(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の必要性が、本発明における幾つかの実施態様によって満たされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の実施態様では、腸骨の髄内管の少なくとも一部分を係合するように構成されている寛骨臼インプラントを受容するための寛骨臼領域を準備するための方法が提供される。当該方法は、寛骨臼インプラントを受容するための腸骨の髄内表面を準備するために骨を除去するための少なくとも1つの非回転式手段を利用するステップを備えている。インプラントは、例えば寛骨臼プロテーゼのステム部分、又は寛骨臼プロテーゼを安定化させるためのオーグメントである。
【0007】
本発明の他の実施態様では、腸骨の髄内管の一部分を手術するための手術具が準備される。準備される手術具は、腸骨を除去するための非回転式手段として機能するブローチ又はラスプとして構成されている。
【0008】
本発明のさらなる他の実施態様では、腸骨の寛骨臼内において寛骨臼の関節形成術を実施するための方法が提供される。当該方法は、腸骨の腸骨管を配置するステップを含んでいる。腸骨管は、寛骨臼の表面から概略的に腸骨稜の一部分に向かって延在している。嵌入ステップは、非回転式骨除去具が腸骨管内において骨を除去すると共に骨孔を形成するように、腸骨管に沿って位置合わせされている非回転式骨除去具を嵌入する。他のステップは、固定式インプラントを腸骨の骨孔内に固定する。寛骨臼インプラントは、固定式インプラントを覆うように寛骨臼内に据え付けられる。
【0009】
他の実施態様は、腸骨に挿入するステップを備えている配置ステップを提供する。
【0010】
他の実施態様では、配置ステップは、腸骨を覆うように腸骨管探索用ジグを位置決めするステップを備えている。
【0011】
さらなる他の実施態様では、腸骨管探索用ジグが、第1の部分と第2の部分と位置合わせ用ガイドとを備えており、腸骨探索用ジグを位置決めするステップが、位置合わせ用ガイドが腸骨管の軸線に沿って位置合わせされるように、腸骨探索用ジグの第1の部分を寛骨臼の一部分に対して位置決めするステップと、腸骨探索用ジグの第2の部分を腸骨稜の一部分に対して位置決めするステップと、を備えている。
【0012】
さらなる他の実施態様は、皮質骨によって囲まれている骨孔を形成するステップを備えている。
【0013】
他の実施態様では、嵌入ステップは、複数の非回転式骨除去具を嵌入するステップを備えている。
【0014】
さらなる他の実施態様では、嵌入ステップが、複数の異なる大きさの前記非回転式骨除去具を嵌入するステップを備えている。
【0015】
固定ステップが、固定式インプラントを腸骨管の骨孔内に接合するステップを備えている。
【0016】
他の実施態様では、寛骨臼インプラントが寛骨臼カップである。
【0017】
さらなる他の実施態様では、寛骨臼要素が寛骨臼ケージである。
【0018】
他の実施態様は、腸骨管のための非回転式骨除去具を提供する。非回転式骨除去具は、骨を腸骨管から除去すると共に骨孔を形成するように構成されている骨除去面を含んでいる。位置決め部分は、骨除去面を腸骨管内に位置決めするように構成されている。骨除去面が、骨除去面が骨孔を腸骨管内に形成するように、及び骨除去面が皮質骨に当接するように、位置決め部分に対して相対的に構成されている。
【0019】
さらなる他の実施態様では、位置決め部分が、カニューレを受容するように構成されている中空部分である。
【0020】
さらなる他の実施態様では、骨除去面が、手術前の画像から形成されている。
【0021】
さらなる他の実施態様では、骨除去面が、不規則な形状を形成し且つ共に結合されている複数の部分から形成されている。
【0022】
さらなる他の実施態様では、非回転式骨除去具が、モジュール式除去面それぞれが独立して非回転式骨除去具に取り付け可能とされるように、複数のモジュール式除去面を備えている。骨孔が、一連の嵌入ステップにおいて形成される複数のモジュール式除去面の組み合わせによって形成されている。
【0023】
本発明の適用可能なさらなる領域は、本明細書における以下の発明の詳細な説明から明らかになる。発明の詳細な説明及び例示が、本発明の特定の実施例を示す一方、図示することのみを意図し、本発明の技術的範囲を限定することを意図しないことに留意すべきである。
【0024】
本願に組み込まれると共に本明細書の一部分を形成する添付図面は、本発明の実施例を表わし、記述された説明と共に本発明の原理、特性、及び特徴を説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1a】一の実施例における寛骨臼領域を準備する方法を表わす。
【
図1b】一の実施例における寛骨臼領域を準備する方法を表わす。
【
図1c】一の実施例における寛骨臼領域を準備する方法を表わす。
【
図1d】一の実施例における寛骨臼領域を準備する方法を表わす。
【
図1e】一の実施例における寛骨臼領域を準備する方法を表わす。
【
図1f】一の実施例における寛骨臼領域を準備する方法を表わす。
【
図1g】一の実施例における寛骨臼領域を準備する方法を表わす。
【
図1h】一の実施例における寛骨臼領域を準備する方法を表わす。
【
図1i】一の実施例における寛骨臼領域を準備する方法を表わす。
【
図1j】一の実施例における寛骨臼領域を準備する方法を表わす。
【
図2a】他の実施例における寛骨臼領域を準備する方法を表わす。
【
図2b】他の実施例における寛骨臼領域を準備する方法を表わす。
【
図2c】他の実施例における寛骨臼領域を準備する方法を表わす。
【
図2d】他の実施例における寛骨臼領域を準備する方法を表わす。
【
図2e】他の実施例における寛骨臼領域を準備する方法を表わす。
【
図2f】他の実施例における寛骨臼領域を準備する方法を表わす。
【
図2g】他の実施例における寛骨臼領域を準備する方法を表わす。
【
図2h】他の実施例における寛骨臼領域を準備する方法を表わす。
【
図2i】他の実施例における寛骨臼領域を準備する方法を表わす。
【
図2j】他の実施例における寛骨臼領域を準備する方法を表わす。
【
図3】腸骨の腸骨管領域と以前から存在する大腿骨インプラントと表わす部分的に再構築された股関節部の前方斜視図である。
【
図4】
図1a〜
図2jに表わす方法のうち1つ以上の方法を利用することによって移植された本発明の一の実施例における寛骨臼プロテーゼを有している、完全に再構築された股関節部の前方斜視図である。
【
図5a】腸骨を除去するための非回転式手段のための様々な断面形状のうち幾つかの例を表わす。
【
図5b】腸骨を除去するための非回転式手段のための様々な挿入された断面形状のうち幾つかの例を表わす。
【
図6】本発明の幾つかの実施例における遠位において収束するようにテーパ状になっているブローチの等角投影図である。
【
図7】切削面を有している本発明の幾つかの実施例におけるブローチの等角投影図である。
【
図8】本発明の幾つかの実施例における遠位において収束するように湾曲しテーパ状になっているブローチの等角投影図である。
【
図9】本発明の幾つかの実施例における湾曲しテーパ状になっているブローチの等角投影図である。
【
図10】本発明の幾つかの実施例におけるブローチ又はラスプの形状を表わす。
【
図11】本発明の幾つかの実施例におけるブローチ又はラスプの形状を表わす。
【
図12】本発明の幾つかの実施例におけるブローチ又はラスプの形状を表わす。
【
図13】本発明の幾つかの実施例におけるブローチ又はラスプの形状を表わす。
【
図14a】腸骨の第1の側面において腸骨管内に一時的又は永続的に移植するための、解剖学的に形成されたオーグメント又はトライアルの一例を表わす。
【
図14b】第1の側面とは異なる腸骨の第2の側面において腸骨管を手術するための、解剖学的に形成されたブローチ又はラスプの一例を表わす。
【
図15】リーマを利用する本発明の幾つかの実施例における方法ステップを表わす概略的なフロー図である。
【
図16】本発明の幾つかの実施例における方法ステップを表わす概略的なフロー図である。
【
図17】優位にはコンピュータ支援手術(CAS)システムと共に利用される、管探索用ロッドを挿入するためのジグを表わす。
【
図18】幾つかの実施例における管探索用ロッドを挿入するためのジグを表わす。
【
図19】他の実施例における管探索用ロッドを挿入するためのジグを表わす。
【発明を実施するための形態】
【0026】
好ましい実施例に関する以下の説明自体は、単なる例示にすぎず、本発明、その応用、又はその利用を限定することを意図するものではない。
【0027】
本発明は、一つには、例えば固定アンカー(stable anchor)として又は適切に位置決めするための手段として腸骨管を利用することによって、寛骨臼インプラント、特に多孔オーグメント又はプロテーゼを受容するための寛骨臼の領域を準備するための方法を提供する。本発明における方法は、比較的高い信頼性を以て寛骨臼インプラントを位置決めするために及び/又は取り付けるために利用可能な且つ傷を付けずに繰り返し認識可能な、解剖学的目印(anatomical landmark)として腸骨管を利用する。本明細書では、“寛骨臼インプラント”との用語は、限定されることなく、多孔性金属、多孔オーグメント、準多孔オーグメント、非多孔オーグメント、寛骨臼ケージ、寛骨臼シェル、寛骨臼ライナ、及び寛骨内又はその周囲に移植するように構成されている装置又はその一部分のうち任意の1つ以上のものを含んでいるものとして利用される。本発明における方法は、準備された腸骨管に挿入するように構成されているステム部分を有しているインプラントと共に、特に失われた若しくは障害を有している骨を構築するための“基礎(foundation)”を形成するインプラントと共に利用する際に、特に優位である。本発明における寛骨臼インプラントとして、可能であればセメントレスインプラントを利用することが望ましいが、セメントを利用する場合もある。
【0028】
本発明の有用性は寛骨臼に限定される訳ではなく、(例えば外傷の場合における)肩の関節形成にも有用である。
【0029】
図1a〜
図1jは、一の実施例における寛骨臼領域を準備するための方法を表わす。
図1aでは、腸骨10の寛骨臼12が準備されている。管探索用カニューレ22は、当該実施例では案内ロッドであるが、そうでなければピン、リーマ、又は腸骨管内に延伸する他の方向性ツール(directional tool)であり、案内ロッド挿入用ジグ20を介して腸骨10の管11内に位置決めされている。案内ロッド挿入用ジグは、保持するためのハンドル24と、寛骨臼12内に受容される位置決め端部26とを有している。
【0030】
案内ロッド挿入用ジグ20は、案内ロッド22が腸骨10の髄内管11と位置合わせされるまで円状に移動される。その後、案内ロッド22は、衝撃力を利用することによって、又は案内ロッド22にセルフタップネジチップ14(self-drilling tip)を設けることによって髄内管11内に挿入される。代替的には、案内ロッド挿入用ジグ20は、別のステップにおいて、案内ロッド22のために事前に穿孔するために利用される。
【0031】
図1bは、案内ロッド22を囲んで滑動する挿入可能なリーマ30を利用することによって案内ロッド22をリーマ加工するステップを表わす。図面には表わさないが、案内ロッド22を利用しない場合には、リーマ30を挿入する必要がない。このような場合には、外科医は単純にリーマを方向付けて、リーマを髄内管11内部にそのまま残せば良い。リーマ30は、骨を除去することによって腸骨管11を切開する(open up)ことを補助する切削面16を有している。異なる大きさの直径を有している一連のリーマ30が、様々な患者に適合するように設けられている。また、深さマーキング表示が、除去された骨の深さを示すためにリーマに設けられている。
【0032】
リーマ加工が完了した後に、例えば挿入式ブローチ又はラスプ44のような腸骨を除去するための非回転式手段が、
図1cに表わすようにリーマ30を囲むように載置される。従来、大腿骨ステムブローチ及び上腕骨ステムブローチに適合しているブローチ44が、押圧面42を有しているブローチハンドル40に接続されているか、又は該ブローチハンドルと一体になっている。図示しないが、案内ロッド22及びリーマ30が利用されない場合(例えば骨粗鬆症になっている骨の場合)には、ブローチ44を挿入する必要がない。異なる形状及び大きさを有している一連のブローチ44又はブローチ44の一式が、後述するように、様々な患者、特異な症例、及び/又は左側若しくは右側の寛骨臼領域に適合させるために準備されている。
【0033】
ブローチ44が、腸骨管11内に嵌入される一方、案内ロッド22及びリーマ30によって案内される。嵌入50する前に、ブローチ44が、リーマ30及び案内ロッド22に対して径方向に方向付けられる。嵌入50した後に、ブローチ44が、
図1eに表わすようにブローチ44又はブローチハンドル40に作用する引き抜き力52によって、管11から取り外される。ブローチ44を取り外すことによって、所定の寛骨臼インプラント60を受容するように構成されている骨孔18が腸骨10内に形成される。寛骨臼インプラント60は、例えば図面に表わす寛骨臼プロテーゼ又は多孔オーグメントのステムである。骨孔18は、好ましくは腸骨管11内に形成されており、骨孔の境界は、好ましくはブローチ44によって曝露された腸骨10の内皮質骨によって形成されている。その後に、寛骨臼インプラント60は、骨孔18内に挿入され、摩擦嵌合又はセメントによって固定される。別のインパクタ(図示しない)又はブローチハンドル40が、寛骨臼インプラント60を骨孔18内に固定することを補助する。
【0034】
次に、例えば寛骨臼ケージ、寛骨臼シェル82や寛骨臼ライナ84のような寛骨臼要素80が準備され、インプラント60を囲むように据え付けられる。幾つかの実施例では、骨セメント及び/又は骨移植材料70を準備された寛骨臼領域に提供することが望ましい。骨セメント及び/若しくは骨移植材料70の代替として、又は骨セメント及び/若しくは骨移植材料70と組み合わせて、海綿ネジ(cancellous screw)、皮膚ネジ(cortical screw)、ペグ、ワイヤ、又はケーブル(図示しない)が、寛骨臼要素80,82,84を寛骨臼領域にさらに固定するために利用される。
【0035】
図2a〜
図2jは、他の実施例における寛骨臼領域を準備する方法を表わす。
図2aは、腸骨10の寛骨臼12を表わす。管探索用案内ロッド22が、案内ロッド挿入用ジグ20を介して腸骨10の管11内に位置決めされる。異なる大きさの直径を有している一連の案内ロッド22が、様々な患者に適応するように設けられている。また、深さマーキング表示が、除去された骨の深さを示すために案内ロッドに設けられている。案内ロッド挿入用ジグは、保持するためのハンドル24と、寛骨臼12内に受容される位置決め端部26とを有している。案内ロッド挿入用ジグ20は、案内ロッド22が腸骨10の髄内管11と位置合わせされるまで円状に移動される。その後に、案内ロッド22は、嵌入力を利用することによって、又は案内ロッド22にセルフタップネジチップ14を設けることによって髄内管11内に挿入される。代替的には、案内ロッド挿入用ジグ20は、別のステップにおいて案内ロッド22のための事前に穿孔するために利用される。
図2bは、案内ロッド挿入用ジグ20を取り外し、案内ロッド22をそのまま残すステップを表わす。
【0036】
案内ロッドの挿入が完了した後に、例えば挿入式ブローチやラスプ44のような腸骨を除去するための非回転式手段が、
図2cに表わすように案内ロッド22を囲むように載置される。従来、大腿骨ステムブローチ及び上腕骨ステムブローチに適合しているブローチ44が、押圧面42を有しているブローチハンドル40に接続されているか、又は該ブローチハンドルと一体になっている。図示しないが、案内ロッド22が利用されない場合(例えば骨粗鬆症になっている骨の場合)には、ブローチ44を挿入する必要がない。異なる形状及び大きさを有している一連のブローチ44又はブローチ44の一式が、後述するように、様々な患者、特異な症例、及び/又は左側若しくは右側の寛骨臼領域に適合させるために準備されている。
【0037】
ブローチ44が、腸骨管11内に嵌入される一方、案内ロッド22によって案内される。嵌入50する前に、ブローチ44が、リーマ30及び案内ロッド22に対して径方向に方向付けられる。嵌入50した後に、ブローチ44が、
図2eに表わすようにブローチ44又はブローチハンドル40に作用する引き抜き力52によって、管11から取り外される。ブローチ44を取り外すことによって、所定の固定式インプラント60を受容するように構成されている骨孔18が腸骨10内に形成される。インプラント60は、例えば図面に表わす寛骨臼プロテーゼ又は多孔オーグメントのステムである。骨孔18は、好ましくは腸骨管11内に形成されており、骨孔の境界は、好ましくはブローチ44によって曝露された腸骨10の内皮質骨によって形成されている。その後に、インプラント60は、骨孔18内に挿入され、摩擦嵌合又はセメントによって固定される。別のインパクタ(図示しない)又はブローチハンドル40は、インプラント60を骨孔18内に固定することを補助する。
【0038】
次に、例えば寛骨臼ケージ、寛骨臼シェル82や寛骨臼ライナ84のような寛骨臼要素80が準備され、インプラント60を囲むように据え付けられる。幾つかの実施例では、骨セメント70を準備された寛骨臼領域に提供することが望ましい。骨セメント70の代替として、又は骨セメント70と組み合わせて、海綿ネジ、皮膚ネジ、ペグ、ワイヤ、又はケーブル(図示しない)が、寛骨臼要素80,82,84を寛骨臼領域にさらに固定するために利用される。
【0039】
図3は、腸骨の腸骨管領域を表わす正面から見た斜視図(frontal coronal view)である。
図3は、本発明方法における寛骨臼プロテーゼを移植する前における、手術前の患者の状態の一例を概略的に表わす。以前から存在する大腿骨頭プロテーゼ86′が、寛骨臼12の磨り減った軟骨と関節接合している(すなわち、股関節が半関節形成されている)。腸骨10の腸骨管11の固定部分15は、大腿骨頭プロテーゼ86′の上方に位置している。寛骨臼インプラントの大きさ及び形状は、手術前のテンプレーティングに基づいて選定される一方、これを考慮して腸骨10の髄内管11の内面18との圧入状態を維持している。
【0040】
図4は、
図1a〜
図2jに表わす方法のステップを利用することによって移植された、本発明の一の実施例における寛骨臼プロテーゼの前方から見た斜視図である。腸骨管11を準備した後に、固定式インプラント60が管11の壁18内に挿入され圧入される。
図4に表わす実施例では、インプラント60は多孔オーグメントである。その後に、第1の骨セメント及び/又は骨移植材料の被膜70′が、インプラント60の頂部を覆うように、該インプラントの側方に、又は該インプラントの一部分に隣接するように寛骨臼領域12に適用される。例えば、内側の細切除された骨移植片が、オーグメント60に配設されている。
【0041】
その後に、例えば(図示する)寛骨臼ケージのような寛骨臼要素80が、第1の被膜70′を覆うように適用される。寛骨臼ケージ80は、安定化させるために1つ以上のフランジ80′を備えており、固定を向上させるためにネジ取付手段として機能する1つ以上の開口部80″を、又は骨セメント及び/若しくは骨移植材料の被膜70′を嵌合するための単なる表面をさらに備えている。寛骨臼ケージ80は、寛骨臼ライナ84及び/又は寛骨臼ライナ84を寛骨臼ケージ80に結合する骨セメント層70″を支持するために、フード又はバットレスを備えている場合がある。
【0042】
その後に、例えば寛骨臼ライナ84や寛骨臼シェルのような1つ以上の付加的な寛骨臼要素が、セメントで接合された寛骨臼要素80に固定される。寛骨臼要素80を覆うように適用された1つ以上の骨セメント及び/又は骨移植材料の被膜70″によって、1つ以上の付加的な寛骨臼要素84を固定することができる。被膜70′,70″のうちいずれか一方又は両方が、1つ以上の他の固定手段によって代替される場合がある。該固定手段としては、摩擦嵌合、ネジ、ペグ、スパイク、ワイヤ、骨基質(例えばミネラル化されたもの及び/又は脱ミネラル化されたもの)、及びクランプが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。特に図示の実施例では、寛骨臼シェルは利用されておらず、その代わりに寛骨臼ライナ84が寛骨臼ケージ80に直接固定されている。しかしながら、寛骨臼シェル82は、寛骨臼ケージ80と寛骨臼ライナ84との間において利用される。
【0043】
図5aは、腸骨を除去するための非回転式手段のための様々な断面形状のうち幾つかの例を表わす。例えばラスプやブローチのような腸骨を除去するための非回転式手段は、任意の数の幾何学的形状を有している。幾何学的形状は、自身の長さ方向に沿った様々な位置において1つ以上の異なる断面を有している。周囲輪郭としては、例えば八角形102や台形102′のような多角形、及びB−スプライン形状102"が挙げられる。
【0044】
図5bは、腸骨を除去するための非回転式手段の、様々な挿管された断面形状のうち幾つかの例を表わす。案内ロッド22又はリーマ30が利用される場合には、ブローチの長さに亘って貫通して延在している中央開口部が、ブローチを腸骨10の髄内管11内部に向かって方向付けて案内するために利用される。該中央開口部は、押出加工で成形可能な任意の断面形状を有している。該断面形状としては、例えば円、長円104のような湾曲した形状、及び例えば三角形104″、長方形104′や六角形104′′′のような多角形状が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0045】
図6は、本発明の幾つかの実施例における、遠位において収束しているテーパ状ブローチの等角投影図である。ブローチ110には、開口部112が形成されていてもされていなくても良く、1つ以上の収束面111が形成されている。該収束面は、平坦である場合がある。
【0046】
図7は、本発明の幾つかの実施例における、切断面を有しているブローチの等角投影図である。
図7に表わす寛骨臼ブローチ110には、開口部112が形成されていてもされていなくても良く、滑らかな面113,113′又は切削面114,114′が所々に形成されている。切削面114,114′は、整形外科に関する技術分野において既知である。
【0047】
図8は、本発明の幾つかの実施例における、遠位において収束していると共に湾曲しているテーパ状ブローチ110の等角投影図である。ブローチ110は、1つ以上の収束面115,116を有している。該収束面のうち少なくとも1つの収束面が、少なくとも1つの平面内において湾曲している。
【0048】
図9は、本発明の幾つかの実施例における、湾曲しているテーパ状ブローチ110の等角投影図である。ブローチ110は、収束面117,118を有している。該収束面のうち少なくとも1つの収束面が、横断面において湾曲している。
【0049】
図10〜
図13は、本発明の幾つかの実施例におけるブローチ、ラスプ、オーグメント、及び寛骨臼インプラントのステム等の、実施可能な形状を表わす。
図10〜
図13は、腸骨10の髄内管内に容易に挿入するために近位側の形状よりも小さい遠位側の形状128を有していてもそうでなくても良い、径方向に関して非対称な形状120,122,124,126を表わす。形状120,122,124,126は、同一の近位側の形状と遠位側の形状128とを有しており、偏心して又は一様に押し出されている。形状120,122,124,126は、オーグメント130のみに設けられているか、又は一体化された寛骨臼インプラント121,125のステム120,126に設けられている。代替的には、形状120,122,124,126は、接続手段127,129を介して別の寛骨臼インプラント123に接続するためのステム124として設けられている。接続手段127,129としては、セメント、モールステーパ、圧入、ネジインターフェース、雄雌式ネジ接続、及びボスに螺入された別のネジ等が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。接続手段129は、代替的な利用を、例えば寛骨臼領域の一部分を準備するための他の手術器具を取り付ける又は位置合わせするための手段を提供する。
【0050】
図14aは、腸骨の第1の側面において腸骨管内に移植するための、解剖学的に形成されたインプラントトライアル又はオーグメント130の一例を表わす。オーグメント130は、破線で表わすより大きなインプラント138のより小さな部分である。例えば、オーグメント130は、セメント製バットレスとして機能する一体化されたフランジを有している場合がある。また、オーグメント130が、寛骨臼シェルのステム部分である場合がある。
図14aに表わす実施例では、オーグメント130の外面132が、髄内管11が準備された後に、オーグメント130と髄内管11との間における皮質骨及び/又は海綿骨による接続を最大限に高めるように構成されていることが望ましい。オーグメント130には、セメントによる固定が必要ないように多くの孔が形成されていることが望ましいが、他の表面の組織についても同様である。例えばオーグメント130が、トライアルを減らす際にトライアルオーグメントとして利用可能とされる場合には、表面の組織が、容易に挿入及び摘出するように滑らかになっている場合がある。
【0051】
図14bは、第1の側面と相違する腸骨の第2の側面において腸骨管11を準備するための、解剖学的に形成されたブローチ又はラスプ134の一例を表わす。ブローチ又はラスプ134は、例えば大きさ、タイプ、患者のどちら側か、シリアル番号、製造業者等のような情報を医師に伝達する表示140を備えている。ブローチ134は、
図1c、
図1e、
図2c、及び
図2eに表わすようにブローチハンドル40と一体に作られているか、又はブローチ又はラスプ134をブローチハンドル40から取り外し可能な結合手段142を有している場合がある。患者が例えばCT、MRIやX線のような放射エネルギを利用することによってスキャンする場合に、カスタマイズされたオーグメント130とブローチ134とが、欠陥を充足させるために医師に提供される場合がある。
【0052】
図15は、本発明の幾つかの実施例における方法のステップを表わす概略的なフローチャートである。特に
図15は、
図1a〜
図1jに表わす方法のステップを示す。任意に、外科医が管探索用案内ロッド22を腸骨10の髄内管11内部に載置するステップ202が実行される。外科医が管探索用案内ロッド22を利用する場合には、ステップ204において、挿入されたリーマ30が案内ロッド22を囲むように配設される。その後に、ステップ206において、髄内管11がブローチングに十分な程度に髄内管11を拡開するために、必要に応じてリーマ加工される。他の手術器具が、案内ロッド22又はリーマ30に取り付けられるか、又は案内ロッド22又はリーマ30から延在する場合がある。リーマ加工ステップ206が、省略されるか、又は1つ以上の異なる大きさの直径を有しているリーマを利用するために繰り返される場合がある。腸骨10の髄内管11がリーマ加工206された後に、最後のリーマ30が、ブローチ加工ステップ210において利用するために、管11内部に置き去りにされる。管11がブローチ加工210された後に、ブローチ44が寛骨臼領域12から取り外される。ブローチ加工ステップ210は、骨材料を腸骨管11から除去するための、例えば以下に説明する骨刀や嵌入装置を利用することによって骨を除去するための他の非回転式手段に代替される場合がある。外科医が案内ロッド22又はリーマ30を利用しようとする場合には、ブローチが、案内ロッド又はリーマに対して位置合わせするための位置合わせ装置として機能させるために挿入され、案内ロッド22及び/又はリーマ30を囲んでブローチを滑動させるステップ208が実行される。案内ロッド22及び挿入されたリーマ30が手術のために利用されない場合には、ブローチ44を挿入する必要はない。寛骨臼領域12のさらなる準備ステップ212,214では、腸骨管11内に1つ以上の“ザグリ穴(countersink)”を形成するために、より大きな直径を有しているリーマを様々な深さにおいて利用して案内ロッド22の周囲がリーマ加工されるか、及び/又は寛骨臼領域12の表面部分がブローチ加工される。
【0053】
適切な骨孔18が腸骨管11内部に形成され、及び/又は、腸骨10を囲んでいる場合には、トライアルリダクションステップ218を実行するために、ステップ216において、事前に挿入された器具(例えば管探索用案内ロッド22、リーマ30やブローチ44)のうち幾つかの器具又はすべての器具が寛骨臼領域12から取り外される。挿入されたオーグメントインプラント60とトライアルオーグメントが利用される場合には、トライアルリダクションステップ218を実行する前に、器具216を取り除く必要がない。このような場合には、トライアルオーグメント及び/又はオーグメントインプラント60が、案内ロッド22、リーマ30、又はブローチ44を囲んだ状態で滑動し、外科手術の後半において器具が腸骨10から取り外される。案内ロッド22又はリーマ30を髄内管11内に置き去りにしたままトライアルするステップ218によって、外科医は、最良の嵌合と皮質による係合とを実現するために必要に応じて、容易に再リーマ加工し、トライアルオーグメントのサイズを大きくすることができる。トライアルリダクションステップ218は、任意のステップであり、対応する大きさ及び形状を有しているブローチが取り外し困難になった場合には省略しても良い。
【0054】
最良の大きさ、形状、又は嵌め合いが確立された場合に、1つ以上のトライアルオーグメントが取り外され、1つ以上のインプラントオーグメント60が取り外されたトライアルオーグメントの位置220内に挿入される。その後に、ステップ224において、セメント70が、挿入されたオーグメント222、寛骨臼ケージ80、又はセメント70′に取り付けられている他の寛骨臼要素(例えば寛骨臼シェル)を覆うように適用された後に、ステップ226において、寛骨臼ライナ84又は他の寛骨臼要素が、第2のセメント層70″によって寛骨臼ケージ80又は寛骨臼要素に固定される。セメント70の代わりに、摩擦、ネジ、又は本明細書に記載されている任意の他の固定手段であっても良いことに留意すべきである。
【0055】
例えば、腸骨10内に挿入すべきオーグメント60が異なるオーグメントから成るモジュール式組合体である場合には、又は不規則な形状若しくは非標準的な形状を有している場合には、1つ以上の異なるブローチ又はモジュール式連動/相互交換可能なブローチセグメント(図示しない)が逐次“積み重ねられ”、これによりオーグメント60の不規則な形状又は非標準的な形状に対して形状的に相補的な独自のブローチが形成される。代替的には、前記不規則な形状を有している骨孔18を形成するために様々な形状を有している一体式ブローチと共に、ステップ210,212が順次利用される。
【0056】
他の実施例では、外科医が、ステップ206において案内ロッド22の周囲をリーマ加工し、リーマ30を髄内管11内に残し、ステップ210において第1のブローチ44を利用することによってリーマ30を覆うようにブローチ加工し、第1のブローチ44を取り除き、第2のブローチを利用することによって髄内管11及び寛骨臼領域12の内部に皿穴(countersink)をブローチ加工し(図示しない)、第2のブローチを取り除いた後に、平坦部を有している球状のザグリ部分を腸骨10内に形成するために球状リーマ(図示しない)を利用することによって、第2のブローチによって形成されたザグリ穴に丸みを付ける。
【0057】
図16は、本発明の幾つかの実施例における方法のステップを表わす概略的なフローチャートである。特に
図16は、
図2a〜
図2jに表わす手術を実行する方法300を示す。任意に、外科医が管探索用案内ロッド22を腸骨10の髄内管11内に載置するステップ302が実行される。外科医が管探索用案内ロッド22を利用する場合には、ステップ304において、挿入されたブローチ44が管探索用案内ロッドを囲んだ状態で配設された後に、ステップ306において、管11がブローチ加工される。他の準備された手術器具は、案内ロッド22に取り付けられるか、又は案内ロッド22から延在するように構成されている。ブローチ加工ステップ306は、腸骨管11から骨材料を除去するための、例えば骨刀や嵌入装置を利用することによって骨を除去するための非回転式手段の代替となる。ステップ304において、ブローチ44の1つ以上の開口部が、案内ロッド22に対して位置合わせするための位置合わせ装置として一般に機能する。案内ロッド22とブローチ44とに割り又はキーが形成されている場合には、骨との最良の嵌合を実現させるために、嵌入50の際にブローチ44を腸骨に対して様々な径方向に方向付けることができる。案内ロッド22が手術のために利用されない場合には、開口部がブローチ44に形成される必要はない。ブローチ加工ステップ306が一旦完了すると、ステップ308において、ブローチ44が寛骨臼領域12から取り外される。寛骨臼領域12のさらなる準備ステップ310,312では、腸骨管11内に1つ以上の“ザグリ穴”を形成するために、リーマを様々な深さにおいて利用して案内ロッド22の周囲がリーマ加工されるか、及び/又は寛骨臼領域12の表面部分がブローチ加工される。オーグメントトライアルを利用する1つ以上のトライアルステップが、手術中であればいつでも、特にブローチ加工ステップ1c〜1e,2c〜2e若しくはリーマ加工ステップ1bの間に又はその後に、及び最後のオーグメント60を移植する前に実行可能とされる。トライアルは、移植すべきオーグメントに基づいた形状及び大きさとされるが、容易に腸骨に挿入し腸骨から取り外すために、移植すべきオーグメントの外面の摩擦が大きくないように、又は移植すべきオーグメントの外面が多孔性を有していないように形成されていることが望ましい。
【0058】
例えば、腸骨10内に挿入すべきオーグメント60が異なるオーグメントから成るモジュール式組合体である場合には、又は不規則な形状若しくは非標準的な形状を有している場合には、1つ以上の異なるブローチ又はモジュール式連動/相互交換可能なブローチセグメント(図示しない)が逐次“積み重ねられ”、これによりオーグメント60の不規則な形状又は非標準的な形状に対して形状的に相補的な独自のブローチが形成される。代替的には、前記不規則な形状を有している骨孔18を形成するために様々な形状を有している一体式ブローチと共に、ステップ310,312が順次に利用される。
【0059】
他の実施例では、外科医が、ステップ306において第1のブローチ44を利用して案内ロッド22の周囲をリーマ加工し、第1のブローチ44を取り除き、第2のブローチを利用して髄内管11及び寛骨臼領域12の内部にザグリ穴をブローチ加工した後に(図示しない)、平坦部を有している球状のザグリ部分を腸骨10内に形成するために球状リーマ(図示しない)を利用することによって、第2のブローチによって形成されたザグリ穴に丸みを付ける。
【0060】
適切な骨孔18が腸骨管11及び腸骨10内に形成されると、ステップ314において、すべての器具(例えば管探索用案内ロッド22、1つ以上のリーマ30や1つ以上のブローチ44)が寛骨臼領域12から取り外される。例えばオーグメントトライアルのようなトライアル寛骨臼インプラントを利用したトライアルは、適切且つ確実に嵌め込み安定させるために骨孔18内に挿入される。その後に、寛骨臼インプラント60(例えばオーグメント)は、ステップ316において、準備された腸骨管11の骨孔18内に挿入され固定される。その後に、後続の寛骨臼要素80,82,84,86が、本明細書に開示される任意の手段を利用することによって、ステップ318,320,322に表わすように寛骨臼領域12に取り付けられる。
【0061】
本明細書で利用される“オーグメント(augment)”との用語は、制限されることなく、“多孔質骨−内部成長構造体(porous bone-ingrowth structure)”、“連続気泡多孔体網(porous, reticulated, open-cell network)”、“泡状の生体適合金属(biocompatible metal foam)”、“泡状のセラミック(ceramic foam)”(例えば多孔質PEEKや多孔質UHMWPE)、“柱状構造体(trabecular construct)”、“多孔質表面組織(porous surface-texture)”(例えばブラスト処理又はエッチングによって形成された多孔質層)、“多孔質外層を有している中実の担体(solid substrate having a porous outer layer)”、“少なくとも1つの焼結粉体から成る多孔質コーティングを有している装置(device having a porous coating of at least one sintered powder(s))”、“多孔質焼結粉体構造体(porous sintered powder construct)”(例えば球状及び/又は非対称な多孔質焼結粒子)、“溶射金属”(例えば溶射チタン)、“非多孔性構造体(non-porous construct)”(例えば高分子材料、金属材料、セラミック材料、又はこれらに類する物のブロック体)、及び多孔性同種移植片(porous allograft)のうち1つ以上の意味を備えている。HAのような1つ以上の“生体活性(bio-active)”治療が1つ以上のオーグメントに適用可能とされる。
【0062】
骨を除去するための非回転式手段として、ブローチやラスプ以外の器具が挙げられることに留意すべきである。例えば、骨刀(例えばボックスオステオトーム(box osteotomes))、パンチ、切断ブレード(例えば回転式鋸ブレードや往復式鋸ブレード)、嵌入式移植具、可撓性を有している切断具(例えばなべ小ネジを寛骨臼カップに挿入するために利用されるものに類似している、可撓性を有しているリーマや可撓性を有しているドリル)、湾曲した錐(例えば手動で両方向に回転する装置や手動で往復する装置)、手動式リーマ、テーパ状のリーマ、非テーパ状のリーマ、非挿入式T状ハンドルの髄内装置(例えばチャーンリ式錐(Charnley awls)や膝を置換する際に位置合わせのために利用される髄内ロッド)、湾曲したキューレット、手持式バー、(挿入式又は非挿入式)リーマ、及び振動式切断ツールが、ブローチ及びラスプと組み合わせて、又はブローチ及びラスプの代替として利用される。
【0063】
外科医の中には配設困難な管11を探索する者がいるので、ジグ400は、該ジグがコンピュータ支援外科手術(CAS)システム(図示しない)内において手術器具として利用されるように、
図17に表わすアレイ及び/又は基準マーカー404を備えている。CASシステムは、案内ロッド22を髄内管11内に確実に且つ正確に配置するために、ジグ400を腸骨10に対して空間的に方向付けるために利用される。ジグ400が正確に配置されると、該ジグは腸骨にピン結合されるか(ピン穴は図示しない)、又は案内ロッド22がポータル402に挿入される際に摩擦によって所定位置に保持される。ポータル402は、案内ロッドのための案内面として機能し、ポータル402が案内ロッド22と相補的に係合するような大きさ及び形状とされる限り、スリット、スロット、滑り面、又は開口部を備えている。案内ロッド22及びポータル402の両方のために多様な断面形状を想到することができることに留意すべきである。ポータル402が、同様に良好に、例えばラスプ、ブローチ、カッター、ミルやリーマのような切断ガイドのためのガイドとして機能することにも留意すべきである。
【0064】
代替的には、
図18に表わすジグ410が利用される。ジグ410は、ピン又は案内ロッド22を髄内管11内部に案内するように構成されている。ジグ410は、アウトリガー装置412とポータル418がその内部に形成されている底部416とを備えている。底部分416は、上方のドームに隣り合って寛骨臼12内に配設されている。ジグの頂部414は、一般に上前腸骨棘19(ASIC)の後方約3cmの地点において、髄内管11が延在している腸骨の縁部(iliac rim)に配設されている。
【0065】
さらに、CTスキャンと手術前計算機モデリング手法とが、固定するための1つ以上のオーグメント60が充填可能な腸骨孔11を明らかにする。患者は、従来式のX線手法又はコンピュータトモグラフィ(CT、MRI)手法を利用してスキャンされる。そのスキャンから得られたデータ(例えば*.DICOMファイルフォーマット)は、ソフトウェア(例えばマテリアライズ社製MIMICS(登録商標))によって事前処理された後に、患者の腸骨10及び/又は寛骨臼領域12の3DデジタルCADモデルを生成するために適切なモデリングソフトウェア(例えばUnigraphics/NX、CATIA、AutoCAD、Pro/Engineer、SolidWorks等)にアップロードされる。患者の腸骨管11が計測され定量化され、特定患者のためのオーグメント60が該特定患者に最適に適合するように製造される。また、3Dデジタルモデルは、特定患者の寛骨臼領域12の一部分の輪郭に適合する輪郭面426を有している特定患者向けにカスタムされたブロック420(custom patient-specific block)を形成するために利用される。特定患者向けにカスタムされたブロック420は、管探索用ピン又はロッド22を腸骨管内部に案内するように構成されているポータル428をさらに備えている。輪郭面426は、管探索用ロッド22を最適に配置するために患者の骨10に対して相対的にポータル428を空間的に配置するための手段として機能する。上述のように、ポータル402は、例えばラスプ、ブローチ、カッター、ミルやリーマのような切断ガイドのためのガイドとして同様に良好に機能する。
【0066】
代替的には、腸骨管11は、ジグ20,400,410,420を必要とせず、管探索用ロッド22を配置するために特定される。このことは、患者が過剰に肥満でない限りは、腸骨管11を発見するために腸骨稜に沿って触診し、これにより上寛骨臼12から腸骨翼に至るまで延在している腸骨10の薄肉部分を発見することによって為される。
【0067】
寛骨臼インプラント60は、上述のように腸骨管11内に圧入される。幾つかの例では、発明者は、Zimmer社製の#7柱状金属オーグメントと共に実践する発明を実際に減らしている。しかしながら、腸骨10の髄内管内に移植するのに適している任意のオーグメント60が利用されることに留意すべきである。良好な皮質の嵌入及び安定を確実にするために、移植すべきインプラント60に概略的に類似している大きさ及び形状の特徴を有しているオーグメントトライアル(図示しない)と共にトライアルすべきである。
【0068】
本明細書に開示される方法は、著しく良好な固定とオーグメントを覆うようにケージを接着する安定した上支え壁とを確立するための驚異的に容易な方法を提供することに留意すべきである。本発明を利用した手術の際にはネジを必要としないので、周囲の骨の一体性が確保され、手術時間が低減される。本明細書に開示されているオーグメントを利用する髄内固定がネジによる固定を利用した如何なるタイプよりも明らかに良好であることが、発明者によって観察されている。
【0069】
本発明の技術的範囲から逸脱することなく、対応する図面を参照して上述のように典型的な実施例を多様に改良することができるので、上述の説明に含まれ且つ添付図面に表わされるすべての事項が、限定的ではなく図示するものとして解釈されるべきである。例えば骨質が乏しい場合には、案内ロッドを挿入するステップ及び/又はリーマ加工するステップは、ブローチ加工する前に必要ない。従って、本発明の技術的範囲及び広さは、上述の典型的な実施例のうち任意の実施例によって限定されるべきではないが、特許請求の範囲のクレーム及びその均等物にのみ従って規定されるべきである。