【文献】
T. E. ERLANGER,FIELD ISSUES RELATED TO EFFECTIVENESS OF INSECTICIDE-TREATED NETS IN TANZANIA,MEDICAL AND VETERINARY ENTOMOLOGY,英国,BLACKWELL SCIENTIFIC PUBL.,2004年 6月 2日,V18 N2,P153-160
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
塩基は任意の塩基であってもよく、通常は水酸化物の水または溶媒/水の混合物の溶液であってもよい。塩基の濃度は使用される他の試薬によって決まるが、一般的には0.1〜1000mMの範囲であろう。
【0009】
水素化物ドナーおよび水素化物アクセプターという用語は、当技術分野で十分に公知である。任意の水素化物ドナーまたは水素化物アクセプターを使用してもよい。ドナーおよびアクセプターは、2つの異なる化合物であってもよいし、または、ある状況においては、同一の化合物がドナーおよびアクセプターの両方となってもよい。水素化物ドナーの例は、芳香族アルデヒド、特にニトロ、シアノ、トリメチルスルホニルおよびトリハロメチルスルホニル基等の1つまたは複数の電子吸引性基によって置換された芳香族アルデヒドを含む。分子上での電子吸引性基の好ましい位置はパラ位である。水素化物ドナーの例は、パラ−ニトロベンズアルデヒド、パラ−シアノベンズアルデヒド、およびパラ−メチルスルホニルベンズアルデヒドを含む。
【0010】
水素化物アクセプター化合物は、置換基がオルト位またはパラ位の電子吸引性基であるような置換されたニトロ芳香族化合物等の化合物を含む。このような化合物は、パラ−ニトロベンズアルデヒド、1,2−ジニトロベンゼン、1,4−ジニトロベンゼンおよび4,5−ジニトロ安息香酸を含む。水素化物アクセプターとしては、テトラゾリウム塩も有用である。
【0011】
テトラゾリウム塩は、例えば、トリフェニルテトラゾリウムクロリド、テトラゾリウムブルー、ニトロテトラゾリウムブルー、ヨードニトロテトラゾリウム、テトラゾリウムバイオレット、WST−1である。
【0012】
試薬の成分の最適な濃度は、水素化物ドナーおよびアクセプター化合物として選択されるものに応じてそれぞれ1〜1000mMおよび1〜500mMの範囲内である。
【0013】
ピレスロイドはピレトリンの合成形態である。この用語は当技術分野で十分に公知である。II型ピレスロイドは、例えば、シペルメトリン、シフルトリン、シハロトリン、デルタメトリン、シフェノトリン、フェンバレレートおよびフルバリネートを含む。好ましいII型ピレスロイドは、デルタメトリン、α−シペルメトリンおよびλ−シハロトリンを含む。
【0014】
試料は、ピレスロイドが見いだされてもよい任意の試料であってもよい。例えば、試料は、ピレスロイドの溶液であってもよく、または、ピレスロイドで処理された物品の試料であってもよく、またはピレスロイドで処理された物品から得られてもよい。特に、試料は、ピレスロイドが噴霧されていてもよい蚊帳または壁であってもよい。さらに、試料は、このような物品から得られたスワブであってもよい。試料がピレスロイドを含浸させたまたは噴霧した物品である可能性がある場合には、上記方法は、好ましくは、ピレスロイドを有機溶媒で抽出するステップを含む。溶媒は、好ましくは、水素化物ドナーおよびアクセプターより前にまたは水素化物ドナーおよびアクセプターと同時に試料に添加される。任意の溶媒を使用してもよいが、ピレスロイドを抽出でき、試薬を溶解でき、塩基の水溶液と混和できる溶媒であることを条件とし、溶媒の例は、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、2−ピロリドンおよびN−メチル2−ピロリドンを含む。
【0015】
試薬および溶媒が使用される場合、試薬および溶媒は任意の適切な方法で試料に添加されてもよい。例えば、試薬および溶媒を試料に対して噴霧してもよく、または試薬および溶媒がそれぞれ入っている容器の中に試料を浸漬してもよい。
【0016】
試料自体が着色されている場合には、試薬を添加する際に見られる色の変化が試料の色によって妨げられよう。したがって、溶媒を添加した後で試料を希釈する必要がある場合もある。一方、分光光度計、例えばマイクロタイタープレートリーダーを使用することにより、試料の色の吸収を反応生成物から差し引くことも可能である。
【0017】
試薬を添加した後で反応を停止させることが望ましい場合がある。この場合、上記方法は、酸溶液を添加することによって反応を停止させるステップをさらに含んでもよい。酸は、有機酸、例えば酢酸、または無機酸、例えばHClのいずれであることもできる。
【0018】
上述のように、II型ピレスロイドが存在する場合に試料の色が変化する。パラ−ニトロベンズアルデヒドおよび1,2−ジニトロベンゼンが使用される場合には、色は青紫色に変化する。青紫色という用語は、500nm〜600nm、より好ましくは520nm〜580nm、より好ましくは540〜570nmの波長を有する任意の色を意味するために使用される。
【0019】
本発明を以下に詳細に、例示によってのみ記載する。
【0020】
水素化物移動反応
芳香族アルデヒドを起点とする水素化物移動反応は、化学文献中においてよく知られている。ベンズアルデヒドと水酸化物との反応、いわゆるカニッツァーロ反応がその例であり、この反応では水素化物が第2の分子に移動し、ベンズアルデヒドが還元され、安息香酸およびベンジルアルコールが反応において形成される。芳香族アルデヒドとシアン化物との反応により一般的にシアノヒドリン中間体を経てベンゾイン化合物が形成され、このベンゾイン化合物は別の芳香族アルデヒド分子と反応してベンゾインを形成することができ、ベンゾイン縮合と呼ばれる。反応全体において、シアン化物は触媒として作用し、最終生成物中には見いだされない。全ての芳香族アルデヒドがシアン化物の存在下においてベンゾイン縮合による生成物を生成できるわけではない。特定の置換された芳香族アルデヒドの場合には、カニッツァーロ反応において見られるプロセスと類似するプロセスにおいて水素化物移動反応がシアノヒドリン中間体を起点として発生することができる。上記系において芳香族アルデヒドよりも良好な水素化物アクセプターが存在する場合には、芳香族アルデヒドの第2の分子の代わりにこの化合物が還元されるであろう。このプロセスにおいて芳香族シアン化アシルが形成され、芳香族シアン化アシルが反応条件下において加水分解されて、芳香族カルボン酸およびシアン化物が付与されるであろう。後者によって新しい反応サイクルが開始される可能性があることから、シアン化物は触媒として作用する。
【0021】
水素化物移動反応に加わるであろうアルデヒドの種類は、1つまたは複数の電子吸引性基、例えばニトロ、シアノ、トリメチルスルホニル、トリハロメチルスルホニルで置換されたベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド、特にアルデヒド基に対して電子吸引性基がパラ位にあるものである。
【0022】
水素化物(電子)アクセプター分子は、それ自体単独で作用でき、容易に測定することができる特性の変化を与えることができる任意の種類の化合物であってもよい。使用することができる化合物の種類は、置換基が電子吸引性基、特にオルトまたはパラ位のニトロ基である置換されたニトロ芳香族化合物、例えば1,2および1,4−ジニトロベンゼンならびに関連する化合物である。
【0023】
水素化物のニトロ基への移動によってまずニトロソ基が形成され、次いでニトロソ基が第2の水素化物の移動シフトを受けてヒドロキシルアミノ基に変換される。1,2および1,4−ジニトロベンゼンの場合、水酸化物との反応によって、濃く着色された生成物が形成される可能性がある。1,2−ジニトロベンゼンの場合には、最大値は560nmである。
【0024】
一方、ヒドロキシルアミノ化合物はニトロソ化合物および/または試験において水素化物ドナーとして使用される芳香族アルデヒドと反応し、着色された生成物を付与することができる。水素化物ドナーとして作用する芳香族アルデヒドがニトロ基で置換されている場合には、この芳香族アルデヒドは別の水素化物アクセプターの非存在下において水素化物アクセプターとしても反応に加わることができる。色の出現は、溶媒および試験において使用される塩基の濃度(pH)に依存する。
【0025】
上記以外の水素化物アクセプターの種類は、いわゆるテトラゾリウム化合物である。水素化物によって還元されると、濃く着色された生成物(ホルマザン)が形成される。これらの水素化物アクセプターは、不溶性のホルマザンを付与するであろうテトラゾリウム塩および水溶性のホルマザンを提供するように設計されているテトラゾリウム塩であってもよい。
【0026】
水素化物移動反応は、使用される溶媒、系における水の量および塩基の強さ(pH)に依存する。溶媒は、水と混和できる種類のものであるべきである。
【0027】
試験系におけるpHは、II型ピレスロイドの加水分解を生じさせることができるように十分に高くあるべきであり、水素化物移動反応にとって最適であるべきである。最適なpHは、水素化物ドナーおよびアクセプター分子の選択によって決まる。
【0028】
一般的な手順
チューブに入った一片の蚊帳に溶媒xμlを添加し、続いて同じ溶媒中の水素化物ドナー化合物xμlおよび水素化物アクセプターxμl(または試薬を添加する順序を逆にする)を添加し、最後に塩基の水溶液xμlを添加する。蚊帳にII型ピレスロイドを含浸させた際に、溶液が着色し始めるであろう。
【0029】
見える色の濃さは、蚊帳から放出されたII型ピレスロイドの量に依存する。一方、蚊帳または噴霧された表面のスワブ(swap)を作り、類似する方法で処理することができる。
【実施例1】
【0030】
チューブに入った一片の蚊帳に、メタノール200μl、メタノール中の200mM p−ニトロベンズアルデヒド200μlおよび100mM 1,2−ジニトロベンゼン200μlを添加する。125mM NaOH水溶液200μlを添加すると、II型ピレスロイドが存在する場合に青紫色に着色し始めることになる。
【実施例2】
【0031】
チューブに入った一片の蚊帳に、パラニトロベンズアルデヒド(100mM)のアセトニトリル溶液600μl、続いて50mM NaOH水溶液200μlを添加する。ピンク色が現れ始めることになる。
【実施例3】
【0032】
チューブに入った一片の蚊帳に、エタノール200μl、
エタノール中の200mMパラシアノベンズアルデヒド200μl、テトラゾリウム
バイオレット200μl、最後に10mM水性NaOH 200μlを添加する。紫色が現れ始めることになる。
【実施例4】
【0033】
チューブに入った一片の蚊帳に、メトキシエタノール200μl、メトキシエタノール中の200mM p−ニトロベンズアルデヒド200μlおよび100mM 1,2−ジニトロベンゼン200μlを添加する。125mM NaOH水溶液200μlを添加すると、II型ピレスロイドが存在する場合に青紫色に着色し始めることになる。
【実施例5】
【0034】
ピレスロイドの検出
多様な標準ピレスロイドを含有する溶液を、試薬I(NaOH)で、続いて試薬II(パラニトロベンズアルデヒドおよび1,2−ジニトロベンゼンの溶液)で処理した結果、青紫色が生成した。試薬IおよびIIを順序を逆にして添加することもできる。デルタメトリン、α−シペルメトリン、λ−シハロトリンでは青紫色が迅速に形成されるがペルメトリンでは形成されないことから、蚊帳に含浸させる際に今回使用されたα−シアノピレスロイドがこの試験において検出されたことが示される。
【0035】
形成された反応生成物の吸収曲線は最大値が約560nmである。青紫色の存在によって、結果を目視によって判断することが容易となる、すなわち、色が濃いほどピレスロイドの量と相関しているということである。
【0036】
試験は96ウェルマイクロタイタープレートにおいて実行することもでき、これにより、試験抽出物の濃度をマイクロタイタープレートリーダーを使用して決定することができる。特殊なフィルタを購入する必要はなく、プレートリーダーについている標準的な種類のフィルタを使用して、感度を大きく低下させることなく、広い範囲の波長(500〜600nm)にわたって吸光度を測定することができる。酸を添加することによって反応を停止させた際に色の変化が見られる場合があり、適切な波長において測定することができる。生成した色は試験されたピレスロイド全てにおいて同一であり、さらにプレートリーダーから得られた値によって、上記試験の反応は
デルタメトリン(DM)、α−シペルメトリンおよびλ−シハロトリンについては同一であるがペルメトリンは検出されなかったことが確認された。
【実施例6】
【0037】
試料からのデルタメトリンの抽出効率
デルタメトリンを含む蚊帳を使用するこのプロセスに対して最適な条件を確立するために、多様な有機溶媒および加水分解の条件を検討した。次いで、手順全体、すなわち抽出および着色反応に対して最良の溶媒を決定するために、蚊帳を使用する実験を実施した。その蚊帳についてHPLCによる分析も行った。
【0038】
蚊帳を裁断した(2.5×2.5cmとし、各蚊帳を溶媒500μl[A〜E]中で抽出し、この抽出物50μlを比色試験に使用して、残りは20μlをカラム上に注入してHPLC分析を行った)。
【0039】
デルタメトリンは、蚊帳の試料の51番からは抽出されなかったが、試験試薬で処理された場合に紫色の形成を示した。試料についての説明を参照すると、試料の51番はデルタメトリンで処理されていない(その故に値が示されなかったのである)が、α−シペルメトリンを含むことが分かった。HPLCクロマトグラムを再度考査すると、検出されたピークはα−シペルメトリンであることが確認された。この後者のピレスロイドは、溶媒A中においてわずかな反応を示し、溶媒C、DおよびE中ではより強い反応を示すが、溶媒B中においては反応を示さない。
【0040】
HPLC分析の結果から、蚊帳から多様な殺虫剤を抽出するための溶媒を最適化する必要性と、試験において使用される条件とが適合していなければならないであろうということが確認される。比色反応に影響を及ぼす溶媒もあるであろう。
【実施例7】
【0041】
試験管およびマイクロタイタープレートにおいて試験を使用することの適合性
試験管またはマイクロタイタープレートのそれぞれの適合性を示すために蚊帳の試料を使用した。各蚊帳の試料(2.5×2.5cm)を、DMの抽出において最も効率が高いことが見いだされている溶媒A(2ml)中において抽出した。上記試験は半定量的な性質を有することが予想されるが、このことを示すために、既知の量のDMもマイクロタイタープレート中において使用した。
【0042】
試験管における試験の適合性を示す:
上記の蚊帳の抽出物100μlを試験管の中に配置し、続いて試薬混合物I(200μl)、次いで試薬II(100μl)を添加した。
【0043】
マイクロタイタープレートを使用する試験の適合性を示す:
既知の濃度のDM(0〜62.25μg/ml、25μl)および上記の蚊帳の抽出物(各25μl)を、マイクロタイタープレートの各ウェルの中に配置した。次いで試薬混合物I(50μl)、続いて試薬II(25μl)を各ウェルに添加し、生成した色をプレートリーダーを使用して読み取った。
【0044】
プレートリーダーを使用して色の濃さを測定するための適切な時間を示す:
既知の量(μg/ml)のDMによって形成された色の測定値を得るため、上記プレートを15および30分後に監視した。
【0045】
実験を実施することによって、試薬IおよびIIを同量、すなわち抽出物の量に対して2倍となる量で使用した際、抽出物の体積の影響によって色がより濃くなるということが見いだされる。上記試験は、抽出された染料による干渉を克服することができる十分な感度を有しているか:
多くの蚊帳が明るく着色され、染料が試験を妨げるか否かを知ることが重要である。着色された多くの蚊帳からの染料は、DMを抽出するために有機溶媒が使用された場合には抜けることはない。しかしそれ以外の場合には、この試験において必要な抽出手順の間にDMによって染料も抽出されることが考えられ、これによって試験の比色反応が妨げられるであろう。多くの場合は、明るく着色された蚊帳の抽出物は無色であるが、染料が抽出される場合には2通りの方法がある。試験の感度が十分であって試料をさらに希釈できる場合には抽出物の溶液を希釈することができ、その結果として染料による干渉が低減される、およびまたは反応生成物の吸収から吸収を差し引くことができ、この場合はマイクロタイタープレートリーダーを使用する必要がある。
【0046】
試験の感度は、蚊帳の試料の寸法、上記試料を抽出するために使用される溶媒の体積および試験系において使用される試料の抽出物の量等の要因に依存するであろう。上述の抽出物の試料25μlおよび50μlを各ウェルの中において試薬混合物I(50μl)、続いて試薬II(25μl)によって処理した。
【実施例8】
【0047】
3つの代表的なII型ピレスロイド(デルタメトリン、λシハロトリン、シペルメントリン)についての、試験が一次性となる範囲の確立
色の形成の一次性は、分析の標準およびHPLCによって特徴づけられたITN抽出物、すなわち色の濃さとピレスロイドの量との関連を用いることによって探究された。
【0048】
マイクロタイタープレートリーダーを使用して544nmにおいて測定したところ、色の形成は、試験反応を開始した後から60分後までの任意の時点においてDMの濃度と正比例することが示された。
【実施例9】
【0049】
ピレスロイドの分解生成物の試験
本発明者らは、上記以外のいくつもの既知のピレスロイドの分解生成物を購入し、試験することができた。これらの生成物は上記試験において反応しなかった。
【実施例10】
【0050】
偽陽性の有無を調べる試験
本発明者らは、殺虫剤によって処理された材料に存在する可能性がある他のもの(例えば洗浄に使用される石けん、配合添加剤、パラフィン、木炭等)による偽陽性の確度を、HPLCによって特徴づけられた抽出物の多くにおいて探究した。
【0051】
蚊帳は何回も洗浄される可能性があるため、本発明者らは、標準的な石けんによる影響を試験し、蚊帳を洗浄するために使用されるWHO指定の石けんの存在下において色が薄くなるか否かを調べた。本発明者らはまた、蚊帳にデルタメトリンを含浸させるために使用される結合剤(Bayer)の存在下における反応も実施した。理論的には、この結合剤は反応の開始に影響を及ぼす可能性があった。石けんまたは結合剤の存在下において、DMは色の濃さに対して干渉しない。
【実施例11】
【0052】
溶媒の選択
異なる溶媒によるピレスロイドを抽出する能力を試験した。
溶媒B中に溶解させた市販のDMを既知の濃度において試験管の中に配置した(各100μl)。次いで各チューブに試薬混合物I(200μl)、続いて試薬II(100μl)を添加した。色の形成を上記の所与の時間間隔で記録した。
【実施例12】
【0053】
経時的な色の変化
反応生成物の青紫色は30〜60分間の間経時的に強くなるが、安定しておらず、経時的に変化することが見いだされた。反応生成物の色は一晩で青紫色からオレンジ色に変化した。
【実施例13】
【0054】
反応の停止
色の強度は経時的に増大し続けるであろう。これは反応の触媒特性によるものであり、感度の非常に高い試験が得られるのはこのためである。したがって、本発明者らは、所与の任意の時点において色の形成を経時的に測定することができるように、反応を停止させる方法を開発した。
【0055】
これは、第3の試薬(酸)をインキュベーション混合物に添加することによって達成されており、これによって反応が停止して色が青紫色から黄色に変化し、色の変化はλ=450nmにおいて測定することができる。この色に対して必要なフィルタは、マイクロタイタープレートリーダーの標準的な付属品である。この手順を使用することによって、450nmにおいて測定される吸収の値(O.D)は、反応を停止させる前に544nmにおいて測定される吸収の値の約半分となる。色は安定しており、試薬IIIを添加することによって反応を停止させてから1週間後でもまだ視認可能である。
【0056】
特定の時間に反応を停止させることができることを示すために、ブラインド蚊帳の試料20個の抽出物を使用した。
【実施例14】
【0057】
蚊帳の試料に対する試験の適用
本発明者らは蚊帳からの試料20個を試験し、蚊帳の色、溶媒A中に抽出された色および最後にHPLCによって測定されたDMの量を記録した。この分析においては溶媒Aを使用した。結果を表1中に示す。表は、試料が何であるか、本発明者らによる任意(無原則)の番号、蚊帳の色、溶媒A中に抽出された際に生成した色および最後に検出されたDMの量を示す。太字のDMの量は溶媒Bで抽出した後にプレートリーダーで測定したものであり、括弧内の量は溶媒A中に抽出されHPLCによって測定された量である。2つの方法で検出されたDMの量は異なるが、これは抽出プロセスにおいて異なる溶媒が使用されるためである。8568番の蚊帳は、DMではない可能性があることを示す。
【実施例15】
【0058】
一片の蚊帳をチューブの底に配置し、溶媒A 200μl、置換されたベンズアルデヒド、例えば溶媒A中のパラニトロベンズアルデヒド、パラシアノベンズアルデヒドの混合物400μlおよび塩基溶液200μlをチューブに添加する。色が現れ始め、適切な時間の経過後に酸溶液200μlを添加して反応を停止させる。
【0059】
【表1】