(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(イメージセンサユニット)
本発明を適用できる実施形態であるイメージセンサユニット1の構成について、
図2と
図3を参照して説明する。
図2は、イメージセンサユニット1の構成を模式的に示す分解斜視図である。
図3は、イメージセンサユニット1の外観斜視図である。イメージセンサユニット1は、被照明体Pに光を照射し、被照明体Pからの光を検出することによって、被照明体Pを読み取る。説明の便宜上、被照明体Pの側を、イメージセンサユニット1の上側と称する。また、本発明において、「光」とは、可視光線のみならず、紫外線、赤外線などの可視光線以外の電磁波を含むものとする。
【0010】
図2に示すように、イメージセンサユニット1は、全体として、主走査方向に長い棒状の構成を有する。イメージセンサユニット1は、フレーム10と、カバー部材11と、光源12と、導光体13と、集光体14と、回路基板15とを有する。回路基板15の上面には、イメージセンサ16が設けられる。
【0011】
フレーム10は、イメージセンサユニット1の筺体である。フレーム10は、黒色に着色されて遮光性を有する樹脂材料により形成される。樹脂材料としては、たとえば、ポリカーボネートが適用できる。フレーム10の上部には、導光体13を収容可能な導光体収容室105と、集光体14を収容可能な集光体収容室106とが形成される。フレーム10の下部には、回路基板15を収容可能な回路基板収容室107が形成される。集光体収容室106と回路基板収容室107とは、光が通過可能な開口部によって繋がっている。さらに、フレーム10の主走査方向の端部には、光源12を収容可能な光源収容室108が形成される。
フレーム10は、上面視において主走査方向に長い長方形の形状を有する。そして、上面視における外周部(長方形の四辺)には、カバー部材11が接合される額縁状の接合面101が形成される。カバー部材11は、両面テープ3によってこの接合面101に接合される。また、接合面101には、カバー部材11を位置決めするための係止部が形成されてもよい(
図5参照。
図2においては省略)。
【0012】
カバー部材11は、フレーム10の上側を覆うように設けられる。そして、カバー部材11は、導光体13や集光体14を保護する機能や、被照明体Pに接して平面に維持する機能を有する。カバー部材11は、上面視において主走査方向に長い長方形の平板状の部材である。なお、カバー部材11は、後述するカバー部材11に直接被照明体Pが接しないフラットベッド方式の画像読取装置には必ずしも必要ではなく省略することも可能であるが、ごみの飛散や傷つきからイメージセンサユニット1を保護するために設置することが望ましい。また、カバー部材11はガラスに限られず、たとえば、アクリルやポリカーボネート等の透明な樹脂材料の表面にガラスと同等な強度を有するようにハードコートを施した部材が適用できる。
カバー部材11の下側の面の外周には、フレーム10に位置決めするための係止部が形成されてもよい(
図5参照。
図2においては省略)。
【0013】
光源12は、導光体13の主走査方向(長手方向)の端面である入射面131と間隔をあけて配設され、導光体13の入射面131に向けて光を照射する。光源12は、たとえば順次点灯する赤(R)と緑(G)と青(B)と赤外(Ir)の各波長の光を発する発光素子を有する。各発光素子には、公知の各種LEDが適用できる。また、光源12は、イメージセンサユニット1の回路基板15の上面に実装される。
【0014】
導光体13は、光源12が発する光を線状化する光学部材である。導光体13は、全体として主走査方向に細長い棒状の構成を有する。導光体13は、たとえばアクリル系の樹脂などといった透明の樹脂素材からなり、射出成形などによって一体に形成される。
導光体13の主走査方向の一方の端面は、光源12が発する光が入射する入射面131であり、他方の端面は、光源12が発する光を反射する反射面133である。導光体13の側面には、主走査方向に長い帯状の出射面132と拡散面134(
図3参照)とが形成される。出射面132は、入射面131から入射した光や反射面133で反射した光を被照明体Pに向けて照射する面である。拡散面134は、入射面131から入射した光を反射・拡散する面である。また、導光体13の外周面のその他の面は、それぞれ、光を反射する反射面として作用する。
【0015】
なお、本実施形態においては、導光体13の一方の端部に光源12が設けられ、導光体13の一方の端面が入射面131となる構成を示すが、この構成に限定されない。たとえば、導光体13の両端部に光源12が設けられる構成であってもよい。この場合には、導光体13の端面が反射面133とはならず、導光体13の両方の端面が入射面131となる。
【0016】
集光体14は、被照明体Pからの光を、イメージセンサ16(後述)の表面に結像する光学部材である。集光体14には、たとえば、ロッドレンズアレイが適用される。一般的なロッドレンズアレイは、複数の正立等倍結像型の結像素子(ロッドレンズ)が主走査方向に直線状に配列された構成を有する。なお、集光体14は、結像素子が直線状に配列される構成であればよく、具体的な構成は限定されない。たとえば、集光体14は、複数列の結像素子が配列される構成であってもよい。また、集光体14には、公知の各種マイクロレンズアレイなど、集光機能を有する公知の各種光学部材が適用できる。
【0017】
回路基板15は、主走査方向に長い矩形状の構成を有する。回路基板15の上面には、イメージセンサ16と光源12とが実装される。光源12は、回路基板15の主走査方向の一方の端部近傍に、導光体13の入射面131に向かって光を照射できるように実装される。一方、イメージセンサ16は、集光体14からの光を受光できるように、受光面を上側に向けて実装される。さらに、回路基板15には、外部との配線を接続するためのコネクタ類などが実装される。
【0018】
イメージセンサ16は、集光体14により結像した光を電気信号に変換する。イメージセンサ16には、たとえば、イメージセンサICアレイが適用される。イメージセンサICアレイは、複数のイメージセンサICが回路基板15の表面に主走査方向に直線状に配列して実装されることによって構成される。イメージセンサICは,イメージセンサユニット1の読取の解像度に応じた複数の受光素子(光電変換素子と称することもある)から構成される。このように、イメージセンサ16は、複数のイメージセンサICが、主走査方向に直線状に配列されて構成される。なお、イメージセンサ16は、複数のイメージセンサICが直線状に配列される構成のものであればよく、それ以外の構成は特に限定されない。たとえば、イメージセンサICが千鳥配列のように複数列配列される構成であってもよい。なお、イメージセンサ16としてのイメージセンサICアレイを構成するイメージセンサICには、従来公知の各種イメージセンサICが適用できる。
【0019】
このほか、イメージセンサユニット1には、紙葉類識別装置5等(後述)に取り付けるための取付部や、紙葉類識別装置5等に電気
的に接続するためのコネクタなどが設けられる。なお、取付部やコネクタの構成は、特に限定されるものではない。取付部は、イメージセンサユニット1を紙葉類識別装置5等に取り付けることができる構成であればよい。また、コネクタは、イメージセンサユニット1を紙葉類識別装置5等の所定の機器(たとえば回路基板)に、電力や電気信号を送受信可能に接続できる構成であればよい。
【0020】
イメージセンサユニット1の組み付け構造は、次のとおりである。
図3に示すように、フレーム10の導光体収容室105に導光体13が収容され、集光体収容室106に集光体14が収容される。回路基板収容室107には、光源12とイメージセンサ16とが実装された回路基板15が収容される。回路基板15が回路基板収容室107に収容されると、回路基板15に実装された光源12は光源収容室108に収容される。
そして、フレーム10の接合面101に、カバー部材11が両面テープ3によって接合される。両面テープ3および両面テープ3による接合構造については後述する。
【0021】
この状態で、光源12は導光体13の一方の端面である入射面131に対向する。このため、光源12が発する光は、導光体13の入射面131に入射する。被照明体Pに光を照射する場合には、光源12は、各色および赤外線の発光素子を順次点灯する。光源12が発する光は、導光体13の入射面131からその内部に入射し、拡散面134やその他の反射面133において反射するなどして内部を伝搬する。そして、導光体13の出射面132から被照明体Pの読取ラインOに向けて照射する。
集光体14とイメージセンサ16とは、所定の間隔をおいて対向する。被照明体Pの読取ラインOからの反射光は、集光体14によってイメージセンサ16の表面に結像する。イメージセンサ16は、集光体14によって結像した光学像を電気信号に変換する。
そして、イメージセンサユニット1は、被照明体Pに光を照射して反射光を検出する動作を、短時間で周期的に繰り返す。イメージセンサユニット1は、このような動作によって、被照明体Pに設けられる所定のパターン(たとえば、ホログラム)を可視光画像として読み取るとともに、被照明体Pを赤外画像として読み取る。
【0022】
次に、カバー部材11の接合に用いられる両面テープ3と、固定構造について説明する。カバー部材11は、両面テープ3によってフレーム10に接合される。さらに、両面テープ3がフレーム10とカバー部材11とを隙間なく接合することにより、外部からの異物の侵入を防止している。
図1(a)は、両面テープの長辺部分の構成を示す平面模式図である。
図1(b)は、両面テープの長辺部分の断面模式図である。両面テープ3は、フィルム状の基材31と、基材31の上面と下面のそれぞれに形成される接着剤層32a,32bとを有する。なお、基材31や接着剤層32a,32bの材質は特に限定されるものではなく、公知の両面テープの基材および接着剤が適用できる。
両面テープ3は、フレーム10の接合面101およびカバー部材11の外周縁に沿って貼り付けられる。このため、上面視において、両面テープ3は、たとえばフレーム10の接合面101と同じ寸法および形状に形成される。具体的には、両面テープ3は、主走査方向に長い環状の長方形に形成される(
図2参照)。なお、両面テープ3は、フレーム10の接合面101と同じ寸法および形状に限定されるものではない。
【0023】
以下の両面テープ3についての説明は、特に断りのない限り、フレーム10およびカバー部材11の長辺に貼り付けられる部分の説明である。
図1(a)に示すように、両面テープ3には、長辺方向(主走査方向)の幅方向の両側から幅方向反対側に向かって延伸する切込みが、交互に千鳥状に形成される。なお、いずれの切込みも、幅方向の外縁から幅方向の中間部にかけて形成されるものであり、幅方向の反対側の外縁には達しない。そして、隣接する切込み33は、長辺方向視において重畳する部分を有する。このため、両面テープ3には、隣接する切込み33に挟まれた部分(
図1(a)においてハッチングが施された部分)が形成される。そして、複数の切込み33が幅方向の両側から交互に形成されるため、このような切込み33に挟まれた部分が長辺方向に複数並ぶように形成される。
【0024】
図1(c)は、両面テープ3が長辺方向(主走査方向)に伸びた状態を示す平面模式図である。このような切込み33が形成される構成であると、切込み33に挟まれた部分が長辺方向に変形することによって、両面テープ3が全体として長辺方向に伸びる。すなわち、切込み33が形成されない構成であると、両面テープ3は長辺方向の弾性または塑性によって変形することになる。これに対して、切込み33が形成される構成であると、切込み33に挟まれた部分がせん断変形のような態様で長辺方向に変形する。このため、切込み33が形成されない構成と比較すると、長辺方向に変形しやすくなる。
このような構成であると、フレーム10とカバー部材11とが熱膨張した際に、熱膨張係数の相違によって相対的にずれが生じても、両面テープ3が変形することによってずれを吸収できる。このため、両面テープ3は、フレーム10やカバー部材11から剥離し難くなる。さらに、両面テープ3がフレーム10とカバー部材11のずれを吸収するから、フレーム10とカバー部材11との変形を防止または抑制できる。すなわち、フレーム10とカバー部材11とが熱膨張係数の相違する材料により形成され、かつ、ずれを吸収できない構成で接合されると、フレーム10とカバー部材11とが熱膨張係数の相違によって変形するおそれがある。これに対して、本実施形態によれば、このような変形を防止または抑制できる。
【0025】
また、本実施形態によれば、両面テープ3がフレーム10やカバー部材11から剥離し難くなるため、両面テープ3とフレーム10やカバー部材11との間に隙間が生じ難くなる。したがって、外部から内部に異物が侵入し難くなる。
さらに、本実施形態によれば、両面テープ3が長手方向に伸びる際に、切込み33が広がるが、両面テープ3が長辺方向の中間で途切れることがない。このため、フレーム10とカバー部材11の間には、外部から内部に異物が侵入する隙間が生じない。したがって、両面テープ3による防塵性が低下することがない。
このように、本実施形態によれば、防塵性を低下させることなく、両面テープ3を長辺方向に伸びやすくすることができる。
【0026】
ここで、切込み33の各種形態について説明する。
図4は、光源12の位置と両面テープ3の切込み33の間隔の関係を模式的に示す図である。イメージセンサユニット1においては、光源12が発する熱により、光源12の近傍の温度が他の部分に比較して高くなる。このため、フレーム10およびカバー部材11の熱変形量も、光源12に主走査方向(両面テープ3の長辺方向)に近づくにしたがって大きくなる。そこで、
図4に示すように、光源12の近傍(
図4のA部)において切込みの間隔を小さくし、光源12から主走査方向に遠い部分(B部)において切込みの間隔を大きくする。
たとえば、主走査方向の一端部に光源12が設けられる構成であれば、主走査方向(長辺方向)に当該一端に近づくにしたがって切込み33の間隔を小さくし、当該一端から主走査方向に離れるにしたがって切込み33の間隔を大きくする。すなわち、主走査方向に関して、光源12が設けられる一端部側における切込み33の間隔を、光源12が設けられない他の一端側における切込み33の間隔に比較して小さくする。また、主走査方向の両端部に光源12が設けられる構成であれば、主走査方向の両端に近づくにしたがって切込み33の間隔を小さくし、主走査方向の中心に近づくにしたがって切込み33の間隔を大きくする。すなわち、主走査方向の両端部における切込み33の間隔を、主走査方向の中心部における切込み33の間隔に比較して小さくする。
【0027】
切込み33の間隔が小さくなると、切込みに挟まれた部分の幅(フレーム10基準では長辺方向寸法)が小さくなるため、長辺方向に変形しやすくなる。そこで、前述のとおり、光源12に近づくにしたがって切込み33の間隔を小さくすることによって、変形量の大きい部分において熱変形に追従して伸びやすくする。このような構成によれば、熱変形量の大きい箇所においても、両面テープ3を剥離し難くできる。
なお、切込み33の間隔は、滑らかに変化する構成であってもよく、段階的に変化する構成であってもよい。
また、発熱源の例として光源12を示したが、光源12以外の発熱源に対しても適用できる。要は、発熱源の近傍において切込み33の間隔が小さく、発熱源から遠い部分において切込み33の間隔が大きい構成であればよい。
【0028】
図5は、フレーム10とカバー部材11に形成される係止部103,113と、両面テープ3に形成される挿通孔35の関係を模式的に示す斜視図である。
図6は、フレーム10とカバー部材11に形成される係止部と、両面テープ3に形成される切込み33の間隔との関係を示す平面模式図である。
図5に示すように、フレーム10の接合面101とカバー部材11には、位置決めのための係止部103,113が形成される。係止部103,113は、フレーム10の接合面101とカバー部材11の一方に形成される突起部と、他方に形成される凹部とが適用される。
図5では、フレーム10の係止部103として突起部が形成され、カバー部材11の係止部113として凹部が形成される構成を示す。ただし、フレーム10に凹部が形成され、カバー部材11に突起部が形成される構成であってもよい。
そして、一方に形成される突起部が、他方に形成される凹部に嵌まり込むことにより(係止することにより)、カバー部材11がフレーム10に対して位置決めされる。
【0029】
このような構成においては、係止部においてフレーム10とカバー部材11との相対的な変位が規制される。このため、フレーム10とカバー部材11が熱変形した場合のずれ量は、係止部の近傍で最も小さくなり、係止部から離れるにしたがって大きくなる。
図5に示すように、両面テープ3には、係止部103としての突起部が挿通する挿通孔35が形成される。
そして、
図6に示すように、挿通孔35(係止部103,113)の近傍(C部)においては切込み33の間隔を大きくし、挿通孔35から遠い位置(D部)においては切込み33の間隔を小さくする。
このような構成によれば、挿通孔(係止部)から離れたずれ量の大きい部分(D部)において、両面テープ3の変形量を大きくして、両面テープ3が剥離し難くすることができる。
なお、
図6においては、係止部103,113および挿通孔35が、長辺方向の中心に形成される構成を示したが、これらの位置および数は限定されない。
【0030】
次に、両面テープ3の第2の形態について説明する。
図7は、第2の形態の両面テープ3を用いたフレーム10とカバー部材11の接合構造を模式的に示す断面図である。
図7に示すように、フレーム10とカバー部材11との夫々の長辺を接合する部分においては、両面テープ3の上面と下面の接着剤層32a,32bが、基材31の幅方向(副走査方向)に関して互いに反対側に
偏った位置に形成される。そして、上面視において、上面と下面に形成される接着剤層32a,32bとは重畳していない。このため、基材31には、幅方向(副走査方向)の中心部において、上面と下面のいずれにも接着剤層32a,32bが形成されない部分が形成される。この部分を非接着部34と称する。非接着部34は、長手方向(主走査方向)に延伸する。
【0031】
そして、下面の接着剤層32bがフレーム10の接合面101に接着される。下面の接着剤層32bの幅はフレーム10の接合面101の幅と同じであるため、フレーム10の接合面101の全体に接着剤層32bが接着する。また、上面の接着剤層32aは、カバー部材11の下面であって、上面視においてフレーム10の接合面101よりも内側の領域(上面視において接合面101に重畳しない領域)に接着する。
このため、両面テープ3の非接着部34は、他の部材から干渉を受けることなく変形できる。このような構成であると、フレーム10とカバー部材11とが温度上昇によって膨張した場合、フレーム10とカバー部材11のずれは、非接着部34の変形によって吸収される。したがって、接着剤層32a,32bがフレーム10やカバー部材11から剥離し難くできる。また、非接着部34の変形によって、フレーム10とカバー部材11の熱膨張率の相違に起因する変形を低減できる。
そして、上面および下面の接着剤層32a,32bは、フレーム10およびカバー部材11の外周の全体にわたって途切れることなく形成される。このため、防塵性が低下することがない。
【0032】
ここで、第2の実施形態の他の例について説明する。
図8は、第2の形態の両面テープ3を用いたフレーム10とカバー部材11の接合構造を模式的に示す断面図である。
図8に示す例においては、カバー部材11の外周縁は、下側に向かって突出している。この部分をカバー側凸部112と称する。カバー側凸部112の高さ(厚さ)は、たとえば上面の接着剤層32aの厚さと同じに設定される。また、カバー側凸部112の幅は、たとえばフレーム10の接合面101の幅と同じに設定される。このため、フレーム10にカバー部材11が取り付けられると、フレーム10の接合面101とカバー側凸部112の下面とが、両面テープ3を挟んで対向する。
そして、下面の接着剤層32bがフレーム10の接合面101に接着される。下面の接着剤層32bの幅はフレーム10の接合面101の幅と同じであるため、フレーム10の接合面101の全体に接着剤層32bが接着する。また、上面の接着剤層32aは、カバー側凸部112よりも内側においてカバー部材11の下面に接着する。そして、カバー側凸部112は、基材31の上面の接着剤層32aが形成されない部分に接触する。
両面テープ3に非接着部34が形成されるため、上面の接着剤層32aとカバー側凸部112とは接触しない。このため、両面テープ3の非接着部34は、他の部材に接触しない状態となり、他の部材から干渉を受けることなく変形できる。したがって、前述と同様の効果を奏することができる。
さらに、カバー側凸部112は、両面テープ3の基材31の上面の接着剤層32aが形成されない部分に接触する。このような構成であれば、カバー部材11が宙に浮いた状態にはならないから、カバー部材11の上下方向位置の精度が低下することがない。
【0033】
なお、本実施形態では、両面テープ3の幅がフレーム10の接合面101の幅よりも大きい構成を示したが、フレーム10の接合面101の幅と同じであってもよい。ここで、両面テープ3の幅とフレーム10の接合面101の幅とが同じである構成について説明する。
図9は、両面テープ3の幅とフレーム10の接合面101の幅とが同じである構成を示す断面模式図である。
【0034】
図9に示すように、フレーム10の接合面101の幅方向の一側には、上側(カバー部材11の側)に向かって突出する部分(以下、フレーム側凸部102と称する)が、長手方向の全長にわたって途切れることなく帯状に形成される。
図9においては、フレーム側凸部102が接合面101の内周側に沿って形成される構成を示す。一方、カバー部材11には、本実施形態と同様に、下側(フレーム10の側)に向かって突出するカバー側凸部112が形成される。フレーム側凸部102とカバー側凸部112とは、幅方向に互いにずれた位置に形成される。また、フレーム10にカバー部材11が取り付けられた状態では、上面視において、フレーム側凸部102とカバー側凸部112とは重畳しておらず、これらの間には隙間が形成される。この隙間は、長手方向の全長にわたって帯状に形成される。そして、カバー側凸部112は、フレーム10の接合面101のフレーム側凸部102以外の部分に対向する。
【0035】
両面テープ3の幅は、フレーム10のフレーム側凸部102を含む接合面101の全体の幅と同じに設定される。下面の接着剤層32bの幅は、カバー側凸部112と同じ幅に設定される。同様に、上面の接着剤層32aの幅は、フレーム側凸部102と同じ幅に設定される。
そして、下面の接着剤層32bが、フレーム10の接合面101のフレーム側凸部102以外の部分に接着する。また、上側の接着剤層32aが、カバー部材11の下面のカバー側凸部112以外の部分に接着する。これにより、フレーム10にカバー部材11が接合される。
【0036】
フレーム10にカバー部材11が接合された状態で、下面の接着剤層32bとフレーム側凸部102とは、両面テープ3の幅方向に関して互いに反対側に位置する。そして、下面の接着剤層32bとフレーム側凸部102とは接触しておらず、これらの間には隙間が形成される。同様に、上面の接着剤層32aとカバー側凸部112とは、両面テープ3の幅方向に関して互いに反対側に位置する。そして、上面の接着剤層32aとカバー側凸部112とは接触しておらず、これらの間には隙間が形成される。
【0037】
両面テープ3の上面に形成される隙間と下面に形成される隙間とは、上面視において重畳している。このため、両面テープ3の非接着部34はいずれの部材にも接触していない状態となり、他の部材から干渉を受けることなく変形できる。このような構成によれば、前述する両面テープ3の幅がフレーム10の接合面101の幅よりも大きい構成と同様の効果を奏する。
このように、両面テープ3の幅は、フレーム10の接合面101と同じであってもよく、接合面101より大きくてもよい。
【0038】
なお、短辺方向の熱変形量は長辺方向に比較して小さいため、熱膨張率の相違の影響は小さい。このため、フレーム10とカバー部材11の短辺の接合構造については、特に限定されない。たとえば、前述するいずれかと同様の構成であってもよく、両面テープ3に切込み33または非接着部34が形成されない構成であってもよい。
【0039】
なお、本実施形態においては、両面テープ3が接合面101と同じ長方形の環状に形成される構成を示したが、この構成に限定されない。たとえば、両面テープ3が単純な帯状に形成される構成であってもよい。この場合には、帯状の両面テープ3が、接合面101およびカバー部材11の各辺に貼り付けられることになる。そしてこの場合には、各辺に貼り付けられる夫々の両面テープ3の繋ぎ目に隙間が生じないようにする。
また、イメージセンサユニット1のうち、図示および説明を省略した部分については、従来公知のイメージセンサユニット1と同じ構成が適用できる。
【0040】
なお、前述の各実施形態において、両面テープ3の切込み33が開いた状態(隙間が形成された状態)で、フレーム10とカバー部材11が接合される構成であってもよい。すなわち、両面テープ3が、あらかじめ
図1(c)に示す状態になっていてもよい。このような構成であれば、フレーム10やカバー部材11が温度低下などによって収縮した場合に、両面テープが収縮に追従して変形することができる。このため、フレーム10やカバー部材11が収縮した場合であっても、両面テープ3の剥離を防止または抑制できる。したがって、このような構成によれば、フレーム10やカバー部材11の膨張した場合と収縮した場合の両方の場合において、両面テープ3の剥離を防止または抑制できる。
【0041】
(紙葉類識別装置)
イメージセンサユニット1が適用される紙葉類識別装置5について、
図10を参照して説明する。
図10は、紙葉類識別装置5の構成を模式的に示す断面図であり、主走査方向に直角な面での断面を示す図である。紙葉類識別装置5は、被照明体Pである紙幣などに光を照射すると共に、紙幣からの光を読み取り、読み取った光を用いて紙幣の種類や真贋の識別を行う。
【0042】
図10に示すように、紙葉類識別装置5は、イメージセンサユニット1と、コネクタ17に配線接続された識別手段としての画像識別部53と、紙幣を搬送する搬送ローラー51とを備える。そして、紙葉類識別装置5には、搬送ローラー51によって紙幣を挟んでカバー部材11を介してイメージセンサユニット1上を読取方向(副走査方向)に搬送するための搬送経路Aが設定される。なお、集光体14の紙幣側の焦点は、搬送経路Aの中央に設定される。
このような構成の紙葉類識別装置5の動作は、次のとおりである。紙葉類識別装置5に適用されるイメージセンサユニット1が、前述した動作によって、紙幣に設けられる所定のパターンを可視光画像として読み取るとともに、紙幣を赤外画像として読み取る。その後、画像識別部53は、予め用意された真券である紙幣に可視光線および赤外線を照射することで得られた真券紙幣画像と、真贋判定時に判定対象となる紙幣の可視光画像と赤外画像とを比較することで、紙幣の真贋判定を行う。これは、真券である紙幣には、可視光下と、赤外光下とから得られる画像がそれぞれ異なるような領域が設けられているためである。
なお、説明および図示を省略した部分については、従来の紙葉類識別装置5と同じ構成が適用できる。また、画像識別部53は回路基板15上に設けられる構成であっても構わない。
【0043】
図11は、紙葉類識別装置5が、透過照明装置52をさらに有する紙葉類識別装置5の構成を模式的に示す断面図である。
透過照明装置52は、光源521と、導光体522とを有する。透過照明装置52の光源521および導光体522には、前述の光源12および導光体13と同じ構成が適用される。そして、透過照明装置52は、イメージセンサユニット1に対向する位置に、紙幣に向けて光を照射できるように設けられる。特に、透過照明装置52は、その導光体522の出射面から照射される光の光軸と、イメージセンサユニット1の集光体14の光軸とが一致するように配設される。
このような構成の紙葉類識別装置5の動作は、次のとおりである。イメージセンサユニット1に組み込まれる光源12および透過照明装置52の光源521は、各色の可視光線および赤外線の発光素子を順次点灯する。
イメージセンサユニット1の導光体13から紙幣に照射された光は、紙幣の表面で反射して集光体14に入射し、イメージセンサ16の表面に結像する。イメージセンサ16は、結像した光学像を電気信号に変換することによって、紙幣からの反射光による可視光画像および赤外画像を取得する。一方、透過照明装置52から紙幣に照射された光は、紙幣を透過してイメージセンサユニット1の集光体14に入射し、イメージセンサ16の表面に結像する。イメージセンサ16は、結像した光学像を電気信号に変換することによって、紙幣からの透過光による可視光画像および赤外画像を取得する。
そして、イメージセンサユニット1および透過照明装置52は、紙幣に光を照射して反射光と透過光を検出する動作を、短時間で交互に繰り返す。イメージセンサユニット1は、このような動作によって、紙幣に設けられる所定のパターン(たとえば、ホログラム)を可視光画像として読み取るとともに、紙幣を赤外画像として読み取る。
このような構成によれば、紙葉類識別装置5は、紙幣の反射光および透過光による可視光画像および赤外画像を読み取ることができる。
【0044】
さらに、紙葉類識別装置5が、2組のイメージセンサユニット1を有する構成であってもよい。
図12は、2組のイメージセンサユニット1を有する紙葉類識別装置5の構成を模式的に示す断面図である。
図12に示すように、2組のイメージセンサユニット1は、紙幣の搬送経路Aを挟んで対向するように配設される。そして、2組のイメージセンサユニット1は、一方のイメージセンサユニット1の導光体13から照射されて紙幣を透過した光が、他方のイメージセンサユニット1の集光体14に入射するように配設される。
このような構成の紙葉類識別装置5の動作は、次のとおりである。すなわち、2組のイメージセンサユニット1に組み込まれる光源12は、各色の可視光線および赤外線の発光素子を順次点灯する。一方のイメージセンサユニット1の照明装置から紙幣に照射された光は、紙幣の表面で反射して一方のイメージセンサユニット1の集光体14に入射し、一方のイメージセンサユニット1のイメージセンサ16の表面に結像する。一方のイメージセンサユニット1のイメージセンサ16は、結像した光学像を電気信号に変換することによって、紙幣からの反射光による可視光画像および赤外画像を取得する。また、一方のイメージセンサユニット1の照明装置から紙幣に照射された光は、紙幣を透過して他方のイメージセンサユニット1の集光体14に入射し、他方のイメージセンサユニット1のイメージセンサ16の表面に結像する。他方のイメージセンサユニット1のイメージセンサ16は、結像した光学像を電気信号に変換することによって、紙幣からの透過光による可視光画像および赤外画像を取得する。
このような構成によれば、紙葉類識別装置5は、紙幣の両面の反射画像を読み取ることができるとともに、透過画像を読み取ることができる。
なお、本実施形態においては、可視光線および赤外線を照射することで紙幣を可視光画像および赤外画像として読み取る構成を示したが、この構成に限定されない。たとえば、紫外線を照射する構成であっても構わない。
また、被照明体Pとして紙幣が適用される構成を示したが、紙葉類の種類は限定されるものではない。たとえば、各種有価証券やIDカードなどが適用できる。
【0045】
(画像読取装置(その1))
図13は、本発明の実施形態であるイメージセンサユニット1を適用できる画像読取装置としてのフラットベッド方式のスキャナー7aの構成を示す斜視図である。
スキャナー7aは、筺体71aと、被照明体載置部としてのプラテンガラス72と、イメージセンサユニット1と、イメージセンサユニット1を駆動する駆動機構と、回路基板73aと、プラテンカバー74とを有する。
被照明体載置部としてのプラテンガラス72は、ガラスなどの透明板からなり、筺体71aの上面に取り付けられる。
プラテンカバー74は、プラテンガラス72に載置された被照明体Pを覆うように、筺体71aに対してヒンジ機構などを介して開閉可能に取付けられる。
イメージセンサユニット1と、このイメージセンサユニット1を駆動するための駆動機構と、回路基板73aとは、筺体71aの内部に収容される。
駆動機構は、保持部材750と、ガイドシャフト751と、駆動モーター752と、ワイヤー754とを含む。保持部材750は、イメージセンサユニット1を囲むように保持する。ガイドシャフト751は、保持部材750をプラテンガラス72に沿って読取方向(副走査方向)に移動可能にガイドする。駆動モーター752と保持部材750とはワイヤー754を介して連結されており、駆動モーター752の駆動力によってイメージセンサユニット1を保持する保持部材750を副走査方向に移動させる。そして、イメージセンサユニット1は、駆動モーター752の駆動力によって副走査方向に移動しながら、プラテンガラス72に載置された被照明体Pを読み取る。このように、イメージセンサユニット1と被照明体Pとを相対的に移動させながら、被照明体Pを読み取る。
回路基板73aには、イメージセンサユニット1が読み取った画像に所定の画像処理を施す画像処理回路や、イメージセンサユニット1を含むスキャナー7aの各部を制御する制御回路や、スキャナー7aの各部に電力を供給する電源回路などが構築される。
【0046】
(画像読取装置(その2))
図14は、本発明の実施形態であるイメージセンサユニット1を適用できる画像読取装置としてのシートフィード方式のスキャナー7bの構成を示す断面模式図である。
図14に示すように、スキャナー7bは、筺体71bと、イメージセンサユニット1と、搬送ローラー76と、回路基板73bと、カバーガラス77とを有する。
搬送ローラー76は、図示を省略した駆動機構によって回転し、被照明体Pを挟んで搬送する。カバーガラス77は、イメージセンサユニット1の上側を覆うように設けられる。回路基板73bには、イメージセンサユニット1を含むスキャナー7bの各部を制御する制御回路や、スキャナー7bの各部に電力を供給する電源回路などが構築される。
そして、スキャナー7bは、搬送ローラー76によって被照明体Pを読み取り方向(副走査方向)に搬送しつつ、イメージセンサユニット1により被照明体Pを読み取る。すなわち、イメージセンサユニット1と被照明体Pとを相対的に移動させながら、被照明体Pを読み取る。なお、図においては、被照明体Pの片面を読み取るスキャナー7bの例を示すが、2つのイメージセンサユニット1が被照明体の搬送経路Aを挟んで対向するように設けられ、被照明体Pの両面を読み取る構成であってもよい。
【0047】
以上、
図13と
図14を参照して、本発明を適用できるイメージセンサユニット1を用いた画像読取装置の例としてスキャナー7a,7bを説明したが、イメージセンサユニット1を用いた画像読取装置の構成や種類は、これらに限定されるものではない。
【0048】
(画像形成装置)
次に、本発明の実施形態である画像形成装置9について、
図15と
図16を参照して説明する。本発明の実施形態である画像形成装置9には、本発明の実施形態であるイメージセンサユニット1が適用される。
図15は、本発明の実施形態である画像形成装置9の外観斜視図である。
図16は、本発明の実施形態である画像形成装置9の筺体91の内部に設けられる画像形成部92を抜き出して示した斜視図である。
図15と
図16に示すように、画像形成装置9は、フラットベッド方式のスキャナーとインクジェット方式のプリンタとの複合機(MFP;Multifunction Printer)である。画像形成装置9は、画像を読取る画像読取手段としての画像読取部93と、画像を形成する画像形成手段としての画像形成部92とを有する。そして、画像形成装置9の画像読取部93には、イメージセンサユニット1が組み込まれる。なお、画像形成装置9の画像読取部93は、前述の画像読取装置と共通の構成が適用できる。したがって、画像読取装置と共通の構成については説明を省略する。
【0049】
図15に示すように、画像形成装置9には、操作部94が設けられる。操作部94には、操作メニューや各種メッセージなどを表示する表示部941と、画像形成装置9を操作するための各種操作ボタン942が設けられる。
また、
図16に示すように、画像形成装置9の筺体91の内部には、画像形成部92が設けられる。画像形成部92は、搬送ローラー921と、ガイドシャフト922と、インクジェットカートリッジ923と、モーター926と、一対のタイミングプーリー927とを有する。搬送ローラー921は、駆動源の駆動力によって回転し、記録媒体としての印刷用紙Rを副走査方向に搬送する。ガイドシャフト922は棒状の部材であり、その軸線が印刷用紙Rの主走査方向に平行となるように画像形成装置9の筺体91に固定される。インクジェットカートリッジ923は、ガイドシャフト922上をスライドすることによって、印刷用紙Rの主走査方向に往復動できる。インクジェットカートリッジ923は、たとえば、シアンC、マゼンタM、イエローY、黒Kのインクを備えたインクタンク924(924C,924M,924Y,924K)と、これらのインクタンク924にそれぞれ設けられた吐出ヘッド925(925C,925M,925Y,925K)から構成される。一対のタイミングプーリー927の一方は、モーター926の回転軸に取り付けられる。そして、一対のタイミングプーリー927は、印刷用紙Rの主走査方向に互いに離れた位置に設けられる。タイミングベルト928は、一対のタイミングプーリー927に平行掛けに巻き掛けられ、所定の箇所がインクジェットカートリッジ923に連結される。
【0050】
画像形成装置9の画像読取部93は、イメージセンサユニット1が読み取った画像を、印刷に適した形式の電気信号に変換する。そして、画像形成装置9の画像形成部92は、画像読取部93のイメージセンサユニット1が変換した電気信号に基づいて、搬送ローラー921、モーター926、インクジェットカートリッジ923を駆動し、印刷用紙Rに画像を形成する。このほか、画像形成装置9の画像形成部92は、外部から入力された電気信号に基づいて画像を形成することができる。なお、画像形成装置9のうち、画像形成部92の構成および動作は、従来公知の各種プリンタと同じ構成が適用できる。したがって、詳細な説明は省略する。なお、画像形成部92としてインクジェット方式による画像形成装置を説明したが、電子写真方式、熱転写方式、ドットインパクト方式などどのような方式であっても構わない。
【0051】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変が可能である。