特許第5762634号(P5762634)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5762634
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】電気機械の固定子
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/04 20060101AFI20150723BHJP
【FI】
   H02K3/04 Z
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-518074(P2014-518074)
(86)(22)【出願日】2011年7月7日
(65)【公表番号】特表2014-518501(P2014-518501A)
(43)【公表日】2014年7月28日
(86)【国際出願番号】IT2011000231
(87)【国際公開番号】WO2013005238
(87)【国際公開日】20130110
【審査請求日】2014年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】512227384
【氏名又は名称】テクノマティック・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】TECNOMATIC S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(72)【発明者】
【氏名】サンテ・グエルチョーニ
【審査官】 槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−130667(JP,A)
【文献】 特開2008−148483(JP,A)
【文献】 特開2000−069729(JP,A)
【文献】 特開2010−239798(JP,A)
【文献】 特開2006−060880(JP,A)
【文献】 特開2008−113539(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02841701(FR,A1)
【文献】 特開2001−211586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械の固定子(1)であって、
互いに対向する第1及び第2の面(3、4)と、前記面(3、4)間を延び、固定子軸(Z−Z)の周りに分配された固定子スロットの円形アレイ(5)と、を有する固定子コアと、
バー巻線(10)を形成するために互いに相互接続された複数の基本導体(11)及び複数の特殊導体(12、13、14、15、16、17)を含む前記バー巻線(10)を有し、
各基本導体(11)は、2つの基本導体脚部(11A、11B)と、前記脚部(11A、11B)間に基本導体接続部(11C)とを含み、各基本導体脚部(11A、11B)は、基本導体接続部(11C)に接続された端部と反対側の自由端部(11F)とを有し、
前記基本導体(11)は、前記自由端部(11F)が前記第2の面(4)から突出した状態で前記固定子スロット(5)に挿入され、前記自由端部(11F)は、半径方向外側円形端層(L1)と半径方向内側円形端層(L4)を含み、互いに同心状である複数の円形の導体層(L1、L2、L3、L4)を画定し、
前記特殊導体(12、13、14、15、16、17)は、2つの前記自由端部(11F)にそれぞれ接続された第1及び第2のジャンパアーム(12A、12B、13A、13B)と、前記ジャンパアーム(12A、12B、13A、13B)間にジャンパ接合部(12C、13C)とを有する第1のタイプのジャンパ(12、13)を備え、
前記第1のタイプのジャンパ(12、13)は、
前記第1及び第2のジャンパアーム(12A、12B、13A、13B)がそれぞれ接続された2つの前記自由端部(11F)は、互いに分離された2つの前記導体層(L1、L2、L3、L4)に属し、
前記ジャンパ接合部(12C、13C)は、前記半径方向外端層(L1)または前記半径方向内端層(L4)の各前記自由端部(11F)の少なくとも1つの周囲を通過するため、前記半径方向外端層(L1)に対して半径方向外側、または前記半径方向内端層(L4)に対して半径方向内側に延びており、
前記第1及び第2のジャンパアーム(12A、12B、13A、13B)の少なくとも一方は、各前記自由端部(11F)に接続するために前記導体層(L1、L2、L3、L4)に画定された各通路に延びるように構成され
また、前記第1及び第2のジャンパアーム(12A、12B、13A、13B)の他方は、各前記自由端部(11F)に接続するための前記導体層(L1、L2、L3、L4)に画定された各通路に延びており、
前記導体層(L1、L2、L3、L4)は、連続的に前記半径方向外端層(L1)から前記半径方向内端層(L4)まで並んでいる第1(L1)、第2(L2)、第3(L3)及び第4(L4)の円形導体層を備え、前記第1のジャンパアーム(12A、13A)に接続された前記自由端部(11F)は、前記第2及び第3の層(L2、L3)の一方に属し、前記第2のジャンパアーム(12B、13B)に接続された前記自由端部(11F)は、前記第2及び第3の層(L2、L3)の他方に属する
ことを特徴とする固定子(1)。
【請求項2】
電気機械の固定子(1)であって、
互いに対向する第1及び第2の面(3、4)と、前記面(3、4)間を延び、固定子軸(Z−Z)の周りに分配された固定子スロットの円形アレイ(5)と、を有する固定子コアと、
バー巻線(10)を形成するために互いに相互接続された複数の基本導体(11)及び複数の特殊導体(12、13、14、15、16、17)を含む前記バー巻線(10)を有し、
各基本導体(11)は、2つの基本導体脚部(11A、11B)と、前記脚部(11A、11B)間に基本導体接続部(11C)とを含み、各基本導体脚部(11A、11B)は、基本導体接続部(11C)に接続された端部と反対側の自由端部(11F)とを有し、
前記基本導体(11)は、前記自由端部(11F)が前記第2の面(4)から突出した状態で前記固定子スロット(5)に挿入され、前記自由端部(11F)は、半径方向外側円形端層(L1)と半径方向内側円形端層(L4)を含み、互いに同心状である複数の円形の導体層(L1、L2、L3、L4)を画定し、
前記特殊導体(12、13、14、15、16、17)は、2つの前記自由端部(11F)にそれぞれ接続された第1及び第2のジャンパアーム(12A、12B、13A、13B)と、前記ジャンパアーム(12A、12B、13A、13B)間にジャンパ接合部(12C、13C)とを有する第1のタイプのジャンパ(12、13)を備え、
前記第1のタイプのジャンパ(12、13)は、
前記第1及び第2のジャンパアーム(12A、12B、13A、13B)がそれぞれ接続された2つの前記自由端部(11F)は、互いに分離された2つの前記導体層(L1、L2、L3、L4)に属し、
前記ジャンパ接合部(12C、13C)は、前記半径方向外端層(L1)または前記半径方向内端層(L4)の各前記自由端部(11F)の少なくとも1つの周囲を通過するため、前記半径方向外端層(L1)に対して半径方向外側、または前記半径方向内端層(L4)に対して半径方向内側に延びており、
前記第1及び第2のジャンパアーム(12A、12B、13A、13B)の少なくとも一方は、各前記自由端部(11F)に接続するために前記導体層(L1、L2、L3、L4)に画定された各通路に延びるように構成され
前記導体層(L1、L2、L3、L4)は、周方向に第1のピッチで屈曲された第1のセットの自由端部(11F)と、周方向に前記第1のピッチとは異なる第2のピッチで屈曲された第2のセットの自由端部(11F)とを有し、少なくとも1つの前記導体層(L1、L2、L3、L4)は、前記第1のピッチで屈曲された、連続的に互い円周方向に隣接して配置された一群の自由端部(11F)を有し、前記第1のタイプのジャンパ(12、13)は、前記自由端部(11F)の群の周りを曲がり、前記第1及び第2のジャンパアーム(12A、12B、13A、13B)に接続された前記自由端部(11F)は、前記第2のピッチで屈曲されている
ことを特徴とする固定子(1)。
【請求項3】
電気機械の固定子(1)であって、
互いに対向する第1及び第2の面(3、4)と、前記面(3、4)間を延び、固定子軸(Z−Z)の周りに分配された固定子スロットの円形アレイ(5)と、を有する固定子コアと、
バー巻線(10)を形成するために互いに相互接続された複数の基本導体(11)及び複数の特殊導体(12、13、14、15、16、17)を含む前記バー巻線(10)を有し、
各基本導体(11)は、2つの基本導体脚部(11A、11B)と、前記脚部(11A、11B)間に基本導体接続部(11C)とを含み、各基本導体脚部(11A、11B)は、基本導体接続部(11C)に接続された端部と反対側の自由端部(11F)とを有し、
前記基本導体(11)は、前記自由端部(11F)が前記第2の面(4)から突出した状態で前記固定子スロット(5)に挿入され、前記自由端部(11F)は、半径方向外側円形端層(L1)と半径方向内側円形端層(L4)を含み、互いに同心状である複数の円形の導体層(L1、L2、L3、L4)を画定し、
前記特殊導体(12、13、14、15、16、17)は、2つの前記自由端部(11F)にそれぞれ接続された第1及び第2のジャンパアーム(12A、12B、13A、13B)と、前記ジャンパアーム(12A、12B、13A、13B)間にジャンパ接合部(12C、13C)とを有する第1のタイプのジャンパ(12、13)を備え、
前記第1のタイプのジャンパ(12、13)は、
前記第1及び第2のジャンパアーム(12A、12B、13A、13B)がそれぞれ接続された2つの前記自由端部(11F)は、互いに分離された2つの前記導体層(L1、L2、L3、L4)に属し、
前記ジャンパ接合部(12C、13C)は、前記半径方向外端層(L1)または前記半径方向内端層(L4)の各前記自由端部(11F)の少なくとも1つの周囲を通過するため、前記半径方向外端層(L1)に対して半径方向外側、または前記半径方向内端層(L4)に対して半径方向内側に延びており、
前記第1及び第2のジャンパアーム(12A、12B、13A、13B)の少なくとも一方は、各前記自由端部(11F)に接続するために前記導体層(L1、L2、L3、L4)に画定された各通路に延びるように構成され
前記特殊導体(12、13、14、15、16、17)は、前記第1のタイプのジャンパ(12、13)のそれに対して半径方向で反対側にある前記バー巻線(10)の一側に配置された第2のタイプのジャンパ(14、15)を複数有し、
各前記第2のタイプのジャンパ(14、15)は、2つのジャンパアーム(15A、15B、14A、14B)と、該ジャンパアーム(15A、15B、14A、14B)間にあるジャンパ接続部(14C、15C)とを有し、各前記第2のタイプのジャンパ(14、15)の2つの前記ジャンパアーム(14A、14B、15A、15B)は、複数の前記層(L1、L2、L3、L4)のうちの同じ層に属する前記自由端部(11F)のうちの2つにそれぞれ接続されており、
前記複数の前記第2のタイプのジャンパ(14、15)は、互いに交差して配置されている
ことを特徴とする固定子(1)。
【請求項4】
前記導体層(L1、L2、L3、L4)は、周方向に第1のピッチで屈曲された第1のセットの自由端部(11F)と、周方向に前記第1のピッチとは異なる第2のピッチで屈曲された第2のセットの自由端部(11F)とを有し、少なくとも1つの前記導体層(L1、L2、L3、L4)は、前記第1のピッチで屈曲された、連続的に互い円周方向に隣接して配置された一群の自由端部(11F)を有し、前記第1のタイプのジャンパ(12、13)は、前記自由端部(11F)の群の周りを曲がり、前記第1及び第2のジャンパアーム(12A、12B、13A、13B)に接続された前記自由端部(11F)は、前記第2のピッチで屈曲されている
ことを特徴とする請求項1または3に記載の固定子(1)。
【請求項5】
前記特殊導体(12、13、14、15、16、17)は、さらに、前記固定子スロット(5)に挿入され、前記固定子の前記第2の面(4)から突出する相端子端部(17F)を有する相端子(17)を有し、前記第1のタイプのジャンパ(12、13)は、また、前記相端子端部(17F)の周りを曲がり、前記第1及び第2のジャンパアーム(12A、12B、13A、13B)の少なくとも一方は、前記相端子端部(17F)の周りを通り、各前記自由端部(11F)に接続するように屈曲された個別のジャンパアーム端部(12F)を有する
ことを特徴とする請求項2または4に記載の固定子(1)。
【請求項6】
前記第1のタイプのジャンパ(12、13)を複数含む
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の固定子(1)。
【請求項7】
前記特殊導体(12、13、14、15、16、17)は、前記第1のタイプのジャンパ(12、13)のそれに対して半径方向で反対側にある前記バー巻線(10)の一側に配置された第2のタイプのジャンパ(14、15)を複数有し、
各前記第2のタイプのジャンパ(14、15)は、2つのジャンパアーム(15A、15B、14A、14B)と、該ジャンパアーム(15A、15B、14A、14B)間にあるジャンパ接続部(14C、15C)とを有し、各前記第2のタイプのジャンパ(14、15)の2つの前記ジャンパアーム(14A、14B、15A、15B)は、複数の前記層(L1、L2、L3、L4)のうちの同じ層に属する前記自由端部(11F)のうちの2つにそれぞれ接続されており、
前記複数の前記第2のタイプのジャンパ(14、15)は、互いに交差して配置されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の固定子(1)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の固定子(1)を有する電気機械。
【請求項9】
請求項1からのいずれか1項に記載の固定子(1)または請求項8に記載の電気機械を含む電気自動車またはハイブリッド車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、電気機械の固定子に関し、より具体的には、請求項1のプリアンブルで定義されるような固定子に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばハイブリッド電気自動車(HEV)に適用される発電機や電気モータ等の電気機械の固定子を構成することが知られており、これは、固定子巻線が所謂バー巻線を形成するように曲げられ、様々に相互接続された複数のバー導体で構成されている。
【0003】
具体的には、従来技術においてバー巻線が知られており、該バー巻線は、矩形断面を有する電気バー導体からなる。「矩形」の用語は、一般的には、断面の2辺が他の2辺よりも小さい矩形断面を意味するが、ここでは、正方形の断面と「扁平」な断面を共に意味する。
【0004】
従来技術のバー巻線を形成するバー導体は、通常、複数の所謂「基本」導体、及び、相端子、ジャンパ、中性点接続、スターセンタ等の複数の所謂「特殊」導体、すなわち、巻線を完成するのに必要な導体を有する。
【0005】
基本導体は、通常、線状のバー導体から始めて、「U」または「P」状に屈曲することによって予備成形される。特許文献1は、基本バー導体(該文献では「ヘアピン状導体」と呼ばれる)を予備成形するための例示的な方法を説明する。
【0006】
当該技術分野において「基本予備成形導体」として知られている「U」または「P」状に予備成形された導体は、また、通常、異なる長さを有する2つの隣接する脚部を備え、各々は、2つの脚部の他方との接続部を介して接続された一端部と、反対の自由端部とを有する。
【0007】
例えば、固定子を組み立てるために、「U」または「P」状予備成形バー導体に2つの異なるタイプの捩りを実行することが知られている。
【0008】
「挿入側捻り」とも呼ばれる第1のタイプの捻りでは、基本的な予備成形がされた導体は、挿入後にこのような導体を変形させるのに適した捩り装置で形成された特別な半径方向に整列されたポケットの中に適切に挿入される。捩り装置は、同じ導体の両脚部が、捩り装置から後者を抜き出した後、半径方向に所定ピッチで相互にオフセットされている固定子コアのスロットに順次挿入できるように、「U」または「P」の形状の脚部の「拡張」のために実質的に使用される。
【0009】
特許文献2は、捩り装置のポケットの中へのその挿入後、予備成形されたバー導体を等ピッチで捻るための挿入側捻り方法の例を説明している。
【0010】
第1のタイプの捻りが施された後、バー導体は、同じ第1の側面(所謂「挿入側」)を介して固定子コアのスロットに挿入され、各自由端部が第1の側面に対向する第2の側面(所謂「溶接側」または「接続側」または「溶接面」)から突出した状態となる。
【0011】
次に、溶接側から突出する自由端部は、例えば適切な捻り治具に設けられたポケット内に挿入された後、「溶接側捻り」とも呼ばれる第2のタイプの捩りを受ける。捩り治具の目的は、そのような端部を適切に成形し、巻線を完成するため、導体間を適切に電気的に接続できるように導体の自由端部を曲げる(「捩る」)ことである。
【0012】
特許文献3は、上記タイプを典型的な溶接側捻り方法を説明する。この特許出願に記載された方法によれば、バー導体の自由端部の一様でない捻りを一度に実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第7480987号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0178270号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/0302705号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来技術のバー巻線を有する固定子において、溶接面から突出する基本導体の自由端部は、通常、固定子中心軸に対して半径方向外端の層と半径方向内端の層とを有する、互いに同心状である複数の導体円形層を画定する。
【0015】
様々な理由により、従来技術のバー巻線を有する固定子において、挿入側から及び固定子コアの溶接側から突出するバー巻線の部分の軸方向の全体寸法を可能な限り制限する必要性が感じられる。例えば、特に電気自動車またはハイブリッド車に適用された場合に、電気機械の固定子は、通常比較的限られた空間に搭載することが意図されている。特に固定子は、通常、その寸法が予め決定され、外部制約を受ける台座に搭載されることが意図されている。通常、相端子のみは、このような台座の外側に突出し、その結果、電気機械が電動機あるいは発電機のいずれとして機能するかに応じて、外部負荷または外部電源供給源に適切に接続することができる。前記台座の寸法が等しければ、現在の傾向は、固定子が属する電気機械の性能を向上させるように固定子コアの軸方向の長さをできるだけ増すことである。そのため、この手順は、(前記台座から外部の突出していることがある相端子を除いた)固定子コアから軸方向に突出するバー巻線の部分の軸方向の全体寸法を最小限にすることである。
【0016】
従来技術の固定子で見つかった欠点は、すなわち、上述のように軸方向の全体寸法を小さくしたバー巻線を設けることを目的とすると、溶接側に突出するバー導体の自由端部の間を接続できる可能性が比較的限られているという事実に関する。実際に、固定子の軸方向の全体寸法を限られたものに維持するのに適した従来技術の解決策は、本質的には、例えば、ジャンパまたはスターセンタ、円周方向に所定の程度だけ互いに離間されている半径方向外端層(または半径方向内端層)の複数の自由端部等の特殊導体を介して、固定子軸に対して半径方向に隣接して配置され、相互に接続された2つの自由端部を互いに直接溶接することにある。バー導体間を接続できる場合が比較的限られているという事実により、結果的に、ほとんど柔軟性のない溶接側に接続するという制約が生じると共に、一般的にバー巻線の設計をより自由がなく困難にするという制約が生じる。
【発明の効果】
【0017】
本明細書の目的は、先行技術を参照して述べた欠点を少なくとも一部はなくすことができる電気機械の固定子を提供することである。
【0018】
本発明の一実施態様によれば、本明細書の目的は、固定子コアから軸方向に突出する巻線部分の軸方向のコンパクトさを維持しつつ、従来の固定子に比べてより柔軟な方法で巻線導体間の接続を取り扱うことができる電気機械のバー巻線を有する固定子を提供することである。
【0019】
これら及び他の目的は、その最も一般的な形式であって、いくつかの特定の実施形態で独立請求項の中の添付された請求項1に定義された固定子によって達成される。
【0020】
本発明の対象は、また、請求項9に定義されているような電気機械と、添付の請求項9に定義されているような電気自動車またはハイブリッド車である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明は、その実施形態の以下の詳細な説明から理解されるであろう。その実施形態は、添付図面に関して限定するものではない。
図1】本発明の好ましい実施形態に係る電気機械の固定子の斜視図を示す。
図2】特に、図1で見える側と反対側の固定子を見ることができる図1の固定子の斜視図を示す。
図3図2の側から見た、図1の固定子の平面図である。
図4】2つの異なる構成でそれぞれ示された基本バー導体の実施例の斜視図を示す(図4Aは、特に、ほぼ正面図である。)。
図5】第1のタイプの特殊なブリッジ状の導体またはジャンパの実施形態の斜視図を示す。
図6図5の第1のタイプのジャンパの他の実施形態の斜視図を示す。
図7】特殊なブリッジ状導体や第2のタイプのジャンパの実施形態の斜視図を示す。
図8図7の第2のタイプのジャンパの他の実施形態の斜視図を示す。
図9】他のタイプの特殊導体、より具体的にはスターセンタまたは中性接続導体の実施形態の斜視図を示す、
図10】他のタイプの特殊導体、より具体的には相端子の実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付図面において、同等または類似した構成要素は同じ参照番号により示すこととする。
【0023】
本明細書において、「平角」または「角線」のバー導体は、各々が通常丸い角によって隣接する辺に接続された4つの実質的に平坦な側面を有するバー導体を示している。
【0024】
したがって、「平角」または「角線」なる用語、またはバー導体の断面を記述するために使用される同等の用語は、一般的な意味で使用されており、このようなバー導体が実質的に平坦な面を接続する相当に丸い端部を有することを排除するものとして解釈されるべきではない。「平角導体」なる用語は、導体が2つの対向面を有し、その間隔が2つの残りの対向面間の間隔よりも大きいことを意味すると考えるべきである。本明細書において、「直方導体」なる用語は、平角導体と角線導体の一般化したものとみなすことができ、角線導体は、4つの辺が同じ大きさを有する直方導体の特別な場合である。
【0025】
まず図1図3を参照すると、参照番号1は、本発明の好ましい実施形態に係る固定子を全体的に指している。発明がこれに限定されない実施例において、固定子1は、スター結線された三相、8極及び60kWの公称力を有する固定子である。例えば、固定子1は、例えば電気自動車またはハイブリッド車用の、例えば電動機のような電気機械の固定子である。例えば、本明細書に係る固定子は、例えばウォータポンプやオイルポンプ用の、例えば電気自動車またはハイブリッド車に設けられた補助装置にも使用することができる。
【0026】
固定子1はまた、電気機械において発電機として使用されるか、または電動機の機能と発電機の機能の両方を択一的に実行するために使用してもよいことは明らかである。添付図面は、電気機械または一般的には電気自動車またはハイブリッド車の残りの部分は当業者に広く知られているとみなして、このような電気機械の固定子を示しているに過ぎない。
【0027】
理由を単純化して説明を短縮するために、ロータの構造についてよく知る当業者が、本明細書の教示を回転子に適用することを難なく予測できると考えるので、本明細書には回転子について詳細に記載されていない。
【0028】
図1図3を常時参照すると、固定子1は、固定子コア2を備えている。図に見られるように、実施形態によれば、固定子コア2は、それ自体公知の方法、概ね円筒形状を有する薄管状本体を備え、例えば磁性材料からなり、前記固定子コア2は、固定子軸Z−Z(図3において、固定子軸Z−Zは、紙面に直交し、概略的に十字によって示されている)の周りに延在する。好ましくは、固定子軸Z−Zは、固定子コア2の本体の中央対称軸と一致する。固定子コア2の本体は、互いに対向する第1及び第2の面3、4間を軸方向(軸線Z−Z)に延び、この第1及び第2の面3、4はそれぞれ、挿入面3及び溶接面4と呼ばれる。本明細書のために、「軸方向」、「半径方向」及び「円周方向」なる用語は、固定子軸Z−Zを参照することが意図されていることに留意すべきである。さらに特に、「半径方向」及び「円周方向」なる用語は、固定子軸Z−Zに直交する平面上に位置し、固定子軸Z−Z上に各中心を有する仮想の円周を参照することが意図されている。
【0029】
固定子コア2の本体は、面3、4に延在し、固定子軸Z−Zを中心に分配されたスロット5の円形アレイを有する。この実施例では、固定子コア2の本体は、これに限定されないが、本体の厚さに軸方向に延在し、固定子軸線Z−Z周りに均等の角度で配置された72個のスロット5を有する。
【0030】
図に見られるように、固定子1は、参照番号10で全体的に示されたバー巻線を備える。実施形態によれば、巻線10は、複数の基本導体11と、バー巻線10を形成するために互いに相互接続された複数の特殊導体12、13、14、15、16、17とを備える。周知のように、これら最後に言及したバー導体12〜17は、巻線10を完成するために設けられた所謂「特殊」要素または導体を表す。このため、本明細書において、「基本導体」なる表現は、単に、上述のタイプの特殊要素または導体ではない導体を識別するために使用されることに留意すべきである、すなわち、それは、巻線の機能的な完成のために特別に設けられたものではない。
【0031】
一実施形態によれば、バー導体11〜17は、銅の導体であって長方形の導体であり、より好ましくは平角導体であり、これらは、残りの2つの対向する面よりも互いに離間した一対の対向面を示す。
【0032】
一実施形態によれば、巻線10は、相互に接続された2つの同心巻線セット10A、10Bを備える。図1に見られるように、本実施例では、巻線セット10A、10Bは、基本的に円形形状を有し、それぞれが複数の基本導体11を備える。しかしながら、一般に、巻線10は、2つ以外の所定数の同心巻線セット、例えば巻線10に必要な技術仕様に従う、2つよりも大きいまたは小さい所定数の巻線セットを備えてよいことに留意すべきである。
【0033】
実施形態によれば、特殊導体は、複数のブリッジ状導体12、13、14、15、またはジャンパ12、13、14、15、複数の相端子17及び中性接続部16、またはスターセンタ16を備える。しかし、使用される特殊導体の個数と種類は、基本導体の個数と同様に、作成された特殊巻線に従って一般に変更してもよいことは明らかである。
【0034】
図4A及び図4Bは、それぞれ2つの異なる構成を有する基本導体11の実施形態を示している。特に、図4Aにおいて、基本導体11は、実質的に“P”状に予備成形された個別の構成で示されている。この構成では、導体11は、しばしば「基本予備成形導体」と呼ばれる。図4Bにおいて、基本導体11は、例えば挿入側及び溶接側で捻られた後、その固定子1が実質的に最終の構成(つまり、図1図3で取られた構成)で示されている。図4A図4Bに見られるように、基本導体11の各々は、2つの基本導体脚部11A、11Bと、該脚部11A、11B間の基本導体接続部11C(以下、「ヘッド部」とも呼ばれる)と、を備える。各脚部11A、11Bは、連結部11C及び反対側の自由端部11Fに接続された端部を備える。
【0035】
その点に関して、図10を参照するに、このような図は、固定子1のその実質的に最終構成(つまり、図1図3において取られた構成)で相端子17の実施例を示していることが分かる。特に、また、相端子17は、第1及び第2の端子脚部17A、17Bと、このような脚部17A、17B間の端子接続部17Cとを備えることに留意されたい。さらに特に、末端脚部17Aは、即ち、アーム17A、17Bのうちのより長い末端脚部は、端子接続部17C及び反対側の自由末端部17Fに接続された端部を示す。図10に示された相端子17の実質的に最終の構成は、本実施例では、図4Aに示された基本導体11のものと同様のこのような端子の初期構成から始めて得られるが、前記脚部17A、17Bの長さの差は、図4Aの基本予備成形導体11の脚部11A、11Bの長さの差に比べてかなり大きい。例えば、図10の構成は、上述の各初期構成から始めて挿入側及び溶接側を捻ることにより得られる。
【0036】
図2を参照すると、基本導体11は、溶接面4から自由端部11Fが突出した状態で固定子スロット5内に挿入されていることがわかる。端部11Fは、互いに同心状である複数の円形導体層L1、L2、L3、L4を画定する。このような導体層L1、L2、L3、L4、本実施例では4層L1、L2、L3、L4は、半径方向外側円形端層L1と半径方向内側円形端層L4とを備える。
【0037】
実施形態によれば、上記導体層L1〜L4は、半径方向外端層L1から半径方向内端層L4まで順に、第1の円形導体層L1、第2の円形導体層L2、第3の円形導体層L3及び第4の円形導体層L4を備える。
【0038】
実施形態によれば、導体層L1〜L4は、第1のピッチで屈曲された第1のセットの自由端部11Fと、第1のピットと異なる第2のピッチで屈曲された第2のセットの自由端部11Fとを備える。実施形態によれば、各層L1、L2、L3、L4は、第1のピッチで屈曲された自由端部11Fと、第2のピッチで屈曲された端部11Fとを備える。
【0039】
図2及び図3では、第1のピッチで屈曲された自由端部11Fと第2のピッチで屈曲されたものとを区別するために、第1のピッチで屈曲された自由端部11Fは、各長方形端面に「X」がマークされている。また、本明細書において、自由端部11Fに関する「第1のピッチで屈曲された」及び「第2のピッチで屈曲された」なる表現は、このような端部がスロットの所定数で、または固定子軸Z−Zを中心とした所定角度で円周方向に延在するように曲げられることが意図されていることに留意すべきである。本実施例では、それによって何ら限定するものはでないが、前記第1のセットの端部11F(すなわち、第1のピッチで屈曲され、図2及び図3において“X”でマークされた部分は)は、Z−Z軸固定子を中心とした20°の角度で延在し、特に、互いに連続する4つの固定子スロット5に沿った長さに相当する。一方、第2のセットの端部11F(つまり、第2のピッチで屈曲され、「X」でマークされていないもの)は、固定子軸Z−Zを中心とした約22.5°の角度で延在し、特に、これは4個半の固定子スロットに沿った長さに相当する。換言すれば、この実施例では、第1のセットの自由端部11Fは、第1のピッチで屈曲されているのに対し、第2のセットの自由端部11Fは、第1のピッチよりも大きい第2のピッチで屈曲されている。好ましい実施形態によれば、端部11Fは、現在非公開の特許出願PCT/IT2011/000004号明細書に記載されるような捩り治具及び/または撚り方法によって第1及び第2のピッチで屈曲してもよい。
【0040】
実施形態によれば、2つの隣接層L1〜L4の自由端部11Fは、円周方向に反対方向に曲げられている。特に、本実施例では、層L1、L3の端部11Fは、固定子軸Z−Zの周りを所定方向に屈曲されているのに対し、層L2、L4の端部11Fは、固定子軸周りを前記所定方向の反対方向に屈曲されている。周知のように、自由端部11Fの端部11Gを固定子軸Z−Zの周りの所定位置に配置することで巻線10の導体間を適切に電気的に接続できるように、自由端部11Fは周方向に屈曲されている。
【0041】
好ましい実施形態によれば、特殊導体12〜17は、複数の第1のタイプのジャンパ12、13と第2のタイプのジャンパ14、15とを備える。しかし、(図示しない)他の好ましい実施形態によれば、第2のタイプのジャンパ14、15は設けなくてもよいことに留意すべきである。
【0042】
周知のように、ジャンパは、一般に、例えば極、相、巻線セット等間を電気的に接続するように、バー巻線の2つの基本バー導体を互いに接続するためのブリッジ状の素子またはブリッジ状の導体である。特に、添付の図面に見られるように、第1のタイプのジャンパ12、13及び第2のタイプのジャンパ14、15はそれぞれ、互いに対して半径方向にオフセットされ、2つの別体の基本導体11にそれぞれ属している互いの2つの自由端部11F、より好ましくは、前記端部11Gのうちの2つに接続されている。第1のタイプと第2のタイプの主な違いは、第1のタイプのジャンパ12、13はそれぞれ、互いに分離している層L1−L4のうちの2つに属する互いの2つの自由端部11Fに対して接続されている一方で、第2のタイプのジャンパ14、15はそれぞれ、導体層L1−L4の同層に属する互いの2つの自由端部11Fに対して接続されている点にある。例えば図2及び図3で見られるように、実施形態によれば、第1のタイプのジャンパ12、13は、第2のタイプのジャンパ14、15よりも一般に小さい。このため、第1のタイプのジャンパは、この場合、「ミニジャンパ」とも呼ばれる。
【0043】
図5図6を参照すると、各第1のタイプのジャンパ12、13は、第1のジャンパアーム12A、13Aと、第2のジャンパアーム12B、13Bと、各ジャンパアーム12A、12B及び13A、13B間のジャンパ接合部12C、13Cとを有する。
【0044】
実施形態によれば、第1のタイプのジャンパは、互いに異なる形状を有する複数のジャンパを備えてもよい。具体的には、図に見られるように、本実施例では、ジャンパ12は、各アームの形状において本質的にジャンパ13と異なる。
【0045】
好ましい実施形態によれば、第1のタイプのジャンパ12、13はそれぞれ、第2と第3の層L2、L3のいずれか1つに属する自由端部11Fに接続された第1のジャンパアーム12A、13Aを備え、第2及び第3の層L2、L3のいずれか1つに属する自由端部11Fに接続された第2のジャンパ12B、13Bを備える。図2及び図3に見られるように、本実施例では、各ジャンパ12、13の第1及び第2のジャンパアーム12A、13A及び12B、13Bは、第3の層L3の自由端部11Fと第2の層L2の自由端部11Fとにそれぞれ接続されている。また特に、例えば図2及び図3に見られるように、第1のタイプのジャンパ12、13はそれぞれ、各自由端部11Fに接続するための前記導体層L1−L4に画定された各通路に延在する第1のジャンパアーム12A、13A及び第2のジャンパアーム12B、13Bを備える。例えば図3に見られるように、このような通路はそれぞれ、導体層L1−L4間を半径方向または実質的に半径方向に延びている。また、各ジャンパ12、13のジャンパ接合部12C、13Cは、自由端部11Fの群の周りを通過するための半径方向外端層L1に対して半径方向外側に延ばされている。例えば図3に見られるように、実施形態によれば、各ジャンパ12、13の第1のジャンパアーム12A、13A及び第2のジャンパアーム12B、13Bは、主に半径方向または実質的に半径方向の延在方向を有している。より一般的には、各ジャンパ12、13の第1のジャンパアーム12A、13A及び第2のジャンパアーム12B、13Bの少なくとも1つは、1つまたは複数の層L1〜L4を通るように、主に半径方向または実質的に半径方向の延在方向を有していればよい。また、各ジャンパ12、13の接合部12C、13Cは、好ましくは主に円周方向または実質的に円周方向の延在方向を有している。
【0046】
好ましい実施形態によれば、図2及び図3に見られるように、各ジャンパ12、13は、前記第1のピッチで屈曲されて互いに隣接して円周方向に連続配置された自由端部11Fの群の周りを曲がるように配置されている。また、ジャンパ12、13のジャンパアーム12A、12B及び13A、13Bは、第2のピッチで屈曲された自由端部11Fの各対に接続されている。
【0047】
好ましい実施形態によれば、第1のピッチで屈曲された前記端部の群の周りを曲がっていると共に、各ジャンパ12は、また、相端子17が固定子のスロット5内に挿入されている場合、固定子の溶接面4から突出する相端子先端部17Fの周りを曲がる。その場合には、ジャンパアーム12A、12Bのうちの少なくとも1つは、好ましくは、相端子17の端部17Fの周りを通り、各自由端部11Fに接続するように屈曲されたジャンパアーム端部12F(図5)を示している。
【0048】
本実施例では、導体層L1−L4の各々は、第1のピッチで屈曲され、互いに隣接して円周方向に連続配置された自由端部11Fの少なくとも1つの群(このような群は、例えば円周方向に隣接する2つの自由端部11Fからなる)を備えることに留意すべきである。しかし、本実施形態によれば、少なくとも1つの層L1−L4は、第1のピッチで屈曲された自由端部11Fの群を備え、互いに隣接して周方向に連続配置されていればよい。この後者の場合には、このような端部の群は、半径方向外端層L1に属することが好ましい。
【0049】
また、実施形態では各ジャンパ12、13は、自由端部11Fの群の周りを曲がるように配置されており、一般的には、各ジャンパ12、13は、半径方向外端層L1に属する自由端部11Fの少なくとも1つの周りを通ればよいことに留意すべきである。
【0050】
また、他の実施形態によれば、ジャンパアーム12A、12B及び13A、13Bは、上述のように層L2、L3とは異なる導体層に属する自由端部11Fを接続してもよいことに留意すべきである。例えば、各ジャンパ12、13のアームは、第1及び第4の層L1、L4または第1及び第3の層L1、L3の自由端部11Fを接続してもよい。従って、一般的に、各ジャンパ12、13の両ジャンパアーム12A、12B及び13A、13Bは、層L1−L4で画定された各通路に延在することは、厳密には必要ではない。換言すれば、一般的に、各ジャンパ12、13の少なくとも1つのジャンパアーム12A、12B及び13A、13Bは、各自由端部11Fに接続するための層L1−L4に画定された各通路に延在すればよい。
【0051】
図7及び図8を参照すると、これら図面は、上述の第2のタイプのジャンパ14、15の2つの実施形態を示している。特に、本実施形態によれば、第2のタイプのジャンパ14、15はそれぞれ、2つのジャンパアーム14A、14B及び15A、15Bと、各ジャンパアーム間のジャンパ接続部14C、15Cと、を備える。本実施例では、第2のタイプのジャンパ14、15は、互いに異なる形状を有する。特に、図7及び図8に見られるように、本実施例では、ジャンパ14は、実質的に各ジャンパアームの形状の点でジャンパ15と異なる。
【0052】
図2図3に戻るに、第2のタイプのジャンパ14、15が第1のタイプのジャンパ12、13と半径方向で反対側にあるバー巻線10の一側に配置されていることが分かる。すなわち、本実施例では、ジャンパ12、13は半径方向内側に配置されているのに対し、ジャンパ14、15はジャンパ12、13に対して半径方向外側に配置されている。しかし、本実施形態によれば、ジャンパ12、13の位置とジャンパ14、15の位置は、図示のものと比較して逆にしてもよい。すなわち、ジャンパ12、13は、半径方向内側に配置されてもよく、ジャンパ14、15はジャンパ12、13に対して半径方向外側に配置されてもよい。その場合、明らかに、ジャンパ12、13は、上述のように半径方向外端層L1の少なくとも一方の自由端部11Fの周りを曲がるのではなく、半径方向内端層L4の少なくとも一方の自由端部11Fの周りを曲がるように配置されることとなる。
【0053】
実施形態によれば、各第2のタイプのジャンパ14、15は、半径方向内端層L4の2つの自由端部にそれぞれ接続された個別のアーム14A、14B及び15A、15Bを有する。特に、本実施形態によれば、ジャンパ14、15は、前記第1のピッチによって屈曲された自由端部11Fを互いに接続する。本実施例では、ジャンパ接続部14C、15Cは、半径方向内端層L4に対して半径方向内側に延ばされている。特に、図2及び図3に見られるように、本実施形態によれば、ジャンパ14、15は、互いに交差して構成されている。特に、ジャンパ15は、ジャンパ14のジャンパ接続部14Cと各自由端部11Fに接続するための半径方向内端層L4との間に介在される個別のジャンパアームを有するように構成されている。また、ジャンパ14、15の連結部14C、15Cは、相互に部分的に重複しているのが好ましい。好ましい実施形態によれば、ジャンパ14、15の交差された構成を可能にするために、ジャンパ15は、固定子の軸Z−Zによって貫かれる面の束のうちの一面内に延びる実質的に「L」字状の形状を有する少なくとも1つのジャンパアームを有する。
【0054】
したがって、上記説明に基づいて、本発明に係る電気機械の固定子が上記目的を達成可能とする方法を理解することができる。
【0055】
実際には、互いに分離した2つの円形導体層の自由端部に接続された2つのジャンパを示す少なくとも1つの第1のタイプのジャンパを提供することによって、このようなジャンパは、半径方向外端層の少なくとも1つの自由端部の周りを通り(または半径方向内端層の少なくとも1つの自由端部の周りを通り)、互いに分離され、導体層に画定された通路に延在する少なくとも1つのアームを備え、基本導体の自由端部から軸方向に突出するこのようなジャンパを備えない別個の導体層に属する自由端部間を接続することができる。このようにして、固定子コアから軸方向に突出するバー巻線の部分の軸方向のコンパクトさを維持しながら、バー巻線接続部の設計及び取扱をより柔軟にすることができる。
【0056】
理解される本発明の原理、製造の詳細および実施形態は、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱せずに、単に非限定的な実施例として記載および図示されたものと比較して大幅に変更してもよい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10