特許第5762644号(P5762644)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5762644
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】センサー固定器具
(51)【国際特許分類】
   F16B 2/10 20060101AFI20150723BHJP
   G01K 1/14 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   F16B2/10 A
   G01K1/14 E
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-541231(P2014-541231)
(86)(22)【出願日】2014年7月2日
(86)【国際出願番号】JP2014067608
(87)【国際公開番号】WO2015012075
(87)【国際公開日】20150129
【審査請求日】2014年8月21日
(31)【優先権主張番号】特願2013-153190(P2013-153190)
(32)【優先日】2013年7月24日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】湯本 秀昭
【審査官】 岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−220421(JP,A)
【文献】 特開2004−263789(JP,A)
【文献】 特開平07−233629(JP,A)
【文献】 実開昭56−125511(JP,U)
【文献】 実開昭54−077862(JP,U)
【文献】 実公昭33−007349(JP,Y1)
【文献】 特開平09−021405(JP,A)
【文献】 特開2001−004081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 2/10
G01K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサー取付け部に取り付けられるセンサー固定器具であって、
前記センサー固定器具は、クランプ本体と2つのクランプアームと固定ボルトとを含み、
前記クランプ本体は、
前記センサー取付け部にセンサー先端部が当接するようにセンサーを固定させるセンサー固定部と、
前記センサー固定部から左右に延びた各位置に、前記クランプアームを回動可能に連結する2つの回動連結部とを備え、
前記2つのクランプアームはそれぞれ、
前記センサー取付け部を前記2つのクランプアームが左右から挟み込む際に、前記センサー取付け部の左右対称位置で当接する突起部を備え、
前記固定ボルトは、
前記突起部の下部において、前記2つのクランプアームをそれぞれ連結して締め付ける締付部を備え
前記センサー先端部は、前記センサー取付け部との当接位置において、前記センサー固定器具に対する支持点と前記センサー取付け部に対する測定点とを構成す
ことを特徴とするセンサー固定器具。
【請求項2】
前記センサー固定部は、前記クランプ本体の中央付近に設けられている、請求項1に記載のセンサー固定器具。
【請求項3】
前記センサー取付け部は、断面円環状の配管であり、
前記センサーは、前記配管の外表面における温度又は振動を計測するものである、請求項1又は2に記載のセンサー固定器具。
【請求項4】
前記センサーは、前記配管の断面円の上部中央において前記配管と当接し、
前記突起部は、前記配管の断面円の中心よりも下部において前記配管と当接する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のセンサー固定器具。
【請求項5】
前記2つのクランプアームは、左右対称の略S字形状をなしており、
前記突起部は、前記略S字形状を構成する2つの湾曲部の間に設けられている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のセンサー固定器具。
【請求項6】
前記2つのクランプアームの前記センサー固定部と反対側のそれぞれの端部には、互いに対向する横板が取り付けられており、
前記締付部は、前記横板をそれぞれ貫通する固定ボルトと球座ナットとを締め付けることによって、前記2つのクランプアームをそれぞれ連結して締め付ける、請求項1〜5のいずれか一項に記載のセンサー固定器具。
【請求項7】
前記締付部を構成する前記球座ナットはクイックナットである、請求項6に記載のセンサー固定器具。
【請求項8】
前記2つのクランプアームのそれぞれは、複数のアーム部材から構成されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のセンサー固定器具。
【請求項9】
前記2つのクランプアームのそれぞれは、2枚の薄板で構成されており、
前記突起部は、半円状又は半楕円状をなしており、前記クランプアームと一体形成されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載のセンサー固定器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種バルブや蒸気トラップ、あるいは、配管等の円環状部や多角形状部に取り付けるセンサーを、固定するためのセンサー固定器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のセンサー固定器具としては、回転軸にセンサーを取り付けるもので、回転軸に巻きつける長尺状のバンドと、このバンドに挿入するラチェット機構部を設けた止め金具から成り、回転軸の直径が小さなものから大きなものまで1つの固定器具で取り付けることができるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このセンサー固定器具においては、長尺状のバンドを使用しているために、強固にセンサーを固定することができない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−82407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、バンドを用いることなく、簡単且つ強固にセンサーを固定することのできるセンサー固定器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明のセンサー固定器具は、
センサー取付け部に取り付けられるセンサー固定器具であって、
前記センサー固定器具は、クランプ本体と2つのクランプアームと固定ボルトとを含み、
前記クランプ本体は、
前記センサー取付け部の上部中央にセンサーを固定させるセンサー固定部と、
前記センサー固定部から左右に延びた各位置に、前記クランプアームを回動可能に連結する2つの回動連結部とを備え、
前記2つのクランプアームはそれぞれ、
前記センサー取付け部を前記2つのクランプアームが左右から挟み込む際に、前記センサー取付け部の左右対称位置で当接する突起部を備え、
前記固定ボルトは、
前記突起部の下部において、前記2つのクランプアームをそれぞれ連結して締め付ける締付部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本願明細書の開示によれば、簡単且つ強固にセンサーを固定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態にかかるセンサー固定器具の正面図の一例を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態にかかるセンサー固定器具の左側面図の一例を示す図である。
図3】本発明の変形例にかかるセンサー固定器具の正面図の一例を示す図である。
図4】本発明の変形例にかかるセンサー固定器具の正面図の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のセンサー固定器具の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、本発明を断面円環形状の配管に、細長筒状のセンサー先端部を当接固定する場合を例示して説明する。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態にかかるセンサー固定器具の正面図の一例を示す図である。図2は、本発明の第1の実施形態にかかるセンサー固定器具の左側面図の一例を示す図である。
【0011】
図1に示すように、センサー固定器具100は、クランプ本体1、クランプ本体1の左右に取り付けたクランプアーム2,3、及び、固定ボルト15を含んで構成される。クランプアーム2,3は、突起部4,5を含む。
【0012】
クランプ本体1は、例えばアルミニウムの削り出し又はアルミダイカスト等により作製することができる。クランプアーム2,3はそれぞれ、例えば板厚1mmから5mm程度のステンレス製薄板を間隔をあけて二枚重ねることにより作製することができる。クランプアーム2,3は、それぞれクランプ本体1の左右端部に連結される。
【0013】
クランプ本体1の中央付近にセンサー9を固定するためのセンサー固定部8を設ける。センサー固定部は、例えば配管(センサー取付け部)の上部中央に雌ねじを切って作製されており、雄ねじが切られたセンサー9をねじ結合によって固定することができる。
【0014】
クランプ本体1の上端には、センサー9をクランプ本体1に対してより確実に固着するためのロックナット10が取り付けられる。このロックナット10を締め付けることで、センサー9とセンサー固定部8とのゆるみを防止することができる。
【0015】
センサー9の先端部12は、断面円環状の配管11の外表面に当接することで配管11に対する第一の支持点を構成する。センサー9は、配管11に当接することにより、配管11の温度や振動などを計測することができる。例えば、センサー9は、熱電対により配管11の当接点の温度を測定することができる。また例えば、センサー9は、圧電素子により配管11で発生している振動を測定することができる。
【0016】
クランプアーム2,3を構成する2枚のステンレス製薄板は、リベット6,7(回動連結部)を用いてクランプ本体1の左又は右の端部において回動可能に連結される。例えば図1において、クランプアーム2は、リベット6を用いてクランプ本体1の紙面に向かって左の端部に連結され、クランプアーム3は、リベット7を用いてクランプ本体1の紙面に向かって右の端部に連結される。
【0017】
クランプアーム2とクランプアーム3は、左右対称の略S字形状をなしている。クランプアーム2は、突起部4をクランプアーム2の長手方向の中央部よりやや下方に備え、クランプアーム3は、突起部5をクランプアーム3の長手方向の中央部よりやや下方に備える。
【0018】
例えば、クランプアーム2は、第1湾曲部2aと第2湾曲部2bとを有し、第1湾曲部2aと第2湾曲部2bとの間の切返し部分に突起部4を配置する。また例えば、クランプアーム3は、第1湾曲部3aと第2湾部3bとを有し、第1湾曲部3aと第2湾曲部3bとの間の切返し部分に突起部5を配置する。
【0019】
突起部4,5は半円状又は半楕円状とし、この突起部4,5は、クランプアーム2,3と同一材料で製作することも、あるいは、クランプアーム2,3とは別途の材料で製作することもできる。本実施形態においては、突起部4,5をクランプアーム2,3と同一の材料で一体にプレス加工により製作する。
【0020】
突起部4,5は、配管11を2つのクランプアーム2,3で左右から挟み込む際に、配管11の中心から左右対称の位置で配管11の外周と当接可能な位置に配置される。これにより、突起部4,5の厚み部分と配管11とが接する部分(円の接点)において、配管11に対する第二と第三の支持点を構成することができる。
【0021】
断面円環状の配管11の円に対して、センサー9の先端部12による第一の支持点の反対側の円周上に、第二及び第三の支持点をそれぞれ距離を隔てて配置することにより、センサー固定器具100を配管11に強固に固定することができる。なお、第一の支持点と配管11の円の中心と第二又は第三の支持点とがなす円の中心角は、120度又はその近傍となることが望ましい。特に、第二の支持点と配管11の円の中心と第三の支持点とがなす円の中心角は180度以下となることが望ましい。
【0022】
突起部4,5と配管11との当接部には、配管11の外周面との滑りを円滑にするための、二硫化モリブデンなどの摺動剤を塗付しておくことが好ましい。また、上記においては、突起部4,5を半円状又は半楕円状としたが、他の形状であっても良い。例えば、山形状や歯車形状としても良い。
【0023】
クランプアーム2,3の下端部には2枚のステンレス製薄板と略直角に接続する横板13,14を配置して、この下端部を、クランプアーム2,3の突起部4,5側から見て断面コ字状に製作する。
【0024】
2つの連結部としての横板13,14には貫通孔を設けて固定ボルト15が、クランプアーム2,3をそれぞれ貫通して取り付けられるようにする。固定ボルト15の左端部の頭部16は円錐形状とし、その右端部には固定用の球座ナット17をねじ結合する。
【0025】
球座ナット17の左端部18は球面状をなしており、球座ナット17を固定ボルト15に対して締め付けた場合に横板14と球座ナット17との当接面積を平面座ナットよりも大きくとることができる。このため、クランプ本体1とクランプアーム2,3とを配管11に確実に固定することができる。
【0026】
なお、球座ナット17にいわゆるクイックナットを用いて、固定ボルト15を締め付けることにより、固定するようにしても良い。また、上述した通り、本発明のクランプアーム2,3は、第1の湾曲部2a,3aを有していることにより、配管11の径に幅広く対応することができる。さらに、突起部4,5が配管11の外周部を摺動することができるため、取付け時においてクランプアーム2,3は適切な支持位置で配管11を締め付けることができる。
【0027】
また、上記においては、センサー固定器具100を配管に取り付ける例を説明したが、配管以外の例として、各種バルブや蒸気トラップの入口側又は出口側における断面円環状部分又は断面多角形状部分に取り付けることもできる。
【0028】
[変形例]
上記においては、クランプ本体1とクランプアーム2,3とを直接連結する構成を示したが、クランプ本体1とクランプアーム2,3との間に、延長アームをそれぞれ1個又は複数個取り付けてもよい。
【0029】
図3及び図4は、本発明の変形例にかかるセンサー固定器具の正面図の一例を示す図である。図3は、クランプ本体1とクランプアーム2,3との間に、第1の延長アーム21,31をそれぞれ取り付けたセンサー固定器具101の例を示している。図4は、クランプ本体1とクランプアーム2,3との間に、第1の延長アーム21,31及び第2の延長アーム22,32をそれぞれ取り付けたセンサー固定器具102の例を示している。
【0030】
このように、クランプ本体1とクランプアーム2,3との間に、延長アームを1個又は複数個取り付けることにより、配管11の径に応じた適切な位置に突起部4,5を配置してセンサー固定器具を確実に取り付けることができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、各種バルブや蒸気トラップ、あるいは、配管等の円環状部や多角形状部に取り付けるセンサーを、簡単で且つ強固に固定することのできるセンサー固定器具として利用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 クランプ本体
2,3 クランプアーム
4,5 突起部
9 センサー
11 配管
15 固定ボルト
図1
図2
図3
図4