特許第5763077号(P5763077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763077
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】トール様受容体のモジュレーター
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20150723BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20150723BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20150723BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20150723BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20150723BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20150723BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20150723BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20150723BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20150723BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20150723BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   C07D471/04 120
   C07D471/04CSP
   A61K31/4985
   A61P1/04
   A61P1/16
   A61P11/02
   A61P11/06
   A61P31/12
   A61P31/16
   A61P31/18
   A61P31/20
   A61P35/00
【請求項の数】13
【全頁数】76
(21)【出願番号】特願2012-528926(P2012-528926)
(86)(22)【出願日】2010年9月10日
(65)【公表番号】特表2013-504593(P2013-504593A)
(43)【公表日】2013年2月7日
(86)【国際出願番号】US2010048424
(87)【国際公開番号】WO2011031965
(87)【国際公開日】20110317
【審査請求日】2013年9月9日
(31)【優先権主張番号】61/242,194
(32)【優先日】2009年9月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500029420
【氏名又は名称】ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100062409
【弁理士】
【氏名又は名称】安村 高明
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ハルコム, ランドル エル.
(72)【発明者】
【氏名】ラダル, ポール エー.
【審査官】 深谷 良範
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−528989(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/019553(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/005687(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/135791(WO,A1)
【文献】 特表2012−511577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D,A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化36】
またはその薬学的に許容される塩
(式中、
−O−あり、
は、〜CアルキルまたはC〜Cヘテロアルキルあり、
Zは、Hまたはハロゲンあり
は、〜Cアルキレンあり、
Dは、各Rおよび(L−R)の結合点に対する開放原子価を有する〜C14アリールあり、
各Lは、〜Cアルキレンあり、
各Rは、独立に−NRであり、
mは、1あり
nはあり、
およびRは、それぞれであるか、また
およびRは、これらが結合している炭素と一緒になって、−C(=O)形成し、
およびRは、これら両方が結合している窒素と一緒になって非置換である3〜8員の複素環を形成し、それらはN、O、S、またはPから選択される1つまたは複数の追加のヘテロ原子を含有してもよ)。
【請求項2】
−CHである、請求項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
Dがフェニルである、請求項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
−CHである、請求項1からのいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
以下:
【化42】
からなる群より選択される請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
請求項1からに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩と、1つまたは複数の薬学的に許容される担体または添加剤とを含む医薬組成物。
【請求項7】
1つまたは複数の追加の治療薬をさらに含む、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
請求項1からに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、ウイルス感染症を治療するための組成物。
【請求項9】
前記治療により、ウイルス量の減少またはウイルスRNAのクリアランスの1つまたは複数がもたらされる、請求項に記載の組成物。
【請求項10】
ウイルス感染症の治療用の医薬品の製造のための、請求項1からに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項11】
前記治療により、ウイルス量の減少またはウイルスRNAのクリアランスの1つまたは複数がもたらされる、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
請求項1からに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、黒色腫、非小細胞肺癌、肝細胞癌、基底細胞癌、腎細胞癌、骨髄腫、アレルギー性鼻炎、喘息、COPD、潰瘍性大腸炎、肝線維症、HBV、HCV、HPV、RSV、SARS、HIV、またはインフルエンザを治療または予防するための組成物。
【請求項13】
黒色腫、非小細胞肺癌、肝細胞癌、基底細胞癌、腎細胞癌、骨髄腫、アレルギー性鼻炎、喘息、COPD、潰瘍性大腸炎、肝線維症、HBV、HCV、HPV、RSV、SARS、HIV、またはインフルエンザの治療または予防用の医薬品を製造するための、請求項1からに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、トール様受容体(例えばTLR−7など)を選択的に調節する3−デアザプテリジノン誘導体および医薬組成物、ならびにそうした化合物を作製および使用する方法に全般的に関する。
【背景技術】
【0002】
先天免疫系は、侵入する病原体に対する身体の第一線防御となる。先天免疫応答において、侵入する病原菌は、生殖細胞系列にコードされた受容体によって認識され、この活性化により、サイトカインの発現を誘導させることになるシグナル伝達カスケードが開始される。先天免疫反応受容体は、広範な特異性を有し、異なる病原体間で高度に保存されている分子構造を認識する。これら受容体の1つのファミリーは、これらがDrosophilaにおいて最初に確認され、命名された受容体と相同性があることから、トール様受容体(TLR)として公知であり、例えばマクロファージ、樹枝状細胞、および上皮細胞などの細胞内に存在する。
【0003】
哺乳動物において少なくとも10種の異なるTLRが存在する。リガンドおよび対応するシグナル伝達カスケードが、これら受容体のいくつかに対して同定された。例えば、TLR−2は、細菌(例えば、E.coli.)のリポタンパク質により活性化され、TLR−3は、二本鎖のRNAにより活性化され、TLR−4は、グラム陰性細菌(例えば、SalmonellaおよびE.coli O157:H7)のリポポリサッカリド(すなわち、LPSまたは内毒素)により活性化され、TLR−5は、運動性細菌(例えば、Listeria)のフラジェリン(fragellin)により活性化され、TLR−7は、イミキモド(およびssRNA)を認識しかつこれに応答し、TLR−9は、病原菌DNAの非メチル化したCpG配列により活性化される。これら受容体のそれぞれの刺激によって、サイトカイン遺伝子(腫瘍ネクローシス因子−α(TNF−α)、インターロイキン−1(IL−1)、および特定のケモカインをコードしているものを包含する)の発現の調整に関与している転写因子NF−kBおよび他のシグナル伝達分子が活性化されることになる。TLR−7アゴニストは、免疫賦活剤であり、in vivoでの内因性インターフェロンαの産生を誘発する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
TLRに関連付けられる多数の疾患、障害、および状態が存在するので、TLRアゴニストを用いた治療法は、有望であると考えられており、これには、黒色腫、非小細胞肺癌、肝細胞癌、基底細胞癌、腎細胞癌、骨髄腫、アレルギー性鼻炎、喘息、COPD、潰瘍性大腸炎、肝線維症、およびウイルス感染症、例えばHBV、HCV、HPV、RSV、SARS、HIV、またはインフルエンザなどが含まれるが、これらに限定されない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、式Iの化合物:
【0006】
【化1】
【0007】
またはその薬学的に許容される塩(式中、
は、−NR−、−O−、−S−、−N(R)C(O)−、−S(O)−、−S(O)−、または共有結合であり、
は、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、または置換ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルアルケニル、置換カルボシクリルアルケニル、カルボシクリルアルキニル、置換カルボシクリルアルキニル、ヘテロシクリルアルケニル、置換ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキリル(heterocyclylalkylyl)、置換ヘテロアルキリル(heteroalkylyl)、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、アリールアルキニル、置換アリールアルキニル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキリル(heteroarylalkylyl)、置換ヘテロアリールアルキニル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキルであり、
Zは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリルアルキル、または置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキル、シアノ、アジド、−C(O)H、−C(O)R、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、−C(O)OR、または−C(O)NR10であり、
各非水素Zは、Xとつながることによって、追加の5〜8員の炭素環または複素環式環を形成してもよく、
は、アルキレン、置換アルキレン、ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、アルキニレン、置換アルキニレン、カルボシクリレン、置換カルボシクリレン、ヘテロシクリレン、置換ヘテロシクリレン、−NR−、−O−、−C(O)−、−S(O)−、−S(O)−、または共有結合であり、
Dは、各Rおよび(L−R)の結合点に対する開放原子価(open valence)を有するカルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールであり、
各Lは、独立に、アルキレン、置換アルキレン、ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、アルキニレン、置換アルキニレン、カルボシクリレン、置換カルボシクリレン、ヘテロシクリレン、置換ヘテロシクリレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アリーレン−アルキレン、ヘテロアリーレン−アルキレン、アリーレン−ヘテロアルキレン、置換アリーレン−ヘテロアルキレン、ヘテロアリーレン−ヘテロアルキレン、置換ヘテロアリーレン−ヘテロアルキレン、または共有結合であり、
各Rは、独立に−NRであり、
mは、1または2であり、
各Rは、独立に、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、=O、−OR、−SR、−NR10、=NR、=NOR、=NNR、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO、=N、−N、−NRC(=O)R、−NRC(=O)OR、−NRC(=O)NR10、−C(=O)NR10、−C(=O)OR、−OC(=O)NR10、−OC(=O)OR、−C(=O)R、−S(=O)OR、−S(=O)、−OS(=O)OR、−S(=O)NR10、−S(=O)R、−NRS(=O)、−NRS(=O)NR10、−NRS(=O)OR、−OS(O)NR10、−OP(=O)(OR、−P(=O)(OR、−P(O)(OR)(R)、−P(O)R10、−OP(=))R10、−C(=S)R、−C(=S)OR、−C(=O)SR、−C(=S)SR、−C(=S)NR10、−C(=NR)NR10、または−NRC(=NR)NR10であり、
nは、十分な結合点が存在するように、示されている環Dのサイズに応じて、0、1、2、3、4または5であり、
およびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルアルケニル、置換カルボシクリルアルケニル、カルボシクリルアルキニル、置換カルボシクリルアルキニル、ヘテロシクリルアルケニル、置換ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキリル、置換ヘテロアルキリル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、アリールアルキニル、置換アリールアルキニル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキリル、置換ヘテロアリールアルキニル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキル、シアノ、アジド、−OH、アルコキシ、−C(O)H、−C(O)R、−SR、−S(O)R、−S(O)、−C(O)OR、または−C(O)NR10であるか、または
およびRは、これら両方が結合している炭素と一緒になって、置換されているかまたは非置換である3〜8員の炭素環または複素環を形成するか、または
およびRは、これらが結合している炭素と一緒になって、−C(=O)、−C(=NR)、−C(=NOR)、または−C(=NNR)を形成し、
およびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルアルケニル、置換カルボシクリルアルケニル、カルボシクリルアルキニル、置換カルボシクリルアルキニル、ヘテロシクリルアルケニル、置換ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキリル、置換ヘテロアルキリル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、アリールアルキニル、置換アリールアルキニル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキリル、置換ヘテロアリールアルキニル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキル、−C(O)H、−C(O)R、−S(O)R、−S(O)、−C(O)OR、または−C(O)NR10、S(O)NR10であるか、または
およびRは、これら両方が結合している窒素と一緒になって、置換されているかまたは非置換である3〜8員の複素環を形成し、それらはN、O、S、またはPから選択される1つまたは複数の追加のヘテロ原子を含有してもよく、または
は、Lと、これら両方が結合しているNと一緒になって、置換されているかまたは非置換である3〜8員の複素環を形成し、それらは、N、O、S、またはPから選択される1つまたは複数の追加のヘテロ原子を含有してもよく、または
は、RおよびLの両方が結合しているNと、DとLと一緒になって、置換されているかまたは非置換である5〜15員の複素環またはヘテロアリールを形成し、それらは、N、O、S、またはPから選択される1つまたは複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよく、
は、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルアルケニル、置換カルボシクリルアルケニル、カルボシクリルアルキニル、置換カルボシクリルアルキニル、ヘテロシクリルアルケニル、置換ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキリル、置換ヘテロアルキリル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、アリールアルキニル、置換アリールアルキニル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキリル、置換ヘテロアリールアルキニル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキルであり、
およびR10は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルアルケニル、置換カルボシクリルアルケニル、カルボシクリルアルキニル、置換カルボシクリルアルキニル、ヘテロシクリルアルケニル、置換ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキリル、置換ヘテロアルキリル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、アリールアルキニル、置換アリールアルキニル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキリル、置換ヘテロアリールアルキニル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキルであるか、または
およびR10は、これら両方が結合している原子と一緒になって、置換されているかまたは非置換である3〜8員の複素環を形成する)を含む。
【0008】
本発明の一実施形態では、式Iaの化合物:
【0009】
【化2】
【0010】
またはその薬学的に許容される塩(式中、
は、−NH−または−O−であり、
は、H、アルキル、置換アルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、または置換ヘテロシクリルアルキルであり、
は、アルキレン、置換アルキレン、ヘテロアルキレン、または置換ヘテロアルキレンであり、
Dは、アリールまたはヘテロアリールであり、
nは、0、1または2であり、
各Rは、独立に、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、=O、−OR、−SR、−NR10、=NR、=NOR、=NNR、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO、=N、−N、−NRC(=O)R、−NRC(=O)OR、−NRC(=O)NR10、−C(=O)NR10、−C(=O)OR、−OC(=O)NR10、−OC(=O)OR、−C(=O)R、−S(=O)OR、−S(=O)、−OS(=O)OR、−S(=O)NR10、−S(=O)R、−NRS(=O)、−NRS(=O)NR10、−NRS(=O)OR、−OS(O)NR10、−OP(=O)(OR、−P(=O)(OR、−P(O)(OR)(R)、−P(O)R10、−OP(=))R10、−C(=S)R、−C(=S)OR、−C(=O)SR、−C(=S)SR、−C(=S)NR10、−C(=NR)NR10、または−NRC(=NR)NR10であり、
mは、1または2であり、
およびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、または置換ヘテロアルキルであり、
は、アルキレンまたはヘテロアルキレンであり、
Zは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、シアノ、アジド、−C(O)H、−C(O)R、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、−C(O)OR、または−C(O)NR10であり、
は、−NRであり、
およびRのそれぞれは、独立に、H、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、または置換ヘテロアリールアルキルであるか、またはこれらが結合している窒素と一緒になって、置換されているかまたは非置換である3〜8員のヘテロシクリルを形成し、
、RおよびR10は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルアルケニル、置換カルボシクリルアルケニル、カルボシクリルアルキニル、置換カルボシクリルアルキニル、ヘテロシクリルアルケニル、置換ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキリル、置換ヘテロアルキリル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、アリールアルキニル、置換アリールアルキニル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキリル、置換ヘテロアリールアルキニル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキルである)を含む。
【0011】
本発明の別の実施形態では、式Ibの化合物:
【0012】
【化3】
【0013】
またはその薬学的に許容される塩(式中、
は、−NH−または−O−であり、
は、H、アルキル、置換アルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキルであり、
は、アルキレン、置換アルキレン、ヘテロアルキレン、または置換ヘテロアルキレンであり、
Dは、アリールまたはヘテロアリールであり、
nは、0、1または2であり、
各Rは、独立に、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、=O、−OR、−SR、−NR10、=NR、=NOR、=NNR、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO、=N、−N、−NRC(=O)R、−NRC(=O)OR、−NRC(=O)NR10、−C(=O)NR10、−C(=O)OR、−OC(=O)NR10、−OC(=O)OR、−C(=O)R、−S(=O)OR、−S(=O)、−OS(=O)OR、−S(=O)NR10、−S(=O)R、−NRS(=O)、−NRS(=O)NR10、−NRS(=O)OR、−OS(O)NR10、−OP(=O)(OR、−P(=O)(OR、−P(O)(OR)(R)、−P(O)R10、−OP(=))R10、−C(=S)R、−C(=S)OR、−C(=O)SR、−C(=S)SR、−C(=S)NR10、−C(=NR)NR10、または−NRC(=NR)NR10であり、
mは、1または2であり、
およびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、または置換ヘテロアルキルであり、
は、アルキレンまたはヘテロアルキレンであり、
Zは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、シアノ、アジド、−C(O)H、−C(O)R、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、−C(O)OR、または−C(O)NR10であり、
は、−NRであり、
およびRは、これらが結合している窒素と一緒になって、置換されているかまたは非置換である3〜8員のヘテロシクリルを形成し、
、RおよびR10は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルアルケニル、置換カルボシクリルアルケニル、カルボシクリルアルキニル、置換カルボシクリルアルキニル、ヘテロシクリルアルケニル、置換ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキリル、置換ヘテロアルキリル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、アリールアルキニル、置換アリールアルキニル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキリル、置換ヘテロアリールアルキニル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキルである)を含む。
【0014】
本発明の別の実施形態では、式Icの化合物:
【0015】
【化4】
【0016】
またはその薬学的に許容される塩(式中、
は、−NH−または−O−であり、
は、H、アルキル、置換アルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキルであり、
は、アルキレン、置換アルキレン、ヘテロアルキレン、または置換ヘテロアルキレンであり、
Dは、アリールまたはヘテロアリールであり、
nは、0、1または2であり、
各Rは、独立に、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、=O、−OR、−SR、−NR10、=NR、=NOR、=NNR、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO、=N、−N、−NRC(=O)R、−NRC(=O)OR、−NRC(=O)NR10、−C(=O)NR10、−C(=O)OR、−OC(=O)NR10、−OC(=O)OR、−C(=O)R、−S(=O)OR、−S(=O)、−OS(=O)OR、−S(=O)NR10、−S(=O)R、−NRS(=O)、−NRS(=O)NR10、−NRS(=O)OR、−OS(O)NR10、−OP(=O)(OR、−P(=O)(OR、−P(O)(OR)(R)、−P(O)R10、−OP(=))R10、−C(=S)R、−C(=S)OR、−C(=O)SR、−C(=S)SR、−C(=S)NR10、−C(=NR)NR10、または−NRC(=NR)NR10であり、
mは、1または2であり、
およびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、または置換ヘテロアルキルであり、
は、アルキレンまたはヘテロアルキレンであり、
Zは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、シアノ、アジド、−C(O)H、−C(O)R、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、−C(O)OR、または−C(O)NR10であり、
は、−NRであり、
は、H、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、または置換ヘテロアリールアルキルであるか、または、Rと、これらが結合している窒素と一緒になって置換されているかまたは非置換である3〜8員のヘテロシクリルを形成するか、または、
は、RおよびLの両方が結合しているNと、DとLと一緒になって、置換されているかまたは非置換である5〜15員の複素環またはヘテロアリールを形成し、それらは、N、O、S、またはPから選択される1つまたは複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよく、
、RおよびR10は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルアルケニル、置換カルボシクリルアルケニル、カルボシクリルアルキニル、置換カルボシクリルアルキニル、ヘテロシクリルアルケニル、置換ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキリル、置換ヘテロアルキリル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、アリールアルキニル、置換アリールアルキニル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキリル、置換ヘテロアリールアルキニル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキルである)を含む。
【0017】
本発明の別の実施形態では、式Idの化合物:
【0018】
【化5】
【0019】
またはその薬学的に許容される塩(式中、
は、−NH−または−O−であり、
は、H、アルキル、置換アルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、または置換ヘテロシクリルアルキルであり、
は、アルキレン、置換アルキレン、ヘテロアルキレン、または置換ヘテロアルキレンであり、
Dは、アリールまたはヘテロアリールであり、
nは、0、1または2であり、
各Rは、独立に、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、=O、−OR、−SR、−NR10、=NR、=NOR、=NNR、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO、=N、−N、−NRC(=O)R、−NRC(=O)OR、−NRC(=O)NR10、−C(=O)NR10、−C(=O)OR、−OC(=O)NR10、−OC(=O)OR、−C(=O)R、−S(=O)OR、−S(=O)、−OS(=O)OR、−S(=O)NR10、−S(=O)R、−NRS(=O)、−NRS(=O)NR10、−NRS(=O)OR、−OS(O)NR10、−OP(=O)(OR、−P(=O)(OR、−P(O)(OR)(R)、−P(O)R10、−OP(=))R10、−C(=S)R、−C(=S)OR、−C(=O)SR、−C(=S)SR、−C(=S)NR10、−C(=NR)NR10、または−NRC(=NR)NR10であり、
mは、1または2であり、
およびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、または置換ヘテロアルキルであり、
は、アリーレン−アルキレン、ヘテロアリーレン−アルキレン、アリーレン−ヘテロアルキレン、またはヘテロアリーレン−ヘテロアルキレンであり、それらはそれぞれ任意選択で置換されていてもよく、
Zは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、シアノ、アジド、−C(O)H、−C(O)R、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、−C(O)OR、または−C(O)NR10であり、
は、−NRであり、
およびRのそれぞれは、独立に、H、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、または置換ヘテロアリールアルキルであるか、またはこれらが結合している窒素と一緒になって、置換されているかまたは非置換である3〜8員のヘテロシクリルを形成し、
、RおよびR10は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルアルケニル、置換カルボシクリルアルケニル、カルボシクリルアルキニル、置換カルボシクリルアルキニル、ヘテロシクリルアルケニル、置換ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキリル、置換ヘテロアルキリル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、アリールアルキニル、置換アリールアルキニル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキリル、置換ヘテロアリールアルキニル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキルである)を含む。
【0020】
本発明の別の実施形態では、式Ieの化合物:
【0021】
【化6】
【0022】
またはその薬学的に許容される塩(式中、
は、−NH−または−O−であり、
は、H、アルキル、置換アルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、または置換ヘテロシクリルアルキルであり、
は、アルキレン、置換アルキレン、ヘテロアルキレン、または置換ヘテロアルキレンであり、
Dは、アリールまたはヘテロアリールであり、
nは、0、1または2であり、
各Rは、独立に、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、=O、−OR、−SR、−NR10、=NR、=NOR、=NNR、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO、=N、−N、−NRC(=O)R、−NRC(=O)OR、−NRC(=O)NR10、−C(=O)NR10、−C(=O)OR、−OC(=O)NR10、−OC(=O)OR、−C(=O)R、−S(=O)OR、−S(=O)、−OS(=O)OR、−S(=O)NR10、−S(=O)R、−NRS(=O)、−NRS(=O)NR10、−NRS(=O)OR、−OS(O)NR10、−OP(=O)(OR、−P(=O)(OR、−P(O)(OR)(R)、−P(O)R10、−OP(=))R10、−C(=S)R、−C(=S)OR、−C(=O)SR、−C(=S)SR、−C(=S)NR10、−C(=NR)NR10、または−NRC(=NR)NR10であり、
mは、1または2であり、
は、アルキレンまたはヘテロアルキレンであり、
Zは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、シアノ、アジド、−C(O)H、−C(O)R、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、−C(O)OR、または−C(O)NR10であり、
は、−NRであり、
およびRのそれぞれは、独立に、H、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、または置換ヘテロアリールアルキルであるか、またはこれらが結合している窒素と一緒になって、置換されているかまたは非置換である3〜8員のヘテロシクリルを形成し、
およびRは、これらが結合している炭素と一緒になって、−C(=O)を形成し、
、RおよびR10は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルアルケニル、置換カルボシクリルアルケニル、カルボシクリルアルキニル、置換カルボシクリルアルキニル、ヘテロシクリルアルケニル、置換ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキリル、置換ヘテロアルキリル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、アリールアルキニル、置換アリールアルキニル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキリル、置換ヘテロアリールアルキニル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキルである)を含む。
【0023】
他の態様および実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、Lは、酸素である。
【0024】
他の態様および実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、Xは、アルキレンである。
【0025】
他の態様および実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、Dは、アリールである。さらなる実施形態では、Dは、フェニルである。
【0026】
他の態様および実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、Lは、アルキレンである。
【0027】
本発明の別の態様は、本発明の化合物および1つまたは複数の薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。さらなる実施形態において、この組成物は、1つまたは複数の追加の治療薬をさらに含む。
【0028】
本発明の別の態様は、ウイルス感染症を治療するための方法における本発明の化合物を含む。一実施形態では、治療は、ウイルス量の減少またはウイルスRNAのクリアランスの1つまたは複数をもたらす。
【0029】
本発明の別の態様は、ウイルス感染症の治療用の医薬品の製造に使用するための本発明の化合物を含む。
【0030】
本発明の別の態様は、ウイルス感染症の治療において使用するための本発明の化合物を含む。
【0031】
一実施形態では、治療するためのそうした使用または化合物のいずれかが、ウイルス量の減少またはウイルスRNAのクリアランスの1つまたは複数をもたらす。
【0032】
本発明の別の態様は、黒色腫、非小細胞肺癌、肝細胞癌、基底細胞癌、腎細胞癌、骨髄腫、アレルギー性鼻炎、喘息、COPD、潰瘍性大腸炎、肝線維症、HBV、HCV、HPV、RSV、SARS、HIV、またはインフルエンザを治療または予防するための方法における本発明の化合物を含む。
【0033】
本発明の別の態様は、黒色腫、非小細胞肺癌、肝細胞癌、基底細胞癌、腎細胞癌、骨髄腫、アレルギー性鼻炎、喘息、COPD、潰瘍性大腸炎、肝線維症、HBV、HCV、HPV、RSV、SARS、HIV、またはインフルエンザの治療または予防用の医薬品の製造に使用するための本発明の化合物を含む。
【0034】
理論に束縛されることを望まないが、発明者らは現在、式Iの化合物は、TLR−7のアゴニストであり、他のTLRのアゴニストでもあり得ると考える。
【0035】
記述されているように、本発明の態様は、本発明の化合物および1つもしくは複数の薬学的に許容される担体または添加剤を含む医薬組成物を含む。本発明の医薬組成物は、1つまたは複数の追加の治療薬をさらに含むことができる。その1つまたは複数の追加の治療薬は、これらに限定されないが、インターフェロン、リバビリンもしくはその類似体、HCV NS3プロテアーゼ阻害剤、αグルコシダーゼ1阻害剤、肝臓保護剤、HCV NS5Bポリメラーゼのヌクレオシドもしくはヌクレオチド阻害剤、HCV NS5Bポリメラーゼの非ヌクレオシド阻害剤、HCV NS5A阻害剤、HCV NS4A阻害剤、HCV NS4B阻害剤、TLR−7アゴニスト、サイクロフィリン阻害剤、HCV IRES阻害剤、薬物動力学的増強剤およびHCV治療用の他の薬物、またはこれらの混合物から選択することができる。
【0036】
記述されているように、本発明の態様は、本発明の化合物を投与するステップを含むウイルス感染症を治療するための方法を含む。化合物は、それを必要とするヒト被験体、例えばFlaviviridaeファミリーのウイルス、例えばC型肝炎ウイルスなどに感染しているヒトに投与する。一実施形態では、ウイルス感染症は急性または慢性のHCV感染である。一実施形態では、治療は、ウイルス量の減少またはウイルスRNAのクリアランスの1つまたは複数をもたらす。本明細書で上に記述されているように、TLRに関連付けられる多数の疾患、障害、および状態が存在するので、TLRアゴニストを用いた治療法は、有望であると考えられており、これには、黒色腫、非小細胞肺癌、肝細胞癌、基底細胞癌、腎臓細胞癌、骨髄腫、アレルギー性鼻炎、喘息、COPD、潰瘍性大腸炎、肝線維症、およびウイルス感染症、例えばHBV、HCV、HPV、RSV、SARS、HIV、またはインフルエンザなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
記述されているように、本発明の態様は、ウイルス感染症の治療用の医薬品の製造のための、本発明による化合物の使用を含む。本発明の別の態様は、ウイルス感染症の治療に使用するための本発明による化合物を含む。一実施形態では、上記ウイルス感染症は、急性または慢性のHCV感染症である。一実施形態では、上記治療は、ウイルス量の減少またはウイルスRNAのクリアランスの1つまたは複数をもたらす。一実施形態では、上記ウイルス感染症は、急性または慢性のHBV感染症である。一実施形態では、上記治療は、ウイルス量の減少またはウイルスRNAのクリアランスの1つまたは複数をもたらす。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
式Iの化合物:
【化36】

またはその薬学的に許容される塩
(式中、
は、−NR−、−O−、−S−、−N(R)C(O)−、−S(O)−、−S(O)−、または共有結合であり、
は、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、または置換ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルアルケニル、置換カルボシクリルアルケニル、カルボシクリルアルキニル、置換カルボシクリルアルキニル、ヘテロシクリルアルケニル、置換ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキリル、置換ヘテロアルキリル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、アリールアルキニル、置換アリールアルキニル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキリル、置換ヘテロアリールアルキニル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキルであり、
Zは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリルアルキル、または置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキル、シアノ、アジド、−C(O)H、−C(O)R、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、−C(O)OR、または−C(O)NR10であり、
各非水素Zは、Xとつながることによって、追加の5〜8員の炭素環または複素環式環を形成してもよく、
は、アルキレン、置換アルキレン、ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、アルキニレン、置換アルキニレン、カルボシクリレン、置換カルボシクリレン、ヘテロシクリレン、置換ヘテロシクリレン、−NR−、−O−、−C(O)−、−S(O)−、−S(O)−、または共有結合であり、
Dは、各Rおよび(L−R)の結合点に対する開放原子価を有するカルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールであり、
各Lは、独立に、アルキレン、置換アルキレン、ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、アルキニレン、置換アルキニレン、カルボシクリレン、置換カルボシクリレン、ヘテロシクリレン、置換ヘテロシクリレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アリーレン−アルキレン、ヘテロアリーレン−アルキレン、アリーレン−ヘテロアルキレン、置換アリーレン−ヘテロアルキレン、ヘテロアリーレン−ヘテロアルキレン、置換ヘテロアリーレン−ヘテロアルキレン、または共有結合であり、
各Rは、独立に−NRであり、
mは、1または2であり、
各Rは、独立に、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、=O、−OR、−SR、−NR10、=NR、=NOR、=NNR、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO、=N、−N、−NRC(=O)R、−NRC(=O)OR、−NRC(=O)NR10、−C(=O)NR10、−C(=O)OR、−OC(=O)NR10、−OC(=O)OR、−C(=O)R、−S(=O)OR、−S(=O)、−OS(=O)OR、−S(=O)NR10、−S(=O)R、−NRS(=O)、−NRS(=O)NR10、−NRS(=O)OR、−OS(O)NR10、−OP(=O)(OR、−P(=O)(OR、−P(O)(OR)(R)、−P(O)R10、−OP(=))R10、−C(=S)R、−C(=S)OR、−C(=O)SR、−C(=S)SR、−C(=S)NR10、−C(=NR)NR10、または−NRC(=NR)NR10であり、
nは、十分な結合点が存在するように、示されている環Dのサイズに応じて、0、1、2、3、4または5であり、
およびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルアルケニル、置換カルボシクリルアルケニル、カルボシクリルアルキニル、置換カルボシクリルアルキニル、ヘテロシクリルアルケニル、置換ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキリル、置換ヘテロアルキリル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、アリールアルキニル、置換アリールアルキニル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキリル、置換ヘテロアリールアルキニル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキル、シアノ、アジド、−OH、アルコキシ、−C(O)H、−C(O)R、−SR、−S(O)R、−S(O)、−C(O)OR、または−C(O)NR10であるか、または
およびRは、これら両方が結合している炭素と一緒になって、置換されているかまたは非置換である3〜8員の炭素環または複素環を形成するか、または
およびRは、これらが結合している炭素と一緒になって、−C(=O)、−C(=NR)、−C(=NOR)、または−C(=NNR)を形成し、
およびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルアルケニル、置換カルボシクリルアルケニル、カルボシクリルアルキニル、置換カルボシクリルアルキニル、ヘテロシクリルアルケニル、置換ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキリル、置換ヘテロアルキリル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、アリールアルキニル、置換アリールアルキニル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキリル、置換ヘテロアリールアルキニル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキル、−C(O)H、−C(O)R、−S(O)R、−S(O)、−C(O)OR、または−C(O)NR10、S(O)NR10であるか、または
およびRは、これら両方が結合している窒素と一緒になって、置換されているかまたは非置換である3〜8員の複素環を形成し、それらはN、O、S、またはPから選択される1つまたは複数の追加のヘテロ原子を含有してもよく、または
は、Lと、これら両方が結合しているNと一緒になって、置換されているかまたは非置換である3〜8員の複素環を形成し、それらは、N、O、S、またはPから選択される1つまたは複数の追加のヘテロ原子を含有してもよく、または
は、RおよびLの両方が結合しているNと、DとLと一緒になって、置換されているかまたは非置換である5〜15員の複素環またはヘテロアリールを形成し、それらは、N、O、S、またはPから選択される1つまたは複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよく、
は、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルアルケニル、置換カルボシクリルアルケニル、カルボシクリルアルキニル、置換カルボシクリルアルキニル、ヘテロシクリルアルケニル、置換ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキリル、置換ヘテロアルキリル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、アリールアルキニル、置換アリールアルキニル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキリル、置換ヘテロアリールアルキニル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキルであり、
およびR10は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルアルケニル、置換カルボシクリルアルケニル、カルボシクリルアルキニル、置換カルボシクリルアルキニル、ヘテロシクリルアルケニル、置換ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキリル、置換ヘテロアルキリル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、アリールアルキニル、置換アリールアルキニル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキリル、置換ヘテロアリールアルキニル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキルであるか、または
およびR10は、これら両方が結合している原子と一緒になって、置換されているかまたは非置換である3〜8員の複素環を形成する)。
(項目2)
式Iaの化合物:
【化37】

またはその薬学的に許容される塩
(式中、
は、−NH−または−O−であり、
は、H、アルキル、置換アルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、または置換ヘテロシクリルアルキルであり、
は、アルキレン、置換アルキレン、ヘテロアルキレン、または置換ヘテロアルキレンであり、
Dは、アリールまたはヘテロアリールであり、
nは、0、1または2であり、
各Rは、独立に、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、=O、−OR、−SR、−NR10、=NR、=NOR、=NNR、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO、=N、−N、−NRC(=O)R、−NRC(=O)OR、−NRC(=O)NR10、−C(=O)NR10、−C(=O)OR、−OC(=O)NR10、−OC(=O)OR、−C(=O)R、−S(=O)OR、−S(=O)、−OS(=O)OR、−S(=O)NR10、−S(=O)R、−NRS(=O)、−NRS(=O)NR10、−NRS(=O)OR、−OS(O)NR10、−OP(=O)(OR、−P(=O)(OR、−P(O)(OR)(R)、−P(O)R10、−OP(=))R10、−C(=S)R、−C(=S)OR、−C(=O)SR、−C(=S)SR、−C(=S)NR10、−C(=NR)NR10、または−NRC(=NR)NR10であり、
mは、1または2であり、
およびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、または置換ヘテロアルキルであり、
は、アルキレンまたはヘテロアルキレンであり、
Zは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、シアノ、アジド、−C(O)H、−C(O)R、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、−C(O)OR、または−C(O)NR10であり、
は、−NRであり、
およびRのそれぞれは、独立に、H、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、または置換ヘテロアリールアルキルであるか、またはこれらが結合している窒素と一緒になって、置換されているかまたは非置換である3〜8員のヘテロシクリルを形成し、
、RおよびR10は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルアルケニル、置換カルボシクリルアルケニル、カルボシクリルアルキニル、置換カルボシクリルアルキニル、ヘテロシクリルアルケニル、置換ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキリル、置換ヘテロアルキリル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、アリールアルキニル、置換アリールアルキニル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキリル、置換ヘテロアリールアルキニル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキルである)。
(項目3)
式Ibの化合物:
【化38】

またはその薬学的に許容される塩
(式中、
は、−NH−または−O−であり、
は、H、アルキル、置換アルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキルであり、
は、アルキレン、置換アルキレン、ヘテロアルキレン、または置換ヘテロアルキレンであり、
Dは、アリールまたはヘテロアリールであり、
nは、0、1または2であり、
各Rは、独立に、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、=O、−OR、−SR、−NR10、=NR、=NOR、=NNR、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO、=N、−N、−NRC(=O)R、−NRC(=O)OR、−NRC(=O)NR10、−C(=O)NR10、−C(=O)OR、−OC(=O)NR10、−OC(=O)OR、−C(=O)R、−S(=O)OR、−S(=O)、−OS(=O)OR、−S(=O)NR10、−S(=O)R、−NRS(=O)、−NRS(=O)NR10、−NRS(=O)OR、−OS(O)NR10、−OP(=O)(OR、−P(=O)(OR、−P(O)(OR)(R)、−P(O)R10、−OP(=))R10、−C(=S)R、−C(=S)OR、−C(=O)SR、−C(=S)SR、−C(=S)NR10、−C(=NR)NR10、または−NRC(=NR)NR10であり、
mは、1または2であり、
およびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、または置換ヘテロアルキルであり、
は、アルキレンまたはヘテロアルキレンであり、
Zは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、シアノ、アジド、−C(O)H、−C(O)R、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、−C(O)OR、または−C(O)NR10であり、
は、−NRであり、
およびRは、これらが結合している窒素と一緒になって、置換されているかまたは非置換である3〜8員のヘテロシクリルを形成し、
、RおよびR10は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルアルケニル、置換カルボシクリルアルケニル、カルボシクリルアルキニル、置換カルボシクリルアルキニル、ヘテロシクリルアルケニル、置換ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキリル、置換ヘテロアルキリル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、アリールアルキニル、置換アリールアルキニル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキリル、置換ヘテロアリールアルキニル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキルである)。
(項目4)
式Icの化合物:
【化39】

またはその薬学的に許容される塩
(式中、
は、−NH−または−O−であり、
は、H、アルキル、置換アルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキルであり、
は、アルキレン、置換アルキレン、ヘテロアルキレン、または置換ヘテロアルキレンであり、
Dは、アリールまたはヘテロアリールであり、
nは、0、1または2であり、
各Rは、独立に、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、=O、−OR、−SR、−NR10、=NR、=NOR、=NNR、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO、=N、−N、−NRC(=O)R、−NRC(=O)OR、−NRC(=O)NR10、−C(=O)NR10、−C(=O)OR、−OC(=O)NR10、−OC(=O)OR、−C(=O)R、−S(=O)OR、−S(=O)、−OS(=O)OR、−S(=O)NR10、−S(=O)R、−NRS(=O)、−NRS(=O)NR10、−NRS(=O)OR、−OS(O)NR10、−OP(=O)(OR、−P(=O)(OR、−P(O)(OR)(R)、−P(O)R10、−OP(=))R10、−C(=S)R、−C(=S)OR、−C(=O)SR、−C(=S)SR、−C(=S)NR10、−C(=NR)NR10、または−NRC(=NR)NR10であり、
mは、1または2であり、
およびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、または置換ヘテロアルキルであり、
は、アルキレンまたはヘテロアルキレンであり、
Zは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、シアノ、アジド、−C(O)H、−C(O)R、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、−C(O)OR、または−C(O)NR10であり、
は、−NRであり、
は、H、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、または置換ヘテロアリールアルキルであるか、またはRと、これらが結合している窒素と一緒になって置換されているかまたは非置換である3〜8員のヘテロシクリルを形成するか、または
は、RおよびLの両方が結合しているNと、DとLと一緒になって、置換されているかまたは非置換である5〜15員の複素環またはヘテロアリールを形成し、それらは、N、O、S、またはPから選択される1つまたは複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよく、
、RおよびR10は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルアルケニル、置換カルボシクリルアルケニル、カルボシクリルアルキニル、置換カルボシクリルアルキニル、ヘテロシクリルアルケニル、置換ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキリル、置換ヘテロアルキリル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、アリールアルキニル、置換アリールアルキニル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキリル、置換ヘテロアリールアルキニル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキルである)。
(項目5)
式Idの化合物:
【化40】

またはその薬学的に許容される塩
(式中、
は、−NH−または−O−であり、
は、H、アルキル、置換アルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、または置換ヘテロシクリルアルキルであり、
は、アルキレン、置換アルキレン、ヘテロアルキレン、または置換ヘテロアルキレンであり、
Dは、アリールまたはヘテロアリールであり、
nは、0、1または2であり、
各Rは、独立に、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、=O、−OR、−SR、−NR10、=NR、=NOR、=NNR、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO、=N、−N、−NRC(=O)R、−NRC(=O)OR、−NRC(=O)NR10、−C(=O)NR10、−C(=O)OR、−OC(=O)NR10、−OC(=O)OR、−C(=O)R、−S(=O)OR、−S(=O)、−OS(=O)OR、−S(=O)NR10、−S(=O)R、−NRS(=O)、−NRS(=O)NR10、−NRS(=O)OR、−OS(O)NR10、−OP(=O)(OR、−P(=O)(OR、−P(O)(OR)(R)、−P(O)R10、−OP(=))R10、−C(=S)R、−C(=S)OR、−C(=O)SR、−C(=S)SR、−C(=S)NR10、−C(=NR)NR10、または−NRC(=NR)NR10であり、
mは、1または2であり、
およびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、または置換ヘテロアルキルであり、
は、アリーレン−アルキレン、ヘテロアリーレン−アルキレン、アリーレン−ヘテロアルキレン、またはヘテロアリーレン−ヘテロアルキレンであり、それらはそれぞれ任意選択で置換されていてもよく、
Zは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、シアノ、アジド、−C(O)H、−C(O)R、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、−C(O)OR、または−C(O)NR10であり、
は、−NRであり、
およびRのそれぞれは、独立に、H、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、または置換ヘテロアリールアルキルであるか、またはこれらが結合している窒素と一緒になって、置換されているかまたは非置換である3〜8員のヘテロシクリルを形成し、
、RおよびR10は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルアルケニル、置換カルボシクリルアルケニル、カルボシクリルアルキニル、置換カルボシクリルアルキニル、ヘテロシクリルアルケニル、置換ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキリル、置換ヘテロアルキリル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、アリールアルキニル、置換アリールアルキニル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキリル、置換ヘテロアリールアルキニル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキルである)。
(項目6)
式Ieの化合物:
【化41】

またはその薬学的に許容される塩
(式中、
は、−NH−または−O−であり、
は、H、アルキル、置換アルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、または置換ヘテロシクリルアルキルであり、
は、アルキレン、置換アルキレン、ヘテロアルキレン、または置換ヘテロアルキレンであり、
Dは、アリールまたはヘテロアリールであり、
nは、0、1または2であり、
各Rは、独立に、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、=O、−OR、−SR、−NR10、=NR、=NOR、=NNR、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO、=N、−N、−NRC(=O)R、−NRC(=O)OR、−NRC(=O)NR10、−C(=O)NR10、−C(=O)OR、−OC(=O)NR10、−OC(=O)OR、−C(=O)R、−S(=O)OR、−S(=O)、−OS(=O)OR、−S(=O)NR10、−S(=O)R、−NRS(=O)、−NRS(=O)NR10、−NRS(=O)OR、−OS(O)NR10、−OP(=O)(OR、−P(=O)(OR、−P(O)(OR)(R)、−P(O)R10、−OP(=))R10、−C(=S)R、−C(=S)OR、−C(=O)SR、−C(=S)SR、−C(=S)NR10、−C(=NR)NR10、または−NRC(=NR)NR10であり、
mは、1または2であり、
は、アルキレンまたはヘテロアルキレンであり、
Zは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、シアノ、アジド、−C(O)H、−C(O)R、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、−C(O)OR、または−C(O)NR10であり、
は、−NRであり、
およびRのそれぞれは、独立に、H、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、または置換ヘテロアリールアルキルであるか、またはこれらが結合している窒素と一緒になって、置換されているかまたは非置換である3〜8員のヘテロシクリルを形成し、RおよびRは、これらが結合している炭素と一緒になって、−C(=O)を形成し、R、RおよびR10は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルアルケニル、置換カルボシクリルアルケニル、カルボシクリルアルキニル、置換カルボシクリルアルキニル、ヘテロシクリルアルケニル、置換ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキリル、置換ヘテロアルキリル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、アリールアルキニル、置換アリールアルキニル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキリル、置換ヘテロアリールアルキニル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキルである)。
(項目7)
が酸素である、項目1から6のいずれか一項に記載の化合物。
(項目8)
がアルキレンである、項目1から7のいずれか一項に記載の化合物。
(項目9)
Dがアリールである、項目1から8のいずれか一項に記載の化合物。
(項目10)
Dがフェニルである、項目9に記載の化合物。
(項目11)
がアルキレンである、項目1から10のいずれか一項に記載の化合物。
(項目12)
項目1から11に記載の化合物と、1つまたは複数の薬学的に許容される担体または添加剤とを含む医薬組成物。
(項目13)
1つまたは複数の追加の治療薬をさらに含む、項目12に記載の医薬組成物。
(項目14)
項目1から11に記載の化合物を投与するステップを含む、ウイルス感染症を治療するための方法。
(項目15)
前記治療が、ウイルス量の減少またはウイルスRNAのクリアランスの1つまたは複数をもたらす、項目14に記載の方法。
(項目16)
ウイルス感染症の治療用の医薬品の製造のための、項目1から11に記載の化合物の使用。
(項目17)
ウイルス感染症の治療における使用のための、項目1から11に記載の化合物。
(項目18)
前記治療が、ウイルス量の減少またはウイルスRNAのクリアランスの1つまたは複数をもたらす、項目16または17に記載の使用または化合物。
(項目19)
項目1から11に記載の化合物を投与するステップを含む、黒色腫、非小細胞肺癌、肝細胞癌、基底細胞癌、腎細胞癌、骨髄腫、アレルギー性鼻炎、喘息、COPD、潰瘍性大腸炎、肝線維症、HBV、HCV、HPV、RSV、SARS、HIV、またはインフルエンザを治療または予防するための方法。
(項目20)
黒色腫、非小細胞肺癌、肝細胞癌、基底細胞癌、腎細胞癌、骨髄腫、アレルギー性鼻炎、喘息、COPD、潰瘍性大腸炎、肝線維症、HBV、HCV、HPV、RSV、SARS、HIV、またはインフルエンザの治療または予防用の医薬品を製造するための、項目1から11に記載の化合物の使用。
【0038】
本発明は、本明細書を通して本明細書で説明される態様および実施形態の組合せ、ならびに選択を含む。
【発明を実施するための形態】
【0039】
詳細な説明
ここで、本発明の特定の請求項について詳細に論及を行うが、その例を添付の構造および式で例示する。本発明を、列挙される請求項と共に説明するが、それらは、本発明をそうした請求項に限定しようとするものではないことが理解される。それどころか、本発明は、請求項により定義される本発明の範囲内に含まれ得るすべての代替形態、改変形態、および同等物を包含するものとする。
【0040】
本明細書で参照するすべての文献は、それぞれ、すべての目的でその全体が参照により援用される。
【0041】
定義
別段の言及のない限り、本明細書で用いる以下の用語および語句は、以下の意味を有するものとする。特定の用語または語句が具体的に定義されていないということが、不定性または明瞭さの欠如と相互に関連づけられるべきではなく、むしろ本明細書での用語は、その通常の意味の範囲で用いられる。本明細書で商標名が用いられている場合、出願者らは、商標名製品および商標名製品の活性な薬剤成分を独立に含めようとするものである。
【0042】
「治療する(treating)」という用語およびその文法的同等物は、疾患を治療するという状況で使用される場合、疾患の進行を遅延させるもしくは停止させる、または疾患の少なくとも1つの症状を改善すること、より好ましくは疾患の2つ以上の症状を改善することを意味する。例えば、C型肝炎ウイルス感染症の治療は、HCVに感染したヒトのHCVウイルス量を減少させ、かつ/またはHCVに感染したヒトに見られる黄疸の重症度を軽減することを含むことができる。
【0043】
本明細書で使用する場合、「本発明の化合物」または「式Iまたは式Iaの化合物」とは、その代替形態、例えば溶媒和形態、水和形態、エステル化形態、またはその生理学的機能性誘導体などを含めた式IまたはIaの化合物を意味する。本発明の化合物はまた、その互変異性体形態、例えば本明細書で説明する互変異性体の「エノール」などを含む。同様に、単離可能な中間体に関して、「式(数)の化合物」という語句は、その式およびその代替形態の化合物を意味する。
【0044】
「アルキル」はノルマル、第二、第三または環状炭素原子を含む炭化水素である。例えばアルキル基は、1〜20個の炭素原子(すなわち、C〜C20アルキル)、1〜10個の炭素原子(すなわち、C〜C10アルキル)または1〜6個の炭素原子(すなわち、C〜Cアルキル)を有することができる。適切なアルキル基の例には、これらに限定されないが、メチル(Me、−CH)、エチル(Et、−CHCH)、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CHCHCH)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CHCHCHCH)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CHCH(CH)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH)CHCH)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CHCHCHCHCH)、2−ペンチル(−CH(CH)CHCHCH)、3−ペンチル(−CH(CHCH)、2−メチル−2−ブチル(−C(CHCHCH)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH)CH(CH)、3−メチル−1−ブチル(−CHCHCH(CH)、2−メチル−1−ブチル(−CHCH(CH)CHCH)、1−ヘキシル(−CHCHCHCHCHCH)、2−ヘキシル(−CH(CH)CHCHCHCH)、3−ヘキシル(−CH(CHCH)(CHCHCH))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CHCHCHCH)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CH(CH)CHCH)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CHCH(CH)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH)(CHCH)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CHCH)CH(CH)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CHCH(CH)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH)C(CH)、およびオクチル(−(CHCH)が含まれる。
【0045】
「アルコキシ」は、上記定義のアルキル基が酸素原子を介して親分子と結合している式−O−アルキルを有する基を意味する。アルコキシ基のアルキル部分は、1〜20個の炭素原子(すなわち、C〜C20アルコキシ)、1〜12個の炭素原子(すなわち、C〜C12アルコキシ)または1〜6個の炭素原子(すなわち、C〜Cアルコキシ)を有することができる。適切なアルコキシ基の例には、これらに限定されないが、メトキシ(−O−CHまたは−OMe)、エトキシ(−OCHCHまたは−OEt)、t−ブトキシ(−O−C(CHまたは−OtBu)などが含まれる。
【0046】
「ハロアルキル」は、アルキル基の1つまたは複数の水素原子がハロゲン原子で置き換えられている上記定義のアルキル基である。ハロアルキル基のアルキル部分は、1〜20個の炭素原子(すなわち、C〜C20ハロアルキル)、1〜12個の炭素原子(すなわち、C〜C12ハロアルキル)または1〜6個の炭素原子(すなわち、C〜Cアルキル)を有することができる。適切なハロアルキル基の例には、これらに限定されないが、−CF、−CHF、−CFH、−CHCFなどが含まれる。
【0047】
「アルケニル」は、少なくとも1つの不飽和の部位、すなわち炭素−炭素、sp2二重結合を有するノルマル、第二、第三または環状炭素原子を含む炭化水素である。例えば、アルケニル基は、2〜20個の炭素原子(すなわち、C〜C20アルケニル)、2〜12個の炭素原子(すなわち、C〜C12アルケニル)または2〜6個の炭素原子(すなわち、C〜Cアルケニル)を有することができる。適切なアルケニル基の例には、これらに限定されないが、ビニル(−CH=CH)、アリル(−CHCH=CH)、シクロペンテニル(−C)および5−ヘキセニル(−CHCHCHCHCH=CH)が含まれる。
【0048】
「アルキニル」は、少なくとも1つの不飽和の部位、すなわち炭素−炭素、sp三重結合を有するノルマル、第二、第三または環状炭素原子を含む炭化水素である。例えば、アルキニル基は、2〜20個の炭素原子(すなわち、C〜C20アルキニル)、2〜12個の炭素原子(すなわち、C〜C12アルキン)または2〜6個の炭素原子(すなわち、C〜Cアルキニル)を有することができる。適切なアルキニル基の例には、これらに限定されないが、アセチレンの(−C≡CH)、プロパルギル(−CHC≡CH)などが含まれる。
【0049】
「アルキレン」は、親アルカンの同じかもしくは2個の異なる炭素原子から2個の水素原子を取り除いて得られる2つの一価基中心(monovalent radical center)を有する飽和の有枝鎖状または直鎖状または環状炭化水素基を指す。例えば、アルキレン基は、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子または1〜6個の炭素原子を有することができる。典型的なアルキレン基には、これらに限定されないが、メチレン(−CH−)、1,1−エチレン(−CH(CH)−)、1,2−エチレン(−CHCH−)、1,1−プロピレン(−CH(CHCH)−)、1,2−プロピレン(−CHCH(CH)−)、1,3−プロピレン(−CHCHCH−)、1,4−ブチレン(−CHCHCHCH−)などが含まれる。
【0050】
「アルケニレン」は、親アルケンの同じかもしくは2個の異なる炭素原子から2個の水素原子を取り除いて得られる2つの一価基中心を有する不飽和の有枝鎖状または直鎖状または環状炭化水素基を指す。例えば、アルケニレン基は、2〜20個の炭素原子、2〜10個の炭素原子または2〜6個の炭素原子を有することができる。典型的なアルケニレン基には、これらに限定されないが、1,2−エチレン(−CH=CH−)が含まれる。
【0051】
「アルキニレン」は、親アルキンの同じかもしくは2個の異なる炭素原子から2個の水素原子を取り除いて得られる2つの一価基中心を有する不飽和の有枝鎖状または直鎖状または環状炭化水素基を指す。例えば、アルキニレン基は、2〜20個の炭素原子、2〜10個の炭素原子または2〜6個の炭素原子を有することができる。典型的なアルキニレン基には、これらに限定されないが、アセチレン(−C≡C−)、プロパルギル(−CHC≡C−)、および4−ペンチニル(−CHCHCHC≡C−)が含まれる。
【0052】
「アミノアルキル」は、炭素原子、一般には末端またはsp3炭素原子と結合している水素原子の1つがアミノ基で置き換えられている、非環状アルキル基を指す。
【0053】
「アミドアルキル」は、炭素原子、一般には末端またはsp3炭素原子と結合している水素原子の1つが−NRCOR基で置き換えられている非環状アルキル基を指し、Rは水素またはアルキルであり、Rは本明細書で定義されたアルキル、置換アルキル、アリール、または置換アリール、例えば、−(CH−NHC(O)CH、−(CH−NH−C(O)−CHなどである。
【0054】
「アリール」は、親芳香環系の単一の炭素原子から1個の水素原子を取り除いて得られる一価の芳香族炭化水素基を意味する。例えば、アリール基は、6〜20個の炭素原子、6〜14個の炭素原子、または6〜12個の炭素原子を有することができる。典型的なアリール基には、これらに限定されないが、ベンゼン(例えば、フェニル)、置換ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニルなどから誘導された基が含まれる。
【0055】
「アリーレン」は、親アリールの同じかもしくは2個の異なる炭素原子から2個の水素原子を取り除いて得られる2つの一価基中心を有する上記定義のアリールを指す。典型的なアリーレン基には、これらに限定されないが、フェニレンが含まれる。
【0056】
「アリールアルキル」は、炭素原子、一般には末端またはsp3炭素原子と結合している水素原子の1つがアリール基で置き換えられている非環状アルキル基を指す。典型的なアリールアルキル基には、これらに限定されないが、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イルなどが含まれる。アリールアルキル基は6〜20個の炭素原子を含むことができ、例えば、そのアルキル部分は1〜6個の炭素原子であり、そのアリール部分は6〜14個の炭素原子である。
【0057】
「アリールアルケニル」は、炭素原子、一般には末端またはsp3炭素原子であるが、さらにはsp2炭素原子でもある炭素原子と結合している水素原子の1つがアリール基で置き換えられている非環状アルケニル基を指す。アリールアルケニルのアリール部分は、例えば本明細書で開示されているアリール基のいずれかを含むことができ、アリールアルケニルのアルケニル部分は、例えば本明細書で開示されているアルケニル基のいずれかを含むことができる。アリールアルケニル基は、8〜20個の炭素原子を含むことができ、例えばそのアルケニル部分は2〜6個の炭素原子であり、そのアリール部分は6〜14個の炭素原子である。
【0058】
「アリールアルキニル」は、炭素原子、一般には末端またはsp3炭素原子であるが、さらにはsp炭素原子でもある炭素原子と結合している水素原子の1つがアリール基で置き換えられている非環状アルキニル基を指す。アリールアルキニルのアリール部分は、例えば本明細書で開示されているアリール基のいずれかを含むことができ、アリールアルキニルのアルキニル部分は、例えば本明細書で開示されているアルキニル基のいずれかを含むことができる。アリールアルキニル基は、8〜20個の炭素原子を含むことができ、例えばそのアルキニル部分は2〜6個の炭素原子であり、そのアリール部分は6〜14個の炭素原子である。
【0059】
「ハロゲン」は、F、Cl、Br、またはIを指す。
【0060】
本明細書で用いる「ハロアルコキシ」という用語は、Rが本明細書で定義するハロアルキル基である基−ORを指す。非限定的な例として、ハロアルコキシ基には、−O(CH)F、−O(CH)F、および−OCFが含まれる。
【0061】
「ヘテロアルキル」は、1つまたは複数の炭素原子がO、N、またはSなどのヘテロ原子で置き換えられているアルキル基を指す。例えば、親分子に結合しているアルキル基の炭素原子がヘテロ原子(例えばO、N、P、またはS)で置き換えられる場合、得られるヘテロアルキル基は、それぞれ、アルコキシ基(例えば−OCHなど)、アミン(例えば−NHCH、−N(CHなど)、またはチオアルキル基(例えば−SCH)である。親分子に結合していないアルキル基の非末端炭素原子がヘテロ原子(例えば、O、N、P、またはS)で置き換えられる場合、得られるヘテロアルキル基は、それぞれ、アルキルエーテル(例えば−CHCH−O−CHなど)、アルキルアミン(例えば−CHNHCH、−CHN(CHなど)、またはチオアルキルエーテル(例えば−CH−S−CH)である。アルキル基の末端炭素原子がヘテロ原子(例えばO、NまたはS)で置き換えられる場合、得られるヘテロアルキル基は、それぞれ、ヒドロキシアルキル基(例えば、−CHCH−OH)、アミノアルキル基(例えば−CHNH)、またはアルキルチオール基(例えば、−CHCH−SH)である。ヘテロアルキル基は、例えば1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、または1〜6個の炭素原子を有することができる。C−Cヘテロアルキル基とは、1〜6個の炭素原子を有するヘテロアルキル基を意味する。
【0062】
「複素環」または「ヘテロシクリル」は、1〜14個の炭素原子と、N、S、P、もしくはOから選択される1〜6個のヘテロ原子とを有する飽和または部分的に飽和した環状基を指し、縮合、橋かけ、およびスピロ型の環系を含む単環系および多環系を含む。本明細書で用いる「複素環」または「ヘテロシクリル」には、例としてこれらに限定されないが、Paquette,Leo A.;Principles of Modern Heterocyclic Chemistry(W.A.Benjamin、New York、1968年)、特に1、3、4、6、7および9章;「The Chemistry of Heterocyclic Compounds、A Series of Monographs」(John Wiley & Sons、New York、1950年から現在まで)、特に13、14、16、19および28巻;ならびにJ.Am.Chem.Soc.(1960年)82巻:5566頁に記載されている複素環が含まれる。一実施形態では、複素環基の炭素、窒素、リン、またはイオウ原子は酸化されて、C(=O)、N−オキシド、ホスフィナン(phosphinane)オキシド、スルフィニル、またはスルホニル部分を提供してもよい。
【0063】
一例として、置換ヘテロシクリルには、例えば、オキソ基を含む本明細書で開示される置換基のいずれかで置換された複素環が含まれる。カルボニル置換ヘテロシクリルの非限定的な例は、
【0064】
【化7】
【0065】
である。
【0066】
複素環の例には、例としてこれらに限定されないが、ジヒドロキシピリジル(dihydroypyridyl)、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、テトラヒドロチオフェニル、イオウが酸化されているテトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、アゼチジニル、2−ピロリドニル、テトラヒドロフラニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、ピラニル、モルホリニル、およびビス−テトラヒドロフラニル:
【0067】
【化8】
【0068】
が含まれる。
【0069】
「ヘテロシクリレン」は、ヘテロシクリルの炭素原子またはヘテロ原子からの水素原子を開放原子価で置き換えることによって得られる、本明細書で定義されたヘテロシクリルを指す。同様に、「ヘテロアリーレン」は、芳香族ヘテロシクリレンを指す。
【0070】
「ヘテロシクリルアルキル」は、炭素原子、一般には末端またはsp3炭素原子と結合している水素原子の1つがヘテロシクリル基(すなわち、ヘテロシクリル−アルキレン−部分)で置き換えられている非環状アルキル基を指す。典型的なヘテロシクリルアルキル基にはこれらに限定されないがヘテロシクリル−CH−、2−(ヘテロシクリル)エタン−1−イルなどが含まれ、ここで「ヘテロシクリル」部分には、Principles of Modern Heterocyclic Chemistryに記載されているものを含む上述したヘテロシクリル基のいずれかが含まれる。当業者は、ヘテロシクリル基が、炭素−炭素結合または炭素−ヘテロ原子結合によって、ヘテロシクリルアルキルのアルキル部分に結合できることも理解する。ただし、得られる基は化学的に安定であるものとする。ヘテロシクリルアルキル基は2〜20個の炭素原子および1〜6個のヘテロ原子を含む。例えば、ヘテロシクリルアルキル基のアルキル部分は、1〜6個の炭素原子を含み、ヘテロシクリル部分は、1〜14個の炭素原子を含む。ヘテロシクリルアルキルの例には、例えば、これらに限定されないが、イオウ、酸素、リン、および/または窒素を含有する5員の複素環(例えばピロリジイルメチル、2−テトラヒドロフラニリルエタン−1−イルなど)、ならびにイオウ、酸素、および/または窒素を含有する6員の複素環(例えばピペリジニルメチル、モルホリニルメチル、ピペリジニルエチル、テトラヒドロピラニルエチル)などが含まれる。
【0071】
「ヘテロシクリルアルケニル」は、炭素原子、一般には末端またはsp3炭素原子であるが、さらにはsp2炭素原子でもある炭素原子と結合している水素原子の1つが、ヘテロシクリル基(すなわち、ヘテロシクリル−アルケニレン−部分)で置き換えられている非環状アルケニル基を指す。ヘテロシクリルアルケニル基のヘテロシクリル部分には、Principles of Modern Heterocyclic Chemistryに記載されているものを含む上述したヘテロシクリル基のいずれかが含まれ、ヘテロシクリルアルケニル基のアルケニル部分には、本明細書で開示されているアルケニル基のいずれかが含まれる。当業者は、ヘテロシクリル基が炭素−炭素結合または炭素−ヘテロ原子結合によって、ヘテロシクリルアルケニルのアルケニル部分に結合できることも理解する。ただし、得られる基は化学的に安定であるものとする。ヘテロシクリルアルケニル基は、2〜20個の炭素原子を含む。例えば、ヘテロシクリルアルケニル基のアルケニル部分は2〜6個の炭素原子を含み、ヘテロシクリル部分は、1〜14個の炭素原子を含む。
【0072】
「ヘテロシクリルアルキニル」は、炭素原子、一般には末端またはsp3炭素原子であるが、さらにはsp炭素原子でもある炭素原子と結合している水素原子の1つが、ヘテロシクリル基(すなわち、ヘテロシクリル−アルキニレン−部分)で置き換えられている非環状アルキニル基を指す。ヘテロシクリルアルキニル基のヘテロシクリル部分には、Principles of Modern Heterocyclic Chemistryに記載されているものを含む上述したヘテロシクリル基のいずれかが含まれ、ヘテロシクリルアルキニル基のアルキニル部分には、本明細書で開示されているアルキニル基のいずれかが含まれる。当業者は、ヘテロシクリル基が炭素−炭素結合または炭素−ヘテロ原子結合によって、ヘテロシクリルアルキニルのアルキニル部分に結合できることも理解する。ただし、得られる基は化学的に安定であるものとする。ヘテロシクリルアルキニル基は、3〜20個の炭素原子を含む。例えば、ヘテロシクリルアルキニル基のアルキニル部分は2〜6個の炭素原子を含み、ヘテロシクリル部分は、1〜14個の炭素原子を含む。
【0073】
「ヘテロアリール」は、環内に少なくとも1つのヘテロ原子を有する一価の芳香族ヘテロシクリルを指す。したがって、「ヘテロアリール」は、1〜14個の炭素原子と、酸素、窒素、イオウ、またはリンから選択される1〜6個のヘテロ原子からなる芳香族基を指す。多環系については、例を挙げると、「ヘテロアリール」という用語は、芳香族および非芳香族環を有する縮合、橋かけおよびスピロ型の環系を含む。一実施形態では、ヘテロアリール基の炭素、窒素、イオウまたはリン環原子は、酸化されてC(=O)、N−オキシド、スルフィニル、またはスルホニル部分を提供していてよい。
【0074】
ヘテロアリールの例には、これらに限定されないが、ピリジル、チアゾリル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、チエニル、チアントレニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチニル(phenoxathinyl)、2H−ピロリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、1H−インダゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、4aH−カルバゾリル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、オキシインドリル、ベンゾオキサゾリニル、およびイサチノイルが含まれる。
【0075】
「炭素環」または「カルボシクリル」は、単環としては3〜7個の炭素原子、二環としては7〜12個の炭素原子、多環としては最大で約20個の炭素原子を有する飽和の環、部分的不飽和の環または芳香環を指す。単環式炭素環は、3〜6個の環原子を有し、より典型的には5または6個の環原子を有する。二環式炭素環は、例えば、ビシクロ(4,5)、(5,5)、(5,6)または(6,6)系として配置された7〜12個の環原子、またはビシクロ(5,6)または(6,6)系として配置された9もしくは10個の環原子を有する。炭素環は、縮合、橋かけ、またはスピロ型であるかどうかに関わらず、非芳香族の単環、二環、および多環を含む。単環式炭素環の非限定的な例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペンタ−1−エニル、1−シクロペンタ−2−エニル、1−シクロペンタ−3−エニル、シクロヘキシル、1−シクロヘキサ−1−エニル、1−シクロヘキサ−2−エニル、1−シクロヘキサ−3−エニルなどが含まれる。
【0076】
「カルボシクリレン」とは、親カルボシクリルの同じかもしくは2個の異なる炭素原子から2個の水素原子を取り除いて得られる2つの一価基中心を有する上記定義のカルボシクリルまたは炭素環を指す。典型的なカルボシクリレン基には、これらに限定されないが、フェニレンが含まれる。
【0077】
「アリールヘテロアルキル」とは、炭素原子またはヘテロ原子のいずれかに結合していてもよい水素原子が本明細書で定義されたアリール基で置き換えられている本明細書で定義されたヘテロアルキルを指す。アリール基は、ヘテロアルキル基の炭素原子と結合しても、ヘテロアルキル基のヘテロ原子と結合してもよいが、ただし、得られるアリールヘテロアルキル基は、化学的に安定した部分を提供するものとする。例えば、アリールヘテロアルキル基は、一般式、−アルキレン−O−アリール、−アルキレン−O−アルキレン−アリール、−アルキレン−NH−アリール、−アルキレン−NH−アルキレン−アリール、−アルキレン−S−アリール、−アルキレン−S−アルキレン−アリールなどを有することができる。加えて、上記一般式中の任意のアルキレン部分は、本明細書で定義または例示された任意の置換基でさらに置換され得る。
【0078】
「ヘテロアリールアルキル」とは、水素原子が、本明細書で定義されたヘテロアリール基で置き換えられている、本明細書で定義のアルキル基を指す。ヘテロアリールアルキルの非限定的な例には、−CH−ピリジニル、−CH−ピロリル、−CH−オキサゾリル、−CH−インドリル、−CH−イソインドリル、−CH−プリニル、−CH−フラニル、−CH−チエニル、−CH−ベンゾフラニル、−CH−ベンゾチオフェニル、−CH−カルバゾリル、−CH−イミダゾリル、−CH−チアゾリル、−CH−イソオキサゾリル、−CH−ピラゾリル、−CH−イソチアゾリル、−CH−キノリル、−CH−イソキノリル、−CH−ピリダジル、−CH−ピリミジル、−CH−ピラジル、−CH(CH)−ピリジニル、−CH(CH)−ピロリル、−CH(CH)−オキサゾリル、−CH(CH)−インドリル、−CH(CH)−イソインドリル、−CH(CH)−プリニル、−CH(CH)−フラニル、−CH(CH)−チエニル、−CH(CH)−ベンゾフラニル、−CH(CH)−ベンゾチオフェニル、−CH(CH)−カルバゾリル、−CH(CH)−イミダゾリル、−CH(CH)−チアゾリル、−CH(CH)−イソオキサゾリル、−CH(CH)−ピラゾリル、−CH(CH)−イソチアゾリル、−CH(CH)−キノリル、−CH(CH)−イソキノリル、−CH(CH)−ピリダジル、−CH(CH)−ピリミジル、−CH(CH)−ピラジルなどが含まれる。
【0079】
本発明の式の化合物の特定の部分に関しての「任意選択で置換された」という用語(例えば、任意選択で置換されたアリール基)は、0個、1個または複数個の置換基を有する部分を指す。
【0080】
アルキル、アリール、アリールアルキル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、および本明細書で用いられる他の基に関しての「置換(された)」という用語、例えば、「置換アルキル」、「置換アリール」、「置換アリールアルキル」、「置換ヘテロシクリル」および「置換カルボシクリル」という用語は、基中の1個または複数の水素原子がそれぞれ独立に非水素置換基で置き換えられているアルキル、アルキレン、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、カルボシクリル基をそれぞれ意味する。典型的な置換基には、これらに限定されないが、−X、−R、−O−、=O、−OR、−SR、−S−、−NR、−N(+)R、=NR、=NOR、=NNR、−CX、−CRX、−CRX、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO、=N、−N、−NRC(=O)R、−NRC(=O)OR、−NRC(=O)NRR、−C(=O)NRR、−C(=O)OR、−OC(=O)NRR、−OC(=O)OR、−C(=O)R、−S(=O)OR、−S(=O)R、−OS(=O)OR、−S(=O)NRR、−S(=O)R、−NRS(=O)R、−NRS(=O)NRR、−NRS(=O)OR、−OP(=O)(OR)、−P(=O)(OR)、−P(O)(OR)(R)、−OP(=O)R、−P(=O)R、−C(=S)R、−C(=S)OR、−C(=O)SR、−C(=S)SR、−C(=S)NRR、−C(=NR)NRR、−NRC(=NR)NRRなどが含まれ、ここで、各Xは、独立にハロゲン(F、Cl、Br、またはI)であり、各Rは独立に、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、または保護基もしくはプロドラッグ部分である。二価の基もまた同様に置換されていてもよい。
【0081】
当業者は、「アルキル」、「アリール」、「ヘテロシクリル」などの部分が、1つまたは複数の置換基で置換されている場合、それらを代替的に「アルキレン」、「アリーレン」、「ヘテロシクリレン」などの部分と称することができる(すなわち、親「アルキル」、「アリール」、「ヘテロシクリル」部分の水素原子の少なくとも1個が、示された置換基で置き換えられていることを指す)ことを理解する。「アルキル」、「アリール」、「ヘテロシクリル」などの部分が本明細書で「置換された」と称されているか、または略図的に置換されて示されている場合(または任意選択で置換されている、例えば,置換基の数がゼロから正の整数までの範囲である場合)、「アルキル」、「アリール」、「ヘテロシクリル」などの用語は、「アルキレン」、「アリーレン」、「ヘテロシクリレン」などと交換可能であると理解されたい。
【0082】
さらに、当業者に理解されるように、本明細書で定義された用語が組み合わせて使用される場合、組み合わせて得られる用語は、定義に従い使用される。例えば、「カルボシクリルヘテロアルキル」などの用語は、本明細書で特定の定義をもっていなくともよいが、明瞭さの欠如と同等と見なしてはならない。むしろ、そうした用語は、ヘテロアルキル基を介して連結されたカルボシクリル基を説明するために、当技術分野で一般に認められた意味の範囲内で使用される。他のそうした用語は常に使用されている。
【0083】
当業者に理解されるように、本発明の化合物は、溶媒和形態または水和形態で存在することができる。本発明の範囲は、そうした形態を含む。やはり当業者に理解されるように、上記化合物は、エステル化することができる。本発明の範囲は、エステルおよび他の生理学的機能性誘導体を含む。本発明の範囲はまた、互変異性体の形態、すなわち、本明細書で説明する互変異性体の「エノール」も含む。加えて、本発明の範囲は、本明細書で説明する化合物のプロドラッグ形態を含む。
【0084】
本明細書で用いる「プロドラッグ」という用語は、生物学的系に投与されたとき、自発的な化学反応、酵素で触媒される化学反応、光分解および/または代謝的化学反応の結果として、薬剤物質、すなわち活性成分を生成する任意の化合物を指す。したがって、プロドラッグは、治療的に活性な化合物の共有結合的に修飾された類似体または潜在形態である。
【0085】
当業者は、許容される程度に安定な医薬組成物に製剤化することができる薬学的に有用な化合物を提供するのに十分安定な化合物を提供するために、本発明の化合物の置換基および他の部分を選択すべきであることを理解する。そうした安定性を有する本発明の化合物は、本発明の範囲内に入ると想定されている。
【0086】
当業者に理解されるように、本発明の化合物は、1つまたは複数のキラル中心を含有することができる。本発明の範囲は、そうした形態を含む。やはり、当業者に理解されるように、その化合物は、エステル化または加水分解を行うことができる。本発明の範囲は、エステルおよび他の生理学的機能性誘導体を含む。本発明の範囲はまた、互変異性体の形態、すなわち、本明細書で説明する互変異性体「エノール」も含む。さらに、本発明の範囲は、本明細書で説明する化合物のプロドラッグ形態を含む。本発明の化合物は、多形体として公知の特性である、2つ以上の形態に結晶化することができ、そうした多形形態(「多形体」)は、本発明の範囲内である。多形体は一般に温度、圧力、またはその両方の変化に対する応答として起こり得る。多形体は結晶化過程の変更により起こり得る。多形体は、当業者には公知のエックス線回折パターン、溶解度、および融点などの様々な物理的特性によって識別することができる。
【0087】
本明細書で説明する化合物のいくつかは、1つまたは複数のキラル中心を含むか、あるいは他の方法で複数の立体異性体として存在することができる。本発明の範囲は、立体異性体の混合物ならびに精製した鏡像異性体または鏡像異性的/ジアステレオマー的に富化された混合物を含む。本発明の式で表される化合物の個々の異性体ならびに完全にまたは部分的に平衡に達しているその任意の混合物も本発明の範囲内に含まれる。本発明はまた、上記式で表される化合物の個々の異性体を、1つまたは複数のキラル中心が逆転しているその異性体との混合物として含む。
【0088】
「キラル」という用語は、鏡像パートナーと重ね合せることができないという特性を有する分子を指し、「アキラル」という用語は、その鏡像パートナーと重ね合せることができる分子を指す。
【0089】
「立体異性体」という用語は、同一の化学的構成を有するが、空間における原子または基の配置に関して異なる化合物を指す。
【0090】
「ジアステレオマー」は、2つ以上のキラル中心を有する立体異性体であって、その分子は互いに鏡像ではない立体異性体を指す。ジアステレオマーは、異なる物理的特性、例えば、融点、沸点、スペクトル特性および反応性を有する。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動法およびクロマトグラフィーなどの高分解能の分析的手順で分離することができる。
【0091】
「鏡像異性体」は、互いに重ね合せできない鏡像である化合物の2つの立体異性体を指す。
【0092】
本明細書で用いる立体化学的定義および慣例は、概ね、S.P.Parker、 Ed.、McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(1984年)McGraw−Hill Book Company、New York、およびEliel,E.およびWilen,S.、Stereochemistry of Organic Compounds(1994年)John Wiley & Sons,Inc.、New Yorkに従っている。多くの有機化合物は光学的に活性な形態で存在する、すなわちそれらは平面偏光の平面を回転させる能力を有する。光学的に活性な化合物の説明において、接頭辞DおよびLまたはRおよびSを用いて、そのキラル中心周りの分子の絶対配置を表す。接頭辞dおよびlまたは(+)および(−)を用いて、化合物による平面偏光の回転の標示を表し、(−)またはlは、化合物が左旋性であることを意味する。(+)またはdの接頭辞を有する化合物は右旋性である。所与の化学構造については、これら立体異性体は、これらが互いに鏡像であること以外は同一である。特定の立体異性体はまた鏡像異性体と称することもでき、そうした異性体の混合物はしばしば鏡像異性体混合物と呼ばれる。鏡像異性体の50:50混合物はラセミ混合物またはラセミ化合物と称され、これは、化学反応または化学プロセスにおいて立体選択性または立体特異性が存在しないところで起こり得る。「ラセミ混合物」および「ラセミ化合物」という用語は、光学活性のない2つの鏡像異性体種の等モル混合物を指す。
【0093】
本発明は、本明細書で説明する化合物の塩または溶媒和物(塩の溶媒和物などのそれらの組合せを含む)を含む。本発明の化合物は溶媒和した形態、例えば水和した形態、ならびに溶媒和していない形態で存在することができ、本発明はそうしたすべての形態を包含する。
【0094】
一般的に、しかし絶対的にではないが、本発明の塩は薬学的に許容される塩である。「薬学的に許容される塩」という用語に包含される塩は、本発明の化合物の無毒性の塩を指す。
【0095】
適切な薬学的に許容される塩の例には、クロリド、ブロミド、硫酸塩、リン酸塩、および硝酸塩などの無機酸付加塩;酢酸塩、ガラクタル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびアスコルビン酸塩などの有機酸付加塩;アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩などの酸性アミノ酸との塩;ナトリウム塩およびカリウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩およびカルシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、およびN,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩などの有機塩基性塩;ならびにリジン塩およびアルギニン塩などの塩基性アミノ酸との塩が含まれる。いくつかの場合、塩は水和物またはエタノール溶媒和物であってよい。
【0096】
保護基
本発明の関連において、保護基はプロドラッグ部分および化学的保護基を含む。
【0097】
保護基は、利用可能であり、一般に公知であり、使用されており、合成手順、すなわち本発明の化合物を調製する経路または方法の間に、副反応を保護基で防止するために任意選択で使用されるものである。どの基を保護し、いつ保護するかということおよび化学的保護基「PG」の性質の決定は大部分、反応(この反応に対して保護がなされる)の化学(例えば、酸性、塩基性、酸化性、反応性または他の条件)および目指す合成の方向に依存することになる。化合物が複数のPGで置換される場合、そのPG基は同じ基である必要はなく、また通常同じではない。一般に、PGは、カルボキシル、ヒドロキシル、チオまたはアミノ基などの官能基を保護し、したがって副反応を保護する、あるいは合成効率を促進するために使用される。遊離した、脱保護された基を得るための脱保護の順番は、目指す合成の方向および遭遇する合成条件に依存し、当業者によって決定される任意の順番で行うことができる。
【0098】
本発明の化合物の様々な官能基を保護することができる。例えば−OH基(ヒドロキシル、カルボン酸、ホスホン酸かまたは他の官能基)のための保護基には、「エーテルまたはエステル形成基」が含まれる。エーテルまたはエステル形成基は、本明細書で示す合成スキームにおいて化学的保護基として機能することができる。しかし、いくつかのヒドロキシルおよびチオ保護基は、当業者が理解するように、エーテル形成基でもエステル形成基でもなく、以下で論じるようにそれにはアミドが含まれる。
【0099】
非常に多くのヒドロキシル保護基およびアミド形成基ならびに対応する化学開裂反応が、Protective Groups in Organic Synthesis、Theodora W.GreeneおよびPeter G.M.Wuts(John Wiley & Sons,Inc.、New York、1999年、ISBN 0−471−16019−9)(「Greene」)に記載されている。また、Kocienski,Philip J.; Protecting Groups(Georg Thieme Verlag Stuttgart、New York、1994年)も参照されたい。これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。特に第1章、保護基:概説、1〜20頁、第2章、ヒドロキシル保護基、21〜94頁、第3章、ジオール保護基、95〜117頁、第4章、カルボキシル保護基、118〜154頁、第5章、カルボニル保護基、155〜184頁である。カルボン酸、ホスホン酸、ホスホネート、スルホン酸のための保護基および酸のための他の保護基については、以下に示すGreeneを参照されたい。そうした基には、例としてこれらに限定されないが、エステル、アミド、ヒドラジドなどが含まれる。
【0100】
エーテルおよびエステル形成保護基
エステル形成基には、(1)ホスホンアミデートエステル、ホスホロチオエートエステル、ホスホン酸エステルおよびホスホン−ビス−アミデートなどのホスホネートエステル形成基、(2)カルボキシルエステル形成基ならびに(3)スルホネート、サルフェートおよびスルフィネートなどのイオウエステル形成基が含まれる。
【0101】
本発明の化合物の代謝産物
本明細書で説明する化合物のインビボでの代謝産物もやはり本発明の範囲内にある。そうした産物は例えば、主に酵素的過程により、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化などによってもたらされる。したがって、本発明は、その代謝産物を得るのに十分な期間、本発明の化合物を哺乳動物と接触させることを含む過程によって生成される化合物を含む。そうした産物は典型的に、放射性標識(例えば、C14またはH)をした本発明の化合物を調製し、検出可能な用量(例えば、約0.5mg/kg超)を非経口でラット、マウス、モルモット、サルまたはヒトなどの動物に投与し、代謝が起こるのに十分な時間(一般に約30秒間〜30時間)かけ、尿、血液または他の生物学的サンプルからその変換産物を単離することによって特定される。これらの産物は、それらが標識化されているので容易に単離される(その他は、代謝産物中に残存するエピトープと結合できる抗体の使用によって単離される)。代謝産物の構造は、慣行的な仕方、例えばMSまたはNMR分析で決定される。一般に、代謝産物の分析は、当業者に周知の従来の薬物代謝研究と同様にして行われる。インビボで他に見出されることがない限り、例えそれ自体が抗感染症活性を有していなくても、変換産物は、本発明の化合物の治療投薬のための診断アッセイに有用である。
【0102】
本発明の化合物
本発明の化合物の様々な属および亜属のための定義および置換基を本明細書で説明し例示する。当業者は、上記の定義および置換基の任意の組合せが、使用不可能な種または化合物をもたらすべきではないことを理解すべきである。「使用不可能な種または化合物」は、関係する科学原理を破る化合物構造(例えば4つを超える共有結合と連結している炭素原子など)または単離および薬学的に許容される剤形への製剤化を許容するのには不安定過ぎる化合物を意味する。
【0103】
医薬製剤
本発明の化合物は、通常の慣行に従って選択される通常の担体および添加剤と共に配合される。錠剤は添加剤、流動促進剤、充填剤、結合剤などを含むことになる。水性製剤は滅菌形態で調製され、経口投与以外で送達しようとする場合、それは一般に等張性である。すべての製剤は、全体が参照により本明細書に組み込まれるHandbook of Pharmaceutical Excipients(1986年)に示されているものなどの添加剤を任意選択で含む。添加剤には、アスコルビン酸および他の酸化防止剤、キレート剤、例えばEDTA、炭水化物、例えばデキストリン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ステアリン酸などが含まれる。製剤のpHは約2〜約11の範囲であるが、通常約7〜10である。
【0104】
活性成分は単独で投与することも可能であるが、それを医薬製剤として与えるのが好ましい。本発明の製剤は、獣医用途でもヒトへの用途でも、少なくとも1つの活性成分を1つまたは複数の許容される担体および任意選択の他の治療成分と一緒に含む。担体は、その製剤の他の成分と適合性であり、かつそのレシピエントに対して生理学的に無害であるという意味で「許容される」ものでなければならない。
【0105】
製剤は上記投与経路に適したものを含む。製剤は、単位剤形で与えられることが好都合であってよく、製薬技術分野で周知の方法のいずれかによって調製されてもよい。技術および製剤はRemington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.、Easton、Pa.)(これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)中に全般的に見出される。そうした方法は、活性成分を1つまたは複数の副成分を構成する担体と一緒にするステップを含む。一般に、製剤は、活性成分を液体担体もしくは微粉化した固体担体またはその両方と均一かつ密に一緒にし、次いで、必要な場合、その生成物を成形することによって調製される。
【0106】
経口投与に適した本発明の製剤は、それぞれ所定量の活性成分を含むカプセル剤、カシェ剤または錠剤などの別個の単位として、粉剤または顆粒剤として、水性もしくは非水性の液体中の液剤もしくは懸濁剤として、あるいは水中油型の液体乳剤または油中水型の液体乳剤として提供することができる。活性成分は、急速静注剤、舐剤またはペースト剤として投与することもできる。
【0107】
錠剤は、任意選択で1つまたは複数の副成分と一緒に圧縮または成型することによって作製される。圧縮錠剤は、適切な機械中で、任意選択で結合剤、滑沢剤、不活性賦形剤、防腐剤、界面活性剤または分散剤と混合された粉末または顆粒などの自由流動形態の活性成分を圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、適切な機械で、不活性な液体賦形剤で湿潤させた粉末状活性成分の混合物を成形することによって作製することができる。錠剤は任意選択でコーティングされていてもまた割線が入れられてもよく、任意選択で、活性成分の持続放出または制御放出が実現されるように配合される。
【0108】
目または他の外部組織(例えば口および皮膚)への投与用には、製剤は、例えば0.075〜20重量/重量%(0.1重量/重量%の増分で0.1%〜20%の範囲、例えば0.6重量/重量%、0.7重量/重量%等の活性成分を含む)、好ましくは0.2〜15重量/重量%、最も好ましくは0.5〜10重量/重量%の量の活性成分を含む局所用の軟膏またはクリーム剤として塗布することが好ましい。軟膏剤に配合する場合、活性成分を、パラフィン系かまたは水混和性の軟膏剤ベースを一緒に用いることができる。あるいは、活性成分を、水中油型クリームベースを用いてクリーム剤に配合することができる。
【0109】
必要に応じて、クリームベースの水相は、例えば、少なくとも30重量/重量%の多価アルコール、すなわちプロピレングリコール、ブタン1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG400を含む)およびこれらの混合物などの2つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールを含むことができる。局所用製剤は、望ましくは、皮膚または他の病変部を通した活性成分の吸収または浸透を促進する化合物を含み得る。皮膚浸透促進剤の例には、ジメチルスルホキシドおよび関連類似体が含まれる。
【0110】
本発明の乳剤の油性相は、公知の成分から公知の仕方で構成されていてよい。油性相は、乳化剤(エマルゲントとしても公知である)だけしか含まなくてもよいが、少なくとも1つの乳化剤と脂肪もしくは油または脂肪と油の両方との混合物を含むことが望ましい。親水性乳化剤は、安定剤として作用する親油性乳化剤を一緒に含むことが好ましい。油と脂肪の両方を含むことも好ましい。一緒に、安定剤を含むかまたは含まない乳化剤はいわゆる乳化ろうを作り出し、その乳化ろうは油と脂肪と一緒になって、クリーム製剤の油性分散相を形成するいわゆる乳化軟膏剤ベースを作り出す。
【0111】
本発明の製剤で使用するのに適したエマルゲントおよび乳化安定剤には、Tween(登録商標)60、Span(登録商標)80、セトステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリンおよびラウリル硫酸ナトリウムが含まれる。
【0112】
製剤用の適切な油または脂肪の選択は、所望の化粧品特性が達成されることに基づく。クリーム剤は好ましくは、チューブまたは他の容器からの漏洩を避けるのに適した稠度を有する、油っこくなく汚れのないウォッシャブルな生成物であるべきである。直鎖状または有枝鎖状の一塩基性もしくは二塩基性のアルキルエステル、例えば、ジイソアジペート、ステアリン酸イソセチル、ヤシ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2−エチルヘキシルまたはCrodamol CAPとして公知の有枝鎖状エステルのブレンドを使用することができ、最後の3つが好ましいエステルである。これらは、必要とされる特性に応じて、単独で用いることも組み合わせて用いることもできる。あるいは、白色ソフトパラフィンおよび/または流動パラフィンまたは他の鉱油などの高融点の脂質が使用される。
【0113】
本発明による医薬製剤は、1つまたは複数の本発明の化合物を、1つもしくは複数の薬学的に許容される担体または添加剤および任意選択の他の治療薬と一緒に含む。活性成分を含む医薬製剤は、目的の投与方法に適した任意の形態であってよい。経口用途で用いる場合、例えば、錠剤、トローチ(troche)、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁剤、分散性の粉剤もしくは顆粒剤、乳剤、硬質もしくは軟質カプセル剤、シロップ剤またはエリキシル剤を調製することができる。経口使用を目的とした組成物は、医薬組成物の製造のための当業界で公知の任意の方法で調製することができ、そうした組成物は、口当たりのよい調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤および防腐剤を含む1つまたは複数の薬剤を含むことができる。錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容される添加剤と一緒に活性成分を含む錠剤が許容される。これらの添加剤は、例えば、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウム、ラクトース、ラクトース一水和物、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性賦形剤;トウモロコシデンプンまたはアルギン酸などの顆粒化剤および崩壊剤;セルロース、微結晶性セルロース、デンプン、ゼラチンまたはアカシアなどの結合剤ならびにステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなどの滑沢剤であってよい。錠剤はコーティングされていなくてもよく、あるいは、胃腸管における崩壊および吸着を遅延させそれによって長期間持続した作用を提供するために、マイクロカプセル化を含む公知の技術によってコーティングされていてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンなどの時間遅延物質を単独かまたはワックスと一緒に用いることができる。
【0114】
経口用途のための製剤は、活性成分が不活性固体賦形剤、例えばリン酸カルシウムもしくはカオリンと混合されている硬質ゼラチンカプセル剤として、または、活性成分が水またはピーナッツ油、流動パラフィンもしくはオリーブ油などの油媒体と混合されている軟質ゼラチンカプセル剤として提供することもできる。
【0115】
本発明の水性懸濁剤は、水性懸濁剤の製造に適した添加剤と混合された活性物質を含む。そうした添加剤には、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアゴムなどの懸濁化剤ならびに天然由来のフォスファチド(例えば、レシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアレート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)などの分散剤または湿潤剤が含まれる。水性懸濁剤は、エチルp−ヒドロキシ−ベンゾエートまたはn−プロピルp−ヒドロキシ−ベンゾエートなどの1つもしくは複数の防腐剤、1つもしくは複数の着色剤、1つもしくは複数の香味剤およびスクロースまたはサッカリンなどの1つもしくは複数の甘味剤も含むことができる。
【0116】
油性懸濁剤は、活性成分を、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココナツオイルなどの植物油または流動パラフィンなどの鉱油に懸濁させることによって配合することができる。経口懸濁剤は蜜ろう、固形パラフィンまたはセチルアルコールなどの増粘剤を含むことができる。本明細書で示すものなどの甘味剤および香味剤を加えて、口当たりのよい経口調製物を提供することができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤を加えて保存することができる。
【0117】
水を加えることによる水性懸濁剤の調製に適した本発明の分散性粉剤および顆粒剤は、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤および1つまたは複数の防腐剤と混合された活性成分を提供する。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は上記に開示されたもので例示される。追加の添加剤、例えば甘味剤、香味剤および着色剤も存在してよい。
【0118】
本発明の医薬組成物は、水中油型乳剤の形態であってもよい。油性相は、オリーブ油もしくはラッカセイ油などの植物油、流動パラフィンなどの鉱油またはこれらの混合物であってよい。適切な乳化剤には、アカシアゴムおよびトラガカントゴムなどの天然由来のゴム、大豆レシチンなどの天然由来のフォスファチド、ソルビタンモノオレエートなどの脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導されたエステルもしくは部分エステル、ならびにポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどのこれらの部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物が含まれる。乳剤は甘味剤および香味剤も含むことができる。シロップ剤およびエリキシル剤は、グリセロール、ソルビトールまたはスクロースなどの甘味剤と配合され得る。そうした製剤は粘滑剤、防腐剤、香味剤または着色剤も含むことができる。
【0119】
本発明の医薬組成物は、滅菌した注射用水性または油性懸濁剤などの滅菌した注射用調製物の形態であってよい。この懸濁剤は本明細書で挙げる適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて公知の技術で配合することができる。滅菌した注射用調製物は、1,3−ブタン−ジオール中の溶液などの非経口で許容される非毒性の賦形剤または溶媒中の滅菌した注射用の溶液または懸濁剤であってよく、また、凍結乾燥された粉剤として調製することもできる。使用できる許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌した固定油は、溶媒または懸濁媒体として慣用的に用いることができる。この目的ために、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを含む任意の無菌性固定油を用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸も同様に注射剤の調製に使用することができる。
【0120】
単一の剤形を作製するために担体材料と混合できる活性成分の量は、治療を受けるホストおよび具体的な投与方法によって変わってくる。例えば、ヒトへの経口投与を目的とした持続放出製剤は、全組成物の約5〜約95%(重量:重量)の範囲で変えることができる適切で好都合な量の担体材料と混合された、約1〜1000mgの活性物質を含むことができる。医薬組成物は、投与のために容易に測定できる量を提供するように調製することができる。例えば、静脈内注入を目的とした水性液剤は、約30mL/hrの速度での適切な体積の注入を行い得ることを目的に、溶液1ミリリットル当たり約3〜500μgの活性成分を含むことができる。
【0121】
目への投与に適した製剤は、活性成分が適切な担体、特に活性成分用の水性溶媒中に溶解または懸濁する点眼剤を含む。活性成分は、そうした製剤中に0.5〜20重量/重量%、有利には0.5〜10重量/重量%、特に約1.5重量/重量%の濃度で存在することが好ましい。
【0122】
口内での局所投与に適した製剤には、活性成分を香味付けしたベース、通常スクロースおよびアカシアまたはトラガカント中に含むロゼンジ;活性成分をゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアなどの不活性ベース中に含む芳香錠、ならびに活性成分を適切な液体担体中に含むうがい薬が含まれる。
【0123】
直腸投与用の製剤は、例えばココアバターまたはサリシレートを含む適切なベースを含む坐剤として提供することができる。
【0124】
肺内または経鼻投与に適した製剤は、例えば0.1〜500μmの範囲の粒径(0.5μm、1μm、30μm、35μm等の増分で0.1〜500μmの範囲の粒径を含む)を有する。これは、肺胞嚢に達するように鼻孔または口を通して吸入により急速吸入で投与される。適切な製剤は、活性成分の水性または油性液剤を含む。エアゾール剤または乾燥粉剤投与に適した製剤は、慣用的な方法によって調製することができ、本明細書で説明するような感染症の治療または予防において従来使用されている化合物などの他の治療薬と一緒に送達することができる。
【0125】
膣内投与に適した製剤は、活性成分に加えて当業界で適切であることが知られている担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤または噴霧製剤として提供することができる。
【0126】
非経口投与に適した製剤には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌薬、および製剤を対象レシピエントの血液と等張にする溶質を含むことができる水性および非水性の滅菌した注射用液剤ならびに懸濁化剤および増粘剤を含む水性および非水性の滅菌した懸濁剤が含まれる。
【0127】
製剤は、単位用量または複数用量容器、例えば密封したアンプルおよびバイアルで提供され、使用の直前に滅菌した液体担体、例えば注射用の水の添加だけを必要とするフリーズドドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵することができる。即時注射用液剤および懸濁剤は、上記種類の滅菌した粉剤、顆粒剤および錠剤から調製される。好ましい単位投薬製剤は、明細書中で上に記載した通り、1日用量もしくは単位1日下位用量(unit daily sub−dose)または適切なその部分量(fraction)の活性成分を含むものである。
【0128】
上記の具体的に挙げた成分に加えて、本発明の製剤は、対象製剤のタイプを考慮して当業界で慣用的な他の薬剤を含むことができること、例えば経口投与に適したものは香味剤を含むことができることを理解すべきである。
【0129】
本発明の化合物は、投薬頻度を少なくする、または活性成分の薬物動態もしくは毒性プロファイルを改善するために活性成分の制御放出を提供するように配合することもできる。したがって、本発明は、持続または制御放出用に配合された1つまたは複数の本発明の化合物を含む組成物も提供する。
【0130】
活性成分の有効用量は、少なくとも、治療を受ける状態の特徴、毒性、その化合物が予防的に(より少ない用量で)用いられているのかまたは活性な疾患または状態に対して用いられているのかどうか、送達方法、および医薬製剤に依存し、それは、慣用的な用量漸増試験を用いて臨床医により決定されることになる。有効用量は、1日当たり約0.0001〜約1000mg/kg体重であると予想することができる。例えば、体重約70kgのヒト成人の1日の候補用量は、約0.05mg〜約100mg、または約0.1mg〜約25mgの間、または約0.4mg〜約4mgの間の範囲であり、単一または複数用量の形態をとることができる。
【0131】
さらに別の実施形態では、本出願は、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体または添加剤とを含む医薬組成物を開示する。
【0132】
投与経路
1つまたは複数の本発明の化合物(本明細書では活性成分と称する)は、治療を受ける状態に適した任意の経路で投与される。適切な経路には、経口、経直腸、経鼻、局所的(頬側および舌下を含む)、経膣および非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内および硬膜外を含む)などが含まれる。好ましい経路は、例えばレシピエントの状態によって変わり得ることが理解される。本発明の化合物の利点は、それらが生物学的に経口で利用可能であり、経口的に投与することができることである。
【0133】
併用療法
一実施形態では、本発明の化合物は、追加の活性な治療用成分または治療薬と併用される。
【0134】
一実施形態では、本発明の化合物および追加の活性薬剤の併用は、ウイルス感染症、例えば、HBV、HCV、またはHIV感染などに罹っている患者を治療するために選択することができる。
【0135】
HBVに対して有用な活性のある治療薬には、逆転写酵素阻害剤、例えばラミブジン(Epivir(登録商標))、アデフォビル(Hepsera(登録商標))、テノホビル(Viread(登録商標))、テルビブジン(Tyzeka(登録商標))、エンテカビル(Baraclude(登録商標))、およびClevudine(登録商標)などが含まれる。他の有用な活性のある治療薬には、免疫調節物質、例えばインターフェロンα−2b(Intron A(登録商標))、ペグ化インターフェロンα−2a(Pegasys(登録商標))、インターフェロンα2a(Roferon(登録商標))、インターフェロンαN1、プレドニゾン、プレドニゾロン、Thymalfasin(登録商標)、レチノイン酸受容体アゴニスト、4−メチルウンベリフェロン、Alamifovir(登録商標)、Metacavir(登録商標)、Albuferon(登録商標)、TLRアゴニスト(例えば、TLR−7アゴニスト)、およびサイトカインなどが含まれる。
【0136】
HCVに対する治療に関して、適切な併用の非限定的な例には、1つまたは複数の本発明の化合物と、1つまたは複数のインターフェロン、リバビリンまたはその類似体、HCV NS3プロテアーゼ阻害剤、αグルコシダーゼ1阻害剤、肝臓保護剤、HCV NS5Bポリメラーゼのヌクレオシドもしくはヌクレオチド阻害剤、HCV NS5Bポリメラーゼの非ヌクレオシド阻害剤、HCV NS5A阻害剤、TLR−7アゴニスト、サイクロフィリン阻害剤、HCV IRES阻害剤、薬物動力学的増強剤、およびHCV治療用の他の薬物との併用が含まれる。
【0137】
さらに具体的には、1つまたは複数の本発明の化合物は、
1)インターフェロン、例えば、ペグ化rIFN−α2b(PEG−Intron)、ペグ化rIFN−α2a(Pegasys)、rIFN−α2b(Intron A)、rIFN−α2a(Roferon−A)、インターフェロンα(MOR−22、OPC−18、Alfaferone、Alfanative、Multiferon、スバリン)、インターフェロン alfacon−1(Infergen)、インターフェロンα−n1(Wellferon)、インターフェロンα−n3(Alferon)、インターフェロン−β(Avonex、DL−8234)、インターフェロン−ω(omegaDUROS、Biomed510)、albinterferonα−2b(Albuferon)、IFN αXL、BLX−883(Locteron)、DA−3021、グリコシル化インターフェロンα−2b(AVI−005)、PEG−Infergen、ペグ化インターフェロンλ(PEGylated IL−29)、およびベレロフォン、
2)リバビリンおよびその類似体、例えば、リバビリン(Rebetol、Copegus)、およびタリバビリン(ビラミジン)、
3)HCV NS3プロテアーゼ阻害剤、例えば、ボセプレビル(SCH−503034、SCH−7)、テラプレビル(VX−950)、VX−813、TMC−435(TMC435350)、ABT−450、BI−201335、BI−1230、MK−7009、SCH−900518、VBY−376、VX−500、GS−9256、GS−9451、BMS−790052、BMS−605339、PHX−1766、AS−101、YH−5258、YH5530、YH5531、およびITMN−191(R−7227)、
4)α−グルコシダーゼ1阻害剤、例えば、セルゴシビル(MX−3253)、Miglitol、およびUT−231B、
5)肝臓保護剤、例えば、エメリカサン(IDN−6556)、ME−3738、GS−9450(LB−84451)、シリビリン、およびMitoQ、
6)HCV NS5Bポリメラーゼのヌクレオシドまたはヌクレオチド阻害剤、例えば、R1626、R7128(R4048)、IDX184、IDX−102、PSI−7851、BCX−4678、バロピシタビン(NM−283)、およびMK−0608、
7)HCV NS5Bポリメラーゼの非ヌクレオシド阻害剤、例えば、フィリブビル(PF−868554)、ABT−333、ABT−072、BI−207127、VCH−759、VCH−916、JTK−652、MK−3281、VBY−708、VCH−222、A848837、ANA−598、GL60667、GL59728、A−63890、A−48773、A−48547、BC−2329、VCH−796(ネスブビル)、GSK625433、BILN−1941、XTL−2125、およびGS−9190、
8)HCV NS5A阻害剤、例えば、AZD−2836(A−831)、AZD−7295(A−689)、およびBMS−790052、
9)TLR−7アゴニスト、例えば、イミキモド、852A、GS−9524、ANA−773、ANA−975、AZD−8848(DSP−3025)、PF−04878691、およびSM−360320、
10)サイクロフィリン阻害剤、例えば、DEBIO−025、SCY−635、およびNIM811、
11)HCV IRES阻害剤、例えば、MCI−067、
12)薬物動力学的増強剤、例えば、BAS−100、SPI−452、PF−4194477、TMC−41629、GS−9350、GS−9585、およびロキシスロマイシン(roxythromycin)、
13)HCVを治療するための他の薬物、例えば、チモシンα1(Zadaxin)、ニタゾキサニド(Alinea、NTZ)、BIVN−401(virostat)、PYN−17(altirex)、KPE02003002、アクティロン(CPG−10101)、GS−9525、KRN−7000、シバシル、GI−5005、XTL−6865、BIT225、PTX−111、ITX2865、TT−033i、ANA971、NOV−205、タルバシン、EHC−18、VGX−410C、EMZ−702、AVI4065、BMS−650032、BMS−791325、バビツキシマブ、MDX−1106(ONO−4538)、オグルファニド、FK−788、およびVX−497(メリメポジブ)
からなる群から選択される1つまたは複数の化合物と併用することができる。
【0138】
さらに、本発明の化合物は、HIVまたはAIDSおよび/またはHIVもしくはAIDSを罹っているヒト被験体中に在る1つもしくは複数の他の疾患(例えば、細菌感染症および/または真菌感染症、他のウイルス感染症、例えばB型肝炎もしくはC型肝炎など、またはがん、例えばカポジ肉腫など)の治療もしくは予防のための他の治療薬と併用することができる。追加の治療薬は、本発明の1つまたは複数の塩と共配合することができる(例えば、錠剤に共配合する)。
【0139】
一実施形態では、適切な併用の非限定的な例には、1つまたは複数の本発明の化合物と、1つまたは複数のHIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド阻害剤、逆転写酵素のHIVヌクレオシド阻害剤、逆転写酵素のHIVヌクレオチド阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、gp41阻害剤、CXCR4阻害剤、エントリー阻害剤、gp120阻害剤、G6PDおよびNADH−酸化酵素阻害剤、CCR5阻害剤、CCR8阻害剤、RNase H阻害剤、成熟化阻害剤、薬物動力学的増強剤およびHIVを治療するための他の薬物との併用が含まれる。
【0140】
さらに具体的に、1つまたは複数の本発明の化合物は、
1)HIVプロテアーゼ阻害剤、例えば、アンプレナビル(Agenerase)、アタザナビル(Reyataz)、ホスアンプレナビル(Lexiva)、インジナビル(Crixivan)、ロピナビル、リトナビル(norvir)、ネルフィナビル(Viracept)、サキナビル(Invirase)、チプラナビル(Aptivus)、ブレカナビル、ダルナビル(Prezista)、TMC−126、TMC−114、モゼナビル(DMP−450)、JE−2147(AG1776)、L−756423、RO0334649、KNI−272、DPC−681、DPC−684、DG17、GS−8374、MK−8122(PPL−100)、DG35、およびAG1859、SPI−256、TMC52390、PL−337、SM−322377、SM−309515、GRL−02031、CRS−074、CRS−075、KB−98、およびA−790742、
2)逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド阻害剤、例えば、カプラビリン、エミビリン、デラビリジン(Rescriptor)、エファビレンツ(Sustiva)、ネビラピン(Viramune)、(+)−カラノライドA、カラノライドB、エトラビリン(Intelence)、GW5634、DPC−083、DPC−961、DPC−963、MIV−150、MIV−160、MIV−170、ダピビリン(TMC−120)、リルピビリン(TMC−278)、BILR355BS、VRX840773、UK−453061、およびRDEA806、RDEA427、RDEA640、IDX899、ANX−201(Thiovir)、R−1206、LOC−dd、IQP−0410(SJ−3366)、YM−215389、YM−228855、CMX−052、およびCMX−182、
3)逆転写酵素のHIVヌクレオシド阻害剤、例えば、ジドブジン(Retrovir)、エムトリシタビン(Emtriva)、ジダノシン(Videx)、スタブジン(Zerit)、ザルシタビン(Hivid)、ラミブジン(Epivir)、アバカビル(Ziagen)、アムドキソビル、エルブシタビン(ACH126443)、アロブジン(MIV−310)、MIV−210、ラシビル(ラセミのFTC、PSI−5004)、D−d4FC、ホスファジド、ホジブジンチドキシル、アプリシタビン(apricitibine)(AVX754、SPD−754)、GS−7340、KP−1461、AVX756、OBP−601、ジオキソランチミン、TMC−254072、INK−20、PPI−801、PPI−802、MIV−410、4’−Ed4T、B−108、およびフォサルブジンチドキシル(HDP99.0003)、
4)逆転写酵素のHIVヌクレオチド阻害剤、例えば、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Viread)、およびアデホビルジピボキシル、
5)HIVインテグラーゼ阻害剤、例えば、クルクミン、クルクミン誘導体、チコリ酸、チコリ酸誘導体、3,5−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸誘導体、アウリントリカルボン酸、アウリントリカルボン酸誘導体、カフェイン酸フェネチルエステル、カフェイン酸フェネチルエステル誘導体、チルホスチン、チルホスチン誘導体、ケルセチン、ケルセチン誘導体、S−1360、ジンテビル(AR−177)、L−870812、およびL−870810、ラルテグラビル(Isentress、MK−0518)、エルビテグラビア(GS−9137)、BMS−538158、GSK364735C、BMS−707035、MK−2048、GSK−349572(S−349572)、GSK−265744(S−265744)、GSK−247303(S−247303)、S−1360(GW810871)、1,5−DCQA、INH−001、INT−349、V−165、RIN−25、BFX−1001、BFX−1002、BFX−1003、RSC−1838、BCH−33040、およびBA011、
6)gp41阻害剤、例えば、エンフュービルタイド(Fuzeon)、シフュービルタイド、MPI−451936、FB006M、A−329029、およびTRI−1144、
7)CXCR4阻害剤、例えば、AMD−070、KRH−3955(CS−3955)、AMD−9370、AMD−3451、RPI−MN、MSX−122、およびPOL−2438、
8)エントリー阻害剤、例えば、SP01A、PA−161、SPC3、TNX−355、DES6、SP−10、SP−03、CT−319、およびCT−326、
9)gp120阻害剤、例えば、BMS−488043およびそのプロドラッグ、BlockAide/CR、KPC−2、およびMNLP62、
10)G6PDおよびNADH−酸化酵素阻害剤、例えば、イムニチン、
11)CCR5阻害剤、例えば、アプラビロック、ニフェビロック、ビクリビロック(SCH−417690)、マラビロック(Selzentry)、PRO−140、PRO−542、INCB15050、INCB9471、PF−232798、SCH−532706、GSK−706769、TAK−652、TAK−220、ESN−196、RO−1752、ZM−688523、AMD−887、YM−370749、NIBR−1282、SCH−350634、ZM−688523、およびCCR5mAb004、
12)CCR8阻害剤、例えば、ZK−756326、
13)RNase H阻害剤、例えば、ODN−93、およびODN−112、
14)成熟化阻害剤、例えば、ベビリマット(PA−457)、PA−040、MPC−9055(vicecon、MPI−49839)、ACH−100703、ACH−100706
15)薬物動力学的増強剤、例えば、BAS−100、SPI−452、PF−4194477、TMC−41629、GS−9350、GS−9585、およびロキシスロマイシン、
16)HIVを治療するための他の薬物、例えば、REP9、SP−01A、TNX−355、DES6、ODN−93、ODN−112、VGV−1、Ampligen、HRG214、Cytolin、VGX−410、VGX−820、KD−247、AMZ0026、CYT99007、A−221 HIV、HPH−116、DEBIO−025、BAY50−4798、MDX010(イピリムマブ)、PBS119、BIT−225、UBT−8147、ITI−367、AFX−400、BL−1050、GRN−139951、GRN−140665、AX−38679、RGB−340638、PPI−367、およびALG889
からなる群から選択される1つまたは複数の化合物と併用することができる。
【0141】
障害ががんの場合、少なくとも1つの他の抗がん療法との併用が想定される。特に、抗がん療法において、他の抗新生物剤(化学療法剤、ホルモン剤もしくは抗体薬剤を含む)との併用ならびに外科的療法および放射線治療法との併用が想定される。したがって本発明による併用療法は、少なくとも1つの本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の投与と、少なくとも1つの他のがん治療方法の使用とを含む。好ましくは、本発明による併用療法は、少なくとも1つの本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの他の薬学的活性薬剤、好ましくは抗新生物剤の投与を含む。本発明の化合物および他の薬学的活性薬剤は、一緒にまたは別々に投与することができ、別々に投与する場合、投与は、同時に行うか、または逐次的に任意の順序で(療法レジメンに従い異なる日の投与を含む)および任意の便利な経路で行うことができる。本発明の化合物および他の薬学的活性薬剤の量ならびに相対的な投与のタイミングは、併用による所望の治療効果を達成するように選択されることになる。
【0142】
一実施形態では、さらなる抗がん療法は、少なくとも1つの追加の抗新生物剤である。治療を受ける感受性腫瘍に対して活性を有する任意の抗新生物剤を組み合わせて利用することができる。有用な典型的抗新生物剤には、これらに限定されないが、抗微小管剤、例えばジテルペノイドおよびビンカアルカロイドなど;白金配位錯体;アルキル化剤例えばナイトロジェンマスタード、オキサアザホスホリン、アルキルスルホネート、ニトロソ尿素、およびトリアゼンなど;抗生物質、例えばアントラサイクリン、アクチノマイシンおよびブレオマイシンなど;トポイソメラーゼII阻害剤、例えばエピポドフィロトキシンなど;代謝拮抗剤、例えばプリンおよびピリミジン類似体ならびに抗葉酸化合物など;トポイソメラーゼI阻害剤、例えばカンプトテシンなど;ホルモンおよびホルモン類似物;シグナル伝達経路阻害剤;非受容体チロシンキナーゼ血管形成阻害剤;免疫療法剤;アポトーシス促進剤;ならびに細胞周期シグナル伝達阻害剤などが含まれる。
【0143】
抗微小管剤または抗有糸分裂剤は、細胞周期のM期または有糸分裂期の間、腫瘍細胞の微小管に対して活性のある、期特異的(phase specific)薬剤である。抗微小管剤の例には、これらに限定されないが、ジテルペノイドおよびビンカアルカロイドが含まれる。
【0144】
天然の供給源に由来するジテルペノイドは、細胞周期G/M期に働く期特異的抗がん剤である。ジテルペノイドは、微小管のβ−チューブリンサブユニットを、このタンパク質と結合することにより安定化すると考えられている。次いでこのタンパク質の脱会合が阻害され、有糸分裂が停止し、細胞死に至るようである。ジテルペノイドの例には、これらに限定されないが、パクリタキセルおよびその類似体であるドセタキセルが含まれる。
【0145】
パクリタキセル、(2R,3S)−N−ベンゾイル−3−フェニルイソセリンとの5β,20−エポキシ−1,2α,4,7β,10β,13α−ヘキサ−ヒドロキシタキサ−11−エン−9−オン4,10−ジアセテート2−ベンゾエート13−エステルは、Pacific yew tree Taxus brevifoliaから単離される天然のジテルペン産物であり、注射剤溶液タキソール(登録商標)として市販されている。それは、テルペンのタキサンファミリーのメンバーである。パクリタキセルは、米国において不応性卵巣がんの治療における臨床使用(Markmanら、Yale Journal of Biology and Medicine、64巻:583頁、1991年;McGuireら、Ann.Intern、Med.、111巻:273頁、1989年)および乳がんの治療に対する臨床使用(Holmesら、J.Nat.Cancer Inst.、83巻:1797頁、1991年)が認可されている。それは、皮膚における新生物(Einzigら、Proc.Am.Soc.Clin.Oncol.、20巻:46頁)ならびに頭頸部癌(Forastireら、Sem.Oncol.、20巻:56頁、1990年)の治療に対する潜在的候補である。化合物はまた、多発性嚢胞腎疾患の治療(Wooら、Nature、368巻:750頁、1994年)、肺がんおよびマラリアの治療に対する可能性も示している。パクリタキセルを用いて患者を治療することにより、骨髄抑制が生じ(multiple cell lineage、Ignoff,R J.ら、Cancer Chemotherapy Pocket Guide、1998年)、これは限界濃度(50nM)より上での投薬持続時間と関連したものである(Kearns,C M.ら、Seminars in Oncology、3巻(6号)16〜23頁、1995年)。
【0146】
ドセタキセル(5β−20−エポキシ−1,2α,4,7β,10β,13α−ヘキサヒドロキシタキサ−11−エン−9−オン4−アセテート2−ベンゾエートとの(2R,3S)−N−カルボキシ−3−フェニルイソセリン、N−tert−ブチルエステル、13−エステル、三水和物)は、注射剤溶液として、タキソテール(TAXOTERE)(登録商標)として市販されている。ドセタキセルは、乳がんの治療に対して指示される。ドセタキセルは、パクリタキセルq.v.の半合成の誘導体であり、ヨーロッパイチイの木の針葉から抽出される天然前駆体、10−デアセチル−バッカチンIIIを用いて調製する。
【0147】
ビンカアルカロイドは、ツルニチニチソウ植物に由来する期特異的抗新生物剤である。ビンカアルカロイドは、チューブリンに特異的に結合することにより細胞周期のM期(有糸分裂)で作用する。したがって、結合されたチューブリン分子は、微小管へと重合することができない。有糸分裂が分裂中期に停止され、細胞死に至ると考えられている。ビンカアルカロイドの例には、これらに限定されないが、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビンが含まれる。
【0148】
ビンブラスチン、硫酸ビンカロイコブラスチンは、注射溶液として、VELBAN(登録商標)として市販されている。それは、様々な固形腫瘍の二次的療法としての適応の可能性を有するが、主に精巣がんおよびホジキン病を含めた様々なリンパ腫、ならびにリンパ性および組織球性リンパ腫の治療において指示される。骨髄抑制は、ビンブラスチンの用量制限的副作用である。ビンクリスチン、ビンカロイコブラスチン、22−オキソ−、硫酸塩は、注射溶液として、ONCOVIN(登録商標)として市販されている。ビンクリスチンは、急性白血病の治療に対して指示され、ホジキンおよび非ホジキン悪性リンパ腫に対する治療レジメンにおける使用も見出されている。脱毛および神経作用がビンクリスチンの最も一般的な副作用であり、程度は低いが、骨髄抑制および消化管粘膜炎作用が生じる。
【0149】
ビノレルビン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−C’−ノルビンカロイコブラスチン[R−(R,R)−2,3−ジヒドロキシブタンジオエート(1:2)(塩)]は、酒石酸ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標))の注射溶液として市販されており、半合成のビンカアルカロイドである。ビノレルビンは、様々な固形腫瘍、特に非小細胞肺がん、進行性乳房がん、およびホルモン不応性前立腺がんの治療において、単剤として、または他の化学療法剤(例えばシスプラチン)と組み合わせて指示される。骨髄抑制が、ビノレルビンの最も一般的な用量制限的副作用である。
【0150】
白金配位錯体は、非期特異的抗がん剤であり、DNAとの相互作用性がある。白金錯体は、腫瘍細胞に侵入し、アクア化を受け、DNAと鎖内および鎖間の橋かけを形成して、腫瘍に有害な生物学的影響を引き起こす。白金配位錯体の例には、これらに限定されないが、オキサリプラチン、シスプラチンおよびカルボプラチンが含まれる。シスプラチン、シス−ジアンミンジクロロ白金は、注射溶液として、PLATINOL(登録商標)として市販されている。シスプラチンは、主に転移性の精巣がんおよび卵巣がんならびに進行性膀胱がんの治療において指示される。カルボプラチン(白金、ジアミン[1,1−シクロブタン−ジカーボキシレート(2−)−O,O’])は、注射溶液として、PARAPLATIN(登録商標)として市販されている。カルボプラチンは、主に進行性卵巣癌の一次的および二次的治療において指示される。
【0151】
アルキル化剤は、非期特異的抗がん剤であり、強力な求電子剤である。一般に、アルキル化剤は、アルキル化によって、例えばホスフェート、アミノ、スルフヒドリル、ヒドロキシル、カルボキシル、およびイミダゾール基などのDNA分子の求核部分を介してDNAと共有結合を形成する。そうしたアルキル化は、核酸機能を破壊し、細胞死に至らせる。アルキル化剤の例には、これらに限定されないが、ナイトロジェンマスタード、例えばシクロホスファミド、メルファラン、およびクロランブシルなど;アルキルスルホネート、例えばブスルファンなど;ニトロソ尿素、例えばカルムスチンなど;およびトリアゼン、例えばダカルバジンなどが含まれる。シクロホスファミド、2−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ−2H−1,3,2−オキサアザホスホリン2−オキシド一水和物は、注射溶液または錠剤として、CYTOXAN(登録商標)として市販されている。シクロホスファミドは、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、および白血病の治療において、単剤としてまたは他の化学療法剤と組み合わせて指示される。メルファラン、4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]−L−フェニルアラニンは、注射溶液または錠剤として、ALKERAN(登録商標)として市販されている。メルファランは、多発性骨髄腫および卵巣の切除不能の上皮癌の姑息療法に対して指示される。骨髄抑制がメルファランの最も一般的な用量制限的副作用である。クロランブシル、4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]ベンゼンブタン酸は、錠剤でLEUKERAN(登録商標)として市販されている。クロランブシルは、慢性リンパ性白血病、ならびに悪性リンパ腫、例えばリンパ肉腫、巨大濾胞性リンパ腫、およびホジキン病などの姑息療法に対して指示される。ブスルファン、1,4−ブタンジオールジメタンスルホネートは、錠剤でMYLERAN(登録商標)として市販されている。ブスルファンは、慢性骨髄性白血病の姑息療法に対して指示される。カルムスチン、1,3−[ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソ尿素は、凍結乾燥物質の単一バイアルとして、BiCNU(登録商標)として市販されている。カルムスチンは、脳腫瘍、多発性骨髄腫、ホジキン病、および非ホジキンリンパ腫のための姑息療法に対して、単剤で、または他の薬剤と組み合わせて指示される。ダカルバジン、5−(3,3−ジメチル−1−トリアゼノ)−イミダゾール−4−カルボキサミドは、単一バイアル材料として、DTIC−Dome(登録商標)として市販されている。ダカルバジンは、転移性悪性黒色腫の治療に対して、およびホジキン病の二次的治療のための他の薬剤と組み合わせて指示される。
【0152】
抗生抗新生物剤は、DNAと結合またはインターカレートする、非期特異的薬剤である。一般に、そうした作用により、安定したDNA複合体または鎖の破損をもたらし、その核酸の通常の機能を破壊し、細胞死をもたらす。抗生抗新生物剤の例には、これらに限定されないが、アクチノマイシン、例えばダクチノマイシンなど、アントラサイクリン(anthrocyclins)、例えばダウノルビシンおよびドキソルビシンなど;ならびにブレオマイシンなどが含まれる。ダクチノマイシンは、アクチノマイシンDとしても公知であり、注射可能形態でCOSMEGEN(登録商標)として市販されている。ダクチノマイシンは、ウィルムス腫瘍および横紋筋肉腫の治療に対して指示される。ダウノルビシン、(8S−cis−)−8−アセチル−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソ−ヘキソピラノシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−1−メトキシ−5,12ナフタセンジオン塩酸塩は、リポソーム注射可能形態でDAUNOXOME(登録商標)として、または注射可能物質として、CERUBIDINE(登録商標)として市販されている。ダウノルビシンは、急性非リンパ性白血病および進行性HIV関連カポジ肉腫の治療において寛解誘導に対して指示される。ドキソルビシン、(8S,10S)−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソ−ヘキソピラノシル)オキシ]−8−グリコロイル,7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−1−メトキシ−5,12ナフタセンジオン塩酸塩は、注射可能形態で、RUBEX(登録商標)またはADRIAMYCIN RDF(登録商標)として市販されている。ドキソルビシンは、急性リンパ芽球性白血病および急性骨髄芽球性白血病の治療に対して主に指示されるが、いくつかの固形腫瘍およびリンパ腫の治療においても有用な成分である。ブレオマイシンは、Streptomyces verticillusの菌株から単離した細胞傷害性グリコペプチド抗生物質の混合物であり、BLENOXANE(登録商標)として市販されている。ブレオマイシンは、扁平上皮癌、リンパ腫、および精巣癌の姑息療法として、単剤で、または他の薬剤と組み合わせて指示される。
【0153】
トポイソメラーゼII阻害剤には、これらに限定されないが、エピポドフィロトキシンが含まれる。エピポドフィロトキシンは、マンドレーク植物由来の期特異的抗新生物剤である。エピポドフィロトキシンは、一般に、トポイソメラーゼIIおよびDNAと三重複合体を形成し、DNA鎖の破損を引き起こすことによって、細胞周期のS期およびG期の細胞に影響を及ぼす。これらの鎖の破損が蓄積し、細胞死に至る。エピポドフィロトキシンの例には、これらに限定されないが、エトポシドおよびテニポシドが含まれる。エトポシド、4’−デメチル−エピポドフィロトキシン9[4,6−0−(R)−エチリデン−β−D−グルコピラノシド]は、注射溶液またはカプセル剤として、VePESID(登録商標)として市販されており、VP−16として公知である。エトポシドは、精巣がんおよび非小細胞肺がんの治療において、単剤で、または他の化学療法薬剤と組み合わせて指示される。テニポシド、4’−デメチル−エピポドフィロトキシン9[4,6−O−(R)−テニリデン−β−D−グルコピラノシド]は、注射溶液として、VUMON(登録商標)として市販されており、VM−26として公知である。テニポシドは、小児における急性白血病の治療において、単剤で、または他の化学療法剤と組み合わせて指示される。
【0154】
代謝拮抗新生物剤は、DNA合成を阻害するか、またはプリンもしくはピリミジン塩基合成を阻害し、それによりDNA合成を制限することによって、細胞周期のS期(DNA合成)で作用する期特異的抗新生物剤である。したがって、S期は、進行せず、細胞死に至る。代謝拮抗抗新生物剤の例には、これらに限定されないが、フルオロウラシル、メトトレキサート、シタラビン、メルカプトプリン、チオグアニン、およびゲムシタビンが含まれる。5−フルオロウラシル、5−フルオロ−2,4−(1H,3H)ピリミジンジオンは、フルオロウラシルとして市販されている。5−フルオロウラシルの投与は、チミジル酸合成の阻害をもたらし、RNAおよびDNAの両方に組み込まれる。その結果、一般に細胞死に至る。5−フルオロウラシルは、乳房、大腸、直腸、胃および膵臓の癌の治療において、単剤で、または他の化学療法剤と組み合わせて指示される。他のフルオロピリミジン類似体には、5−フルオロデオキシウリジン(フロキシウリジン)および5−フルオロデオキシウリジン一リン酸が含まれる。
【0155】
シタラビン、4−アミノ−1−β−D−アラビノフラノシル−2(1H)−ピリミジノンは、CYTOSAR−U(登録商標)として市販されており、Ara−Cとして公知である。シタラビンは、成長しているDNA鎖の末端にシタラビンが組み込まれることでDNA鎖の伸長を阻害することにより、細胞の期に対する特異性(cell phase specificity)をS期に示すと考えられている。シタラビンは、急性白血病の治療において、単剤で、または他の化学療法剤と組み合わせて指示される。他のシチジン類似体には、5−アザシチジンおよび2’,2’−ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)が含まれる。メルカプトプリン、1,7−ジヒドロ−6H−プリン−6−チオン一水和物は、PURINETHOL(登録商標)として市販されている。メルカプトプリンは、未だ特定されていない機序によりDNA合成を阻害することで、細胞の期に対する特異性をS期に示す。メルカプトプリンは、急性白血病の治療において、単剤で、または他の化学療法剤と組み合わせて指示される。有用なメルカプトプリン類似体は、アザチオプリンである。チオグアニン、2−アミノ−1,7−ジヒドロ−6H−プリン−6−チオンは、TABLOID(登録商標)として市販されている。チオグアニンは、未だ特定されていない機序によりDNA合成を阻害することで、細胞の期に対する特異性をS期に示す。チオグアニンは、急性白血病の治療において、単剤で、または他の化学療法剤と組み合わせて指示される。他のプリン類似体には、ペントスタチン、エリスロヒドロキシノニルアデニン、リン酸フルダラビン、およびクラドリビンが含まれる。ゲムシタビン、2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロシチジン一塩酸塩(β−異性体)は、GEMZAR(登録商標)として市販されている。ゲムシタビンは、G1/S期の境界で細胞の進行を遮断することで、細胞の期に対する特異性をS期に示す。ゲムシタビンは、局所的進行性非小細胞肺がんの治療においてシスプラチンと組み合わせて、および局所的進行性膵がんの治療において単独で指示される。メトトレキサート、N−[4[[(2,4−ジアミノ−6−プテリジニル)メチル]メチルアミノ]ベンゾイル]−L−グルタミン酸は、メトトレキサートナトリウムとして市販されている。メトトレキサートは、プリンヌクレオチドおよびチミジル酸の合成に必要とされるジヒドロ葉酸(dyhydrofolic acid)還元酵素の阻害を介してDNA合成、修復および/または複製を阻害することにより、細胞の期に対する特異性をS期に示す。メトトレキサートは、絨毛癌、髄膜白血病、非ホジキンリンパ腫、ならびに乳房、頭部、頸部、卵巣および膀胱の癌の治療において、単剤で、または他の化学療法剤と組み合わせて指示される。
【0156】
カンプトテシンおよびカンプトテシン誘導体を含むカンプトテシンは、トポイソメラーゼI阻害剤として入手可能であるか、または開発中である。カンプトテシン細胞傷害活性は、そのトポイソメラーゼI抑制活性に関連していると考えられている。カンプトテシンの例には、これらに限定されないがイリノテカン、トポテカン、および下記の7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20−カンプトテシンの様々な光学形態が含まれる。イリノテカンHCl、(4S)−4,11−ジエチル−4−ヒドロキシ−9−[(4−ピペリジノピペリジノ)カルボニルオキシ]−1H−ピラノ[3’,4’,6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H,12H)−ジオン塩酸塩は、注射溶液CAMPTOSAR(登録商標)として市販されている。イリノテカンは、その活性代謝物SN−38と共に、トポイソメラーゼI−DNA複合体と結合するカンプトテシンの誘導体である。細胞傷害性は、トポイソメラーゼI:DNA:イリノテカン(irintecan)またはSN−38三重複合体と複製酵素との相互作用により生じる回復不能な二本鎖破損の結果として起こると考えられている。イリノテカンは、大腸または直腸の転移性がんの治療に対して指示される。トポテカンHCl、(S)−10−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−エチル−4,9−ジヒドロキシ−1H−ピラノ[3’,4’,6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14−(4H,12H)−ジオン一塩酸塩は、注射溶液HYCAMTIN(登録商標)として市販されている。トポテカンは、トポイソメラーゼI−DNA複合体と結合するカンプトテシンの誘導体であり、DNA分子のねじれ歪みに反応してトポイソメラーゼIにより生じる一本鎖破損の再連結を防止する。トポテカンは、卵巣がんおよび小細胞肺がんの転移性癌の二次的治療に対して指示される。
【0157】
ホルモンおよびホルモン類似体は、ホルモンと、がんの増殖および/または増殖の欠如との間に関係が存在するがんを治療するのに有用な化合物である。がん治療に有用なホルモンおよびホルモン類似体の例には、これらに限定されないが、副腎皮質ステロイド、例えば小児の悪性リンパ腫および急性白血病の治療に有用なプレドニゾンおよびプレドニゾロンなど;アミノグルテチミドおよび他のアロマターゼ阻害剤、例えば、エストロゲン受容体を含有するホルモン依存性乳癌および副腎皮質癌の治療に有用なアナストロゾール、レトラゾール(letrazole)、ボラゾール(vorazole)、およびエクセメスタンなど;プロゲスチン(progestrins)例えばホルモン依存性乳がんおよび子宮体癌の治療に有用な酢酸メゲストロールなど;エストロゲン、アンドロゲン、および抗アンドロゲン、例えば前立腺癌および良性前立腺肥大の治療に有用なフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、酢酸シプロテロンおよび5α−還元酵素、例えばフィナステリドおよびデュタステライドなど;抗エストロゲン物質、例えばホルモン依存性乳癌および他の感受性がんの治療に有用なタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェンなど、ならびに選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERMS)(例えば米国特許第5,681,835号、同第5,877,219号および同第6,207,716号に記載のものなど);ならびに前立腺癌の治療のための黄体形成ホルモン(LH)および/または卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を刺激するゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)およびその類似体、例えば、LHRHアゴニストおよびアンタゴニスト(antagagonists)(例えば酢酸ゴセレリンおよびロイプロリド(luprolide)など)が含まれる。
【0158】
シグナル伝達経路阻害剤は、細胞内変化を引き起こす化学的プロセスを遮断または阻害する阻害剤である。本明細書で使用する場合、この変化は、細胞増殖または分化である。本発明で有用なシグナル伝達(tranduction)阻害剤には、受容体チロシンキナーゼ、非受容体チロシンキナーゼ、SH2/SH3ドメイン遮断剤、セリン/トレオニンキナーゼ、ホスホチジル(phosphotidyl)イノシトール−3キナーゼ、ミオ−イノシトールシグナル伝達、ならびにRas癌遺伝子の阻害剤が含まれる。
【0159】
いくつかのタンパク質チロシンキナーゼは、細胞増殖の調節に関与している様々なタンパク質の特定のチロシル残渣のリン酸化を触媒する。そうしたタンパク質チロシンキナーゼは、受容体または非受容体キナーゼとして大まかに分類することができる。
【0160】
受容体チロシンキナーゼは、細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、およびチロシンキナーゼドメインを有する膜貫通タンパク質である。受容体チロシンキナーゼは、細胞増殖の調節に関与し、一般に成長因子受容体と呼ばれている。例えば過剰発現または変異による、これらのキナーゼの多くの不適当または無制限な活性化、すなわち異常なキナーゼ成長因子受容体活性は、無制限な細胞増殖をもたらすことが示されている。よって、そうしたキナーゼの異常な活性は、悪性組織増殖と関連付けられる。その結果、そうしたキナーゼの阻害剤は、がん治療法を提供し得る。成長因子受容体には、例えば、上皮成長因子受容体(EGFr)、血小板由来成長因子受容体(PDGFr)、erbB2、erbB4、ret、血管内皮成長因子受容体(VEGFr)、イムノグロブリン様ドメインおよび上皮成長因子相同ドメインを有するチロシンキナーゼ(TIE−2)、インスリン成長因子−I(IGFI)受容体、マクロファージコロニー刺激因子(cfms)、BTK、ckit、cmet、線維芽細胞成長因子(FGF)受容体、Trk受容体(TrkA、TrkB、およびTrkC)、エフリン(eph)受容体ならびにRET癌原遺伝子が含まれる。成長受容体のいくつかの阻害剤は開発中であり、リガンドアンタゴニスト、抗体、チロシンキナーゼ阻害剤およびアンチセンスオリゴヌクレオチドが含まれる。成長因子受容体および成長因子受容体機能を阻害する薬剤は、例えば、Kath,John C、Exp.Opin.Ther.Patents(2000年)10巻(6号):803〜818頁;Shawverら、DDT、2巻、2号、1997年2月;およびLofts,F.J.ら、「Growth factor receptors as targets」、New Molecular Targets for Cancer Chemotherapy、ed.Workman、Paul and Kerr、David、CRC press、1994年、Londonに記載されている。
【0161】
成長因子受容体キナーゼでないチロシンキナーゼは、非受容体チロシンキナーゼと呼ばれる。抗がん剤のターゲットまたは潜在的ターゲットとなる、本発明で有用な非受容体チロシンキナーゼには、cSrc、Lck、Fyn、Yes、Jak、cAbl、FAK(焦点接着性キナーゼ)、Brutonsチロシンキナーゼ、およびBcr−Ablが含まれる。そうした非受容体キナーゼおよび非受容体チロシンキナーゼ機能を阻害する薬剤は、Sinh,S.およびCorey,S.J.、(1999年)Journal of Hematotherapy and Stem Cell Research、8巻(5号):465〜80頁;およびBolen,J.B.、Brugge,J.S.、(1997年)Annual review of Immunology.15巻:371〜404頁に記載されている。SH2/SH3ドメイン遮断剤は、PI3−K p85サブユニット、Srcファミリーキナーゼ、アダプター分子(She、Crk、Nek、Grb2)およびRas−GAPを含む様々な酵素またはアダプタータンパク質におけるSH2またはSH3ドメイン結合を乱す薬剤である。抗がん剤のターゲットとしてのSH2/SH3ドメインは、Smithgall,T.E.(1995年)、Journal of Pharmacological and Toxicological Methods.34巻(3号)125〜32頁において考察されている。
【0162】
Rafキナーゼ(rafk)、マイトジェンまたは細胞外調節キナーゼ(MEK)、および細胞外調節キナーゼ(ERK)の遮断剤を含む、MAPキナーゼカスケード遮断剤を含むセリン/トレオニンキナーゼ阻害剤;ならびにPKC(アルファ、ベータ、ガンマ、イプシロン、ミュー、ラムダ、イオタ、ゼータ)の遮断剤を含むプロテインキナーゼCファミリーメンバー遮断剤。IkBキナーゼファミリー(IKKa、IKKb)、PKBファミリーキナーゼ、aktキナーゼファミリーメンバー、およびTGFβ受容体キナーゼ。そうしたセリン/トレオニンキナーゼおよびその阻害剤は、Yamamoto,T.、Taya,S.、Kaibuchi,K.、(1999年)、Journal of Biochemistry.126巻(5号)799〜803頁;Brodt,P.、Samani,A.、およびNavab,R.(2000年)、Biochemical Pharmacology、60巻.1101〜1107頁;Massague,J.、Weis−Garcia,F.(1996年)Cancer Surveys.27巻:41〜64頁;Philip,P.A.、およびHarris,A.L.(1995年)、Cancer Treatment and Research.78巻:3〜27頁、Lackey,K.ら、Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters、(10巻)、2000年、223〜226頁;米国特許第6,268,391号;およびMartinez−lacaci,L.ら、Int.J.Cancer(2000年)、88巻(1号)、44〜52頁に記載されている。
【0163】
PI3キナーゼ、ATM、DNA−PK、およびKuの遮断剤を含むホスホチジルイノシトール−3キナーゼファミリーメンバーの阻害剤もまた本発明で有用である。そうしたキナーゼは、Abraham、 RT.(1996年)、Current Opinion in Immunology.8巻(3号)412〜8頁;Canman,C.E.、Lim,D.S.(1998年)、Oncogene、17巻(25号)3301〜3308頁;Jackson,S.P.(1997年)、International Journal of Biochemistry and Cell Biology.29巻(7号):935〜8頁;およびZhong,H.ら、Cancer res、(2000年)60巻(6号)、1541〜1545頁において考察されている。
【0164】
ミオ−イノシトールシグナル伝達阻害剤、例えばホスホリパーゼC遮断剤およびミオイノシトール類似体もまた本発明で有用である。そうしたシグナル阻害剤は、Powis,G.、およびKozikowski A.、(1994年)New Molecular Targets for Cancer Chemotherapy ed.、Paul Workman and David Kerr、CRC press、1994年、Londonにおいて記載されている。
【0165】
シグナル伝達経路阻害剤の別のグループは、Ras癌遺伝子の阻害剤である。そうした阻害剤には、ファルネシルトランスフェラーゼ、ゲラニル−ゲラニルトランスフェラーゼ、およびCAAXプロテアーゼの阻害剤ならびにアンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイムおよび免疫療法が含まれる。そうした阻害剤は、野生型変異体rasを含有する細胞においてrasの活性化を遮断し、これにより抗増殖剤として作用することが示されている。ras癌遺伝子の阻害は、Scharovsky,O.G.、Rozados,V.R.、Gervasoni,S.I.、Matar,P.(2000年)、Journal of Biomedical Science.7巻(4号)292〜8頁;Ashby,M.N.(1998年)、Current Opinion in Lipidology.9巻(2号)99〜102頁;およびBioChim.Biophys.Acta、(1999)1423巻(3号):19〜30頁において考察されている。
【0166】
上述のように、受容体キナーゼリガンド結合に対する抗体アンタゴニストもまた、シグナル伝達阻害剤として機能し得る。このグループのシグナル伝達経路阻害剤には、受容体チロシンキナーゼの細胞外リガンド結合ドメインに対するヒト化抗体の使用を含む。例えば、Imclone C225EGFRに特異的な抗体(Green,M.C.ら、Monoclonal Antibody Therapy for Solid Tumors、Cancer Treat.Rev.、(2000年)、26巻(4号)、269〜286頁参照);Herceptin(登録商標)erbB2抗体(Tyrosine Kinase Signalling in Breast cancer:erbB Family Receptor Tyrosine Kniases、Breast cancer Res.、2000年、2巻(3号)、176〜183頁);および2CB VEGFR2に特異的な抗体(Brekken,R.A.ら、Selective Inhibition of VEGFR2 Activity by a monoclonal Anti−VEGF antibody blocks tumor growth in mice、Cancer Res.(2000年)60巻、5117〜5124頁参照)。
【0167】
非受容体型キナーゼ血管形成阻害剤を含む抗血管新生薬も、有用であり得る。抗血管新生薬、例えば血管内皮(edothelial)成長因子の作用を阻害するもの(例えば抗血管内皮細胞成長因子抗体ベバシズマブ[Avastin(商標)]、および他の機序で働く化合物(例えばリノミド、インテグリンαvβ3機能、エンドスタチンおよびアンギオスタチンの阻害剤)。
【0168】
免疫療法レジメンに使用される薬剤もまた、式(I)の化合物と組み合わせて有用であり得る。免疫療法の手法には、例えば患者の腫瘍細胞の免疫発生を増加させるためのex−vivoおよびin−vivoでの手法、例えばインターロイキン2、インターロイキン4または顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子などのサイトカインのトランスフェクションなど、T−細胞アネルギーを減少させる手法、トランスフェクトした免疫細胞、例えばサイトカイントランスフェクト樹枝状細胞などを用いた手法、サイトカイン−トランスフェクトした腫瘍細胞株を用いた手法および抗イディオタイプ抗体を用いた手法などが含まれる。
【0169】
アポトーシス促進レジメンで用いられる薬剤(例えば、bcl−2アンチセンスオリゴヌクレオチド)もまた、本発明の組み合わせにおいて使用することができる。
【0170】
細胞周期シグナル伝達阻害剤は、細胞周期の制御に関与する分子を阻害する。サイクリン依存性キナーゼ(CDK)と呼ばれるタンパク質キナーゼファミリーおよびこれらのサイクリンと呼ばれるタンパク質ファミリーとの相互作用は、真核細胞の細胞周期全体を通して進行を制御する。異なるサイクリン/CDK複合体の同調的活性化および不活化が、細胞周期全体を通して通常の進行に必要である。細胞周期シグナル伝達のいくつかの阻害剤が開発中である。例えばCDK2、CDK4、およびCDK6を含めたサイクリン依存性キナーゼ、ならびにこれらの阻害剤の例は、例えば、Rosaniaら、Exp.Opin.Ther.Patents(2000年)10巻(2号):215〜230頁に記載されている。
【0171】
肺の障害の治療または予防については、喘息、COPD、気管支炎などの治療において潜在的に使用され、したがって追加の治療薬として有用な抗コリン作用薬には、人間においてCOPDのコリン作動性の調子を制御する治療的効果を示すムスカリン受容体のアンタゴニスト(特にM3サブタイプ)(Witek、1999年);1−{4−ヒドロキシ−1−[3,3,3−トリス−(4−フルオロ−フェニル)−プロピオニル]−ピロリジン−2−カルボニル}−ピロリジン−2−カルボン酸(1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル)−アミド;3−[3−(2−ジエチルアミノ−アセトキシ)−2−フェニル−プロピオニルオキシ]−8−イソプロピル−8−メチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタン(イプラトロピウム−N,N−ジエチルグリシネート);1−シクロヘキシル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イルエステル(ソリフェナシン);2−ヒドロキシメチル−4−メタンスルフィニル−2−フェニル−酪酸1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イルエステル(レバトロパート);2−{1−[2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−5−イル)−エチル]−ピロリジン−3−イル}−2,2−ジフェニル−アセトアミド(ダリフェナシン);4−アゼパン−1−イル−2,2−ジフェニル−ブチルアミド(ブゼピド);7−[3−(2−ジエチルアミノ−アセトキシ)−2−フェニル−プロピオニルオキシ]−9−エチル−9−メチル−3−オキサ−9−アゾニア−トリシクロ[3.3.1.02,4]ノナン(オキシトロピウム−N,N−ジエチルグリシネート);7−[2−(2−ジエチルアミノ−アセトキシ)−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−アセトキシ]−9,9−ジメチル−3−オキサ−9−アゾニア−トリシクロ[3.3.1.02,4]ノナン(チオトロピウム−N,N−ジエチルグリシネート);ジメチルアミノ−酢酸2−(3−ジイソプロピルアミノ−1−フェニル−プロピル)−4−メチル−フェニルエステル(トルテロジン−N,N−ジメチルグリシネート);3−[4,4−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−イミダゾリジン−1−イル]−1−メチル−1−(2−オキソ−2−ピリジン−2−イル−エチル)−ピロリジニウム;1−[1−(3−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イル]−4,4−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−イミダゾリジン−2−オン;1−シクロオクチル−3−(3−メトキシ−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−1−フェニル−プロパ−2−イン−1−オール;3−[2−(2−ジエチルアミノ−アセトキシ)−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−アセトキシ]−1−(3−フェノキシ−プロピル)−1−アゾニア−ビシクロ[2.2.2]オクタン(アクリジニウム−N,N−ジエチルグリシネート);または(2−ジエチルアミノ−アセトキシ)−ジ−チオフェン−2−イル−酢酸1−メチル−1−(2−フェノキシ−エチル)−ピペリジン−4−イルエステル;喘息、COPDおよび気管支炎における気管支収縮を治療するのに使用される、サルメテロールおよびアルブテロールを含めたβ−2アゴニスト;喘息のための抗炎症性シグナル伝達モジュレーターが含まれる。
【0172】
喘息の肺の状態に関して、当業者は、喘息は、炎症促進性細胞、主に好酸球および活性化されたT−リンパ球の気管支の粘膜および粘膜下層への浸潤により生じる気道の慢性炎症性疾患であると理解する。これら炎症促進性細胞による、サイトカインを含めた強力な化学的伝達物質の分泌は、粘膜の浸透性、粘液産生を変質させ、平滑筋収縮を引き起こす。これら要因のすべてが、多種多様な刺激性物質に対する気道反応性の増加につながる(Kaliner、1988年)。シグナル伝達経路をターゲットとすることは、炎症性疾患を治療する上で興味深い手法である。これは、同じ経路に普通いくつかの細胞型が関与し、いくつかの協調された炎症プロセスが調節され、よってモジュレーターには、広範囲の有利な作用が見込まれるからである。複数の炎症シグナルは、限定された数のシグナル伝達経路を活性化する様々な細胞表面受容体を活性化するが、これらの大部分にキナーゼのカスケードが関与している。これらキナーゼは、次に複数の炎症性遺伝子を調節する転写因子を活性化し得る。「抗炎症性シグナル伝達モジュレーター」(ここではAISTMと称す)、例えばホスホジエステラーゼ阻害剤(例えばPDE−4、PDE−5、またはPDE−7特異的)、転写因子阻害剤(例えばIKK阻害を介してNFκBを遮断)、またはキナーゼ阻害剤(例えばP38 MAP、JNK、PI3K、EGFRまたはSykを遮断)を利用することは、炎症のスイッチを切るための論理的手法である。なぜなら、これら小分子は、限定された数の一般的細胞内経路、すなわち、抗炎症性治療による介入にとって要点であるシグナル伝達経路をターゲットとするからである(P.J.Barnes、による概論2006年を参照)。
【0173】
追加の治療薬には、5−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1−イソブチル−1H−インダゾール−6−カルボン酸(2−ジメチルアミノ−エチル)−アミド(P38 Mapキナーゼ阻害剤ARRY−797);3−シクロプロピルメトキシ−N−(3,5−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−4−ジフルオロルメトキシ−ベンズアミド(PDE−4阻害剤ロフルミラスト);4−[2−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−2−フェニル−エチル]−ピリジン(PDE−4阻害剤CDP−840);N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−4−(ジフルオロメトキシ)−8−[(メチルスルホニル)アミノ]−1−ジベンゾフランカルボキサミド(PDE−4阻害剤オグレミラスト);N−(3,5−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−2−[1−(4−フルオロベンジル)−5−ヒドロキシ−1H−インドール−3−イル]−2−オキソ−アセトアミド(PDE−4阻害剤AWD 12−281);8−メトキシ−2−トリフルオロメチル−キノリン−5−カルボン酸(3,5−ジクロロ−1−オキシ−ピリジン−4−イル)−アミド(PDE−4阻害剤Sch 351591);4−[5−(4−フルオロフェニル)−2−(4−メタンスルフィニル−フェニル)−1H−イミダゾール−4−イル]−ピリジン(P38阻害剤SB−203850);4−[4−(4−フルオロ−フェニル)−1−(3−フェニル−プロピル)−5−ピリジン−4−イル−1H−イミダゾール−2−イル]−ブタ−3−イン−1−オール(P38阻害剤RWJ−67657);4−シアノ−4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−シクロヘキサンカルボン酸2−ジエチルアミノ−エチルエステル(Cilomilastの2−ジエチル−エチルエステルプロドラッグ、PDE−4阻害剤);(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−[7−メトキシ−6−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−キナゾリン−4−イル]−アミン(ゲフィチニブ、EGFR阻害剤);および4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミド(イマチニブ、EGFR阻害剤)が含まれる。
【0174】
さらに、喘息は、炎症促進性細胞、主に好酸球および活性化されたT−リンパ球の気管支粘膜および粘膜下層への浸潤により生じる気道の慢性炎症性疾患である(Poston、Am.Rev.Respir.Dis.、145巻(4Pt1)、918〜921頁、1992年;Walker、J.Allergy Clin.Immunol.、88巻(6号)、935〜42頁、1991年)。これら炎症促進性細胞による、サイトカインを含めた強力な化学的伝達物質の分泌は、粘膜の浸透性、粘液産生を変質させ、平滑筋収縮を引き起こす。これらの要因すべてが、多種多様な刺激性物質に対する気道反応性の増加につながる(Kaliner、「Bronchial asthma,Immunologic diseases」E.M.Samter、Boston、Little、Brown and Company:117〜118頁、1988年)。
【0175】
グルココルチコイドは、1950年に喘息療法として最初に導入されたものであり(Carryer、Journal of Allergy、21巻、282〜287頁、1950年)、依然としてこの疾患に対して最も強力であり、一貫して効果的な療法である。しかし、これらの作用機序は、未だ完全に理解されていない(Morris、J.Allergy Clin.Immunol.、75巻(1Pt)1〜13頁、1985年)。残念なことに、経口のグルココルチコイド治療法は、根深い、望ましくない副作用、例えば体幹の肥満、高血圧、緑内障、グルコース不耐、白内障形成の加速、骨無機質の減少、および心理学的影響を伴い、これらすべてにより、治療薬としてのその長時間の使用が制限される(GoodmanおよびGilman、10版、2001年)。全身性副作用の解決策は、ステロイド薬物を炎症部位に直接送達することである。吸入コルチコステロイド(ICS)は、経口ステロイドの深刻な有害作用を軽減するために開発されてきた。ICSは、喘息の炎症を制御するのには非常に効果的であるが、これらもまた肺の最適な作用部位へ正確に送達されずに、口および咽頭内に望ましくない副作用を引き起こす(カンジダ症、のどの痛み、発声困難)。吸入β2−アドレナリン受容体アゴニスト気管支拡張剤、例えばホルモテロールまたはサルメテロールなどと、ICSとの組み合わせもまた、喘息およびCOPDに関連する気管支収縮および炎症の両方を治療するために使用される(それぞれSymbicort(登録商標)およびAdvair(登録商標))。しかし、これらの組み合わせは、主にどちらの薬剤も肺の中の最適な作用部位に送達されないという理由から、体内吸収(頻拍、心室性不整脈、低カリウム血症)により、ICSとβ2−アドレナリン受容体アゴニストの両方の副作用が起こる。ICSおよびβ2−アゴニストの有害な副作用プロファイルに関連するすべての問題および不都合を考慮すると、プロドラッグが肺に到達し、これによって、ICSの口腔咽頭の副作用およびβ2−アゴニストの循環器の副作用が軽減されるまで、ステロイドおよびβ2−アゴニストの両方の薬理学的特性を隠す相互のステロイド−β2−アゴニストプロドラッグを提供することが極めて有利である。一態様において、そうした相互のステロイド−β2−アゴニストプロドラッグは、気管支内の空間に効果的に送達され、肺酵素の作用により活性のある薬物へと変換され、これによって両薬物の治療量が炎症部位および気管支収縮部位に送達されることになる。併用療法のための抗炎症剤には、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、フルオロメトロン、酢酸フルオロメトロン、ロテプレドノール、エタボン酸ロテプレドノール、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、フルドロコルチゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン(beclomethasone diproprionate)、メチルプレドニゾロン、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルニソリド、フルオコルチン−21−ブチラート、フルメタゾン、ピバル酸フルメタゾン、ブデソニド、プロピオン酸ハロベタゾール、フロ酸モメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、シクレソニド;または薬学的に許容されるその塩が含まれる。
【0176】
さらに他の実施形態では、本出願は、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩を、少なくとも1つの追加の活性薬剤および薬学的に許容される担体または添加剤と一緒に含む医薬組成物を開示する。さらに他の実施形態では、本出願は、単一の剤形で2つ以上の治療薬を含む併用薬剤を提供する。したがって、本発明の任意の化合物を、1つまたは複数の他の活性薬剤と単一の剤形で組み合わせることもできる。
【0177】
併用治療薬は、同時または逐次レジメンとして投与することができる。逐次的に投与する場合、その併用は2回以上の投薬で投与することができる。
【0178】
本発明の化合物と1つまたは複数の他の活性薬剤との同時投与は一般に、治療有効量の本発明の化合物と1つまたは複数の他の活性薬剤がどちらも患者の体内に存在するように、本発明の化合物と1つまたは複数の他の活性薬剤を同時または逐次投与することを指す。
【0179】
同時投与は、単位投薬量の1つまたは複数の他の活性薬剤を投与する前かまたは投与した後に、単位投薬量の本発明の化合物を投与する、例えば1つまたは複数の他の活性薬剤の投与から数秒、数分または数時間以内に本発明の化合物を投与することを含む。例えば、単位用量の本発明の化合物を最初に投与し、次いで数秒または数分以内に単位用量の1つまたは複数の他の活性薬剤を投与することができる。あるいは、単位用量の1つまたは複数の他の活性薬剤を最初に投与し、次いで数秒または数分以内に単位用量の本発明の化合物を投与することができる。いくつかの場合、単位用量の本発明の化合物を最初に投与し、次いで数時間(例えば、1〜12時間)後、単位用量の1つまたは複数の他の活性薬剤を投与することが望ましい。他の場合、単位用量1つまたは複数の他の活性薬剤を最初に投与し、次いで数時間(例えば、1〜12時間)後、単位用量の本発明の化合物を投与することが望ましい。
【0180】
併用療法は、「シナジー」および「シナジー効果」を提供することができる。すなわち、活性成分を一緒に使用した場合に達成される効果が、化合物を別々に使用して得られる効果の合計より大きい。シナジー効果は、活性成分が、(1)組み合わせた製剤に同時に配合される場合、同時投与または同時送達される場合、(2)別個の製剤として交互にまたは平行して送達される場合、あるいは(3)何らかの他のレジメンによる場合に得られる。交互治療で送達される場合、シナジー効果は化合物が、例えば別個の錠剤、丸薬もしくはカプセル剤で、または別個の注射器で異なる注射によって逐次投与されるかまたは送達される場合に得られる。一般に、交互治療の際、各活性成分の有効投薬量を逐次的にすなわち連続的に投与し、他方、併用療法では有効投薬量の2つ以上の活性成分を一緒に投与する。
【0181】
治療方法
本明細書で用いる「アゴニスト」とは、その結合パートナー、一般には受容体を刺激する物質である。刺激は、特定のアッセイの状況で定義されるか、または当業者が理解する実質的に同様の環境下で特定の結合パートナーの「アゴニスト」または「アンタゴニスト」として一般に認められている因子または物質との比較を行う本明細書の考察から文献において明らかとなってもよい。刺激は、アゴニストまたは部分アゴニストと結合パートナーとの相互作用により誘発されるある特定の作用または機能の増加に関して定義されてもよく、アロステリック作用を含めることができる。
【0182】
本明細書で用いる「アンタゴニスト」とは、その結合パートナー、一般には受容体を阻害する物質である。阻害は、特定のアッセイの状況で定義されるか、または当業者が理解する実質的に同様の環境下で特定の結合パートナーの「アゴニスト」または「アンタゴニスト」として一般に認められている因子または物質との比較を行う本明細書の考察から文献において明らかとなってもよい。阻害は、アンタゴニストと結合パートナーとの相互作用により誘発されるある特定の作用または機能の減少に関して定義されてもよく、アロステリックな作用を含めることができる。
【0183】
本明細書で用いる「部分アゴニスト」または「部分アンタゴニスト」とは、それぞれ十分にアゴニストまたはアンタゴニストでもなく、完全にアゴニストまたはアンタゴニストでもないその結合パートナーにそれぞれあるレベルの刺激または阻害を提供する物質である。刺激、ひいては阻害は、アゴニスト、アンタゴニスト、または部分アゴニストと定義されるべき任意の物質または物質の分類について内因的に定義されることが認識される。
【0184】
本明細書で用いる「内因活性」または「効力」は、結合パートナー複合体の生物学的有効性のいくつかの尺度に関する。受容体の薬理作用に関して、内因活性または効力が定義されるべき状況は、結合パートナー(例えば、受容体/リガンド)複合体の状況によって、かつ、ある特定の生物学的成果に関連する活性を考慮して決まることになる。例えば、ある環境では内因活性は、関与する特定のセカンドメッセンジャー系に応じて異なってもよい。そうした状況特異的な評価がどの部分に関連するか、および本発明の状況においてそれらがどのように関連し得るかは、当業者には明らかである。
【0185】
本明細書で用いる受容体の調節には、受容体のアゴニズム、部分アゴニズム、アンタゴニズム、部分アンタゴニズム、またはインバースアゴニズムが含まれる。
【0186】
当業者に理解されるように、ウイルス感染症例えばHCV、HBV、またはHIVなどを治療する場合、そうした治療は、様々な方式で特徴づけることができ、様々な終了点により測定することができる。本発明の範囲は、そうした特徴づけをすべて包含するものとする。
【0187】
一実施形態では、ヒトにおいてウイルス感染の複数のエピトープに対して免疫応答を誘発するための方法を使用することができる。ウイルス感染に対する免疫応答の誘発は、免疫応答が起こったかどうか決定するための、当業者に公知の任意の技法を用いて評価することができる。本発明に対して適切な免疫応答の検出方法には、中でも、被験体の血清中のウイルス量または抗原の減少の検出、IFN−γ−分泌ペプチドに特異的なT細胞の検出、および1つまたは複数の肝臓酵素(例えばアラニントランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸トランスフェラーゼ(AST)など)の上昇のレベルの検出が含まれる。一実施形態では、IFN−γ−分泌ペプチドに特異的なT細胞の検出は、ELISPOTアッセイを用いて遂行される。別の実施形態には、PCR試験で測定される減少を含めた、HBV感染症に関連するウイルス量の減少が含まれる。
【0188】
さらに、本発明の化合物は、がんまたは腫瘍(子宮異形成症などの異形成症を含む)の治療に有用である。これらのがんまたは腫瘍には、血液の悪性腫瘍、口腔癌(例えば唇、舌または咽頭)、消化器官系(例えば食道、胃、小腸、結腸、大腸、または直腸)、肝臓および胆汁道、膵臓、呼吸器系(例えば、喉頭または肺(小細胞および非小細胞)など)、骨、結合組織、皮膚(例えば黒色腫)、乳房、生殖器官(子宮、子宮頸部、睾丸、卵巣、または前立腺)、尿路(例えば、膀胱または腎臓)、脳および内分泌腺、例えば甲状腺などが含まれる。要約すれば、本発明の化合物は、血液の悪性腫瘍ばかりでなく、すべての種類の固形腫瘍も含めた、任意の新生物を治療するために使用される。
【0189】
血液の悪性腫瘍は、血液細胞および/またはこれらの前駆細胞の増殖性の障害として大まかに定義され、この場合、これらの細胞は、無制限に増殖する。解剖学的には、血液の悪性腫瘍は、2つの主要なグループに分けられる。リンパ腫は、悪性リンパ系細胞の塊であり、リンパ節内に、独占的とまではいかないが主に存在し、白血病は、一般にリンパ系またはミエロイド細胞由来の新生物であり、骨髄および末梢血液に主に影響を及ぼす。リンパ腫は、ホジキン病と非ホジキンリンパ腫(NHL)とにさらに分けることができる。後者のグループには、いくつかの異なる実体が含まれ、それらは臨床的に(例えば侵攻性リンパ腫、緩慢性リンパ腫)、組織学的に(例えば濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫)または悪性細胞の起源に基づいて(例えばBリンパ球、Tリンパ球)識別することができる。白血病および関連する悪性腫瘍には、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)および慢性リンパ球性白血病(CLL)が含まれる。他の血液の悪性腫瘍には、多発性骨髄腫を含めた血漿細胞悪液質および骨髄異形成症候群が含まれる。
【実施例】
【0190】
合成例
一般スキーム
【0191】
【化9】
【0192】
1−ブタノール(10mL)およびDMF(1mL)中の2−アミノ−4,6−ジクロロピリジン(1)(3.26g、20.0mmol)の溶液に、ナトリウムブトキシド溶液(22.0mL、ブタノール中1.0M溶液)を添加した。この反応混合物を、マイクロ波にて、130℃で45分間加熱し、次いでNHClの飽和溶液(50mL)およびEtOAc(50mL)に注ぎ入れた。層を分離し、有機層をブライン(30mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製の油をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc)で精製することによって、1.9gの2を得た。
【0193】
2:H−NMR:300MHz,(CDCl) δ:6.11(s,1H),6.07(s,1H),4.40(brs,2H),4.17(t,2H,J=7Hz),1.72(m,2H,J=7Hz),1.47(m,2H,J=7Hz),0.97(t,3H,J=7Hz).
LCMS−ESI:C14ClNOの計算値:201.1(M+H);実測値:201.0(M+H)。
【0194】
【化10】
【0195】
SO(27mL)中のアミノピリジン2(2.15g、10.7mmol)の溶液に、−10℃でHNO(536μL、10.7mmol)を滴下した。この反応混合物を−10℃で1時間撹拌し、次いで氷上にゆっくりと注いだ。この混合物をEtOAc(50mL)で抽出し、有機層をブライン(25mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製の油をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc)で精製することによって、2.08gの3を得た。
【0196】
3:H−NMR:300MHz,(CDCl) δ:6.51(brs,2H),6.25(s,1H),4.27(t,2H,J=7Hz),1.72(m,2H,J=7Hz),1.46(m,2H,J=7Hz),0.97(t,3H,J=7Hz).
LCMS−ESI:C13ClNの計算値:246.1(M+H);実測値:246.0(M+H)。
【0197】
【化11】
【0198】
クロロピリジン3(50mg、0.20mmol)のDMF(2mL)溶液に、EtN(100μL)およびアミン4(75mg、0.27mmol)を添加した。この反応混合物を80℃で14時間加熱した。この混合物をNHClの飽和溶液(10mL)およびEtOAc(10mL)に注ぎ入れた。層を分離し、水層をEtOAc(10mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を逆相HPLC(0.1%TFAを含有するMeCN/HO)で精製した。生成物を凍結乾燥することによって、16mgの5(TFA塩)を得た。
【0199】
5:H−NMR:300MHz,(CDOD) δ:7.24−7.38(m,4H),5.55(s,1H),4.59(s,2H),4.18(m,4H),3.88(s,2H),3.67(s,2H),2.56(m,4H),1.79(m,4H),1.67(m,2H,J=7Hz),1.41(m,2H,J=7Hz),1.24(t,3H,J=7Hz),0.95(t,3H,J=7Hz).
LCMS−ESI:C2536の計算値:486.6(M+H);実測値:486.2(M+H)。
【0200】
【化12】
【0201】
ニトロピリジン5(16mg)のMeOH(3mL)溶液に、ラネーNiスラリー(50μL)を添加した。この反応混合物をH雰囲気下で1.5時間撹拌し、次いでセライトのパッドを通して、CHClおよびMeOH(3:1)を用いて濾過した。濾液を濃縮した。次いでHO(1mL)および0.25M HCl溶液(約300μL)を添加した。この混合物を凍結し、凍結乾燥することによって、12mgのA(2HCl塩)を得た。
【0202】
A:H−NMR:300MHz,(CDOD) δ:7.44−7.60(m,4H),5.93(s,1H),4.83(s,2H),4.40(s,2H),4.12(m,4H),3.48(m,2H),3.17(m,2H),2.17(m,2H),2.04(m,2H),1.73(m,2H,J=7Hz),1.45(m,2H,J=7Hz),0.96(t,3H,J=7Hz).
LCMS−ESI:C2332の計算値:410.5(M+H);実測値:410.1(M+H)。
【0203】
【化13】
【0204】
エチル2−(4−(ピロリジン1−イルメチル)ベンジルアミノ)アセテートを用いて、5に対する手順に従い化合物3から合成した。
【0205】
6:H−NMR:300MHz,(CDOD) δ:7.31−7.38(m,4H),5.55(s,1H),4.57(s,2H),4.16(m,4H),3.86(s,2H),3.69(s,2H),2.62(m,4H),1.83(m,4H),1.65(m,2H,J=7Hz),1.41(m,2H,J=7Hz),1.23(t,3H,J=7Hz),0.94(t,3H,J=7Hz).
LCMS−ESI:C2536の計算値:486.6(M+H);実測値:486.1(M+H)。
【0206】
【化14】
【0207】
Aに対する手順に従い化合物6から合成した。
【0208】
B:H−NMR:300MHz,(CDOD) δ:7.62(d,2H,J=8Hz),7.46(d,2H,J=8Hz),5.96(s,1H),4.82(s,2H),4.41(s,2H),4.12(m,4H),3.49(m,2H),3.19(m,2H),2.18(m,2H),2.03(m,2H),1.74(m,2H,J=7Hz),1.46(m,2H,J=7Hz),0.96(t,3H,J=7Hz).
LCMS−ESI:C2332の計算値:410.5(M+H);実測値:410.1(M+H)。
【0209】
【化15】
【0210】
2に対する手順に従い1から合成した。
【0211】
7:H−NMR:300MHz,(CDCl) δ:6.17(s,1H),6.07(s,1H),4.37(br m,4H),3.70(t,2H,J=5Hz),3.42(s,3H).
LCMS−ESI:C12ClNの計算値:203.1(M+H);実測値:203.0(M+H)。
【0212】
【化16】
【0213】
3に対する手順に従い7から合成した。
【0214】
8:H−NMR:300MHz,(CDCl) δ:6.50(brs,2H),6.32(s,1H),4.45(t,2H,J=5Hz),3.70(t,2H,J=5Hz),3.43(s,3H).
LCMS−ESI:C11ClNの計算値:248.6(M+H);実測値:248.0(M+H)。
【0215】
【化17】
【0216】
エチル2−(4−(ピロリジン1−イルメチル)ベンジルアミノ)アセテートを用いて、5に対する手順に従い化合物8から合成した。
【0217】
9:H−NMR:300MHz,(CDOD) δ:7.29−7.39(m,4H),5.60(s,1H),4.57(s,2H),4.35(t,2H,J=5Hz),4.16(q,2H,J=7Hz),3.86(s,2H),3.68(m,4H),3.40(s,3H),2.56(m,4H),1.81(m,4H),1.24(t,3H,J=7Hz).
LCMS−ESI:C2434の計算値:488.6(M+H);実測値:488.1(M+H)。
【0218】
【化18】
【0219】
Aに対する手順に従い化合物9から合成した。
【0220】
C:H−NMR:300MHz,(CDOD) δ:7.61(d,2H,J=8Hz),7.46(d,2H,J=8Hz),6.03(s,1H),4.82(s,2H),4.40(s,2H),4.25(m,2H),4.10(s,2H),3.70(m,2H),3.48(m,2H),3.36(s,3H),3.19(m,2H),2.17(m,2H),2.04(m,2H).
LCMS−ESI:C2332の計算値:410.5(M+H);実測値:410.1(M+H)。
【0221】
【化19】
【0222】
MeCN(16mL)および酢酸(2mL)中の8(991mg、4.00mmol)の溶液にN−クロロスクシンイミド(NCS)(641mg、4.80mmol)を添加した。この反応混合物を85℃で5時間加熱し、次いでHO(20mL)およびEtOAc(20mL)に注ぎ入れた。層を分離し、有機層をNaHCOの飽和溶液(10mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc)で精製することによって、725mgの10を得た。
【0223】
10:H−NMR:300MHz,(CDCl) δ:6.33(brs,2H),4.53(t,2H,J=5Hz),3.77(t,2H,J=5Hz),3.45(s,3H).
LCMS−ESI:C10Clの計算値:282.0(M+H);実測値:281.9(M+H)。
【0224】
【化20】
【0225】
エチル2−(4−(ピロリジン1−イルメチル)ベンジルアミノ)アセテートを用いて、95℃で3時間、5に対する手順に従い、化合物10から合成した。
【0226】
9:H−NMR:300MHz,(CDOD) δ:7.31(d,2H,J=8Hz),7.23(d,2H,J=8Hz),4.44(m,2H),4.35(s,2H),4.18(q,2H,J=7Hz),3.92(s,2H),3.73(m,2H),3.63(s,2H),3.42(s,3H),2.56(m,4H),1.81(m,4H),1.27(t,3H,J=7Hz).
LCMS−ESI:C2433ClNの計算値:522.2(M+H);実測値:522.0(M+H)。
【0227】
【化21】
【0228】
ニトロピリジン11(25mg)のHOAc(1mL)溶液に、すべての11(総量約150mg)が消費されるまで、Znを少しずつ添加した。この反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮した。次いでHO(1mL)および0.25M HCl溶液(約500μL)を添加した。この混合物を凍結し、凍結乾燥することによって、12mgのA(2HCl塩)を得た。
【0229】
D:H−NMR:300MHz,(CDOD) δ:7.49(d,2H,J=8Hz),7.42(d,2H,J=8Hz),4.40(m,6H),3.74(m,2H),3.60(s,2H),3.43(s,3H),3.36(m,4H),2.10(m,2H).
LCMS−ESI:C2229ClNの計算値:446.2(M+H);実測値:446.0(M+H)。
【0230】
【化22】
【0231】
3(675mg、2.75mmol)のTHF(11mL)溶液に、EtN(1.15mL、8.24mmol)、二炭酸ジ−tert−ブチル(BocO)(1.80g、8.24mmol)、およびDMAP(17mg、0.14mmol)を添加した。この反応混合物を室温で2.5時間撹拌し、次いでNHClの飽和溶液(20mL)に注ぎ入れた。層を分離し、水層をEtOAc(15mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc/Hex)で精製することによって、1.17gの12を得た。
【0232】
12:H−NMR:300MHz,(CDCl) δ:6.86(s,1H),4.34(t,2H,J=7Hz),1.75(m,2H,J=7Hz),1.46(m,2H),1.44(s,18 H),0.97(t,3H,J=7Hz).
LCMS−ESI:C1929ClNの計算値:446.9(M+H);実測値:446.2(M+H)。
【0233】
【化23】
【0234】
12(400mg、0.90mmol)のTHF(5mL)溶液に、EtN(1mL)および13(190mg、1.0mmol)を添加した。この反応混合物を50℃で1時間撹拌した。NHClの飽和溶液(10mL)を添加した。層を分離し、水層をEtOAc(15mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH)で精製することによって、302mgの14を得た。
【0235】
14:H−NMR:300MHz,(CDCl) δ:7.35(d,2H,J=8Hz),7.25(d,2H,J=8Hz),5.96(s,1H),4.42(brs,2H),4.26(t,2H,J=7Hz),3.65(s,2H),2.55(br m,4H),1.81(br m,4H),1.72(m,2H,J=7Hz),1.45(m,20H),0.94(t,3H,J=7Hz).
LCMS−ESI:C3146の計算値:600.7(M+H);実測値:600.1(M+H)。
【0236】
【化24】
【0237】
THF、EtOHおよびHO(1:1:1、総量10mL)中のニトロ14(300mg、0.5mmol)の溶液に、すべての14(総量約300mg)が消費されるまで、60℃で、Naを少しずつ添加した。この反応混合物をHO(10mL)およびEtOAc(10mL)に注ぎ入れた。層を分離し、水層をEtOAc(10mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。CHCl(10mL)を添加し、続いてEtN(500μL)を添加し、塩化オキサリル(750μL、CHCl中1.0M溶液)溶液を添加した。2時間後、トリフルオロ酢酸(TFA)(2mL)を添加した。この反応混合物を室温で16時間撹拌し、次いでNaOHの2M溶液(10mL)に注ぎ入れた。層を分離し、水層をCHCl(10mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を逆相クロマトグラフィー(0.1%HClを含むMeCN/HO)で精製することによって、5.7mgのE(2HCl塩)を得た。
【0238】
14:H−NMR:300MHz,(CDOD) δ:7.54(d,2H,J=8Hz),7.47(d,2H,J=8Hz),6.10(s,1H),5.52(s,2H),4.37(s,2H),4.14(t,2H,J=7Hz),3.48(br m,2H),3.20(br m,2H),2.18(br m,2H),2.02(br m,2H),1.72(m,2H),1.46(m,2H),0.95(t,3H,J=7Hz).
LCMS−ESI:C2330の計算値:424.5(M+H);実測値:424.1(M+H)。
【0239】
【化25】
【0240】
PhCH、EtOHおよびHO(2:1:1、総量4mL)中のアリールブロミド15(HCl塩、100mg、0.45mmol)およびボロン酸エステル16(130mg、0.45mmol)の溶液に、KCO(186mg、1.3mmol)およびPdCldppf(16mg、0.023mmol)を添加した。この反応混合物を90℃で1.5時間撹拌した。室温に冷却後、この混合物をHO(10mL)およびEtOAc(10mL)で希釈した。層を分離し、水層をEtOAc(4×10mL)で抽出した。合わせた有機層を減圧下で濃縮し、逆相クロマトグラフィー(0.1%TFAを含むMeCN/HO)で精製することによって、120mgの17を得た。
【0241】
17:H−NMR:300MHz,(CDOD) δ:7.75−7.84(m,4H),7.54−7.61(m,4H),4.45(s,2H),4.15(s,2H),3.35(m,4H),2.11(m,4H).
LCMS−ESI:C1823の計算値:267.4(M+H);実測値:267.1(M+H)。
【0242】
【化26】
【0243】
17を用いて、14に対する手順に従い合成した。
【0244】
18:H−NMR:300MHz,(CDCl) δ:7.88(m,1H),7.62(d,2H,J=8Hz),7.50(m,1H),7.40(m,4H),5.99(s,1H),4.49(d,2H,J=5Hz),4.34(m,2H),3.76(s,2H),2.64(m,4H),1.84(m,4H),1.74(m,2H),1.48(m,20H),0.96(t,3H,J=7Hz).
LCMS−ESI:C3750の計算値:676.8(M+H);実測値:676.2(M+H)。
【0245】
【化27】
【0246】
18を用いて、Eに対する手順に従い合成した。
【0247】
F:H−NMR:300MHz,(CDCl) δ:7.70−7.84(m,4H),7.46−7.59(m,4H),6.17(s,1H),5.55(s,2H),4.45(s,2H),4.16(t,2H,J=7Hz),3.53(m,2H),3.27(m,2H),2.20(m,2H),2.04(m,2H),1.71(m,2H),1.42(m,2H),0.92(t,3H,J=7Hz).
LCMS−ESI:C2934の計算値:500.6(M+H);実測値:500.1(M+H)。
【0248】
【化28】
【0249】
1−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンジル)ピロリジンを用いて、17に対する手順に従い合成した。
【0250】
19:H−NMR:300MHz,(CDOD) δ:7.76−7.79(m,4H),7.56−7.63(m,4H),4.43(s,2H),4.18(s,2H),3.54(m,2H),3.24(m,2H),2.21(m,2H),2.04(m,2H).
LCMS−ESI:C1823の計算値:267.4(M+H);実測値:267.1(M+H)。
【0251】
【化29】
【0252】
19を用いて、14に対する手順に従い合成した。
【0253】
20:H−NMR:300MHz,(CDCl) δ:7.37−7.61(m,8H),5.99(s,1H),4.49(d,2H,J=5Hz),4.27(m,2H),3.76(s,2H),2.66(m,4H),1.87(m,4H),1.72(m,2H),1.46(m,20H),0.94(t,3H,J=7Hz).
LCMS−ESI:C3750の計算値:676.8(M+H);実測値:676.1(M+H)。
【0254】
【化30】
【0255】
18を用いて、Eに対する手順に従い合成した。
【0256】
G:H−NMR:300MHz,(CDCl) δ:7.74(d,2H,J=8Hz),7.68(d,2H,J=8Hz),7.61(d,2H,J=8Hz),7.46(d,2H,J=8Hz),6.16(s,1H),5.54(s,2H),4.42(s,2H),4.16(t,2H,J=7Hz),3.52(m,2H),3.24(m,2H),2.20(m,2H),2.04(m,2H),1.69(m,2H),1.42(m,2H),0.91(t,3H,J=7Hz).
LCMS−ESI:C2934の計算値:500.6(M+H);実測値:500.1(M+H)。
【0257】
予言的実施例
同様の技法を用いて以下の化合物を合成することができる:
【0258】
【化31】
【0259】
【化32】
【0260】
【化33】
【0261】
【化34】
【0262】
【化35】
【0263】
生物学的実施例
PBMCアッセイプロトコル
本発明の化合物を用いて、ヒト末梢血液単核細胞(PMBC)からの24時間のサイトカイン刺激を決定するためのアッセイを行った。8点、half−logの希釈曲線を用いて、このアッセイを繰り返して実行した。本発明の化合物を10mM DMSO溶液から希釈した。IFNαに対して直接およびTNFαに対して1:10希釈で細胞上清をアッセイした。Bioorg.Med.Chem.Lett.16巻、4559頁、(2006年)に記載の方法と同様の方法でこれらアッセイを実施した。具体的には、冷凍保存したPBMCを解凍し、190μL/ウェルの細胞培地内に、750,000細胞/ウェルで96ウェルプレートに播種した。次いで5%COで、37℃で1時間PBMCをインキュベートした。次いで、8点、half−log希釈滴定で、10μL細胞培地内に本発明の化合物を添加した。37℃および5%COで、24時間プレートをインキュベートし、次いで1200rpmで10分間スピンさせ、続いて上清を収集し、これを−80℃で保存した。Luminex分析装置を用いて、LuminexおよびUpstate multi−plexキットでサイトカイン分泌をアッセイした。化合物に対するIFN ECmax値は、上記アッセイ方法を用いて決定する通り、その化合物がIFN−α産生量を最大とするように刺激した濃度であった。
【0264】
表1は、本発明の化合物A〜Gに対するMEC値を示す。
【0265】
【表1】
【0266】
観測される特定の薬理学的反応は、選択された特定の活性化合物、または薬学的担体が存在するかどうか、ならびに使用する製剤のタイプ、および使用された投与方法に従いかつこれらに応じて異なってもよく、そのような予想される結果のばらつきまたは差は、本発明の実施に従い想定される。
【0267】
本発明の特定の実施形態を本明細書で例示し、詳細に説明してきたが、本発明はこれらに限定されない。上記の詳細な説明は本発明の例として示したものであり、本発明の何らかの限定を構成するものと解釈されるべきではない。改変形態は当業者にとって明らかであり、本発明の趣旨から逸脱しないすべての改変形態は添付の特許請求の範囲に包含されるものとする。