特許第5763009号(P5763009)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763009
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】ガスケット
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/10 20060101AFI20150723BHJP
【FI】
   F16J15/10 A
   F16J15/10 G
   F16J15/10 H
【請求項の数】11
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2012-106644(P2012-106644)
(22)【出願日】2012年5月8日
(62)【分割の表示】特願2010-283685(P2010-283685)の分割
【原出願日】2010年12月20日
(65)【公開番号】特開2012-184849(P2012-184849A)
(43)【公開日】2012年9月27日
【審査請求日】2012年11月27日
(31)【優先権主張番号】特願2009-296957(P2009-296957)
(32)【優先日】2009年12月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100122688
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100117743
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 美由紀
(72)【発明者】
【氏名】甲谷 龍一
(72)【発明者】
【氏名】椿 裕行
【審査官】 塚原 一久
(56)【参考文献】
【文献】 特表平05−505666(JP,A)
【文献】 特開平08−193187(JP,A)
【文献】 特開2010−132820(JP,A)
【文献】 特開2003−073641(JP,A)
【文献】 特開2002−356574(JP,A)
【文献】 特開2004−067765(JP,A)
【文献】 特開平09−176591(JP,A)
【文献】 特開平11−020092(JP,A)
【文献】 特開平11−026656(JP,A)
【文献】 特表平10−501009(JP,A)
【文献】 特開2004−059851(JP,A)
【文献】 特開2003−171651(JP,A)
【文献】 特開平08−060108(JP,A)
【文献】 特開平11−323069(JP,A)
【文献】 特開平01−198675(JP,A)
【文献】 特開2008−274243(JP,A)
【文献】 特開2002−228344(JP,A)
【文献】 特開2001−139741(JP,A)
【文献】 特開2004−359817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00−15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感圧性粘着剤にノンハロゲン系難燃剤を配合せしめた粘着剤組成物によって形成された、厚みが300μm以上のノンハロゲン系難燃剤含有感圧性粘着シートを主体とするガスケットであって、少なくとも片面が前記ノンハロゲン系難燃剤含有感圧性粘着シートの粘着面からなることを特徴とする、ガスケット。
【請求項2】
ノンハロゲン系難燃剤がリン系難燃剤である、請求項1記載のガスケット。
【請求項3】
ノンハロゲン系難燃剤含有感圧性粘着シートが粘着付与樹脂を含有する、請求項1または2記載のガスケット。
【請求項4】
粘着付与樹脂がテルペン系粘着付与樹脂又はロジン系粘着付与樹脂である、請求項3記載のガスケット。
【請求項5】
粘着付与樹脂がロジンエステル類である、請求項4記載のガスケット。
【請求項6】
粘着付与樹脂がテルペンフェノール樹脂である、請求項4記載のガスケット。
【請求項7】
粘着付与樹脂がテルペンフェノール樹脂及びロジンエステル類である、請求項3記載のガスケット。
【請求項8】
当該ガスケットの両面がノンハロゲン系難燃剤含有感圧性粘着シートの粘着面からなる、請求項1〜7のいずれか1項記載のガスケット。
【請求項9】
ノンハロゲン系難燃剤含有感圧性粘着シートの一方の片面に基材フィルムが積層され、当該ガスケットの一方の片面が、基材フィルムの表面からなり、当該ガスケットの他方の片面が、ノンハロゲン系難燃剤含有感圧性粘着シートの粘着面からなる、請求項1〜7のいずれか1項記載のガスケット。
【請求項10】
基材フィルムがフッ素樹脂シートである、請求項9記載のガスケット。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のガスケットを2つの面の合わせ面の間に介在させることを特徴とする、2つの面の合わせ面の間の密封方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃焼時に有毒なハロゲン系ガスを発生することがない難燃性ガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、種々の機械や機器又はその他の構造物中の2つの面の合わせ面の間での液体やガスの移動を防止するために、該2つの面の合せ面の間にガスケットを介在させることが行われている。
【0003】
例えば、航空機の機体壁部(外板)の外面上には、航空機と遠隔地との通信を補助するためのアンテナが設けられるが、そのようなアンテナの多くは、片面に電気コネクターを突設させた平板状の取付け板を有し、該取付け板のコネクターが突設した片面を航空機の外板の外面に重ね、航空機の外板に穿設した孔からコネクターを航空機内部に挿入し、航空機内部の適切な電気回路に接続している。このとき、アンテナの取付け板は、通常、航空機の外板に対して着脱可能にボルト部品によって取付けられ、航空機の外板の外面とアンテナの取付け板の内面との合せ面の間にガスケットを介在させて、該アンテナの取付け部を密閉している。
【0004】
すなわち、アンテナの取付け板及び航空機の外板の対応する位置にボルト止め用の貫孔を形成し、アンテナの取付け板と航空機の外板の間にこれらの貫孔の形成位置と対応する位置に貫孔を形成したガスケットを介在させ、アンテナの取付け板の外側から、アンテナの取付け板、ガスケット及び航空機の外板の貫孔にボルトを挿入し、航空機の外板の内面にブラインド・ナットを取付けることで、アンテナが固設されるが、その際、ボルト締めによる取付け板の変形によってガスケットが圧縮して、ボルトとボルト孔の隙間及び航空機の外板と取付け板の間を密閉し、湿気が航空機内に浸入するのが防止される。
【0005】
このような航空機の外板上のアンテナ取付け部の密閉に使用するガスケットとして、例えば、特許文献1には、キャリアシート(基材フィルム)の表裏両面に柔軟なポリウレタンゲル層を設けたガスケットが提案されている。該公報には、ポリウレタンゲル層を設けたガスケットは、ポリウレタンゲルが可撓性、弾力性、圧縮性および柔軟性等に優れる他、航空機の外板やアンテナ取付け板の構成材料(具体的にはアルミニウム等)や、水(塩水を含む)に対して非反応性であることから、優れたシール性能が持続すると記載されている。
【0006】
一方、上記のような航空機の外板上への機能物品の取り付け部における合せ面だけでなく、航空機の内部においても、2つの部材がそれらの主面同士を対向させて(すなわち、2つの面の合わせ面を形成して)固定される構造部が少なくない。
【0007】
ところで、一般に航空機用部材には高い難燃性が要求されるため、ガスケットにも高い難燃性が必要であり、ガスケットには高い難燃性を示すハロゲン系難燃剤が配合されている。しかし、ハロゲン系難燃剤が配合されたガスケットは高い難燃性を示すが、成形加工時や燃焼時に有毒なハロゲン系ガスを多量に発生して、機器が腐食したり、人体や環境に悪影響を及ぼすおそれがある。このため、燃焼時に有毒なハロゲン系ガスを発生しない、高い難燃性を示すガスケットが求められている。また、ガスケットを密着させる被着体の多くは金属板であり、ガスケットには金属板を変色させたり、腐食させない性質が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0070156号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑み成されたものであり、その解決しようとする課題は、燃焼時に有毒なハロゲン系ガスを発生することがない、高い難燃性を有するガスケットを提供することである。
また、燃焼時に有毒なハロゲン系ガスを発生することがなく、しかも、被着体である金属部材に腐食や変色を生じさせない、高い難燃性を有するガスケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ノンハロゲン系難燃剤(特にリン系難燃剤)をポリオキシアルキレン系、アクリル系、シリコーン系等の粘着剤に配合せしめて得られる粘着シートが、充分に高い難燃性を示すガスケットになり得ることを知見し、かかる知見に基づいてさらに研究を進めることにより、本発明を完成するに到った。
【0011】
すなわち、本発明は、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートを主体とし、少なくとも片面が前記ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートの主面(粘着面)からなることを特徴とする、ガスケットに関する。
【0012】
また、本発明のガスケットにおいて、ノンハロゲン系難燃剤は、好ましくはリン系難燃剤である。
【0013】
また、本発明のガスケットにおいて、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートは、好ましくは粘着付与樹脂を含有するものであり、当該粘着付与樹脂は、好ましくはテルペン系粘着付与樹脂及び/又はロジン系粘着付与樹脂である。また、ロジン系粘着付与樹脂は好ましくはロジンエステル類であり、テルペン系粘着付与樹脂は好ましくはテルペンフェノール樹脂である。
【0014】
本発明のガスケットにおいて、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートは、好ましくはノンハロゲン系難燃剤を含有するポリオキシアルキレン系粘着シートであり、また、当該ノンハロゲン系難燃剤を含有するポリオキシアルキレン系粘着シートは、好ましくは下記A〜D成分を含む組成物の硬化物からなるシートである。
A:1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体
B:1分子中に平均2個以上のヒドロシリル基を有する化合物
C:ヒドロシリル化触媒
D:ノンハロゲン系難燃剤
【0015】
また、本発明のガスケットは、被着体への密着面となるガスケットの両面がノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートの主面(粘着面)からなる態様を含む。
【0016】
また、本発明のガスケットは、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートの一方の主面(粘着面)に基材フィルムが積層されて、被着体への密着面となるガスケットの一方の片面が該基材フィルムの表面からなり、被着体への密着面となるガスケットの他方の片面がノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートの他方の主面(粘着面)からなる態様を含み、かかる態様のガスケットにおいて、基材フィルムは、好ましくはフッ素樹脂フィルムである。
【0017】
また、本発明は、上述のガスケットを、2つの面の合わせ面の間に介在させる、2つの面の合わせ面の間の密封方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、実用上十分な密封性を有し、燃焼時に有毒なハロゲン系ガスを発生することがない、難燃性ガスケットを実現することができ、また、実用上十分な密封性を有し、燃焼時に有毒なハロゲン系ガスを発生することがなく、しかも、被着体である金属部材に腐食や変色を生じさせない、難燃性ガスケットを実現することができる。
【0019】
また、好適態様においては、特に航空機用部材に要求される高度の難燃性(すなわち、米国UL(Underwriters Laboratories)の規格「UL−94」における等級「V−0」
)を満たす、極めて高い難燃性を有し、燃焼時に有毒なハロゲン系ガスを発生することがなく、しかも、被着体である金属部材に腐食や変色を生じさせない、難燃性ガスケットを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は本発明のガスケットの典型例の模式断面図である。
図2図2図1のガスケットを2つの被着体の間に介在させて、2つの面の合わせ面の間を密封した状態を模式的に示した断面図である。
図3図3は本発明のガスケットの変形例の要部を示す模式断面図である。
図4図4(A)は本発明のガスケットのロール状態の模式図、図4(B)は図4(A)に示すガスケットの一部を拡大して示した断面図である。
図5図5(A)〜図5(C)は図3に示すガスケットの製造工程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を好適な実施形態に即して説明する。
図1は本発明の一例によるガスケット10の模式断面図であり、図2はかかるガスケット10を2つの被着体の間に介在させて、2つの面の合わせ面の間を密封した状態を模式的に示した断面図である。
【0022】
本発明のガスケットは、かかる一例のガスケット10に示されるように、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シート1を主体し、2つの被着体20、21の対向面の間(すなわち、2つの面の合せ面の間)に介在させて用いられる(図2)。
【0023】
被着体20、21へ密着させるガスケットの両面10A、10Bのうちの少なくとも一方(すなわち、ガスケットの少なくとも片面)が、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シート1の主面(粘着面)1Aによって形成されており、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シート1の主面(粘着面)1Aが一方の被着体20に貼り付くことで、ガスケット10は2つの被着体20、21の対向面の間に位置ズレを起こすことなく配置される。
【0024】
なお、当該一例のガスケット10では、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シート1の一方の主面1Bに基材フィルム2が積層されており、基材フィルム2の表面2Aを被着体21に密着させているが、本発明のガスケットは、基材フィルム2を積層することなく、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シート1のみで構成し、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シート1の両主面をそれぞれ2つの被着体に貼り付けるようにしてもよい。
【0025】
また、当該一例のガスケット10では、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シート1は、芯体を含まない、シート体であるが、図3に示すように、中間層としての芯体フィルム3の表裏両面にノンハロゲン系難燃剤含有粘着層1a、1bを形成した、芯体入り粘着シート
の形態であってもよい。
【0026】
[ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シート]
本発明におけるノンハロゲン系難燃剤含有粘着シート1とは、ノンハロゲン系難燃剤を含有せしめた粘着シートであり、感圧性粘着剤にノンハロゲン系難燃剤を配合せしめた粘着剤組成物によって構成される。
【0027】
ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シート1の厚みは、一般的には、被着体への密着性、ボルト貫通時の密閉性等がより向上するという観点から300μm以上が好ましく、より好ましくは800μm以上である。また、糊はみだしの抑制や作業性の悪化を防止するという観点から、厚みは2000μm以下が好ましく、1500μm以下がより好ましい。
【0028】
ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シート1に使用する感圧性接着剤としては、特に限定はされないが、弾力性、圧縮性及び密着性に優れる粘着シートを形成できるものが好ましく、アクリル系、シリコーン系又はポリオキシアルキレン系の粘着剤が挙げられる。なかでも、ポリオキシアルキレン系粘着剤は弾力性、圧縮性及び密着性に優れ、しかも、再剥離性に優れる粘着シートを形成できるので、ポリオキシアルキレン系粘着剤を使用することで、メンテナンス時の被着体からのガスケットの離脱を容易に行えるので好ましい。
【0029】
(アクリル系粘着剤)
アクリル系粘着剤としては、具体的には、アルキル(メタ)アクリレートのモノマーユニットを主骨格とするアクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい(ここで、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する。)。
【0030】
アクリル系ポリマーの主骨格を構成する、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の平均炭素数は1〜12程度が好ましく、かかるアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用される。中でもアルキル基の炭素数が1〜9のアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0031】
アクリル系ポリマー中には、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートの被着体への接着性や耐熱性の改善を目的に、1種類以上の各種モノマーが共重合により導入される。そのような共重合モノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートなどのヒドロキシル基
含有モノマー;(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;アクリル酸のカプロラクトン付加物;スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;アクリル酸2−(ホスホノオキシ)エチル、などの燐酸基含有モノマーなどが挙げられる。また、窒素含有ビニルモノマーが挙げられ、例えば、マレイミド、N−シクロへキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド;N−アクリロイルモルホリン;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メ
タ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミドやN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル、3−(3−ピリニジル)プロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド、N−アクリロイルモルホリンなどのスクシンイミド系モノマーなどが挙げられる。
【0032】
さらに、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマーなども挙げられる。
【0033】
これらの中でも、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤を用いる場合に、イソシアネート基との反応性が良好である点から、ヒドロキシル基含有モノマーが好適である。また、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートの被着体への接着性、接着耐久性、耐候性等の点から、(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基含有モノマーが好適であり、特に好ましくはアクリル酸である。
【0034】
アクリル系ポリマー中の共重合モノマーの割合は、重量比率において、0.1〜10重量%程度であるのが好ましい。
【0035】
アクリル系ポリマーの平均分子量は特に制限されないが、重量平均分子量が、一般に30万〜250万程度である。
【0036】
アクリル系ポリマーは種々の公知の手法により製造され、たとえば、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法等のラジカル重合法を適宜選択できる。ラジカル重合開始剤としては、アゾ系、過酸化物系の各種公知のものを使用できる。反応温度は通常50〜80℃程度、反応時間は1〜8時間とされる。
【0037】
アクリル系粘着剤にはベースポリマーに加えて架橋剤を含有することができ、架橋剤により、光学板との密着性や耐久性を向上でき、また高温での信頼性や粘着剤自体の形状の保持を図ることができる。架橋剤としては、イソシアネート系、エポキシ系、過酸化物系、金属キレート系、オキサゾリン系などの公知の架橋剤を適宜に使用可能である。これら架橋剤は1種を、または2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋剤の使用量は、アクリル系ポリマー100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.02〜3重量部である。架橋剤の使用割合が、10重量部
を超えると架橋が進みすぎて接着性が低下するおそれがある点で好ましくない。
【0038】
(シリコーン系粘着剤)
シリコーン系粘着剤としては、特に限定されず、一般的に多く用いられている、過酸化物架橋型シリコーン系粘着剤(過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤)や、付加反応型シリコーン系粘着剤を好適に用いることができる。これら、過酸化物架橋型シリコーン系粘着剤及び付加反応型シリコーン系粘着剤は市販品を使用することができ、過酸化物架橋型シリコーン系粘着剤の具体例としては、信越化学製のKR−3006A/BT、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSH 4280 PSA等が挙げられる。また、付加反応型シリコーン系粘着剤の具体例としては、信越化学製のX−40−3501、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のBY 24−712、GE東芝シリコーン社製のTSE32X等が挙げられる。
【0039】
(ポリオキシアルキレン系粘着剤)
ポリオキシアルキレン系粘着剤としては、下記A〜C成分を含む組成物の硬化物が好ましい。
A:1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体
B:1分子中に平均2個以上のヒドロシリル基を有する化合物
C:ヒドロシリル化触媒
【0040】
上記A成分の「1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体」は、特に制限はなく、各種のものを用いることができるが、中でも、重合体の主鎖が、下記の一般式(1)で示される繰り返し単位を有するものが好適である。
【0041】
一般式(1):−R−O−
(式中、Rはアルキレン基である)
【0042】
は、炭素数1〜14の、さらには2〜4の、直鎖状又は分岐状のアルキレン基が好ましい。
【0043】
一般式(1)で示される繰り返し単位の具体例としては、−CHO−、−CHCHO−、−CHCH(CH)O−、−CHCH(C)O−、−CHC(CHO−、−CHCHCHCHO−等が挙げられる。ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。特に、入手性、作業性の点から、−CHCH(CH)O−を主たる繰り返し単位とする重合体が好ましい。また、重合体の主鎖にはオキシアルキレン基以外の繰り返し単位が含まれていてもよい。この場合、重合体中のオキシアルキレン単位の総和は、80重量%以上が好ましく、特に好ましくは90重量%以上である。
【0044】
A成分の重合体は、直鎖状の重合体でも分岐を有する重合体でもよく、それらの混合物であってもよいが、粘着層が種々の材質の面に対して良好な粘着性を示すために、直鎖状の重合体を50重量%以上含有していることが好ましい。
【0045】
A成分の重合体の分子量としては、数平均分子量で500〜50,000が好ましく、5,000〜30,000がさらに好ましい。数平均分子量が500未満のものでは、得られる硬化物が脆くなりすぎる傾向があり、逆に数平均分子量が50,000を超えるものは、高粘度になりすぎて作業性が著しく低下する傾向となるために好ましくない。ここでいう数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により求められる値のことである。
【0046】
また、A成分の重合体は、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が1.6以下である分子量の分布が比較的狭いものが好ましく、Mw/Mnが1.6以下である重合体は、組成物の粘度が低くなり、作業性が向上する。よって、Mw/Mnは、より好ましくは1.5以下であり、さらに好ましくは1.4以下である。なお、ここでいう、Mw/Mnは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により求められる値のことである。
【0047】
ここで、GPC法による分子量の測定は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8120GPC)を用いて測定される、ポリスチレン換算値であり、測定条件は以下のとおりである。
サンプル濃度:0.2重量%(THF溶液)
サンプル注入量:10μl
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
測定温度:40℃
カラム:サンプルカラム TSKgel GMH−H(S)
検出器:示差屈折計
【0048】
A成分の重合体(1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体)において、アルケニル基は特に制限はないが、下記の一般式(2)で示されるアルケニル基が好適である。
【0049】
一般式(2):HC=C(R
(式中、Rは水素又はメチル基である)
【0050】
アルケニル基のポリオキシアルキレン系重合体への結合様式は、特に制限はないが、例えば、アルケニル基の直接結合、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、ウレア結合等が挙げられる。
【0051】
かかるA成分の重合体の具体例としては、
一般式(3):{HC=C(R3a)−R4a−O}a5a
(式中、R3aは水素又はメチル基、R4aは炭素数1〜20の2価の炭化水素基であって、1個以上のエーテル基が含まれていてもよい、R5aはポリオキシアルキレン系重合体残基であり、aは正の整数である。)
で示される重合体が挙げられる。式中のR4aは、具体的には、−CH−、−CH
−、−CHCHCH−、−CHCH(CH)CH−、−CHCHCHCH−,−CHCHOCHCH−、または−CHCHOCHCHCH−などを挙げることができるが、合成の容易さからは−CH−が好ましい。
【0052】
また、一般式(4):{HC=C(R3b)−R4b−OCO}a5b
(式中、R3b、R4b、R5b及びaは、それぞれR3a、R4a、R5a、aと同義である。)
で示されるエステル結合を有する重合体が挙げられる。
【0053】
また、一般式(5):{HC=C(R3c)}a5c
(式中、R3c、R5c及びaは、それぞれR3a、R5a、aと同義である。)
で示される重合体も挙げられる。
【0054】
さらに、一般式(6):{HC=C(R3d)−R4d−O(CO)O}a5d(式中、R3d、R4d、R5d及びaは、それぞれR3a、R4a、R5a及びa
と同義である。)
で示されるカーボネート結合を有する重合体も挙げられる。
【0055】
アルケニル基は、A成分の重合体1分子中に少なくとも1個、好ましくは1〜5個、より好ましくは、1.5〜3個存在するのがよい。A成分の重合体1分子中に含まれるアルケニル基の数が1個未満になると、硬化性が不充分になり、また5個より多くなると網目構造があまりに密となるため、良好な粘着特性を示さなくなる場合がある。なお、A成分の重合体は、特開2003-292926号公報に記載の方法に従って、合成することができる。な
お、市販されているものは、市販品を使用してもよい。
【0056】
B成分である「1分子中に平均2個以上のヒドロシリル基を含有する化合物」は、ヒドロシリル基(Si−H結合を有する基)を有するものであれば特に制限無く使用できるが、原材料の入手の容易さやA成分への相溶性の面から、特に有機成分で変性されたオルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。上記有機成分で変性されたポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、1分子中に平均して2〜8個のヒドロシリル基を有するものがより好ましい。ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの構造を具体的に示すと、例えば、
【0057】
【化1】
【0058】
(式中、2≦m+n≦50、2≦m、0≦nである。R6aは、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基であり、1個以上のフェニル基を含有してもよい)、
【0059】
【化2】
【0060】
(式中、0≦m+n≦50、0≦m、0≦nである。R6bは、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基であり、1個以上のフェニル基を含有してもよい)、
又は、
【0061】
【化3】
【0062】
(式中、3≦m+n≦20、2≦m≦19、0≦n<18である。R6cは、主
鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基であり、1個以上のフェニル基を含有してもよい)
等で示される鎖状又は環状のものや、これらのユニットを2個以上有する、以下の
【0063】
【化4】
【0064】
(式中、1≦m+n≦50、1≦m、0≦nである。R6dは、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基であり、1個以上のフェニル基を含有してもよい。2≦bである。R8aは2〜4価の有機基であり、R7aは2価の有機基である。ただし、R7aは、R8aの構造によってはなくても構わない。)、
【0065】
【化5】
【0066】
(式中、0≦m+n≦50、0≦m、0≦nである。R6eは、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基であり、1個以上のフェニル基を含有してもよい。2≦bである。R8bは2〜4価の有機基であり、R7bは2価の有機基である。ただし、R7bは、R8bの構造によってはなくても構わない。)、又は
【0067】
【化6】
【0068】
(式中、3≦m+n≦50、1≦m、0≦nである。R6fは、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基であり、1個以上のフェニル基を含有してもよい。2≦bである。R8cは2〜4価の有機基であり、R7cは2価の有機基である。ただし、R7cは、R8cの構造によってはなくても構わない。)
等で示されるものが挙げられる。
【0069】
B成分の「1分子中に平均2個以上のヒドロシリル基を有する化合物」は、A成分及びC成分との相溶性、又は、系中での分散安定性が良好なものが好ましい。特に系全体の粘度が低い場合には、B成分として上記各成分との相溶性の低いものを使用すると、相分離が起こり硬化不良を引き起こすことがある。
【0070】
A成分及びC成分との相溶性、又は、分散安定性が比較的良好なB成分を具体的に示すと、以下のものが挙げられる。
【0071】
【化7】
【0072】
(式中、nは4以上10以下の整数である。)
【0073】
【化8】
【0074】
(式中、2≦m≦10、0≦n≦5であり、R6gは炭素数8以上の炭化水素基である。)
当該B成分の好ましい具体例としては、ポリメチルハイドロジェンシロキサンが挙げられ、また、A成分との相溶性確保と、SiH量の調整のために、α−オレフィン、スチレン、α−メチルスチレン、アリルアルキルエーテル、アリルアルキルエステル、アリルフェニルエーテル、アリルフェニルエステル等により変性した化合物が例示され、一例として、以下の構造があげられる。
【0075】
【化9】
【0076】
(式中、2≦m≦20、1≦n≦20である。)
【0077】
B成分は、公知の方法により合成することができるが、市販されているものは、市販品を使用してもよい。
【0078】
C成分の「ヒドロシリル化触媒」は特に限定されず、任意のものを使用できる。具体例としては、たとえば、塩化白金酸;白金の単体;アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体{例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt〔(MeViSiO)等};白金−ホスフィン錯体{例えば、Pt(PPh、Pt(PBu等};白金−ホスファイト錯体{例えば、Pt〔P(OPh)、Pt〔P(OBu)等};Pt(acac);Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号に記載され
た白金−炭化水素複合体;Lamoreauxらの米国特許第3220972号に記載された白金アルコラート触媒等が挙げられる。なお、これらの式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基、acacはアセチルアセトナトを表し、n、mは整数を表す。
【0079】
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh、RhCl、Rh/Al、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl等が挙げられる。
【0080】
これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から、塩化白金酸、白金−ホスフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)等が好ましい。
【0081】
C成分の配合量は、特に制限はないが、組成物のポットライフの確保及び硬化物(粘着層)の透明性の観点から、A成分中のアルケニル基1molに対して一般に1×10−1mol以下、好ましくは5.3×10−2mol以下であり、硬化物(粘着層)の透明性の観点から、より好ましくは3.5×10−2mol以下、とりわけ好ましくは1.4×10−3mol以下である。A成分中のアルケニル基1molに対して1×10−1molを超えると、最終的に得られる硬化物(粘着層)が黄変しやすく、硬化物(粘着層)の透明性が損なわれる傾向となる。なお、C成分の配合量が少なすぎる場合、組成物の硬化速度が遅く、また硬化性が不安定になる傾向となるため、C成分の配合量は8.9×10−5mol以上が好ましく、1.8×10−4mol以上がより好ましい。
【0082】
以上説明したA〜C成分を含む組成物は、加熱により硬化する。すなわち、A成分(1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体)中のアルケニル基が、ヒドロシリル化触媒(C成分)の存在下、B成分の1分子中に平均2個以上のヒドロシリル基を有する化合物のヒドロシリル基(Si−H結合を有する基)でヒドロシリル化されて、架橋構造が進行することによって硬化が成される。かかる硬化物は、粘着付与樹脂を無添加または少量添加であっても、粘着特性(他の物体への接着機能)を発現できるという特徴を有する。また、活性が低く、水、金属、プラスチック材料等の種々の物質に接触しても反応しない。
【0083】
A〜C成分を含む組成物において、A成分とB成分は、B成分(化合物B)のヒドロシリル基が、A成分(化合物A)のアルケニル基に対して官能基比が0.3以上、2未満となるように配合されることが好ましく、より好ましくは0.4以上、1.8未満の範囲であり、さらに一層好ましくは0.5以上、1.5未満の範囲である。前記官能基比が2を超える組成では、架橋密度が高くなり、粘着付与樹脂を無添加または少量添加において粘着性を得ることはできなくなる場合がある。また、官能基比が0.3未満になると、硬化物における架橋が緩くなりすぎて、高温で特性保持が困難となる場合がある。このようにA成分とB成分の配合比率を特定の範囲で選択することで、粘着付与樹脂を配合しなくとも組成物が良好な粘着特性が発現し得、しかも、当該組成物を実用上充分に速いライン速度にて硬化させつつ粘着シートを得ることができる。
【0084】
(ノンハロゲン系難燃剤)
本発明において、ノンハロゲン系難燃剤は、特に限定されず、水和金属化合物系、無機化合物系、リン系、シリコーン系、窒素化合物系、有機金属化合物系などの公知のハロゲン原子を含有しない難燃剤を使用することができる。なかでも、難燃性の付与効果、燃焼時のドリップ抑制、環境規制への適合性等に優れる点でリン系難燃剤が好ましい。
【0085】
水和金属化合物系難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム
、水酸化カルシウム等が挙げられる。また、無機化合物系難燃剤としては、アンチモン化合物、硼酸亜鉛、錫酸亜鉛、モリブデン化合物、酸化亜鉛、硫化亜鉛、ゼオライト、酸化チタン、ナノフィラー(モンモリロナイト(MMT)、ナノ水和金属化合物、シリカ)、カーボンナノチューブ、炭酸カルシウムなどがあげられる。
【0086】
リン系難燃剤としては、リン酸エステル類、芳香族縮合リン酸エステル類、ポリリン酸アンモニウム類などが挙げられる。リン酸エステル類の具体例としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート(TCP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート(TEP)、トリn−ブチルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート(XDP)等が挙げられる。芳香族縮合リン酸エステル類の具体例としては、レゾルシノールビスジフェニルホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビスジキシレニルホスフェート等が挙げられる。ポリリン酸アンモニウム類の具体例としては、ポリリン酸アンモニウム(APP)、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム、被覆ポリリン酸アンモニウムが挙げられる。ここで被覆ポリリン酸アンモニウムとは、ポリリン酸アンモニウムを樹脂で被覆もしくはマイクロカプセル化して耐水性をあげたものである。なお、リン酸エステル類、芳香族縮合リン酸エステル類、ポリリン酸アンモニウム類は併用することができる。中でも、リン酸エステル類による炭化層形成の難燃効果と、ポリリン酸アンモニウム類による不燃性ガス発生の難燃効果の組み合わせにより、固相と気相の双方を難燃化できる点で、リン酸エステル類とポリリン酸アンモニウム類の併用が好ましい。
【0087】
シリコーン系難燃剤としては、ジメチルシリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーンなどが挙げられる。
【0088】
窒素化合物系難燃剤としては、ヒンダードアミン化合物、メラミンシアヌレート、トリアジン化合物、グアニジン化合物などが挙げられる。
【0089】
有機金属化合物系難燃剤としては、エチレンジアミン4酢酸銅、パーフルオロブタンスルホン酸カルシウムなどが挙げられる。
【0090】
ノンハロゲン系難燃剤は1種又は2種以上を併用することができる。また、その使用量は難燃剤の種類によっても異なるが、一般的には、難燃性付与、炭化層形成によるドリップ抑制効果等がより効果的に得られるという観点から、粘着剤100重量部に対して10重量部以上が好ましく、20重量部以上がより好ましく、30重量部以上が特に好ましい。また、より良好な粘着特性、保存性等が得られるという観点から350重量部以下が好ましく、250重量部以下がより好ましく、150重量部以下が特に好ましい。
【0091】
(粘着付与樹脂)
本発明において、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シート1には、ガスケットの被着体への密着性及び難燃性を向上させるために、粘着付与樹脂を含有させることができる。粘着付与樹脂としては、例えば、テルペン系粘着付与樹脂、フェノール系粘着付与樹脂、ロジン系粘着付与樹脂、石油系粘着付与樹脂などが挙げられる。粘着付与樹脂は1種又は2種以上を使用できる。
【0092】
テルペン系粘着付与樹脂としては、例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体などのテルペン系樹脂や、これらのテルペン系樹脂を変性(フェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性など)した変性テルペン系樹脂(例えば、テルペンフェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂、水素添加テルペン系樹脂など)などが挙げられる。
【0093】
フェノール系粘着付与樹脂としては、各種フェノール類(例えば、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、p−アルキルフェノール、レゾルシンなど)とホルムアルデヒドとの縮合物(例えば、アルキルフェノール系樹脂、キシレンホルムアルデヒド系樹脂など)、前記フェノール類とホルムアルデヒドとをアルカリ触媒で付加反応させたレゾールや、前記フェノール類とホルムアルデヒドとを酸触媒で縮合反応させて得られるノボラックなどが挙げられる。
【0094】
ロジン系粘着付与樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの未変性ロジン(生ロジン)、これらの未変性ロジンを水添化、不均化、重合などにより変性した変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンの他、その他の化学的に修飾されたロジンなど)、各種のロジン誘導体などが挙げられる。前記ロジン誘導体としては、例えば、未変性ロジンをアルコール類によりエステル化したロジンのエステル化合物、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなどの変性ロジンをアルコール類によりエステル化した変性ロジンのエステル化合物などのロジンエステル類;未変性ロジンや変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;未変性ロジン、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)、不飽和脂肪酸変性ロジン類又は不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類におけるカルボキシル基を還元処理したロジンアルコール類;未変性ロジン、変性ロジン、各種ロジン誘導体などのロジン類(特に、ロジンエステル類)の金属塩などが挙げられる。また、ロジン誘導体としては、ロジン類(未変性ロジン、変性ロジンや、各種ロジン誘導体など)にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジンフェノール樹脂なども用いることができる。
【0095】
なお、上記のロジンエステル類を得る際に使用されるアルコール類はエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等の4価アルコール、ジペンタエリスリトール等の6価アルコール等が挙げられ、これらはいずれか1種が単独で、または2種以上が組み合わせて使用される。
【0096】
石油系粘着付与樹脂としては、例えば、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂(脂肪族環状石油樹脂)、脂肪族・芳香族系石油樹脂、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加石油樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等の公知の石油樹脂を用いることができる。具体的には、芳香族系石油樹脂としては、例えば、炭素数が8〜10であるビニル基含有芳香族系炭化水素(スチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、インデン、メチルインデンなど)が1種のみ又は2種以上用いられた重合体などが挙げられる。芳香族系石油樹脂としては、ビニルトルエンやインデン等の留分(いわゆる「C9石油留分」)から得られる芳香族系石油樹脂(いわゆる「C9系石油樹脂」)を好適に用いることができる。また、脂肪族系石油樹脂としては、炭素数4〜5のオレフィン(例えば、ブテン−1、イソブチレン、ペンテン−1等)、ブタジエン、ピペリレン、1,3−ペンタジエン、イソプレン等のジエン類から選択される1種又は2種以上を用いて得られた重合体などが挙げられる。また、脂肪族系石油樹脂としては、ブタジエン、ピペリレン、イソプレン等の留分(いわゆる「C4石油留分」や「C5石油留分」など)から得られる脂肪族系石油樹脂(いわゆる「C4系石油樹脂」や「C5系石油樹脂」など)を好適に用いることができる。脂環族系石油樹脂としては、例えば、脂肪族系石油樹脂(いわゆる「C4系石油樹脂」や「C5系石油樹脂」など)を環化二量体化した後重合させた脂環式炭化水素系樹脂、環状ジエン化合物(シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノル
ボルネン、ジペンテン、エチリデンビシクロヘプテン、ビニルシクロヘプテン、テトラヒドロインデン、ビニルシクロヘキセン、リモネンなど)の重合体又はその水素添加物、前記の芳香族系炭化水素樹脂や下記の脂肪族・芳香族系石油樹脂の芳香環を水素添加した脂環式炭化水素系樹脂などが挙げられる。脂肪族・芳香族系石油樹脂としては、スチレン−オレフィン系共重合体などが挙げられる。また、脂肪族・芳香族系石油樹脂としては、いわゆる「C5/C9共重合系石油樹脂」などを用いることができる。
【0097】
本発明において、粘着付与樹脂は、ガスケットの難燃性の点から、テルペン系粘着付与樹脂及び/又はロジン系粘着付与樹脂が好ましく、ロジン系粘着付与樹脂が特に好ましい。テルペン系粘着付与樹脂、ロジン系粘着付与樹脂は難燃助剤としての効果が得られやすく、これらを使用することで、ガスケットの被着体への密着性とともにガスケットの難燃性をより顕著に向上させることができる。なお、テルペン系粘着付与樹脂は、テルペンフェノール樹脂が特に好ましく、ロジン系粘着付与樹脂はロジンエステル類(すなわち、未変性ロジン、水添ロジン、不均化ロジン又は重合ロジンのエステル化物)が特に好ましく、ロジンエステル類は、3価以上の多価アルコールエステルが好ましく、4〜6価の多価アルコールエステルが特に好ましい。
【0098】
粘着付与樹脂は1種又は2種以上を併用でき、その使用量は特に限定されないが、炭素源となって、リン系難燃剤の助剤としての効果が十分に発揮されるという観点から、粘着剤100重量部に対して5重量部以上が好ましく、10重量部以上がより好ましく、15重量部以上が特に好ましい。また、粘着特性の維持、保存性、ハンドリング性、分散性等の観点から、100重量部以下が好ましく、60重量部以下がより好ましく、40重量部以下が特に好ましい。
【0099】
本発明において、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シート1には、必要に応じて、可塑剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤、顔料、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種の添加剤を適宜配合することもできる。
【0100】
また、基材フィルム2を有する態様のガスケットでは、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シート1に、基材フィルム2との接着性をより高めるために接着付与剤を添加することができる。接着付与剤の例としては、各種シランカップリング剤やエポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、エポキシ基、メタクリロイル基、ビニル基等の官能基を有するシランカップリング剤は接着性の発現にも効果が大きいため、好ましい。また、シランカップリング剤やエポキシ樹脂と併用して、シリル基やエポキシ基を反応させるための触媒を添加することができる。なお、粘着剤にポリオキシアルキレン系粘着剤(上記A〜C成分を含む組成物の硬化物からなる粘着剤)を使用したノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートの場合、触媒は、粘着剤を生成させる硬化反応(ヒドロシリル化反応)に対する影響を考慮しなければならない。
【0101】
また、粘着剤にポリオキシアルキレン系粘着剤を使用したノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートの場合、保存安定性を改良する目的で、保存安定性改良剤を配合してもよく、この保存安定性改良剤としては、上記B成分の保存安定剤として知られている公知の化合物を制限なく使用できる。例えば、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等を好適に用いることができる。具体的には、2−ベンゾチアゾリルサルファイド、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルアセチレンダイカルボキシレート、ジエチルアセチレンダイカルボキシレート、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンE、2−(4−モルフォリニルジチオ)ベンゾチアゾール、3−メチル−1−ブテン−3−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、アセチレン性不飽和基含有オルガノシロキサン、アセチレンアルコール、3−メチル−1−ブチル−3−オール、ジアリ
ルフマレート、ジアリルマレエート、ジエチルフマレート、ジエチルマレエート、ジメチルマレエート、2−ペンテンニトリル、2,3−ジクロロプロペン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
(基材フィルム)
本発明のガスケットにおいて、基材フィルム2は、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シート1に自己支持性を与えて、ガスケットの取り付け作業性を向上させるとともに、被着体への水分等の接触をより厳密に防止するために設けられる。すなわち、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートの粘着面が被着体に直接接すると、ガスケットの長期の使用によってノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートが吸収した水分等が被着体に接触し、被着体が防食処理等を行っていない金属部材である場合に、金属部材が腐食したり、変色して、被着体の所期の機能が損なわれてしまう場合がある。このため、図2に示すように、ガスケットを密着させる2つの被着体20、21のうちの、腐食や変色をより高いレベルで防止すべき側の被着体21に対して、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シート1の一方の主面に積層した基材フィルム2の表面2Aを密着させる。
【0103】
従って、本発明において、基材フィルム2には、ガスケットに要求される耐熱性を有するだけでなく、優れた撥水性を有するか、及び/又は、耐透湿性の高い材料からなるフィルムが好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂等からなるプラスチックフィルムが好ましく、特に好ましくはフッ素樹脂フィルムであり、とりわけ好ましくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルムである。
【0104】
基材フィルム2の厚みは、被着体へのガスケットの良好な密着性及びメンテナンス時の剥離作業性を向上させるという観点から、10〜500μm程度が好ましく、50〜300μmがより好ましく、100〜200μmが特に好ましい。
【0105】
また、基材フィルム2のノンハロゲン系難燃剤含有粘着シート1側の表面には、粘着シートと基材間の接着性を向上させるためのコロナ処理、スパッタ処理、ナトリウム処理等を行うのが好ましく、これらの表面処理は2以上を組み合わせて実施できる。
【0106】
(芯体フィルム)
本発明のガスケットを、図3に示す、芯体入り粘着シートの形態とする場合に使用する芯体フィルム3は、特に制限されず、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等);ナイロン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、リアクターTPO、エチレン−酢酸ビニル共重合体等);フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等)等から選ばれる1種又は2種以上のプラスチックからなるフィルム(単層フィルム)、金属箔、或いは、これらから選ばれる2つ以上を積層したラミネートフィルム等が挙げられる。これらのフィルムは中実フィルム(無孔フィルム)の状態で使用する他、機械的に穿孔処理を施した有孔フィルムにして使用してもよい。また、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)など)等の合成高分子繊維、綿、麻等の天然繊維、金属繊維及びガ
ラス繊維から選ばれる1種または2種以上の繊維を用いた編布、織布、不織布等の繊維製シート(単層シート、2層以上の積層シート)や、かかる繊維製シートの1種又は2種以上を前述のプラスチックフィルムに積層した積層体も芯体フィルム3として使用することができる。
【0107】
これらの中でも、耐透湿性(モイスチャーバリア性)の観点から、水分が通過する通気孔が少ないものが好ましく、無孔プラスチックフィルムが特に好ましい。また、プラスチックフィルムは、作業性の観点から、透明性を有することが好ましい。また、ガスケットの配置後にボルト締めを行なう場合には、ボルト締め時の作業性や剥離時の強度付与等の観点から、芯体フィルムには、ガラス繊維製シート(特に、ガラスクロス)が好ましい。ガラス繊維性シートの目付けは、5〜1000g/m2の範囲であることが、強度や透明
性の点から好ましく、ガラス繊維の太さ(直径)は、0.01〜1mm程度が好適である。また、ガラスクロスの場合、ガラスクロスの形態は、平織り、朱子織、綾織、ななこ織などが挙げられる。また、ガラスクロスはシランカップリング剤による表面処理を施すことで、粘着層との接着性を向上できる。
【0108】
芯体フィルムの厚みは、フィルム(シート)の材質、形態等によっても異なるが、一般的には、10〜200μm、好ましくは30〜150μm、最も好ましくは50〜100μmの範囲から選択される。
【0109】
本発明のガスケットにおいて、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートの作製方法は特に制限されず、一般的な粘着シートの製造方法を適用できる。
アクリル系粘着剤を使用したノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートの作製は、例えば、ベースポリマーの主骨格用モノマーと共重合用モノマーにラジカル重合開始剤、架橋剤等を配合してなる光重合性組成物にさらにノンハロゲン系難燃剤を混合し、それを離型シートの剥離処理面上に所定厚みの塗膜となるように塗布し、その上に離型シートの剥離処理面を貼り合わせ、これに紫外線を照射して重合反応を進行させることにより粘着シートを形成する方法が挙げられる。ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートに粘着付与樹脂やその他の添加剤を含有させる場合、光重合性組成物にノンハロゲン系難燃剤とともにそれらを混合すればよい。また、基材フィルムを有する態様のガスケットを得る場合、離型シートの代わりに基材フィルムを使用し、ノンハロゲン系難燃剤等を含む光重合性組成物を基材フィルム上に塗布する以外は上記と同様にして、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートを形成すればよい。
【0110】
シリコーン系粘着剤を使用したノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートは、ノンハロゲン系難燃剤等を混合したシリコーン系粘着剤を離型シートの剥離処理面上に塗布し、その上に離型シートの剥離処理面を貼り合わせ、これを所定の加熱乾燥を行うことにより形成することができる。基材フィルムを有する態様のガスケットを得る場合、離型シートの代わりに基材フィルムを使用し、ノンハロゲン系難燃剤等を含む光シリコーン系粘着剤を基材フィルム上に塗布する以外は上記と同様にして、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートを形成すればよい。
【0111】
なお、アクリル系粘着剤を使用したノンハロゲン系難燃剤含有粘着シート、シリコーン系粘着剤を使用したノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートのいずれの製造においても、離型シートの剥離処理には、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤など一般的な剥離剤を適宜使用することができる。
【0112】
ポリオキシアルキレン系粘着剤を使用したノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートは、例えば、以下の方法で作製される。先ず、前述のA〜C成分とノンハロゲン系難燃剤(D成分)を、必要に応じて有機溶剤とともに、真空機能を備えた攪拌装置に仕込み、真空状態
(真空下)で攪拌することで脱泡して、脱泡された混合物(組成物)を調製する。ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートに粘着付与樹脂やその他の添加剤を含有させる場合は、上記A〜D成分とともに粘着付与樹脂やその他の添加剤を加えて混合物(組成物)を調製する。次に、かかる脱泡処理後のA〜D成分を含む組成物(混合物)を離型シートの剥離処理面上に所定厚みの塗膜となるように塗布し、その上に離型シートの剥離処理面を貼り合わせ、所定の熱処理を行なって、A〜D成分を含む組成物(混合物)を硬化させる。硬化反応は、A成分(1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体)中のアルケニル基が、ヒドロシリル化触媒(C成分)の存在下、B成分の1分子中に平均2個以上のヒドロシリル基を有する化合物のヒドロシリル基(Si−H結合を有する基)でヒドロシリル化されて架橋構造が進行することによって成される。基材フィルムを有する態様のガスケットを得る場合、離型シートの代わりに基材フィルムを使用し、脱泡処理後のA〜D成分を含む組成物(混合物)を基材フィルム上に塗布する以外は上記と同様にして、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートを形成すればよい。
【0113】
混合物の塗布は、例えば、グラビア、キス、コンマ等のロールコーター、スロット、ファンテン等のダイコーター、スクイズコーター、カーテンコーター等の公知の塗布装置によって行うことができる。また、熱処理条件としては50〜200℃(好ましくは100〜160℃)で、0.01〜24時間(好ましくは0.05〜4時間)程度加熱するのが好ましい。なお、真空機能を備えた攪拌装置としては、公知の真空装置付攪拌装置を使用すればよく、具体的には、遊星式(公転/自転方式)攪拌脱泡装置やディスパー付脱泡装置等が挙げられる。また、真空脱泡を行う際の減圧の程度としては、10kPa以下が好ましく、3kPa以下がより好ましい。また、攪拌時間は攪拌装置や流動物の処理量によっても異なるが、概ね、0.5〜2時間程度が好ましい。脱泡処理により、形成される粘着層には実質的に気泡(ボイド)が存在せず、それによって高い透明性が得られる。
【0114】
離型シートの剥離処理は、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、長鎖アルキル系剥離剤等を使用でき、中でも、シリコーン系剥離剤が好ましく、硬化方法としては、紫外線照射や電子線照射等の硬化方法を用いるのが好ましい。さらに、シリコーン系剥離剤の中でもカチオン重合性の紫外線硬化型シリコーン系剥離剤が好ましい。カチオン重合性の紫外線硬化型シリコーン系剥離剤は、カチオン重合型のシリコーン(分子内にエポキシ官能基を有するポリオルガノシロキサン)とオニウム塩系光開始剤を含む混合物であるが、オニウム塩系光開始剤がホウ素系光開始剤からなるものが特に好ましく、このようなオニウム塩系光開始剤がホウ素系光開始剤からなるカチオン重合性の紫外線硬化型シリコーン系剥離剤を使用することで特に良好な剥離性(離型性)が得られる。カチオン重合型のシリコーン(分子内にエポキシ官能基を有するポリオルガノシロキサン)は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ官能基を有するものであって、直鎖状のもの、分岐鎖状のものまたはこれらの混合物であってもよい。ポリオルガノシロキサンに含有されるエポキシ官能基の種類は特に制限されないが、オニウム塩系光開始剤によって開環カチオン重合が進行するものであればよい。具体的には、γ−グリシジルオキシプロピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、β−(4−メチル−3,4エポキシシクロヘキシル)プロピル基などが例示できる。かかるカチオン重合型のシリコーン(分子内にエポキシ官能基を有するポリオルガノシロキサン)は上市されており、市販品を使用することができる。例えば、東芝シリコーン社製のUV9315、UV9430、UV9300、TPR6500、TPR6501等、信越化学工業社製のX−62−7622、X−62−7629、X−62−7655、X−62−7660、X−62−7634A等、荒川化学社製のPoly200、Poly201、RCA200、RCA250、RCA251等を挙げることができる。
【0115】
カチオン重合性のシリコーンの中でも下記の構造単位(A)〜(C)からなるポリオルガノシロキサンが特に好ましい。
【0116】
【化10】
【0117】
また、かかる構造単位(A)〜(C)からなるポリオルガノシロキサンにおいては、構造単位(A)〜(C)の組成比((A):(B):(C))が50〜95:2〜30:1〜30(mol%)であるものが特に好ましく、50〜90:2〜20:2〜20(mol%)であるものがとりわけ好ましい。なお、かかる構造単位(A)〜(C)からなるポリオルガノシロキサンはPoly200、Poly201、RCA200、X−62−7622、X−62−7629、X−62−7660として入手できる。
【0118】
一方、オニウム塩系光開始剤としては、公知のものを特に制限無く使用できる。具体例としては、例えば、(R、ArN、又は(R、(これらの式中、Rはアルキル基および/またはアリール基を、Arはアリール基を、Xは[B(C]、[B(C]、[B(CCF]、[(
BF]、[CBF]、[B(C]、BF
PF、AsF、HSO、またはClO等を示す。)で表される化合物が挙げられるが、これらの中でも、式中のXが[B(C]、[B(C
]、[B(CCF]、[(CBF]、[CBF]
、[B(C]又はBFである化合物(ホウ素系光開始剤)が好ましく、特に好ましくは(R[B(C](式中、Rは置換又は非置換のフェニル基を示す)で表わされる化合物(アルキルヨードニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)である。なお、オニウム塩系光開始剤として、従来からアンチモン(Sb)系開始剤が知られているが、アンチモン(Sb)系開始剤を使用した場合、重剥離化が起こり、透明粘着シートを離型シートから剥離しにくい傾向となる。
【0119】
オニウム塩系光開始剤の使用量は特に制限されるものではないが、カチオン重合型のシリコーン(ポリオルガノシロキサン)100重量部に対して、0.1〜10重量部程度とするのが望ましい。使用量が0.1重量部より少ないと、シリコーン剥離層の硬化が不十分となるおそれがある。また使用量が10重量部より多いと、コスト面において実用的ではない。なお、カチオン重合型のシリコーン(ポリオルガノシロキサン)とオニウム塩系光開始剤を混合する際、オニウム塩系開始剤を有機溶剤に溶解または分散させてポリオルガノシロキサンに混合してもよい。有機溶剤の具体例としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル等のエステル系溶剤などが挙げられる。
【0120】
剥離処理剤の塗布は、例えば、ロールコーター法、リバースコーター法、ドクターブレード法等の一般的な塗工装置を用いて行うことができる。剥離処理剤の塗布量(固形分量)は特に限定はされないが、一般に0.05〜6mg/cm程度である。
【0121】
本発明のガスケットは、図4(A)及び図4(B)に示されるように、2つの面の合せ面の間に実装する前は、ロール状物100として構成するのが好ましい。この場合、基材フィルム2には背面(ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シート1の形成面とは反対側の片面)に剥離処理を行ったものを使用する。なお、図中の符号4は離型シートである。
【0122】
また、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートが図3に示す芯体入り粘着シートの形態である場合、本発明のガスケットは以下の図5に示す方法で作製される。
先ず、基材フィルム2の片面にノンハロゲン系難燃剤含有粘着層1bを形成し、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着層1bに芯体フィルム3を貼り合わせる(図5(A))。
【0123】
離型シート4を用意し、離型シート4の片面にノンハロゲン系難燃剤含有粘着層1aを形成する(図5(B))。
【0124】
上記の離型シート4の片面に形成されたノンハロゲン系難燃剤含有粘着層1aを芯体フィルム3の片面(粘着層非形成面)に貼り合わせる(図5(C))。
【0125】
本発明のガスケットは、2つの面の合わせ面の間に介在させ、所定位置に形成した貫孔にボルトを通して、ボルト止めすることによって、2つの合わせ面の間を隙間なく密閉する。
【0126】
本発明のガスケットは、種々の技術分野の機械や機器、構造物中の2つの面の合せ面の間の密閉に使用することができる。例えば、航空機、車、電車等における機体や車両の外板(ボディー)への各種の機器や機材の装着部、航空機、車、電車等における機体や車両内の2つの部材がそれらの主面同士を対向させて(すなわち、2つの面の合わせ面を形成して)固定される構造部等を挙げることができる。特に、高い難燃性を有し、しかも、金属を腐食させることがないため、航空機用材料として特に有利である。
【0127】
本発明のガスケットが、ポリオキシアルキレン系粘着剤を使用したノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートを用いて形成されたガスケットの場合、ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートの主面(粘着面)を被着体に貼り付けた後、粘着力(剥離力)が経時により上昇するため、より優れたシール性能が得られ、しかも、被着体に長期間貼付されても、粘着力(剥離力)が過度に上昇しないため、メンテナンス時にはガスケットを簡単に被着体から離脱できるので好ましい。
【0128】
また、ポリオキシアルキレン系粘着剤を用いたノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートは、−30℃でのせん断貯蔵弾性率(G’)が6.0×10(Pa)以下、好ましくは5.5×10(Pa)以下を示す。せん断貯蔵弾性率(G’)は粘弾性体の硬さの指標として知られるが、ポリオキシアルキレン系粘着剤を用いたノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートは−30℃でのせん断貯蔵弾性率(G’)が6.0×10(Pa)以下であり、低温で剛直化しないため、氷点下の温度下でも、高い柔軟性を維持すると考えられる。また、温度−時間換算則を考慮すると、ある温度における高速の変形に対しては、より低温での粘弾性体の特性が影響する。そのため、−30℃における粘着力を議論する際には、より低温での粘弾性挙動を考慮する必要がある。本発明のガスケットにおけるポリオキシアルキレン系粘着剤を用いたノンハロゲン系難燃剤含有粘着シートは、−50℃におけるせん断貯蔵弾性率も6.0×10以下である。そのため、低温での接着安定性が非常に優れていると考えられる。ここでいう「せん断貯蔵弾性率(G’)」は以下の方法で測定される。
【0129】
[せん断貯蔵弾性率(G’)]
離型シートの剥離処理面に粘着層を形成したサンプルを複数作成し、得られた粘着層同
士を貼り合せて厚みが約0.5〜1mmの積層体とする。該積層体を直径7.9mmの円形に打抜いたものを測定試料とし、以下の方法で測定する。
測定装置:Rheometric Scientific社製 ARES
測定条件:測定温度 −30℃及び−50℃
測定周波数:1Hz(6.28rad/sec)
【実施例】
【0130】
以下、実施例と比較例を示して、本発明をより具体的に説明する。なお、実施例及び比較例のガスケットの物性評価試験は次の方法で行った。
【0131】
1.対SUS板初期接着力
ガスケットの片面の粘着層に、厚み25μmのPETフィルムを貼り合わせ、25mm幅に切断してサンプルを作成した。サンプルの他方の粘着層をSUS304板に2kgローラを1往復させて貼り付け、室温で30分放置後、引張試験機を使用して、引張速度300mm/分、剥離角度180°にて初期接着力を測定した。
【0132】
2.再剥離性
ガスケットの片面(粘着面)に、厚み25μmのPETフィルムを貼り合わせ、25mm幅に切断してサンプルを作成した。サンプルの他方の粘着層をSUS304板に2kgローラを1往復させて貼り付け、温度:23℃、湿度:65%RHの環境下に240時間放置後、サンプルをSUS板から手で剥離した際のガスケットの破壊状況を観察した。このとき、ガスケットが破壊することなく、被着体との界面で剥離した場合を合格(○)、ガスケットが破壊して被着体に粘着層の残片が残った場合を不合格(×)とした。
【0133】
3.燃焼試験
UL規格「UL−94」に準拠。
すなわち、長さ5インチ×幅1インチで、厚さが最大のもの、厚さが最小のもの、厚さが中間の3種類の試料を作製して、以下の条件にて試験を実施した。なお、厚さが最大、最小、中間のそれぞれにおいて5個の試料を作製し、計15個の試料について試験を実施した。
試験雰囲気:大気中
点火:10秒間
試験手順:10秒接炎後、試験炎を取り去り炎焼(flaming)と余じん(glowing)時間を記録。30秒以内に火が止まったら、さらに10秒接炎。
【0134】
(評価基準)
UL規格「UL−94」に準拠。等級(5VA、5VB、V−0、V−1、V−2、HB)により評価。
【0135】
4.金属腐食性
1インチ×1インチのサイズのガスケットを銅板上に貼り付けて、加湿条件下(40℃×92%雰囲気下)に100時間放置した。加湿条件下から取り出し後、ガスケットを剥がして、銅板の表面を観察し、変色の有無を目視で確認した。
変色が認めらない場合を良(○)、変色が若干認められる場合を可(△)、変色が顕著である場合を不可(×)とした。
【0136】
5.ハロゲン含有量
JISK0127に準拠。
5ppm以上のCl、Br等のハロゲンが検出されたら不合格(×)、検出量が5ppm未満であれば合格(○)とした。
【0137】
実施例1
A成分であるポリオキシアルキレン系重合体、B成分であるヒドロシリル化合物(そのヒドロシリル基量がA成分のポリオキシアルキレン系重合体のアルケニル基量に対して官能基比で1:2となる量)、C成分であるヒドロシリル化触媒(A成分中のアルケニル基1molに対して0.04molとなる量)、D成分(ノンハロゲン系難燃剤)であるトリクレジルホスフェート(TCP)(A〜C成分の合計量100重量部に対して50重量部)及びロジンペンタエリスリトール(A〜C成分の合計量100重量部当たり25重量部)を含む組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム製離型シートの剥離処理面に塗布し、130℃で、10分間加熱処理、その上にポリエチレンテレフタレートフィルム製離型シートの剥離処理面を重ねて、厚さ1000μmの粘着シートを形成した。
【0138】
実施例2
トリクレジルホスフェート(TCP)の代わりに、ポリリン酸アンモニウム(APP)(A〜C成分の合計量100重量部に対して50重量部)を使用した以外は実施例1と同様にして粘着シートを形成した。
【0139】
実施例3
A〜C成分の合計量100重量部に対してトリクレジルホスフェート(TCP)を25重量部、ポリリン酸アンモニウム(APP)を25重量部使用した以外は実施例1と同様にして粘着シートを形成した。
【0140】
実施例4
実施例1で使用した、A〜C成分、トリクレジルホスフェート(TCP)及びロジンペンタエリスリトールを含む組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム製離型シートの剥離処理面に塗布し、130℃で、10分間加熱処理し、その上にポリテトラフルオロエチレンフィルム(厚み:130μm)のナトリウム処理面を重ねて、厚さ1000μmの粘着シートを形成した。
【0141】
実施例5
実施例2で使用した、A〜C成分、ポリリン酸アンモニウム(APP)及びロジンペンタエリスリトールを含む組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム製離型シートの剥離処理面に塗布し、130℃で、10分間加熱処理、その上にポリテトラフルオロエチレンフィルム(厚み:130μm)のナトリウム処理面を重ねて、厚さ1000μmの粘着シートを形成した。
【0142】
実施例6
実施例3で使用した、A〜C成分、トリクレジルホスフェート(TCP)、ポリリン酸アンモニウム(APP)、及びロジンペンタエリスリトールを含む組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム製離型シートの剥離処理面に塗布し、130℃で、10分間加熱処理、その上にポリテトラフルオロエチレンフィルム(厚み:130μm)のナトリウム処理面を重ねて、厚さ1000μmの粘着シートを形成した。
【0143】
実施例7
実施例1で使用した、A〜C成分、トリクレジルホスフェート(TCP)及びテルペンフェノール(A〜C成分の合計量100重量部当たり25重量部)を含む組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム製離型シート剥離処理面に塗布し、130℃で、10間加熱処理、その上にポリテトラフルオロエチレンフィルム(厚み:130μm)のナトリウム処理面を重ねて、厚さ1000μmの粘着シートを形成した。
【0144】
実施例8
アクリル酸ブチル共重合体溶液100重量部に対し、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製コロネートL−45、固形分45%)を1重量部、トリクレジルホスフェート(アクリル酸ブチル共重合体溶液とイソシアネート系架橋剤の合計量100重量部当たり50重量部)、ロジンペンタエリスリトール(アクリル酸ブチル共重合体溶液とイソシアネート系架橋剤の合計量100重量部当たり25重量部)を含む組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム製離型シート剥離処理面に塗布し、80℃で、3分間加熱処理、その上にポリテトラフルオロエチレンフィルム(厚み:130μm)のナトリウム処理面を重ねて、厚さ1000μmの粘着シートを形成した。
【0145】
実施例9
ロジンペンタエリスリトールの代わりに、テルペンフェノール(A〜C成分の合計量100重量部に対して25重量部)を使用した以外は実施例8と同様にして粘着シートを形成した。
【0146】
実施例10
シクロヘキシルアクリレート共重合体100重量部に対し、トリクレジルホスフェート(シクロヘキシルアクリレート共重合体100重量部当たり50重量部)を含む組成物を、シリコーン離型処理されたPETフィルムの間に塗布して挟み、片面から紫外線を照射(1mW/cmにて3分、その後 7mW/cmにて3分)して光重合を完了させ、
厚さ1000μmの粘着シートを形成した。
【0147】
実施例11
シクロヘキシルアクリレート共重合体100重量部に対し、トリクレジルホスフェート(シクロヘキシルアクリレート共重合体100重量部当たり50重量部)を含む組成物を、シリコーン離型処理されたPETフィルムの間に塗布して挟み、片面から紫外線を照射(1mW/cmにて3分、その後 7mW/cmにて3分)して光重合を完了させ、
片面のPETフィルムを剥がし、ポリテトラフルオロエチレンフィルム(厚み:130μm)のナトリウム処理面を重ねて、厚さ1000μmの粘着シートを形成した。
【0148】
実施例12
A成分であるポリオキシアルキレン系重合体、B成分であるヒドロシリル化合物(そのヒドロシリル基量がA成分のポリオキシアルキレン系重合体のアルケニル基量に対して官能基比で1:2となる量)、C成分であるヒドロシリル化触媒(A成分中のアルケニル基1molに対して0.04molとなる量)、D成分(ノンハロゲン系難燃剤)であるトリクレジルホスフェート(TCP)(A〜C成分の合計量100重量部に対して20重量部)及びポリリン酸アンモニウム(APP)(A〜C成分の合計量100重量部当たり50重量部)を含む組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム製離型シートの剥離処理面に塗布し、130℃で、10分間加熱処理し、その上にポリテトラフルオロエチレンフィルム(厚み:130μm)のナトリウム処理面を重ねて、厚さ1000μmの粘着シートを形成した。
【0149】
実施例13
実施例12で使用した組成物にさらにロジンペンタエリスリトール(A〜C成分の合計量100重量部当たり10重量部)を含有させた組成物を使用し、その他は実施例12と同様にして、厚さ1000μmの粘着シートを形成した。
【0150】
実施例14
実施例12で使用した組成物にさらにロジンペンタエリスリトール(A〜C成分の合計量100重量部当たり20重量部)を含有させた組成物を使用し、その他は実施例12と
同様にして、厚さ1000μmの粘着シートを形成した。
【0151】
比較例1
A成分であるポリオキシアルキレン系重合体、B成分であるヒドロシリル化合物(そのヒドロシリル基量がA成分のポリオキシアルキレン系重合体のアルケニル基量に対して官能基比で2:5となる量)、C成分であるヒドロシリル化触媒(A成分中のアルケニル基1molに対して1molとなる量)及びロジンペンタエリスリトール(A〜C成分の合計量100重量部当たり25重量部)を含む組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム製離型シートの剥離処理面に塗布し、その上にポリエチレンテレフタレートフィルム製離型シートの剥離処理面を重ねて、130℃で、10分間加熱処理することで、厚さ1000μmの粘着シートを形成した。
【0152】
比較例2
ウレタン樹脂溶液、多官能イソシアネート、ヘキサシクロブロモドデカン(ウレタン樹脂溶液、多官能イソシアネート成分の合計量100重量部当たり20重量部)を含む組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム製離型シートの剥離処理面に塗布し、100℃で、2分間加熱処理することで、厚さ1000μmの粘着シートを形成した。
【0153】
比較例3
ウレタン樹脂溶液、多官能イソシアネート、ヘキサシクロブロモドデカン(ウレタン樹脂溶液、多官能イソシアネート成分の合計量100重量部当たり20重量部)を含む組成物を、ポリテトラフルオロエチレンフィルム(厚み:130μm)のナトリウム処理面に塗布し、100℃で、2分間加熱処理することで、厚さ1000μmの粘着シートを形成した。
【0154】
比較例4
アクリル酸ブチル共重合体溶液100重量部に対し、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製コロネートL−45、固形分45%)を1部、ロジンペンタエリスリトー
ル(アクリル酸ブチル共重合体溶液とイソシアネート系架橋剤の合計量100重量部当たり25重量部)を含む組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム製離型シート剥離処理面に塗布し、80℃で、3分間加熱処理、その上にポリエチレンテレフタレートフィルム製離型シートの剥離処理面を重ねて、厚さ1000μmの粘着シートを形成した。
【0155】
以上の実施例1〜14、比較例1〜4で作製したそれぞれの粘着シートに対し、前述の試験を実施した。
【0156】
【表1】
【0157】
表1から分かるように、本発明のガスケットは、優れた難燃性を有していながら、ハロゲン原子を含まず、しかも、金属に接触させても金属の腐食を低く抑えることができる、難燃性ガスケットを達成する。特に、実施例4〜7のガスケットは、接触する金属を腐食させず、しかも、極めて高い難燃性を示す、高性能の難燃性ガスケットを達成していることがわかる。また、粘着付与樹脂の配合量を10〜20重量部とした実施例13〜14のガスケットは、再剥離性と難燃性を維持しつつ、製造上の課題である粘着シートの発泡の発生を抑制することができ、外観に優れたガスケットを得ることができた。
【符号の説明】
【0158】
1 ノンハロゲン系難燃剤含有粘着シート
2 基材フィルム
3 芯体フィルム
4 離型シート
10 ガスケット
10A、10B ガスケットの被着体への密着面
20、21 被着体
図1
図2
図3
図4
図5