールエリア)でクラブヘッドの後面にブレースを提供することによって、実現できる。打球フェース上のこれら特定の位置(接触エリアおよびブレースから離れた位置のエリア)に当たったボールは、それに移されるエネルギーおよび速度がより大きく、その結果、ヒットがより長くなる。
【0074】
本発明のさらなる利点は、ゴルファーごとに、またはショットごとであっても、クラブヘッド特性を調整できることに関する。前述のように、本発明のクラブヘッドは、クラブボディに対する打球フェースの構成を調整するのに使われてもよい複数の調整点を含む。調整点の調整は、打球フェースを上下方向に調整し、これによりクラブヘッドのロフト角を調整するために行われてもよい。例えば、ゴルファーおよびクラブフィッターは、ユーザーがゴルフクラブで複数回のスイングを行って、クラブヘッドと接触した後のボールの飛行経路を決定することによって、本発明のこの局面を利用できる。ゴルフボールが一貫して穿孔型(boring)または低いショットパターンになる場合、ゴルファーまたはクラブフィッターは、打球フェースを上向きに調整することによってロフト角を増大させてもよい。逆に、ゴルフボールが一貫して風船型(ballooning)または高いショットパターンになる場合、ゴルファーまたはクラブフィッターは、打球フェースを下向きに調整することによってロフト角を減少させてもよい。
【0075】
加えて、調整点の調整は、打球フェースを左右方向に調整し、これによりクラブヘッドのフェース角を調整するために行われてもよい。例えば、ゴルファーおよびクラブフィッターは、ユーザーがゴルフクラブで複数回のスイングを行って、クラブヘッドと接触した後のボールの飛行経路を決定することによって、本発明のこの局面を利用できる。一例において、ゴルファーは、いくつかのスイングエラーのため、意図される目標に対してオープンとなった打球フェースでボールに当たるようにクラブフェースを運んでしまうため、一貫してボールにスライスが生じる。このスイングによって、ボールは打球フェースをヒールからトウに向かって横切るようにスライド、次いでロールし、これにより、ボールはスライス性のサイドスピン動作を伴って打球フェースを離れる。本発明の例示的ゴルフクラブにおいて、ゴルファーまたはクラブフィッターは打球フェースを左向きに調整し(右利きのゴルファーの場合)、これにより、意図される目標に対して打球フェースを閉じることができる。フェース角がよりクローズドとなるようにクラブヘッドを変えることによって、ゴルファーがボールに当てるために運ぶ打球フェースのオープンの度数が小さくなり、したがって、ボールに与えられるスライス性のサイドスピンが減少する。別の例において、ゴルファーは、いくつかのスイングエラーのため、意図される目標に対してクローズドとなった打球フェースでボールに当たるようにクラブフェースを運んでしまうため、一貫してボールにフックが生じる。このフックスイングによって、ボールは打球フェースをトウからヒールに向かって横切るようにスライド、次いでロールし、これにより、ボールはフック性のサイドスピン動作を伴って打球フェースを離れる。本発明の例示的ゴルフクラブにおいて、ゴルファーまたはクラブフィッターは打球フェースを右向きに調整し(右利きのゴルファーの場合)、これにより、意図される目標に対して打球フェースを開くことができる。フェース角がよりオープンとなるようにクラブヘッドを変えることによって、ゴルファーがボールに当てるために運ぶ打球フェースのクローズドの度数が小さくなり、したがって、ボールに与えられるフック性のサイドスピンが減少する。
【0076】
John T. Stitesらの名前で2009年4月27日に提出され参照によりその全部が本明細書に組み入れられる米国特許出願第12/430,485号に提示および説明されているものなど、フェース部分の構造が強化または局所的に剛化されているさらなるゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドも、本発明から逸脱することなく使用されうる。
【0077】
D. 結論
以上、本発明を実施するための現時点で好ましい様式を含め、具体的な実施例に関して本発明を説明したが、前述のシステムおよび方法には多数のバリエーションおよび置換が存在することが当業者には理解されるであろう。したがって、本発明の精神および範囲は、添付の特許請求の範囲に述べられているように広く解釈されるべきである。