【実施例】
【0020】
本発明を詳しく説明する為以下に実施例を、比較例と共に挙げるが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0021】
実施例1
メルトフローレート(MFR)が30であるブロックポリプロピレン
(プライムポリマー(株)社製、商品名J707G)70wt%と、植物繊維としてジュート「モラ」(小泉製麻(株)社製、2mm裁断物)30wt%を、二軸押出機(日本製鋼所製TEX30)を用いて溶融混練して複合樹脂組成物ペレットを得た。尚、ジュート「モラ」のキシレン抽出成分の量は0.08重量%である。
このペレットを射出成形機(日本製鋼所製J180AD)にて、厚さ2mm、半径15cmの円盤状成形体を製造した。
【0022】
実施例2−4,6,7
ブロックポリプロピレンの配合量、使用した植物繊維の種類及び配合量を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして円盤状成形体を製造した。
尚、使用した植物繊維を以下に示す。
A:ジュートのモラ(小泉製麻(株)社製、2mm裁断物)
B:ジュートのスライバー(小泉製麻(株)社製)を2mm裁断物とした後のキシレン洗浄品(スライバー1kgをキシレン18リットルに一晩浸漬した後、乾燥させたもの)
C:ジュートの紐(小泉製麻(株)社製)を2mm裁断物とした後のキシレン洗浄品(紐3kgをキシレン18リットルに一晩浸漬した後、乾燥させたもの)
C1:ジュートの紐(小泉製麻(株)社製)のキシレン洗浄品(紐3kgをキシレン18リットルに一晩浸漬した後、乾燥させたもの)
D:ケナフのモラ(2mm裁断物)
E:紙粉(王子キノクロス(株) 社製、商品名リードヘルシークッキングペーパー
R、2mm裁断物)
F:再生セルロースの紐(旭陽産業(株)社製、レーヨンスパン糸 1/−)のキシレン洗浄品(紐3kgをキシレン18リットルに一晩浸漬した後、乾燥させたもの)
G:ジュートのモラ(小泉製麻(株)社製)の1mm裁断物
H:ジュートの紐(小泉製麻(株)社製、2mm裁断物)のメチレンクロライド洗浄品(紐3kgをメチレンクロライド18リットルに一晩浸漬した後、乾燥させたもの)
【0023】
実施例5
MFR30のブロックポリプロピレン70wt%とジュート「紐」(C1)のキシレン洗浄品30wt%を、長繊維ペレット製造装置(神戸製鋼所製)を用いて長繊維ペレット(8mm長)を作製した。このペレットを射出成形機(日本製鋼所製J180AD)で厚さ2mm半径15cmの円盤状成形体を製造した。
【0024】
実施例8
再生セルロース「紐」のキシレン洗浄品(F)を使用した他は、実施例5と同様にして円盤状成形体を製造した。
【0025】
実施例9
ポリプロピレン系樹脂として、MFR30のブロックポリプロピレン68wt%と、変性剤として無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成工業(株)社製、商品名ユーメックス1001)2wt%を使用した他は、実施例1と同様にして円盤状成形体を製造した。
【0026】
実施例10
ジュート「モラ」の1mm裁断物(G)を使用した他は、実施例1と同様にして円盤状成形体を製造した。
【0027】
実施例11
ジュート「紐」のメチレンクロライド洗浄品(H)を使用した他は、実施例5と同様にして円盤状成形体を製造した。
【0028】
上記実施例の円盤状成形体について、反り率と塗装密着性を評価した。また、成形体に含まれる植物繊維の平均繊維長を測定した。樹脂組成物の配合、植物繊維の種類、有機溶剤抽出成分量(キシレン抽出成分量又はメチレンクロライド抽出成分量)、及び評価結果を表1及び2に示す。評価方法を以下に示す。
【0029】
(1)有機溶剤抽出成分量の測定方法
抽出溶剤として、キシレン又はメチレンクロライドを使用した。植物繊維100gをソクスレー抽出管で3時間洗浄して、洗浄前後の植物繊維の重量減少量から抽出成分量を算出した。
【0030】
(2)反り率の測定方法と判定基準
定盤上にサンプルを置き、一番反っているところをハイトゲージで測り(D1)、その反対側の反っている部分をハイトゲージで測定した(D2)。D1及びD2から、下記計算式によって、反り率を算出した。
反り率=[(D1+D2)/2R]×100(%)
[D1,D2;反り量(mm)、R;サンプルの半径(150mm)]
反り率が4%未満である場合を良好と、4%以上である場合を不良と判断した。
【0031】
(3)塗装性の測定方法と判定基準
ポリプロピレン用塗料を用いて吹き付け塗装した80mm角の射出成形板の中央部に、カッターナイフで1mm間隔に碁盤の目状に縦横10マスになるように切り付け、碁盤目上にセロテープ(登録商標)を密着させた後剥がす。その結果、碁盤目内の塗膜がはがれた面積の割合を計測した。
塗膜が剥がれた面積を合算し、塗膜の剥離が全体の10%未満である場合を非常に良好(◎)、10%以上20%未満の場合を良好(○)、20%以上の面積の場合を不良(×)と判定した。
【0032】
【表1】
【表2】
【0033】
比較例1
実施例で用いたジュート「スライバー」Bの未洗浄品B’を使用した他は、実施例1と同様にして円盤状成形体を製造した。評価結果を表2に示す。
【0034】
比較例2
実施例で用いたジュート「スライバー」Bの未洗浄品B’を使用した他は、実施例2と同様にして円盤状成形体を製造した。評価結果を表2に示す。
【0035】
比較例3
実施例で用いたジュート「紐」Cの未洗浄品C’を使用した他は、実施例1と同様にして円盤状成形体を製造した。評価結果を表2に示す。
【0036】
比較例4
実施例で用いたジュート「紐」Cの未洗浄品C’を使用した他は、実施例5と同様にして円盤状成形体を製造した。評価結果を表2に示す。
【0037】
比較例5
MFR30のブロックポリプロピレン60wt%と、実施例で用いたジュート「紐」Cの未洗浄品C’を、長繊維ペレット製造装置(神戸製鋼所製)を用いて植物繊維40wt%の長繊維ペレット(8mm長)を作製した。このペレットと、MFR30のブロックポリプロピレンのペレットを混合して植物繊維量が30重量%となるように調製した。このペレット混合物を、射出成形機(日本製鋼所製J180AD)を用いて厚さ2mm半径15cmの円盤状成形体を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
【0038】
比較例6
実施例で用いたジュート「スライバー」Bの未洗浄品B’を10mmに裁断したものを使用した他は、実施例1と同様にして円盤状成形体を製造した。評価結果を表2に示す。