特許第5762842号(P5762842)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5762842
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】表示装置及び表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/02 20060101AFI20150723BHJP
   B81B 7/02 20060101ALI20150723BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20150723BHJP
   G09F 9/37 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   G02B26/02 A
   B81B7/02
   B81B3/00
   G09F9/37
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-137656(P2011-137656)
(22)【出願日】2011年6月21日
(65)【公開番号】特開2013-3533(P2013-3533A)
(43)【公開日】2013年1月7日
【審査請求日】2014年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】507276092
【氏名又は名称】ピクストロニクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】海東 拓生
(72)【発明者】
【氏名】栗谷川 武
(72)【発明者】
【氏名】坂田 亮
(72)【発明者】
【氏名】刈込 修
(72)【発明者】
【氏名】ティム ブロスニハン
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−197668(JP,A)
【文献】 特開2011−039534(JP,A)
【文献】 特開2011−043856(JP,A)
【文献】 特開2005−177974(JP,A)
【文献】 特開2012−252211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/00 − 26/08
B81B 1/00 − 7/04
B81C 1/00 − 99/00
G09F 9/37
G09G 3/00 − 3/38
H01L 33/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にマトリクス状に配置され、スイッチング素子及び前記スイッチング素子によって駆動されるMEMSシャッターを有する複数の画素と、
前記基板上に配置され、外部端子と接続される複数の端子と、
を含む表示装置であって、
前記MEMSシャッターは、開口部を有するシャッター、前記シャッターに接続された第1バネ、前記第1バネに接続された第1アンカー、第2バネ、及び前記第2バネに接続された第2アンカーを有し、
前記シャッター、前記第1バネ、前記第2バネ、前記第1アンカー及び前記第2アンカーの前記基板の表面に対して垂直方向の面に絶縁膜を有し、
前記複数の端子の表面、並びに前記シャッター、前記第1バネ、前記第2バネ、前記第1アンカー及び前記第2アンカーの前記基板の表面に対して平行方向であり且つ前記基板に対面する側と反対側の面には、絶縁膜がないことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1アンカーと前記第2アンカーとの電位差によって、前記第1バネと前記第2バネとが静電駆動されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1アンカーと前記第2アンカーとの電位差は、前記スイッチング素子によって供給されることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
バックライトをさらに有し、
前記基板は開口部を有し、
前記シャッターの前記開口部と前記基板の開口部との重なる部分から前記バックライトから供給される光を透過させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載の表示装置。
【請求項5】
前記基板上に配置された反射部をさらに有し、
前記シャッターの前記開口部と前記反射部とが重なる部分によって、前記反射部によって反射された光を透過させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載の表示装置。
【請求項6】
前記スイッチング素子上に絶縁膜を有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載の表示装置。
【請求項7】
基板上にスイッチング素子及び端子を形成し、
前記スイッチング素子上に第1の絶縁膜を形成し、
前記第1の絶縁膜上に前記スイッチング素子によって駆動され、開口部を有するシャッター、前記シャッターに接続された第1バネ、前記第1バネに接続された第1アンカー、第2バネ、及び前記第2バネに接続された第2アンカーを有する複数の画素を形成し、
前記シャッター、前記第1バネ、前記第2バネ、前記第1アンカー及び前記第2アンカー並びに前記端子に第2の絶縁膜を形成し、
前記端子が露出するまで前記第2の絶縁膜を異方性エッチングすることを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記シャッター、前記第1バネ、前記第2バネ、前記第1アンカー及び前記第2アンカーの前記基板の表面に対して垂直方向の面に絶縁膜を有することを特徴とする請求項7に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メカニカルシャッターを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を応用したメカニカルシャッター(以下「MEMSシャッター」という。)を用いた表示装置が注目されてきている。MEMSシャッターを用いた表示装置(以下「MEMS表示装置」という。)とは、画素ごとに設けたMEMSシャッターをTFTを用いて高速で開閉することによってシャッターを透過する光の量を制御し、画像の明暗の調整を行う表示装置である(例えば、特許文献1)。MEMS表示装置においては時間階調方式が採用されており、赤色、緑色及び青色のLEDバックライトからの光を順次切り替えることにより画像の表示を行う。MEMS表示装置は、液晶表示装置に用いられる偏光フィルムやカラーフィルタなどを必要とせず、液晶表示装置と比較してバックライトの光の利用効率は約10倍、消費電力は2/1以下になり、また、色再現性が優れている点に特徴がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−197668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
MEMS表示装置においては、MEMSシャッターを駆動するためのスイッチング素子、及びスイッチング素子を駆動するゲートドライバやデータドライバを構成するTFTが基板上に形成される。基板上にはTFTへ外部から信号を供給するための端子が同時に形成される。通常、MEMS表示装置においては、TFT及び端子が形成されたTFT基板上にTFT及び端子を覆うパッシベーション膜を形成し、そのパッシベーション膜上にMEMSシャッターを形成する。その後、MEMSシャッターを形成したTFT基板に対向基板を貼り合わせる。TFT基板に形成された端子には外部から信号を供給する必要があるため、対向基板が端子上部を覆わないようにTFT基板と対向基板とを張り合わせる。
【0005】
TFT基板上に形成した端子には外部から信号を供給する必要があるため、端子上のパッシベーション膜を除去する必要がある。通常、TFTや半導体プロセスにおいては、端子上のパッシベーション膜は、ホトリソプロセスとエッチングプロセスとの組合せにより除去される。一方、MEMS表示装置の場合、MEMSシャッターの稼動部は中空状態であり、MEMSシャッター形成後にホトリソプロセス(レジスト塗布等)を適用することが困難である。
【0006】
また、TFT基板と対向基板とを張り合わせ、一つ一つのMEMS表示装置に切断した後、ドライエッチングプロセスにより、端子上のパッシベーション膜を除去する方法がある。しかし、このパッシベーション膜の除去方法には専用装置が必要になると共に、MEMS表示装置の製造スループットが大幅に低下するという問題がある。
【0007】
また、端子上部にレーザを照射することによってパッシベーション膜を除去する方法があるが、MEMS表示装置の製造スループットが大幅に低下してしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は上述の問題を鑑みてなされてものであり、専用装置を必要とせず、製造スループットを低下させることなく端子上のパッシベーション膜を除去した表示装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によると、基板上にマトリクス状に配置され、スイッチング素子及び前記スイッチング素子によって駆動されるMEMSシャッターを有する複数の画素と、前記基板上に配置され、外部端子と接続される複数の端子と、を含む表示装置であって、前記MEMSシャッターは、開口部を有するシャッター、前記シャッターに接続された第1バネ、前記第1バネに接続された第1アンカー、第2バネ、及び前記第2バネに接続された第2アンカーを有し、前記シャッター、前記第1バネ、前記第2バネ、前記第1アンカー及び前記第2アンカーの前記基板の表面に対して垂直方向の面に絶縁膜を有し、前記複数の端子の表面、並びに前記シャッター、前記第1バネ、前記第2バネ、前記第1アンカー及び前記第2アンカーの前記基板の表面に対して平行方向であり且つ前記基板に対面する側と反対側の面には、絶縁膜がないことを特徴とする表示装置が提供される。
【0010】
前記第1アンカーと前記第2アンカーとの電位差によって、前記第1バネと前記第2バネとが静電駆動される。
【0011】
前記第1アンカーと前記第2アンカーとの電位差は、前記スイッチング素子によって供給される。
【0012】
バックライトをさらに有し、前記基板は開口部を有し、前記シャッターの前記開口部と前記基板の開口部との重なる部分から前記バックライトから供給される光を透過させるようにしてもよい。
【0013】
前記基板上に配置された反射部をさらに有し、前記シャッターの前記開口部と前記反射部とが重なる部分によって、前記反射部によって反射された光を透過させるようにしてもよい。
【0014】
前記スイッチング素子上に絶縁膜を有する。
【0015】
また、本発明の一実施形態によると、基板上にスイッチング素子及び端子を形成し、前記スイッチング素子上に第1の絶縁膜を形成し、前記第1の絶縁膜上に前記スイッチング素子によって駆動され、開口部を有するシャッター、前記シャッターに接続された第1バネ、前記第1バネに接続された第1アンカー、第2バネ、及び前記第2バネに接続された第2アンカーを有する複数の画素を形成し、前記シャッター、前記第1バネ、前記第2バネ、前記第1アンカー及び前記第2アンカー並びに前記端子に第2の絶縁膜を形成し、前記第2の絶縁膜を異方性エッチングすることを特徴とする表示装置の製造方法が提供される。
【0016】
前記端子が露出するまで前記第2の絶縁膜を異方性エッチングする。
【0017】
前記シャッター、前記第1バネ、前記第2バネ、前記第1アンカー及び前記第2アンカーの前記基板の表面に対して垂直方向の面に絶縁膜を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の表示装置及びその製造方法によると、TFT基板と対向基板とを貼り合わせる前(前工程プロセス)において、一般的に用いられているドライエッチングプロセスによって端子上の絶縁膜(パッシベーション膜)を除去した表示装置及びその製造方法を提供することが可能となる。よって、特殊なプロセスを必要とせず、高スループットで加工できるため、表示装置のコスト低減を図ることができる。また、従来、TFT基板と対向基板とを貼り合わせ、切断した後、ドライエッチングプロセスによる端子上のパッシベーション膜を除去するために必要であった専用装置を不要とし、製造スループットを低下させることなく端子上の絶縁膜(パッシベーション膜)を除去した表示装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(A)は、一実施形態に係る本発明の表示装置100の斜視図であり、(B)は、一実施形態に係る本発明の表示装置100の平面図である。
図2】一本実施形態に係る本発明の表示装置100の回路ブロック図である。
図3】一実施形態に係る本発明の表示装置100に用いるMEMSシャッター202の構成を示す図である。
図4】一実施形態に係る本発明の表示装置100に用いるMEMSシャッター202の構成を示す図である。
図5】一実施形態に係る本発明の表示装置100の表示部(図4に示すMEMSシャッター202におけるA−A’線によって示す箇所)及び端子部102e(端子104)の断面図である。
図6】一実施形態に係る本発明の表示装置100の製造プロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の表示装置の実施形態について説明する。なお、本発明の表示装置は、以下の実施形態に限定されることはなく、種々の変形を行ない実施することが可能である。
【0021】
図1(A)及び(B)に本発明の一実施形態に係る表示装置100を示す。図1(A)には、本実施形態に係る本発明の表示装置100の斜視図を示す。図1(B)には、本実施形態に係る本発明の表示装置100の平面図を示す。本実施形態に係る本発明の表示装置100は、基板102及び対向基板106を有している。基板102は、表示部102a、駆動回路102b、102c及び102d、並びに端子部102eを有している。
【0022】
図2に本実施形態に係る本発明の表示装置100の回路ブロック図を示す。図2に示す本実施形態に係る本発明の表示装置100には、コントローラ120から画像信号及び制御信号が供給される。また、図2に示す本実施形態に係る本発明の表示装置100には、コントローラ120によって制御されるバックライト122から光が供給される。なお、コントローラ120及びバックライト122を含んで本発明の表示装置100を構成するようにしてもよい。
【0023】
図2に示すとおり、表示部102aは、マトリクス状に配置されたメカニカルシャッター(MEMSシャッター)202、スイッチング素子204及び保持容量206を有する画素200を有している。駆動回路102b及び102cは、データドライバであり、スイッチング素子204へデータ線(D1、D2、・・・、Dm)を介してデータ信号を供給する。スイッチング素子駆動回路102cは、ゲートドライバであり、スイッチング素子204へゲート線(G1、G2、・・・、Gn)を介してゲート信号を供給する。なお、本実施形態においては、データドライバである駆動回路102b及び102dが、表示部102aを挟むように配置されているが、これに限定されるわけではない。スイッチング素子204は、データ線(D1、D2、・・・、Dm)から供給されるデータ信号に基づきMEMSシャッター202を駆動する。
【0024】
ここで、図3及び図4に本実施形態に係る本発明の表示装置100に用いるMEMSシャッター202の構成を示す。説明の便宜上、図3には、一つのMEMSシャッター202を示すが、本実施形態に係る本発明の表示装置100には、図3に示すMEMSシャッター202がマトリクス状に配置されている。
【0025】
MEMSシャッター202は、シャッター210、第1バネ216、218、220及び222、第2バネ224、226、228及び230、並びにアンカー部232、234、236、238、240及び242を有している。シャッター210は、開口部211及び212を有しており、シャッター210本体は遮光部となる。また、基板102は、開口部213及び214を有している。シャッター210の開口部211及び212と基板102の開口部213及び214とが平面方向に概略重なり合うように配置されており、基板102の背面から供給され、基板102の開口部213及び214を透過する光が、シャッター210の開口部211及び212を透過するようになっている。なお、本実施形態に示すMEMSシャッター202は、本発明の表示装置100に用いることのできるMEMSシャッターの一例に過ぎず、スイッチング素子で駆動することができるMEMSシャッターであれば如何なる態様のものでも用いることができる。なお、バックライト122を用いず且つ基板102の開口部213及び214を設けず、シャッター210の開口部211及び212の下部に反射部を設け、反射型の表示装置としてもよい。
【0026】
シャッター210の一方の側は、第1バネ216及び218を介してアンカー部232及び234に接続されている。アンカー部232及び234は、第1バネ216及び218とともに、シャッター210を基板102の表面から浮遊した状態に支持する機能を有する。アンカー部232は第1バネ216と電気的に接続されており、且つ、アンカー部234は第1バネ218と電気的に接続されている。アンカー部232及び234には、スイッチング素子204からバイアス電位が供給され、第1バネ216及び218にバイアス電位が供給される。また、第2バネ224及び226は、アンカー部236に接続されている。アンカー部236は、第2バネ224及び226を支持する機能を有する。アンカー部236は第2バネ224及び226と電気的に接続されている。アンカー部236には、グランド電位が供給され、第2バネ224及び226にグランド電位が供給される。
【0027】
また、シャッター210の他方の側は、第1バネ220及び222を介してアンカー部238及び240に接続されている。アンカー部238及び240は、第1バネ220及び222とともに、シャッター210を基板102の表面から浮遊した状態に支持する機能を有する。アンカー部238は第1バネ220と電気的に接続されており、且つ、アンカー部240は第1バネ222と電気的に接続されている。アンカー部238及び240には、スイッチング素子204からバイアス電位が供給され、第1バネ220及び222にバイアス電位が供給される。また、第2バネ228及び230は、アンカー部242に接続されている。アンカー部242は、第2バネ228及び230を支持する機能を有する。アンカー部242は第2バネ228及び230と電気的に接続されている。アンカー部242には、グランド電位が供給され、第2バネ228及び230にグランド電位が供給される。
【0028】
なお、図4の上部において、説明の便宜上、シャッター210がある領域を“A”、第1バネ216、218、220及び222、並びに第2バネ224、226、228及び230がある領域を“B”、アンカー部232、234、236、238、240及び242がある領域を“C”と表示している。
【0029】
上述したように、本実施形態においては、スイッチング素子204からアンカー部232及び234にバイアス電位が供給され、第1バネ216及び218にバイアス電位が供給され、且つ、アンカー部236には、グランド電位が供給され、第2バネ224及び226にグランド電位が供給される。第1バネ216及び218と第2バネ224及び226との間の電位差により、第1バネ216と第2バネ224とが静電駆動され、互いが引き寄せあうように移動し、且つ、第1バネ218と第2バネ234とが静電駆動され、互いが引き寄せあうように移動し、シャッター210が移動する。
【0030】
また、同様に、スイッチング素子204からアンカー部238及び240にバイアス電位が供給され、第1バネ220及び222にバイアス電位が供給され、且つ、アンカー部242には、グランド電位が供給され、第2バネ228及び230にグランド電位が供給される。第1バネ220及び222と第2バネ228及び230との間の電位差により、第1バネ220と第2バネ228とが静電駆動され、互いが引き寄せあうように移動し、且つ、第1バネ222と第2バネ230とが静電駆動され、互いが引き寄せあうように移動し、シャッター210が移動する。
【0031】
なお、本実施形態においては、シャッター210の両側に第1バネ、第2バネ及びアンカー部を接続し配置した例について説明したが、本発明の表示装置はこれに限定されるわけではない。シャッター210の一方側に第1バネ、第2バネ及びアンカー部を接続し配置し、シャッター部210の他方側には第1バネ及びアンカー部のみを接続し配置し、他方側の第1バネ及びアンカー部はシャッターを基板から浮遊した状態に支持する機能を持たせ、シャッター210の一方側の第1バネ及び第2バネを静電駆動し、シャッター210を動作させるようにしてもよい。
【0032】
次に図5を参照する。図5には、本実施形態に係る本発明の表示装置100の表示部(図4に示すMEMSシャッター202におけるA−A’線によって示す箇所)及び端子部102e(端子104)の断面図である。なお、図5上部においては、説明の便宜上、端子部102がある領域を“D”と示している。
【0033】
図5に示すとおり、本実施形態に係る本発明の表示装置100においては、シャッター210は、a−Si(210a)及び遮光用のAlSi(210b)の積層体並びに絶縁膜(パッシベーション膜)210cを有している。本実施形態においては、a−Si(210a)及び遮光用のAlSi(210b)の積層体の側部(基板102の表面に対して垂直方向の面)及び下部(基板102の表面に対して平行方向であり且つ基板102に対面する側の面)にのみ絶縁膜(パッシベーション膜)210cを有している。言い換えると、a−Si(210a)及び遮光用のAlSi(210b)の積層体の上部(基板102の表面に対して平行方向であり且つ基板102に対面する側と反対側の面)には絶縁膜(パッシベーション膜)は存在しない。なお、本実施形態においては、シャッター210にはa−Si(210a)及び遮光用のAlSi(210b)の積層体を用いたが、これに限定されるわけではなく、側部及び下部にのみ絶縁膜(パッシベーション膜)が形成されている構造であれば如何なる構造及び材料でも用いることができる。また、本実施形態においては、a−Si(210a)及び遮光用のAlSi(210b)の積層体の側部及び下部にのみ絶縁膜(パッシベーション膜)210cを有している例について説明しているが、シャッター210の上部に絶縁膜(パッシベーション膜)が存在しないことが重要であり、下部には絶縁膜(パッシベーション膜)があっても無くてもよく、また、側部と下部との絶縁膜(パッシベーション膜)の厚さは異なっていてもよい。
【0034】
また、図5に示すとおり、本実施形態に係る本発明の表示装置100においては、第1バネ216、218、220及び222、並びに第2バネ224、226、228及び230は、それぞれ、a−Siの側部(基板102の表面に対して垂直方向の面)及び下部(基板102の表面に対して平行方向であり且つ基板102に対面する側の面)に絶縁膜(パッシベーション膜)を有している。図5に示すように、第1バネ226及び第2バネ218を例にとって説明すると、第1バネ226はa−Si(226a)の側部及び下部に絶縁膜(パッシベーション膜)226cを有しており、第2バネ218はa−Si(218a)の側部及び下部に絶縁膜(パッシベーション膜)218cを有している。言い換えると、第1バネ226において、a−Si(226a)の上部(基板102の表面に対して平行方向であり且つ基板102に対面する側と反対側の面)には絶縁膜(パッシベーション膜)は存在せず、且つ、第2バネ218において、a−Si(218a)の上部(基板102の表面に対して平行方向であり且つ基板102に対面する側と反対側の面)には絶縁膜(パッシベーション膜)は存在しない。こうすることによって、第1バネ216、218、220及び222、並びに第2バネ224、226、228及び230の間を絶縁膜(パッシベーション膜)により絶縁分離する。なお、本実施形態においては、第1バネ216、218、220及び222、並びに第2バネ224、226、228及び230には、a−Siを用いたが、これに限定されるわけではなく、側部及び下部にのみ絶縁膜(パッシベーション膜)が形成されている構造であれば如何なる構造及び材料でも用いることができる。また、本実施形態においては、第1バネ216、218、220及び222、並びに第2バネ224、226、228及び230の側部及び下部にのみ絶縁膜(パッシベーション膜)を有している例について説明しているが、第1バネ216、218、220及び222、並びに第2バネ224、226、228及び230の上部に絶縁膜(パッシベーション膜)が存在しないことが重要であり、下部には絶縁膜(パッシベーション膜)があっても無くてもよく、また、側部と下部との絶縁膜(パッシベーション膜)の厚さは異なっていてもよい。
【0035】
図5に示すとおり、本実施形態に係る本発明の表示装置100においては、アンカー部232、234、236、238、240及び242は、それぞれ、a−Si及びAlSiの積層体並びに絶縁膜(パッシベーション膜)を有している。図5に示すように、アンカー部234を例にとって説明すると、アンカー部234は、a−Si(234a)及びAlSi(234b)の積層体並びに絶縁膜(パッシベーション膜)234cを有している。アンカー部234は、基板102を構成するTFT基板300上に形成された絶縁膜302(パッシベーション膜)上に形成されている。本実施形態においては、a−Si(234a)及びAlSi(234b)の積層体の側部(基板102の表面に対して垂直方向の面)及び下部(基板102の表面に対して平行方向であり且つ基板102に対面する側の面)にのみ絶縁膜(パッシベーション膜)234cを有している。言い換えると、a−Si(234a)及びAlSi(234b)の積層体の上部(基板102の表面に対して平行方向であり且つ基板102に対面する側と反対側の面)には絶縁膜(パッシベーション膜)は存在しない。なお、本実施形態においては、アンカー部232、234、236、238、240及び242にはa−Si及びAlSiの積層体を用いたが、これに限定されるわけではなく、側部及び下部にのみ絶縁膜(パッシベーション膜)が形成されている構造であれば如何なる構造及び材料でも用いることができる。また、本実施形態においては、a−Si及びAlSiの積層体の側部及び下部にのみ絶縁膜(パッシベーション膜)を有している例について説明しているが、アンカー部232、234、236、238、240及び242の上部に絶縁膜(パッシベーション膜)が存在しないことが重要であり、下部には絶縁膜(パッシベーション膜)があっても無くてもよく、また、側部と下部との絶縁膜(パッシベーション膜)の厚さは異なっていてもよい。
【0036】
また、図5に示すとおり、本実施形態に係る本発明の表示装置100においては、端子部102eの端子104は、MoW(104a)、Al(104b)、MoW(104b)及びITO(104c)によって構成されている。なお、端子104の構成及び材料はこれに限定されるわけではなく、スイッチング素子(本実施形態においてはTFT)の構成に応じて適宜変更することが可能であり、また、Al(104b)は、スイッチング素子204のドレイン配線と同層の配線を用いるようにしてもよい。端子部102eは、基板102を構成するTFT基板300の一部に形成されている。本実施形態においては、TFT基板の表示部102a、データドライバ102b及び102c並びにゲートドライバ102d上は絶縁膜(パッシベーション膜)302で覆われているが、端子104の表面には絶縁膜(パッシベーション膜)は存在せず、端子104は露出されている。
【0037】
以上説明したとおり、本実施形態に係る本発明の表示装置100においては、外部から信号が供給される端子部102eの端子104の上部は露出されており、且つ、MEMSシャッター202の第1バネ216、218、220及び222、並びに第2バネ224、226、228及び230の間を絶縁膜(パッシベーション膜)により絶縁分離している。よって、MEMSシャッター202の静電駆動動作を良好に行うことができる。なお、第1バネ216、218、220及び222、並びに第2バネ224、226、228及び230以外の部分(例えば、シャッター210の上面等)には絶縁膜(パッシベーション膜)が存在しなくても問題は発生しない。
【0038】
次に図6を参照し、本実施形態に係る本発明の表示装置100の製造プロセスについて説明する。
【0039】
まず、基板102に表示部102a、データドライバ102b及び102c、並びにゲートドライバ102dを構成するスイッチング素子(本実施形態においてはTFT)及び端子部102eを構成する端子104を形成し、TFT基板300を形成し、端子部102eを除いてSiNなどの絶縁膜(パッシベーション膜)302を形成する。次に、絶縁膜(パッシベーション膜)302上にMEMSシャッター202(図6においては、シャッター210、第1バネ218、第2バネ226及びアンカー234を示す。)を形成する。次に、基板102全体にパッシベーション膜となるSiNなどの絶縁膜を一般的なPECVD法により形成し、絶縁膜210c、218c、226c、234c及び304を形成する(図6(A))。このとき、MEMSシャッター202のシャッター210等、第1バネ218等、第2バネ226等及びアンカー234等の基板102の表面に対して平行方向であり且つ基板102に対面する側の面には、絶縁膜が形成されない場合や、基板102の表面に対して垂直方向の面や基板102の表面に対して平行方向であり且つ基板102に対面する側と反対側の面とは膜厚が異なる場合がある。
【0040】
次に、絶縁膜210c、218c、226c、234c及び304を異方性ドライエッチングにより加工する(図6(B))。異方性ドライエッチングプロセスのため、基板102の表面に対して平行方向であり且つ基板102に対面する側と反対側の面に位置する絶縁膜が高エッチングレートでエッチングされ(図6(B)における点線矢印)、基板102の表面に対して垂直方向の面及び基板102の表面に対して平行方向であり且つ基板102に対面する側の面に位置する絶縁膜はエッチングされずに残ることになる(図6(C))。このとき、端子部104eの端子104上の絶縁膜304も除去され、端子104が露出される。基板102の表面に対して平行方向であり且つ基板102に対面する側と反対側の面に位置する絶縁膜が除去され端子104が露出され、第1バネ216、218、220及び222、並びに第2バネ224、226、228及び230の間を絶縁膜は残る状態になるまでこのエッチングプロセスを行う。絶縁膜がSiNである場合は、フッ素系ガスを用い、ドライエッチング設備としては容量結合プラズマ方式や誘導結合プラズマ、電子サイクロトロン共鳴プラズマ方式を用いることができる。なお、O2ガスを添加して側壁に保護層を形成することで、さらにエッチングの異方性を上げることが可能となる。
【0041】
次に、公知の方法によって対向基板を貼り合わせ(図示せず)、本実施形態に係る本発明の表示装置100が完成する。端子部102eの端子104は露出されているので、フレキシブルケーブル等の外部端子との電気的接続も可能となる。
【0042】
本実施形態に係る本発明の表示装置100においては、TFT基板と対向基板とを貼り合わせる前(前工程プロセス)において、一般的に用いられているドライエッチングプロセスによって端子上のパッシベーション膜を除去しているので、特殊なプロセスを必要とせず、高スループットで加工できるため、表示装置のコスト低減を図ることができる。また、従来、TFT基板と対向基板とを貼り合わせ、切断した後、ドライエッチングプロセスによる端子上のパッシベーション膜を除去するために必要であった専用装置を不要とし、製造スループットを低下させることなく端子上の絶縁膜(パッシベーション膜)を除去した表示装置及びその製造方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0043】
100 表示装置
102 基板
106 対向基板
102 基板
102a 表示部
102b、102c データドライバ
102d ゲートドライバ
102e 端子部
120 コントローラ
122 バックライト
200 画素
202 MEMSシャッター
204 スイッチング素子
206 保持容量
210 シャッター
212、214 開口部
216、218、220、222 第1バネ
224、226、228、230 第2バネ
232、234、236、238、240、242 アンカー部
図1
図2
図3
図4
図5
図6