(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5762619
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】個々に符号化された読取りパターンを生成するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G06K 19/067 20060101AFI20150723BHJP
H04B 1/59 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
G06K19/067 020
H04B1/59
【請求項の数】18
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-501456(P2014-501456)
(86)(22)【出願日】2011年12月12日
(65)【公表番号】特表2014-512125(P2014-512125A)
(43)【公表日】2014年5月19日
(86)【国際出願番号】EP2011072476
(87)【国際公開番号】WO2013087089
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2013年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】508333169
【氏名又は名称】エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ゲラルト・クラインドル
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・グリンスナー
【審査官】
甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−271912(JP,A)
【文献】
特表2011−518429(JP,A)
【文献】
特開2010−117932(JP,A)
【文献】
特開2005−122585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/00−19/18
G06K 17/00
H04B 1/59
H04B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々に符号化された読取りパターン(11)を有する共振器を製造するための装置であって、
個別パターン(4v、4e)の少なくとも1つのグループ(2.1〜2.n)を有する基本パターン(2)を担体基板(3)上に生成するための構成装置と、
各グループ(2.1〜2.n)の前記個別パターン(4v、4e)の全体のセットのうちのサブセットから、読取り要素(9)を有する少なくとも1つの読取りパターン(11)を形成するための処理装置であって、各読取りパターン(11)が個々に符号化される処理装置と、
を有し、
前記処理装置が、各グループ(2.1〜2.n)の個別パターン(4v、4e)の全体のセットの選択されていない残余のセットを、流体(8)で少なくとも部分的に覆うための塗布手段(6、7)を有する、装置。
【請求項2】
前記流体(8)は、ポリマーである請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記塗布手段(6、7)が、ノズル(7)を有する少なくとも1つのディスペンサ(6)を有する請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
個々に符号化された読取りパターン(11)を有する共振器を製造するための装置であって、
個別パターン(4v、4e)の少なくとも1つのグループ(2.1〜2.n)を有する基本パターン(2)を担体基板(3)上に生成するための構成装置と、
各グループ(2.1〜2.n)の前記個別パターン(4v、4e)の全体のセットのうちのサブセットから、読取り要素(9)を有する少なくとも1つの読取りパターン(11)を形成するための処理装置であって、各読取りパターン(11)が個々に符号化される処理装置と、
を有し、
前記構成装置が、凹部(4v)および前記凹部(4v)を形成することによって形成された凸部(4e)として、前記個別パターン(4v、4e)を交互に生成するように構成されており、
前記処理装置が、少なくとも前記凹部(4v、4v')の高さ(h)だけ、前記基本パターン(2)の厚さ(D1)を均一に減らすための、エッチングによって作用する還元剤を有する、装置。
【請求項5】
前記構成装置は、エンボス装置として構成されている請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記処理装置は、各読取り要素(9)が、1つの個別パターン(4e、4e'、4v、4v')の凹部(4v)上にのみ製作されるように、設定される請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記処理装置が、前記担体基板(3)から還元剤によって還元された前記基本パターン(2)を溶解するための手段を有する請求項4から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記処理装置が、前記グループ(2.1〜2.n)上または前記基本パターン(2)上に、前記読取りパターン(11)を少なくとも部分的に形成するコーティング材料(10)の全面コーティングのためのコーティング手段(10)を有する請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記共振器は、RFIDの構成要素である請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
個々に符号化された読取りパターン(11)を有する共振器を製造するための方法であって、
構成装置によって、個別パターン(4v、4e)の少なくとも1つのグループ(2.1〜2.n)を有する基本パターン(2)を担体基板(3)上に生成するステップと、
各グループ(2.1〜2.n)の個別パターン(4v、4e)の全体のセットのうちの、選択された、または選択可能なサブセットから、読取り要素(9)を有する、個々に符号化された少なくとも1つの読取りパターン(11)を形成するステップとを、この順番で用い、
前記読取りパターン(11)を形成する前記ステップが、塗布手段によって、各グループ(2.1〜2.n)の個別パターン(4e, 4v)の全体のセットの選択されていない残余のセットを、流体(8)で少なくとも部分的に覆うステップを含む、方法。
【請求項11】
前記流体(8)は、ポリマーである請求項10に記載の方法。
【請求項12】
個々に符号化された読取りパターン(11)を有する共振器を製造するための方法であって、
構成装置によって、個別パターン(4v、4e)の少なくとも1つのグループ(2.1〜2.n)を有する基本パターン(2)を担体基板(3)上に生成するステップと、
各グループ(2.1〜2.n)の個別パターン(4v、4e)の全体のセットのうちの、選択された、または選択可能なサブセットから、読取り要素(9)を有する、個々に符号化された少なくとも1つの読取りパターン(11)を形成するステップとを、この順番で用い、
前記個別パターン(4e、4v)が、構成装置により、凹部(4v)および前記凹部(4v)を形成することによって形成された凸部(4e)として交互に生成され、
前記処理装置が、少なくとも前記凹部(4v、4v')の高さ(h)だけ、前記基本パターン(2)の厚さ(D1)を均一に減らすための、エッチングによって作用する還元剤を有する、方法。
【請求項13】
前記読取りパターンを形成する前記ステップが、
還元剤によって前記基本パターン(2)の厚さ(D1)を縮小するステップと、
前記読取りパターン(11)を少なくとも部分的に形成するコーティング材料(10)を全面コーティングするステップと、
前記担体基板(3)からの前記基本パターン(2)を溶解するステップとを、この順番で含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記個別パターン(4e、4v)が、構成装置により、凹部(4v)および前記凹部(4v)を形成することによって形成された凸部(4e)として交互に生成される請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
各読取り要素(9)が、1つの個別パターン(4e、4e'、4v、4v')上にそれぞれ形成されるように、各読取り要素(9)が前記凹部(4v、4v')上にのみ形成される請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
各グループ(2.1〜2.n)から1つの読取りパターン(11)がそれぞれ形成され、各読取りパターン(11)が別々に符号化される請求項10から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記共振器は、RFIDの構成要素である請求項10から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
請求項10から17のいずれか一項に記載の方法により生成された、および/または請求項1から9のいずれか一項に記載の装置によって製造された読取りパターン(11)を有する共振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1で特許請求される個々に符号化された読取りパターンを生成するための装置、請求項9で特許請求される対応する方法、ならびに請求項15で特許請求される方法によって生成された読取りパターンに関する。本発明で特許請求される読取りパターンは、特にRFIDチップの構成要素として用いられる。
【背景技術】
【0002】
RFID構成要素は、ますます重要になっている。依然として一般的なバーコードとは対照的なRFID構成要素の利点は、視覚的に直接接触することなく電子的に読み出すことができ、費用対効果がますます非常に大きくなるやり方で、より一層複雑なモジュールに接続し得ることである。したがって、例えば最初のRFID構成要素は、入力信号に対して応答信号を送出する簡単な応答器であった。現在、他の機能モジュールと一緒でさえ、高周波数信号の電磁放射の誘導のみによって、電源なしで動作することができるRFID構成要素の方面の開発が進んでいる。ここでは、主として、プログラムおよび読出しが可能なメモリモジュールに言及しておかねばならない。最新のRFID構成要素は、好ましくはフラットコイルであるコイル、交流信号を直流に変換するための整流器、ならびに前述の機能モジュールを有する。
【0003】
産業界では、早期にRFID技術が、生産鎖において商品に印を付けるのに既に用いられていた。半完成品は、RFID「ラベル」を受け取り、工場内の最終的な取付けまで、追跡され、記録され、監視され得た。さらに、RFID技術は小売店チェーンにも導入され、商品が、RFIDによって窃盗に対して守られていた。小型化が進むことにより、これらの構成要素は、より多くの機能を備えるばかりでなく、ますますより小さくなると同時に、より廉価になっている。
【0004】
主要な問題の1つに、いわゆる符号反射器(共振器)の「符号」がある。各RFID構成要素が、読み出し可能な、それ自体の「番号」(符号)を有する。この番号は、読み取らなければならないソフトウェアとして記憶装置の中に存在するのではなく、符号反射器の中に物理的に符号化されている。(フラット)コイルに入ってくる電磁「読取り波」が、RFID回路に給電する電流を誘起する。共振器は、アンテナを介して放射される符号化されたアナログ信号および/またはデジタル信号を、応答信号として「返す」。原始的用語の共振器は、ラインパターンから成る。特定の位置にラインパターンを設けることにより、共振周波数を設定することができる。問題は、複数の共振器を経済的に生成することができるように、いくつかのRFIDチップまたは共振器が1つのウェーハ上に生成されることである。もちろん、RFIDチップのそれぞれが、そのそれ自体の「識別子」を有する必要があり、したがって、それ自体の、主として固有の符号を有しなければならない。もちろん、各チップ位置に単純に対応するパターンがマスクの中に存在していることにより、この環境に見合うマスクを生成することができるはずである。しかし、1つのウェーハ当たり1つのマスクを用意するコストは、不相応である。現在まで、「動的に可変のマスク」を生成する可能性はないので、共振器の生産プロセスは、チップのその他の構造とは別に行なう必要がある。
【0005】
今日まで、共振器を生成するのに、ラインのパターンが個々に生成されるリソグラフィ法が用いられている。開口に対する波長の比による制約要因を構成する解像度によって、技術的問題がもたらされる。パターンが小さければ小さいほど、波長もまた短くなければならず、必然的にリソグラフィシステムがより複雑になり、このことが、対応するコストの爆発的な増加をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、個々に符号化される読取りパターンの製造を簡易化することであり、したがって、利用可能でより経済的なRFIDチップを製作することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は請求項1、9および15の特徴を用いて達成される。本発明の有利な発展は、従属請求項で示される。明細書、特許請求の範囲および/または図に示される特徴の、少なくとも2つのもののすべての組合せも、本発明の範囲に入る。所与の値の範囲において、示された限界内の値も境界値として開示されていると考えられ、任意の組合せで特許請求されることになる。
【0008】
本発明の主要な概念は、まず、生成するのが簡単で特に均一な基本パターンを担体基板上に形成し、次いで、この基本パターンを処理することにより、この基本パターンの基礎上に、個々に符号化された読取りパターンを形成することである。したがって、基本パターンを生成するのに標準方式を用いることができ、その結果、読取りパターンを製造するのに数ステップを設けるにもかかわらず、従来技術と比較してより経済的な製造が可能になる。
【0009】
したがって、独立発明は、
- 少なくとも1つの個別パターンのグループを有する基本パターンを担体基板上に生成するための、特にリソグラフィシステムの形態の構成装置、および
- 各グループの個別パターンの全体のセットのうちの、選択された、または選択可能なサブセットからの読取り要素を用いて、個々に符号化された少なくとも1つの読取りパターンを一度に形成するためのいくつかの装置から成る処理装置、といった特徴を有する、符号化された読取りパターン、特に共振器を個々に生成するための装置である。
【0010】
本発明の有利な一実施形態によれば、各グループの個別パターンの合計数の選択されていない残数を、流体、特にポリマーで少なくとも部分的に覆うための塗布手段を有する処理装置が提供される。したがって、塗布手段の起動を制御することにより、覆われた個別パターン上に読取り要素または読取りパターンが形成されるのを防止することができる。これによって、読取りパターンがかなり単純化され、その製造がより経済的になる。
【0011】
塗布手段が、ノズルを有する少なくとも1つのディスペンサ、特にナノディスペンサを有する限り、極端に小量の流体さえ、正確で迅速に計量することができる。
【0012】
有利には、凹部および特に凹部を形成することによって形成された凸部として、個別パターンを交互に生成するように製作された構成装置が、特にエンボス装置として、さらに提供される。このやり方で、極端に小さな寸法を有する個別パターンを特に経済的に生成することができる。
【0013】
各読取り要素が、1つの個別パターン上に一度に製作されるように、特に凹部上にのみ一度に製作されるように、この装置を有利な構成に設定することにより、それぞれの選択されていない個別パターンを、特に容易に、かつ確実に覆うことができる。
【0014】
そのうえ、本発明において特許請求されるように、処理装置は、特に(担体基板の)凹部の少なくとも1つの高さhだけ、基本パターンの厚さD
1を特に均一に減らすための、特にエッチングによって作用する還元剤を有すると考えられる。したがって、還元/ストリッピングの後の凹部の面が担体基板によって形成され、その結果、その次に読取りパターンを形成するために凹部に導入される材料は、担体基板に直接接合され得る。
【0015】
本発明の別の有利な実施形態では、各グループ上または基本パターン上に、読取りパターンを少なくとも部分的に形成するコーティング材料の、特にブランケットコーティング、特に堆積のためのコーティング手段を有する処理装置を提供することができる。このやり方で、全表面にコーティング材料を容易に塗布することができ、選択されていない個別パターンは、流体で覆われていることにより、コーティングされるのを妨げられる。したがって、選択されていない個別パターンはコーティングされない。
【0016】
有利には、処理装置は、特に担体基板から還元剤によって還元された基本パターンを特に完全に溶解するための手段を有する。したがって、選択された個別パターン、特に凹部に塗布されたコーティングが、この時点で担体基板上に残っており、その結果、個々の読取りパターンは、選択された個別パターンに由来するものであり、そのうえ個々の読取り要素間の明瞭な線引きが可能になり、特に薄くすることができる。
【0017】
独立発明は、
- 構成装置により、個別パターンの少なくとも1つのグループを有する基本構造を担体基板上に生成するステップと、
- 各グループの個別パターンの全体のセットのうちの、選択された、または選択可能なサブセットからの読取り要素を有する、個々に符号化された少なくとも1つの読取りパターンを形成するステップとを、特にこの順番で用いて、符号化された読取りパターン、特に共振器を個々に生成する方法である。
【0018】
各特徴が説明された装置に関連する限りにおいて、これらの特徴は、方法にも関連する特徴として開示されたものと見なされるべきである。
【0019】
さらに、本発明は、上記装置および上記方法によって生成された読取りパターンに関するものである。
【0020】
本発明は、RFID共振器の生成ばかりでなく、一般に、個々に符号化された機械的-電子的2値パターンの生成にも関する。これらのRFIDは、本発明の好ましい一実施形態または好ましい用途である。本発明において特許請求される本発明の代替用途の1つには、一意的に識別するための製造番号を有するデバイスをもたらす機械的-電子的パターンの生成があることになる。これらの製造番号は、従来技術では、主に電子的に、フラッシュメモリの中に、特に恒久的に、または半永久的に記憶される。しかし、これらのメモリは、操作、交換、または変更が可能である。したがって、本発明において特許請求される実施形態により、個々に符号化することができるパターンの、大量生産プロセスでの生成が可能になる。いくつかの好ましい実施形態を用いて示されるように、これらのパターンの用途は多様であり得る。
【0021】
本発明の他の利点、特徴および詳細が、各図の以下の説明から明らかになるであろう。これらの図は概略的なものであり、大きく拡大されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明において特許請求される基本パターンを有する担体基板を抽出して示す断面図である。
【
図2】基本パターンの上に配置された、位置合わせ可能な塗布手段を示す概略図である。
【
図3】本発明において特許請求される、基本パターンに対する流体の塗布を示す図である。
【
図4】本発明において特許請求される、基本パターンの厚さD
1の還元/ストリッピングのステップを示す図である。
【
図5】本発明において特許請求される、基本パターンのコーティングのステップを示す図である。
【
図6】本発明において特許請求される、基本パターンの溶解のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
これら図で、本発明の利点および特徴には、本発明の実施形態、構成要素または特徴に従ってそれらを識別する参照番号でラベルが付いており、同一の機能または同一の効果を伴う機能には、同一の参照番号でラベルが付いている。
【0024】
本発明において特許請求される特徴を示す図は、個々の特徴の機能を表すことができるように、すこしも原寸に比例したものではない。個々の構成要素の比は、大きく拡大して示されている個別パターン4e、4vに起因して、不相応なことがあり得る。
【0025】
図1には、担体基板3が、特にウェーハの形で、抽出として、具体的には担体基板の面3o上に少なくとも一時的に固定された個別パターン4v、4eのグループ2.1を有する抽出として、示されている。担体基板3上には、基本パターン2を一緒に形成する複数のグループ2.1〜2.nがある。後者は、特にナノインプリントにより、連続した基本パターン2として塗布することもでき、その結果、グループ2.1〜2.nは、当初は明らかには識別することができないが、後の分離/分割によってのみ分離される。
【0026】
基本パターン2は個別パターンから成り、個別パターンは、凹部4vと、凹部4vを形成することによって形成される凸部4eとから成る。基本パターン2は、可能な限り均一な平均厚さD
1を有する。凹部4vは、担体基板3から高さhにわたって延在する。凸部4eは、凹部4vの上に高さHだけ立ち上がり、凹部は特に均一な幅Bを有する。凸部4eは、別々の深さを有することができ、特にストリップとして製作することができる。
【0027】
図2では、少なくとも1つのノズル7を通して流体8(
図3を参照されたい)を塗布するためのナノディスペンサシステムの形態の塗布手段6が、基本パターン2の反対側に配置され得る。塗布は、特に中央制御装置によって、局所的に、かつ量的に正確に制御して行なわれる。
【0028】
特別な一実施形態における塗布手段6は、いくつかのノズル7を有し、したがって、いくつかのノズル7のノズルアレイのタイプを有する。ノズル7は、有利には個々に起動することができ、したがっていくつかの小滴を同時に堆積することができる。ノズル間の距離は、特に凹部4vの間の距離と同一であり、好ましくは、個々に設定することができ、中央制御装置によって特に制御される。
【0029】
個々に符号化された読取りパターン11(
図6を参照されたい)を形成するために、塗布手段によって選択されていない凹部4vは、特に小滴の形で塗布された流体で覆われる。流体8はポリマーであって、塗布される流体の量は100μl未満であり、特に100nl未満であり、さらにより好ましくは10nl未満であって、好ましくは1nl未満である。複数の小滴が、対応する選択されていない凹部4vに塗布される。選択されていない凹部の分布が、後に、個々の読取りパターン11をもたらす。選択は、特に無作為に制御することができる。
【0030】
小滴は、特に基本パターン2の全体沿って塗布され、したがって、複数のグループ2.1〜2.nに関して、各グループ2.1〜2.nに対して小滴塗布の異なるパターンがある。
【0031】
図4に示される方法ステップにおいて、基本パターン2の露出した外側輪郭の一部分が、特にエッチング法によって、好ましくは流体エッチャントを用いて、外側輪郭の露出した面の全体で、還元剤によって特に均一に取り除かれる。
【0032】
基本パターン2の厚さD
1は、少なくとも凹部4vの高さhだけ取り除かれ、その結果、少なくとも覆われていない個別パターン、特に凸部4eは、新規の、特に基本的に均一な厚さD
2を有する。したがって、選択された個別パターンは、低減された凸部4e'および特に完全に低減された凹部4v'によって形成され、凹部4v'の底部は、担体基板3によって特に完全に形成される。
【0033】
図5による次の方法ステップで、基本パターン2は、コーティング材料10で特に完全に(したがって、すべてのグループ2.1〜2.nが)コーティングされ、したがって、選択された個別パターンおよび選択されていない個別パターンの両方がコーティング手段(堆積手段)によってコーティングされる。コーティング材料10は、好ましくは金属である。コーティングは、基本パターン2が配置された担体基板3の面3oに対して垂直な方向から行なわれる。したがって、面3oに対して垂直な(または基本的に垂直な)面、具体的には、特に個別パターンの各側壁4s(これらは同時に凹部4v、4v'を形成する)は、コーティングされない、またはコーティング材料10でコーティングされるのは、せいぜい無視してよいほどである。1つの面が面3oに対して著しく傾斜されるほど、そこに塗布されるコーティング材料10は少なくなる。このことは、ますます急峻に低下する縁端部に向かってますます薄くなる流体8の小滴形のコーティングに対して、特に十分に理解することができる。コーティングの量は、コーティングの厚さdが厚さD
2より薄く、かつ/または凸部4e'の高さH(任意選択で、低減された高さH')より薄くなるように設定される。したがって、側壁4sは、少なくとも部分的に露出している。
【0034】
図6に示されるように、基本パターン2が、溶解剤によって(ここではストリップ法によって)取り除かれ、その結果、担体基板3の面3oに直接塗布されたコーティング材料10の部分のみが、コーティングによって面3oに接続されているので担体基板3上に残り、この部分は、他の部分的な量のコーティング材料10と同様に、基本パターン2または流体8とともに取り外される/取り除かれる/除去されることがない。特にコーティング材料10がフォトレジストであるとき、取外しは、好ましくは化学処理によって行なわれる。基本パターンを溶解するための手段は、選択的に基本パターン2を溶解し、好ましくはコーティング材料10を攻撃しない。
【0035】
面3o上に残るコーティング材料10は、選択された凹部4vによる形状に一致し、コーティング材料10のこの部分が、読取り要素9を形成する。
【0036】
読取り要素9は、各グループ2.1〜2.nにおいて別々に符号化され、RFIDチップ用の共振器として使用され得る。したがって、読取り要素9の各グループ2.1〜2.nが、小さな厚さdを有する符号化された読取りパターン11を形成する。
【0037】
それぞれ符号化された読み取り構造体11を有するグループ2.1〜2.nは、特に担体基板3の背面薄層化プロセスの後に分離され得る。
【0038】
したがって、複数の別々に符号化された読取りパターン11を容易に生成することができる。したがって、1つの担体基板3上に、異なって符号化された数百の読取りパターン11を生成することができ、それぞれの新規の担体基板に対して、新規の個々の符号化をもたらすことができる。
【0039】
基本パターン2および読取りパターン11は、本発明において特許請求される方法の前に、実行中に、または実行の後に、光学顕微鏡法、走査トンネル顕微鏡法、走査型電子顕微鏡法、AFM(原子間力顕微鏡法)またはMFM(磁力顕微鏡法)などの様々な測定方法によって検査することができる。
【符号の説明】
【0040】
2 基本パターン
2.1〜2.n グループ
3 担体基板
3o 面
4v、4v' 凹部
4e、4e' 凸部
4s 側壁
6 塗布手段
7 ノズル
8 流体
9 読取り要素
10 コーティング材料
11 読取りパターン
D
1 厚さ
D
2 厚さ
d 厚さ
h 高さ
H、H' 高さ
B 幅