特許第5763102号(P5763102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クルー‐テク、プロプライエタリー、リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763102
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】マルチビットツール
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/00 20060101AFI20150723BHJP
【FI】
   B25B21/00 Q
【請求項の数】15
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-548311(P2012-548311)
(86)(22)【出願日】2011年1月12日
(65)【公表番号】特表2013-517142(P2013-517142A)
(43)【公表日】2013年5月16日
(86)【国際出願番号】AU2011000026
(87)【国際公開番号】WO2011085440
(87)【国際公開日】20110721
【審査請求日】2013年12月11日
(31)【優先権主張番号】2010904163
(32)【優先日】2010年9月15日
(33)【優先権主張国】AU
(31)【優先権主張番号】2010900079
(32)【優先日】2010年1月12日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】512183688
【氏名又は名称】クルー‐テク、プロプライエタリー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREWE−TECH PTY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100096895
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 淳平
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム、クルー
【審査官】 大山 健
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−062741(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3136113(JP,U)
【文献】 実開昭56−042870(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0084758(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0152850(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと駆動入力軸とを含んでいるマルチビットツールであって、前記ハウジングは、駆動入力軸とそれぞれ軸線方向に整列した第1のドライブソケットおよび第2のドライブソケットを有するドライブソケット部分を含み、前記第1のドライブソケットを介して前記駆動入力軸によって駆動されるツールビットが、前記第2のドライブソケットを貫通して前記第1のドライブソケットと係合するように、前記第1のドライブソケットは、前記第2のソケットよりも小さくて、かつ、前記第2のソケットと駆動入力軸との中間に位置しており、前記マルチビットツールに少なくとも2つの格納凹部が組み込まれていて、前記少なくとも2つの格納凹部は前記ツールビットの各一つをそれぞれ格納するためのものであるマルチビットツール。
【請求項2】
前記第2のドライブソケットが、前記第1のドライブソケット用のツールビットよりも高い定格トルクでツールビットを駆動できるように、前記第1のドライブソケットがツールビットドライブソケットで、前記第2のドライブソケットが第1のソケットよりも大きなツールビットドライブソケットである、請求項1記載のマルチビットツール。
【請求項3】
前記第1のドライブソケットはツールビットドライブソケットであり、前記第2のソケットはファスナドライブソケットである、請求項1記載のマルチビットツール。
【請求項4】
前記駆動入力軸はハウジングに対して固定されている、請求項1記載のマルチビットツール。
【請求項5】
前記ハウジングに、前記少なくとも2つの格納凹部が組み込まれている、請求項1記載のマルチビットツール。
【請求項6】
前記ハウジングに内腔が更に組み込まれており、その内腔は、前記駆動入力軸、並びに前記第1および第2のドライブソケットと軸線方向に整列しており、当該ツールは、
ハウジングの内腔内で回動できるよう軸線方向に位置決めされ、フランジ部分とスロット部分とを含んでいるスリーブと、
ビット装填位置と作業位置との間でスライド可能に前記スリーブ内に設置され、鉤爪と、フランジ部分と、駆動入力部分とを有するボルトであって、このボルトの駆動入力部分が前記駆動入力軸である、ボルトと、
を更に含み、
前記鉤爪は、ツールビットの駆動端部を収容すると共に前記ボルトに対するツールビットの軸線方向の位置決めをもたらすように設けられており、
使用時に前記マルチビットツールは、そのボルト部分へと駆動入力を受け入れる前記駆動入力軸を通じてビットを駆動するが、その際に、前記ボルトのフランジ部分が前記ハウジングを駆動し、それにより前記ハウジングの前記第1および第2のドライブソケットへ駆動入力を伝えるように、前記フランジ部分は、前記少なくとも2つの前記格納凹部のうちの1つの端部と係合して前記ハウジングに対する前記ボルトの回動方向の位置決めをもたらすように前記フランジから半径方向に延びる、少なくとも1つの偏心突起を含んでいる、請求項5記載のマルチビットツール。
【請求項7】
前記ボルトは賦形されたスロットを含み、前記スリーブは半径方向孔を含み、前記ボルトが前記スリーブ内で軸線方向にスライドするときに、前記スリーブに対する前記ボルトの最大軸線方向変位が少なくとも一方向で制限されると共に前記スリーブに対する前記ボルトの回動方向位置が制御されるように、半径方向孔内にピンが設けられて前記ボルトの賦形された前記スロット内に係合している、請求項6記載のマルチビットツール。
【請求項8】
前記スリーブは半径方向孔を含み、戻り止めボールが、前記ボルトのビット装填位置と作業位置とでボルトに形成された2つの戻り止め窪みのうちの一方と係合するように、前記半径方向孔の軸線に沿ってバネ荷重されている、請求項6記載のマルチビットツール。
【請求項9】
前記ハウジングは半径方向孔を含み、回り止めボールが、前記少なくとも2つの凹部のうちの1つと前記スリーブの前記スロット部分が半径方向に並ぶ各位置にて、前記スリーブに形成されたそれぞれの回り止め窪みと係合するように、前記半径方向孔の軸線に沿ってバネ荷重されている、請求項6記載のマルチビットツール。
【請求項10】
前記少なくとも2つの格納凹部は、前記内腔の周りで互いに等距離の間隔を置かれている、請求項6記載のマルチビットツール。
【請求項11】
前記ボルトの駆動入力部分が動力式ツールによって駆動される、請求項6記載のマルチビットツール。
【請求項12】
前記ボルトは、前記鉤爪に近接した回動方向位置決め表面を含んでおり、この回動方向位置決め表面は、ボルトの主軸線と平行であって、ツールビットが装填位置から作業位置へと通過するときに当該ビットの駆動端部をツールビットドライブソケットと揃えるように定置されている、請求項6記載のマルチビットツール。
【請求項13】
少なくとも1つのロックピン孔がハウジングに設けられ、各ロックピン孔はロックピンを含んでおり、当該マルチビットツールは更に、前記少なくとも2つのツール格納凹部のそれぞれに対するロックピン孔を前記スリーブに含んでおり、ビットを選び出すときには前記スリーブの前記ロックピン孔内へと前記ロックピンが部分的に落ち込んで、前記ハウジングに対する前記スリーブの回動を防ぎ、ビットを抜き取るときには前記スリーブの当該孔から前記ロックピンが落ち出て、前記スリーブと前記ハウジングとの間の相対的な回動を可能とするか、あるいは、
ロックピン孔が前記スリーブに設けられ、前記スリーブの前記ロックピン孔内にロックピンが設けられており、当該マルチビットツールは更に、前記少なくとも2つのツール格納凹部のそれぞれに対するロックピン孔を前記ハウジングに含んでおり、ビットを選び出すときには前記ハウジングの前記ロックピン孔のうちの1つの中へと前記ロックピンが部分的に落ち込んで、前記ハウジングに対する前記スリーブの回動を防ぎ、ビットを抜き取るときには前記ハウジングのロックピン孔から前記ロックピンが落ち出て、前記スリーブと前記ハウジングとの間の相対的な回動を可能とする
請求項6記載のマルチビットツール。
【請求項14】
前記ボルトの前記駆動入力部分が、ドライバーハンドルなどのハンドルによって駆動される、請求項6記載のマルチビットツール。
【請求項15】
前記ボルトが前記作業位置から外れて前記ビット装填位置に向かってスライドするのを選択的に許容したり防止したりするように、ロックタブが設けられているか、あるいは、
前記スリーブを軸線方向に位置決めするけれども前記スリーブと前記ハウジングとの間の相対的な回動は許容するように、前記スリーブと前記ハウジングとの間に位置決めピンまたは位置決めタブが設けられている、
請求項6記載のマルチビットツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動式ないし動力式のツール(工具)、特に、内部で、多数のビットを格納して、それらのビットを格納位置と作動位置との間で選択的に移動させることのできるマルチビットツールに関する。
【背景技術】
【0002】
内部で多数のドライバー(ネジ回し)ビットを格納して使用のために選び出すことのできる、多くのマルチビットツールが知られている。米国特許第4,273,173号明細書(特許文献1)などの最も簡素なものの幾つかは、多数のドライバービットのための格納部を設け、セレクタによって、ツールの格納部から所望のビットを拾い出してツールのドライブソケット内へと手動で設置することを可能としている。これは、格納場所からドライバービットを引き出し、次にそのビットを手動式ツールのドライブソケット内へと手で嵌め込むことを伴う。
【0003】
作業ビットをツールから取り外さねばならぬことなく交換し得る、別のより洗練されたマルチビットツールも知られている。例えば(米国特許第4,572,038号明細書)特許文献2においては、ツールの主駆動軸に対して偏心して取り付けられたマガジン内にビットが格納されている。そのマガジンは、内側シャフトがビットと係合する所であるツールの主駆動軸と一列になるように所望のビットを定置するために、ビットを回転させることを可能とし、その所望のビットを使用のためにツールの主駆動軸の端部から押し出すことを可能とする。しかしながら、マガジンが偏心しているので、ビットを使用している状態でそのマガジンが回転したとすれば、高速では(即ち、動力式ドリルなどの動力式ツールで用いるためには)当該ツールが不安定となってしまうであろう。それ故、ツールのスリーブ部分の内側でシャフトがビットを駆動しながら、マガジンが静止したままでいることができるのである。しかし、それはシャフトがビットと駆動可能に係合することを必要とし、専用ないし専売品のビットを必要とする(即ち、ヘックスドライブの手動式や動力式のドリルやドライバーにて利用可能で交換可能であるような従来のビットは、この先行発明では機能しないであろう)。
【0004】
マルチビットドライバーの更なる例が、米国特許第4,480,668号明細書(特許文献3)に開示されている。この場合もまた、1つのビットの位置がツールの主駆動軸と一列になった状態で、偏心マガジン内にビットが格納されている。そのマガジンは、ツールのハンドル側面にあるアクセスホールを通じて、ハンドルの内部で回動させられる。マガジンからビットを装填するには、ツール内部のマガジンを回動させることによって所望のビット位置を選択し、次にヘックスドライブソケットの位置が下方を向いた状態にツールを保持する。それで、重力によって、マガジンからドライブソケット内へとビットを滑り出させることができる。ドライブソケットは、ばね荷重ボール型クランプヘッドを含んでいる。そのヘッドは、ビットを操作位置ないし作業位置に到達させて、そこで軸線方向にロックできるように操作されなければならない。同様に、ビットをマガジンへ戻すには、クランプヘッドの操作と、ハンドルが下方となるようにツールをひっくり返すこととを必要とし、その結果、重力によってハンドル内のマガジンの中へとビットを戻すことができる。このツールは、従来のビットを用いることはできるが、互換性のない構造を有した動力式ツールで用いるために設計されてはおらず、またビットを交換するのに組立体全体をひっくり返す必要がある。
【0005】
全ての先行技術に共通する、更なる不完全性、即ち、格納すべきビットの寸法によってヘックスドライブの最大寸法が限定されてしまうということがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,273,173号明細書
【特許文献2】米国特許第4,572,038号明細書
【特許文献3】米国特許第4,480,668号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、先行技術の1つないし複数の欠点を克服するマルチビットツールを提供することである。
【0008】
本発明の任意の目的は、格納すべきビットの寸法よりも大きなヘックスドライブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述したことを考慮して、少なくとも2つのツール格納凹部と、内腔と、この内腔と軸線方向に整列したドライブソケット部分とが組み込まれていて、各凹部がツールビットのための格納場所をもたらしているハウジングを含んだマルチビットツールが提供される。このツールは、ハウジングの内腔内で回動し得るよう軸線方向に位置決めされ、フランジ部分とスロット部分とを含んでいるスリーブを更に含む。そのスリーブは、ハウジングの主軸線周りに回動はできる(即ち、その回動方向に位置決めされてはいない)が、ハウジングに対する他の回動方向変位と全ての(軸線方向や半径方向の)直線的変位とを阻止されているので、ハウジング内に回動可能に位置決めされているものと考えることができる。このツールは、ビット装填位置と作業位置との間でスライド可能にスリーブ内に設置され、鉤爪と、フランジ部分と、駆動入力部分とを有しているボルトを更に含む。その鉤爪は、ツールビットの駆動端部を収容すると共にボルトに対するツールビットの軸線方向の位置決めをもたらすように設けられている。フランジ部分は少なくとも1つの偏心突起を含み、この突起は、前記少なくとも2つの凹部のうちの1つの端部と係合してハウジングに対するボルトの回動方向の位置決めをもたらすように、フランジから半径方向に延びている。この構成において、ボルトの駆動入力部分は当該ツールへの駆動入力を受け入れ、ボルトのフランジ部分はハウジングへと駆動を伝達し、それによりハウジングのドライブソケット部分へ駆動入力を伝える。
【0010】
このマルチビットツールは、スリーブのスロットを当該凹部と並ばせ、次にボルトをビット装填位置まで引き戻すことによって、前記凹部のうちの1つからツールを選び出すことを可能とする。そのボルトの引き戻しは、前記少なくとも2つの凹部のいずれかの端部からフランジが係合解除され、ボルトの端部にある鉤爪が、スロットおよび凹部と整列させられて、所望のツールビットを受け入れるように行われる。そして、当該ツールビットをボルトの鉤爪内へと重力によって落下させ、ボルトを作業位置まで戻すことができる。その作業位置においては、当該ツールビットがハウジングのドライブソケット部分内へと係合すると共に、鉤爪が当該ツールビットを軸線方向に位置決めする。
【0011】
ドライブソケット部分は、ハウジング内に格納されたツールビットを駆動するためのツールビットドライブソケットを含むと共に、(ドライブソケット部分内にツールビットが何も係合していないときに)外部のツールビットまたはファスナを駆動するための付加的な(より大きな)ドライブソケットをハウジングの端部に含んでいてもよい。例えば、ツールビットドライブソケットは、別のツールからの標準寸法のツールビットを受け入れるように1/4インチヘックスであってもよい。また、ハウジングの端部にある付加的な(より大きな)ドライブソケットは、tekネジなどのセルフドリル/タッピンネジを駆動するように5/16インチヘックスであってもよい。付加的な(より大きな)ドライブソケットは、ツールビットドライブソケットが使用中でないときだけに用いることができる(即ち、上記の例では、1/4インチヘックスドライブのツールビットは、5/16インチヘックス部分を貫通して延びているのである)。ツールビットドライブソケットは、六角形のソケットである必要はない。例えば、付加的な(より大きな)ドライブソケットは、ツールビットドライブソケット用のツールビットが通過し得るのに十分な寸法の、スクエアドライブであるかもしれない。
【0012】
本発明の1つないし複数の形態は、ハウジングと駆動入力軸とを含んでいるマルチビットツールを提供し得る。そのハウジングは、駆動入力軸とそれぞれ軸線方向に整列した第1および第2のソケットを含み、第1のソケットは、この第1のソケットによって駆動されるツールビットが、第2のソケットを貫通して第1のソケットと駆動可能に係合するように、第2のソケットよりも小さくて、第2のソケットと駆動入力軸との中間に定置されている。
【0013】
第2のソケットが、第1のソケット用のツールビットよりも高い定格トルクでツールビットを駆動できるように、第1のソケットがツールビットドライブソケットであり、第2のソケットが第1のソケットよりも大きなツールビットドライブソケットであってもよい。或いは、第1のソケットがツールビットドライブソケットであり、第2のソケットがファスナドライブソケットであってもよい。この場合、ファスナドライブソケット構造を通じてハウジングがファスナを直接的に駆動する。
【0014】
駆動入力軸は、断面において少なくとも3辺を有していてもよい。ほとんどのドリルやドライバーのチャックは、6辺を好適に形成する3つの顎を有している(即ち、駆動入力軸は断面が六角形であることが好ましい)が、幾つかのツールはスクエアドライブなどの代替的な輪郭形状を用いている(それ故、駆動入力軸は4辺を有するかもしれない)のである。
【0015】
駆動入力軸はハウジングに対して固定されていてもよい。駆動入力軸は、ハウジングに対して恒久的に固定され(即ち、別体で製造されてハウジングに対して恒久的に固定され、或いはハウジングの一体部分として形成され)、事実上、二重同心ソケット駆動アダプタとなっていてもよいのである。或いは、駆動入力軸からの駆動をハウジングへと、それにより前記ハウジングの第1および第2のソケットへと伝達するように、駆動入力軸がハウジングに対して選択的に固定されてもよい。
【0016】
ハウジングに、少なくとも2つの格納凹部を組み込んでもよい。これらの凹部は、ハウジングの外側から、半径方向と軸線方向のいずれかの方向にアクセス可能となっていてもよい。但し、それらの格納凹部は、中心内腔と連通していることが好ましい。この目的のために、ハウジングに内腔が更に組み込まれていて、その内腔が、駆動入力軸、並びに第1および第2のソケットと軸線方向に整列していてもよい。当該ツールは、ハウジングの内腔内で回動し得るよう軸線方向に位置決めされ、フランジ部分とスロット部分とを含むスリーブを更に含んでいてもよい。そのスリーブは、ハウジングの主軸線周りに回動はできる(或いは、その回動方向に位置決めされてはいない)が、ハウジングに対する他の回動方向変位と全ての(軸線方向や半径方向の)直線的変位を阻止されているので、ハウジング内に回動可能に位置決めされているものと考えることができる。ビット装填位置と作業位置との間でスライド可能にスリーブ内に設置され、鉤爪と、フランジ部分と、駆動入力部分とを有するボルトがあってもよく、このボルトの駆動入力部分は駆動入力軸である(即ち、当該ボルトの一端部が、例えば雄ヘックス部分を含んでいてもよい)。ボルト鉤爪は、ツールビットの駆動端部を収容すると共にボルトに対するツールビットの軸線方向の位置決めをもたらすように設けられていてもよい。フランジ部分は、前記少なくとも2つの凹部のうちの1つの端部と係合してハウジングに対するボルトの回動方向の位置決めをもたらすようにフランジから半径方向に延びる、少なくとも1つの偏心突起を含んでいてもよい。使用時に当該ツールは、そのボルト部分へと駆動入力を受け入れる駆動入力軸を通じてビットを駆動するが、その際に、ボルトのフランジ部分がハウジングを駆動し、それによりハウジングの第1および第2のソケットへ駆動入力を伝える。
【0017】
このマルチビットツールは、スリーブのスロットを当該凹部と並ばせ、次にボルトをビット装填位置まで引き戻すことによって、前記凹部のうちの1つからツールを選び出すことを可能とする。そのボルトの引き戻しは、前記少なくとも2つの凹部のいずれかの端部からフランジが係合解除され、ボルトの端部にある鉤爪が、スロットおよび凹部と整列させられて、所望のツールビットを受け入れるように行われる。そして、当該ツールビットをボルトの鉤爪内へと重力によって落下させ、ボルトを作業位置まで戻すことができる。その作業位置においては、当該ツールビットがハウジングの第1のソケット内へと係合すると共に、鉤爪が当該ツールビットを軸線方向に位置決めする。
【0018】
ボルトは賦形されたスロットを含み、スリーブは半径方向孔を含み、ボルトがスリーブ内で軸線方向にスライドするときに、スリーブに対するボルトの最大軸線方向変位が少なくとも一方向で制限されると共にスリーブに対するボルトの回動方向位置が制御されるように、半径方向孔内にピンが設けられてボルトの賦形されたスロット内に係合していてもよい。
【0019】
スリーブは半径方向孔を含み、戻り止めボールが、ボルトのビット装填位置と作業位置とでボルトに形成された2つの戻り止め窪みのうちの一方と係合するように、当該半径方向孔の軸線に沿ってバネ荷重されていてもよい。
【0020】
ハウジングは半径方向孔を含み、回り止めボールが、前記少なくとも2つの凹部のうちの1つとスリーブのスロット部分が半径方向に並ぶ各位置にて、スリーブに形成されたそれぞれの回り止め窪みと係合するように、当該半径方向孔の軸線に沿ってバネ荷重されていてもよい。
【0021】
フランジ部分は、ハウジングに対するボルトの軸線方向の移動を一方向に制限するストッパをもたらしていてもよい。
【0022】
少なくとも2つの凹部は、内腔の周りで互いに等距離の間隔を置かれていてもよい。それらの凹部が、内腔の周りで互いに等距離の間隔を置かれて、ボルトの駆動入力部分に近接したハウジングの端部まで続いているとすれば、ボルトが作業位置にあるときには、そのボルトのフランジから半径方向に延びる少なくとも1つの偏心突起が、ハウジングの少なくとも1つの凹部の端部と係合するであろう。ボルトは、ハウジング内の凹部の数と同じ数の作業位置を有している。実際には、幾つの(2つ、3つ、4つ、ないし5つ以上の)凹部が存在したとしても、フランジは、それらの凹部の端部と噛み合うように同じ数の偏心した半径方向の突起を有することができ、フランジ上のそれらの突起は、ボルトの各作業位置において凹部の端部と噛み合うこととなる。
【0023】
ボルトの駆動入力部分が動力式ツールによって駆動されてもよい。マルチビットツールが、駆動軸周りに大きな偏心質量を生じさせないハウジングを有しているので、駆動されるツールビット(ドリル、ソケット、ドライバーなど)やファスナと共に、マルチビットツール全体が回転することができる。当該ツールが電動のドリルやドライバーなどの動力式ツールで用いるのに適しているようなバランスになっているのである。
【0024】
ボルトは、鉤爪に近接した回動方向位置決め表面を含んでいてもよい。この回動方向位置決め表面は、ボルトの主軸線と平行であって、ツールビットが装填位置から作業位置へと通過するときに当該ビットの駆動端部をツールビットドライブソケットと揃えるように定置されていてよい。
【0025】
少なくとも1つのロックピン孔がハウジングに設けられ、各ロックピン孔がロックピンを含んでいてもよい。この場合、当該マルチビットツールは、前記少なくとも2つのツール格納凹部のそれぞれに対するロックピン孔をスリーブに含んでもいて、ビットを選び出すときにはスリーブのロックピン孔内へとロックピンが部分的に落ち込んで、ハウジングに対するスリーブの回動を防ぎ、ビットを抜き取るときにはスリーブの当該孔からロックピンが落ち出て、スリーブとハウジングとの間の相対的な回動を可能としてもよい。
【0026】
或いは、ロックピン孔がスリーブに設けられ、スリーブの前記ロックピン孔内にロックピンが設けられていてもよい。この場合、当該マルチビットツールは更に、前記少なくとも2つのツール格納凹部のそれぞれに対するロックピン孔をハウジングに含んでいて、ビットを選び出すときにはハウジングのロックピン孔のうちの1つの中へとロックピンが部分的に落ち込んで、ハウジングに対するスリーブの回動を防ぎ、ビットを抜き取るときにはハウジングの当該孔からロックピンが落ち出て、スリーブとハウジングとの間の相対的な回動を可能としてもよい。
【0027】
ボルトが作業位置から外れてビット装填位置に向かってスライドするのを選択的に許容したり防止したりするように、ロックタブまたはロックアームが設けられていてもよい。
【0028】
スリーブを軸線方向に位置決めするけれどもスリーブとハウジングとの間の相対的な回動は許容するように、スリーブとハウジングとの間に位置決めピンまたは位置決めタブが設けられていてもよい。例えば、位置決めタブは、ハウジングのスロット内に設けられて、少なくとも一方の軸線方向においてスリーブがハウジングに対して移動するのを防いでいてもよい。
【0029】
ボルトの駆動入力部分が、スクリュードライバー(ネジ回し)ハンドルなどのハンドルによって駆動されてもよく、即ち、マルチビットツールが手動式ツールとして用いられてもよい。ハンドルは、追加のツールビット用の格納部を含んでいてもよい。
【0030】
ボルトの駆動入力軸は、1/4インチヘックスドライブであってもよい。
【0031】
本発明の好適な態様を例示した添付図面を参照することによって本発明を更に説明するのが好都合であろう。本発明の他の諸実施形態が可能であり、従って添付図面の特殊性は、本発明の前記説明の一般性に取って代わるものと解されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明においてあり得る第1の実施形態のマルチビットツールの三次元図。
図2】第1の実施形態におけるハウジングの部分断面図。
図3】スリーブとボルトの詳細断面図。
図4】本発明においてあり得る第2の実施形態のためのハウジングの部分断面図。
図5】本発明においてあり得る第2の実施形態のためのボルトを示す図。
図6】本発明においてあり得る第2の実施形態のためのスリーブを示す図。
図7】本発明においてあり得る第3の実施形態の改変されたハウジングの部分断面図。
図8】本発明においてあり得る第3の実施形態のためのボルトを示す図。
図9】本発明においてあり得る第3の実施形態のためのスリーブを示す図。
図10図7および図9のハウジングおよびスリーブの断面図。
図11】鉤爪内に装填されたビットを部分的に示す図。
図12】本発明においてあり得る第4の実施形態の改変されたハウジングの部分断面図。
図13】本発明においてあり得る第5の実施形態のハウジングの断面図。
図14図13のハウジングを部分的に示す図。
図15】本発明においてあり得る第5の実施形態の組立体を、ボルトが省略された状態で示す図。
図16図15の保持リング組立部品の断面図。
図17】本発明においてあり得る第6の実施形態の組立体を、ボルトが省略された状態で示す図。
図18図17のハウジングの断面図。
図19図18のスリーブを部分的に示す図。
図20図18のスリーブの側面図。
図21】本発明においてあり得る第6の実施形態のボルトとスリーブの部分断面図。
図22図17から図21のハウジング、スリーブ、およびボルトの断面図。
図23】本発明においてあり得る第7の実施形態の、ロックタブを現すように破断部を含んでいる端面図。
図24図23のボルトの部分側面図。
図25図23のハウジングの部分側面図。
図26】本発明においてあり得る第7の実施形態を、ロックタブを現すように破断部を含めて部分的に示す図。
図27】ハンドルの断面図。
図28】セレクターディスクを取り除いた状態の、ハンドルの端面図。
図29】ハンドルのセレクターディスクを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
初めに図1を参照すると、本発明のマルチビットツール1のあり得る実施形態が示されている。このツールは、ハウジング2を有している。ハウジング2は、その一端部において駆動入力軸3から駆動力を受け入れると共に、その反対側の端部内に保持されたツールビット4へ当該駆動力を伝える。ハウジングは、凹部ないしチャンバ5内にツールビットを格納することもできる。
【0034】
図2は、ツールビット格納凹部5a、5b、および5cを示すように各部が破断されたハウジングを描いている。ツールビット4は凹部5a内に示されているが、選択機構は明確性のために省略されている。ツールビット4を受け入れて駆動するために、一端部においてハウジング内へとツールビットドライブソケット部分6が形成されている。ツールビットドライブソケット6の外側に、第2の、より大きなドライブソケット7も示されている。このソケット7は、より大きなドライブを有したツールビットを駆動するのに用いることができる。但し、そのソケット7は、ファスナ(留め具)ドライブソケットとして設計されている場合に最も有用であり、追加的なビットを必要とすることなくハウジングがファスナを直接的に駆動することを可能とする。例えば、ツールビットドライブソケット6内へとドリルビットを選択的に装填して、大きい方の第2のドライブソケット7を貫通させ、パイロットホール(案内孔)の穿孔を可能とすることができる。それから、ドリルビットをハウジング内へと引き込んで、別のツールビットを必要とすることなく、第2のドライブソケット7を用いてファスナをパイロットホール内へと打ち込むことができる。tekネジなどの多くのそのようなファスナは、ヘックスヘッド(六角形頭部)を有しているが、それらのヘッドは、格納用のハウジング内へと通過できるほど小さなツールビットでは駆動することができない。しかし、ツールビットドライブソケットの外側に、第2の、より大きなドライブソケット7を設けることによって、多数の他のより小さなドライブのツールビット4に加えて、tekネジなどのファスナのためにマルチビットツールを用いることが可能となる。ドリルや手動式ツールのための最も互換性のあるツールビットは、1/4インチのヘックスドライブであり、従ってtekネジソケットの5/16インチのヘックスドライブを難なく通過することができる。ツールビットドライブソケット用のツールビットが第2のソケットを通過することができる限り、その他の寸法(3/8インチ、メートルサイズなど)や形状(即ち、スクエア(正方形))のツールビットドライブソケットおよび/または第2のソケットを用いることができる。
【0035】
ハウジング2は、ボール10およびピン11を受け入れるための半径方向孔8および9を含んでいる。それらのボール10およびピン11は、ハウジングの傍らに示すバネクリップないしバンド12によって所定の場所に保持される。使用時には、バンド12が溝13内に嵌り込む。ボールおよびピンは、図3に示すスリーブの(ハウジング2に対する)位置決めに用いられる。
【0036】
図3は、スリーブ20とボルト21を示している。これらのスリーブ20とボルト21は、使用時には、ハウジング内部に設置されて、格納凹部5aからcとツールビットドライブソケット6との間でのツールビットの選択および交換を可能とする。スリーブ20は、チャンネル(通し溝)25を含んでいる。そのチャンネル25は、格納凹部と、ハウジングの中心部(ツールビットドライブソケット6への/からの途中)との間でツールビットを通せるように切り開かれたものである。ドライブソケットへと、またドライブソケットからツールビットが通過するスリーブ20の端部において、格納凹部からドライブソケット内へとツールビットを案内するのを助けるのに、内側を向いた面取り(図示せず)を用いることができる。
【0037】
ハウジングは図3には示されておらず、スリーブとボルトは、より多くの特徴が見られるように所々で破断されている。使用時には、スリーブがハウジング内へと組み付けられ、スリーブをハウジングの主軸線周りに回動可能としつつ軸線方向では所定位置に保持するようにピン11が溝23内に係合する。回り止め窪み24は、溝23の内部における3つ(各格納凹部に対して1つずつ)のそのような回り止め位置のうちの1つであり、選択された格納凹部の回り止め構造にボール10が係合する。このようにして、スリーブをハウジングに対して回動させるときに、チャンネル25が3つのツールビット格納凹部位置のうちの1つと並ぶように、スリーブを偏倚させる(スリーブにバイアスを掛ける)ことができる。
【0038】
スリーブはまた、ボール28およびピン29を受け入れるための半径方向孔26および27を含んでいる。それらのボール28およびピン29は、スリーブの傍らに示すバネクリップ30によって所定の場所に保持される。使用時には、バネクリップがスリーブの溝31内に嵌り込む。このボールおよびピンは、スリーブ20に対するボルト21の位置決めに用いられる。ピン29は、ボルト21がスリーブの内部で軸線方向にスライドできるように、ボルトに沿って切られた溝32内に係合する。ボール28は、バネクリップ30によって半径方向へ弾性的に荷重され、ボルトの表面上の戻り止め窪みと係合する。それらの戻り止め窪みは、完全後退位置(ビットを装填するための位置であり、図3では窪みは見えない)と、復帰位置ないし操作位置(図3に隠れた構造33として示す、ボルトスライド戻り止め窪み)とに対応している。スリーブの主軸線周りにおけるボルトの回動もまた、ボルトスライド溝32内に係合しているピン29によって制御される。ボルトが作業位置ないし操作位置にあるとき、ボルトの端部上の鉤爪35は、スリーブのチャンネル25とは整列していない。これは、鉤爪内に保持された如何なるツールビットも、ボルトの(およびスリーブの、従ってハウジングの内腔の)主軸線に対して略同軸に保持され、当該主軸線と整列させられる、ということを保証するものである。この位置において、鉤爪は、ツールビットがスリーブのチャンネルを通り抜けられるようになるのを防ぐ。図2に示すツールビット4は、周りに鉤爪の嵌る括れ部分15を含んでいる。ボルトが完全に引き戻されたとき、即ち、完全後退位置ないし装填位置にあるときには、ツールビットが、ハウジングの格納凹部内の格納位置と、ボルトの鉤爪内へと装填された中央整列位置との間で、スリーブのチャンネル25を通り抜けられることが必要である。この目的のために、ボルト21の溝32は、傾斜部分37によって溝32の残りの部分と連結されたオフセット部分36を有している。ボルトが装填位置へと引き戻されるとき、溝32内に係合したピン29は、自らが溝のオフセット部分36内へと通過するまでボルトをスリーブの主軸線周りに回動させながら傾斜部分37を通過し、装填位置において鉤爪35をスリーブのチャンネル25と整列させる。図3において、ボルトスライド溝(32,36,37)は、明確性のために、鉤爪の開口部とおおよそ整列して示されている。しかしながら、ツール装填作業の間、ボルトは、鉤爪の開口部が概して上方を向いた状態に位置決めされる。それで、ボルトが引き戻されるとき、ボルトスライド溝も概して上方を向いてしまい、自らをゴミや削りカスの侵入の影響を潜在的に受け易いものとしてしまうであろう。ボルトスライド戻り止めボールは、ボルトの表面に沿って、ボルトの表面の窪みに入るまで転がって行く。それ故、理想的には、ボルトスライド溝と、戻り止め機構によって取り扱われる表面の部分との両者は、上方を向いているべきではない。実際には、ボルトスライド溝構造とボルト戻り止め構造とは、図3の例に示すそれらの位置から、ボルトの主軸線周りに90度回転された位置に形成されるのが一般的である。
【0039】
ボルトは、駆動入力軸部分40とフランジ41とを更に含んでいる。そのフランジ41は、当該フランジから半径方向に延びる付加的な小瘤ないし突起(42a,42b,42c)を含んでいる。これらの小瘤ないし突起は、ボルトが操作位置ないし作業位置へと戻されたときにハウジング内の凹部ないしチャンバ5の端部と噛み合い、駆動トルク入力を駆動入力軸部分40からハウジング2へと伝達する。
【0040】
ボルト21の駆動入力部分40は、例えばドライブソケット内での駆動入力軸の望まれないスライドを防ぐのを助けるための構造を含むことができる。この構造は、溝や戻り止めボール、或いは図示するような溝44内のバネクリップ43(このバネクリップがドライブソケットとの摩擦を増大させる)を含むかもしれない。
【0041】
スリーブはマルチビットツールの内部で見えないので、鉤爪と整列した(従って、スリーブのチャンネル25と選択されたツールビットのチャンバとに近い)突起42aの上に案内表示や印(図示せず)を設けることができる。
【0042】
ツールビットを選び出したり交換したりするためには、上方を向いたチャンバ(例えば図2の符合5a)の端部内に所望のツールビットが見えるまでハウジングを回すことを手順とすることができる。次に、ボルトを引き戻すと、ツールビットソケット6内に現時点で装填されている任意のツールビットが(もし存在するならば)鉤爪によって引き抜かれる。そして、(溝32の傾斜部分37とオフセット部分36によって)ボルトの鉤爪がスリーブのチャンネルと並ぶまで回動させられるので、現時点で装填されているツールビットを、並ばされた凹部(例えば符合5c)内へと重力で落下させることができる。次に、所望のツールビットが依然として上方を向いたチャンバ内にあるようにハウジング2を保持しながら、案内表示や印がやはり一番上になるまでボルトを回動させる。これにより、スリーブのチャンネル25が、所望のツールビットを保持しているチャンバと並ばされる。すると、そのツールビットは、重力で鉤爪内へと落下する。ボルトを作業位置まで戻すことによって、鉤爪をスリーブに対して回動させて、選び出されたツールビットをボルトの端部内へとロックし、そしてボルトが、使用準備のできているツールビットソケット6内へと当該ツールビットを押し込む。
【0043】
或いは、ボルトを引き戻すこと(これにより、現時点で装填されている任意のツールビットが以前に格納されていたであろう空のチャンバと鉤爪を整列させることとなる)を手順とすることができる。次に、上方を向いたチャンバ内の所望のツールビットを得るために組立体全体をぐるりと回すことによって、装填されていたツールビットを空のチャンバないし凹部内へと重力で落下させることが可能となる。次に、ハウジングを静止状態に保持して、案内表示がやはり上方を向くまでボルトを回動させると、所望のツールビットが鉤爪内へと重力で落下することとなる。最後に、先の手順と同様、ボルトを作業位置まで戻すことによって、鉤爪をスリーブに対して回動させて、選び出されたツールビットをボルトの端部内へとロックし、そしてボルトが、使用準備のできているツールビットソケット6内へと当該ツールビットを押し込む。
【0044】
次のことによって、ツールビット4をマルチビットツール1から解放することができる。即ち、選び出されていたビットを格納位置まで引き込み、それからボルトを引き出した状態に保って、ソケットが下方を向くようにハウジングをひっくり返し、ツールに振動を加える(或いは、対応する凹部の窓14を通じて当該ビットを内側へ突く)のである。
【0045】
図4は、凹部5aおよび5b内に2つだけツールビットを収容するように設計されたハウジングの部分断面を示している。そのような凹部を2つだけ用いるということは、ハウジング内の自らの格納凹部へ戻されるツールビットが、3つの凹部を有する設計の場合に垂直から約30度の急な斜面を滑り落ちるのとは違って、当該凹部内へと垂直に落下することができる、ということを意味する。同様のスリーブ位置決めピン11が、ハウジングの孔9を通して用いられる。この場合もまた当該ピンは、バネクリップないしバンド(例えば図2の符号12のものだが図4には示さない)によって保持されている。ハウジングの孔52内には、落込みロックピン51が置かれている。このロックピン51は、ハウジングから抜け落ちないよう、例えばバンドによって同様に保持されている。落込みピンの動作は、図6の対になるスリーブとの関係において説明する。
【0046】
代替的な型式の凹部が示されているが、この凹部は、ツールビットの全長のより大部分に対して、ハウジングの外壁を貫いて開いている。これは、ハウジングの外側から凹部内へとビットを直接的に装填するのを可能とするためである。この型式の凹部を用いることで、ハウジングの中心部が、格納されたツールビットを収容する各格納凹部の底部に壁を含むようにして、スリーブとボルトを取り除くことによって、ツールの簡素化を可能とすることができる。ハウジングは、この場合には駆動入力軸部分を含むかもしれないが、スリーブとボルトを包含した内部のビット選択機構を含んでいる場合よりも寧ろ簡素なツールビット格納ハウジングとなる。もっとも、それは、例えば2つの異なる寸法や形状のビットおよび/またはネジの駆動を可能とするツインドライブソケットを有した既知のツールに対して利点を有している。但し、迅速性や使用の容易性のためには、図示するような内部のビット選択機構を組み込むことが好ましい。
【0047】
ツールビットが外へ落ちるのを防止するため、ツールビットの先端部付近におけるハウジングの外側にある肩部54に対して着座するように、可動式バンド53を用いることができる。このバンド53は、例えばOリングとすることができ、装填用の凹部を曝すために、ハウジング外側のテーパ部分の拡大して行く直径に沿って転がすことができる。そして、Oリングの弾性と、ハウジング外側のテーパとを、Oリングを肩部54に対して転がり戻らせるために用いることができる。或いは、任意の他形態の可動式拘束具が用いられるかもしれない。そのような拘束具は例えば、ツールビットの装填や抜取りの間に凹部と整列するように切り取られた部分のある、スライド式カラーや回動式カラーなどである。
【0048】
ツールビットがボルトに対して傾斜して(先端部から先に)ボルト内へと滑り込んでいくのを防ぐために、ツールビットを凹部内で軸方向に拘束することが有利となり得る。ハウジングの外側へと、また各凹部の縁へと切り込まれた溝55が、弾性バンド56(これは、例えばバネクリップやOリングとすることができる)を収容している。この弾性バンドは、ツールビット(図示せず)の基部に近い括れ部分の範囲において、凹部を通って延びている。これは、装填中にビットを所定位置へと直接的に落下させるための正確な位置にスリーブとボルトが置かれるまでの間、ボルトが戻されるときの整列不良を防止して、ツールビットを格納位置に保持するのを助けるものである。
【0049】
図5は、図4の2凹部型ハウジングのためのボルト21を示している。このボルトのフランジ41は、鉤爪35の開いた部分に対して概して反対方向へ延びる小瘤42bの周りで薄くされている。これは、使用中のツールが選び出されて空になったチャンバの重量の減少を相殺するためである。
【0050】
図6は、図4の2凹部型ハウジングのためのスリーブ20を示している。ボルトスライド戻り止めボール28とピン29は、図3におけるものと同様である。スリーブ軸線方向位置決めピン11(図4に示す)は、溝23内に恒久的に係合している。但し、図3の溝とは違って、図6の溝23は、もはやスリーブ20の外側を巡ってずっと続いてはいない。それ故、ピン11は、ハウジング内でのスリーブの回動を、第1および第2の凹部5aおよび5bにアクセスするための位置である2つの範囲の間に制限するようなエンドストッパとしても役立つことができる。それぞれの位置にあるのは、回り止め窪み24である。この回り止め窪み24の中へ回り止めボール10が落ち込んで、スリーブの回動方向位置を、チャンネル25が2つの格納凹部の一方と並ぶ位置に偏倚させる。ピンと回り止めボールとは、互いに180度離れたハウジングの反対側の半径方向孔内に置かれる。ボール10は、スリーブの外径の周囲を動き回る。このボールと、保持用バネクリップ(図示しないが、図2の符号12のものと同様である)との間に、キャップ57を用いることができる。
【0051】
スリーブの外径表面にはまた、落込みロックピン51(図4に示す)を受け入れるための孔58がある。この構成においては、2つのそのようなロックピンが存在する。それらのロックピン51は、ハウジング内に収容され、スリーブ内へと落ち込む。各ロックピンは、凹部位置に近接して、但し、凹部の切込みのせいで減少したハウジングの壁厚を避けるように少しだけずらして設置されている。最上位の凹部位置内にあるツールを選び出すためにハウジングを回動させたときに、ロックピン51が孔58内へと落ち込む。これは、選び出されたツールが鉤爪内へと落下してボルトが操作位置へ戻されるときに、スリーブをハウジングに対して回動しないようにロックして、この手順の間に(回り止め機構によってしか位置決めされない場合にはあり得るように)スリーブが動いてしまうのを防ぐためである。ツールを鉤爪からその格納凹部へと戻すプロセスの間、孔58内に部分的に係合しているロックピン51は、ツールビットが格納凹部内へと落下するときに、ハウジング内へと完全に落ち込むことができる。
【0052】
図6のスリーブ20は、各ツールビットの基部にある括れ部分と整列するツールビット格納カラー59を示してもいる。このカラー59は、ハウジングの溝55内の弾性バンド56と一緒に、装填中にツールビットが凹部内で軸線方向に動くのを止めると共に、ツールの先端部のための保持装置(例えば、可動式バンドなど)が機能していないときに、ハウジングの下側にある凹部内のツールビットが当該凹部から外へ落ちてしまうのを防止する。
【0053】
図7は、各凹部がハウジングの外側へ開いている、図4と同様な凹部の設計を示している。但し、ここでは図1と同様に、3つのツール格納凹部5a、5b、および5cが示されている。この場合もまた、格納凹部内でのツールビットの軸線方向の拘束をもたらすのに弾性リング56が用いられている。
【0054】
図2および図4のハウジングにおいて、各格納凹部は、ハウジングの入力駆動端部から切り開かれていた。それ故、凹部の輪郭は、各ツールビットの基部の範囲を過ぎてボルトフランジの範囲を貫いて続いていた。しかし図7においては、各格納凹部は、例えばハウジングの側面から内側へ切り開くとができ、それ故、各ツールビットの基部の範囲を過ぎてボルトフランジの範囲を貫いて延びてはいない。従って、ツールを使用している時に図8のボルトフランジ上の駆動用小瘤42a、42b、および42cを係合させるために、ハウジングに駆動スロット61が設けられている。この例では3つの格納凹部が存在するので、3つのそのような駆動スロット61がハウジングの周りに等間隔で設けられている。但し、任意の3の倍数、例えば6つのスロットおよび駆動用小瘤が用いられるかもしれない。この設計のためのボルト21が、図8に示されている。小瘤42a、42b、および42cは、駆動スロット61内に係合するようにスクエア形にされているが、駆動用小瘤とスロットとの互いに符合する別の形状が用いられるかもしれない。例えば、フランジは、ハウジングの符合する駆動スロットや他の受入れ孔と係合するように当該フランジから半径方向ではなく寧ろ軸線方向に延びる駆動用小瘤を伴った大径のものかもしれない。
【0055】
図7のハウジングは、各ツールの先端部をその格納凹部内で拘束するための代替的な構成を示してもいる。ハウジングの外側に溝62が切り込まれており、この溝62の中へ弾性バンドやバネクリップ(図示せず)が落ち込めるようになっている。
【0056】
代替的なスリーブ回り止めロックピン構成が、図7図9、および図10に示されている。図7に示すハウジング2は、3つのスリーブ回動規制孔63を有している。これらの孔の数と間隔は、格納凹部の数と間隔によって左右される。図10は、ハウジング、スリーブ、およびボルトの組立済みの配置における、ボルトが装填位置へ引き出された状態の断面図である。この断面は、3つのスリーブ回動規制孔63を通るように切ったものである。図9に、また図10の断面に示すスリーブは、ハウジングのスリーブ回動孔63と整列した3つの半径方向孔を有している。これらの半径方向孔のうち2つの孔64および65が図9のスリーブで見えており、そのうち1つは、回り止めボール67、キャップ68、およびバネ69を収容するのに用いられている。スリーブ回り止めボール67は、スリーブのチャンネルがツール格納凹部5のうちの1つと並んだときに(図示せず)、ハウジングのスリーブ回動孔63の1つの中へと部分的に係合する。スリーブの他の半径方向孔(この場合は符合65)は、任意のものであって省略することができる。第3の孔66(図9では見えない)は、スリーブにおけるチャンネルの開いた側とは反対の側に設置されて、落ち込み式ロックピン70を収容している。このピン70は、図10に示すように段付きの輪郭形状とすることができる。これは、そのピンが、ハウジング2のスリーブ回動規制孔63内へ完全に通り過ぎたり、その孔63を通り抜けたりしてしまうのを防ぐためである。スリーブが、ボルトの鉤爪35内へとツールを装填するための正しい向きにあり、また選択されたツールが鉤爪内へと落下できるよう当該ツール用の凹部が上向きになった状態でハウジングが保持されているとき、ロックピン70が落ち込んで、下方を向いているスリーブ回動規制孔63内へと部分的に係合する。
【0057】
空のチャンバに概して下方を(従って、ロックピン孔66に上方を)向かせて、現時点のビットを凹部内へと抜き取ることと、ロックピンをロックピン孔66内へと完全に戻すことの両者を行うには、ツールを回動させなければならない。これにより、既に鉤爪内に装填されているものがある間に新たなツールが選び出されるのを防ぐことができる。一旦、ツールビットとロックピンが両者とも下方へ落ちてしまえば、スリーブはハウジングに対して自由に回動でき、別のツールを選び出すプロセスを再開することができる。
【0058】
図11は、ビット4が装填されたボルト21の鉤爪端部を示しており、鉤爪35内の詳細を示すようにビットが破断されている。鉤爪とボルトの残りの部分との間の切込みによって、押出し表面71と回動方向位置決め表面72とがもたらされている。ツールビット4が選び出されてスリーブ内へと落下するときに、そのビットの括れ部分が鉤爪35内へと通る。但し、ツールビットが操作位置内へと装填されるときに、そのビットの回動が、ハウジングのドライブソケットに揃えられる必要がある。表面72は、次のことを保証するように傾斜している。即ち、ビットが鉤爪内へと落下するときに、当該ビットが(この例では)その六角面のうちの1つで回動方向位置決め表面72上に着座し、それによって、当該ビットが装填されるときに、そのビット本体の断面がドライブソケットと揃うように、当該ビットの回動方向位置が調節されるということである。ボルト21の押出し表面71は、装填プロセス中にツールビット4がボルトによってハウジングを通して軸線方向に移動されるときに、当該ビットの端部に圧し当てられる。
【0059】
ツールビット4をドライブソケットから抜き取るためにボルトを引き戻すとき、鉤爪35の内側縁73が、ボルト21の括れ部分15の凹状表面に圧し当てられる。鉤爪の上方部分がビットの括れ部分の通過を許すように開いているので、軸線方向の抜取り動作の間、鉤爪の内側縁73がツールビットの括れ部分に押し当てられているとき、(鉤爪の開いた部分へ向かうビット端部の動きによって)ビットが整列状態から外れて移動する傾向が存在し得る。そのような整列不良は、ドライブソケットを通るビットの自由な動きを低下させる可能性がある。従って、鉤爪の上方部分(開口の両側)がビットの括れ部分に接触すると共に、(回転方向位置決め表面に近接した)下方部分がツールビット4の括れ部分15に対して隙間を有するように、鉤爪35の内側縁73を形作ることが有益なものとなり得る。
【0060】
図12は、図7と同様のハウジングを示している。図12には、更に代替的なツール先端部保持構成が示されている。この保持構成は、凹部開口のツール先端部側の端部における溝バンド構成に代えて、先のハウジングのうち任意のものに用いることができる。代わりに、ツールビットを格納凹部内に設置したり格納凹部から取り出したりするために、スライド式リング75のリングの切れ目76が凹部の開口と並ぶまで、そのリングをハウジングの周囲で回動させることができるのである。
【0061】
図12から図15は、ツールビットの括れ部分に対する代替的なツールビット装填保持構成が示されている。図12において、格納されたツールビットの括れの範囲に保持フランジ81が示されている。
【0062】
図13から図16は、保持フランジの好適な適用を示している。図13(これは、ハウジング2の断面である)において、前の図におけるハウジング上のツール先端部保持バンドないしリングは、凹部開口の先端部における固定壁部分82に置き換えられている。
【0063】
図13は、スリーブ20と、区切られた凹部5a内のツールビット4とを示してもいる。ボルトや他の構成部品は、明確性のために省略されている。ツールビット4は、ハウジング内の凹部5aの中へと当該ビットの先端部をスライドさせることによって装填されるが、そのスライドは、当該ビットの先端部が固定壁部分82の背後に置かれると共に、当該ビットの括れ部分15が保持フランジ81とおおよそ一列に並ぶまで行われる。すると、ビットの括れ端部は、凹部の端部においてハウジングをクリア(通過)し、それで凹部内へと落下することができる。ツールビットの括れ部分15は、スリーブ20上のツールビット格納カラー59およびハウジング2上の保持フランジ81と整列させられる。溝83が、保持リング(図13には示さない)を収容する。この保持リングは、ツールビット4が一旦装填されたならば、当該ビットの括れ端部を保持するために凹部5aの少なくとも一部を覆うように操作される。
【0064】
図14は、図13のハウジングを上縁部から見て部分的に示す図であり、凹部5aと保持フランジ81を見ることができる。
【0065】
図15は、図14と同じ向きで当該マルチビットツールを示している。ツール4は、凹部5a内に装填され、保持フランジ81によって軸線方向に位置決めされている。ツールビットの先端部は、固定壁部分の背後に保持されている。また、ツールビットの括れ端部は、図13および図14の溝83に嵌め込まれた保持リング86によって保持されている。その保持リング86は、切れ目ないし装填スロット87を有しており、この装填スロット87を通る割れ目88に沿って分割されている。保持リング86には、割れ目88を通るテーパ付きスロット89も形成されている。このテーパ付きスロット89内にはピン90が置かれている。保持リング86の割れ目88は、単純化のために、マルチビットツールの主軸線と平行に、縦方向へ延びて示されている。しかし、保持リングの滑らかな回動操作のためには、割れ目88が傾斜していることが好ましく、それは、保持リングがハウジングや他の構造に引っ掛かることを防ぐのに役立つ。
【0066】
図16は、保持リング86とピン90を示している。ピン90は、軸部分91を有している。その軸部分91は、図15のテーパ付きスロット89を貫通していて、そのテーパ付きスロットの最も幅の広い部分と同様な幅の直径を有している。このピンは、外側の端部上に、ボタンないしキャップ92と、フランジ93とを有してもいる。そのキャップ92は、テーパ付きスロットに沿って自らをスライドさせるピンの作動を可能とするためのものである。またフランジ93は、保持リング86上に当該ピンを設置するためのものである。
【0067】
ピンのフランジ部分を保持リングの内側に置くことができるように、また保持リングピン組立体をハウジングの周りで回動させることができるように、図14のハウジングに示す溝84が形成されている。同様に、保持リングの装填スロットが凹部5aと整列したときに、ピン90をハウジングに沿ってテーパ付きスロット89の狭い方の端部へ向かって押し動かせるように、案内スロット85が形成されている。同様の案内スロットを、それぞれの凹部について設けることができる。
【0068】
従って、図13から図16の代替的なビット装填構成の操作は、切れ目ないし装填スロット87が、抜取りおよび/または装填がなされるべき格納凹部と整列するまで、保持リング86を回動させることを含んでいる。次に、ピン90のキャップ92を押して、テーパ付きスロット89の狭い方の端部へ向かってピンをスライドさせる。かくして、リングの割れ目88を拡張させ、ツールビットの端部を通過させることができるように装填スロット87の幅を広げる。案内スロット85は、装填スロットが格納凹部と一列に並んで装填のために開かれることを保証する。装填スロットが格納凹部とぴったり並ぶのを保証するよう保持リングを回動させるのに、案内スロットのテーパ状の側面が役立つのである。保持リング89によって、ピン90のキャップが解放されたときに、そのピンをテーパ付きスロット89の広い方の端部へ戻すことができる(さもなければ、使用者がピンをテーパ付きスロットの広い方の端部へスライドさせることができる)。これは、装填スロットの両縁部が凹部内のツールビットを保持するように、当該スロットが狭められた幅へと戻されるのを保証するためである。それから、保持リングをまた回動させて、装填スロットがもはや格納凹部と整列していないようにし、かくして凹部の端部を、ビット4の括れ端部を覆って完全に閉じてしまうことができる。
【0069】
そのような抜取りおよび/または装填構成の1つの利点は、使用者が凹部を選択するのにツールのボルトとスリーブを回す必要が無く、ツールビットの装填や抜取りがより容易になるということである。
【0070】
図17は、保持リング86と装填ピン90とを含む図13から図16のビット装填構成が組み込まれたマルチビットツール組立体を示している。この場合もまた、マルチビットツール1に対するツールビット4の装填および抜取りのために、テーパ付きスロット89の狭い方の端部へ向かって装填ピン90をスライドさせ、割れ目88に沿って保持リングを広げて、ツールビット4の括れ端部を通過させることができるように切れ目ないし装填スロット87の幅を広げるのに、装填ピン90のボタンを用いることができる。但し、保持リング86、ハウジング2、およびマルチビットツール組立体の長さは、先の図面に比べて減少している。これは部分的には、図2および図3のスリーブの周囲におけるスリーブ位置決めピン11と軸線方向位置決め溝23とに代わる軸線方向位置決め構成によるものである。
【0071】
図18は、図17のマルチビットツールの直角断面を、明確性のためにハウジング2、スリーブ20、およびツールビット4だけ示して他の部分を省略した状態で示している。ハウジング2に対してスリーブ20を軸線方向に一方向で位置決めするための位置決めタブ98もまた示されている。この位置決めタブ98はハウジング2のスロット99を通じて挿入され、保持リング86(図示せず)がハウジング2内での位置決めタブ98の保持の機能をもたらしてもいる。図19で分かるように、スリーブ20の端面100は、組み立てられたときに位置決めタブ98がぴったり嵌るための段部101を含んでいる。
【0072】
図18において、ハウジングは、図15にあるような格納凹部5aの側面の保持フランジ81を含んでいる。但し、スリーブ20も、そのチャンネルが格納凹部と並ぶまでツールを保持する装填規制小瘤102を含んでいる。それらの装填規制小瘤102は、図13のスリーブ20上のツールビット格納カラー59に代わるものである。これにより、カラー59のための逃げがもはや必要ではなくなるので、ハウジングの内腔が1つの段部しか有していなくてもよくなる。
【0073】
図20は、スリーブ20を示している。図20に破線で示すように、スリーブ20を貫く内腔103は、任意の肩部104は別として、スライド式ボルト21(図示せず)を収容するように直線的になっていることが好ましい。その肩部104は、ボルトを作業位置へとスライドさせたときにツールビットが端部に引っ掛かるのを防ぐようにテーパ状になっていてもよい。
【0074】
図17のマルチビットツールの長さを先の図面の実施形態に比べて短くすることは、部分的には、図21および図22の断面に示すように、(図7から図10に示して説明した)スリーブ回り止めボール67および落込み式ロックピン70のための半径方向孔64および66を、ボルトスライド戻り止めボール28およびピン29のための半径方向孔26および27と同じ平面内に設置することによって達成されている。
【0075】
図21は、図17のマルチビットツールに適したスリーブ20とボルト21の分解図である。スリーブ20は、ボルトのスライド用の戻り止めボール28とピン29(これらは図3図6、および図9のものと動作が同じである)のための半径方向孔を通る断面ともされている。但し、バネクリップ30は省略されていて、ボルトスライド戻り止めボール28はここでは、バネ111によってボルトスライド戻り止め窪み内へと弾性的に荷重されている。
【0076】
図22は、やはりスリーブの半径方向孔を通る断面とされた、図17のマルチビットツールの端面図である。ボルトスライド戻り止めバネ111は、その一端部とボールとの間に設けられたキャップ112を有することができ、半径方向孔26の外側端部上の肩部113に対して作用する。孔26の外側端部は、この孔の主たる範囲よりも小さな直径になっているので、ボルト21の反対側でスリーブ20を貫くアクセス孔114が示されている。このアクセス孔114は、マルチビットツールの組立中に、バネ111に対してボルト戻り止めボール28を荷重するのに用いることができる。ボルトスライドピン29は、ハウジング2によって半径方向孔27内に保持されていてもよく、ボルトスライド溝32と係合するのに十分な長さになっている。但し、これは、ハウジングのスリーブ回動規制孔63の直径がボルトスライドピン29の直径よりも大きいときには不可能であり、それ故、このピン29は半径方向孔27内へと圧入されていてもよい。スリーブ20からのボルト21の分離を可能とするために、好ましくはボルトスライド溝32の直線部分内で、ボルトスライド溝の傾斜部分37の近くに、ボルトを貫く小孔(図示せず)を形成することができる。これは、スリーブのスリーブ位置決めバネ回り止め孔64を経て当該小孔を通じてツールを挿入して、ボルトスライドピン29をスリーブ20から押し出すことを可能とするものである。
【0077】
バネ回り止め半径方向孔64は、図10に示すような盲孔(非貫通孔)とすることができる。しかし、上述したようにボルトスライドピンを押し出すようにアクセスすることが必要なときには、その孔は、スリーブの中心部を通る内腔(これが図21および図22に示すようにボルト21を受け入れる)までを貫いて延びることができる。その場合には、スリーブ回り止めバネ69がその上に作用することのできる肩部115を設けることが好ましい。
【0078】
マルチビットツールが使用されている間、ボルトが作業位置から装填位置に向かって引き出されるのを防ぐために、何らかの形態のロック機構を設けるのが望ましいことがあり得る。ロック機構の1つのあり得る実施形態が、図23から図26に示されている。
【0079】
この例におけるロックタブ121(図23の側方にも示す)は、頂板部分122と、垂直な旋回板部分123とを有している。その頂板部分は、ボルト21のフランジ41内へと切り込まれたスロット124と係合する。但し、これに代えて頂板部分は、ボルトが作業位置から外れてスライドするのを防ぐのに、フランジの頂面125、または、小瘤ないし突起42a、42b、若しくは42cのいずれかを部分的に覆うよう単純に揺動するように設計されるかもしれない。
【0080】
図23は、次のものを現すように破断された(ハウジング2の端部とボルトフランジ41の端部の)部分断面126を有している。即ち、ロックタブ121と、内部で頂板部分122が作動するハウジングのスロット127と、内部で旋回板部分123が作動するV字形旋回溝路128とを現すようにである。ロックタブ121の旋回板部分123は、保持リング86によって旋回溝路128内に保持されている。図23で見ることができるように、ロックタブが(完全に係合されても係合解除されてもいない)中間位置にあるときには、旋回板部分123が保持リングを外側へ押している。この設計によって、ロックタブを選択された完全係合位置または完全係合解除位置に保持するのに役立つ「中央乗り越え」作用がもたらされる。
【0081】
図24は、フランジ41内へと切り込まれたロックタブスロット124を有するボルト21の部分側面図であり、それらのロックタブスロット124のうちの2つを示している。ハウジング内に存在する全てのツール格納チャンバに対して、ボルト内へと切り込まれたロックタブスロットがある。
【0082】
図25は、ハウジング2のスロット127、V字形旋回溝路128、およびスロット99を示す、当該ハウジングの部分側面図である。そのスロット127を通ってロックタブの頂板部分が回動し、旋回溝路128内でロックタブの旋回板部分123が作動し、スロット99が図18および図19の位置決めタブを収容する。
【0083】
図26は、この場合もまたロックタブ121を現すように破断された、ハウジング2の端部の部分断面126を有している。ロックタブが図26に示す係合位置にあるときには、保持リング(図示せず)によって旋回板部分がV字形旋回溝路128の一方の側面に押し当てられて保持される。ロックタブが係合解除位置にあるときには、旋回板部分が溝路128の面129に押し当てられる。ロックタブ121は、頂板部分122から延びる当該ロックタブのレバー部分130を用いて、係合位置と係合解除位置との間で選択的に回動させることができる。組み立てられたときに見えるロックタブ121の唯一の部分は、ハウジング2から僅かに突き出るレバー部分130である。レバー部分130がハウジングの外径の外側へ突き出るのを避けるために、レバー部分の他の形状や位置を用いることができる。ハウジングの頂面は、そのような代替的なレバー部分を収容するように、小さな切抜き部分を含んでいてもよい。
【0084】
駆動入力軸40をドリルや他の動力駆動式ツールのチャック内へと装填することによって、動力式ツールを用いてマルチビットツールを駆動することができる。駆動入力軸40は、三つ顎チャックに対して好適な(また、他の駆動式ツールで用いるためにツールビット4と同じ寸法とすることのできる)ヘックス軸として図面に示されている。
【0085】
或いは、マルチビットツールは、例えば図27に示すもののようなハンドル141によって駆動することができ、即ち手動式ツールとして用いることができる。図27において、ハンドルは、断面で示されており、ツールの駆動入力軸40と係合させるためのドライブソケット142を含んでいる。ハンドル141を駆動入力軸から解放するのを助けるためのボタン143およびロッド144が示されている。ハンドルは、追加のツールビット145を格納するのに用いることもできる。それらの追加のツールビット145は、マルチビットツールのハウジングにおける格納チャンバ内のものと交換すべきツールビット、および/または第2のドライブソケット7のより大きな駆動寸法のツールビットを含むことができる。この目的のために、ハウジング内に格納チャンバ146が示されている。それらの格納チャンバの端部の所には、セレクターディスク147が任意に設置される。これは、ハウジングからツールビットが、一度に全部抜け落ちたり、マルチビットツールの駆動入力軸からハンドルが取り外されるときなどの望ましくない時に全部抜け落ちたりするのを防ぐためである。図28は、マルチビットツールと係合するハンドル141の端面図を、セレクターディスクを省略して示している。セレクターディスク147は、図29に示されている。この図29では、如何なるときもハンドル内の1つの格納凹部しか開放されるのを許容しない、チャンネルないし切れ目148を見ることができる。駆動入力軸がツールビットの少なくとも幾つかと同じ寸法である場合には、それらのツールビットをドライブソケット142内へと直接的に挿入して、ハンドルおよびビットを例えば太短いドライバーとして用いるのを可能とすることができる。マルチビットツールに加えて動力式ドライバーとハンドルを持ち運ぶことによって、安定した場所、例えば建築構造や屋根や塀などで作業が行われないときに、卓越した順応性をもたらすと共に、効率を更に向上させることができる。
【0086】
ハンドルのドライブソケットは、戻り止めボールを受け入れるために駆動面内に溝や孔を含むことができる。これは、マルチビットツールの入力軸上へのハンドルの軸線方向の位置決めを十分なものとして、使用時にハンドルが入力軸上に留まることを保証するために用いることができる。ツールビットの交換作業中に(例えばボルトのスライドに対する戻り止め機構によって)軸線方向の力が生じる可能性があるため、マルチビットツールの入力軸からハンドルを分離するのに要する力が、ボルトのスライドの戻り止めの力(ボルトスライド戻り止め力)よりも大きくなっている必要がある。
【0087】
ボルトのスライドの戻り止めは、主にボルトをハウジング内に戻された状態に保つのに用いられる。故意にでなはくハウジング内のボルトを引き戻す最大の力は、典型的には、大型のドライブソケット内で大型のネジ頭部が捩り荷重を受ける(例えば、tekネジをちょうど締め終えている)ときに生じ、これがネジとソケットとの間の部分的な拘束状態を引き起こすのである。そして、ツールを(次のネジ上へと移動させるために)ネジから引き離すときに、ネジからツールが分離するよりも寧ろ、ハウジングに対してボルトが引き戻されてしまう可能性がある。マルチビットツールの駆動入力に対する戻り止めの力がボルトスライド戻り止め力よりも大きくなっている必要があるので、故意にでなはいボルトの引き戻しを防ぐのにボルトスライド戻り止め力を大きくすることは望ましくない可能性がある。
【0088】
必要とされるボルトのスライドの戻り止めの強さを制限するためには、例えば図23から図26に示して説明したように、故意にでなはくボルトが引き戻されるのを防ぐよう任意にロックを設けることができる。多くの別の変形例が存在し、例えば、枢軸上の短いアームを回動させて、ボルトのフランジにおける、小瘤のうちの1つや任意の他の部分を覆うことができるように、当該アームをハウジングに連結することができる。そのアームは、ロック位置へとバネ荷重され、或いはツールが駆動されるときに(例えば、遠心力の影響で)ロック位置へ自動的に移動するかもしれない。アームは、ロックを作動状態にしたり、(それが必要ないか、或いは如何なる用途においても十分な利益とはならないかもしれないときには)しなかったりする選択を使用者ができるようにするための、摩擦や戻り止めの機構を用いるかもしれない。
【0089】
図24に符合131で示すように、駆動用の小瘤ないし突起42a,42b,42cの外側縁部(即ち、各小瘤の外側に面した表面と、作業位置において駆動スロットの底部の所にある、別の駆動用でない表面との間の縁部)は、面取りやアールを有することができる。例えば、45度で小瘤の高さの半分の面取りによって、ボルトを作業位置へ戻すときに小瘤とハウジングとの間に指や他の物を挟んでしまう可能性を事実上取り除くことができる。小瘤の外側縁部上の面取りやアールは、ハウジングにおける駆動スロット61の駆動面に対して略垂直に延びているので、(有効な駆動面の表面積の僅かな減少以外には)ボルトの小瘤とハウジングの駆動スロットとの間での駆動に(時計回りと反時計回りのいずれの駆動方向でも)干渉することはない。同様にして、フランジ41の円形部分の対応する外側縁部にアールや面取りを付け加えることができる。
【0090】
第2の、より大きな駆動寸法のソケット7の使用は、別のマルチビットツールに対して適用することができる。例えば、マルチビットツールは、ハウジング内にビットを格納するが、装填機構を含んではいないかもしれない。装填機構を含んでいないときには、所望のツールが、その格納凹部から手動で取り外され、適切な寸法のドライブソケット内へと手動で挿入される。或いは、上述したツール交換機構以外の交換機構が採用されるかもしれない。
【0091】
上述したツール交換機構は、もしそれが望まれるならば、単一のドライブソケットだけで用いることができる。即ち、第2の、より大きなドライブソケット7は、仮にそのような機能が必要とされないならば、ツールの長さを減らすために無くすことができる。
【0092】
ツール交換機構は、動力式ドライバーの端部へ一体的に組み込むことができる。即ち、駆動入力軸は、チャックを用いずに動力式ドライバーのモータで駆動され、見えないかもしれない。これにより、チャック機構を取り除くことによって、ツールビットと一列になった長さを減らすことができる。次のようなドライバーの設計を利用することによって、使用中の特定のツールビットと一列になった組立体全体の寸法の更なる減少を達成することができる。即ち、ハンドル内のモータが、ツールビットのラインと約100度の角度をなしており、ハンドグリップないしハンドルの軸と、ツールビットないしマルチビットツール機構の軸との間で駆動を伝達するのに、例えば傘歯車が用いられる設計である。この場合、ボルトの駆動入力部分は、六角形状の駆動部分とは違って、例えば傘歯車を含んでいるであろう。
【0093】
同様に、マルチビットツールの駆動入力軸は、チャックに代えて、ドリルの駆動ボルト上に直接的に取り付けるようにナットで終端しているかもしれない。ドリルがチャックに代わる留め具を用いる場合には、これらの留め具を、入力軸に対して取り付けたり、入力軸の代わりにしたりすることもできる。そして、マルチビットツールは、ドリルチャックによって通常占められているスペースに位置して、ドリルチャックの付加的な長さを維持せねばならぬことなく、ドリルをドライバーへと変える。或いは、駆動入力軸は、ボルトのフランジ上へ直接的にナットを有効に形成するように、中空になっていて内部にネジが切られているかもしれない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29