(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5762720
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】フローサイトメトリ用の多波長光の周波数多重化検出
(51)【国際特許分類】
G01N 15/14 20060101AFI20150723BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
G01N15/14 D
G01N21/27 Z
【請求項の数】6
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2010-247453(P2010-247453)
(22)【出願日】2010年11月4日
(62)【分割の表示】特願2007-530436(P2007-530436)の分割
【原出願日】2005年9月1日
(65)【公開番号】特開2011-59127(P2011-59127A)
(43)【公開日】2011年3月24日
【審査請求日】2010年11月4日
【審判番号】不服2013-22325(P2013-22325/J1)
【審判請求日】2013年11月14日
(31)【優先権主張番号】10/931,686
(32)【優先日】2004年9月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】コックス,ジェイムズ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ズーク,デヴィッド・ジェイ
【合議体】
【審判長】
尾崎 淳史
【審判官】
信田 昌男
【審判官】
三崎 仁
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2004/19067サ−チレポ−ト(WO,A3)
【文献】
特開平11−330053(JP,A)
【文献】
特開昭62−44646(JP,A)
【文献】
特開2004−163312(JP,A)
【文献】
特開2001−66250(JP,A)
【文献】
特開昭63−215942(JP,A)
【文献】
特開平2−300647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N15/00-15/14
G01N21/00-21/01
G01N21/17-21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の周波数で第1の波長を有する第1の光を変調するステップと、
別の周波数で別の波長を有する少なくとも別の光を変調するステップと、
前記第1の波長を有する前記光を前記別の波長を有する前記少なくとも別の光と結合して光ビームにするステップと、
前記光ビームを同心環状光検出器のアレイで検出するステップであって、前記同心環状光検出器のアレイは、検出された光を、それぞれの角度で検出器に当たる光を表す電気信号に変換し、各環状光検出器がそれ自体の所定の角度範囲を定めるように、光に感応しない区域によって互いに分離される、検出するステップと、
前記電気信号を時間的にフィルタ処理するステップと、
前記時間的にフィルタ処理された電気信号を前記第1の波長の光を表す信号及び別の波長を有する前記少なくとも別の光を表す信号に分析するステップと
を含み、前記光は前記同心環状光検出器の同一平面内の光感応表面上で前記同心環状光検出器に当たり、前記同心環状光検出器が、同一平面上で光に感応しない区域で同心円状に分離されている、異なる波長を有する検出された光ビームの構成要素を識別する方法。
【請求項2】
前記光ビームを目標物に向けるステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記目標物はサイトメータフローストリームチャネルのコアストリームである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記検出器のアレイは前記目標物によって散乱された光を検出する請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記検出器のアレイは、前記光の方向の異なる角度間隔における光の量を決定するための個別の検出器のアレイを含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記電気信号を時間的にフィルタ処理するステップはフーリエ変換の使用を含む請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイトメータに関し、詳細には、サイトメータの光システムに関する。より詳細には、本発明は、サイトメータのフローストリーム内の微細粒子または構成要素についての情報の光学的取得に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、Bernard Fritz等により2002年8月21日に出願され、「Optical Alignment Detection System(光学アライメント検出システム)」と称する米国特許出願第10/225325号に関連し、この米国特許出願は参照により本明細書に組み込まれており、本発明は、2002年11月26日に出願され、「Portable Scattering and Fluorescence Cytometer(ポータブル散乱および蛍光サイトメータ)」と称する、Aravind Padmanabhan等の米国特許出願第10/304773号に関連し、この米国特許出願は参照により本明細書に組み込まれている。本発明は、2003年4月15日に発行され、「Optical Detection System for Flow Cytometry(フローサイトメータ用光学検出システム)」と称する、Cabuz等による米国特許第6549275B1号、2003年7月22日に発行され、「Portable Flow Cytometer」と称するCabuz等による米国特許第6597438B1号、2002年5月7日に発行され、「Fluid Driving System for Flow Cytometry(フローサイトメータ用流体作動システム)」と称するCabuz等による米国特許第6382228B1号、2004年3月2日に発行され、「Optical Detection System for Flow Cytometry(フローサイトメータ用光学検出システム)」と称するFritzによる米国特許第6700130B2号、2001年6月5日に発行され、「Addressable Valve Arrays for Proportional Pressure or Flow Control(比例圧力またはフロー制御用の位置付け可能バルブアレイ)」と称するOhnstein等による米国特許第6240944B1号にも関連し、これらのすべてが参照により本明細書に組み込まれている。「流体」という用語は、種類としてガスおよび液体を含む総称として本明細書で使用することができる。例えば、空気、ガス、水、および油は流体である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、サイトメータのフローチャネル内で光が当たっている粒子に関する情報を得るのに各種の波長の光を検出するための多重化方式を使用するサイトメータ用光システムである。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】単一の検出器をもつ多重化多波長光散乱システムを示す図である。
【
図2】光信号対それぞれの変調周波数のグラフである。
【
図3】例示的例として、多重化多波長光散乱システムを使用することができるサイトメータの図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
性能の改善(すなわち精度、選択性、信頼性など)は、多波長で粒子の光散乱特性を測定することによって達成することができる。本発明は、すべての波長に対して単一の検出器アセンブリを使用することによってこの測定手法を達成する方法を提供することができる。各波長の光源は他の変調された光源から十分に隔てられた一意的な周波数で変調されて、信号は検出器の出力で明白に多重分離することができる。測定下の粒子によって散乱された、すべての変調された光源からの光は同じ検出器アセンブリに集めることができる。
【0006】
フローサイトメトリにおいて、多粒子タイプ(例えば血球)を計数および識別する際の弁別および精度の改善は、粒子量、各種の角度での散乱、および各種の波長での散乱などの多次元測定を行うことによって達成することができる。本発明は、この光学呼び掛け技法(すなわち多波の散乱)への改善を示すことができる。多波長での散乱はフローチャネルに沿って空間的に隔てられた位置で行うことができる。これは、タイミングにおける注意深い同期ならびに多数の検出器アレイおよびスペクトルフィルタを必要とすることがある。この問題は、各種の波長光源の変調周波数多重化を使用することによって避けることができる。各光源は、システムの帯域幅要件を満たすように一意的および十分高い周波数で変調することができる。光源は1つの光入力経路に折り重ねられ、同じ粒子の位置に同時に集束することができる。次に、各種の波長の散乱された光が同じ検出器アレイに集められて角度情報が特定され、各種の波長の信号は検出器信号を時間的にフィルタ処理すること(例えばフーリエ変換方法)によって分離することができる。
【0007】
図1は、本発明を実施態様を示す。この図はチャネル11の断面図を示す。チャネル11はサイトメータの流れまたは測定チャネルとすることができる。それは、チャネル11を通って移動する粒子12を有するコアストリームを有することができる。
【0008】
粒子12を伴うコアストリームは図の面に流れ込むように見ることができる。チャネル11は長尺にすることができる。粒子12を伴うコアストリームは、コアストリームを取り囲む鞘状の流体でチャネル11の内部表面から離したままにすることができる。チャネル11の断面の位置は、光源および検出器構成が配置される場所にすることができる。チャネル11は、光源および検出器構成を容易にするために透明な窓13および14を有することができる。光ビーム15は窓13を通ってチャネル11に入り、粒子12に当たり、これによりビーム15は散乱されて光16になり、窓14を通ってチャネル11から出て行くことができる。光16は検出器17によって検出することができる。検出器17は、光に感応するリング状の表面区域18を有する環状タイプとすることができる。検出器17は、光16に感応する別のリング状の表面区域19でも拡大することができる。光検出面18および19は、光に感応しない環状区域21によって互いに分離することができる。その上、検出器17は、光に感応しない環状区域23によって光検出環状区域19から分離されている中央光検出区域22でさらに拡大することができる。検出器17は、必要なだけ多くの環状検出器を含むように拡大することができ、各環状検出器はそれ自体の所定の角度間隔を定める。環状検出器、または検出器のアレイである他の種類の検出器は、それぞれの角度で検出器に当たる光に対応する電気信号を供給することができる。すなわち、1つの電気信号は第1の角度の検出された光に対応することができ、別の電気信号は第2の角度の検出された光に対応することができるなどである。
【0009】
各種類の情報が散乱された光から粒子12に関して得ることができる。まず、粒子12の計数は、検出器17への光ビーム15の連続的な遮断によって行うことができる。粒子12に関するサイズ、形状、表面などに関する他の情報は検出器17に当たる散乱された光から得ることができる。散乱された光の大きさおよびそのような光の検出器17上の位置は、各種の検出器17表面からの信号から電気的に示すことができる。散乱された光の各種の波長が分かっている場合、別の次元の情報を散乱された光から得ることができる。各種の波長の光ビーム15は粒子12から異なる散乱をすることがある。すなわち、1つの波長の光ビームは、同じ位置において、粒子に光が当たる同じ点に対してまたは同じ粒子に対してさえ別の波長の光ビームと異なる散乱をすることがある。散乱のこれらの違いは粒子について追加情報を与えることができる。
【0010】
様々であるが識別可能な光の周波数を有する光ビーム15を投射することは本発明で達成することができる。ビーム15はいくつか(n)の光源24、25、および26からの光で構成することができる。光源24は、波長λ
1を有する光ビーム27を放出または放射することができる。光源25は波長λ
2を有する光ビーム28を放射することができ、光源26は波長λ
nを有するビーム29を放射することができる。光源25と光源26との間に、それぞれ異なる波長を有する光ビームをもつ多数の同様の光源があることができる。
【0011】
ビーム27は、光源24からダイクロイック折重ねミラーアセンブリ30の構成要素のダイクロイックミラー31に伝搬することができる。ミラー31は、ビーム27の少なくとも一部をチャネル11の方に約90度反射させることができる。ビーム28はアセンブリ30のダイクロイックミラー32に伝搬することができる。ミラー32はビーム28の少なくとも一部をチャネル11の方に約90度偏向および/または反射させることができる。ビーム29はアセンブリ30のダイクロイックミラー33に伝搬することができる。ミラー33はビーム29の少なくとも一部をチャネル11の方に約90度反射させることができる。追加のビームおよびミラーが、それぞれビーム28と29との間およびミラー32と33との間にあってもよい。
【0012】
ビーム27がチャネル11の方に伝搬するとき、少なくとも一部はミラー32および33ならびこれらのミラー間の任意の追加ミラーを通過することができる。同様に、ビーム28がチャネル11の方に伝搬するとき、少なくとも一部はミラー33、およびミラー32と33との間の任意ミラーを通過することができる。合成されたビーム15は、ビーム27、28および29ならびにアセンブリ30のミラー32と33との間に配置された他のミラーによって反射または偏向された任意のビームを含むことができる。ビーム15は、開口34、光学35、およびチャネル11の窓13を通って進むことができる。
【0013】
ビーム15はチャネル11の窓13を通過し、粒子12に当たり、光ビーム16として散乱され、それは窓14を通って検出器17に行くので、光ビーム16の各々がどの波長を有するかを決めることに関心があることがある。対応策は、検出器17から出力される電気信号で反射光の波長または光源を識別する方法においては明白でないであろう。
【0014】
散乱あるいは非散乱の検出された光16の波長を識別することは、光源の各々からの光を変調することで達成することができる。すなわち、変調器36は周波数f
1で光源24の出力を変調することができる。さらに、変調器37は周波数f
2で光源25の出力を変調することができ、変調器38は周波数f
nで光源26の出力を変調することができる。変調器37と38との間に、光源25と26との間に配置することができる他の波長の追加の光源を変調する他の変調器があることができる。この手法は光源の周波数多重化と見なすことができる。変調器36、37、38および他の変調器は、コンピュータ/プロセッサ40に接続し、制御することができる。
【0015】
検出器17の出力は周波数分析器39に行き、それは検出された光16および15の信号を多重分離し、波長およびそれぞれの光源に応じて光を構成要素信号に分離することができる。これらの信号は、分析、計数、識別、記録および/または他の措置のためにコンピュータ/プロセッサ40に供給することができる。
【0016】
変調周波数は信号周波数と比較してかなり高くすることができる。
図2は周波数に応じて多重化された信号のグラフを示す。例示的例として、信号41は10.0MHzで多重化された波長λ
1のものであり、信号42は10.3MHzで多重化された波長λ
2のものであり、信号43は10.6MHzで多重化された波長λ
nのものであることができる。他の波長の追加の信号は、検出器17の出力で多重分離するために他の周波数で多重化することができる。
【0017】
図3は、多重化多波長光散乱システムの例示的応用を組み込むことができるサイトメータ45の図である。サイトメータ45は、粒子12のコアストリームをもつチャネル11を有することができる。
【0018】
本発明は少なくとも1つの例示的実施形態に対して説明されたが、多くの変形形態および変更形態が、本明細書を読むとき当業者には明白になるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、すべてのそのような変形形態および変更形態を含むように従来技術を考慮してできるだけ広義に解釈されることを意図している。