特許第5762545号(P5762545)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5762545
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】配向再結晶化するグラフェン成長基質
(51)【国際特許分類】
   C01B 31/02 20060101AFI20150723BHJP
【FI】
   C01B31/02 101Z
【請求項の数】19
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-530126(P2013-530126)
(86)(22)【出願日】2010年9月28日
(65)【公表番号】特表2013-538180(P2013-538180A)
(43)【公表日】2013年10月10日
(86)【国際出願番号】US2010050566
(87)【国際公開番号】WO2012044284
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2013年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】509348786
【氏名又は名称】エンパイア テクノロジー ディベロップメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】トーマス エー. ヤーガー
【審査官】 廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−178617(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/129194(WO,A1)
【文献】 特開2009−107921(JP,A)
【文献】 特開平08−260150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 31/00−31/36
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基質上に金属層を形成する工程と、前記金属層上に誘電材料層を形成する工程と、前記金属層を配向再結晶化させて、グラフェン単層を成長させるのに適した再結晶金属層を形成する工程であって、前記グラフェン単層の長さを15マイクロメートルまたはそれ以上とする工程を含む、グラフェン単層を製造する方法。
【請求項2】
前記誘電材料層を除去する工程と、前記配向再結晶化金属層上に前記グラフェン単層を形成する工程とを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記再結晶金属層上に前記グラフェン単層を形成する工程が、炭化水素ガスの混合物を使用して化学気相成長(CVD)を行う工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属層を配向再結晶化させる工程が、レーザーを使用して前記金属層の少なくとも一部を溶融させる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属層上に誘電材料層を形成する前に前記金属層を研摩する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属層がニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)および/または銅(Cu)のうちの1種以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記金属層が銅(Cu)層を含み、前記方法が前記基質上にニッケル(Ni)接着層を形成する工程と、前記ニッケル(Ni)接着層上に前記銅(Cu)層を形成する工程とを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記誘電材料層がシリコンジオキシド(
)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記基質が、シリコンジオキシド(
)でコーティングされた熱膨張基質を含み、前記熱膨張基質の熱膨張係数が
またはそれ以上である、請求項9に記載の方法。
【請求項10】
基質に隣接する配向再結晶化金属層と、前記配向再結晶化金属層に隣接する誘電材料層であって、該配向再結晶化金属層が、グラフェン単層を成長させるのに適した金属層を含み、前記グラフェン単層の長さが15マイクロメートルまたはそれ以上である配向再結晶化金属層とからなる物体。
【請求項11】
前記グラフェン単層が前記配向再結晶化金属層に隣接する、請求項10に記載の物体。
【請求項12】
前記配向再結晶化金属層が、レーザー方向性凝固によって配向再結晶化した金属層を含む、請求項10に記載の物体。
【請求項13】
前記配向再結晶化金属層がニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)および/または銅(Cu)のうちの1つ以上を含む、請求項10に記載の物体。
【請求項14】
前記基質が、シリコンジオキシド(
)でコーティングされ、熱膨張係数が
またはそれ以上である熱膨張基質を含む、請求項10に記載の物体。
【請求項15】
基質上に金属層を形成する手段と、
前記金属層上に誘電体層を形成する手段と、
前記金属層を配向再結晶化させて、グラフェン単層を少なくとも15マイクロメートルの長さに成長させるのに適した金属層を形成する手段と、
を備えたシステム。
【請求項16】
前記誘電体層を除去する手段と、
前記配向再結晶化された金属層上に前記グラフェン単層を形成する手段と、
を更に備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記金属層を配向再結晶化させる手段が、前記金属層にレーザー方向性凝固を適用するものである、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記金属層がニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)および/または銅(Cu)のうちの1種以上を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記基質が、熱膨張係数が
またはそれ以上である熱膨張基質を含む、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本明細書中で特に明記しない限り、この節に記載されている手法は、本出願の特許請求の範囲に対する先行技術ではなく、この節に組み込まれているとしても先行技術であるとは認められない。
【0002】
グラフェン(炭素原子で構成される略平面の単層アレイ)は、化学気相成長(CVD)を使用して、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)または銅(Cu)層でコーティングされた基質表面上に成長できる。ただし、グラフェン基質の成長層の金属粒界では、グラフェン生成(多層グラフェンの核形成等)に欠陥が生じる可能性がある。成長層のモルフォロージーを制御して金属粒界の数を制限することによって、グラフェンフィルムのモルフォロージーを改善でき、ひいては生成上の欠陥(多層グラフェン等)の発生を改善し得る。
【0003】
配向結晶化(別名:エキシマレーザー焼鈍)は、アクティブマトリックス液晶ディスプレイ(AMLCD)装置中のシリコン(Si)層のモルフォロージー制御に使用されてきた。この技術を使用して、狭い領域内のSi層を溶融させることにより、非結晶材料またはポリSi材料を大きい粒子Siに数ナノ秒で変換できる。フィルム表面全体にわたってレーザーを走査すると、すでに冷却された領域上に溶融領域が凝集する場合があり、この結果、フィルム粒子が成長してレーザーモーション方向に延在し得る。単一パスの場合、フィルム内に細長い粒子が生成されることがある。第1のパスに直交する第2のパスは、大きい等軸フィルム粒子を生成する場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
グラフェンを成長させるのに適した基質を形成するプロセスおよび/または方法は一般に、調製済み基質上に金属層を形成する工程と、金属層上に誘電材料層を形成する工程と、その後に金属層を配向再結晶化させてグラフェン単層を約15マイクロメートル以上の長さに成長させるのに適した再結晶金属層を形成する工程と、を含めて記載されている。
【0005】
加えて、システムおよび/または装置は一般的に、基質に隣接する誘電材料層を有する器具と、誘電材料層に隣接する配向再結晶化金属層と、を含めて記載されている。この配向再結晶化金属層は、グラフェン単層を少なくとも約15マイクロメートルの長さに成長させるうえで好適である。システムの例としては、基質上に金属層を形成し、金属層上に誘電体層を形成して、この金属層を配向再結晶化させるように構成された1つ以上の装置が挙げられる。
【0006】
前述の概要は単なる例証であり、いかなる形であれ制限を意図したものではない。上述した例証的な態様、実施形態および特徴に加え、更なる態様、実施形態および特徴は、図面および次の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の主題は、本明細書の結論部分で個々に指摘され、明確に主張されている。本開示における上記およびその他の特徴は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を添付図面と併せて解釈すれば、より完全に明らかになるであろう。これらの図面は、本開示によるいくつかの実施形態を単に示すものであり、本開示の範囲の制限と見なすべきではない。本開示は、添付図面を用いて、付加的な特性および詳細に関して記述される。
【0008】
図1】グラフェンを成長させるのに適した基質を製造するプロセスおよび/または好適な基質上でグラフェンを製造するプロセスの実施例を示す。
図2図2Aは、図1のプロセスに関連する構造の実施例を示す図である。図2Bは、図1のプロセスに関連する構造の実施例を示す図である。図2Cは、図1のプロセスに関連する構造の実施例を示す図である。図2Dは、図1のプロセスに関連する構造の実施例を示す図である。図2Eは、図1のプロセスに関連する構造の実施例を示す図である。
図3】3A−図1のプロセスに関連する構造の実施例を示す図である。3B−図1のプロセスに関連する構造の実施例を示す図である。
図4】プロセス条件の実施例を示す図である。
図5図1のプロセスの少なくとも一部を実施するシステムの実施例を示す図である。
図6】コンピュータプログラム製品の実施例を示す。
図7】本開示における少なくともいくつかの実施形態に従って全体がアレンジされている、コンピューティング装置の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の記述には、請求項に記載されている主題を充分に理解できるよう、特定の詳細が記載されているほか様々な例も挙げられている。ただし、請求項に記載されている主題を、本明細書中に開示されている具体的詳細のいくつかまたはより多くを使用せずに実施し得ることは、当業者によって理解されるであろう。更に、いくつかの状況において、請求項に記載されている主題を不必要に不明確にするのを回避するため、周知の方法、手順、システム、コンポーネントおよび/または回路が詳述されていない。以下の詳細な説明では、本明細書の一部をなす添付図面を参照する。前後関係において特に注記がない限り、図面中で同様なコンポーネント同士は典型的に、同様な記号を用いて同一物として扱われる。詳細な説明、図面および特許請求の範囲に記載されている例証的な実施形態は、限定的なものであることを意味しない。本明細書に提示されている主題の趣旨または範囲を逸脱することなしに、他の実施形態を利用することも、他の変更を加えることもできる。本開示の実施形態は、本明細書に概説されるほか図面にも例証されており、多様な構成でアレンジ、置換、結合および設計することが可能であり、いずれも明示的に企図され、本開示の一部をなしていることは容易に理解されよう。
【0010】
本開示は概して、とりわけグラフェン単層を成長させるのに適する配向再結晶化した基質に関連する方法、器具、物品、およびシステムに関する。
【0011】
本開示の多様な実装に従い、レーザー方向性結晶技術を使用して、多結晶金属フィルムを再結晶できる。グラフェン成長基質として、再結晶金属フィルムまたは再結晶金属層を使用してもよい。様々な実装において、本明細書に記載のプロセスは、半導体基質等の基質上にパターン化された薄膜金属に適用できる。
【0012】
本開示における様々な実装に従い、シリコン基質等のベース基質を提供し得る。基質は、シリコンジオキシド(SiO2)の層でコーティングできる。いくつかの実装において基質は、調整済み熱膨張基質であり得る。この場合、基質を金属フィルムまたは金属層でコーティングすることもできるし、後の段階でグラフェン単層を成長させるために使用することもできる。いくつかの実装において、金属層はニッケル(Ni)接着層と、この接着層上に形成された約500μm厚の銅(Cu)層を含み得る。様々な実施例において、クロム(Cr)等の他の接着層材料も使用できる。更に、様々な実施例において、Cu層の厚さは約200μm〜約800μmの範囲であり得る。この場合、シリコンジオキシド(SiO2)等の誘電材料のキャップ層を金属層上に形成できる。いくつかの実施例において、SiO2キャップ層は、約500nm〜約700nm厚であり得る。
【0013】
本開示における様々な実装に従い、その後、レーザーを使用して金属層に方向性再結晶を実施できる。様々な実施例では、エキシマレーザーおよび基質搬送システムを使用して、配向再結晶化を行うことができる。再結晶後に、再結晶金属層およびキャップ層を担持する基質を、グラフェン単層の形成に適した金属層を有する調製済み基質として提供してもよい。
【0014】
本開示における様々な実装に従い、金属層が再結晶した後は、標準の湿潤または乾燥エッチングプロセスを利用してSiO2キャップ層を除去できる。キャップ層が除去された後、配向再結晶化金属層上にグラフェン単層を形成できる。様々な実施例では、水素(H2)およびメタン(CH4)ガスの混合物を使用して化学気相成長(CVD)を行うことによって、配向再結晶化金属層上にグラフェンを形成できる。
【0015】
本開示における様々な実装に従い、グラフェン単層を基質から分離できる。様々な実施例においては、グラフェン単層をポリジメチルシロキサン(PDMS)またはポリメチルメタクリレート(PMMA)でコーティングした後、基質にソフトベークを施して、グラフェン単層を除去できる。シリカ系基質を使用した実施例では、研磨で薄層化した後、フッ化水素酸(HF)またはフルオロホウ酸(HBF4)の溶液を使用した化学エッチングで基質を除去できる。その他の基質は、酸エッチング溶液を使用して除去できる。金属層が銅層である実施例では、この場合、鉄硝酸(Fe(NO3)3)含有のエッチング溶液を使用して除去できる。その後、結果として得られたグラフェン単層は、テスト構造または回路に転送し、アセトンまたはフォトレジスト剥離液を使用して保護コーティングを除去できる。
【0016】
図1に、本開示における少なくともいくつかの実施形態に従って、グラフェン単層を成長させるのに適した基質を製造しかつ/またはそのような基質上にグラフェン単層を製造するプロセス100の流れ図を示す。図2A−2Fは、本開示における少なくともいくつかの実施形態によるプロセス100の一部に関連する構造の実施例を示す。プロセス100は、ブロック102、104、106、108、110および/または112のうちの1つ以上で例証されている1つ以上の操作、関数またはアクションを含み得る。プロセス100はブロック102で開始し得る。
【0017】
ブロック102「基質上に金属層を形成」では、基質上に金属層を形成できる。様々な実装において、ブロック102で形成される金属層は、例えば、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)および/または銅(Cu)のうちの1種以上を包含し得る。例えば、ブロック102で形成される金属層はニッケル(Ni)接着層を含む場合があり、このNi接着層上には銅(Cu)の厚層を形成できる。いくつかの実施例において、銅の層の厚さは、約250μm〜約750μmの範囲であり得る。図2Aおよび2Bは、基質202上に金属層204を形成する工程を示す。図2Bの実施例では、金属層204を基質202全体に形成できることが示されているが、その他の様々な実装では、金属層204を基質202の一部にしか形成できない。例えば、様々な実装においては、層204をリソグラフィー的にパターン化することによって金属層204を基質202上に形成できる。
【0018】
ブロック102で形成される金属層は、様々な公知技術(蒸着、スパッタリング等)を使用して形成できる。例えば、250nm厚のCu層は、アルゴン(Ar)約5mTorrの作動圧力および約150Wの標的電力を有するスパッター析出システムまたはツールを用い、基質上に析出できる。様々な実装において、基質はシリコン(Si)、SiO2、アルミナまたは酸化アルミニウム(Al2O3)、および/または調整済み熱膨張基質のうちの1つ以上であり得る。例えば、基質202は、熱膨張の係数が約0.5×10−6/Kまたはそれ以上の範囲に及ぶ調整済み熱膨張基質(融解SiO2、β−ユークリプタイト等)であり得る。様々な実装において基質202は、SiO2表面層を有するシリコン基質であり得る。プロセス100はブロック102からブロック104まで続行可能である。
【0019】
ブロック104「金属層上に誘電材料層を形成」では、金属層上にキャップ層または誘電材料層を形成できる。様々な実装においては、金属層上にSiO2のキャップ層を形成できる。例えば、ブロック104は公知技術を使用して厚さ約250μm〜約750μmの範囲のSiO2厚層を金属層上に形成する工程を含む。図2Cは、金属層204上に誘電材料層206を形成する工程を示す。例えば、600nm厚のSiO2層は、ブロック104でスパッター析出システムまたはツールを用い、アルゴン(Ar)の作動圧力:約5mTorr、および基板バイアス:約3ボルトにて約2.57nm/minの速度で基質上に析出できる。プロセス100はブロック104からブロック106まで続行できる。
【0020】
ブロック106「金属層を配向再結晶化」では、金属層を配向再結晶化させることができる。様々な実装では、キャップ層を通して金属層に適用されたレーザービームを使用して金属層を加熱することによって、ブロック102で形成された少なくとも一部の金属層に対しブロック106で配向再結晶化を実施できる。図2Dは、少なくとも部分的に金属層204から再結晶した金属層208を形成する工程を示す。
【0021】
図3A/3Bは、プロセス100のブロック106の実装に関連し得る構造300の実施例を示す。様々な実装においてブロック106は、単一直線ビーム構成にて金属層を投影照射に曝す工程と、レーザー放射線を利用して少なくとも一部の金属層を横断的に走査する工程と、を含む。図3Aに示すように、放射線方向Z−Z’の入射角に沿ってレーザー放射線302を供給できる。このレーザー放射線は、キャップ層304を通過し、金属層308の選択部分306に吸着されるため、融解部分306にも吸着される。図3Bは、放射線方向Z−Z’に沿って層308を見下ろして見た構造300を表す。
【0022】
レーザー放射線302が除去されると、放射線302に暴露されたパート金属層部分306は、溶融状態から固化して再結晶する場合がある。様々な実装において、放射線302を形成するパルス化光学放射線は、KrFエキシマレーザーを通して供給できると共に、視準望遠鏡、銅製の単一スリットマスク、および/または縮小率5倍のレンズを通しても供給できる(図3A/3Bでは、明瞭さを期して、これらの項目の図が割愛してある)。例えば、Cu金属層には、約400mJ/cm2〜約900mJ/cm2のKrFエキシマレーザーフルエンスを使用できる。
【0023】
図3Bに示すように、方向X−X’に沿ってフルエンス領域305を走査することによって、レーザー放射線302を306部分に供給できる。ここで、方向X−X’は、放射線方向Z−Z’の入射角に対して概ね直角である。領域305は、放射線302に曝される306部分のエリアに対応する。それに応じて、306部分全体にわたって領域305を走査した後、金属層308は、方向X−X’に沿って配向再結晶化または固化する特徴を表し得る。
【0024】
放射線302を供給する基質310および/またはレーザーソースは、既知の搬送システムを使用して相互に移動でき、その結果、306部分全体にわたって領域305を走査できる。更に、いくつかの実装では、基質310および/または放射線302は相互に移動し、その結果、例えば、306部分を方向X−X’に沿って配向再結晶化した後、306部分全体にわたって放射線302を別の方向Y−Y’に沿って走査できる。そのような走査の完了後、金属層308は、X−X’およびY−Y’の双方向に沿って配向再結晶化または固化する特徴を更に表し得る。
【0025】
図1および図2の記述に戻ると、プロセス100は、ブロック106からブロック108「続行?」まで続行できる。このブロック108は、プロセス100を更に続行するかどうかを判定する判定ブロックである。ブロック108がプロセス100を終了する判定に帰結した場合、結果として、図2Dに示す構造とほぼ同じ構造が、少なくとも部分的に再結晶した金属層208を担持する基質202を含む。この金属層208は、誘電材料層206でキャップされている。この場合、キャップ層206が除去された後の再結晶金属層208は、以後にグラフェン単層を成長させるのに好適になり得る。
【0026】
様々な実装において、グラフェン単層を成長させるのに適した再結晶金属層は、配向再結晶化を受けなかった金属層の金属粒径に比べて実質的に大きい金属粒径を含み得る。例えば、非再結晶金属層204が、Cuのスパッター析出によって形成された場合、金属層204の粒径は約0.1μmまたはそれ以下の長さであり得る。対照的に、ブロック106でレーザーによる配向再結晶化後、対応する再結晶金属層208の金属粒の長さは、少なくとも15μmまたはそれ以上の長さになり得る。それに応じて、グラフェン単層を成長させるのに適した再結晶金属層208は、金属層204と比べ、平均粒子境界エリア密度が少なくとも1/150であり得る。再結晶金属層の粒長が、少なくとも15μmまたはそれ以上であれば、グラフェン単層を約15μmまたはそれ以上の長さに形成するのに好適であり得る。
【0027】
プロセス100の記述に戻ると、ブロック108が、プロセス100を続行する判定に帰結した場合、ブロック106の後に、ブロック110「誘電材料層を除去」が続く。このブロック110で、誘電材料層を除去できる。例えば、様々な実装においては、既知の湿潤および/または乾燥エッチング技術を使用して、誘電材料層を除去できる。図2Eは、再結晶金属層208および基質202から誘電材料層206を除去する工程を示す。ブロック110の後には、ブロック112を続けることができる。
【0028】
ブロック112「再結晶金属層上にグラフェン単層を形成」では、再結晶金属層上にグラフェン単層を少なくとも15μmの長さに形成できる。例えば、様々な実装においては、炭化水素ガスの混合物中で化学気相成長(CVD)を使用して、再結晶金属層上にグラフェン単層を形成できる。図2Fは、再結晶金属層208上にグラフェン単層210を約15μmまたはそれ以上の長さに形成する工程を示す。
【0029】
図4は、グラフェン単層を形成するためのプロセス条件400の実施例を示す。このグラフェン単層は、プロセス100のブロック112において本明細書に記載されている少なくともいくつかの実施形態に従って利用できる。本明細書において条件400は、グラフェン単層を成長させるのに適した条件の一実施例として提供されているが、請求項に記載されている主題は条件400の実施例、またはグラフェン単層を金属層上に形成する任意の具体的なプロセスもしくはプロセス条件だけに限定されるものではない。
【0030】
条件400の実施例において、図1および図2Fを参照すると、基質202および再結晶金属層208を含めたアセンブリを、CVDシステムに配置し、破線402で指示されているプロセス温度プロファイルに概ね従ってブロック112でグラフェン単層の形成を進めることができる。初期フェーズ404では、水素(H2)ガス流量:約2立方センチメートル毎分(標準状態換算)(SCCM)、CVDシステム総圧力:約40mTorrで、アセンブリを約1000℃の温度になるまで徐々に加熱し得る。以後、フェーズ406では、温度を約1000℃に維持しながら、CVDシステム総圧力:約500mTorrで、H2流量:2SCCM、およびメタン(CH4)流量:約35SCCMの組み合わせで供給される炭化水素ガスの混合物にアセンブリを曝すことによって、再結晶金属層上にグラフェン単層を形成できる。最後に、フェーズ408では、アセンブリを周囲温度まで冷却させながら、フェーズ406の圧力条件および同じガスの混合物下でアセンブリを保持できる。
【0031】
図2Fを参照すると、グラフェン単層210は形成後に再結晶金属層208および基質202から除去または単離できる。例えば、様々な実装においては、グラフェン単層210は除去前に、先にポリジメチルシロキサン(PDMS)またはポリメチルメタクリレート(PMMA)でコーティングして保護できる。基質202がシリカ系のものである場合、基質を研磨で薄層化し、続いて、HFおよび/またはフルオロホウ酸溶液を使用した既知の化学エッチング技術を施し得る。その他の材料から形成された基質202は、既知の酸エッチング溶液を使用して除去できる。その後、鉄硝酸含有のエッチング溶液を使用して、再結晶金属層208を除去できる。最後に、再結晶金属層208および基質202から単離されたグラフェン単層210をテスト構造または回路に移してもよいし、アセトンまたは既知のフォトレジスト剥離液を使用して保護コーティングを除去してもよい。更に、図2B/2Cを参照すると、様々な実装においては、誘電材料層206を形成する前に、既知の化学的機械的研磨技術を使用して金属層204を研磨できる。
【0032】
いくつかの実装においては、グラフェン単層210および基質202から再結晶金属層208を選択的に除去できる。例えば、グラフェン単層210をまずPDMSまたはPMMAでコーティングして保護できる。続いて、鉄硝酸含有のエッチング溶液を使用して再結晶金属層208を除去でき、その後、アセトンまたは既知のフォトレジスト剥離液を使用して保護コーティングを除去できる。
【0033】
図5は、本開示における少なくともいくつかの実装に従い、グラフェン単層を形成するのに適した基質を使用した装置および/またはシステムを製造するためのシステム500の実施例を示す。システム500はプロセッサ506に作動可能に連結された処理ユニット502を含んでいてもよく、このプロセッサ506は処理ユニット制御ロジック504を含み得る。処理ユニット502は、製造およびアセンブリツールおよび/またはシステム(例えばプロセス100を使用して、図1〜4に例示されているような装置および/またはシステムの製造を行うように構成された1つ以上の装置等)の任意のアレンジメントを含み得る。
【0034】
処理ユニット制御ロジック504は、製造およびアセンブリツールならびに/またはシステム(CVDシステム等)の任意のアレンジメントの機能制御を行えるように構成できると共に、ハードウェア、ソフトウェアもしくはファームウェアのロジックおよび/またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。ただし、請求項に記載されている主題は、特定のタイプまたは様相の処理ユニット制御ロジックだけに限定されるものではない。プロセッサ506は、マイクロプロセスまたは中央処理ユニット(CPU)であり得る。その他の実装において、プロセッサ506は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、またはその他の集積フォーマットであり得る。プロセッサ506および処理ユニット502は、例えば、有線接続または無線接続等の任意の好適な手段を介して通信するように構成できる。
【0035】
図6は、本開示における少なくともいくつかの実施例に従ってアレンジされている、コンピュータプログラム製品600の実施例を示す。プログラム製品600は、信号搬送媒体602を含み得る。信号搬送媒体602は、1つ以上の指示604を含み得る。これらの指示を、例えばプロセッサを介して実行すると、図1に関して上述されている機能を提供できる。そのため、例えば図5のシステムを参照すると、プロセッサ506および/または処理ユニット制御ロジック504は、媒体602を介して伝えられた指示604に応答して、図1に示すブロックのうちの1つ以上を行うことができる。
【0036】
いくつかの実装において、信号搬送媒体602は、限定はされないが、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタル多目的ディスク(DVD)、デジタルテープ、メモリ等のコンピュータ可読媒体606を包含し得る。いくつかの実装において、信号搬送媒体602は、限定はされないが、メモリ、読み取り/書き込み(R/W)CD、R/W DVD等の記録可能媒体608を包含し得る。いくつかの実装において、信号搬送媒体602は、限定はされないが、デジタルおよび/またはアナログ通信媒体(例えば、光ファイバーケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク、その他)等の通信媒体610を包含し得る。よって、例えば、図5のシステムを参照すると、プログラム製品600は信号搬送媒体602を介してプロセッサ506に無線で搬送され、ここで、信号搬送媒体602は無線通信媒体610(例えば、802.11規格準拠の無線通信媒体)を介してシステム500に搬送される。
【0037】
図7は、コンピューティング装置700の実施例を示すブロック線図である。いくつかの実施例において、グラフェン単層を成長させるのに適した基質の製造の制御は、コンピューティング装置700を介して遂行し得る。極めて基本的な構成701において、コンピューティング装置700は典型的に、1つ以上のプロセッサ710およびシステムメモリ720を含む。メモリバス730は、プロセッサ710とシステムメモリ720との間の通信に使用できる。
【0038】
システムメモリ720は、所望の構成に応じた任意のタイプであってよく、揮発性メモリ(RAM等)、不揮発性メモリ(ROM、フラッシュメモリ等)またはそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。システムメモリ720は典型的に、オペレーティングシステム721、1つ以上のアプリケーション722、およびプログラムデータ724を含む。アプリケーション722は、本明細書に記載されている機能を行えるようにアレンジされた指示723を含む場合がある。この指示は、図1に示す流れ図に関して記述されたアクションを行うことができる製造システムの制御に関して記述されたアクションを含む。プログラムデータ724は、指示723の実施に役立つ可能性のあるプロセスデータ725を包含し得る。いくつかの実施例において、アプリケーション722はオペレーティングシステム721上のプログラムデータ724と連携して動作するようにアレンジでき、結果として、本明細書に記載されているような、グラフェンを成長させるのに適した基質の製造の実装を提供できる。ここに記述されている基本構成は、図7において破線701内のコンポーネントによって示されている。
【0039】
コンピューティング装置700は、付加的な特徴または機能、ならびに基本構成701と必要なあらゆる装置およびインタフェースとの間の通信を容易にする付加的なインタフェースを有し得る。例えば、バス/インタフェースコントローラ740は、ストレージインタフェースバス741経由で基本構成701と1つ以上のデータストレージ装置750との間の通信を容易にする目的に使用できる。データストレージ装置750は、リムーバブルストレージ装置751、非リムーバブルストレージ装置752、またはそれらの組み合わせであり得る。リムーバブルストレージおよび非リムーバブルストレージ装置の例としては、磁気ディスク装置(フレキシブルディスクドライブおよびハードディスクドライブ(HDD)等)、光学ディスクドライブ(コンパクトディスク(CD)ドライブまたはデジタル多目的ディスク(DVD)ドライブ等)、ソリッドステートドライブ(SSD)、およびテープドライブ等が挙げられる。コンピュータストレージ媒体の例としては、情報(コンピュータで読み取り可能な指示、データ構造、プログラムモジュール、またはその他のデータ等)を保管するための任意の方法または技術で実装された揮発性および不揮発性、リムーバブルおよび非リムーバブル媒体を挙げることができる。
【0040】
システムメモリ720、リムーバブルストレージ751および非リムーバブルストレージ752はいずれも、コンピュータストレージ媒体の例である。コンピュータストレージ媒体は、限定されないが、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリもしくは他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多目的ディスク(DVD)もしくはその他の光学ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージもしくはその他の磁気ストレージ装置、または所望の情報の保存に使用できかつコンピューティング装置700を介してアクセスできるその他の任意の媒体が挙げられる。コンピュータストレージ媒体はどのようなものも、装置700の一部となり得る。
【0041】
コンピューティング装置700はまた、バス/インタフェースコントローラ740を介して様々なインタフェース装置(例えば、出力インタフェース、周辺インタフェース、および通信インタフェース)から基本構成701への通信を容易にするインタフェースバス742を含む。出力インタフェース760の例としては、1つ以上のA/Vポート763を介して様々な外部装置(ディスプレイまたはスピーカ等)と通信するように構成できる、グラフィックス処理ユニット761および音声処理ユニット762が挙げられる。周辺インタフェース760の例としては、1つ以上のI/Oポート773を介して、入力装置(例えば、キーボード、マウス、ペン、ボイス入力装置、タッチ入力装置、その他)等の外部装置、またはその他の周辺装置(例えば、プリンタ、スキャナ等)と通信するように構成できる、シリアルインタフェースコントローラ771またはパラレルインタフェースコントローラ772が挙げられる。通信インタフェース780の例としては、1つ以上の通信ポート782を介してネットワーク通信経由で1つ以上の他のコンピューティング装置790との通信を容易にするようにアレンジされたネットワークコントローラ781が挙げられる。ネットワーク通信接続は、通信媒体の一例である。通信媒体は典型的に、コンピュータで読み取り可能な指示、データ構造、プログラムモジュール、または変調データ信号(搬送波もしくはその他の搬送メカニズム等)内のその他のデータによって具体化でき、任意の情報配布媒体を含む。「変調データ信号」は、信号内の情報を暗号化するような方法で設定または変更できる1つ以上の特性を有する信号であり得る。限定はされないが、一例を挙げると、通信媒体は、有線媒体(有線ネットワークまたは直接有線接続等)、ならびに無線媒体(音響、無線周波(RF)、赤外線(IR)およびその他の無線媒体等)を含み得る。本明細書中に使用されている「コンピュータ可読媒体」という用語は、ストレージ媒体および通信媒体の両方を包含し得る。
【0042】
コンピューティング装置700は、携帯電話、スマートフォン、パーソナルデータアシスタント(PDA)、パーソナル媒体プレーヤ装置、無線ウェブウォッチ装置、パーソナルヘッドセット装置、アプリケーション特定の装置、または上記機能のいずれかを含むハイブリッド装置等の小型ファクタ可搬式(もしくはモバイル)電子装置の一部として実装し得る。コンピューティング装置900はまた、ラップトップコンピュータおよび非ラップトップコンピュータ構成の両方を含むパーソナルコンピュータとして実装することも、またはワークステーションまたはサーバ構成内に実装することもできる。
【0043】
本開示で言及されている「に応答する」または「に応答して」という用語は、特定の特徴および/または構造のみへの応答に限定されない。或る特徴はまた、別の特徴および/または構造に応答し、また、その特徴および/または構造の範囲内に位置し得る。更に、「連結している」もしくは「応答性」等の用語、または「に応答して」もしくは「と通信する」等の句は、本明細書中、または後述の特許請求の範囲に使用されている。これらの用語は広義に解釈すべきである。例えば、「に連結している」という句は、その句が使用されるコンテキストに応じて適宜に、「通信可能に」、「電子的に」および/または「作動可能に連結している」を指し得る。
【0044】
上述した詳細な説明のいくつかの部分は、コンピューシングシステムのメモリ(コンピュータメモリ等)内に保管されたデータビットまたはバイナリデジタル信号に対する操作のアルゴリズムまたはシンボル表現について提示されている。これらアルゴリズムの記述または表現は、データ処理分野の当業者が作業の要旨を他の当業者に伝達する際に使用する技術の例である。本明細書においてアルゴリズムは、概して、首尾一貫した一連の操作または類似の処理であり、所望の結果をもたらすものであると見なされる。このコンテキストにおいて、操作または処理は物理的数量の物理的操作を含む。典型的には、このような物理的数量は、保管、転送、結合、比較、またはそれ以外の方法で処理できる電子または磁気信号の形態を取ることができるが、必ずしも取るとは限らない。ビット、データ、値、要素、シンボル、文字、用語、数値、数字等の信号は、主に一般的用例であるという理由から、時として言及するのが好都合であることは立証済みである。ただし、これらの用語および類似の用語はいずれも、適当な物理的数量に関連付けられた便宜的なラベルにすぎないことは理解すべきである。特に別段の記載のない限り、後述の説明から明らかになるように、本明細書全体において「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「判定」等の用語を用いた説明は、コンピューティング装置のメモリ、レジスタ、またはその他の情報ストレージ装置、伝送装置、または表示装置内の物理的電子または磁気数量として表されるデータの操作または変換を行うコンピューティング装置のアクションまたはプロセスを指すことが認められる。
【0045】
上述した詳細な説明には、ブロック線図、流れ図、および/または例を使用した装置および/またはプロセスの様々な実施形態が記載されている。そのようなブロック線図、流れ図、および/または実施例が1つ以上の機能および/または操作を包含する限りにおいて、そのようなブロック線図、流れ図、または実施例の範囲内にある各機能および/または操作は、広範なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または実質的にそれらの任意の組み合わせを介して個別におよび/または一括して実行できることが、当業者に理解されるであろう。一実施形態において、本明細書に記述されている主題のいくつかの部分は、特定用途向けの集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、またはその他の集積フォーマットで実装できる。ただし、本明細書に開示されている実施形態におけるいくつかの態様が、1つ以上のコンピュータ上で実行される1つ以上のコンピュータプログラム(例えば、1つ以上のコンピュータシステム上で実行される1つ以上のプログラム)として、1つ以上のプロセッサ上で実行される1つ以上のプログラム(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ上で実行される1つ以上のプログラム)として、ファームウェアとして、または実質的にそれらの任意の組み合わせとして、全体的または部分的に等しく集積回路内に実装できることと、本開示を鑑み回路の設計ならびに/またはソフトウェアおよび/もしくはファームウェアのコードの記述が当業者の技能範囲内にあることは、当業者であれば認識されよう。加えて、本明細書に記述されている主題の機構が、プログラム製品として様々な形式で配布できることと、本明細書に記述されている主題の例示的な実施形態が、その配布を実際に行うのに使用される特定のタイプの信号搬送媒体に関係なく適用されることは、当業者によって認められるであろう。信号搬送媒体の例としては、記録可能型媒体(フレキシブルディスク、ハードディスクドライブ(HDD)、コンパクトディスク(CD)、デジタル多目的ディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリ等)、ならびに伝送型の媒体(例えば、光ファイバーケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク、その他のデジタルおよび/またはアナログ通信媒体等)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
当該技術分野においては、本明細書に記載されている様式で装置または工程を記述し、それに従って、エンジニアリング方式を使用して記載されているこの種の装置および/またはプロセスをデータ処理システムに統合することが一般的である。このことは、当業者であれば認識されよう。即ち、本明細書に記載の装置および/またはプロセスの少なくとも一部は、量的に適切な実験を通してデータ処理システムに統合できる。典型的なデータ処理システムは通常、1つ以上のシステムユニットハウジング、ビデオディスプレイ装置、メモリ(揮発性および不揮発性メモリ等)、プロセッサ(マイクロプロセッサおよびデジタル信号プロセッサ等)、コンピュータ実体(オペレーティングシステム、ドライバ、グラフィカルユーザインタフェースおよびアプリケーションプログラム等)、1つ以上の対話操作装置(タッチパッドもしくは画面等)、ならびに/またはフィードバックループおよび制御モータ(例えば、位置および/もしくは速度を検知するためのフィードバック、コンポーネントおよび/もしくは数量を移動かつ/もしくは調製するための制御モータ)を含めた制御システムを包含する。このことは、当業者であれば認識されよう。典型的なデータ処理システムは、任意の好適な市販のコンポーネント(データコンピューティング/通信および/またはネットワークコンピューティング/通信システムにおいて典型的に見られるようなもの)を用いて、実装し得る。
【0047】
本明細書に記載されている主題には、時により、他の各種コンポーネント内に含まれる各種コンポーネント、または他の様々なコンポーネントに接続されている各種コンポーネントが例示されることがある。記載されているこの種のアーキテクチャは単なる例示であり、事実上、同じ機能を提供する数多くのアーキテクチャをほかにも実装できることは理解されよう。概念的意味では、同じ機能を提供するコンポーネントのアレンジメントはどのようなものでも、所望の機能が提供されるように効果的に「関連している」。よって、本明細書において特定の機能が提供されるように組み合わせて用いられている2つのコンポーネントはいずれも、アーキテクチャまたは中間コンポーネントに関係なく、所望の機能が提供されるように互いに「関連している」と見なし得る。同様に、そのように関連する2つのコンポーネントはいずれも、互いに「作動可能に接続された」または「作動可能に連結している」と見なし得る。また、そのように関連付けることの可能な2つのコンポーネントはいずれも、所望の機能が提供されるように互いに「作動可能に連結している」とも見なし得る。作動可能に連結し得る特定の例としては、物理的に嵌合可能なコンポーネントおよび/または物理的に相互作用しているコンポーネントおよび/または無線で相互作用可能なコンポーネントおよび/または無線で相互作用しているコンポーネントおよび/または論理的に相互作用しているコンポーネントおよび/または論理的に相互作用可能なコンポーネントが挙げられる。ただし、これらに限定されない。
【0048】
本明細書において実質的に任意の複数および/もしくは単数形の用語の使用に関して、当業者であればそのコンテキストおよび/もしくは用途に適切となるように複数形から単数形に、かつ/または単数形から複数形に変換できる。本明細書では、明確化するために様々な単数/複数形の置き換えが明示的に記載されている。
【0049】
一般に、本明細書中に使用されている用語、および特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)は一般的に、「非限定的な(open)」用語(例えば、「含む(including)」という用語は「を含むが、それらに限定されない(including but is not limited to)」」と解釈すべきであり、「有する(having)」という用語は「を少なくとも有する(having at least)」と解釈すべきであり、「包含する(includes)」という用語は「を包含するが、それらに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈すべきであり、以下同様)として意図されていることは、当業者に理解されるであろう。導入済み請求項の記載(introduced claim recitation)において特定の数が意図される場合、そのような意図は当該の請求項中に明示的に記載されるものとし、そのような記載がない場合は、そのような意図も存在しない。このことは、当業者に更に理解されるであろう。例えば、理解の補助として、以下の添付の特許請求の範囲に「少なくとも1つの(at least one)」および「1つ以上の(one or more)」という導入句の使用を組み込むことによって、請求項の記載を導入することがある。ただし、そのような句を使用するからといって、「1つの(a)」または「1つの(an)」といった不定冠詞により請求項の記載を導入した場合に、導入句(「1つ以上の(one or more)」または「少なくとも1つの(at least one)」等)と不定冠詞(「1つの(a)」または「1つの(an)」等)との両方が同一の請求項に含まれるとしても、そのような導入済み請求項の記載を含んだ特定の請求項が、当該の記載を1つのみ含む実装に限定されることを示唆しているという意味に解釈すべきではない(例えば、「1つの(a)」および/または「1つの(an)」は、典型的には「少なくとも1つの(at least one)」または「1つ以上の(one or more)」を意味すると解釈すべきである)。定冠詞を使用して請求項の記載を導入した場合も、同じことが当てはまる。加えて、導入済み請求項の記載(introduced claim recitation)に特定の数が明示されている場合でも、そのような記載は、典型的には、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきである。このことは、当業者には理解されよう(例えば、他の修飾語のない、単なる「2つの記載」という記載は典型的に、少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。更に、「A、BおよびC等のうちの少なくとも1つ」に類する表記を使用した場合、概してそのような構造は、この表記であれば当業者に理解されるであろうという意味で意図されたものである(例えば、「A、BおよびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定はされないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、および/またはAとBとCのすべて、等を有するシステムを包含する)。「A、BまたはC等のうちの少なくとも1つ」に類する表記を使用した場合、概して、この種の構造は、その表記が当業者に然るべく理解されるであろうという意味で意図されている(例えば、「A、BまたはCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定はされないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、および/またはAとBとCのすべて、等を有するシステムを包含する)。更に、2つ以上の代替用語を表す実質的にすべての離接語および/または離接句は、明細書、特許請求の範囲、または図面において、それらの用語のうちの1つ、いずれか1つの用語、または両方の用語を包含する可能性が企図されることを理解すべきである。このことは、当業者に更に理解されよう。例えば、「AまたはB」という句は、「A」もしくは「B」または「AおよびB」である可能性を包含するものと理解されよう。
【0050】
また、「最適化(optimize)」という用語が、最大化および/または最小化を包含し得ることも理解すべきである。本明細書中に使用されている「最小化(minimization)」という用語および/またはそれに類するものは、大域的最小点、局所的最小点、近似大域的最小点、および/または近似局所的最小点を包含し得る。同様に、本明細書中に使用されている「最大化(maximization)」という用語および/またはそれに類するものは、大域的最大点、局所的最大点、近似大域的最大点、および/または近似局所的最大点を包含し得ることを理解すべきである。
【0051】
明細書中の「実装(an implementation)」、「1つの実装(one implementation)」、「いくつかの実装(some implementations)」、または「他の実装(other implementations)」を参照すると、1つ以上の実装に関連して記述されている特定の特徴、構造、または特性は、少なくともいくつかの実装に包含されるが、必ずしもすべての実装に包含されるとは限らないことを意味し得る。先行する説明において「実装(an implementation)」、「1つの実装(one implementation)」、または「いくつかの実装(some implementations)」の様々な外観はいずれも、必ずしも同じ実装を指すとは限らない。
【0052】
本明細書において様々な方法およびシステムを使用した技術の実施例が記述され、示されてきたが、請求項に記載されている主題から逸脱することなしに、その他の様々な修正を加えることも均等物を置き換えることもできる。このことは、当業者に理解されるべきである。加えて、本明細書に記述されている中心的概念から逸脱することなしに、特定の状況に対して、請求項に記載されている主題の教示に適応するための様々な修正を加えることもできる。ゆえに、請求項に記載されている主題は、開示されている特定の実施例に限定されるものでなく、寧ろ、請求項に記載されている当該の主題はまた、添付の特許請求の範囲、およびそれらの均等物の範囲内にあるすべての実装を含み得るように意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7