【実施例】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明のフリーゲート改札システムの模式図、
図2はその概略ブロック図、
図3はその処理動作例を示すフローチャートである。
【0017】
図1において、1はフリーゲート改札システム、2は駅コンコースの特定エリア、3は駅コンコースの特定エリア2の床に敷設される床ユニット、5は改札情報処理装置、6は改札情報センター、7はフリーゲート改札システム1が配置された領域を監視する監視用カメラ、8はICカード等の乗車媒体としての改札情報記憶媒体である。また、10Aは有効な改札情報記憶媒体8を携帯している利用者、10Bは無効な改札情報記憶媒体8を携帯している利用者、10Cは改札情報記憶媒体8を携帯していない利用者である。
【0018】
さらに、
図2に示すように、床ユニット3は、制御部3A、改札情報送受信部3B、人体検知部3C、および表示部3Dを備え、改札情報処理装置5は、制御部5A、判定処理部5B、および利用者追跡部5Cを備え、改札情報センター6は、制御部6Aおよび改札ログ記録部6Bを備え、改札情報記憶媒体8は、制御部8A、記憶部8B、および改札情報送受信部8Cを備えている。
【0019】
本発明のフリーゲート改札システム1が設置される駅コンコースの特定エリア2は、利用者が電車に乗るために必ず通行するエリアであれば駅コンコースのどのエリアであってもよい。利用者が駅コンコースの特定エリア2を通行すると、床ユニット3は、人体検知ユニットが利用者の有無を検知し、次に利用者が改札情報記憶媒体8を所持しているか否かを判定し、さらにその改札情報記憶媒体8に記憶されている情報を読み取って、その改札情報記憶媒体8が有効か無効かを判定する。判定結果は、床ユニット3の表示部3Dによって特定色の点灯や点滅などで表示され、また、改札情報処理装置5の利用者追跡部5Cが利用者の移動を追跡することにより、利用者の移動に伴って発光する床ユニット3も移動する。そのため、利用者自身だけではなく、駅員や周囲の他の利用者が容易に視認できることから、不正利用を防止する心理的効果も期待できる。
【0020】
なお、
図1および2では、床ユニット3が人体検知部3Cを含む構成を示しているが、人体検知部を床ユニット3に含まず、別途センサー等を設けるようにしてもよい。また、人体検知部3Cを改札情報送受信部3Bと一体化するようにしてもよい。さらに、改札情報処理装置5により、改札情報記憶媒体8が無効であると判定されると、その情報は改札情報センター6および改札情報記憶媒体8にログとして記録される。その回数の上限を予め設定しておき、特定の改札情報記憶媒体8の無効判定が上限回数を超えた場合に、通常の無効判定よりも強い警告(赤色光を点滅表示する、ブザーを鳴らすなど)を与えるようにしてもよい。
【0021】
次に、本発明のフリーゲート改札システムの処理動作例を、
図3のフローチャートを用いて説明する。
【0022】
(1)まず、利用者が駅コンコース内の特定エリア2に足を踏み入れると、床ユニット3の人体検知部3Cが人体を検知して、表示部3Dが白色光の点滅を表示する(ステップS1)。
【0023】
(2)次いで、床ユニット3の改札情報送受信部3Bと利用者が携帯している改札情報記憶媒体8の改札情報送受信部8Cとの間の通信を行う(ステップS2)。
【0024】
(3)ここで、
図1に示される利用者10Cのように、改札情報記憶媒体8を検知できなかった場合(ステップS3のNO)、表示部3Dは黄色光の点滅を表示して、改札情報記憶媒体8が検知できない旨を報知する(ステップS4)。
【0025】
(4)改札情報記憶媒体8を検知できた場合(ステップS3のYES)、改札情報送受信部3Bは改札情報記憶媒体8から改札情報を読み出し、制御部3Aを介して改札情報処理装置5に改札情報を送信する(ステップS5)。このとき、表示部3Dは依然として白色光の点滅を表示している。
【0026】
(5)改札情報処理装置5の判定処理部5Bが改札情報の有効性をチェックする(ステップS6)。
【0027】
(6)
図1に示される利用者10Aのように、改札情報が有効である場合(ステップS6のYES)、改札情報処理装置5はその判定結果を床ユニット3に送信し、床ユニット3は改札情報記憶媒体8に判定結果を伝送する(ステップS7)。改札情報記憶媒体8に判定結果が書き込まれると、表示部3Dは青又は緑色光の点灯を表示し、利用者10Aの改札情報記憶媒体8が有効であると確認されたことを報知する。また、改札情報記憶媒体8に表示部3Dが存在するときに、その表示部3Dに改札の結果を表示することができる。
【0028】
(7)
図1に示される利用者10Bのように、改札情報が無効である場合(ステップS6のNO)も、同様に、改札情報処理装置5から床ユニット3へ、床ユニット3から改札情報記憶媒体8へと判定結果を伝送する(ステップS8)。改札情報記憶媒体8に判定結果が書き込まれると、表示部3Dは赤色光の点灯を表示して、利用者10Bの改札情報記憶媒体8が無効であると確認されたことを報知する。なお、改札情報記憶媒体8に表示部3Dがあれば、無効の理由(乗車券の有効期限切れ等)を表示するようにしても良い。
【0029】
このように構成したので、例えば、有効な改札情報記憶媒体8を携帯している利用者10Aが、フリーゲート改札システム1が配置されたエリアを通行した場合、床ユニット3の表示部3Dによる表示は白色光の点滅から青又は緑色光の点灯へと変化し、改札情報記憶媒体8を携帯していない利用者10Cが通行した場合、表示は白色光の点滅から黄色光の点滅へと変化し、無効な改札情報記憶媒体8を携帯している利用者10Bが通行した場合、表示は白色光の点滅から赤色光の点灯へと変化する。なお、上記した表示色や点灯・点滅の選択は単なる一例であり、様々な組み合わせを適宜選択して設定することができる。また、利用者追跡部5Cによって利用者の移動を追尾するので、色の点灯や点滅を表示する床ユニット3は、常に利用者が接触している(利用者の足の下にある)床ユニット3である。
【0030】
また、無効な改札情報記憶媒体8が検知された場合、その情報を改札情報記憶媒体8および改札情報センター6の改札ログ記録部6Bに記録することにより、常習的な不正利用を検知することができるようにした。これにより、例えば任意に設定した回数を超える不正利用が確認された場合に、赤色光を点滅させたりブザーを鳴らしたりするよう設定することによって、より強力な警告を与えることができる。また、改札情報記憶媒体を持たない利用者が通過した時に監視カメラの画像を記録して、不正利用者の特定に利用してもよい。
【0031】
さらに、改札情報処理装置5によって改札情報記憶媒体8の改札情報を読み出した際に、その判定結果をメールなどによって利用者に通知するようにしてもよい。例えば、改札情報が有効であれば、改札情報記憶媒体8の利用可能残額を通知し、改札情報が無効であれば、無効の理由(残額不足など)を通知するようにしてもよい。
【0032】
このように、従来のように改札機を設置することなく、駅コンコースの特定エリア2の床に敷設される床ユニット3とこれに接続される改札情報処理装置5を配備するようにしたので、駅員は、床ユニット3の表示の視認と改札情報センター6および監視用カメラ7による監視のみによって、利用者の改札処理を実行することができ、利用者側は改札機を通過するのではなく、駅コンコースを通るだけで改札処理を実行することができる。
【0033】
また、例えば、駅のコンコースの特定エリアの通過の際、通過不可能であることを、改札情報記憶媒体8および改札情報センター6の改札ログ記録部6Bに記憶する。なお、6Aは改札情報センター6の制御部である。
【0034】
更に、本発明の変形例として、駅コンコースにこのような床ユニット3を導入した上で、さらに本発明のシステム1を駅のホームや電車内の床などに導入することで、検札エリアを構築することができる。
【0035】
さらに、指定券(自由席、特急券なども含む)などの情報を改札情報記録媒体8に記録し、電車の座席の足下に本発明のシステム1を導入することで、自動検札が可能になる。この場合、有効な乗車券(改札情報記録媒体)を携行している利用者が着席すると、青又は緑色光を表示したのちに消灯するようにし、無効な乗車券(改札情報記録媒体)を携行しているか、もしくは乗車券(改札情報記録媒体)を携行していない利用者が着席すると、赤色光を表示したまま点灯し続けるようにすることで、不正利用を抑止するようにしてもよい。
【0036】
このように、本発明によれば、駅コンコースの特定エリアを利用者が自由に歩くだけで改札処理を行うことができ、特に、利用者にとっての利便性が向上した、駅などにおける改札システムとして利用することができる。
【0037】
また、ホームの検札システムとして利用したり、列車内における検札システムとして利用するなど、発展的に利用することができる。
【0038】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。