(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記記憶部は、前記第2紙葉類の記番号のうち前記認識部により認識された文字と、前記第2紙葉類の前記紙葉類画像のうち前記記番号領域に対応する部分の画像とを関連付けて記憶することを特徴とする請求項8に記載の紙葉類処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ユーザの操作負担を軽減し、かつ、データベースに記憶される記番号の精度を向上させることができる紙葉類処理装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様による紙葉類処理装置は、紙葉類を撮像し、紙葉類画像を生成する撮像部と、前記紙葉類画像の記番号領域から記番号の各桁の文字を認識する認識部と、前記認識部が文字認識できなかった桁がある場合に、前記紙葉類画像のうち前記記番号領域に対応する部分の画像を出力する出力部と、前記認識部が認識した文字と、前記出力部から出力された画像とを表示する表示部と、前記認識部が文字認識できなかった桁に対応する文字の入力を受け付ける入力部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様による紙葉類処理装置においては、前記認識部は、文字認識できなかった桁に対応する少なくとも1つの候補文字を取得し、前記表示部は、前記出力部から出力された画像とともに前記候補文字を表示することが好ましい。
【0010】
本発明の一態様による紙葉類処理装置においては、前記認識部が認識した文字と、前記入力部を介して入力された文字とが組み合わされて生成された前記紙葉類の記番号を、フラグとともに記憶する記憶部をさらに備えることが好ましい。
【0011】
本発明の一態様による紙葉類処理装置においては、前記認識部が認識した文字と、前記入力部を介して入力された文字とが組み合わされて生成された前記紙葉類の記番号を、前記出力部から出力された画像とともに記憶する記憶部をさらに備えることが好ましい。
【0012】
本発明の一態様による紙葉類処理装置においては、前記入力部は、手入力又は音声入力を受け付けることが好ましい。
【0013】
本発明の一態様による紙葉類処理装置においては、前記表示部は、前記認識部が全桁の文字を認識した記番号と、文字認識できなかった桁のある記番号とを区別して表示することが好ましい。
【0014】
本発明の一態様による紙葉類処理装置は、紙葉類を撮像し、紙葉類画像を生成する撮像部と、前記紙葉類画像の記番号領域から記番号の各桁の文字を認識する認識部と、前記認識部が文字認識できなかった桁がある場合に、前記紙葉類画像のうち前記記番号領域に対応する領域画像を出力する出力部と、前記認識部が全桁の文字を認識した記番号を記憶するとともに、前記認識部が文字認識できなかった桁がある場合に、前記認識部が認識した文字と、前記領域画像とを関連付けて記憶する記憶部と、を備えるものである。
【0015】
本発明の一態様による紙葉類処理装置においては、前記出力部は、前記紙葉類画像の前記記番号領域から、前記認識部が文字認識できなかった桁に対応する部分画像を取り出して出力し、前記記憶部は、前記認識部が文字認識できなかった桁に、前記部分画像を関連付けて記憶することが好ましい。
【0016】
本発明の一態様による紙葉類処理装置においては、前記認識部が文字認識した記番号を印字する印字部をさらに備え、前記印字部は、前記認識部が文字認識できなかった桁がある場合に、当該桁に前記部分画像を嵌め込んで印字することが好ましい。
【0017】
本発明の一態様による紙葉類処理装置は、投入された紙葉類を1枚ずつ取り込む受入部と、前記受入部により取り込まれた紙葉類を撮像し、紙葉類画像を生成する撮像部と、前記紙葉類画像の記番号領域から記番号の各桁の文字を認識する認識部と、前記認識部により記番号の文字認識が行われた紙葉類を集積する第1集積部及び第2集積部と、前記受入部と前記第1集積部及び前記第2集積部との間において紙葉類を搬送する搬送部と、前記認識部により記番号の全桁の文字が認識された第1紙葉類が前記第1集積部へ搬送され、前記認識部により記番号の1桁以上の文字が認識されなかった第2紙葉類が前記第2集積部へ搬送されるように前記搬送部を制御する制御部と、前記認識部が文字認識した前記第1紙葉類の記番号を記憶する記憶部と、前記第2紙葉類の記番号のうち、前記認識部により認識された文字を表示する表示部と、を備えるものである。
【0018】
本発明の一態様による紙葉類処理装置においては、前記表示部は、前記第2紙葉類の前記紙葉類画像のうち、前記記番号領域に対応する部分の画像と、前記認識部により認識された文字とを並べて表示することが好ましい。
【0019】
本発明の一態様による紙葉類処理装置においては、前記記憶部は、前記第2紙葉類の記番号のうち前記認識部により認識された文字と、前記第2紙葉類の前記紙葉類画像のうち前記記番号領域に対応する部分の画像とを関連付けて記憶することが好ましい。
【0020】
本発明の一態様による紙葉類処理方法は、撮像部により、紙葉類を撮像し、紙葉類画像を生成するステップと、認識部により、前記紙葉類画像の記番号領域から記番号の各桁の文字を認識するステップと、前記認識部が文字認識できなかった桁がある場合に、前記紙葉類画像から前記記番号領域に対応する部分の画像を取り出して出力するステップと、前記認識部が認識した文字と、前記出力された画像とを表示部に表示するステップと、前記認識部が文字認識できなかった桁に対応する文字を入力するステップと、を備えるものである。
【0021】
本発明の一態様による紙葉類処理方法は、撮像部により、紙葉類を撮像し、紙葉類画像を生成するステップと、認識部により、前記紙葉類画像の記番号領域から記番号の各桁の文字を認識するステップと、前記認識部が文字認識できなかった桁がある場合に、前記紙葉類画像から前記記番号領域に対応する領域画像を取り出して出力するステップと、前記認識部が全桁の文字を認識した記番号を記憶部に記憶するステップと、前記認識部が文字認識できなかった桁がある場合に、前記認識部が認識した文字と、前記領域画像とを関連付けて前記記憶部に記憶するステップと、を備えるものである。
【0022】
本発明の一態様による紙葉類処理装置は、紙葉類を撮像し、紙葉類画像を生成する撮像部と、前記紙葉類画像の記番号領域から記番号の各桁の文字を認識する認識部と、前記認識部が文字認識できなかった桁がある記番号のリストを生成して出力するリスト生成部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ユーザの操作負担を軽減し、かつ、データベースに記憶される記番号の精度を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1乃至
図3は、本発明の実施形態に係る紙幣処理装置を示す図である。このうち、
図1は、紙幣処理装置の外観を示す斜視図であり、
図2は、
図1に示す紙幣処理装置の内部の概略的な構成を示す概略構成図である。また、
図3は、
図1および
図2に示す紙幣処理装置の制御ブロック図である。
【0027】
図1および
図2に示すように、紙幣処理装置10は、筐体12と、計数が行われるべき複数の紙幣が積層状態で載置される載置部(ホッパ)14と、載置部14に載置された複数の紙幣のうち最下層にある紙幣を筐体12の内部に1枚ずつ繰り出すための繰出部16と、筐体12の内部に設けられ、繰出部16により筐体12の内部に繰り出された紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部18と、を備えている。また、搬送部18には、繰出部16により筐体12の内部に繰り出された紙幣を識別する識別部20が設けられている。
【0028】
繰出部16は、載置部14に積層状態で載置された複数の紙幣のうち最下層にある一の紙幣の表面に当接するキッカローラ16aと、紙幣の繰出方向においてキッカローラ16aの下流側に配置され当該キッカローラ16aにより蹴り出された紙幣について筐体12の内部への繰り出しを行うフィードローラ16bとを有している。また、フィードローラ16bに対向して逆転ローラ16c(ゲートローラ)が設けられており、フィードローラ16bと逆転ローラ16cとの間にゲート部Gが形成されている。キッカローラ16aにより蹴り出された紙幣はゲート部Gを通過して1枚ずつ筐体12内の搬送部18に繰り出されるようになっている。また、筐体12の内部には、繰出部16の駆動を行う繰出部駆動機構17(
図3参照)が設けられている。
【0029】
また、
図2に示すように、載置部14には紙幣有無センサ15が設けられている。この紙幣有無センサ15は載置部14における紙幣の有無を検出するようになっている。具体的には、紙幣有無センサ15は発光部と受光部が一体構成された反射型の光センサであり、載置部14に紙幣が存在する場合には、発光部から発せられた光が紙幣に反射して受光部に光が届き、紙幣が存在しない場合には反射することなく光が受光部に届かないようになり、このことにより紙幣有無センサ15は載置部14に紙幣が存在するか否かを検出する。
【0030】
なお、本実施の形態の紙幣処理装置10では、載置部14、紙幣有無センサ15および繰出部16により、複数枚の紙幣を受け入れて1枚ずつ紙幣を機体内部に取り込む受入部が構成されている。
【0031】
搬送部18は、複数の搬送ローラに張架された搬送ベルトおよびローラが複数組み合わせられたものから構成されており、これらの搬送ベルトとローラの間に紙幣が挟まれた状態で搬送ベルトが循環移動を行うことにより紙幣が搬送路に沿って搬送されるようになっている。また、筐体12の内部には、搬送部18の駆動を行う搬送部駆動機構19(
図3参照)が設けられている。
【0032】
また、前述のように、搬送部18には、繰出部16により筐体12の内部に繰り出された紙幣を識別する識別部20が設けられている。
図2に示すように、識別部20は、ライン状のイメージスキャナ(ラインセンサ)20a、厚み検知センサ20b、磁気センサ20cから構成されている。イメージスキャナ20aは、搬送部18で搬送した紙幣に対して可視光、赤外光や緑光等の複数種類の光を照射する光照射部(発光素子)と、受光部からなっている。
【0033】
イメージスキャナ20aは、搬送部18で搬送した紙幣に対して複数種類の光を光照射部で所定のピッチ間隔で順次照射し、その紙幣に反射した反射光を受光部で順次受光してつなぎ合わせることで、その紙幣の表面及び裏面の画像を撮像することができるように成っており、その撮像機能を撮像部21が行うようになっている。
【0034】
さらに、イメージスキャナ20aは、紙幣に対して光照射部で赤外光を照射し、その紙幣の表面及び裏面を透過した透過光も受光することで、紙幣の赤外透過画像を撮像する。
【0035】
また、識別部20は、紙幣の表面及び裏面の磁気分布を検出する磁気センサ20cを有し、磁気センサ20cで検出した各紙幣の磁気分布を取得する。
【0036】
つまり、撮像部21では、搬送部13で搬送した紙幣の表面及び裏面の画像を用いて紙幣画像を生成する。撮像部21で生成された紙幣画像は、後述する紙幣の記番号を認識する認識部26(
図3参照)に取得される。
【0037】
また、識別部20には、通過する紙幣の厚みを検出する厚み検出センサ20bが設けられており、検出された紙幣の厚みに基づいて、紙幣に札折れ部分があるか、2枚以上の紙幣の重送が行われたか、あるいは紙幣のある部分にテープ等が貼られているか等を検出することができるようになっている。
【0038】
さらに、紙幣処理装置10には、識別部20で検出された紙幣画像や磁気分布、厚み検出センサ20bの検出結果に基づいて、紙幣の金種、真偽、正損等の識別や、紙幣の搬送異常が発生しているか否か等の識別を行うとともに、紙幣の枚数計数を行う識別計数部24(
図3参照)が設けられている。
【0039】
図2に示すように、識別部20よりも下流側の箇所において搬送部18は2つの搬送路に分岐しており、一方の搬送路の下流側端部には集積部30が接続されており、他方の搬送路の下流側端部にはリジェクト部40が接続されている。識別部20により識別された紙幣は、集積部30またはリジェクト部40に選択的に送られるようになっている。
【0040】
集積部30の前面(
図2における左側の面)には開口が設けられており、操作者はこの開口を介して集積部30に集積された紙幣を取り出すことができるようになっている。また、リジェクト部40の前面にも開口が設けられており、操作者はこの開口を介してリジェクト部40に集積された紙幣を取り出すことができるようになっている。
【0041】
図2に示すように、搬送部18における2つの搬送路に分岐する箇所には、分岐部材とその駆動部(図示せず)とからなる分岐部22が設けられており、この分岐部22により、当該分岐部22の上流側から送られた紙幣が、分岐した2つの搬送路のうちいずれか一方の搬送路に選択的に送られるようになっている。
【0042】
集積部30において、筐体12の背面側の位置(
図2の集積部30における右側の位置)には羽根車式集積機構32が設けられている。この羽根車式集積機構32は、羽根車32aとその駆動部(図示せず)とからなり、羽根車32aは、
図2の紙面に対して直交する、略水平方向に延びる軸を中心として
図2における反時計回りの方向(
図2における矢印方向)に回転するようになっている。羽根車32aには、外周面から回転方向とは逆方向(
図2における時計回りの方向)の外方に延びる複数の羽根32bが設けられている。これらの羽根32bは、
図2に示すように羽根車32aの外周面において等間隔に設けられている。
【0043】
羽根車式集積機構32の羽根車32aは、紙幣処理装置10の動作中、駆動部により常に
図2における反時計回りの方向に回転させられるようになっており、この羽根車32aには、搬送部18から紙幣が1枚ずつ送られるようになっている。そして、羽根車32aは、搬送部18から送られた紙幣を2枚の羽根32bの間に受け止めてこの羽根32b間に受け止められた紙幣を集積部30に送るようになっている。このようにして、集積部30には羽根車32aから紙幣が1枚ずつ送られ、この集積部30において複数の紙幣が整列された状態で集積される。
【0044】
図1および
図2に示すように、紙幣処理装置10には、集積部30の前面に設けられた開口を閉止するためのシャッター34が設けられており、このシャッター34により集積部30の前面の開口が選択的に閉止されるようになっている。また、筐体12の内部には、シャッター34の駆動を行うシャッター駆動機構35(
図3参照)が設けられている。シャッター34は、シャッター駆動機構35により、集積部30の下方に退避して当該集積部30の開口を開く開口位置(
図2における点線参照)と、集積部30の前面の開口を閉止する閉止位置(
図2における実線参照)との間で移動させられるようになっている。すなわち、シャッター34が
図2の点線に示すような開口位置にあるときには、操作者は集積部30に集積された紙幣にアクセスすることができるようになる。一方、シャッター34が
図2の実線に示すような閉止位置にあるときには、集積部30の前面の開口はシャッター34により閉止され、操作者は集積部30に集積された紙幣にアクセスすることができなくなる。
【0045】
また、集積部30には紙幣有無センサ36が設けられている。この紙幣有無センサ36は、集積部30における紙幣の有無を検出するようになっている。具体的には、紙幣有無センサ36は発光部と受光部とを有しており、集積部30に紙幣が集積されていない場合には発光部から発せられた光が受光部により受けられるようになっている。一方、集積部30に紙幣が存在する場合には、発光部から発せられた光がこの紙幣により遮られて受光部に光が届かないようになり、このことにより紙幣有無センサ36は集積部30に紙幣が集積されていることを検出する。
【0046】
一方、リジェクト部40には、このリジェクト部40の前面の開口を閉止するシャッターは設けられていない。
図1および
図2に示すように、リジェクト部40には左右一対の紙幣整列部材42が設けられており、各紙幣整列部材42は
図2に示す位置から操作者が手動で筐体12の前方に(すなわち、
図2における左方に)倒すことができるようになっている。このため、搬送部18からリジェクト部40に送られた紙幣は各紙幣整列部材42により整列された状態でリジェクト部40に集積されるようになる。また、各紙幣整列部材42を筐体12の前面に倒すことにより、操作者はリジェクト部40から紙幣を取り出すことができるようになる。
【0047】
また、リジェクト部40には紙幣有無センサ44が設けられている。この紙幣有無センサ44は、リジェクト部40における紙幣の有無を検出するようになっている。具体的には、紙幣有無センサ44は発光部と受光部とを有しており、リジェクト部40に紙幣が集積されていない場合には発光部から発せられた光が受光部により受けられるようになっている。一方、リジェクト部40に紙幣が存在する場合には、発光部から発せられた光がこの紙幣により遮られて受光部に光が届かないようになり、このことにより紙幣有無センサ44はリジェクト部40に紙幣が集積されていることを検出する。
【0048】
また、
図1に示すように、筐体12の前面には操作表示部62が設けられている。この操作表示部62は、例えばLCD等からなる表示部62aと、複数の操作キー62bとを有している。表示部62aは、上述した認識部26により認識された紙幣の記番号や、撮像部21が生成した紙幣画像のうち記番号領域の部分の画像を表示することができる。また、操作者が操作キー62bを押下することにより、認識部26が文字認識できなかった桁に対応する文字を入力することができる。
【0049】
図3に示す認識部26は、撮像部21が生成した紙幣画像から記番号領域を抽出し、抽出した記番号領域から記番号の各桁の文字を認識し、所定複数桁の紙幣の記番号を取得する。認識部26は、認識した文字を操作表示部62へ出力する。このことにより、表示部62aは、認識部26が認識した記番号を表示することができる。
【0050】
また、
図3に示す出力部28は、認識部26が文字認識できなかった桁がある場合、この記番号領域の画像を操作表示部62へ出力する。このことにより、操作表示部62の表示部62aは、認識部26が文字認識できなかった桁がある場合、認識部26が認識した文字とともに、この紙幣の記番号領域の画像を表示することができる。そのため、操作者は、表示部62aに表示された記番号領域の画像を確認して、認識部26が文字認識できなかった桁の文字を、操作キー62bを介して入力することができる。
【0051】
図4は、紙幣の記番号の位置関係の一例を示す図である。
図4に示すように、紙幣には、その紙幣を識別する所定複数桁の記番号が複数配置され、例えば、左下端部に記番号A、右上端部に記番号Bが記載してある。なお、記番号A及び記番号Bは同一内容の記番号である。
【0052】
このように記番号が複数配置されている場合、認識部26は、記番号Aの文字認識結果と記番号Bの文字認識結果とを照合する。認識部26は、記番号Aの文字認識結果と記番号Bの文字認識結果とが一致していた場合、文字認識結果をこの紙幣の記番号として決定する。
【0053】
また、例えば、認識部26は、記番号Aの文字認識結果と記番号Bの文字認識結果とが一致しなかった場合、一致した桁を文字認識できた桁、一致しなかった桁を文字認識できなかった桁とする。
【0054】
また、例えば、認識部26は、記番号Aの文字認識結果又は記番号Bの文字認識結果のいずれか一方に文字認識できなかった桁が含まれていた場合、当該桁については、他方の文字認識結果を採用してもよいし、当該桁の文字は認識できなかったとしてもよい。
【0055】
認識部26が紙幣の記番号を認識・判定する手法は様々なものを用いることができる。
【0056】
出力部28は、認識部26が文字認識できなかった桁がある場合、記番号Aの記番号領域の画像と、記番号Bの記番号領域の画像の両方を操作表示部62へ出力することが好ましいが、いずれか一方のみでもよい。
【0057】
図2に示すように、筐体12の内部には、紙幣処理装置10の各構成要素を制御するための制御部60が設けられている。
図3に示すように、制御部60には、繰出部16の駆動を行う繰出部駆動機構17、搬送部18の駆動を行う搬送部駆動機構19、撮像部21、分岐部22、識別計数部24、認識部26、出力部28、羽根車式集積機構32、シャッター34の駆動を行うシャッター駆動機構35、紙幣有無センサ15、36、44、操作表示部62、記憶部64等がそれぞれ接続されている。
【0058】
そして、制御部60は、識別計数部24による紙幣の識別・計数結果、認識部26による記番号の認識結果の受け渡しを行うとともに、繰出部駆動機構17、搬送部駆動機構19、分岐部22、羽根車式集積機構32、シャッター駆動機構35、操作表示部62等に指令信号を送りこれらの構成要素の制御を行うようになっている。また、制御部60には、紙幣有無センサ15、36、44による検出結果がこれらのセンサから送られるようになっている。
【0059】
また、
図3に示すように、制御部60には記憶部64が接続されている。この記憶部64には、例えば、識別計数部24による紙幣の識別・計数結果、認識部26が認識した記番号の文字、操作キー62bを介して入力された文字等が記憶される。また、記憶部64は、出力部28から出力された記番号領域の画像を、認識部26が認識した文字及び操作キー62bを介して入力された文字と関連付けて記憶することができる。
【0060】
次に、このような構成からなる紙幣処理装置10を用いた紙幣処理方法について
図5に示すフローチャートを用いて説明する。なお、以下に示す紙幣処理装置10の動作は、制御部60が紙幣処理装置10の各構成要素を制御することにより行われる。
【0061】
(ステップS101)計数及び記番号の認識を行う紙幣が載置部14に積層状態で載置される。
【0062】
(ステップS102)操作者が操作表示部62の操作キー62b(具体的には、
図6に示すSTART/STOPキー)を押下することにより、紙幣の計数の開始の指令を制御部60に与えると、載置部14に積層状態で載置された紙幣が、最下層にある紙幣から順に1枚ずつ繰出部16により筐体12内の搬送部18に繰り出される。繰出部16により筐体12内の搬送部18に繰り出された紙幣は、当該搬送部18により搬送される。
【0063】
(ステップS103)搬送部18により搬送される紙幣が、撮像部21により撮像され、紙幣画像が生成される。
【0064】
(ステップS104)識別計数部24が、ステップS103で生成された紙幣画像や、厚み検出センサ20bの検出結果に基づいて、紙幣の金種、真偽、正損等の識別や、紙幣の搬送異常が発生しているか否か等の識別を行うとともに、紙幣の計数を行う。
【0065】
(ステップS105)認識部26が、ステップS103で生成された紙幣画像から記番号領域を抽出し、抽出した記番号領域の画像を用いて記番号の各桁の文字を認識する。
【0066】
(ステップS106)紙幣が集積部30又はリジェクト部40へ搬送され、集積される。このとき、制御部60が、識別計数部24による識別結果又は認識部26による認識結果に基づいて集積部30又はリジェクト部40のいずれに集積するかを決定し、分岐部22を制御する。
【0067】
例えば、制御部60は、識別計数部24による識別結果が偽券であった場合、紙幣をリジェクト部40へ搬送すると決定し、識別結果が真券であった場合、紙幣を集積部30へ搬送すると決定する。
【0068】
また、例えば、制御部60は、紙幣の記番号に認識部26が文字認識できなかった桁があった場合、紙幣をリジェクト部40に搬送すると決定し、認識部26が記番号の全桁の文字を認識できた場合、紙幣を集積部30へ搬送すると決定する。
【0069】
紙幣の搬送先が集積部30の場合、搬送部18から羽根車式集積機構32の羽根車32aに紙幣が1枚ずつ送られ、この羽根車32aは、搬送部18から送られた紙幣を2枚の羽根32bの間に受け止めてこの羽根32b間に受け止められた紙幣を集積部30に送る。このようにして、羽根車式集積機構32により集積部30に紙幣を整列された状態で集積させることができる。
【0070】
なお、上述のような紙幣処理装置10による紙幣の識別、計数、記番号の認識が行われている間は、
図2の実線に示すように集積部30の前面の開口はシャッター34により閉じられている。また、リジェクト部40の前面の開口は常に開かれた状態にあるので、操作者は各紙幣整列部材42を筐体12の前面に倒すことによりリジェクト部40から紙幣を取り出すことができるようになる。なお、紙幣処理装置10の動作中にシャッター34を開けておくか又は閉めておくかについては操作者が任意に設定できる。
【0071】
(ステップS107)載置部14に紙幣が載置されている場合はステップS102に戻り、全ての紙幣が繰り出された場合はステップS108へ進む。
【0072】
(ステップS108)識別計数部24による識別・計数結果及び認識部26による記番号の認識結果が表示部62aに表示される。
【0073】
(ステップS109)認識部26が、全ての紙幣について、記番号の全桁を文字認識できた場合はステップS111へ進む。一方、認識部26が文字認識できなかった桁が1つでもある場合はステップS110へ進む。
【0074】
図7は、表示部62aにおける識別計数部24による識別・計数結果及び認識部26による記番号の認識結果の表示の一例を示している。ここでは、認識部26が文字認識できなかった桁が空白で表示されている。なお、
図7では、100ドル紙幣が10枚、合計1000ドルという識別・計数結果が表示されている。
【0075】
(ステップS110)操作者が、認識部26が文字認識できなかった桁の文字を入力する。
【0076】
具体的には、まず、
図7に示す「SERIAL」に対応するF4キーを押す。これにより、表示部62aの表示画面は
図8に切り替わる。
【0077】
操作者は、F1キー〜F4キーを押してカーソルを認識部26が文字認識できなかった桁(空白になっている桁)に合わせる。カーソルが空白桁に移動すると、この記番号に対応する記番号領域の画像Pが表示部62aの上部に表示される。
【0078】
続いて、表示部62aの表示画面が
図9に切り替わる。操作者は画像Pを確認しながら、F1キー又はF2キーを押して、当該桁に入力したい文字に合わせる。例えば、F1キーを押すごとに、順に、0、1、2、3、・・・、8、9、A、B、C、・・・X、Y、Zと切り替わる。また、F2キーを押すごとに、順に、Z、Y、X、・・・、C、B、A、9、8、・・・、2、1、0と切り替わる。
【0079】
図10に示すように、当該桁の文字が入力したい文字になったら、操作者はACCEPTキーを押して、文字を入力する。これにより、
図11に示すように、認識部26が認識した文字と、操作者が入力した文字とが組み合わされた記番号が生成される。
【0080】
なお、文字認識できなかった桁のある記番号が複数ある場合は、本ステップの処理が文字認識できなかった桁のある記番号の数だけ実施される。
【0081】
(ステップS111)操作者が、操作キー62b(具体的には、
図6〜
図11に示すACCEPTキー)を押すことで、全ての紙幣について記番号が確定する。表示部62aは
図12に示すような表示画面になった後、待機画面(
図6参照)に戻る。
【0082】
(ステップS112)確定した記番号が記憶部64に記憶される。このとき、記番号と、当該紙幣の識別結果とを関連付けて記憶部64に記憶してもよい。これにより、記憶部64に記憶されている記番号を検索した際に、当該紙幣についての識別結果を知ることができる。
【0083】
また、ステップS110で操作者によって入力された桁のある記番号については、フラグを立てて記憶部64に記憶してもよい。これにより、記憶部64に記憶されている記番号を検索した際に、当該記番号が操作者入力の桁を持つものであるか否かを知ることができる。
【0084】
あるいはまた、ステップS110で操作者によって入力された桁のある記番号については、対応する紙幣の記番号領域の画像とともに記憶部64に記憶してもよい。これにより、操作者によって入力された桁のある記番号を、記番号領域の画像を参照しながら再確認することができる。
【0085】
このように、本実施形態によれば、紙幣の記番号に、認識部26が文字認識できなかった桁がある場合、操作者は、表示部62aに表示された記番号領域の画像を確認しながら当該桁の文字を入力することができる。このとき、記番号に文字認識できなかった桁のある紙幣を手元に準備する必要がないため、文字入力に要する操作者の操作負担を軽減することができる。また、認識部26が文字認識できなかった桁については、操作者が記番号領域の画像を確認しながら当該桁の文字を入力するため、記憶部64に記憶される紙幣の記番号の精度・信頼性を向上させることができる。また、紙幣全体の画像でなく、記番号領域の画像を表示するため、表示部62aの画面が小さくても、操作者は表示画像から文字を容易に視認することができる。
【0086】
上記実施形態では、操作者が操作キー62bを用いて文字を手入力していたが、紙幣処理装置10に音声認識機能を設け、認識部26が文字認識できなかった記番号の桁について、操作者が文字を音声入力するようにしてもよい。
【0087】
上記実施形態では、操作者が文字入力を行う際に表示部62aに記番号領域の画像を表示していたが、さらに、認識部26が文字認識できなかった桁について候補となる文字を表示してもよい。認識部26は、文字認識処理の際に、文字を認識できなかった桁があった場合でも、当該桁について、少なくとも1つの候補文字を取得している。この候補文字を表示部62aに表示することで、操作者の文字入力に要する負担をさらに軽減することができる。
【0088】
また、紙幣処理装置10は、識別計数部24による識別・計数結果、認識部26による記番号の認識結果や、操作者により入力された文字を印字して出力する印字部を備えていてもよい。
【0089】
上記実施形態では、紙幣の記番号に、認識部26が文字認識できなかった桁がある場合、操作者が、表示部62aに表示された記番号領域の画像を確認しながら、当該桁の文字を入力していたが、操作者の文字入力処理を省略してもよい。この場合、出力部28が、記番号に認識部26が文字認識できなかった桁のある紙幣の記番号領域の画像(領域画像)を出力し、制御部60が、この領域画像を、認識部26が認識した文字と関連付けて記憶部64に書き込む。
【0090】
このような処理により、文字認識されなかった桁のある記番号は、領域画像とともに記憶部64に記憶される。従って、記憶部64に記憶される記番号情報が曖昧になることを防止できる。また、操作者の文字入力処理を省略できるため、操作負担をさらに軽減することができる。
【0091】
また、出力部28が、領域画像から、認識部26が文字認識できなかった桁に対応する部分の画像(部分画像)を取り出して出力し、この部分画像を、認識部26が認識した文字と関連付けて記憶部64に記憶するようにしてもよい。このことにより、記憶部64に記憶する画像のデータサイズを小さくすることができ、より多くの記番号情報を記憶部64に記憶することができる。なお、1つの記番号に、認識部26が文字認識できなかった桁が複数ある場合は、出力部28が複数の部分画像を出力するため、各部分画像がどの桁に対応するか関連付けられて、記憶部64に記憶される。
【0092】
また、上述した印字部は、認識部26が文字認識できなかった桁に部分画像を嵌め込んで、記番号を印字出力してもよい。
【0093】
上記実施形態において、紙幣の記番号に、認識部26が文字認識できなかった桁がある場合、この紙幣をリジェクト部40に集積するとともに、表示部62aに、この紙幣の記番号のうち認識部26が認識できた文字と、記番号領域の画像だけを並べて表示してもよい。操作者は、表示部62aに表示された画像からでは文字を判読し難い場合、当該紙幣をリジェクト部40から容易に取り出し、紙幣の現物を確認することができる。
【0094】
また、上記実施形態では、
図7に示すように、認識部26が全桁の文字を認識した記番号と、文字認識できなかった桁のある記番号とを区別せずに表示する例を示したが、これらを区別して表示してもよい。例えば、文字認識できなかった桁のある記番号を表示部62aの上部に表示し、全桁の文字が認識された記番号を表示部62aの下部に表示する。あるいはまた、表示部62aが、文字認識できなかった桁のある記番号と、全桁の文字が認識された記番号とを、操作キー62bの入力に応じて切り替えて表示するようにしてもよい。また、認識部26の文字認識結果を用いて、認識部26が文字認識できなかった桁のある記番号のみのリストを生成して表示部62aに表示させるリスト生成部を設けてもよい。
【0095】
上記実施形態では、紙幣の記番号を認識して記憶部64に記憶する紙幣処理装置10を例に挙げて説明したが、紙幣ではなく、商品券や小切手等の紙葉類に記載された記番号を認識して記憶する装置に適用可能であることは言うまでもない。
【0096】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。