特許第5762831号(P5762831)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5762831-過熱検出器を備えた分電盤 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5762831
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】過熱検出器を備えた分電盤
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/40 20060101AFI20150723BHJP
   H02B 1/42 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   H02B9/00 E
   H02B9/00 A
   H02B9/00 D
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-127263(P2011-127263)
(22)【出願日】2011年6月7日
(65)【公開番号】特開2012-257343(P2012-257343A)
(43)【公開日】2012年12月27日
【審査請求日】2014年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智晴
(72)【発明者】
【氏名】吉田 敦至
【審査官】 出野 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−219292(JP,A)
【文献】 特開2001−343416(JP,A)
【文献】 特開2009−245836(JP,A)
【文献】 特開2000−021548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40
H02B 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リミッターと主幹ブレーカと分岐ブレーカとを備えた分電盤において、外部から引き込んだ電源線を前記リミッターの一次側端子に接続し、前記リミッターの二次側端子を前記主幹ブレーカの一次側端子に接続し、前記主幹ブレーカの二次側端子を過熱検出器の二次側端子に接続し、前記過熱検出器の一次側端子を前記リミッターの一次側端子に接続し、
前記過熱検出器に、前記リミッターと前記主幹ブレーカにおける前記各端子の接触不良を検出するセンサ回路を設け、
前記過熱検出器の二次側端子を分岐用銅バーに着脱自在なプラグイン端子とし、前記過熱検出器を前記分岐ブレーカと並べて前記分岐用銅バーに接続したことを特徴とする分電盤。
【請求項2】
端子台とリミッターと主幹ブレーカと分岐ブレーカとを備えた分電盤において、外部から引き込んだ電源線を前記端子台の第1入力端子に接続し、前記端子台の第1出力端子を前記リミッターの一次側端子に接続し、前記リミッターの二次側端子を前記端子台の第2入力端子に接続し、前記端子台の第2出力端子を前記主幹ブレーカの一次側端子に接続し、前記主幹ブレーカの二次側端子を過熱検出器の二次側端子に接続し、前記過熱検出器の一次側端子を前記端子台の第1入力端子に接続し、
前記過熱検出器に、前記端子台と前記リミッターと前記主幹ブレーカにおける前記各端子の接触不良を検出するセンサ回路を設け、
前記過熱検出器の二次側端子を分岐用銅バーに着脱自在なプラグイン端子とし、前記過熱検出器を前記分岐ブレーカと並べて前記分岐用銅バーに接続したことを特徴とする分電盤。
【請求項3】
前記過熱検出器が前記分岐ブレーカと同じ側面形状のケーシングを備えた請求項1又は2記載の分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーカやリミッター等の盤内機器における端子部の過熱を検出する機能を備えた分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
分電盤の盤内機器は、端子部にネジを多用しているため、ネジの緩みで電源座と圧着端子との接触状態が不安定になると、アーク放電が発生し、過熱状態となりやすい。そこで、従来、端子部品にセンサ回路を接続し、端子部の過熱を検出する技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、図6に示すようなセンサ回路101の両端を端子ネジ102と電源座103とに接続し、これらの端子部品の電位差に基づいて、電源座103と圧着端子104との接触不良を検出するブレーカが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−245836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、分電盤内には、ブレーカの他にもリミッターや端子台など、端子部にネジを用いた機器が装備されている。これらの盤内機器で、ネジが緩んだり端子部品が変形したりすると、ブレーカと同様、端子部が過熱状態となる。
【0006】
しかし、図6に示すような端子ごとのセンサ回路101を複数種の盤内機器の一次側端子と二次側端子にそれぞれ設けた場合、各機器が高価になるばかりでなく、多数本の検出線によって分電盤内が煩雑になるという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、複数種の盤内機器における端子の過熱を安価で簡素な構成によって検出できる分電盤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の分電盤は、リミッターと主幹ブレーカと分岐ブレーカとを備え、外部から引き込んだ電源線をリミッターの一次側端子に接続し、リミッターの二次側端子を主幹ブレーカの一次側端子に接続し、主幹ブレーカの二次側端子を過熱検出器の二次側端子に接続し、過熱検出器の一次側端子をリミッターの一次側端子に接続し、 過熱検出器にリミッターと主幹ブレーカにおける各端子の接触不良を検出するセンサ回路を設け、過熱検出器の二次側端子を分岐用銅バーに着脱自在なプラグイン端子とし、過熱検出器を分岐ブレーカと並べて分岐用銅バーに接続したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の分電盤は、端子台とリミッターと主幹ブレーカと分岐ブレーカとを備えた分電盤において、外部から引き込んだ電源線を端子台の第1入力端子に接続し、端子台の第1出力端子をリミッターの一次側端子に接続し、リミッターの二次側端子を端子台の第2入力端子に接続し、端子台の第2出力端子を主幹ブレーカの一次側端子に接続し、主幹ブレーカの二次側端子を過熱検出器の二次側端子に接続し、過熱検出器の一次側端子を端子台の第1入力端子に接続し、 過熱検出器に端子台とリミッターと主幹ブレーカにおける各端子の接触不良を検出するセンサ回路を設け、過熱検出器の二次側端子を分岐用銅バーに着脱自在なプラグイン端子とし、過熱検出器を分岐ブレーカと並べて分岐用銅バーに接続したことを特徴とする。
【0010】
そして、過熱検出器が分岐ブレーカと同じ側面形状のケーシングを備えているのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の分電盤によれば、ブレーカ、リミッターまたは端子台の複数の端子を所定の順序で過熱検出器に電気接続し、過熱検出器に各端子の接触不良に感応するセンサ回路を設けたので、複数種の盤内機器における端子の過熱を安価で簡素な構成によって検出できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例1を示す分電盤の正面図である。
図2図1の過熱検出器をリミッターに接続する手順を示す配線図である。
図3】本発明の実施例2を示す分電盤の正面図である。
図4図3の過熱検出器を端子台に接続する手順を示す配線図である。
図5図1図3の過熱検出器のセンサ回路を示すブロック図である。
図6】従来のブレーカのセンサ回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示す実施例1の分電盤1は、ケース3の内側にリミッター4、主幹ブレーカ5、過熱検出器7、分岐ブレーカ8を装備している。図3に示す実施例2の分電盤2は、実施例1の盤内機器に加え、ケース3の内側に端子台6を備えている。実施例1,2において、同一の部材は各図に同一の符号で示されている。
【実施例1】
【0014】
実施例1の分電盤1では、図1に示すように、外部から引き込んだ3本の電源線11がリミッター4の3つの一次側端子41に接続されている。一次側端子41は、リミッター4の内部配線(図示略)を介して二次側端子42に接続されている。リミッター4の一次、二次側端子41,42は、それぞれ端子ネジ43,44を備えたネジ端子である。
【0015】
リミッター4の二次側端子42は、3本のリード線12で主幹ブレーカ5の3つの一次側端子51に接続されている。一次側端子51は、主幹ブレーカ5の内部配線(図示略)を介して二次側端子52に接続されている。主幹ブレーカ5の一次、二次側端子51,52は、それぞれ端子ネジ53,54を備えたネジ端子である。
【0016】
主幹ブレーカ5の二次側端子52は、それぞれ3段の中継用銅バー13と分岐用銅バー14を介して過熱検出器7の二次側端子72に接続されている。二次側端子72は、過熱検出器7の内部検出線74(図5参照)を介して一次側端子71に接続され、一次側端子71が3本のリード線16でリミッター4の一次側端子41に接続されている。
【0017】
中継用銅バー13はネジ15で分岐用銅バー14に接続され、分岐用銅バー14が分電盤ケース3の長手方向に延びるように形成されている。過熱検出器7は、分岐ブレーカ8と同じ側面形状のケーシング73、詳しくは、奥行きおよび高さ寸法が分岐ブレーカ8と同じで、幅寸法が分岐ブレーカ8よりも大きい(例えば2倍)ケーシング73を備え、所要数の分岐ブレーカ8と一列に並ぶように分岐用銅バー14の指定位置に装着されている。
【0018】
図2に示すように、過熱検出器7の一次側端子71と二次側端子72はそれぞれネジ締めが不要なプラグイン端子であり、二次側端子72が分岐用銅バー14に着脱され、一次側端子71にリード線16が着脱される。リード線16の配線に際しては、その先端に固着した丸端子17に電源線11の露出端を差し込み、露出端と丸端子17を筒形のカシメ端子18で結着し、カシメ端子18をリミッター4の一次側端子41に接続する。
【0019】
図5に示すように、過熱検出器7のケーシング73内には3本の検出線74が配線され、それぞれにセンサ回路75とスイッチ85が設けられている。センサ回路75は、一次側端子71と二次側端子72との電位差に基づいて、リミッター4の端子41,42、主幹ブレーカ5の端子51,52、および銅バー13,14同士のネジ15による接続部の接触不良を検出する。センサ回路75は、特定の構成に限定されないが、例えばフォトカプラ76(図6参照)を用いた入出力絶縁型の回路を使用できる。
【0020】
センサ回路75の出力線77(図5)は、入力回路78を介して平均値回路79に接続されている。平均値回路79はセンサ回路75の出力から平均値を求め、判定回路80が平均値を閾値と比較して端子41,42,51,52等の接触不良を判定する。判定結果は自己保持回路81で所定時間保持され、その時間中に出力回路82がスイッチ85と警報回路83とに駆動信号を出力する。これにより、スイッチ85が開いて通電電流を遮断するとともに、ランプ84が点灯または点滅して接触不良を報知する。ランプ84は、ケーシング73に設けてもよく(図1参照)、分電盤ケース3の任意箇所に設けてもよい。
【0021】
従って、実施例1の分電盤1によれば、リミッター4の一次、二次側端子41,42と主幹ブレーカ5の一次、二次側端子51,52を所定の順序で過熱検出器7に電気接続し、複数の端子41,42,51,52等の接触不良を一つの過熱検出器7で簡単に検出できる。特に、過熱検出器7に分岐ブレーカ8と同じ側面形状のケーシング73を用い、過熱検出器7と分岐ブレーカ8を共通の分岐用銅バー14上に整然と配列できるという利点もある。
【実施例2】
【0022】
実施例2の分電盤2では、図3に示すように、外部から引き込んだ3本の電源線11が端子台6の3つの第1入力端子61に接続されている。第1入力端子61は同じ端子金具上の第1出力端子62に接続され、第1出力端子62がリード線21でリミッター4の一次側端子41に接続されている。なお、端子台6の第1入力端子61および第1出力端子62は、それぞれ端子ネジ65,66を備えたネジ端子である。
【0023】
リミッター4の一次側端子41は内部配線を介して二次側端子42に接続され、二次側端子42がリード線22で端子台6の第2入力端子63に接続されている。第2入力端子63は同じ端子金具上の第2出力端子64に接続され、第2出力端子64が主幹ブレーカ5の一次側端子51に端子ネジ53によって接続されている。なお、端子台6の第2入力端子63も、端子ネジ67を備えたネジ端子である。
【0024】
主幹ブレーカ5の一次側端子51は内部配線を介して二次側端子52に接続され、二次側端子52が中継用銅バー13と分岐用銅バー14を介して過熱検出器7の二次側端子72に接続されている。過熱検出器7は実施例1と同様に構成され(図5参照)、二次側端子72が検出線74を介して一次側端子71に接続されている。そして、過熱検出器7の一次側端子71がリード線23で端子台6の第1入力端子61に接続されている。
【0025】
図4に示すように、リード線23の配線にあたっては、先端の丸端子17に電源線11の露出端を差し込み、露出端に丸端子17と圧着端子19を固定し、リード線23を電源線11に結着した状態で、圧着端子19を端子台6の第1入力端子61に接続する。
【0026】
実施例2の分電盤2によれば、端子台6の入出力端子61,62,63,64とリミッター4の一次、二次側端子41,42と主幹ブレーカ5の一次、二次側端子51,52とを所定の順序で過熱検出器7に電気接続し、多数の端子41,42,51,52,61,62,63,64の接触不良を一つの過熱検出器7で簡単に検出することができる。
【0027】
本発明は、上記実施形態の分電盤1,2に限定されるものではなく、盤内機器として一次送り回路用ブレーカや時間帯別電灯契約機器用ブレーカ等を装備した各種の分電盤に適用することもでき、その他、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の構成や配線順序を適宜に変更して実施することも可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 分電盤(実施例1)
2 分電盤(実施例2)
3 ケース
4 リミッター
5 主幹ブレーカ
6 端子台
7 過熱検出器
8 分岐ブレーカ
11 電源線
14 分岐用銅バー
41 リミッターの一次側端子
42 リミッターの二次側端子
51 主幹ブレーカの一次側端子
52 主幹ブレーカの二次側端子
61 端子台の第1入力端子
62 端子台の第1出力端子
63 端子台の第2入力端子
64 端子台の第2出力端子
71 過熱検出器の一次側端子
72 過熱検出器の二次側端子
73 過熱検出器のケーシング
75 センサ回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6