(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1導通部材は、前記傾斜面と前記第1接触部との間に設けられ、該傾斜面側から突出して前記第2導通部材の移動量を規制する規制部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の接触端子。
前記第1導通部材および第2導通部材が接触した状態で、該第1および第2導通部材に囲まれる領域に配置され、該第1および第2導通部材側に付勢する弾性部材を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の接触端子。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1にかかる接触端子を備えた接触端子ユニットの構成を模式的に示す斜視図である。
図1に示す接触端子ユニット1は、2つの接触対象物の間に介在し、2つの接触対象物間の電気的な導通を図るものである。
図1に示す接触端子ユニット1は、複数の半導体チップが積載された基板100上に載置され、両端部で基板100の各半導体チップの電極101および基板200の電極201とそれぞれ接触する複数の接触端子2と、各接触端子2をそれぞれ保持する接触端子ホルダ3と、を備える。なお、基板100上に接触端子ユニット1を載置した構成がパワーモジュールである。
【0021】
基板100は、絶縁性の樹脂、またはシリコン、セラミックスなどの絶縁性材料を用いて形成され、所定の機能を有する複数の半導体チップおよびこの半導体チップに接触される電極101を有する。電極101は、銅等を用いてパターニングすることによって、基板100に積載された半導体チップなどに対して電気信号を伝達させるための回路パターンを形成する。
【0022】
半導体チップは、例えば、ダイオード、トランジスタ、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等の半導体素子によって実現される。なお、半導体チップは、使用の目的に合わせて基板100上に複数個設けられる。
【0023】
図2は、本実施の形態1にかかる接触端子2の構成を模式的に示す斜視図である。
図3,4は、本実施の形態1にかかる接触端子2およびこの接触端子を保持する接触端子ホルダ3の構成を模式的に示す部分断面図である。なお、
図3,4は、互いに直交する方向からみた部分断面図である。
【0024】
図2〜4に示す接触端子2は、長手方向の両端で電極101および基板200の電極201とそれぞれ接触することによって電極101と電極201との間を電気的に導通させる。接触端子2は、導電性部材を用いて形成され、電極101と接触する第1導通部材21と、第1導通部材21と接触して連結し、電極201と接触する第2導通部材22と、を有する。接触端子2は、例えば純銅または、ばね性のある銅系材料等を用いて形成される。
【0025】
第1導通部材21は、断面が略滴状をなし、複数の傾斜面211からなる凸部21aと、凸部21aと異なる端部に設けられ、電極101と接触する第1接触部21bと、を有する。第1導通部材21は、傾斜面211と直交する側面の両面にそれぞれ設けられ、この側面に垂直な方向に突出する突出部21cを有する。
【0026】
第2導通部材22は、湾曲形状をなして電極201と接触する第2接触部22aと、各々が第2接触部22aから湾曲形状に沿ってそれぞれ帯状をなして延び、弾性変形可能な複数の弾性部22bと、弾性部22bの先端に設けられ、複数の傾斜面211のいずれかと摺動可能に接触する摺接部22cと、を有する。摺接部22cは、弾性部22bが向かい合う方向と反対方向に湾曲した形状をなしている。また、第2導通部材22は、幅方向からみた側面が略Ω状をなし、弾性部22bによって、このΩの横方向(弾性部22bが向かい合う方向)に伸縮可能である。
【0027】
接触端子2は、摺接部22cが、第1導通部材21の伸縮方向と直交する方向で傾斜面211と接触して連結している。このとき、第1接触部21bおよび/または第2接触部22aから荷重が加わった場合に、摺接部22cが傾斜面211に対して摺動することで、各摺接部22c間の距離(ギャップ)が、傾斜面211に沿って拡大して第1導通部材21をΩ状の内部空間に収容する。これにより、接触端子2は、第1接触部21bおよび第2接触部22aを通過する軸線方向に伸縮可能となる。具体的には、第2導通部材22における第1接触部21bおよび第2接触部22aを通過する軸線方向の弾性変形と、この軸線方向に直交する方向(ピッチ方向)の弾性変形と、を第1導通部材21の傾斜面211によって接触端子2の軸線方向の弾性変形、すなわち撓みに変換することが可能となる。
【0028】
接触端子ホルダ3は、樹脂、マシナブルセラミックなどの絶縁性材料を用いて形成される略板状をなし、接触端子2を所定パターンで保持するためのホルダ孔31を有する。ホルダ孔31は、段付き形状をなす断面を有する空間であって、配設する接触端子2に対応して設けられ、接触端子2の端部が接触端子ホルダ3の上面から突出するように接触端子2を内部で保持する。
【0029】
すなわち、ホルダ孔31は、内部空間が板厚方向に貫通し、貫通方向に沿って径が異なる段付き孔形状をなしている。ホルダ孔31は、接触端子ホルダ3の下端面に開口を有する第1大径部31aと、この第1大径部31aよりも径が小さい小径部31bと、第1大径部31aの径と略同等の径であって、接触端子ホルダ3の上端面に開口を有する第2大径部31cと、からなる(
図3,4参照)。第1大径部31a、小径部31bおよび第2大径部31cは、互いの軸線が一致するように形成されている。なお、第1大径部31aおよび第2大径部31cは、それぞれ収容する電極の大きさに応じて形成される。
【0030】
また、小径部31bは、第2大径部31c側に設けられ、直交する一方の方向に沿った径が縮径している縮径部31dと、第1大径部31a側に設けられ、直交する他方の方向に沿った径が拡径している拡径部31eと、を有する。縮径部31dの径は、第2導通部材22のΩ状側面側(湾曲形状)の最大径より小さい。また、拡径部31eの径は、2つの突出部21cの各突出端部間の距離と略同等である。
【0031】
本実施の形態1にかかる接触端子ユニット1は、第2導通部材22が縮径部31dに当接することで抜止されるとともに、第1導通部材21の突出部21cが、接触端子ホルダ3の拡径部31eによって係止される。このとき、接触端子ユニット1が基板100上に載置されることで、拡径部31eの内部壁面と基板100の上面とによって突出部21cが挟み込まれて固定される。
【0032】
図5は、本実施の形態1にかかる接触端子2および接触端子ホルダ3の構成を模式的に示す部分断面図であって、第2接触部22aまたは第1接触部21bに荷重が加わった状態を示す部分断面図である。
図5に示すように、第1接触部21bが基板100の電極101と接触して荷重が加わると、第2導通部材22の弾性部22bが弾性変形することで、各摺接部22c間の径が、傾斜面211間の径に沿って拡径する。このとき、摺接部22cが傾斜面211と摺接しながら第1導通部材21を第2導通部材22のΩ状の内部空間に収容する。接触端子2は、第2接触部22aおよび第1接触部21bを通過する軸線方向に縮小している。ここで、破線P
0は、基板200から荷重が加わっていない状態での接触端子2の位置を示している(
図3参照)。なお、第2導通部材22において、このときに流れる電流は、第2接触部22aから各摺接部22cをそれぞれ結ぶ経路の両方の経路に流れるため、大きな導通断面積を確保することができ、多くの電流を流すことが可能となる。
【0033】
また、接触端子2は、基板200から荷重を受け、第1接触部21bおよび第2接触部22aを通過する軸線方向に縮小している際、弾性部22bが元の形状に戻ろうとする力を加えるため、軸線方向に縮小する一方で、第1接触部21bと第2接触部22aとが離れる方向に荷重が加わる。すなわち、接触端子2は、軸線方向に縮小する一方で、第1接触部21bおよび第2接触部22aがそれぞれ基板200,100側に荷重を加えた状態(基板に対して付勢した状態)となっている。この付勢状態により、振動が生じて、基板100,200間の距離が変化した場合であっても接触端子2は、その変化に追従して基板間の導通状態を維持する。
【0034】
このとき、2つの傾斜面211がなす角度θは、tan(θ/2)≧μとなる関係を満たす(
図6参照)。ここで、μは、傾斜面211および摺接部22cの接触部分における摩擦係数である。例えば、接触端子2として銅系材料を用いて形成され、その摩擦係数μがμ=0.2である場合、角度θは、tan(θ/2)≧0.2から、θ≧22.8°(θ/2≧11.4°)を満たす数値となる。
【0035】
なお、θ≦22.8の場合、弾性部22bが元の形状に戻ろうとする際に摺接部22cが傾斜面211に対して加える荷重が、摺接部22cと傾斜面211との間の摩擦力より小さくなる。これにより、接触端子2が、摺接部22cと傾斜面211との間で固定された状態となり、基板(電極)側に対して付勢した状態を維持できなくなる。その結果、振動等による基板の動きに追従できなくなるおそれがあるため、θは、30°以上(180°未満)であることが好ましい。
【0036】
本実施の形態1によれば、導電性の部材を用いて形成される接触端子2が、第1導通部材21を第2導通部材22の内部空間に収容することによって第1接触部21bおよび第2接触部22aを通過する軸線方向に伸縮するようにしたので、弾性および導通性等の要求特性を維持しながら小型化を実現することができる。
【0037】
接触端子2の第2導通部材22は、帯状の部材を用いて形成されているため、板面に直交する方向の断面積を大きく取ることができる。また、Ω状に湾曲されており、導通経路が2方向となるため、通電用の断面積を一段と大きく取ることが可能となる。これにより、導体抵抗が小さくなり、大電流を流せるとともに、抵抗発熱を小さくすることができる。また、接触端子2の第1導通部材21は、滴状をなしているため、上述した第2導通部材22と同様に、通電用の断面積を大きく取ることができ、導体抵抗が小さくなり、大電流を流せるとともに、抵抗発熱を小さくすることができる。
【0038】
また、接触端子2の第2導通部材22は、Ω状の頭頂部で基板の電極と接触し、一方の端部側を結ぶ経路を通電用の経路とするため、従来のような帯状の部材の長手方向の一方の端部から他方の端部までを結ぶ通電用経路と比して、通電用の経路を短くすることが可能となる。これにより、導体抵抗が小さくなり、大電流を流せるとともに、抵抗発熱を小さくすることができる。
【0039】
また、接触端子2の第1および第2導通部材は、傾斜面211および摺接部22cで摺接することで接触し、連結している。このとき、摺接部22cは、傾斜面211に対してくさび状に入り込んだ状態で接触している。このくさび状に連結した状態によって、平面同士を突き当てて接触した接触状態と比して、接触抵抗を小さくすることができる。
【0040】
なお、第2導通部材22の各弾性部22bは、第1導通部材21および第2導通部材22の接触導通が確保できれば、第2接触部22aから湾曲形状に沿って延びる形状が互いに同じ形状であってもよいし、異なる形状(例えば、板厚が異なる、第2接触部22aから延びる長さが異なる)であってもよい。なお、湾曲形状に沿って延びる形状が互いに同じ形状は、第1導通部材21と第2導通部材22とが連結した状態において、第1接触部21bおよび第2接触部22aを通過する軸線に対して対称な形状である。また、同じ形状とは、設計上同一の形状をなすものであり、製造上の誤差を含む。
【0041】
ここで、第2導通部材22の各弾性部22bは、各弾性部22bに流れる電流を安定させるために、同一の断面積であることが好ましい。
【0042】
また、第2導通部材22の各弾性部22bが、第2接触部22aから湾曲形状に沿って延びる形状が同じ形状である場合、各弾性部22bの抵抗が等しく、各弾性部22bに流れる電流も等しくなるため、より多くの電流を流すことが可能となる。また、各弾性部22bが同じ形状であれば、第2導通部材22の伸縮動作が円滑になり、接触端子2の一層安定した伸縮動作を得ることが可能となる。
【0043】
図7は、本実施の形態1の変形例1にかかる接触端子の構成を模式的に示す側面図である。
図7に示す接触端子2aのように、第1導通部材23が、上述した傾斜面211(凸部21a)、第1接触部21bおよび突出部21cに加えて、規制部21dを有するものであってもよい。規制部21dは、傾斜面211と第1接触部21bとの間に形成され、突出部21cと直交する方向に突出した形状をなす。規制部21dによって、第2導通部材22の第1導通部材21に対する相対的な移動量を規制することができる。なお、規制部21dの形成位置は、第2導通部材22の第1導通部材21に対する相対的な移動量により、任意に設定することができる。
【0044】
図8,9は、本実施の形態1の変形例2にかかる接触端子およびこの接触端子を保持する接触端子ホルダの構成を模式的に示す部分断面図である。なお、
図8,9は、互いに直交する方向からみた部分断面図である。変形例2にかかる基板110のように、表面に電極111aが形成された穴部111と接触させる場合、
図8,9に示す接触端子2bが、第1導通部材21に代えて、上述した傾斜面211(凸部21a)および突出部21cに加えて、穴部111に圧入し、電極111aと接触する第1接触部21eを有する第1導通部材24を備えてもよい。
【0045】
第1接触部21eは、第1導通部材24の長手方向の端部であって、傾斜面211(凸部21a)と異なる側の端部に設けられ、傾斜面211が形成される側面と同等の幅で長手方向に延びる板状をなす。また、第1接触部21eには、板面に垂直な方向に貫通する孔部21fが形成されている。第1接触部21eは、外部から加わる荷重に応じて孔部21fの形状が変化することによって、穴部111に圧入された状態を維持し、基板110と第1導通部材24とを連結する(この構成は、俗にプレスフィットと呼ばれる)。このプレスフィット構造によって、基板と第1導通部材との間の固定を一段と強固なものとすることができる。なお、この場合、接触端子ホルダは、第1大径部31aを有さない。
【0046】
図10は、本実施の形態1の変形例3にかかる接触端子およびこの接触端子を保持する接触端子ホルダの構成を模式的に示す部分断面図である。
図11は、本実施の形態1の変形例4にかかる接触端子およびこの接触端子を保持する接触端子ホルダの構成を模式的に示す部分断面図である。上述した接触端子において、両端で接触する基板に対して付勢した状態を一段と確実にするため、上述した第2導通部材22の内部に弾性部材を配設してもよい。
【0047】
図10に示す接触端子2cは、上述した第1導通部材21および第2導通部材22に加え、第2導通部材22のΩ状の内部(第1導通部材21および第2導通部材22に囲まれた領域)に配設された弾性部材40を備える。弾性部材40は、ばね鋼、ステンレス鋼、銅系材料、樹脂材料等からなる帯状部材を用いて形成され、長手方向の中央部で板面に沿って湾曲されるとともに、長手方向の端部が、湾曲された内部側に収容されるように湾曲された形状をなす。
【0048】
弾性部材40は、帯状の中央部で湾曲された湾曲部分が、第1導通部材21の第1接触部21bと反対側の端部と接触している。ここで、基板200からの荷重に応じて第2導通部材22が第1導通部材21側に移動した際、弾性部材40は、第1導通部材21と第2導通部材22とによって挟み込まれて縮小する。このとき、弾性部材40の元に戻ろうとする力によって、弾性部材40は、第1導通部材21と第2導通部材22とが離れる方向に荷重を加える。
【0049】
図11に示す接触端子2dは、上述した第1導通部材21および第2導通部材22に加え、第2導通部材22のΩ状の内部(第1導通部材21および第2導通部材22に囲まれた領域)に配設された弾性部材41を備える。弾性部材41は、ばね鋼、ステンレス鋼、銅系材料、樹脂材料等からなる帯状部材を用いて形成され、凹凸が逆の湾曲部分を繰り返してジグザグ状に延びている。
【0050】
弾性部材41は、ジグザグ状が延びる方向の端部側の一方の面で、第1導通部材21の第1接触部21bと反対側の端部と接触するとともに、他方の端部側の面で第2導通部材22の内周面と接触する。ここで、基板200からの荷重に応じて第2導通部材22が第1導通部材21側に移動した際、弾性部材41は、第1導通部材21と第2導通部材22とによって挟み込まれて縮小する。このとき、弾性部材41の元に戻ろうとする力によって、弾性部材41は、第1導通部材21と第2導通部材22とが離れる方向に荷重を加える。
【0051】
上述した変形例3,4によれば、配設スペースを増大することなく、上述した実施の形態1と比して、基板の振動等による移動に対して一段と確実に追従させることが可能となる。なお、弾性部材に用いる材料は、第1および第2導通部材の導通に影響を及ぼさない材料、例えば、第1および第2導通部材より高抵抗の材料であれば適用可能である。
【0052】
図12は、本実施の形態1の変形例5にかかる接触端子の構成を模式的に示す部分断面図である。変形例5では、接触端子2eが、上述した第1導通部材21と、上述した第2導通部材22に代えて、摺接部22cと湾曲形状が異なる第2導通部材25と、を備える。
【0053】
第2導通部材25は、湾曲形状をなして電極201と接触する第2接触部25aと、各々が第2接触部25aから湾曲形状に沿って互いに同じ帯状をなして延び、弾性変形可能な複数の弾性部25bと、弾性部25bの先端に設けられ、複数の傾斜面211のいずれかと摺動可能に接触する摺接部25cと、を有する。摺接部25cは、弾性部25bが向かい合う方向に湾曲した形状をなしている。第2導通部材25は、外部からの荷重に応じて弾性部25bが向かい合う方向に伸縮可能である。
【0054】
上述した変形例5にかかる接触端子においても、実施の形態1と同様に、第2導通部材25の各弾性部25bは、第1導通部材21および第2導通部材25の接触導通が確保できれば、第2接触部25aから湾曲形状に沿って延びる形状が同じ形状であってもよいし、異なる形状(例えば、板厚が異なる、第2接触部25aから延びる長さが異なる)であってもよい。ここで、各弾性部25bは、各弾性部25bに流れる電流を安定させるために、同一の断面積であることが好ましい。
【0055】
変形例5にかかる第1導通部材25は、上述した変形例1〜4に対しても適用可能である。
【0056】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について、
図13を参照して説明する。
図13は、本発明の実施の形態2にかかる接触端子およびこの接触端子を保持する接触端子ホルダの構成を模式的に示す部分断面図である。
図13に示す接触端子2fおよび接触端子ホルダは、2つの接触対象物の間に介在し、2つの接触対象物間の電気的な導通を図るものである。なお、
図1等で上述したコネクタと同じ構成要素には同じ符号を付してある。
【0057】
接触端子2fは、長手方向の両端で電極101および基板200の電極201とそれぞれ接触することによって電極101と電極201との間を電気的に導通させる。接触端子2fは、導電性部材を用いて形成され、電極101と接触する第1導通部材26と、第1導通部材26と接触して連結し、電極201と接触する第2導通部材27と、を有する。接触端子2fは、例えば純銅または、ばね性のある銅系材料等を用いて形成される。
【0058】
図14は、本実施の形態2にかかる接触端子の第1導通部材26の構成を示す上面図である。
図14は、
図13に示す第1導通部材26を紙面の上方向からみた図である。第1導通部材26は略錘状をなし、複数(本実施の形態2では4つ)の傾斜面261からなる略錘状の凸部26aと、凸部26aと異なる端部に設けられ、電極101と接触する略半球状の第1接触部26bと、を有する。なお、対向する傾斜面261のなす角度は、上述したθを満たすことが好ましい。
【0059】
図15は、本実施の形態2にかかる接触端子の第2導通部材27の構成を示す下面図である。
図15は、
図13に示す第2導通部材27を紙面の下方向からみた図である。
図13,15に示す第2導通部材27は、湾曲形状をなして電極201と接触する第2接触部27aと、各々が第2接触部27aから湾曲形状に沿って互いに同じ帯状をなして延び、弾性変形可能な複数(本実施の形態2では4つ)の弾性部27bと、弾性部27bの先端に設けられ、複数の傾斜面261のいずれかと摺動可能に接触する摺接部27cと、を有する。摺接部27cは、弾性部27bが向かい合う方向に湾曲した形状をなしている。また、第2導通部材27は、外部からの荷重に応じて弾性部27bが向かい合う方向に伸縮可能である。
【0060】
接触端子2fは、摺接部27cが、第2導通部材27の伸縮方向と直交する方向で傾斜面261と接触して連結している。このとき、第1接触部26bおよび/または第2接触部27aから荷重が加わった場合に、摺接部27cが傾斜面261に対応して摺動することで、各摺接部27c間の径が、傾斜面261間の径に沿って拡径して第1導通部材26をΩ状の内部空間に収容する。これにより、接触端子2fは、第1接触部26bおよび第2接触部27aを通過する軸線方向に伸縮可能となる。
【0061】
接触端子ホルダは、樹脂、マシナブルセラミックなどの絶縁性材料を用いて形成される略板状をなし、接触端子2fを所定パターンで保持するためのホルダ孔32を有する。ホルダ孔32は、段付き形状をなす断面を有する空間であって、配設する接触端子2fに対応して設けられ、接触端子2fの端部が接触端子ホルダの上面から突出するように接触端子2fを内部で保持する。
【0062】
すなわち、ホルダ孔32は、内部空間が板厚方向に貫通し、貫通方向に沿って径が異なる段付き孔形状をなしている。ホルダ孔32は、接触端子ホルダ3の下端面に開口を有する第1大径部31fと、この第1大径部31fよりも径が小さい小径部31gと、第1大径部31fの径と略同等の径であって、接触端子ホルダ3の上端面に開口を有する第2大径部31hと、からなる(
図13参照)。第1大径部31f、小径部31gおよび第2大径部31hは、互いの軸線が一致するように形成されている。なお、第1大径部31fおよび第2大径部31hは、それぞれ収容する電極の大きさに応じて形成される。
【0063】
また、小径部31gは、第2大径部31h側の端部が縮径している。この縮径した部分の径は、第2導通部材27の対向する摺接部27c間の最大距離より小さい。このホルダ孔32により、第2導通部材27が縮径部分に当接して接触端子ホルダからの抜止機能を有する。
【0064】
図16は、第1接触部26bまたは第2接触部27aに荷重が加わった状態を示す部分断面図である。
図16に示すように、第2接触部27aが基板200の電極201と接触して荷重が加わると、第2導通部材27の弾性部27bが弾性変形することで、各摺接部27c間の径が、傾斜面261間の径に沿って拡径する。このとき、摺接部27cが傾斜面261と摺接しながら第1導通部材26を第2導通部材27の内部空間に収容する。このとき、接触端子2fは、第1接触部26bおよび第2接触部27aを通過する軸線方向に縮小している。ここで、破線P
1は、基板200から荷重が加わっていない状態での接触端子2fの位置を示している(
図13参照)。なお、第2導通部材27において、このときに流れる電流の大部分は、第2接触部27aから各摺接部27cをそれぞれ結ぶ経路のいずれか一方を流れる。
【0065】
また、接触端子2fは、基板200から荷重を受けて第1接触部26bおよび第2接触部27aを通過する軸線方向に縮小している際、弾性部27bが元の形状に戻ろうとする力を加えるため、軸線方向に縮小する一方で、第1接触部26bと第2接触部27aとが離れる方向に荷重が加わる。すなわち、接触端子2fは、軸線方向に縮小する一方で、第1接触部26bおよび第2接触部27aがそれぞれ基板200,100側に荷重を加えた状態(基板に対して付勢した状態)となっている。この付勢状態により、振動が生じて、基板100,200間の距離が変化した場合であっても接触端子2fは、その変化に追従して基板間の導通状態を維持する。
【0066】
上述した本実施の形態2によれば、実施の形態1と同様、導電性の部材を用いて形成される接触端子2fが、第1導通部材26を第2導通部材27の内部空間に収容することによって第1接触部26bおよび第2接触部27aを通過する軸線方向に伸縮するようにしたので、弾性および導通性等の要求特性を維持しながら小型化を実現することができる。
【0067】
さらに、本実施の形態2によれば、導通経路が4方向となるため、実施の形態1と比して通電用の断面積を一段と大きく取ることが可能となる。これにより、導体抵抗が小さくなり、大電流を流せるとともに、抵抗発熱を小さくすることができる。
【0068】
なお、本実施の形態2にかかる第1導通部材26の第1接触部26bは、変形例2に示すようなプレスフィット構造をなすものであっても適用可能である。
【0069】
図17は、本実施の形態2の変形例にかかる接触端子の要部の構成を模式的に示す側面図である。
図18は、本実施の形態2の変形例にかかる接触端子の要部の構成を模式的に示す下面図である。
図19は、本実施の形態2の変形例にかかる接触端子の要部の構成を模式的に示す上面図である。なお、
図17は、第1導通部材に対して
図14と同一方向からみた図である。また、
図19は、第2導通部材に対して
図15と同一方向からみた図である。上述した実施の形態2では、第2導通部材が、第2接触部27aから湾曲形状に沿って互いに同じ帯状をなして延びる4つの弾性部27bを有するものとして説明したが、変形例のように、第2接触部から湾曲形状に沿って互いに同じ帯状をなして延びる3つの弾性部を有するものであってもよい。
【0070】
図17に示す第1導通部材28は略錘状をなし、3つの傾斜面281からなる略錘状の凸部28aと、凸部28aと異なる端部に設けられ、電極101と接触する略半球状の第1接触部28bと、を有する。
【0071】
図18,19に示す第2導通部材29は、湾曲形状をなして電極201と接触する第2接触部29aと、各々が第2接触部29aから湾曲形状に沿って互いに同じ帯状をなして延び、弾性変形可能な3つの弾性部29bと、弾性部29bの先端に設けられ、複数の傾斜面281のいずれかと摺動可能に接触する摺接部29cと、を有する。摺接部29cは、弾性部29bが向かい合う方向に湾曲した形状をなしている。また、第2導通部材29は、外部からの荷重に応じて弾性部29bが向かい合う方向に伸縮可能である。
【0072】
第1導通部材28と第2導通部材29とは、
図13に示した接触端子2fと同様に、摺接部29cが、第2導通部材29の伸縮方向と直交する方向で傾斜面281と接触して連結する。このとき、第1接触部28bおよび/または第2接触部29aから荷重が加わった場合に、摺接部29cが傾斜面281に対して摺動することで、第2導通部材29の摺接部29c側が拡径して第1導通部材28を内部空間に収容する。これにより、第1接触部28bおよび第2接触部29aを通過する軸線方向に伸縮可能となる。
【0073】
以上のように、本発明にかかる接触端子は、弾性および導通性等の要求特性を維持しながら小型化を実現する場合に有用である。