特許第5762800号(P5762800)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5762800
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】配管制振装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/00 20060101AFI20150723BHJP
【FI】
   F16L55/00 F
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-80831(P2011-80831)
(22)【出願日】2011年3月31日
(65)【公開番号】特開2012-215240(P2012-215240A)
(43)【公開日】2012年11月8日
【審査請求日】2014年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】柴田 和彦
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭49−27730(JP,U)
【文献】 特開平1−279126(JP,A)
【文献】 実開昭64−21894(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制振対象配管の外周に取り付けられる固定治具と、この固定治具に一端が固定される重ね板ばねと、この重ね板ばねの他端に取り付けられる錘とを具備し、
前記重ね板ばねは、複数の平板ばねを重ねてなり、中間部において各平板ばね相互間の接触圧力を加減して相互の摩擦力を調整するための締め付け機構を具備し、
前記締め付け機構は、重ね板ばねを表裏から厚さ方向に挟む一対の押し付け部材と、この押し付け部材と重ね板ばねとの挿通孔を緩く貫通して重ね板ばねを押し付け部材間に締め付ける調整ボルト及びナットとを具備することを特徴とする配管制振装置。
【請求項2】
前記重ね板ばねが、互いに平行に延びるように一対設けられ、端部間に前記錘が固着されることを特徴とする請求項1に記載の配管制振装置。
【請求項3】
前記固定治具は、配管の外周を把持するバンド部材と、このバンド部材の外周に配管の半径方向へ突出するように設けられる取り付け座とを具備し、この取り付け座に、前記重ね板ばねの一端が固定されることを特徴とする請求項1または2に記載の配管制振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配管に取り付けて、その振動を抑制する配管制振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、制振対象配管の外周に取り付けられた固定治具と、同固定治具の周囲に設けられた円環状のおもりと、固定治具とおもりとの間に設けられたゴムやばねの減衰用部材からなる配管制振装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
また、配管に装着可能なパイプクランプの円弧状フランジに、銅板等の非磁性導電体からなるドーナツ状の円板を半割状とした板材を取り付け、この板材の両面に、積層ゴム或いはばね等の弾性部材を介して、ドーナツ状の円板を各々半割状としてなる一対のヨーク固定プレートを取り付け、この一対のヨーク固定プレート間に掛け渡すようにヨークを配設し、このヨークに、板材の両面を挟むように微小間隔をあけて磁石を対向して固定する制振装置が知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−196096号公報
【特許文献2】特開平7−293753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の配管制振装置においては、高温環境下で、ゴムの弾性変化や、永久磁石の減磁が起きるので、使用環境に制限がある。したがって、この出願に係る発明は、高温環境下での使用に耐える構造の簡単な配管制振装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、この出願に係る発明の配管制振装置1は、制振対象配管Pの外周に取り付けられる固定治具2と、この固定治具2に一端が固定される重ね板ばね3と、この重ね板ばね3の他端に取り付けられる錘4とを具備する。重ね板ばね3は、複数の平板ばね7を重ねてなり、中間部において各平板ばね7相互間の接触圧力を加減して相互の摩擦力を調整するための締め付け機構8を具備する。
【発明の効果】
【0006】
この出願に係る発明の装置によれば、高温環境下での使用に耐える構造の簡単な配管制振装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る配管制振装置の正面図である。
図2図1の配管制振装置の側面図である。
図3図1の配管制振装置の一部の断面図である。
図4】本発明の他の実施形態に係る配管制振装置の正面図である。
図5図4の配管制振装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
図1ないし図3において、配管制振装置1は、横方向に設置される制振対象配管Pの外周に取り付けられる固定治具2と、この固定治具2に一端が固定される平行一対の重ね板ばね3と、この重ね板ばね3の他端間に挟むように取り付けられる錘4とを具備する。平行一対の重ね板ばね3と錘4とでダンパユニット12が構成される。
【0009】
固定治具2は、配管Pの外周を把持するバンド金具5の外周に、配管Pの半径方向に突出する取り付け座6をほぼ水平方向に相対向して一対設けたものである。取り付け座6は、配管Pの軸線に沿って、バンド金具5の幅方向に延びる取り付け面6aを有する。この取り付け座6に一対のダンパユニット12が取り付けられる。
【0010】
重ね板ばね3は、複数の短冊状の平板ばね7を重ねて、中間において締め付け機構8にて結束してなる。一方の重ね板ばね3は、上縁部が取り付け座6の取り付け面6a上に配置され、他方の重ね板ばね3の上縁部との間にスペーサ11が介設され、他方の重ね板ばね3の外側面に当てられる押さえ部材9もろとも、ねじ10にて取り付け座6に固定される。
【0011】
締め付け機構8は、平板ばね7の相互間の接触圧力を加減して相互の摩擦力を調整するためのもので、重ね板ばね3を表裏から厚さ方向に挟む一対の押し付け部材13と、この押し付け部材13と重ね板ばね3とを貫通して締め付ける調整ボルト14及びナット15とを具備する。調整ボルト14は、重ね板ばね3と押し付け部材13の挿通孔3a、13aを緩く貫通する。重ね板ばね3の表裏とボルト14及びナット15との間には、それぞれ皿ばね16が介設される。
【0012】
図4ないし図5の実施形態では、縦方向に設置される配管の外周90°毎、四方にダンパユニット12を設ける。各ダンパユニット12の構造は先の実施形態のものと同一である。この場合、重ね板ばね3は、配管Pの周りに、軸線方向に垂下する。
【0013】
本装置1を配管Pに設置することによって、錘4が大きく振動し、重ね板ばね3が撓む際に、それを構成する個々の平板ばねが相対変位し、それの重ね合わせ面間に摩擦抵抗が生じる。この摩擦抵抗により配管Pの振動エネルギが減衰される。振動数と減衰性の調整は錘4の重さ、あるいは締め付け機構8による重ね板ばね3の締め付け力の調整により、重ね板ばね3の剛性を変えることによって行う。また、平板ばね7の幅、長さ、厚さ、枚数を変更することでも、振動数と減衰性の調整ができる。本装置は、高温配管に対しても適用でき、単純な構成で、低コストで高い振動抑制機能を有する。
【符号の説明】
【0014】
1 配管制振装置
2 固定治具
3 重ね板ばね
3a 挿通孔
4 錘
5 バンド金具
6 取り付け座
6a 取り付け面
7 平板ばね
8 締め付け機構
9 押さえ部材
10 ねじ
11 スペーサ
12 ダンパユニット
13 押し付け部材
13a 挿通孔
14 ボルト
15 ナット
16 皿ばね
P 配管
図1
図2
図3
図4
図5