(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
<感光性樹脂組成物>
本発明の感光性樹脂組成物を構成する各成分について、以下に具体的に説明する。本発明の感光性樹脂組成物は、(a)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、(b)光酸発生剤、(c)溶媒としてγ―ブチロラクトン、及び所望により(d)架橋剤を含有し、該感光性樹脂組成物中における水分含有量が0.6〜18質量%であることを特徴とする。
【0021】
(a)アルカリ可溶性樹脂
本発明の感光性樹脂組成物のベースポリマーとして用いられる(a)アルカリ可溶性樹脂としては、水酸基を有しアルカリ性溶液に可溶であり、例えば、ポリイミド構造、ポリベンゾオキサゾール構造、ポリイミド前駆体構造、及びポリベンゾオキサゾール前駆体構造から成る群から選ばれる1種以上の構造を有する樹脂が挙げられる。また、樹脂中に上記構造の複数の構造を有していてもよい。これらの構造の中でも、溶剤に対する溶解性の観点から、ポリイミド前駆体構造(例えば、ポリアミド酸(ポリアミック酸)など)又はポリベンゾオキサゾール前駆体構造を有することが好ましい。ポリベンゾオキサゾール前駆体構造を有する樹脂(以下、「PBO前駆体」又は「ポリヒドロキシアミド」とも言う)については、後述する。
【0022】
また、(a)アルカリ可溶性樹脂としては、フェノール樹脂及びその誘導体を挙げることもできる。具体的には、フェノール樹脂及びその誘導体としては、ノボラック樹脂及びポリヒドロキシスチレン樹脂が挙げられる。
【0023】
ノボラック樹脂としては、レジストの技術分野で広く用いられているものを使用することができる。このノボラック樹脂は、例えば、フェノール類と、アルデヒド類又はケトン類とを酸性触媒の存在下で反応させることにより得ることができる。
【0024】
ノボラック樹脂の中でも、メタクレゾールとパラクレゾールとを併用し、これらと、ホルムアルデヒド、ホルマリン又はパラホルムアルデヒドとを縮合反応させたノボラック樹脂が、感度制御性の観点から特に好ましい。メタクレゾール:パラクレゾールの仕込み質量比は、通常、20:80〜80:20、好ましくは50:50〜70:30である。
【0025】
ノボラック樹脂の分子量は、重量平均分子量で、通常、1,000〜20,000、好ましくは1,000〜15,000、より好ましくは1,000〜10,000の範囲である。上記樹脂の重量平均分子量は、合成条件を調整することにより、所望の範囲に制御することができる。また、分子量分布が狭いほど光感度が高くなるので、合成により得られた樹脂を適当な溶解度を持つ有機溶剤で固−液抽出するか、その樹脂を良溶剤に溶解させて貧溶剤中に滴下するか、又はその樹脂に貧溶剤を滴下して固−液若しくは液−液抽出することにより分子量分布を制御してもよい。このノボラック樹脂の具体例としては、EP4000B(旭有機材工業:商品名)、EP4020G(旭有機材工業:商品名)、EP4050G(旭有機材工業:商品名)、EP4080G(旭有機材工業:商品名)等が挙げられる。
【0026】
次に、ポリヒドロキシスチレン樹脂及びその誘導体について詳述する。ポリヒドロキシスチレン樹脂及びその誘導体の具体例としては、例えば、ポリ−o−ヒドロキシスチレン、ポリ−m−ヒドロキシスチレン、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ポリ−α−メチル−o−ヒドロキシスチレン、ポリ−α−メチル−m−ヒドロキシスチレン、ポリ−α−メチル−p−ヒドロキシスチレン又はこれらの部分アセチル化物及びシリル化物等が挙げられる。これらのポリヒドロキシスチレン樹脂又はその誘導体の重量平均分子量は、通常3,000〜100,000、特に好ましくは4,000〜20,000の範囲である。
【0027】
(a)アルカリ可溶性樹脂として、ポリヒドロキシアミドを使用することは、本発明の好ましい実施形態である。ポリヒドロキシアミドは、下記一般式(1):
【化2】
{式中、X
1は、少なくとも2個の炭素原子を有する4価の有機基であり、Y
1は、少なくとも2個の炭素原子を有する2価の有機基であり、そしてmは、1〜1000の整数である。}
で表される繰り返し単位の構造を含む。
【0028】
一般式(1)で表される繰り返し単位は、Y
1(COOH)
2の構造を有するジカルボン酸およびX
1(NH
2)
2(OH)
2の構造を有するビスアミノフェノールを重縮合させた構造を有する。該ビスアミノフェノールの2組のアミノ基とヒドロキシ基はそれぞれ互いにオルト位にある。該ポリヒドロキシアミドは約280〜400℃に加熱されることによって閉環して、耐熱性樹脂であるポリベンズオキサゾールに変化する。mは2〜1000の範囲が好ましく、3〜50の範囲がより好ましく、3〜30の範囲が最も好ましい。
【0029】
また、アルカリ溶解性を制御するために、ポリヒドロキシアミドは、上記一般式(1)で表される繰り返し単位の構造の一部が別の構造に置き換わっている構造を有してもよい。具体的には、下記一般式(2):
【化3】
{式中、X
1は、少なくとも2個の炭素原子を有する4価の有機基であり、X
2、Y
1及びY
2は、それぞれ独立に、少なくとも2個の炭素原子を有する2価の有機基であり、mは、1〜1000の整数であり、nは、1〜500の整数であり、そしてm/(m+n)>0.5である。なお、X
1及びY
1を含むm個の単位並びにX
2及びY
2を含むn個の単位の配列順序は問わない。}
のように、原料のX
1(NH
2)
2(OH)
2の構造を有するジアミノジヒドロキシ化合物に由来する構造の一部が、X
2(NH
2)
2の構造を有するジアミン(ヒドロキシ基を有していない)に由来する構造に置き換わっている重合体を用いてもよい。
【0030】
ポリヒドロキシアミド中における上記のジヒドロキシジアミド単位の割合が高いほど現像液として使用するアルカリ性水溶液への溶解性が向上するので、m/(m+n)>0.5であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることが最も好ましい。
【0031】
X
1は、アルカリ現像液への溶解性及び得られる樹脂膜の耐熱性が良好である点で、2個以上30個以下の炭素原子を有する4価の有機基であることが好ましい。X
2は、アルカリ現像液への溶解性及び得られる樹脂膜の耐熱性が良好である点で、2個以上30個以下の炭素原子を有する2価の有機基であることが好ましい。Y
1及びY
2は、アルカリ現像液への溶解性及び得られる樹脂膜の耐熱性が良好である点で、2個以上30個以下の炭素原子を有する2価の有機基であることが好ましい。
【0032】
X
1(NH
2)
2(OH)
2の構造を有するビスアミノフェノールとしては、例えば、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシベンゼン、及び1,3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。これらのビスアミノフェノールは単独で、又は混合して使用してもよい。
【0033】
これらのX
1(NH
2)
2(OH)
2の構造を有するビスアミノフェノールのうち特に好ましいものは、X
1が下記:
【化4】
から選ばれる芳香族基の場合である。
【0034】
また、X
1(NH
2)
2(OH)
2の構造を有する化合物として、分子内に2組の互いにオルト位にあるアミド結合とフェノール性水酸基を有するジアミン(以下、「分子内にPBO前駆体構造を有するジアミン」という。)を使用することもできる。例えば、上記のX
1(NH
2)
2(OH)
2の構造を有するビスアミノフェノールに2分子のニトロ安息香酸を反応させて還元することにより得られる、下記一般式:
【化5】
{式中、X
3は、少なくとも2個以上の炭素原子を有する4価の有機基であり、そして前述した好ましいX
1の芳香族基から成る群から選択される少なくとも1つの有機基であることが好ましい。}
で表されるジアミンが挙げられる。
【0035】
分子内にPBO前駆体構造を有するジアミンを得るための別法としては、Y
3(COCl)
2の構造を有するジカルボン酸ジクロリドに2分子のニトロアミノフェノールを反応させて還元し、下記一般式:
【化6】
{式中、Y
3は、少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価の有機基であり、そして後述するY
1として示される好ましい有機基から成る群から選択される少なくとも1つの有機基であることが好ましい。}
で表されるジアミンを得る方法が挙げられる。
【0036】
X
2(NH
2)
2の構造を有するジアミンとしては、芳香族ジアミン、及びシリコンジアミンなどが挙げられる。
【0037】
このうち芳香族ジアミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)−1−ペンテン、4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)−2−ペンテン、1,4−ビス(α,α−ジメチル−4−アミノベンジル)ベンゼン、イミノ−ジ−p−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)ペンタン、5(または6)−アミノ−1−(4−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、ビス(p−アミノフェニル)ホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニル尿素、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(α,α−ジメチル−4−アミノベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(α,α―ジメチル−4−アミノベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、フェニルインダンジアミン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、o−トルイジンスルホン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルフィド、1,4−(4−アミノフェノキシフェニル)ベンゼン、1,3−(4−アミノフェノキシフェニル)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ジ−(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、及び4,4’−ジアミノベンズアニリド等、ならびにこれら芳香族ジアミンの芳香核の水素原子が、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基、シアノ基、及びフェニル基から成る群より選ばれた少なくとも一種の基または原子によって置換された化合物が挙げられる。
【0038】
また、基材との接着性を高めるためにX
2(NH
2)
2の構造を有するジアミンの一部または全部に、シリコンジアミンを選択することができ、この例としては、ビス(4−アミノフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−アミノフェニル)テトラメチルシロキサン、ビス(4−アミノフェニル)テトラメチルジシロキサン、ビス(γ−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,4−ビス(γ−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、ビス(γ−アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン等が挙げられる。
【0039】
Y
1(COOH)
2及びY
2(COOH)
2構造を有するジカルボン酸としては、Y
1およびY
2が、それぞれ下記化合物群:
【化7】
{式中、A
1は、−CH
2−、−O−、−S−、−SO
2−、−CO−、−NHCO−、及び−C(CF
3)
2−から成る群から選択される2価の基又は単結合であり、m
5は、1〜30の整数であり、L
1は、水素原子、アルキル基、不飽和基、及びハロゲン原子から成る群から選択される基であり、jは、0〜4の整数であり、そしてL
2は、水素原子、メチル基又は水酸基である。}
から選ばれた、芳香族基、脂環式基又は脂肪族基であるジカルボン酸が挙げられる。
【0040】
また、上記のY
1(COOH)
2及びY
2(COOH)
2構造を有するジカルボン酸の一部または全部に、5−アミノイソフタル酸の誘導体を用いることもできる。
【0041】
前記誘導体を得るために5−アミノイソフタル酸に対して反応させる具体的な化合物としては、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、エキソ−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3−エチニル−1,2−フタル酸無水物、4−エチニル−1,2−フタル酸無水物、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、マレイン酸無水物、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、アリルスクシン酸無水物、イソシアナートエチルメタクリレート、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸クロリド、2−フランカルボン酸クロリド、クロトン酸クロリド、ケイ皮酸クロリド、メタクリル酸クロリド、アクリル酸クロリド、プロピオリック酸クロリド、テトロリック酸クロリド、チオフェン−2−アセチルクロリド、p−スチレンスルフォニルクロリド、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、クロロぎ酸メチルエステル、クロロぎ酸エチルエステル、クロロぎ酸n−プロピルエステル、クロロぎ酸イソプロピルエステル、クロロぎ酸イソブチルエステル、クロロぎ酸2−エトキシエステル、クロロぎ酸−sec−ブチルエステル、クロロぎ酸ベンジルエステル、クロロぎ酸2−エチルヘキシルエステル、クロロぎ酸アリルエステル、クロロぎ酸フェニルエステル、クロロぎ酸2,2,2−トリクロロエチルエステル、クロロぎ酸−2−ブトキシエチルエステル、クロロぎ酸−p−ニトロベンジルエステル、クロロぎ酸−p−メトキシベンジルエステル、クロロぎ酸イソボルニルベンジルエステル、クロロぎ酸−p−ビフェニルイソプロピルベンジルエステル、2−t−ブチルオキシカルボニル−オキシイミノ−2−フェニルアセトニトリル、S−t−ブチルオキシカルボニル−4,6−ジメチル−チオピリミジン、ジ−t−ブチル−ジカルボナート、N−エトキシカルボニルフタルイミド、エチルジチオカルボニルクロリド、ぎ酸クロリド、ベンゾイルクロリド、p−トルエンスルホン酸クロリド、メタンスルホン酸クロリド、アセチルクロリド、塩化トリチル、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、(N,N−ジメチルアミノ)トリメチルシラン、(ジメチルアミノ)トリメチルシラン、トリメチルシリルジフェニル尿素、ビス(トリメチルシリル)尿素、イソシアン酸フェニル、イソシアン酸n−ブチル、イソシアン酸n−オクタデシル、イソシアン酸o−トリル、1,2−フタル酸無水物、及びシス−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、及びグルタル酸無水物が挙げられる。
【0042】
さらには、Y
1(COOH)
2及びY
2(COOH)
2構造を有するジカルボン酸として、テトラカルボン酸二無水物をモノアルコール、またはモノアミン等で開環したジカルボン酸を使用することもできる。ここでモノアルコールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。モノアミンの例としては、ブチルアミン、アニリン等が挙げられる。上記のテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記化学式:
【化8】
(式中、Bは、−CH
2−、−O−、−S−、−SO
2−、−CO−、−NHCO−、及び−C(CF
3)
2−から成る群から選択される2価の基を表す。)
で表される化合物が挙げられる。
【0043】
または別法としてテトラカルボン酸二無水物とビスアミノフェノールもしくはジアミンを反応させて、生成するカルボン酸残基を、モノアルコールまたはモノアミンにより、エステル化またはアミド化することもできる。
【0044】
また、ビスアミノフェノールに対してトリメリット酸クロリドを反応させて、テトラカルボン酸二無水物を生成し、上記のテトラカルボン酸二無水物と同様の方法で開環してジカルボン酸として使用することもできる。ここで得られるテトラカルボン酸二無水物としては下記化学式:
【化9】
(式中、X
4は、X
1(OH)
2(NH−)
2で表される2価の有機基を表す。X
1は、式(1)中のX
1と同義である。)
で表される化学物が挙げられる。
【0045】
ポリヒドロキシアミドを合成するための前記ジカルボン酸とビスアミノフェノール(ジアミン)の重縮合の方法としては、ジカルボン酸と塩化チオニルを使用してジ酸クロライドとした後にビスアミノフェノール(ジアミン)を作用させる方法、またはジカルボン酸とビスアミノフェノール(ジアミン)をジシクロヘキシルカルボジイミドにより重縮合させる方法等が挙げられる。ジシクロヘキシルカルボジイミドを使用する方法においては同時にヒドロキシベンズトリアゾールを作用させることもできる。
【0046】
前述の一般式(1)で示される繰り返し単位を有するポリヒドロキシアミドにおいて、その末端基を有機基(以下、「封止基」という)で封止して使用することも好ましい。ヒドロキシポリアミドの重縮合において、ジカルボン酸成分をビスアミノフェノール成分とジアミン成分の和に比べて過剰のモル数で使用する場合には、封止基としては、アミノ基、または水酸基を有する化合物を用いるのが好ましい。該化合物の例としては、アニリン、エチニルアニリン、ノルボルネンアミン、ブチルアミン、プロパルギルアミン、エタノール、プロパルギルアルコール、ベンジルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、及びヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられる。
【0047】
一方で、ビスアミノフェノール成分とジアミン成分の両成分をジカルボン酸成分に比べて過剰のモル数で使用する場合には、封止基としては、酸無水物、カルボン酸、酸クロリド、イソシアネート基等を有する化合物を用いるのが好ましい。該化合物の例としては、ベンゾイルクロリド、ノルボルネンジカルボン酸無水物、ノルボルネンカルボン酸、エチニルフタル酸無水物、グルタル酸無水物、無水マレイン酸、無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロへキセンジカルボン酸無水物、メタクリロイルオキシエチルメタクリレート、フェニルイソシアネート、メシルクロリド、及びトシルクロリド等が挙げられる。
【0048】
(b)光酸発生剤
本発明の感光性樹脂組成物が含有する(b)光酸発生剤としては、感光性樹脂組成物をポジ型又はネガ型として使用目的に応じて適用することを可能にする化合物を利用できる。感光性樹脂組成物をポジ型として使用する場合には、(b)光酸発生剤としては、感光性ジアゾキノン化合物、オニウム塩、ハロゲン含有化合物などを用いることができるが、感光性ジアゾキノン化合物が好ましい。
【0049】
上記オニウム塩としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、及びジアゾニウム塩などが挙げられる。この中でも、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、及びトリアルキルスルホニウム塩から成る群から選ばれるオニウム塩が好ましい。
【0050】
上記ハロゲン含有化合物としては、ハロアルキル基含有炭化水素化合物などがあり、トリクロロメチルトリアジンが好ましい。
【0051】
上記感光性ジアゾキノン化合物は、1,2−ベンゾキノンジアジド構造又は1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する化合物であり、米国特許第2,772,972号明細書、米国特許第2,797,213号明細書、及び米国特許第3,669,658号明細書等に記載されている公知の物質である。ナフトキノンジアジド構造を有する化合物が好ましく、例としては、下記のナフトキノンジアジド構造:
【化10】
{式中、Qは、水素原子またはナフトキノンジアジドスルホン酸エステル基であり、そして全てのQが同時に水素原子であることはない。}
を有する化合物が挙げられる。
【0052】
好ましいナフトキノンジアジドスルホン酸エステル基としては、下記の基:
【化11】
が挙げられる。
【0053】
ポジ型感光性組成物として使用する場合には、(a)アルカリ可溶性樹脂に対する(b)光酸発生剤の配合量は、該(a)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、1〜50質量部であり、5〜30質量部が好ましい。(b)光酸発生剤の配合量が、1質量部以上では樹脂のパターニング性が良好であり、50質量部以下では硬化後の膜の引張り伸び率が良好、かつ露光部の現像残渣(スカム)が少ない。
【0054】
なお、本発明の感光性樹脂組成物をネガ型で使用する場合は、(b)光酸発生剤として、活性光線の照射により酸を発生する化合物を用い、これを後述する(d)架橋剤と組み合わせることによりネガ型として利用できる。活性光線照射により酸を発生する化合物としては、例えば、以下の化合物ア)〜ケ)が挙げられる。
【0055】
ア)トリクロロメチル−s−トリアジン類
トリス(2,4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メトキシフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メトキシフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メチルチオフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メチルチオフェニル)ビス(4,6−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(2−メチルチオフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4,5−トリメトキシ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メチルチオ−β―スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メチルチオ−β―スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メチルチオ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン等。
【0056】
イ)ジアリールヨードニウム類
ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、ビス(4−ter−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(4−ter−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(4−ter−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(4−ter−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロアセテート、ビス(4−ter−ブチルフェニル)ヨードニウム−p−トルエンスルホナート等。
【0057】
ウ)トリアリールスルホニウム類
トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、トリフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムメタンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルテトラフルオロボレート、4−フェニルチオフェニルジフェニルヘキサフルオロホスホネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルヘキサフルオロアルセネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロメタンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロアセテート、4−フェニルチオフェニルジフェニルーp−トルエンスルホナート等。
【0058】
上記(ア)〜(ウ)の化合物の内、トリクロロメチル−s−トリアジン類としては、2−(3−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メチルチオフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシーβ―スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、及び2−(4−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン等を、ジアリールヨードニウム類としては、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、及び4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート等を、トリアリールスルホニウム類としては、トリフェニルスルホニウムメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムメタンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロメタンスルホナート、及び4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロアセテート等を好適なものとして挙げることができる。
【0059】
エ)ジアゾケトン化合物
ジアゾケトン化合物として、例えば、1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物等を挙げることができ、具体例としてはフェノール類の1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化合物を挙げることができる。
【0060】
オ)スルホン化合物
スルホン化合物として、例えば、β−ケトスルホン化合物、β−スルホニルスルホン化合物及びこれらの化合物のα−ジアゾ化合物を挙げることができ、具体例として、4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェナシルスルホニル)メタン等を挙げることができる。
【0061】
カ)スルホン酸化合物
スルホン酸化合物として、例えば、アルキルスルホン酸エステル類、ハロアルキルスルホン酸エステル類、アリールスルホン酸エステル類、イミノスルホネート類等を挙げることができる。好ましい具体例としては、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジルp−トルエンスルホネート等を挙げることができる。
【0062】
キ)スルホンイミド化合物
スルホンイミド化合物の具体例として、例えば、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド等を挙げることができる。
【0063】
ク)オキシムエステル化合物
2−[2−(4−メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)]−2,3−ジヒドロチオフェン−3−イリデン]−2−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(チバスペシャルティケミカルズ社、商品名「イルガキュアPAG121」)、[2−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロチオフェン−3−イリデン]−2−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(チバスペシャルティケミカルズ社、商品名「イルガキュアPAG103」)、[2−(n−オクタンスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロチオフェン−3−イリデン]−2−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(チバスペシャルティケミカルズ社、商品名「イルガキュアPAG108」)、α−(n−オクタンスルフォニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド(チバスペシャルティケミカルズ社、商品名「CGI725」)等を挙げることができる。
【0064】
ケ)ジアゾメタン化合物
ジアゾメタン化合物の具体例として、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン等を挙げることができる。
【0065】
とりわけ、感度の観点から、上記ク)オキシムエステル化合物群が特に好ましい。
【0066】
ネガ型感光性組成物として使用する場合には、(b)光酸発生剤の配合量は、(a)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、1〜50質量部である。該配合量が1質量部以上であれば感度の向上効果を十分得ることができ、該配合量が50質量部以下であれば硬化後の機械物性が良好である。該配合量は、好ましくは、1〜30質量部である。
【0067】
(c)溶媒
本発明に用いられる(c)溶媒について説明する。本発明の感光性樹脂組成物は、上記(a)アルカリ可溶性樹脂、(b)光酸発生剤、及び必要に応じて使用する後述の(d)架橋剤又は(e)その他の添加剤を(c)溶媒として用いられるγ―ブチロラクトンに溶解してワニス状にした感光性樹脂組成物として提供される。γ―ブチロラクトンは、(a)アルカリ可溶性樹脂及び(b)光酸発生剤に対して良溶媒であり、本発明においては必須成分である。(c)溶媒は、γ―ブチロラクトンを必須成分とし、その他の溶媒を含むことも出来る。例えば、上記溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等を単独又は2種以上混合して使用できる。これらの溶剤のうち、非アミド系溶媒がフォトレジスト等への影響が少ない点から好ましく、具体的なより好ましい例としてはGBL、ジメチルスルホキシド(DMSO)、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等を挙げることができる。(c)溶媒の添加量は、感光性樹脂組成物の所望の塗布膜厚及び粘度に応じて、(a)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、30〜1500質量部の範囲、好ましくは50〜1000質量部の範囲、最も好ましくは100〜300質量部の範囲である。(c)溶媒の添加量については、上記の範囲内で塗布装置、及び塗布厚みに適した粘度に設定できるように調整することが、硬化レリーフパターンの製造を容易にするために好ましい。(c)溶媒中におけるγ―ブチロラクトンの含有量は、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、100質量%が最も好ましい。
【0068】
(d)架橋剤
本発明の感光性樹脂組成物は、ポジ型で利用する場合には、熱硬化後の膜(感光性樹脂層)の耐薬品性を高める目的で、ネガ型で利用する場合には、熱硬化後の膜の耐薬品性を高める目的とともにパターン形成の目的で、それぞれ、(d)架橋剤をさらに含むことが好ましい。
【0069】
(d)架橋剤としては、メチロール基及び/又はアルコキシメチル基を有する芳香族化合物、N位がメチロール基及び/又はアルコキシメチル基で置換された化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、アリル化合物、並びに(メタ)アクリレート化合物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物等が利用できる。
【0070】
これらの(d)架橋剤の中でも、メチロール基及び/又はアルコキシメチル基を有する芳香族化合物、並びにN位がメチロール基及び/又はアルコキシメチル基で置換された化合物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物が、熱硬化後の耐薬品性の観点から好ましい。
【0071】
メチロール基及び/又はアルコキシメチル基を有する芳香族化合物としては、下記一般式(3):
【化12】
{式中、R
31は、水酸基であり、m
31は、0〜3の整数であり、R
32は、炭素数1〜30の有機基であり、m
32は、0〜3の整数であり、R
33は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、そしてm
33は、1〜6の整数である。}
で表される構造を有するものが好ましい。
【0072】
より具体的には、メチロール基及び/又はアルコキシメチル基を有する芳香族化合物として、下記:
【化13】
【化14】
の化合物が挙げられる。
【0073】
N位がメチロール基及び/又はアルコキシメチル基で置換された化合物としては、下記一般式(4):
【化15】
{式中、R
34及びR
35は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、そしてR
36は、炭素数1〜30の有機基である。}
で表される構造を有するものが好ましい。
【0074】
N位がメチロール基及び/又はアルコキシメチル基で置換された化合物として、より具体的には、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、グリコールウリル樹脂、ヒドロキシエチレン尿素樹脂、尿素樹脂、グリコール尿素樹脂、アルコキシメチル化メラミン樹脂、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン樹脂、アルコキシメチル化グリコールウリル樹脂、及びアルコキシメチル化尿素樹脂を挙げることができる。
【0075】
これらの内、アルコキシメチル化メラミン樹脂、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン樹脂、アルコキシメチル化グリコールウリル樹脂、及びアルコキシメチル化尿素樹脂は、公知のメチロール化メラミン樹脂、メチロール化ベンゾグアナミン樹脂、又はメチロール化尿素樹脂のメチロール基をアルコキシメチル基に変換することにより得ることができる。このアルコキシメチル基の種類については、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基等を挙げることができる。
【0076】
N位がメチロール基及び/又はアルコキシメチル基で置換された化合物として、具体的には、サイメル300、301、303、370、325、327、701、266、267、238、1141、272、202、1156、1158、1123、1170及び1174並びにUFR65及び300(三井サイテック(株)製)、ニカラックMX−270、−280及び−290並びにニカラックMS―11、ニカラックMW―30、−100、−300、−390及び−750(三和ケミカル社製)等を好ましく使用することができる。
【0077】
また、N位がメチロール基及び/又はアルコキシメチル基で置換された化合物の例として記載された樹脂の単量体も(d)架橋剤として使用でき、例えば、下記化合物:
【化16】
並びにヘキサメトキシメチルメラミン、及びジメトキシメチル尿素等を挙げることができる。
【0078】
エポキシ化合物は、3員環環状エーテル構造を持つ化合物であり、その具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ポリスルフィド型エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
オキセタン化合物は、4員環環状エーテル構造を持つ化合物であり、カチオン開環重合反応、又はカルボン酸、チオール、若しくはフェノールとの付加反応が可能なものである。オキセタン化合物の具体例としては、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、4,4’−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ビフェニル、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)ジフェノエート、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリ[[3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピル]シラセスキオキサン]誘導体、オキセタニルシリケート、フェノールノボラック型オキセタン、1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ベンゼン、OXT121(東亞合成:商品名)、OXT221(東亞合成:商品名)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
耐熱性の観点から、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、4,4’−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ビフェニル、及びOXT121(東亞合成:商品名)が好ましい。
【0081】
アリル化合物の具体例としては、アリルアルコール、アリルアニソール、安息香酸アリルエステル、桂皮酸アリルエステル、N−アリロキシフタルイミド、アリルフェノール、アリルフェニルスルフォン、アリルウレア、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、イソシアヌル酸ジアリル、トリアリルアミン、イソシアヌル酸トリアリル、シアヌル酸トリアリル、トリアリルアミン、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリアリル、トリメリット酸トリアリル(和光純薬工業社製 TRIAM705)、ピロメリット酸トリアリル(和光純薬工業社製 TRIAM805)、オキシジフタル酸トリアリル、トリアリルホスフェート、トリアリルホスファイト、及びクエン酸トリアリルが挙げられるが、これらに限定されない。感度の観点から、トリメリット酸トリアリル(和光純薬工業社製 TRIAM705)、及びピロメリット酸トリアリル(和光純薬工業社製 TRIAM805)が好ましい。
【0082】
(メタ)アクリレート化合物としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、及びメタクリルアミドから成る群から選択される化合物が挙げられる。
【0083】
好ましい(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、新中村化学工業社製NK−エステルシリーズ M−20G、M−40G、M−90G、M−230G、CB−1、SA、S、AMP−10G、AMP−20G、AMP−60G、AM−90G、A−SA、LA、1G、2G、3G、4G、9G、14G、23G、BG、HD、NPG、9PG、701、BPE−100、BPE−200、BPE−500、BPE―1300、A−200、A−400、A−600、A−HD、A−NPG、APG−200、APG−400、APG−700、A−BPE−4、701A、TMPT、A−TMPT、A−TMM−3、A−TMM−3L、A−TMMT及び1−(アクリロイルオキシ)−3−(メタクリロイルオキシ)−2−プロパノール、1,3−ビス(アクリロイルオキシ)−2−プロパノール等が挙げられるが、これらに限定されない。(メタ)アクリレート化合物の炭素原子数は、現像性の観点から9以上であることが好ましく、溶剤への溶解性の観点から30以下であることが好ましい。
【0084】
また、アルカリ溶解性の観点から、(メタ)アクリレート化合物は、ヒドロキシル基、カルボニル基、アミノ基、チオール基等の極性基を含有することが好ましく、更に密着性の観点から、極性基はヒドロキシル基であることが好ましい。具体的には、そのような(メタ)アクリレート化合物としては、NK−701、1−(アクリロイルオキシ)−3−(メタクリロイルオキシ)−2−プロパノール、1,3−ビス(アクリロイルオキシ)−2−プロパノール等が挙げられる。なお用語「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタアクリレートを示す。
【0085】
(d)架橋剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。(a)アルカリ可溶性樹脂に対する(d)架橋剤の配合量は、(a)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、3〜40質量部であることがより好ましい。該配合量が1質量部以上である場合、架橋が良好に進行してパターニング性が良好となり、該配合量が100質量部以下である場合、キュア後の機械物性が良好に保たれる。
【0086】
(e)その他の添加剤
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、感光性樹脂組成物の添加剤として知られているフェノール化合物、染料、界面活性剤、安定剤、及び/又はシリコンウエハーとの密着性を高めるための接着助剤等の添加剤を加えることも可能である。
【0087】
上記添加剤について更に具体的に述べると、フェノール化合物としては、前記感光性ジアゾキノン化合物に使用しているバラスト剤、並びにパラクミルフェノール、ビスフェノール類、レゾルシノール類、又はMtrisPC、MtetraPC(本州化学工業社製:商品名)等の直鎖状フェノール化合物、TrisP−HAP、TrisP−PHBA、TrisP−PA(本州化学工業社製:商品名)等の非直鎖状フェノール化合物、ジフェニルメタンのフェニル基の水素原子2〜5個を水酸基に置換した化合物、2,2−ジフェニルプロパンのフェニル基の水素原子1〜5個を水酸基に置換した化合物等が挙げられる。該フェノール化合物の添加により、現像時のレリーフパターンの密着性を向上させて残渣の発生を抑えることができる。なお、バラスト剤とは、フェノール性水素原子の一部がナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化されたフェノール化合物である前述の感光性ジアゾキノン化合物に原料として使用されているフェノール化合物をいう。
【0088】
フェノール化合物を加える場合の添加量は、(a)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、0.01〜50質量部が好ましく、1〜30質量部がより好ましい。添加量が50質量部以下であれば、熱硬化後の膜の耐熱性が良好である。
【0089】
界面活性剤としては、ポリプロピレングリコール、もしくはポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリグリコール類、またはその誘導体から成る非イオン系界面活性剤が挙げられる。また、フロラード(住友3M社製:商品名)、メガファック(大日本インキ化学工業社製:商品名)、またはルミフロン(旭硝子社製:商品名)等のフッ素系界面活性剤が挙げられる。さらに、KP341(信越化学工業社製:商品名)、DBE(チッソ社製:商品名)、またはグラノール(共栄社化学社製:商品名)等の有機シロキサン界面活性剤が挙げられる。該界面活性剤の添加により、塗布時のウエハーエッジでの塗膜のハジキをより発生しにくくすることができる。
【0090】
界面活性剤を加える場合の添加量は、(a)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、0.001〜10質量部が好ましく、0.01〜1質量部がより好ましい。添加量が10質量部以下であれば、熱硬化後の膜の耐熱性が良好である。
【0091】
接着助剤としては、t−ブチルノボラック、アルミ化合物、チタンカップリング剤、エポキシポリマー、およびエポキシシランなどの各種シランカップリング剤が挙げられる。
【0092】
シランカップリング剤の具体的な好ましい例としては、3−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジアルコキシアルキルシラン、3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルジアルコキシアルキルシラン、3−アミノプロピルトリアルコキシシラン又は3−アミノプロピルジアルコキシアルキルシランと、酸無水物又は酸二無水物の反応物、3−アミノプロピルトリアルコキシシラン又は3−アミノプロピルジアルコキシアルキルシランのアミノ基をウレタン基又はウレア基に変換したものが挙げられる。この際のアルキル基としてはメチル基、エチル基、ブチル基などが、酸無水物としてはマレイン酸無水物、フタル酸無水物などが、酸二無水物としてはピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物などが、ウレタン基としてはt−ブトキシカルボニルアミノ基などが、ウレア基としてはフェニルアミノカルボニルアミノ基などが挙げられる。
【0093】
接着助剤を加える場合の添加量は、(a)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、0.01〜30質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。添加量が30質量部以下であれば、熱硬化後の膜の耐熱性が良好である。
【0094】
染料及び安定剤については、本発明の用途に適する限り、公知のものを使用することができる。
【0095】
<感光性樹脂組成物中の水分>
さらに、本発明においては、感光性樹脂組成物の感度及び保存安定性を向上させるために、感光性樹脂組成物中に特定範囲の量の水を含有させる。(a)アルカリ可溶性樹脂は、分子骨格内に水酸基を持つ。これらの極性基はその距離が近づくと水素結合を介して(a)アルカリ可溶性樹脂同士で3次元的なネットワークを作りあげると考えられる。本発明においては、感光性樹脂組成物中に十分な水分が存在することで、(a)アルカリ可溶性樹脂同士の水素結合形成を抑制して分散状態が良好となるため、膜厚均一性および膜厚安定性を向上させることができると考えられる。さらに、十分な水分量があることで、感光性樹脂組成物全体の保存安定性が外的要因を受けにくい安定領域に達するものと考えられる。
【0096】
以上の観点から、感光性樹脂組成物中の水分含有量は0.6〜18質量%であり、好ましくは、1.0〜12質量%である。水分は感光性樹脂組成物を構成するそれぞれの成分から副次的に導入されてもよいし、意図的に添加することもできる。水分含有量が0.6質量%以上であることにより、感光性樹脂組成物の感度及び保存安定性を確保するとともにワニスの膜厚均一性および膜厚安定性を向上させる効果を十分に得ることができる。また水分含有量が18質量%以下であることにより、(a)アルカリ可溶性樹脂の(c)溶媒への溶解性を確保できる。本明細書に記載する、感光性樹脂組成物中の水分含有量は、カールフィッシャー電量滴定法により測定される値である。カールフィッシャー電量滴定法による測定方法は、後述する。
【0097】
<硬化レリーフパターンの製造方法>
次に、本発明の硬化レリーフパターンの製造方法について、以下具体的に説明する。本発明の硬化レリーフパターンの製造方法は、下記工程(1)〜(4)を含む。
【0098】
(1)上記感光性樹脂組成物を層またはフィルムの形で基板上に形成する工程;
工程(1)において、本発明の感光性樹脂組成物を、例えばシリコンウエハー、セラミック基板、アルミ基板等の基板に、スピンコーターを用いた回転塗布、又はダイコーター若しくはロールコーター等のコータ−により塗布する。また、インクジェットノズル若しくはディスペンサーを用いて、基板上の所定の場所に感光性樹脂組成物を塗布することも可能である。この層又はフィルムを、例えばオーブン又はホットプレートを用いて、例えば50〜140℃、好ましくは100〜140℃に加熱して、乾燥させ溶剤を除去する(以下、「ソフトベーク」、又は「プリベーク」ともいう。)。以上により基板上に感光性樹脂層又はフィルムを形成できる。
【0099】
(2)感光性樹脂層を露光する工程;
続いて、工程(2)では、活性光線により感光性樹脂層を露光する。具体的には、コンタクトアライナー又はステッパーを用いて化学線による露光を行うか、光線、電子線又はイオン線を直接照射する。活性光線としては、例えばg線、h線、i線、又はKrFレーザーを用いることもできる。ここで、ネガ型感光性樹脂組成物を用いる場合は、露光の後に、加熱処理(露光後ベーキング(PEB))を行う。このPEB工程は、感光性樹脂組成物の感度を増感するための処理であり、本発明の作用効果を良好に得るためには通常必要である。PEB温度は、感度及び得られるパターン形状等を考慮すると、好ましくは80〜160℃、より好ましくは90〜150℃である。
【0100】
(3)露光後の感光性樹脂層を現像することによってレリーフパターンを形成する工程;
工程(3)においては、ポジ型感光性樹脂組成物を用いる場合は、露光部(活性光線の直接照射の場合には照射部)を現像液で溶解除去し、好ましくは、引き続きリンス液によるリンスを行うことで所望のレリーフパターンを得る。ネガ型感光性樹脂組成物を用いる場合は、同様の方法で、未露光部を現像液で溶解除去する。現像方法としては、スプレー、パドル、ディップ、又は超音波等の方式が可能である。リンス液としては蒸留水、又は脱イオン水等が使用できる。
【0101】
感光性樹脂層を現像するために用いられる現像液は、アルカリ水溶液可溶性重合体を溶解除去するものであり、典型的にはアルカリ化合物を溶解したアルカリ性水溶液であることが必要である。現像液中に溶解されるアルカリ化合物は、無機アルカリ化合物及び有機アルカリ化合物のいずれであってもよい。
【0102】
前記無機アルカリ化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、及びアンモニア等が挙げられる。
【0103】
また、前記有機アルカリ化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、エタノールアミン、及びトリエタノールアミン等が挙げられる。
【0104】
さらに、必要に応じて、上記アルカリ性水溶液に、メタノール、エタノール、プロパノール、またはエチレングリコール等の水溶性有機溶媒、界面活性剤、保存安定剤、及び樹脂の溶解抑止剤等を適量添加することができる。
【0105】
(4)得られたレリーフパターンを加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程;
工程(4)では、得られたレリーフパターンを加熱処理(キュア)することにより、(a)アルカリ可溶性樹脂がPBO前駆体構造を有する場合にはポリベンゾオキサゾール構造を有する樹脂を含む耐熱性の硬化レリーフパターン、及び(a)アルカリ可溶性樹脂がポリイミド前駆体構造を有する場合にはポリイミド構造を有する樹脂を含む耐熱性の硬化レリーフパターンが、それぞれ形成される。加熱装置としては、オーブン炉、ホットプレート、縦型炉、ベルトコンベアー炉、圧力オーブン等を使用することができる。加熱方法としては、熱風、赤外線、又は電磁誘導による加熱等が好ましい。加熱温度は200〜450℃が好ましく、250〜400℃がさらに好ましい。加熱時間は15分〜8時間が好ましく、1時間〜4時間がさらに好ましい。また加熱処理時の雰囲気は、窒素、アルゴン等の不活性ガス中が好ましい。
【0106】
以上のようにして硬化レリーフパターンを製造できる。
【0107】
また、上記工程(1)〜(4)を含む方法によって製造された硬化レリーフパターンも本発明の一態様である。
【0108】
<半導体装置>
本発明の半導体装置は、半導体素子と、半導体素子の上部に設けられた硬化膜とを備えており、その硬化膜が上述の感光性樹脂組成物の硬化膜から成る硬化レリーフパターンであることを特徴とする。該硬化膜としては、半導体素子上のパッシベーション膜、及びパッシベーション膜上に上述の感光性樹脂組成物の硬化膜を形成して成るバッファーコート膜等の保護膜、又は半導体素子上に形成された回路上に上述の感光性樹脂組成物の硬化膜を形成して成る層間絶縁膜等の絶縁膜、又はα線遮断膜、平坦化膜、突起(樹脂ポスト)及び隔壁等を挙げることができる。
【0109】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、多層回路の層間絶縁、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、表示体装置の液晶配向膜等の用途、及び発光素子の用途にも有用である。
【実施例】
【0110】
本発明を参考例、実施例及び比較例に基づいて更に具体的に説明する。ただし、それらは、本発明を詳細に説明するものであり、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0111】
<ポリヒドロキシアミドの合成>
〔参考例1〕
容量2lのセパラブルフラスコ中で、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン197.8g(0.54mol)、ピリジン75.9g(0.96mol)、ジメチルアセトアミド(DMAc)692gを室温(25℃)で混合攪拌し溶解させた。得られた混合物に、別途γ−ブチロラクトン(GBL)88g中に5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物19.7g(0.12mol)を溶解させた混合溶液を、滴下ロートにより滴下した。滴下に要した時間は40分、反応液温は最大で28℃であった。
【0112】
滴下終了後、湯浴により該フラスコを50℃に加温して、18時間撹拌した後に反応液のIRスペクトルの測定を行い、1385cm
−1および1772cm
−1のイミド基の特性吸収が現れたことを確認した。
【0113】
次に該フラスコを水浴により8℃に冷却し、別途GBL398g中に4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロライド142.3g(0.48mol)を溶解させた混合溶液を、滴下ロートより滴下した。滴下に要した時間は80分、反応液温は最大で12℃であった。滴下終了から3時間後、上記反応液を12lの水に高速攪拌下で滴下し重合体を分散析出させた。この精製沈殿物を回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、ポリヒドロキシアミド(P−1)を得た。このようにして合成されたポリヒドロキシアミド(P−1)のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量は、ポリスチレン換算で14,000であった。GPCの分析条件を以下に記す。
カラム:昭和電工社製 商標名 Shodex 805/804/803直列
容離液:テトラヒドロフラン 40℃
流速 :1.0ml/分
検出器:昭和電工製 商標名 Shodex RI SE−61
【0114】
<感光性樹脂組成物の調製>
[実施例1〜8、比較例1〜5]
(但し、実施例1は参考例Aである。)
(c)溶媒としてのγ−ブチロラクトン(GBL)154質量部、又はγ−ブチロラクトン(GBL)108質量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)46質量部との混合溶媒に、上記参考例1で得られた(a)アルカリ可溶性樹脂としてのポリヒドロキシアミド(P−1)又はノボラック樹脂(旭有機材社製 EP4080G)(P−2)100質量部、表1に記載の質量部の(b)光酸発生剤としての下記感光性ジアゾキノン化合物(Q−1)、及び表1に記載の質量部の(d)架橋剤としての下記製品(D−1)を溶解した後、得られた溶液の粘度を約10ポイズに調整し、必要に応じ水を更に加えることによって感光性樹脂組成物とした。
【0115】
このようにして作製した各感光性樹脂組成物中の水分量はカールフィッシャー電量滴定法で測定した。測定は平沼微量水分測定装置AQ−200(平沼産業株式会社製)を用い、発生液にハイドラナールRアクアライトRS、対極液にアクアライトCNを選択した。シリンジを用い試料を約1ml採取し、0.0001gの位まで精秤することで試料量1とし、その後装置に注入し水分量を測定した(実測水分量)。注入後のシリンジの重さを0.0001gの位まで精秤し試料量2とした。感光性樹脂組成物中の水分含有量は以下の式で求めた。
水分含有量(単位:%)={実測水分量/(試料量1−試料量2)}×100
各組成物と水分含有量を表1に示す。
【0116】
【表1】
【0117】
(Q−1)下記式:
【化17】
{式中、Qは、下記式(Q−1)’:
【化18】
又は水素原子を示す}
で表される化合物である。また、化合物(Q−1)については、Q全体の約83%が(Q−1)’基であり、かつQが(Q−1)’基により1〜3置換された化合物でよい。
(Q−2)PAG121(チバスペシャルティケミカルズ社製)
(D−1)MX−270(三和ケミカル製)
【0118】
<感光性樹脂組成物の評価>
(1)溶液均一性
溶液均一性とは、組成物中の水分が溶液と混ざりあっているかどうかを示す性質をいう。溶液均一性は、下記の基準に従って評価される。
○:組成物を目視で観察し、混ざり合っている場合。
×:組成物を目視で観察し、混ざり合っていない場合。
【0119】
(2)膜厚均一性
上記実施例及び比較例で得られた感光性樹脂組成物をスピンコーター(東京エレクトロン社製Act12)を用いて12インチシリコンウエハー上に回転数1000rpm、30秒にてスピンコートし、120℃で180秒間プリベークした後、ウエハーの直径上を8mm間隔で31点、膜厚をNanoSpec M6100A(NANOMETRICS社製)を用いて測定し、そして下記式に従って、それらの膜厚から膜厚均一性を算出した。
膜厚均一性={(最高膜厚[μm]−最低膜厚[μm])/平均膜厚[μm]}×100
【0120】
(3)膜厚安定性
上記実施例及び比較例で得られた感光性樹脂組成物を室温で3週間置いた後、(2)と同条件にて、スピンコーターを用いて12インチシリコンウエハー上にスピンコートし、ウエハー上の33点について膜厚を測定し、その膜厚を(2)と比較し、膜厚安定性として記録した。
膜厚安定性={(3)の平均膜厚[μm]−(2)の平均膜厚[μm]}/{(2)の平均膜厚[μm]}×100
以上、(1)〜(3)の項目について結果を表2に示す。
【0121】
【表2】
【0122】
表2から明らかなように、本願発明による水分含有量の範囲にある実施例1〜8では、膜厚均一性及び膜厚安定性の両方ともに優れている。