(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763016
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】製麺用連続混合機
(51)【国際特許分類】
A21C 1/02 20060101AFI20150723BHJP
B01F 7/16 20060101ALI20150723BHJP
B01F 7/26 20060101ALI20150723BHJP
B01F 15/00 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
A21C1/02 B
B01F7/16 E
B01F7/16 J
B01F7/26 Z
B01F15/00 A
B01F15/00 D
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-147396(P2012-147396)
(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公開番号】特開2014-8022(P2014-8022A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2014年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】399131677
【氏名又は名称】トーキョーメンキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】小島 信之
(72)【発明者】
【氏名】大橋 常雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 渡
【審査官】
大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭63−043127(JP,B2)
【文献】
西独国特許出願公告第1134341(DE,B)
【文献】
特開昭60−041530(JP,A)
【文献】
特開2011−067780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 1/02
B01F 7/16
B01F 7/26
B01F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側面上端に周設したフランジを介して架台上に設置されるドラムと、前記ドラム内に内装される攪拌部と、前記ドラムに被装されるドラム蓋とから成り、
前記ドラムは、その中心部に攪拌軸を軸支する軸受部が隆起するように設けられると共に、前記軸受部を囲むように、半円形溝状で一部が開口されてドゥの出口が形成された環状混練室を備え、前記攪拌部は、前記攪拌軸と、混練羽根、周面スクレーパ及び天面スクレーパが設置されていて、裏面中心に前記攪拌軸の上端部が固定されることにより回転駆動される回転テーブルとから成り、
前記回転テーブルを、前記ドラムのフランジの内周径よりも小径にすると共に、前記フランジよりも高位置となるように配置することにより、前記回転テーブルの外周縁部と前記フランジの内周縁部との間に、手先を挿入するのに十分広い間隙が確保されるようにしたことを特徴とする製麺用連続混合機。
【請求項2】
前記ドラム蓋に、水供給用バルブと湯供給用バルブと添加物供給用バルブとが接続される、請求項1に記載の製麺用連続混合機。
【請求項3】
前記湯供給用バルブは前記添加物供給用バルブと兼用とされる、請求項2に記載の製麺用連続混合機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製麺用連続混合機に関するものであり、より詳細には、主にうどんやそば等の麺類を量産する製麺ラインにおいて、原料穀粉を供給するホッパーの下に配置されて、穀粉と水とを混捏してドゥを生成し、これを次工程の圧延装置に供給する製麺用連続混合機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に麺類は、穀粉と水を混捏してドゥ(そぼろ)を生成し、ドゥを圧延して麺帯とし、麺帯を切り出して麺線を形成し、その後、必要に応じた工程を経て製品化される。製麺用に使用される連続型混合機(加湿器)は、投入された穀粉を加湿しつつ混合することにより生成される。水平回転型の連続型混合機は、円筒ケースと、円筒ケース内に回転自在に軸支される羽根を備えた回転テーブルとから成り、ホッパーから円筒ケース内に定量ずつ投入される穀粉は、水平回転する回転テーブル上に落ちて周縁方向に移動しつつ加水され、回転テーブル外周面に配設される羽根によって混合される。
【0003】
この種製麺用連続混合機としては、例えば、特許文献1(特開2011−67780号公報)に記載の混練装置がある。この混練装置は、内部に回転駆動軸(20)に固定した回転混練盤(12)を収納配置してなる混練室(14)を設け、この混練室(14)の上部中央に回転混練盤(12)の中心部に指向して粉体を定量的に連続供給する粉体供給筒(22)を連通接続し、液体噴射ノズル(26)から混練室(12)内へ液体を供給しつつ、混練室(14)において回転混練盤(12)により粉体と液体との均質な混練を行うようにしたものである(
図8参照)。
【0004】
しかるに、この特許文献1に記載の混練装置の場合、掻出羽根(29)が摺動周回する混練室(14)の環状の内底面は、断面が五角形に形成されており、それに伴い、掻出羽根(29)の形状も五角形となっている。そのため、混練室(14)の内底面の角部にドゥの残渣が付着残留しやすく、混練室(14)及び掻出羽根(29)の清掃に手間がかかるという問題がある。また、混練室(14)の清掃に際しては、回転混練盤(12)を回転駆動軸(20)から外す必要があるが、特許文献1の混練装置の場合、回転混練盤(12)は混練室(14)の上面から落ち込んだ位置に配置されているため、取り出しにくいという欠点がある。
【0005】
更に、特許文献1に記載の混練装置の場合は、混練室(14)内へは単に、一対の液体噴射ノズル(26)又は1本の給液管(26´)から単に水が供給されるに過ぎず、例えば、水と共に添加物(色粉)を供給したり、水の代わりに湯を供給したりすることは想定されていない。
【0006】
また、他のこの種装置として、特許文献2(特公昭63−43127号公報)、特許文献3(特許第3835734号公報)、特許文献4(特許第4091462号公報)等に記載の混練装置があるが、いずれも上記特許文献1の場合と同様の欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−67780号公報
【特許文献2】特公昭63−43127号公報
【特許文献3】特許第3835734号公報
【特許文献4】特許第4091462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、従来提案され且つ実用化されている製麺用連続混合機(混練装置)の場合は、混練室の内底面にドゥの残渣が溜まりやすく、混練室及び回転混練盤の掻出羽根の清掃に手間がかかり、また、その清掃に際し、回転テーブルを回転駆動軸から外して取り出す操作が行いにくいという問題があり、また、混練室内へ水と共に添加物(色粉)を供給したり、水の代わりに湯を供給したりすることについての配慮がなされていない。
【0009】
本発明は、上記従来の製麺用連続混合機(混練装置)における諸問題を解決するためになされたもので、混練室の内底面を曲面としてドゥの残渣が溜まりにくくすることにより、混練室及び回転テーブル(回転混練盤)の混練羽根(掻出羽根)の清掃を容易化し、また、その清掃に際し、回転テーブルを攪拌軸(回転駆動軸)から外して取り出す操作が容易で、更に、混練室内へ水と共に添加物(色粉)を供給したり、水の代わりに湯を供給したりすることが可能な製麺用連続混合機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、外側面上端に周設したフランジを介して架台上に設置されるドラムと、前記ドラム内に内装される攪拌部と、前記ドラムに被装されるドラム蓋とから成り、前記ドラムは、その中心部に攪拌軸を軸支する軸受部が隆起するように設けられると共に、前記軸受部を囲むように、半円形溝状で一部が開口されてドゥの出口が形成された環状混練室を備え、前記攪拌部は、前記攪拌軸と、混練羽根、周面スクレーパ及び天面スクレーパが設置されていて、裏面中心に前記攪拌軸の上端部が固定されることにより回転駆動される回転テーブルとから成り、前記回転テーブル
を、前記ドラムのフランジの内周径よりも小径に
すると共に、前記フランジよりも高位置となるように配置
することにより、前記回転テーブルの外周縁部と前記フランジの内周縁部との間に、手先を挿入するのに十分広い間隙が確保されるようにしたことを特徴とする製麺用連続混合機である。
【0011】
一実施形態においては、前記ドラム蓋に、水供給用バルブと湯供給用バルブと添加物供給用バルブとが接続される。前記湯供給用バルブは、前記添加物供給用バルブと兼用とされることがある。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述したとおりであって、本発明に係る製麺用連続混合機においては、環状混練室が半円形溝状に形成されて角部がなく、また、混練羽根も外郭が曲線状となるために、共にドゥの残渣が付着残留しにくいものとなり、清掃が容易となるという効果があり、また、回転テーブルが、ドラムのフランジの内周径よりも小径にされると共に、フランジよりも高位置に配置されるため、回転テーブルの外周縁部とフランジの内周縁部との間に手先を挿入することで、ドラムの内部清掃等に際して回転テーブルの取り外し及び取り付け作業が容易となり、以て、ドラムの内部清掃作業の容易化並びに迅速化を実現し得る効果がある。
【0013】
更に、本発明に係る製麺用連続混合機においては、ドラム蓋に、水供給用バルブと湯供給用バルブと添加物供給用バルブとが接続されるため、環状混練室内に、水だけでなく、添加物(色粉)を供給することが可能となり、また、ドラムの内部清掃等に際してドラム内に湯を供給することが可能という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る製麺用連続混合機のミキサーとの配置関係を示す図である。
【
図2】本発明に係る製麺用連続混合機の一実施形態の斜視図である。
【
図3】本発明に係る製麺用連続混合機の一実施形態のドラム蓋を除いた状態の斜視図である。
【
図5】本発明に係る製麺用連続混合機の一実施形態の縦断面図である。
【
図6】本発明に係る製麺用連続混合機における回転テーブルの上面の構成を示す図である。
【
図7】
図6におけるA−A視図及びB−B視図である。
【
図8】従来の混練装置の一構成例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための形態について、添付図面に依拠して説明する。
図1は、本発明に係る製麺用連続混合機1と、製麺用連続混合機1に粉体を定量ずつ供給するためのミキサー2の位置関係を示すもので、ミキサー2のホッパー3内に投入された粉体は、ホッパー3内下部に設置された攪拌羽根で攪拌されつつ、粉体供給路4を介して定量ずつ製麺用連続混合機1に連続供給される。
【0016】
図2乃至
図7は製麺用連続混合機1の構成を示すもので、該製麺用連続混合機1は、大別して、架台11上に設置されるドラム12と、ドラム12に組み込まれる攪拌部と、ドラム12に被装されるドラム蓋13とで構成される。ドラム12はその上端部に外方に張り出すフランジ部14を有していて、そのフランジ部14が架台11の上面に載置されて固定される(特に
図5参照)。また、ドラム蓋13はその下端部に外方に張り出すフランジ部15を有していて、そのフランジ部15がドラム12のフランジ部14上に重合されて固定される。
【0017】
ドラム12には、その内底の中心部から隆起するように攪拌軸31を軸支する軸受部16が設けられると共に、軸受部16を囲むように環状混練室17が設けられる。環状混練室17は半円形溝状にされ、その一部が開口されてドゥの出口18が形成される。なお、ここにいう半円形溝状は、断面が真円の真半分の溝とは限らず、その断面が曲線状となる、例えば、図示した例のような、リンゴ形状(ハート形状)を二分したような形状をも含む意味でのものである。出口18には、ドゥを後続の圧延工程に導くための出口ダクト19が連設される。
【0018】
ドラム蓋13は、上記フランジ部15と、フランジ部15の内縁から立ち上がるソケット設置筒21と、ソケット設置筒21の中央部において立ち上がる受け筒22とから成る段状のものである。ソケット設置筒21には、水供給用バルブ24が接続されるソケット23と、湯供給用バルブ26が接続されるソケット25と、添加物(色粉)供給用バルブ28が接続されるソケット27とが設けられる。受け筒22には、ミキサー2から延びる粉体供給路4の下端部が接続される。
【0019】
図示した実施形態におけるソケット設置筒21には6つのソケットが設置され、そのうちの2つのソケット23は水供給用バルブ24接続用であり、他の2つのソケット25は湯供給用バルブ26接続用であり、残りの2つのソケット27は添加物(色粉)供給用バルブ28接続用である。なお、湯供給用バルブ26(ソケット25)を湯供給用と添加物供給用とに兼用可能にし、添加物供給用バルブ28(ソケット27)から供給される添加物とは異なる添加物を供給するようにすることもできる。
【0020】
ドラム12に組み込まれる攪拌機構は、ドラム12内に配置される攪拌部と、攪拌部を回転駆動する攪拌軸31とから成る。攪拌軸31は架台1内に配備される駆動モーター32に減速機構を介して連結され、その上部がドラム12の中心部の軸受部16によって軸支され、ドラム12内に露出するその上端部に攪拌部が取り付けられる。攪拌軸31は、架台11内を垂直方向に延びる軸筒33内に収められ、軸筒33の上端部に配置された軸受34によって軸支される。軸受34は、軸筒33の上端部に設置されて、ドラム12の底面を受ける受け板35の中心部に配備される。
【0021】
攪拌部は、攪拌軸31と、裏面に攪拌軸31の上端部が固定されるボス部42を有する回転テーブル41とから成り、回転テーブル41には、混練羽根43、周面スクレーパ44及び天面スクレーパ45が設置される。通例、これらの混練羽根43、周面スクレーパ44及び天面スクレーパ45は、それぞれ複数定間隔(定角度)置きに設置される。
【0022】
混練羽根43は、その外郭が環状混練室17の内周面に対応する曲線状に形成された板材で、回転テーブル41の裏面に、例えば、3個定間隔置きに設置される。混練羽根43は、回転テーブル41の回転に伴い、環状混練室17の内周面との間に僅かな間隙を保持して環状混練室17内を周回し、混練生成されたドゥを、出口18から出口ダクト19へと掻き出し排出する。
【0023】
周面スクレーパ44は、そのアームが回転テーブル41の上面に固定されることにより設置され、ドラム蓋13のソケット設置筒21内周面に、僅かな間隙を保持して対面するように配置される(
図5、6参照)。周面スクレーパ44は、例えば、3個定間隔置きに配設され、回転テーブル41の回転に伴い、ソケット設置筒21内周面に摺接してソケット設置筒21内周面に付着したドゥを掻き落とし、環状混練室17内に落下させる。
【0024】
天面スクレーパ45は、複数の混練ピン46を介して回転テーブル41上に、例えば、3個定間隔置きに配設される。その設置状態において、天面スクレーパ45とソケット設置筒21の内天面との間に僅かな間隙が保持されるようにされる。天面スクレーパ45は、回転テーブル41の回転に伴い、ソケット設置筒21の内天面に摺接して内天面に付着したドゥを掻き落とし、環状混練室17内に落下させる。
【0025】
また、天面スクレーパ45を支持する混練ピン46が、回転テーブル41の回転に伴って、例えば、700〜1500rpmの高速で周回することにより、粉体供給路4から回転テーブル41上に供給される粉体と、水供給用バルブ24から供給される水とが混練され、ドゥが生成される。本発明に係る製麺用連続混合機1の場合は、この混練に際して水のみならず、添加物供給用バルブ28から所望の添加物を供給することができ、ドゥ生成時に所望の色付けや味付けを行うことができる。
【0026】
回転テーブル41の径は、ドラム12のフランジ部14の内周径よりも小径にされると共に、フランジ部14よりも高位置となるように配置される(
図5参照)。そのような設定及び位置関係とすることにより、回転テーブル41の外周縁部とフランジ部14の内周縁部との間に、手先を挿入するのに十分広い間隙dが確保される。かくして、回転テーブル41を外して行う分解掃除等の際に、その間隙dに手先を挿入することが可能となるため、回転テーブル41を取り外して持ち上げる作業が容易となる。また、ドラム12内の清掃に際しては、湯供給用バルブ26から湯を供給して効率よく清掃を行うことが可能である。
【0027】
上記構成の本発明に係る製麺用連続混合機1の場合、架台1内に配備されるモーター5が作動して攪拌軸31が回転駆動されると、攪拌軸31の上端に固定されている回転テーブル41が高速水平回転し、粉体供給路4から回転テーブル41上に供給される粉体は、回転テーブル41の周縁方向に移送されつつ、水供給用バルブ24から供給される水と混ざり合い、高速回転する混練ピン46によって混練されてドゥが生成される。生成されたドゥは、回転テーブル41の周縁から環状混練室17内に落ちて、更に混練羽根43によって混練されつつ、出口18から出口ダクト19へと排出され、次工程の圧延工程へと送られる。
【0028】
そして、ソケット設置筒21の内天面に付着したドゥは、天面スクレーパ45によって掻き落とされ、ソケット設置筒21の周側面に付着したドゥは、周面スクレーパ44によって掻き落とされ、環状混練室17内に落とし込まれる。また、環状混練室17は半円形溝状であるため、ドゥが付着残留しにくく、清掃が楽である。
【0029】
上述したように本発明に係る製麺用連続混合機は、主にうどんやそば等の麺類を量産する製麺ラインに組み込まれるものであり、上記説明もそれに応じたものであるが、その用途に限定されるものではなく、パンや菓子の生地、その他粉体と水とを混練する必要のある種々の用途に利用し得るものである。
【0030】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに更に異なる実施形態を構成することができることは言うまでもない。従って、この発明は、添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
【符号の説明】
【0031】
1 製麺用連続混合機
4 粉体供給路
11 架台
12 ドラム
13 ドラム蓋
14、15 フランジ部
18 出口
19 出口ダクト
21 ソケット設置筒
22 受け筒22
23、25、27 ソケット
24 水供給用バルブ
26 湯供給用バルブ
28 添加物(色粉)供給用バルブ
31 攪拌軸
32 駆動モーター
33 軸筒
34 軸受
35 受け板
41 回転テーブル
42 ボス部
43 混練羽根
44 周面スクレーパ
45 天面スクレーパ
46 混練ピン