(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シリンダは前記ボデーに設けられた収容溝内に配置されていると共に、前記リブが平面視で前記収容溝の開口縁部の内側に設けられた請求項1記載のウェビング巻取装置。
前記リブが設けられた部材には、前記ガスの圧力を受けて移動しようとする前記シリンダの押圧力を受ける受け面が形成され、かつこの受け面に対して窪むように設けられた凹部の内部に前記リブが配置された請求項1又は請求項2記載のウェビング巻取装置。
前記リブは前記シートと一体で形成されていると共に、前記サポートプレートが前記ボデーに取付けられることによって、前記リブの一部が変形する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のウェビング巻取装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜
図9を用いて、本発明の実施形態に係るウェビング巻取装置について説明する。
【0018】
図1及び
図2に示されるように、本発明の実施形態に係るウェビング巻取装置10は、フレーム12と、スプール20と、ウェビング22と、ロック部としてのロックギヤ24と、フォースリミッタ機構31を構成するメイントーションシャフト32と、トリガワイヤ40と、サブトーションシャフト44と、クラッチ機構52と、を備えている。また、
図5に示されるように、ウェビング巻取装置10は、切替機構120を備えている。以下、先ずフレーム12について説明し、次いでスプール20、ウェビング22、ロックギヤ24、メイントーションシャフト32、トリガワイヤ40、サブトーションシャフト44、クラッチ機構52及び切替機構120についてこの順で説明する。
【0019】
図1に示されるように、フレーム12は、平面視で略凹形状に形成されていると共に、車体に固定される板状の背板14を備えている。また、背板14の幅方向両端部からは脚片16,18が略直角に延出されている。なお、脚片18の外側には、周知のロック機構(図示省略)が取付けられている。
【0020】
スプール20は、軸方向に貫通する貫通孔21を有する円筒状に形成されており、フレーム12の脚片16と脚片18との間に配置されている。スプール20は、軸線方向が脚片16と脚片18との対向方向に沿う状態で配置されており、後述するメイントーションシャフト32、サブトーションシャフト44等を介してフレーム12に回転可能に支持されている。
【0021】
ウェビング22は、乗員の身体に装着されるものであり、その長手方向一端部である基端部がスプール20に係止されている。スプール20は、一方の回転方向である巻取方向(
図1等の矢印Aの方向)へ回転することでウェビング22を基端側から巻取って収納する構成となっている。
【0022】
ロックギヤ24は、スプール20の軸方向一方側にスプール20と同軸上に配置されている。このロックギヤ24の外周部にはギヤ部26が形成されている。また、このロックギヤ24の軸心部には、軸方向に貫通する貫通孔28が形成されており、当該貫通孔28の内周部には、スプライン状の被係合部30が形成されている。
【0023】
ロックギヤ24は、車両の急減速時及びスプール20が急激に引出方向へ回転した際に、ロック部材(図示省略)と係合する。その結果、ロックギヤ24の引出方向(
図1等の矢印Bの方向)への回転が規制(ロック)され、スプール20の引出方向への回転が規制される。
【0024】
メイントーションシャフト32は、スプール20及びロックギヤ24と同軸上に配置されていると共に、スプール20の貫通孔21及びロックギヤ24の貫通孔28にそれぞれ挿入されている。このメイントーションシャフト32には、その長手方向中央部にスプライン状の第一係合部34が形成されると共に、その先端部に同じくスプライン状の第二係合部36が形成されている。そして、この第一係合部34がロックギヤ24の被係合部30と係合されることにより、メイントーションシャフト32は、ロックギヤ24に一体回転可能に固定されている。また、第二係合部36が、スプール20の内周部における軸線方向中間部に形成された図示しない被係合部と係合されることにより、メイントーションシャフト32がスプール20に一体回転可能に固定されている。このメイントーションシャフト32における第一係合部34と第二係合部36との間の部分は、後述する如くウェビング22の引張りに供される乗員の運動エネルギを吸収するための第一エネルギ吸収部38として構成されている。
【0025】
トリガワイヤ40の基端部40Aは、ロックギヤ24における貫通孔28よりも径方向外側の位置に形成された孔部29に挿入されて、ロックギヤ24に係止されている。一方、トリガワイヤ40における基端部40Aよりも先端側は、貫通孔21と並行してスプール20に形成された孔部42に挿入されており、その先端部40Bは、スプール20から軸方向他方側に突出されている。
【0026】
サブトーションシャフト44は、メイントーションシャフト32と同軸上に配置されており、その長手方向中央部よりも基端側は、スプール20の貫通孔21に挿入されている。一方、このサブトーションシャフト44の長手方向中央部よりも先端側は、スプール20から軸方向他方側に突出されている。このサブトーションシャフト44には、その基端部に少なくとも一部がスプライン状の第一係合部46が形成されると共に、その先端部には、同じくスプライン状の第二係合部48が形成されている。また、第一係合部46は、スプール20の内周部における軸線方向中間部に形成された図示しない被係合部と係合されており、これにより、サブトーションシャフト44は、スプール20に一体回転可能に固定されている。さらに、このサブトーションシャフト44における第一係合部46と第二係合部48との間の部分は、後述する如くウェビング22の引張りに供される乗員の運動エネルギを吸収するための第二エネルギ吸収部50として構成されている。
【0027】
図1及び
図2に示されるように、クラッチ機構52は、スリーブ54と、クラッチガイド64と、クラッチベース82と、クラッチカバー88と、一対のクラッチプレート100と、スクリュー108と、一対のコイルスプリング98とを備えている。なお、
図4(A)には、このクラッチ機構52の作動途中の状態が示されており、
図4(B)には、このクラッチ機構52の作動が完了した状態が示されている。
【0028】
スリーブ54は、サブトーションシャフト44と同軸上に配置されている。このスリーブ54の軸心部には、軸方向に貫通する貫通孔56が形成されており、この貫通孔56には、上述のサブトーションシャフト44が遊挿されている。また、このスリーブ54の内周部における先端側には、スプライン状の被係合部58が形成されており、この被係合部58にサブトーションシャフト44の第二係合部48が係合されることにより、スリーブ54は、サブトーションシャフト44に一体回転可能に固定されている。また、このスリーブ54における基端側は、円形状の外形を有する支持部60として構成されており、このスリーブ54における支持部60よりも先端側は、六角形状の外形を有する嵌合部62として構成されている。
【0029】
クラッチガイド64は、樹脂製とされており、軸方向に貫通する貫通孔66を有する環状に形成されている。この貫通孔66には、上述の支持部60が挿入されており、これにより、クラッチガイド64は、スリーブ54に相対回転可能に支持されている。このクラッチガイド64における周方向の二箇所の位置には、
図3に示されるように、コイルスプリング98を収容する一対のコイルスプリング収容部68が形成されている。これらのコイルスプリング収容部68は、クラッチガイド64の中央部を中心とする点対称状に形成されており、それぞれ、クラッチガイド64の周方向に延びる外側壁部70及び内側壁部72と、クラッチガイド64の径方向に延びて外側壁部70と内側壁部72の各端部を連結する連結壁部74とを有する略U字形状に形成されている。また、このクラッチガイド64には、クラッチプレート100を収容する一対のクラッチプレート収容部76が各コイルスプリング収容部68に隣接して形成されている。これらのクラッチプレート収容部76には、連結壁部74から内側壁部72と反対側に向けて延びる第一支持壁部78と、連結壁部74に対する外側壁部70とは反対側に連結壁部74と離間して第二支持壁部80と、が形成されている。
【0030】
図1及び
図2に示されるように、クラッチベース82は、六角形状を成す環状の被嵌合部84を有して構成されている。この被嵌合部84の内側には、スリーブ54の嵌合部62が嵌合(圧入)されており、これにより、クラッチベース82は、スリーブ54に一体回転可能に固定されている。なお、他の実施形態では、スリーブ54とクラッチベース82を一体に形成してもよい。また、このクラッチベース82には、被嵌合部84から外側に突出する一対の係止部86が形成されている。これらの係止部86は、後述するクラッチプレート100に形成されたアーム部102の基端部と係止されている。
【0031】
クラッチカバー88は、スリーブ54と同軸上に配置されると共に、クラッチガイド64に対してスプール20とは反対側に配置され、かつクラッチガイド64と対向して配置されている。このクラッチカバー88は、軸方向に貫通する貫通孔90を有する環状に形成されており、その内周部には、径方向内側に突出する嵌合爪92が複数形成されている。そして、貫通孔90にスリーブ54の嵌合部62が挿入されると共に、複数の嵌合爪92が嵌合部62と嵌合されることにより、クラッチカバー88は、スリーブ54、ひいては、サブトーションシャフト44に一体回転可能に固定されている。また、このクラッチカバー88は、後述する十字爪96がクラッチガイド64に対して周方向に係合するようになっており、クラッチガイド64は、このクラッチカバー88に対して、
図4(B)に示される作動位置と、
図3に示される非作動位置との間で相対回転可能とされている。また、このクラッチカバー88における周方向の二箇所の位置には、径方向外側に開口する軸方向視にて凹形状を成す切欠部94がそれぞれ形成されている。また、このクラッチカバー88には、各切欠部94の内側に位置されるように一対の十字爪96が形成されている。これら一対の十字爪96は、クラッチカバー88の中央部を中心とする点対称状に形成されている。また、これらの十字爪96は、クラッチカバー88の径方向から見てクランク状に屈曲しており、先端側が基端側よりもクラッチガイド64側へ突出している。
【0032】
各十字爪96の先端側には、クラッチガイド64の径方向内側へ突出した内側突出部と、クラッチガイド64の径方向外側へ突出した外側突出部と、クラッチガイド64の周方向一方(巻取方向)へ突出した周方向突出部とが設けられており、各十字爪96の先端側は、クラッチガイド64の軸方向から見て十字状に形成されている。
【0033】
クラッチプレート100は、クラッチカバー88とクラッチガイド64との間に配置されている。このクラッチプレート100は、アーム部102と、このアーム部102の先端部に形成された円弧部104とを有している。アーム部102の基端部には、クラッチカバー88側に突出すると共にサブトーションシャフト44の軸方向に沿って延びる回動軸106が形成されている。そして、この回動軸106がクラッチカバー88に形成された孔部89に挿入されることにより、クラッチプレート100は、クラッチカバー88に回動可能に支持されている。また、円弧部104の外周部(クラッチプレート100の先端部)には、平歯状のローレット歯104Aが形成されている。
【0034】
スクリュー108は、ネジ部110と、このネジ部110よりも大径の押え部112とを有して構成されている。ネジ部110は、サブトーションシャフト44の先端部に形成されたネジ孔45に螺合されており、これにより、スクリュー108は、サブトーションシャフト44の先端部に固定されている。また、このように、スクリュー108がサブトーションシャフト44の先端部に固定された状態では、スリーブ54の先端部に押え部112が当接される。そして、これにより、スリーブ54のサブトーションシャフト44に対する抜き方向への移動が制限されている。なお、この状態では、クラッチガイド64は、クラッチカバー88とスプール20とによって軸方向の移動を制限されている。
【0035】
また、上述のクラッチガイド64及びクラッチカバー88には、孔部65,91がそれぞれ形成されている。これらの孔部65,91は、クラッチガイド64がクラッチカバー88に対して非作動位置に配置された状態で互いに対向するように形成されており、これらの孔部65,91には、トリガワイヤ40の先端部40Bがそれぞれ挿入されている。これにより、クラッチガイド64は、非作動位置に配置された状態でスプール20及びクラッチカバー88に対する相対回転を制限されている(クラッチガイド64が非作動位置に拘束されている)。
【0036】
またさらに、上述の如くクラッチガイド64が非作動位置に拘束された状態では、クラッチガイド64の各コイルスプリング収容部68における開口部付近に、クラッチカバー88の各十字爪96が位置される。そして、各十字爪96の周方向突出部は、各コイルスプリング収容部68に収容されたコイルスプリング98の軸方向一端部から当該コイルスプリング98の内側に挿入されており、各十字爪96の内側突出部及び外側突出部は、コイルスプリング98の軸方向一端部に当接している。これにより、コイルスプリング98の軸方向一端部が各十字爪96に係止されている。また、このコイルスプリング98の軸方向他端部は、コイルスプリング収容部68の連結壁部74(
図3参照)に係止されている。
【0037】
また、この状態では、十字爪96と連結壁部74との間隔がコイルスプリング98の自由状態での全長よりも短くなり、これにより、コイルスプリング98が圧縮状態とされる。そして、これにより、クラッチガイド64に対しては巻取方向の付勢力が付与されており、クラッチガイド64は作動位置へと付勢されている。
【0038】
一方、この状態では、クラッチカバー88の孔部89(クラッチプレート100の回動軸106)と連結壁部74との間隔が十分に確保された状態となり、クラッチプレート100は、ローレット歯104Aがクラッチガイド64の外周部よりも内側に納まるように、クラッチプレート収容部76に収容される。また、この状態では、円弧部104の先端に連結壁部74が当接されている。
【0039】
次に、本実施形態の要部である切替機構120について説明する。
【0040】
図5に示されるように、切替機構120は、箱状に形成されたボデー122と、このボデー122に取付けられたガスジェネレータ194と、このガスジェネレータ194によって発生したガスの圧力を受けて作動するピストン160及びこのピストン160を内部に収容するシリンダ204と、を備えている。また、切替機構120は、ピストン160に押圧されることによって配置の切り替えがなされるパウル150と、このパウル150によって回転が規制され又はこの規制が解除されるロックリング190と、を備えている。さらに、切替機構120は、ボデー122に収容されたピストン160、シリンダ204、パウル150及びロックリング190を覆うように設けられたシート212と、このシート212の外側からボデー122に取付けられるサポートプレート206と、を備えている。
【0041】
ボデー122は、ダイキャスト成形により形成されていると共に、フレーム12の脚片16側(
図1参照)へ開口するように形成されている。具体的には、ボデー122は、後述するパウル150、ピストン160、シリンダ204及びガスジェネレータ194を収容するケース部124と、ロックリング190が収容されるロックリング収容部125と、を備えている。
【0042】
ケース部124には、ピストン160及びシリンダ204が収容されると共に矢印C方向及び矢印D方向へ延在された収容溝130がフレーム12の脚片16側(
図1参照)へ開口するように形成されている。さらに、ケース部124には、パウル150が収容されると共に、上記の収容溝130と接続された凹部132がフレーム12の脚片16側(
図1参照)へ開口するように形成されている。また、ケース部124には、ガスジェネレータ194が取付けられる取付部134が形成されている。さらに、ケース部124には、スプール20(
図1参照)の軸方向と同一方向を軸方向とする筒状の連通路136が形成されている。この連通路136は、収容溝130と取付部134とを連通している。その結果、ガスジェネレータ194から発生したガスが収容溝130側へ流入することが可能となっている。
【0043】
ロックリング収容部125には、ロックリング190が収容される凹部138がフレーム12の脚片16側(
図1参照)へ開口するように形成されている。また、この凹部138には、スプール20(
図1参照)の軸と同心となる円形の開口140が形成されている。なお、この開口140の縁部には、ブッシュ141が取付けられている。
【0044】
以上説明したボデー122は、脚片16外側(
図1参照)に固定されている。
【0045】
ガスジェネレータ194は、略円柱状に形成されていると共に、一端部はガスが噴出するガス噴出部194Aとされていると共に、他端部は配線が接続される接続端子部194Bとされている。このガスジェネレータ194は、ガス噴出部194A側からボデー122の取付部134に挿入されると共に、固定部材195を用いてボデー122に固定されている。
【0046】
ピストン160は、樹脂材料を用いて一体で形成されている。具体的には、ピストン160の基端側は、楕円柱状に形成されていると共に後述するシリンダ204のシリンダ部204Cに嵌入されるピストン部160Aとされている。また、このピストン部160Aには、Oリング取付溝160Bが形成されていると共に、Oリング208がOリング取付溝160Bに取付けられている。このOリング208によって、ガスジェネレータ194から発生したガスがピストン部160Aとシリンダ204のシリンダ部204Cとの間から漏れ出すことが防止されている。また、ピストン160の先端側は、後述するパウル150のアーム部154を押圧する押圧部160Cとされている。
【0047】
シリンダ204は、上記のピストンと同様に樹脂材料を用いて一体で形成されている。具体的には、シリンダ204は、ボデー122のケース部124に形成された連通路136に挿入される筒状の挿入部204Aを備えている。この挿入部204Aには、Oリング取付溝204Bが形成されていると共に、Oリング210がOリング取付溝204Bに取付けられている。このOリング210によって、ガスジェネレータ194から発生したガスがシリンダ204の挿入部と連通路136との間から漏れ出すことが防止されている。また、シリンダ204は、挿入部204Aの端部から矢印C方向へ屈曲するように形成されたシリンダ部204Cを備えている。このシリンダ部204Cの外郭は略角柱状に形成されていると共に、楕円筒状に形成された貫通孔が設けられている。上述したピストン160のピストン部160Aがシリンダ部204Cの貫通孔に嵌入されている。その結果、ピストン160がガスジェネレータ194から発生したガスの圧力によって矢印C方向へ直線移動することが可能となっている。
【0048】
パウル150は、略板状に形成されていると共に、断面略円形状の軸部152と、この軸部152の径方向外側へ延出するように形成されたアーム部154及び係合部156と、を備えている。また、軸部152は、ボデー122のケース部124に形成された凹部132に回動自在に支持されている。さらに、
図6に示されるように、係合部156が後述するロックリング190の切欠部192に係合した状態(この状態のパウル150の位置を第1位置としての「ロック位置」という)において、アーム部154はピストン160の押圧部160Cと近接するように配置されている。
【0049】
図5に示されるように、ロックリング190は、略円環板状に形成されていると共に、ボデー122のロックリング収容部125形成された凹部138に回転自在に支持されている。また、ロックリング190は、クラッチ機構52(
図1参照)の外周側において、クラッチ機構52と同軸上に配置されている。また、ロックリング190の内周部には、平歯状のローレット歯190Aが形成されている。さらに、ロックリング190の外周部には、断面略三角形状の切欠部192が形成されており、この切欠部192はロックリング190の径方向外側へ開口されている。
【0050】
図6及び
図7に示されるように、シート212は、樹脂材料を用いて略板状に形成されている。具体的には、シート212は、ボデー122におけるケース部124に形成された収容溝130及び凹部132を覆う第1カバー部214と、リングロック収容部125に形成された凹部138を覆う第2カバー部216と、を備えている。
【0051】
第1カバー部214は、ボデー122におけるケース部124に沿って延びる一般部218を備えている。さらに、この一般部218には、ケース部124に形成されたボス127に嵌合されることによって、ボデー122に対するシート212の位置決めがなされる開口220が形成されている。さらに、
図6に示されるように、シリンダ204がケース部124の収容溝130に収容された状態において、第1カバー部214の一般部218におけるシリンダ204と対向する部位には、このシリンダ204と離間する方向へ突出するように形成された突出部222が形成されている。この突出部222は、平面視(矢印E方向から見て)で略矩形状に形成されていると共に、この突出部222の頂面は一定条件下において後述するサポートプレート206の基壁部206Aに当接する受け面222Aとされている。また、この突出部222には、ピストン160のピストン部160Aに沿って、かつこのピストン160の方向へ向けて窪むように形成された凹部224を備えている(本実施形態では、この凹部224が7箇所に設けられている)。さらに、この凹部224の内部には、リブとしての潰しリブ226が設けられている。この潰しリブ226は、略円錐状に形成されていると共に、この凹部224の開口方向へ突出するように形成されている。また、この潰しリブ226の受け面222Aからの突出量は、後述するサポートプレート206が取付けられた状態において、潰しリブ226の先端部が潰される程度の突出量に設定されている。さらに、各凹部224内に設けられた潰しリブ226は、平面視(矢印E方向から見て)で収容溝130の開口縁部130Aの内側に設けられている。
【0052】
また、第2カバー部216には、ボデー122のロックリング収容部125に形成された開口140と同軸となるように設けられた開口228が形成されている。さらに、第2カバー部216には、ケース部124に形成されたボス128に嵌合されることによって、ボデー122に対するシート212の位置決めがなされる開口230が形成されている。
【0053】
サポートプレート206は、薄板鋼板をプレス加工することにより形成されたプレス成形品である。具体的には、サポートプレート206は、シート212の第1カバー部214に沿って延在する基壁部206Aと、ボデー122への取付部206B及び取付開口206Cと、を備えている。
図8に示されるように、サポートプレート206は、このサポートプレート206の基壁部206Aがシート212の第1カバー部214を覆うように配置されると共に、ボルト232(
図5参照)を介してボデー122に固定されている。その結果、
図9に示されるように、シート212に設けられた潰しリブ226の先端がサポートプレート206の基壁部206Aに当接し、さらにこの潰しリブ226の先端部がサポートプレート206の基壁部206Aによって潰される。換言すると、この潰しリブ226がシート212の一般部218を介してシリンダ204をボデー122側へ押圧することによって、シリンダ204の挿入部204Aがボデー122のケース部124に形成された連通路136から抜け出す方向へ移動することが防止されている。
【0054】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0055】
本実施形態に係るウェビング巻取装置10では、スプール20、ロックギヤ24、メイントーションシャフト32、サブトーションシャフト44、及びクラッチ機構52(スリーブ54、クラッチベース82、クラッチプレート100及びスクリュー108を含む)が一体に巻取方向及び引出方向へ回転可能に構成されている。そのため、ウェビング22がスプール20から引出されることで、ウェビング22が車両の乗員の身体に装着される。また、ウェビング22が車両の乗員の身体に装着された状態で、例えば、車両が急減速状態になり、ロック機構が作動すると、ロックギヤ24の引出方向への回転が阻止される。その結果、このロックギヤ24にメイントーションシャフト32を介して連結されたスプール20の引出方向への回転が制限されて、スプール20からのウェビング22の引出しが制限される。したがって、車両前方へ移動しようとする乗員の身体がウェビング22によって拘束される。
【0056】
また、ロックギヤ24の引出方向への回転が阻止された状態で、更に大きな力で乗員の身体がウェビング22を引張り、この引張力に基づく引出方向へのスプール20の回転力がメイントーションシャフト32の第一エネルギ吸収部38の耐捩れ荷重(耐変形荷重)を上回ると、フォースリミッタ機構31が作動されて、第一エネルギ吸収部38の捩れ(変形)により、スプール20のフォースリミッタ荷重(第一エネルギ吸収部38の耐捩れ荷重)以上での引出方向への回転が許容される。
【0057】
したがって、第一エネルギ吸収部38の捩れによりスプール20が引出方向へ回転されてスプール20からウェビング22が引出されることで、ウェビング22による乗員の胸部への負荷(負担)が軽減される。また第一エネルギ吸収部38の捩れ分だけウェビング22の引張りに供される乗員の運動エネルギが吸収される。
【0058】
一方、上述のように、ロックギヤ24に対してスプール20が引出方向に回転されるということは、ロックギヤ24がスプール20に対して相対的に巻取方向へ回転されると言うことである。したがって、ロックギヤ24がスプール20に対して巻取方向へ相対回転されると、トリガワイヤ40における基端部40Aよりも先端側がスプール20の孔部42に挿入されたまま、このトリガワイヤ40の基端部40Aがメイントーションシャフト32の周方向に移動されるので、このトリガワイヤ40における基端部40Aよりも先端側が孔部42に対してロックギヤ24側に引張られる。
【0059】
これにより、トリガワイヤ40の先端部40Bがクラッチガイド64の孔部65とクラッチカバー88の孔部91から引抜かれて、スプール20及びクラッチカバー88に対するクラッチガイド64の相対回転の阻止状態が解消される。
【0060】
そして、コイルスプリング98の付勢力により、クラッチガイド64が非作動位置から作動位置へと回転されると、クラッチカバー88の孔部89(クラッチプレート100の回動軸106)とクラッチガイド64の連結壁部74との間隔が短くなり、クラッチプレート100の円弧部104の先端が連結壁部74によってクラッチガイド64の接線方向に押圧(案内)される。これにより、クラッチプレート100がロックリング190側へ回動され(
図4(A)の矢印R参照)、クラッチプレート100のローレット歯104Aがロックリング190のローレット歯190Aと噛合う(
図4(B)図示状態)。これにより、クラッチプレート100とロックリング190とが結合される。また、このときには、クラッチベース82に形成された係止部86がクラッチプレート100のアーム部102の基端部を引出方向へ押すことにより、クラッチプレート100がロックリング190に押し付けられ、両者の結合状態が維持される。これにより、クラッチ機構52(スリーブ54、クラッチベース82及びクラッチプレート100)の引出方向への回転と一体に、ロックリング190が引出方向へ回転しようとする。
【0061】
また、図示しない制御装置は、体格検出手段からの信号に基づいて、乗員の体格が予め定められた基準値以上であるか否かを判定すると共に、衝突検出手段からの信号に基づいて、車両が衝突したか否かを判定している。そして、制御装置が、乗員の体格が予め定められた基準値以上であると判定した場合では、ガスジェネレータ194が作動されないため、パウル150の係合部156が、ロック位置に配置されて、ロックリング190のロック孔192に係合している。このため、ロックリング190の引出方向への回転がロック(阻止)されることで、クラッチ機構52(スリーブ54、クラッチベース82及びクラッチプレート100)の引出方向への回転が阻止される。
【0062】
そして、スリーブ54の引出方向への回転が阻止された状態で、更に大きな力で乗員の身体がウェビング22を引張り、この引張力に基づく引出方向へのスプール20の回転力がメイントーションシャフト32の第一エネルギ吸収部38の耐捩れ荷重(耐変形荷重)とサブトーションシャフト44の第二エネルギ吸収部50の耐捩れ荷重(耐変形荷重)との合計を上回ると、第一エネルギ吸収部38及び第二エネルギ吸収部50の捩れ(変形)により、スプール20のフォースリミッタ荷重(第一エネルギ吸収部38の耐捩れ荷重と第二エネルギ吸収部50の耐捩れ荷重との合計)以上での引出方向への回転が許容される。
【0063】
したがって、第一エネルギ吸収部38及び第二エネルギ吸収部50の捩れによりスプール20が引出方向へ回転されてスプール20からウェビング22が引出されることで、ウェビング22による乗員の胸部への負荷(負担)が軽減されると共に、第一エネルギ吸収部38及び第二エネルギ吸収部50の捩れ分だけウェビング22の引張りに供される乗員の運動エネルギが吸収される。
【0064】
一方、制御装置が、体格検出手段からの信号に基づいて、乗員の体格が予め定められた基準値未満であると判定すると共に、衝突検出手段の信号に基づいて、車両が衝突したと判定した場合には、制御装置の制御によりガスジェネレータ194が作動される。
【0065】
ガスジェネレータ194が作動されると、ガスジェネレータ194のガス噴出部194Aから噴出したガスが、ボデー122のケース部124に形成された連通路136を通じてシリンダ204内に流入すると共に、このシリンダ204の内部の圧力が上昇する。その結果、シリンダ204のシリンダ部204Cに嵌入されたピストン160が矢印C方向へ移動する。このピストン160が矢印C方向へ移動することによって、ピストン160の押圧部160Cがパウル150のアーム部154を押圧する。その結果、パウル150が軸部152を軸中心として回転すると共に、パウル150の係合部156とロックリング190の切欠部192との係合が外れる(この状態のパウル150の位置を第2位置としての「解除位置」という)。
【0066】
その結果、ロックリング190の引出方向への回転が許容されることで、クラッチ機構52(スリーブ54、クラッチベース82及びクラッチプレート100)及びスプール20と共にロックリング190が引出方向へ回転可能にされる。このため、第二エネルギ吸収部50に捩れは生じないため、第一エネルギ吸収部38の捩れ(変形)により、スプール20のフォースリミッタ荷重(第一エネルギ吸収部38の耐捩れ荷重)以上での引出方向への回転が許容される。
【0067】
すなわち、乗員の体格が予め定められた基準値以上である場合では、フォースリミッタ荷重が第一エネルギ吸収部38の耐捩れ荷重と第二エネルギ吸収部50の耐捩れ荷重との合計にされて、フォースリミッタ荷重の荷重値が高荷重にされる。一方、乗員の体格が予め定められた基準値未満であり、車両の衝突が検出された場合には、フォースリミッタ荷重が第一エネルギ吸収部38の耐捩れ荷重にされて、フォースリミッタ荷重の荷重値が低荷重にされる。このため、乗員を体格に応じて適切に保護することができる。
【0068】
ここで、本実施形態では、ガスジェネレータ194から発生したガスが、ボデー122に設けられた連通路136を通じてシリンダ204の内部に流入すると、シリンダ204の内部の圧力が上昇する。その結果、このガスの圧力によって、シリンダ204がボデー122から離れる方向(
図9における矢印F方向)へ移動しようとする。しかしながら、本実施形態では、サポートプレート206がボデー122に取付けられると、潰しリブ226がシート212の一般部218を介してシリンダ204をボデー122側に向けて押圧する。その結果、本実施形態では、ボデー122に設けられた連通路136とシリンダ204の挿入部204Aとの接続が外れることが防止されている。
【0069】
また、本実施形態では、サポートプレート206がボデー122に取付けられると、潰しリブ226によってシート212の一般部218が押圧されると共に、シート212の一般部218が収容溝130の開口縁部130Aに密着する。その結果、例えば、ガスジェネレータ194から発生したガスがボデー122に設けられた連通路136とシリンダ204の挿入部204Aとの間から漏れ出したとしても、この漏れ出したガスがシート212の一般部218と収容溝130の開口縁部130Aとの間から流出することが防止される。
【0070】
さらに、本実施形態では、ガスジェネレータ194から発生したガスがシリンダ204の内部に流入することによって、シリンダ204がボデー122から離れる方向(
図9における矢印F方向)へ移動しようとすると、シリンダ204のシリンダ部204Cがシート212の一般部218を押圧すると共に、潰しリブ226がシート212の一般部218とサポートプレート206の基壁部206Aとの間に挟まれる。この場合、仮に、潰しリブ226における受け面222Aから突出している部分が潰れたとしても、シート212の受け面222Aがサポートプレート206の基壁部206Aに当接する。換言すると、シリンダ204がシート212の一般部218を押圧する押圧力を受け面222Aによって支持することができる。
【0071】
また、本実施形態では、潰しリブ226がシート212と一体で形成されている。そのため、別部材の潰しリブを設けた場合と比べて、部品点数が削減され、ひいてはウェビング巻取装置の組み立て工数の削減を図ることができる。さらに、本実施形態では、サポートプレート206がボデー122に取付けられることによって、潰しリブ226の先端部が変形する。そのため、この潰しリブ226の先端部が弾性復帰しようとする弾性力によって、ガスの圧力を受けて移動しようとするシリンダ204の押圧力を支持することが可能となる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態では、ガスジェネレータ194の作動により発生したガスのシール性を向上させることができる。
【0073】
なお、本実施形態では、潰しリブ226がシート212と一体で形成されている例について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、シートとサポートプレートとの間にリブが形成された別部材を設けることによっても、本願発明と同様の効果を得ることができる。
【0074】
また、本実施形態では、潰しリブ226が平面視(矢印E方向から見て)で収容溝130の開口縁部130Aの内側に設けられた例について説明していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記の本願発明の効果が得られる範囲内において、潰しリブ226を開口縁部130Aの外側に設けた構成としてもよい。
【0075】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。