(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5762646
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】コンテナ型データセンター
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20150723BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 B
H05K7/20 U
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-543386(P2014-543386)
(86)(22)【出願日】2013年4月24日
(86)【国際出願番号】JP2013062042
(87)【国際公開番号】WO2014174606
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2014年9月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田部 健一
(72)【発明者】
【氏名】小林 剛
(72)【発明者】
【氏名】浅野 豊
【審査官】
萩島 豪
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−252639(JP,A)
【文献】
特開2012−053747(JP,A)
【文献】
特開平10−114391(JP,A)
【文献】
特開2012−256122(JP,A)
【文献】
特開平04−208331(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0060372(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/20
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調設備を完備し内部にIT機器を収納した複数のラックを搭載した輸送用のコンテナサイズの外形を有したコンテナ型データセンターであって、
前記コンテナは、略長方形状の上部フレームと下部フレームと、これら上部及び下部フレームの四隅を連結する柱部とから枠組みが構成されており、前記上部フレームには鉄製の天井面が、前記下部フレームには鉄製の床面が設けられ、
更に前記コンテナは、前記四隅の柱部のうち、長手方向に対向する夫々2本の柱部間に一対の仕切用柱部を設けると共に、該仕切用柱部の間に幅方向の仕切板を取り付け、
該仕切板で仕切られた前記コンテナの一方側には側壁及び鉄扉を設けて閉鎖空間を形成してIT機器等の物品を収納するIT機器収納室を形成し、
前記コンテナの他方側には空調用の室外機を設置する室外機設置室を形成し、該室外機設置室の天井面と床面の夫々を、前記IT機器収納室の天井面と床面の夫々と一体とする一方、前記室外機設置室には側壁を設けずに開放したことを特徴とするコンテナ型データセンター。
【請求項2】
前記コンテナの外形寸法はISO規格の寸法に準じたものであって、前記仕切板は、前記コンテナにおける前記室外機設置室側の端部から1.6乃至2メートルの範囲において設けることを特徴とする請求項1記載のコンテナ型データセンター。
【請求項3】
前記空調用の室外機は前記コンテナの幅方向に排気口を向けて1又は2台設置することを特徴とする請求項1又は2記載のコンテナ型データセンター。
【請求項4】
前記室外機設置室にアングルを設け、前記空調用の室外機を2段に積み重ねて配置することを特徴とする請求項3項記載のコンテナ型データセンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ型データセンターに関し、特に、そのコンテナ型データセンターのコンテナ内に設置するIT機器及び冷房用の空調設備を設置した状態でコンテナの搬送を可能とするコンテナ型データセンターに関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナ型データセンターは、非特許文献1にも記載されているように、トレーラ等による貨物輸送手段として使用されるコンテナ型のボックスに、データセンターを構成する上で必要な設備を収容したものである。具体的に、コンテナ型データセンターには、サーバやストレージ、制御機器、空調用設備及び電源設備などが収容されることにより、このコンテナ自体がデータセンターとして稼働可能である。そのため、野外設置または運搬が可能な新たなデータセンターの形態といえるものである。
【0003】
日本では建築基準法による規制の関係からコンテナ型データセンターの利用が難しいとされてきたが、平成23年3月25日付けで、国土交通省より「コンテナ型データセンタに係る建築基準法の取扱いについて」として通知が出されている。それによると「土地に自立して設置するコンテナ型データセンタのうち、サーバ機器本体その他のデータサーバとしての機能を果たすため必要となる設備及び空調の風道その他のデータサーバとしての機能を果たすため必要となる最小限の空間のみを内部に有し、稼働時は無人で、機器の重大な障害発生時等を除いて内部に人が立ち入らないものについては、法第2条第1号に規定する貯蔵槽その他これらに類する施設として、建築物に該当しないものとする。ただし、複数積み重ねる場合にあっては、貯蔵槽その他これらに類する施設ではなく、建築物に該当するものとして取り扱うこととする。」とされている。
【0004】
また、コンテナにあってはISO規格を基に外形のサイズが規定されているところ、コンテナ型データセンターについては、40フィートタイプのコンテナを充当させているケースが多い。従来のコンテナ型データセンターにおいては、空調設備の室外機をコンテナ外部に設置するもので、コンテナ型データセンターを所定の場所に設置した後に、空調用の室外機をコンテナ近傍に設置し室内機との空調配管工事を行う必要があった。
【0005】
特許文献1(特開2012−98799号公報)は、合理的な形態のユニット型データセンターと、その構成要素として有効適切なサーバ室ユニットを提供することを課題としている。サーバ室ユニットは、互いに隣接配置可能なケーシング内に複数台のサーバラックと冷却設備を備えてそれ自体がサーバ室として機能する。ケーシング内にコールドエリアとホットエリアとを区画形成し、サーバラックを通風可能としてコールドエリアとホットエリアの境界部に一列に並べて配列する。冷却設備を、外気をコールドエリアに給気しホットエリアから外部に排気する構成の排気ファンと、冷気を調製してケーシング内を循環させる構成の空調装置とにより構成するものが開示されている。
【0006】
特許文献2(特開2012−252639号公報)は、電子機器を収容する建造物において、密閉性を高めて電子機器を保護しながら室内の熱を効率的に外部に放出し、さらに、建造物の増設や移設を容易とすることは課題としている。建造物の4隅に配置した柱状部材の上部及び下部に、緊締具の係合可能な締結金具を固着し、建造物の屋根を締結金具よりも低い位置に設定するとともに、屋根の下方には中間天井板を設ける。電子機器を収納したラックを中間天井板の下側室内に収め、中間天井板を挟むように、下側室に空気を冷却する熱交換器と空気循環用ファンとを設置し、上側に排熱用の室外熱交換器を設置する。電子機器の増加に対処するときは、建造物自体を直接積み重ね、締結金具に緊締具の係合して建造物を増設することが可能である。電子機器から発生する熱は、下側室内の熱交換器と室外熱交換器とにより外気へ放熱される。建造物の内部は、サーバ、ストレージ等のコンピュータを室内に収めたコンピュータ室CRと、コンピュータ等に電力を供給する電源ユニットEUや予備空調用室外機CDなどを据え付けた機械室MRとに分割され、その間には仕切り壁が設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−98799号公報
【特許文献2】特開2012−252639号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】https://www.hitachi-systems.com/solution/s006/fmitsm/cdc.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、コンテナ型データセンター用の空調用室外機をコンテナ外に設置する場合、特許文献の構成では空調用室外機が1乃至2程度しか設置できず、例えば長さ40フィートのタイプのコンテナを用いる場合、内部空間の大きさに対して空調設備の数が不足し、十分な冷却能力が発揮できない場合があった。
【0010】
そこで、本発明では、コンテナ型データセンター用の空調用室外機をISO規格サイズのコンテナ外形寸法の内側に設置すると共に、空調用室外機の設置可能台数を増加させることにより、コンテナ型データセンターの冷却能力向上を達成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のコンテナ型データセンターは、空調設備を完備し内部にIT機器を収納した複数のラックを搭載した輸送用のコンテナサイズの外形を有したコンテナ型データセンターであって、前記コンテナは、略長方形状の上部フレームと下部フレームと、これら上部及び下部フレームの四隅を連結する柱部とから枠組みが構成されており、前記上部フレームには鉄製の天井面が、前記下部フレームには鉄製の床面が設けられ、更に前記コンテナは、前記四隅の柱部のうち、長手方向に対向する夫々2本の柱部間に一対の仕切用柱部を設けると共に、該仕切用柱部の間に幅方向の仕切板を取り付け、該仕切板で仕切られた前記コンテナの一方側には側壁及び鉄扉を設けて閉鎖空間を形成してIT機器等の物品を収納するIT機器収納室を形成し、前記コンテナの他方側には
空調用の室外機を設置する室外機設置室を形成し、該室外機設置室の天井面と床面の夫々を、前記IT機器収納室
の天井面
と床面
の夫々と一体と
する一方、前記室外機設置室には側壁を設けずに開放したことを特徴とする。
【0012】
また、本発明のコンテナ型データセンターは、前記コンテナの外形寸法はISO規格の寸法に準じたものであって、前記仕切板は、前記コンテナにおける前記室外機設置室側の端部から1.6乃至2メートルの範囲において設けることを特徴とする。
【0013】
更に、本発明のコンテナ型データセンターは、前記空調用の室外機は前記コンテナの幅方向に排気口を向けて1又は2台設置することを特徴とする。
【0014】
また、本発明のコンテナ型データセンターは、前記室外機設置室にアングルを設け、前記空調用の室外機を2段に積み重ねて配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、空調用室外機をコンテナ外枠の内側に、且つ空調用室外機を幅方向に向けて室外機同士を背中合わせに配置し、更にこの室外機を設置する部分のコンテナ側壁をなくすことにより、冷却効率の向上や省スペース化を図ることができる。また、コンテナ型データセンターの搬送後における現地での空調工事(室外機設置、配管工事)が不要となるため、データセンターの稼動立上げにかかる時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は本発明のコンテナ型データセンターの全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は本発明のコンテナ型データセンターの全体構成を示す側面図である。
【
図3】
図3は本発明のコンテナ型データセンターの全体構成を示す平面図である。
【
図4】
図4は本発明のコンテナ型データセンターにおける、別実施例の防振台ユニットにラックを載置した状態での防振台ユニットの防振構成を示す側面図である。
【
図5】
図5は本発明のコンテナ型データセンターの別実施例の防振台ユニットに取り付ける防振ばねの配置例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態を以下に図面を用いて説明する。もちろん、本発明は、その発明の趣旨に反しない範囲で、本実施形態において説明した以外の構成のものに対しても容易に適用可能なことは説明を要するまでもない。なお、本明細書中では、コンテナの長手方向を「長さ方向」と表現し、それに対して垂直な方向を「幅方向」と表現する。また、「内側」及び「外方」との表現は、コンテナの内方に向かう方向を「内方」と言い、その外側に向かう方向を「外方」又は「外側」と言う。
【0018】
本出願人も、非特許文献1に記載されているように、コンテナ型データセンターを開発している。それは、導入から運用監視までをワンストップで提供するために、サーバなどのIT機器や電源・空調設備をコンテナに収容し、データセンターに必要な設備を凝縮している。外部は輸送を考慮したサイズになっているため、各地への輸送が可能である。また、内部は、充分なメンテナンススペースを確保したレイアウトとなっている。
【0019】
本出願人の開発したコンテナ型データセンターは、遠隔運用監視サービスを実施することで、運用を自動化できる。また、空調、電力、電源の状況を確認でき、監視カメラにより遠隔からコンテナ内のサーバを目視確認できるように構成されている。そのため、障害発生をいち早く検出し、対策することが可能である。さらに、監視カメラによる外部の監視やレーザによる周辺の警備、生体認証による入退室管理などにより、コンテナへの不正侵入などの異常を検出できる構成とされている。
【0020】
本発明のコンテナ型データセンターのコンテナ1の内部には、
図1及び
図2に示すとおり、複数の防振台ユニット2が敷設される。一つの防振台ユニット2の上には図示しないIT機器等を収納するラック3が複数台載置されている。尚、
図1及び
図2においては、一つの防振台ユニット2上に2架のラック3が載置されている。一つの防振台ユニットに対して何架のラックを載置するかは、防振台ユニット及びラックのサイズ、IT機器を搭載した際のラック全体の重量、及び防振ばねの強度と数によりに決められるものである。勿論、
図3に示すように、一つの防振台ユニット2上に1架のラック3を載置することにより、防振機能を備えた1架のラック3のユニットを構成して、コンテナ型データセンター内のラックの配置を自由に設計することができる。
【0021】
図4は、ラック3を載置した防振台2ユニットの詳細構成を示す側面図である。防振台ユニット2は、下部プレート2aと上部プレート2bから成っており、上下のプレート2a,2b間には複数の防振ばね5が配設されている。この防振ばね5に要求されることは、輸送時の垂直方向或いは水平方向の振動に対して防振効果(1G以下)を有する必要がある。IT機器を収納したラック3を搭載する防振台ユニット2のうち、隣接する防振台ユニット2同士は、隣接する下部プレート2a同士、及び上部プレート2b同士が上連結部材4a及び下連結部材4bによって連結固定されている。このように各隣接する防振台ユニット2同士を連結することにより、全体として一体化された防振台を形成することができる。尚、防振台ユニット2の幅方向の寸法はコンテナ1の床面の幅方向の寸法よりも一回り小さくして、コンテナ1内壁との間に間隙を設けて敷設されるように構成することが望ましい。これは、コンテナ1に対して生じた振動を防振ばね5によって吸収する際に、防振台ユニット2がコンテナ1の内壁等と衝突・接触・干渉することを防ぐためである。また、
図3においては、防振台ユニット2に搭載された各ラック3が僅かな間隔を有して配置されているが、これも隣接するラック3,3同士が振動により衝突・接触・干渉することを防ぐためである。
【0022】
図5は、防振台ユニット2上にラック3を配置した際の防振ばね5,5,5・・・の配置関係を示す平面図である。
図5に示すように防振ばね5は、防振台ユニット2の幅方向に等間隔に3個ずつ、中央に同じく等間隔に2個、合計8個設置されている。このように均等に防振ばね5を配置することによって、コンテナ1に垂直方向及び水平方向の振動が生じた場合においても、防振ばね5によりあらゆる方向の揺れを吸収し、防振台ユニット2の上部プレート2b及びこれに載置されたラック3に振動が伝導することを防止することができる。即ち、コンテナ1に防振台ユニット2を敷設し、その上にラック3を載置し、IT機器等を収納した状態で搬送したとしても、IT機器に振動等の衝撃が伝わることがなく、落下や部品の離脱等によるIT機器の破損・故障が生じることが無い。更に、防振台ユニット2に載置するラックを2台までとすることで、防振台ユニット2をコンパクトにすることができ、コンテナ1に収納するラックの数に併せて必要な分だけ敷設するといった運用も可能となり、コストの抑制効果を図ることができる。また、防振ばね5の故障などが発生した場合であっても、故障箇所のみ取り外して修理等を行ったり、または新品に置き換えたりなどが可能であり、メンテナンス性も良い。
【0023】
図1及び
図2では、防振台ユニット2上の幅方向にラック3を偏らせて配置した状態の実施例が示されているが、
図5においては、防振台ユニット2上に幅方向の中心位置を合せて配置した状態の実施例が示されている。これはホットアイルとコールドアイルを均等に形成するか、メンテナンス等の操作者が作業可能な範囲で、何れかの容積を大きく形成するかによって選択可能である。
【0024】
まず、本発明のコンテナ型データセンターの実施例の概要について、
図1及び
図2に基づいて説明する。
図1において点線1で示したものは本発明のコンテナ型データセンターを構成するコンテナの外形線である。コンテナサイズや上下取合いインタフェースは、ISOコンテナ規格(ISO規格6346)に準拠した構造とされている。コンテナ1は図示しない鉄製のH鋼によって枠組が成され、断熱素材を具備する壁面によって覆われることで略直方体の形状をなすよう形成される。枠組をH鋼によって形成することでコンテナ1を複数個積み上げるための強度を十分に備えることができ、振動等によって変形することを防止することができる。また、コンテナ1の上部及び下部の四隅には、図示しないツイストロック機構が形成されており、コンテナ1を複数個積み上げる際の位置決めガイドの役割と、積み上げたコンテナのズレを防止する役割とを兼ねている。
【0025】
本発明のコンテナ型データセンターは、密閉型のスチール製コンテナとし、ドアはエアタイト仕様とする。IT機器から発生する内部発熱は内部に設置した空調機で冷却し、空気循環方式とする。これにより、運用時には無人で運転して高い防水・防塵性能を確保することができる。但し、コンテナ内での作業時の換気については考慮する必要がある。
【0026】
外形はIT機器を設置するラックの数によって自由に設計することができるが、実施例のものは40ftコンテナのサイズと同一とし、船やトレーラによる輸送での固定用のインタフェース部を持つように構成する。これにより、船での輸送では固定が容易であり、トレーラ輸送では標準トレーラで運搬できるメリットがある。但し、船での出荷時は製品としての納入品のため、コンテナ本体を傷付けない輸送の配慮を行う構成とする必要がある。
【0027】
本発明のコンテナ型データセンターは、IT機器を搭載したままでのトレーラ輸送が可能となるよう、コンテナ底部に防振機構の付いた防振台ユニットを設置する。この機構により、輸送時の縦方向の振動加速度を大幅に軽減することができる。
【0028】
本発明のコンテナ型データセンターは、移動の容易性向上のため、コンテナ空調用の室外機は、IT機器を配置したコンテナ外ではあるが、コンテナと同一フロアに設置するように構成することができる。これにより冷媒配管を固定でき、移動の度に室外機の再設置と冷媒配管敷設の手間が必要なくなる。空調設備としては、空冷方式のユニットを4台設置し、1台は予備とする。
【0029】
本発明のコンテナ型データセンターは、メンテナンススペース確保のために、IT機器ラックを前後にスライドできる機構をラックの底部に設置することができる。
【0030】
本発明のコンテナ型データセンターの
図1に示す実施例において、点線1は、ISO規格に準じた構造を具備するコンテナの外形である。コンテナ1は、鉄製のH鋼によって略長方形状に形成したフレームを2組用意し、その各々を上側フレーム、下側フレームとして形成し、それらの四隅を鉄製のH鋼である柱部14a,14b,14c及び14dによって連結して枠組が成されて全体が略直方体の形状をなすように形成される。尚、上側フレームには鉄製のプレートが装着されて天井面16が形成され、下側フレームには同様に鉄製のプレートが装着されて床面17が形成される。
【0031】
このように枠組をH鋼によって形成することにより、コンテナ1を複数個積み上げるための強度を十分に備えることができるし、振動等によってコンテナ1が変形することを防止することもできる。また、コンテナ1の上側フレーム及び下側フレームの四隅には、図示しないが一般的なツイストロック機構が形成されており、コンテナ1を複数個積み上げる際の位置決めガイドの役割と、積み上げたコンテナのズレを防止する役割とを兼ねている。
【0032】
コンテナ1は、仕切板10によってIT機器(図示せず)が格納されたラック3を収納するIT機器収納室18と空調設備の室外機設置室15に区分けされている。仕切板10の幅方向端部には、柱部14a〜14dと同様のH鋼によって仕切用柱部14e及び14fが設けられている。コンテナ1の室外機設置室15と対向する壁面には鉄扉14が設けられている。これにより、コンテナ1のIT機器収納室18は、上側フレーム、下側フレーム及び柱部4a,4b、仕切用柱部5a,5bによって囲まれた部分には、天井面16、床面17、側面19a,19bには鉄製のプレートが装着され、端面に配置された仕切板10及び鉄扉14によって閉じられた空間を形成している。本発明のコンテナ型データセンターは、運転時にはIT機器収納室18は空調され閉じられた空間を形成しているが、保守時等には操作員がIT機器収納室18に入出する必要があり、側壁19a,19bには適宜入退室口11,12が形成される。コンテナ1の室外機設置室15と対向する壁面の鉄扉14は、コンテナ内に空調設備の室内機7a,7b,7c及び7d、ラック3及びラック内に収納するIT機器が搬入する際の入り口となり、搬入が完了した際には閉じておく。
【0033】
室外機設置室15の長さ方向の寸法は1.6乃至2メートルであり、詳細な寸法は設置する室外機6a,6b,6c及び6dの寸法に応じて適宜設定されるものである。室外機設置室15は側壁を備えずに開放することで、室外機6a,6b,6c及び6dが外気に直接触れることができるため、熱交換の効率を高めることが可能となる。室外機6a,6b,6c及び6dは排気口を幅方向においてコンテナ外側に向けることで2台の設置が可能であり、アングルを組んで積み重ねることで更に上下2台の合計4台まで設置が可能である。
【0034】
仕切板10には図示しない冷媒配管が挿通されており、室外機設置室15に設置される室外機6a,6b,6c及び6dと、IT機器収納室18に室内機7a,7b,7c及び7dとを接続している。その際、冷媒配管(図示なし)にフレキシブルチューブを採用することで、室外機6a,6b,6c及び6dや室内機7a,7b,7c及び7dに振動やズレが生じたとしても、冷媒配管や仕切面10が損傷する恐れがない。
【0035】
以上のような構成のコンテナ型データセンターによれば、コンテナの外形に収まるように室外機設置室15を設けることによって、ISOコンテナ規格を逸脱せずに室外機6a,6b,6c及び6dをコンテナ内部に収めることができる。また4台の室外機6a,6b,6c及び6dの排気口を幅方向の外側に向け、従来のコンテナ型データセンターと比較して空調設備を複数台設置可能とすることにより冷却能力を向上させることができる。更に、室外機6a,6b,6c及び6dを設置したままコンテナの搬送が可能であり、搬送先において室外機6a,6b,6c及び6dの再設置や空調配管工事が不要であるため、データセンターの設置から稼働までの期間を短縮することが可能となる。
【0036】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば室外機21の数を4台として説明したが、これに限定せずに空調設備の冷却機能に応じてなど、適宜変更しても何ら問題ない。
【符号の説明】
【0037】
100 コンテナ
6a,6b,6c,6d 室外機
7a,7b,7c,7d 室内機
10 仕切板
11,12 搬入出口
13 鉄扉
14a、14b、14c、14d 柱部
14e,14f 仕切用柱部
16 天井面
17 床面
19a,19 側壁
18 IT機器収納室
15 室外機設置室