特許第5762722号(P5762722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5762722
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】引戸
(51)【国際特許分類】
   E05F 17/00 20060101AFI20150723BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   E05F17/00 B
   E05D15/06 119
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-251716(P2010-251716)
(22)【出願日】2010年11月10日
(65)【公開番号】特開2012-102527(P2012-102527A)
(43)【公開日】2012年5月31日
【審査請求日】2013年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000125990
【氏名又は名称】株式会社くろがね工作所
(72)【発明者】
【氏名】安井 伸
【審査官】 西村 直史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−090432(JP,A)
【文献】 実開昭58−128284(JP,U)
【文献】 特開2010−180659(JP,A)
【文献】 特開2005−146832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F17/00
E05D15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右戸袋部と、開放時に左右戸袋部に収納される左右外扉と、開放時に左右外扉に収納される左右内扉と、左外扉と左内扉を1対2の移動距離で同一方向に連動させる左扉連動装置と、右外扉と右内扉を1対2の移動距離で同一方向に連動させる右扉連動装置と、左右内扉を1対1の移動距離で、相反する方向に連動させる内扉連動装置を左右扉連動装置の上方に構成し、内扉連動装置は、左右外扉が閉鎖した状態で、左右外扉の戸尻側端部上方で固定壁に連結された内扉連動用左右滑車取付け金具に取付けられた内扉連動用左右滑車と、内扉連動用左右滑車に平行に掛け渡された左右内扉連動用ワイヤーを有し、左右内扉の戸先側端部に設けられた左右内扉戸先側吊り座が、前後ワイヤー左右連結座を介して左右内扉連動用ワイヤーの前後で連結されていることを特徴とする引戸。
【請求項2】
左右戸袋部を通路側に突出した状態に設けた事を特徴とする請求項1に記載の引戸。
【請求項3】
左右内扉戸先側吊り座に左右内扉戸先側振れ止め装置を設けたことを特徴とする請求項2に記載の引戸。
【請求項4】
左右内扉戸先側吊り座のいずれか一方に、フリーストッパーか全開時停止ローラーを設けたことを特徴とする請求項3に記載の引戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスイング式の開き戸に代わる引戸に関するもので、特に、スタッフ及びスタッフの付き添いがあれば患者等が使用できるエリア(以下、スタッフエリアと云う。)と部外者(患者等)がスタッフの付き添いがなくても使用できるエリア(以下、共用エリアと云う。)を区画するため、特に病院等の通路を仕切る引戸に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、病院等の通路にもうけられ、スタッフエリアと共用エリアを仕切る扉は、スイング式の開き戸が一般的である。しかしながら、スイング式の開き戸は、開放した扉が開放側に大きく飛び出すので、開放側の人の存否を確認してから開く必要がある。余裕のある時は、そのような確認は無意識のうちに行っているので、さしたる不便は感じない。
しかしながら、多忙になると注意を怠り、確認しないまま開放する傾向があり、開放側の人に、開放された扉がぶつかる危険があった。
一方、引戸の場合は、開放された扉を収納する扉幅とほぼ同じ幅の戸袋部が必要となるので、この戸袋部を通路側に突出させると、通行可能域は通路幅の略半分となる。
従って、十分な通行可能域を確保しようとすると、戸袋部を廊下と直交する形で壁面内に埋め込む必要があった。
これは、建築工事と同時に行う必要があり、現実的ではなかった。
【0003】
又、通行可能域を確保しつつ、戸袋幅を小さくしたものとして、引戸と引戸収納壁を備えた壁収納型引戸装置が提供されている。この引戸は前後に区分され、前方の前扉は、後方の後扉内に収納可能で、後扉は前扉を収納した状態で引戸収納壁に収納可能としたものである。(特許文献1参照)
この場合、スタッフエリアと共用エリアを仕切る仕切用の引戸として用いると、通路の一方よりに偏った位置に通行可能域が形成されることとなりストレチャーの通過などに支障をきたすこととなる。
又。廊下の左右側に設けられた手摺が仕切用の引戸の箇所で、一方側のみしか連続して設置できない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−192740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、簡単な構造で、通路の左右側に戸袋部を突出させても、通路の中央部に十分な通行可能域を確保し、通路の左右側両方で、スタッフエリアと共用エリアに連続する手摺を通路の左右側両方で設置可能とした、通路等を仕切る引戸を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為、本発明が第1の手段として構成したところは、左右戸袋部と、開放時に左右戸袋部に収納される左右外扉と、開放時に左右外扉に収納される左右内扉と、左外扉と左内扉を1対2の移動距離で同一方向に連動させる左扉連動装置と、右外扉と右内扉を1対2の移動距離で同一方向に連動させる右扉連動装置と、左右内扉を1対1の移動距離で、相反する方向に連動させる内扉連動装置を左右扉連動装置の上方に構成し、内扉連動装置は、左右外扉が閉鎖した状態で、左右外扉の戸尻側端部上方で固定壁に連結された内扉連動用左右滑車取付け金具に取付けられた内扉連動用左右滑車と、内扉連動用左右滑車に平行に掛け渡された左内扉連動用ワイヤーを有し、左右内扉の戸先側端部に設けられた左右内扉戸先側吊り座が、前後ワイヤー左右連結座を介して左右内扉連動用ワイヤーの前後で連結されているものである。
【0007】
次ぎに上記課題を解決する為、本発明が第2の手段として構成したところは、上記第1の手段に加えて、左右戸袋部を通路側に突出した状態に設けたものである。
【0008】
次ぎに上記課題を解決する為、本発明が第3の手段として構成したところは、上記第2の手段に加え、左右内扉戸先側吊り座に左右内扉戸先側振れ止め装置を設けたものである。
【0009】
次ぎに上記課題を解決する為、本発明が第4の手段として構成したところは、上記第3の手段に加え、左右内扉戸先側吊り座のいずれか一方に、フリーストッパーか全開時停止ローラーを設けたものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によると、引戸は、左外扉と左内扉及び右外扉と右内扉をそれぞれ、1対2の移動距離で同一方向に連動させる左右扉連動装置と、左右内扉を1対1の移動距離で、相反する方向に連動させる内扉連動装置を有しているので、左右内扉を連動させるだけで、左右内扉と左右外扉を左右戸袋部に収納する事が出来、小さな戸袋部で大きな開放幅を得る事ができる。
内扉連動装置を左右扉連動装置の上方に構成しているので、配設箇所が広くとれるので、配設作業が容易である。
内扉連動装置の内扉連動用左右滑車は、左右外扉が閉鎖した状態で、左右外扉の戸尻側端部上方で固定壁に連結された内扉連動用左右滑車取付け金具に取付けられているので、左右戸袋部に影響されずに外部からの取付け、取外し、位置調節を簡単に行うことが出来る。
左右内扉戸先側吊り座が、前後ワイヤー左右連結座を介して前後の内扉連動用ワイヤーと連結されているので、外部からの連結、ワイヤーの前後での連結作業が容易に行う事が出来ると共に、前後ワイヤー左右連結座を同形とし、左右を共用することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によると、請求項1に記載の効果に加え、左右戸袋部が通路側に突出した状態に設けられているので、従来の引戸と同様、建物の内装仕上げの時に引戸の設置ができるので、建築物に影響を及ぼす事がなく、通路の中央部に、戸袋部の略2倍の通過可能域を構成できるので、ストレッチャー等の通過も容易である。
又、本発明の引戸を閉鎖することで、スタッフエリアと共用エリアの区画を簡単、確実に行う事が出来、引戸に認証装置などのセキュリティ機能を設ければ、患者が誤って、スタッフエリアに入ることもなく、院内感染等の予防にも役立つ。又、戸袋部の前後面に手摺を設けることも出来るので、スタッフエリアと共用エリアに通路側手摺と戸袋側手摺が連設することとなり、障害者のスタッフエリアへの通行にも安全である。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、上記請求項1に記載の効果及び上記請求項2に記載の効果に加え、左右内扉戸先側吊り座に左右戸先側振れ止め装置を設けたので、左右内扉戸先側の振れが防止されるとともに、左右内扉戸先側振れ止め装置の取付けと、ワイヤー前後連結座とワイヤーの前後での連結作業が同じ位置で、同時に行えるので作業能率が良い。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、上記請求項1に記載の効果及び上記請求項2に記載の効果、請求項3に記載の効果に加え、左右内扉戸先側吊り座のいずれか一方に、フリーストッパー装置か全開時停止ローラーを設けるだけ、ストレチャーの通過時には簡単に全開状態か、あるいは所望の通過可能開口を得ることが出来、しかも、他方の内扉、外扉も同時に同様の状態とすることが出来、左右戸先側振れ止め金具の取付けと、ワイヤー前後連結座とワイヤーの前後での連結作業と、フリーストッパー、あるいは、全開時停止ローラーの取付け作業を同じ位置で、同時にする事ができるので、作業能率が良い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の閉鎖状態の正面略図である。
図2図2は、本発明の開放状態の正面略図である。
図3図3は、閉鎖状態の各部材の位置を示す正面略図である。
図4図4は、開放状態の各部材の位置を示す正面略図である。
図5図5は、閉鎖状態の各部材の位置を示す斜視図である。
図6図6は、左内扉戸先側吊り座を示す斜視図である。
図7図7は、本発明の要部縦断面図である。
図8図8は 本発明の閉鎖状態の要部横断面図である。
図9図9は、本発明の開放状態の要部横断面図である。
図10図10は、右内扉戸先側振れ止め金具を示す要部縦断面図である。
図11図11は、右外扉戸先側振れ止め金具を示す要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
左右戸袋部と、開放時に左右戸袋部に収納される左右外扉と、開放時に左右外扉に収納される左右内扉と、左外扉と左及び右外扉と右内扉をそれぞれ、1対2の移動距離で同一方向に連動させる左右扉連動装置と、左右内扉を1対1の移動距離で、相反する方向に連動させる内扉連動装置を有し、内扉連動装置は、左右外扉が閉鎖した状態で、左右外扉の戸尻側端部上方で固定壁に連結された内扉連動用左右滑車と、内扉連動用左右滑車に平行に掛け渡された左右内扉連動用ワイヤーを有し、左右内扉の戸先側端部に設けられた左右内扉戸先側吊り座が、ワイヤー前後連結座を介して左右内扉連動用ワイヤーの前後で連結され、左右戸袋部は壁面と直交して通路側に突出した状態に設けられ、左右内扉戸先側吊り座のいずれか一方に、フリーストッパー装置か全開時停止ローラーを設けたものである。
【実施例】
【0016】
以下、第実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1図4図7図8図9において、符号1は、病院等の通路を共用エリアとスタッフエリア(以下、共用エリアとスタッフエリアの両方をあらわす場合は、両エリアと云う。)に仕切る形で、通路の壁面に直交して設けられた引戸枠を示している。
引戸枠1は、通路の壁面に埋め込まれた建物用鉄骨にブラケットを介して固定された左右戸尻側縦枠13、13と、左右戸尻側縦枠13、13の上端間に、建物用鉄骨にブラケットを介して配設された左右上枠15、15と、左右戸尻側縦枠13、13間で、左右上枠15、15のそれぞれの中間位置に、左右上枠15、15の共用エリア側(実施例では点検側、いわゆる、引戸等の吊り込み側)とスタッフエリア側の両面に上端が固定され、下端部が床面に埋め込まれた、両エリア側に所定間隔を有する左右共用エリア側中枠3、3と左右スタッフエリア側中枠30、30と、左右共用エリア側中枠3、3の上端間で、上枠15の上端の共用エリア側の面に連結され、共用エリア側に突出する中央上框150より構成されている。
符号151は、左右上枠15、15を中央部で連結する連結補強金具を示している。
【0017】
以下、左戸尻側縦枠13と左室内外側中枠3、30間を左戸袋部10、右戸尻側縦枠13と右両エリア側中枠3、30間を右戸袋部20、左両エリア側中枠3、30と右両エリア側中枠3、30間を通行口、共用エリア側中枠3からスタッフエリア側中枠30の方向を前後方向、左右両エリア側中枠3、3、30、30と左右戸尻側縦枠13、13の方向を開閉方向と云う。
尚、実施例では、便宜上、点検側を共用エリア側として説明しているが、設置場所に対応して点検側をスタッフエリア側としても良い事は云うまでもない。
【0018】
図2図3図7において、符号2、2は、上枠15のスタッフエリア側の縦面壁152の共用エリア側の面に、通行口側を低く、左右戸袋部10、20側を高く所定の角度に傾斜してネジ止め連結されている左右レール取付材を示している。
符号5、5は、左右のレール取付材2、2のスタッフエリア側の面に、通行口側を低く、左右戸袋部10、20側を高く所定の角度に傾斜して連結された左右外扉用レール部材を示している。左右外扉用レール部材5、5は、左右に対向した同形に形成されている。
【0019】
符号50、50は、上方に突出する軌条からなり、左右のレール取付材2、2の上面に
通行口側を低く、左右戸袋部10、20側を高く所定の角度に傾斜して取付けられた、左右内扉用レール部材を示し、符号6、6は、左右外扉用レール部材5、5に吊り下げられた左右外扉を示し、符号60、60は左右内扉用レール部材50、50に吊り下げられた左右内扉を示している。
すなわち、左右外扉6、6と左右内扉60、60は、左右外扉用レール部材5、5及び左右内扉用レール部材50、50の傾斜によって、常に閉鎖方向に移動するよう付勢されている。
【0020】
そして、左右扉連動装置8、8(図5に示す。)によって、左内扉60と左外扉6及び右内扉60と右外扉6は、同一方向に2対1の移動距離となるよう連動し、内扉連動装置9(図5に示す。)によって、左右内扉60、60は、反対方向に1対1の移動距離となるよう連動している。
符号16、16は、左右戸袋部10、20の床面全幅にわたって固定された左右ベース材を示している。
【0021】
そして、左右ベース材16、16の出入口側端部に、左右スタッフエリア側中枠30、30、左右共用エリア側中枠3、3間でやや通行口側に突出して、左右外扉6、6の下端部の振れを阻止する左右床面ガイドローラー600、600が設けられている。
図1図4において、符号4・・・は、左右戸袋部10、20の左右両エリア側の両面上下方向に所定間隔を有して配設された下地桟を示している。
図7において符号17は、中央上框150の下方側に着脱自在に取付けられる点検パネルを示し、符号19は、左右上枠15、15のスタッフエリア側の通行口に位置して設けられるスタッフエリア側ランマ下地パネルを示している。
符号100は、下地材4・・・、及び、スタッフエリア側ランマパネル下地パネル19等の表面に設けられた通路面等の壁面と同じ化粧パネルを示している。
すなわち、各中柱30、3の通行口側端部と、中央上框150の通行口側と共用エリア側の端面と、点検パネル17と、スタッフエリア側ランマパネル下地パネル19の通行口側端部以外は化粧パネルで隠蔽される。
図8図9において、符号130は、右戸尻側縦枠13の戸先側端面に設けられた、右外扉6全開時に、右外扉6の戸尻側端面が当接する開放時外扉緩衝部材を示し、符号131は、右内扉60の戸尻側端面に設けられた、右内扉60の全開時に、右外扉6の戸尻側端部の内面に当接する開放時内扉緩衝部材を示している。
開放時外扉緩衝部材130と開放時内扉緩衝部材131は、左戸尻側縦枠13、左内扉60にも設けられている。
【0022】
左右外扉6、6、左右内扉60、60及び、左右扉連動装置8、8、左右外扉6、6、左右内扉60、60に取付けられる各部材は左右対称形であり、又、左右対称に配設されているので、以下、右外扉6、右内扉60側についてのみ説明する。
右外扉6は、図7図8図9に示す如く、内部に右内扉60が収納可能な空間が形成されるよう所定間隔を隔てて前後方向に対向して配設された両エリア側右パネル板61、62と、両エリア側右パネル板61、62の下端部間に連結される右外扉底板64と、共用エリア側右パネル板61の上端とスタッフエリア側右パネル板62の上端部間に連結される右外扉天板65と、両エリア側右パネル板61、62の戸尻側端部間の、戸尻側端面を閉塞する右外扉後板66より構成されている。
【0023】
右外扉底板64は、共用エリア側右パネル板61とスタッフエリア側右パネル板62間の中央部が上方に突出し、下面が右外扉6の開閉方向全幅に渡って開口し、下方から前記右床面ガイドローラー600が嵌合する右床面ガイドローラー嵌合溝63を有し、右床面ガイドローラー嵌合溝63の上方で、右外扉底板64の戸先側端部に、右内扉60の振れを阻止する右内扉ガイドローラー67が戸先側に突出して設けられている。
【0024】
右外扉天板65は、図5に示す如く、上端面の共有エリア側に、右内扉戸尻側吊り座601が開閉方向に移動可能なよう、開閉方向にわたって開口する右内扉移動用開口652を有している。
そして、右外扉天板65の上端面には開閉方向に所定間隔を有して上方に突出する右外扉吊り下げボルト656、656が取り付けられている。
【0025】
右内扉60は、図5図7に示す如く全体がパネル形状をなし、戸先側端面には、戸先側端面が横断面略三角形に突出する、ゴム材等の弾性材からなる戸当り部602が取付けられ(左内扉60の戸先側端面には、戸当り部602に対応して戸当たり受け部603が設けられている。)、戸先側端面が嵌合溝閉塞部(図示せず。)によって閉塞され、戸尻側端部が開口し、右内扉ガイドローラー67が嵌合する右内扉ガイドローラー嵌合溝604が下端面の開閉方向に形成され、右内扉用レール部材50に吊り下げるための右内扉戸尻側吊り座601、右内扉戸先側吊り座605が、開閉方向に所定間隔を有して上端面に取付けられている。
【0026】
右外扉6と右内扉60は上記の如く構成され、点検パネル17が取外された状態で、後記する右扉連動装置8の右外扉戸尻側連動用滑車80が右外扉天板65の戸尻側上面に回転自在に取付けられた状態で、右外扉6を右外扉用レール部材5に吊り下げた後、戸先側より右内扉60を嵌入して、右内扉60を右内扉用レール部材50に吊り下げる。
【0027】
すなわち、右外扉用レール部材5は、右外側用レール部材5は、右レール取付材2に連結される右外扉6の開閉寸法よりやや長めの固定側レールと、複数個のボールを介して固定側レールに摺動自在に保持された、右外扉6の幅寸法(開閉方向の寸法)の略半程度の長さに形成された右移動側レールより構成され、右移動側レールには右外扉6を吊り下げるための右外扉支持金具21が連結されている。
【0028】
そして、右床面ガイドローラー600を右床面ガイドローラー嵌合溝63に嵌合させた状態で、右外扉6の右外扉天板65の上面に取付けた右外扉吊り下げボルト656、656の頭部を、右扉支持金具21に形成された共有エリア側が開口する係止孔の上側に係止するよう、螺軸部を共有エリア側から嵌入して、右外扉用レール部材5に右外扉6を吊り下げ、吊り下げボルト656、656の頭部を回動して、右外扉6の高さを調節した後、蓋片657を取付けることによって、右外扉吊り下げボルト656の廻り止めと、点検パネル17側への移動が阻止される。
【0029】
次ぎに、右外扉6の戸先側から、右内扉60の右内扉ガイドローラー嵌合溝604に右内扉ガイドローラー67を嵌合しながら嵌入し、右内扉60の戸先側端部上面に取付けた右内扉戸先側吊り座605のスタッフエリア側に回転自在に取付けられた右内扉戸先側吊り下げ用滑車606を右内扉レール部材50に吊り下げ、次ぎに、右外扉6の右外扉天板65に形成された右内扉移動用開口652から、右内扉戸尻側吊り座601を右内扉6の戸尻側上面に連結した後、右内扉戸尻側吊り座601のスタッフエリア側に回転自在に取付けられた右内扉戸尻側吊り下げ用滑車607を右内扉レール部材50に吊り下げる。
そして、次ぎに右扉連動装置8を配設する。符合608、608は、右内扉戸先側吊り座605、右内扉戸尻側吊り座601に設けられた、右内扉戸先側吊り下げ用滑車606、右内扉戸尻側吊り下げ用滑車607が、右内扉レール部材50から浮き上がるのを防止する浮き上がり防止ネジを示している。
【0030】
右扉連動装置8は、右外扉戸尻側連動用滑車80、右外扉戸先側連動用滑車81、右扉連動用ワイヤー84より構成されている。
すなわち、戸先側端部にエアーシリンダー当たり82が形成され、エアーシリンダー当たり82の戸尻側で、右外扉戸尻側連動用滑車80と同じ右外扉戸先側連動用滑車81が、上面に回転自在に取付けられた右滑車取付け用金具83を、戸先側に突出して、右外扉天板65の戸先側端部に仮連結する。
【0031】
そして、右扉連動用ワイヤー84の一端を、右外扉6の閉鎖時で、右外扉戸尻側連動用滑車80のやや戸先側の固定壁(右上枠15)に連結し、他端を右外扉戸尻側連動用滑車80に外側より掛け渡した後、右内扉戸尻側吊り座601の共用側エリア側の面から右外扉戸先側連動用滑車81に外側から掛け渡した後、すでに固定壁(縦面壁152の共用エリア側の面)に連結された端部のやや戸先側に固定し、右扉連動用ワイヤー84の張り具合を調節しながら(右外扉天板65に仮連結された右滑車取付け用金具83の戸先側への突出量を調整した後、右滑車取付け用金具83を右外扉天板65に連結する。)、右内扉戸尻側吊り座601の共用エリア側の面に、一方を上側、他方を下側とした片たすき状に掛け渡し、連結ネジ840、840にて2箇所で連結する(図5に示す)。すなわち、連結ネジ840、840に右扉連動用ワイヤー84を片たすき状に掛け渡しているので、右内扉戸尻側吊り座601から右扉連動用ワイヤー84が不用意に外れるのを防止している。
【0032】
次ぎに、右外扉6の右外扉天板65の戸先側端部と戸尻側端部の上面に、上方が開口す
る二股状の右外扉戸先側振れ止め金具87と右外扉戸尻側振れ止め金具88が取付けられ、右内扉戸先側吊り座605のスタッフエリア側の面に、右内扉戸先側振れ止め装置89が取付けられる。
【0033】
右外扉戸先側振れ止め金具87と右外扉戸尻側振れ止め金具88は同じものであるので、以下、一方側についてのみ説明する。
右外扉戸先側振れ止め金具87は、共有エリア側が開口する略横向きコ字形の基台871と、基台871の上面に連結された、前後突片872、873と、前後突片872、873の上端部に被せられた合成樹脂製の緩衝部材874、874よりなる振れ止め座875構成される。
そして、右レール取付材2の下面に設けられた右外扉振れ止め材52の共用エリア側の端部で、右外扉用レール部材5の下方に位置して、右外側扉6の開閉幅全幅にわたって下方に突出する右外扉振れ止め突片51の前後を、前後突片872、873が挟むように、複数枚のライナー870によって、前後突片872、873の高さ位置が調節され、右外側天板65の戸先側の上面に連結される。
符号876は振れ止め座875の底部で右外扉振れ止め突片51の下方に位置し、右外扉振れ止め突片51との接触時の緩衝を行う合成樹脂材からなる緩衝用滑子を示している。
【0034】
右内扉戸先側振れ止め装置89は スタッフエリア側で、上方に突出する右上向き突片891と、右連結用突片892からなる略右上向きコ字形の右振れ止め用金具890と、右上向き突片891の上端部に被せられた合成樹脂製の緩衝部材895と、右上向き後突片891の所定寸法共用エリア側に位置する、合成樹脂製の袋ナットからなる右緩衝用頭部893と、右緩衝用頭部893が先端に螺着し、右内扉戸先側吊り座605に形成された螺孔に螺合し、スタッフエリア側の先端に右緩衝用頭部893が螺着し、共用エリア側から螺合状態を調節して、右上向き後突片891と右緩衝用頭部893の間隔を調整する右調整ボルト894より構成されている。
尚、右振れ止め用金具890の右連結用突片892の開閉方向の中央部には、右調整ボルト894の挿通用切り欠きが形成されている。
符号896は右振れ止め用金具890の底部で右外扉振れ止め突片51の下方に位置し、止め突片51との接触時の緩衝を行う合成樹脂材からなる緩衝用滑子を示している。
【0035】
次ぎに、ローラー取付け金具71を介して右内扉戸先側吊り座605スタッフエリア側に、ローラー取付け金具71を介して全開時停止ローラー72がとりつけられ、全開時停止ローラー72に対応して、右内扉60の全開時に前記全開時停止ローラー72が弾性的に係止する、戸先側端部にへの字形の弾性係止突起を有する、板バネ材で形成された全開時ストッパー73が固定壁(縦面壁152の共用エリア側の面)に取付けられている。
【0036】
すなわち、全開時停止ローラー72と全開時ストッパー73で全開時停止装置が構成され、フリーストッパー装置7と同様、後記する内扉連動装置9によって、左右内扉60、60の何れか一方側にのみ設けることによって、ストレッチャー等の通過時、あるいは、医療機器の搬入時、移動時に、左右外扉6、6と左右内扉60、60を全開状態、あるいは所望の通行可能域を維持することが出来る。
【0037】
フリーストッパー装置7は、図6に示すように、摩擦係数が大きく弾性を有す下側を重く形成したゴム等材料より形成される接触子75と、接触子75の上端部を回動自在に支持し、左内戸先側吊り座605と連結される接触子支持金具76より構成され、常時は接触子75が左内扉60の移動可能方向に傾斜した状態で、接触子75の下端面が左内扉用レール部材50の上面に接触しながら移動し、左内扉60が停止した状態で接触子75は摩擦によって突っ張った状態となり、内左扉60は自閉機能に抗して、停止状態を維持する。
【0038】
そして、内左扉60閉鎖方向に移動させる場合は、閉鎖方向に力を加えて接触子75を変形させて、接触子75と接触子支持金具76の回動支点を閉鎖側に移動させ、接触子75の傾斜方向を反対にすると、自閉機能によって、左内扉60は自閉する。
尚、符号77は接触子75が不測に一回転しないよう、又、接触子75を故意に反対方向に回転させて、左内扉用レール部材50に接触しない状態に保持し、フリーストッパー機能を解除するためのフリーストッパー解除用突起である。
【0039】
次ぎに、左右内扉60、60間に内扉連動装置9が配設される。
内扉連動装置9は、閉鎖状態の左右外扉6、6の戸尻側端部上方で固定壁(縦面壁152の共用エリア側の面)側に内扉連動用左右滑車取付け金具90、90を介して固定壁側(縦面壁152の共用エリア側の面)に設けられた内扉連動用左右滑車91、91と、内扉連動用左右滑車91、91に平行に掛け渡された左右内扉連動用ワイヤー93と、左右内扉60、60の左右内扉戸先側吊り座605、605を、左右内扉連動用ワイヤー93の前後側と連結させる、前後ワイヤー左右連結座94、94より構成されている。
【0040】
内扉連動用左右滑車取付け金具90、90は左右に対向した同形に形成されているので、内扉連動用右滑車取付け金具90についてのみ説明する。
内扉連動用右滑車取付け金具90は、戸先側端部に開閉方向に長孔とした連結孔901、901を戸先側端部に有する連結基板902と、連結基板902の上端に連設され戸尻側端部に滑車連結突部904を有する水平突壁903より形成されている。
そして、滑車連結突部904の下面に回転自在に内扉連動用右滑車91が取付けられ、連結孔901、901が両エリア中枠3、30の通行口側に位置した状態で上枠15の縦壁面152の共用エリア側の面に連結される。
【0041】
前後ワイヤー左右連結座94、94は左右で共用するため同形に形成されているので前後ワイヤー連結座94についてのみ説明する。
前後ワイヤー連結座94は、右内扉戸先側吊り座605の共用エリア側面に連結される連結用下方基板941と、連結用下方基板の上端に連設されスタッフエリア側に突出するワイヤー連結部942よりなり、ワイヤー連結部942には左右内扉連動用ワイヤー93の平行部分の前後間隔と等しい前後間隔を有して前後連結用螺孔943、943が形成され、左右内扉連動用ワイヤー93をワイヤー連結部942の上面側に位置した状態で、左右内扉60、60の一方が、前後に平行な左右内扉連動用ワイヤー93の前側の箇所で、下方から連結ネジ944で連結されると、他方側は後側の箇所で下方から連結ネジ944で連結される事となる。
【0042】
次ぎに、上枠15の縦壁面152の共用エリア側に右滑車取付け用金具83のエアーシリンダー当たり82に対応してエアーシリンダー153を固定壁(縦面壁152の共用エリア側の面)に取付け、左右内扉60、60、の連動、左右外扉6、6の連動、閉鎖スピードの調整(左右外扉用レール部材5、5、左右内扉用レール部材50、50)閉鎖時のブレーキ調整、吊り下げ高さ、振れ止め状態等々の微調整を行った後、浮き上がり防止ネジ608、608を螺合し、点検パネル17をとりつける。
【符号の説明】
【0043】
1 引戸枠
10 左戸袋部
2、2 左右レール取付材
20 右戸袋部
5、5 左右外扉用レール部材
50、50 左右内扉用レール部材
6、6 左右外扉
60、60 左右内扉
7 フリーストッパー装置
8、8 左右扉連動機構
9 内扉連動装置
90、90 内扉連動用左右滑車取付け金具
91、91 内扉連動用左右滑車
93 左右内扉連動用ワイヤー
94、94 前後ワイヤー左右連結座94、94
図1
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