(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763150
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】田植機の作業機変速装置
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20150723BHJP
【FI】
A01C11/02 382C
A01C11/02 313B
A01C11/02 313C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-228816(P2013-228816)
(22)【出願日】2013年11月1日
(62)【分割の表示】特願2013-137888(P2013-137888)の分割
【原出願日】2000年11月14日
(65)【公開番号】特開2014-54257(P2014-54257A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2013年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090893
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 敏
(72)【発明者】
【氏名】土井 邦夫
【審査官】
有家 秀郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−229156(JP,A)
【文献】
特開昭63−198910(JP,A)
【文献】
特開2000−175515(JP,A)
【文献】
実開昭62−204414(JP,U)
【文献】
特開平01−256308(JP,A)
【文献】
実開昭61−158113(JP,U)
【文献】
特開昭63−188309(JP,A)
【文献】
特開平06−315305(JP,A)
【文献】
特開平09−191725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/0−11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン動力を変速する変速装置を備え、
前記変速装置の入力軸に前記エンジン動力が伝達され、
不等速と等速とに複数段変速する田植機の作業機変速装置において、
前記入力軸と、出力軸との間の軸に変速機構が備えられ、
前記変速機構が植付部の駆動力を等速と不等速とに切り替えて伝達することを特徴とする田植機の作業機変速装置。
【請求項2】
前記エンジン動力を伝達する軸上に前記不等速駆動力を伝達する歯車が遊嵌されていることを特徴とする請求項1に記載の田植機の作業機変速装置。
【請求項3】
前記入力軸の軸心を中心として前記不等速駆動力を伝達する歯車が遊嵌され、前記入力軸の回転速度と、前記不等速駆動力を伝達する歯車の回転速度とが異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の田植機の作業機変速装置。
【請求項4】
前記変速装置と直列に配置され、前記植付部に伝達する前記駆動力を変速するための副株間変速機構を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の田植機の作業機変速装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植付けた苗の姿勢を統制する田植機の作業機変速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の田植機には、走行部の後方に植付部を連結し、同植付部に植付ミッションケースを設け、同植付ミッションケースに植付爪を連動連結して、同植付爪を植付作動させることにより、別途植付ミッションケース上に配置した苗載台上の苗マットより苗株を切削して圃場に植付け可能とすると共に、同植付ミッションケース内に株間変速機構を設け、同株間変速機構に株間変速レバーを連動連結して、同株間変速レバーを操作することにより、株間変速機構を介して植付爪の植付作動速度を変更して、圃場に植付けられる苗株の間隔を変更可能としたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−149717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような田植機では、単位面積当たりの株数を少なく植える疎植時において、植付駆動の回転が等速であるため、植え付けた苗が前傾姿勢になってしまい、発育を阻害するという問題があった。
【0005】
そこで、この発明の目的は、植付けた苗の姿勢の統制に寄与し得る田植機の作業機変速装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、請求項1に記載の発明は、エンジン動力を変速する変速装置を備え、前記変速装置の入力軸に前記エンジン動力が伝達され、不等速と等速とに複数段変速する田植機の作業機変速装置において、前記入力軸
と、出力軸との間の軸に変速機構が備えられ、前記
変速機構が植付部の駆動力を等速と不等速とに切り替えて伝達することを特徴とする。
【0007】
さらに、請求項2に記載の発明は、前記エンジン動力を伝達する軸上に前記不等速駆動力を伝達する歯車が遊嵌されていることを特徴とする。
さらに、請求項3に記載の発明は、前記入力軸の軸心を中心として前記不等速駆動力を伝達する歯車が遊嵌され、前記入力軸の回転速度と、前記不等速駆動力を伝達する歯車の回転速度とが異なることを特徴とする。
【0008】
そして、請求項4に記載の発明は、前記変速装置と直列に配置され、前記植付部に伝達する前記駆動力を変速するための副株間変速機構を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、エンジン動力を変速する変速装置を備え、変速装置の入力軸にエンジン動力が伝達され、不等速と等速とに複数段変速する田植機の作業機変速装置において、入力軸
と、出力軸との間の軸に変速機構が備えられ、
変速機構が植付部の駆動力を等速と不等速とに切り替えて伝達するので、植付出力軸の駆動を多段に変更可能であるとともに、等速、および不等速に切替可能であるため、植付出力軸の駆動を細かく変更することが可能となり、植付作業の微調整を行うことができる。従って、
部品点数が減少し、省スペース化が図れるとともに、生産性を向上させることができる構成において、苗の植え付け作業の状況に対応させて植え付けた苗の姿勢を統制させることができる。
【0010】
さらに、請求項2に記載の発明によれば、エンジン動力を伝達する軸上に不等速駆動力を伝達する歯車が遊嵌されているので、等速から不等速に切り替えられた際には、エンジン動力を伝達する軸上に遊嵌されている歯車を空転させ、それと噛合する歯車を介して植付出力軸を不等速で駆動させることができる。従って、苗の植え付け作業の状況に対応させて植え付けた苗の姿勢を統制させることができる。
【0011】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、入力軸の軸心を中心として不等速駆動力を伝達する歯車が遊嵌され、入力軸の回転速度と、不等速駆動力を伝達する歯車の回転速度とが異なるので、等速から不等速に切り替えられた際には、入力軸と、遊嵌されている歯車とを異なる速度で回転させ、遊嵌されている歯車と噛合する歯車を介して植付出力軸を不等速で駆動させることができる。従って、苗の植え付け作業の状況に対応させて植え付けた苗の姿勢を統制させることができる。
【0012】
そして、請求項4に記載の発明によれば、変速装置と直列に配置され、植付部に伝達する駆動力を変速するための副株間変速機構を備えるので、株間変速切替機構で植付出力軸の駆動を、疎植時(不等速)および密植時(等速)とに切替可能であるとともに、副株間変速機構で植付出力軸の駆動を変更可能であるため、植付出力軸の駆動を細かく変更することが可能となり、植付作業の微調整を行うことができる。従って、より正確に植え付けた苗の姿勢を統制させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】ロータリーケース及びその近傍の側面図である。
【
図5】植付伝動ケース内の一部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
図1及び
図2は、乗用田植機の要部の側面図及び平面図である。乗用田植機の概要は次の通りである。作業者が搭乗する走行車体(10)の車体フレーム(11)には、前部にエンジン(12)と後部にエンジン(12)の出力を多段に変速するミッションケース(13)とが設けられ、ミッションケース(13)の前方両側にフロントアクスルケース(14)を介して水田走行用前輪(15)が支持されるとともに、ミッションケース(13)の後部両側にリヤアクスルケース(16)を介して水田走行用後輪(17)が支持されている。エンジン(12)とその近傍の部材はボンネット(18)で被覆され、ミッションケース(13)とその近傍の部材はステップ(19)を有する車体カバー(20)によって被覆されている。そして、車体カバー(20)の上部に運転席(21)が取り付けられ、その運転席(21)の前方に操向ハンドル(22)が設けられている。
【0015】
走行車体(10)の後部には、多条植え用の苗載台(31)や複数の植付爪(32)を具備する植付部(30)が連なる。この植付部(30)は、トップリンク(33)及びロワーリンク(34)を含む3点昇降リンク機構を用いて、走行車体(10)に連結されている。そして、植付部(30)は、走行車体(10)の後部とロワーリンク(34)との間に介設された油圧シリンダーの伸縮動作によって、昇降自在に構成されている。また、前高後低に設置された板状の前傾式苗載台(31)は、下部ガイドレール(35)及び上部ガイドレール(36)を介して、中央及び左右の植付伝動ケース(37)に対して左右往復摺動自在に支持されている。その植付伝動ケース(37)の下方には、中央及び左右の植付用均平フロート(38)(39)が、植付深さ調節部材を介して支持されている。植付部(30)を降下させて、このフロート(38)(39)を着地させることにより、苗載台(31)の上の苗マットから取り出す苗の植付深さを設定するように植付部(30)が構成されている。
【0016】
図3及び
図4は、植付部(30)のロータリーケース(40)及びその近傍の側面図及び平面図である。植付伝動ケース(37)には、ミッションケース(13)の後部から延出された駆動軸を介して動力が伝達される。そして、植付伝動ケース(37)内のスプロケットと、それに巻回されているチェーンによって、植付伝動ケース(37)の後端に軸支されている入力軸(41)が回転駆動される。この入力軸(41)に固定されたロータリーケース(40)は、入力軸(41)の回転駆動によって、
図1の側面視で反時計方向に回転する。そして、ロータリーケース(40)の回転軸心を中心として対称となる位置には、一対の植付爪ケース(60)(60)が配設され、その植付爪ケース(60)の先端に植付爪(32)が取り付けられている。
【0017】
ロータリーケース(40)は、中空状で縦に2つ割り可能に構成されていて、入力軸(41)には太陽歯車(42)が嵌着されている。この太陽歯車(42)と噛合し、かつ、太陽歯車(42)と歯数の等しい中間歯車(44)が中間軸(43)に遊嵌されて回転自在に設けられ、植付駆動軸としてのロータリーカム軸(45)にはロータリーアーム軸(47)が遊嵌されている。そして、このロータリーアーム軸(47)に、中間歯車(44)と常時噛合し、かつ、中間歯車(44)や太陽歯車(42)と歯数の等しい遊星歯車(46)が嵌着されている。
【0018】
このような遊星歯車機構を構成する太陽歯車(42)、中間歯車(44)、遊星歯車(46)は、中心や焦点のない非円形歯車か、或いは、中心がずれた位置にある偏心円形歯車であり、また、中間歯車(44)と遊星歯車(46)は、それぞれサブの歯車(44’)(46’)が重ねられて、2重の歯車に構成されている。遊星歯車(46)(46’)に突設したピン(48)に係合するリングバネ(49)が、そのサブ歯車(46’)の側方に配置され、2重の遊星歯車(46)(46’)が互いにずれるように付勢されるとともに、その遊星サブ歯車(46’)と中間サブ歯車(44’)を噛合させて、遊星歯車(25)のバックラッシュを防止している。
【0019】
植付爪ケース(60)は、ロータリーカム軸(45)に遊嵌しているロータリーアーム軸(47)に姿勢調節自在に固定されている。そのため、回転体としてのロータリーケース(40)が、その回転駆動軸である入力軸(41)によって自転すると、それに伴って、太陽歯車(42)に噛合する中間歯車(44)が、その自転の回転角と同じ回転角だけ同方向に自転する。それと同時に、中間歯車(44)に対して遊星歯車(46)とロータリーアーム軸(47)を介して連動する植付爪ケース(60)は、中間歯車(44)の自転により、ロータリーケース(40)の自転方向とは逆方向に公転する。これによって、植付爪ケース(60)が、苗載台(31)の方向を向いた姿勢で入力軸(41)を中心に旋回運動し、苗載台(31)に対向する植付爪(32)が上から下へ下降する。その旋回運動中に、植付爪(32)の先端部で、苗載台(31)上の苗マットから苗を1株だけ分割して把持し、そのまま旋回運動を続け、その旋回の下降下限で圃場面に苗を植え付ける。
【0020】
遊星歯車機構を構成している太陽歯車(42)、中間歯車(44)、遊星歯車(46)のいずれもが非円形歯車か偏心円形歯車なので、植付爪(32)の先端の軌跡は、
図3に示したように、苗を植え付ける前側がカーブし、苗を植え付けた後側が直線に近い偏形楕円状ループになる。そのため、植付爪(32)は、苗を植え付けた直後に、急速に圃場面から上昇する構造になっている。なお、太陽歯車(42)、中間歯車(44)、遊星歯車(46)を非円形歯車にすると、約40株植えの疎植にも対応可能である。
【0021】
植付爪ケース(60)では、
図2及び
図3で示すように、ロータリーカム軸(45)の外方側端部に、カム(61)を介して、プッシュアーム(62)が配設されている。そのプッシュアーム(62)に連携するプッシュロッド(63)の先端に、押出爪(64)が取り付けられている。圃場への植え付け時に、プッシュロッド(63)の突出動作によって、押出爪(64)が植付爪(32)の先端まで押し出され、植付爪(32)が把持している苗を離脱させるようにしている。
【0022】
すなわち、ロータリーカム軸(45)の回転に伴ってカム(61)が回転し、カム(61)の段部にプッシュアーム(62)の下端部先端が位置しているときには、プッシュアーム(62)はプッシュバネの付勢力によって支軸(65)を中心に前方へ向かって回動してプッシュロッド(63)を突出させ、一方、プッシュアーム(62)の下端部先端がカム(61)に係合しているときには、プッシュバネの付勢力に抗してプッシュアーム(62)を支軸(65)を中心に後方へ向かって回動させてプッシュロッド(63)を引っ込めるように構成されている。このように、植付爪ケース(60)の旋回運動に伴ってプッシュロッド(63)が突出し、そのプッシュロッド(63)の突出動作によって押出爪(64)が押し出されて、植付爪(32)が把持している苗を離脱して植え付ける。
【0023】
図5は、植付伝動ケース(37)内の一部を示す説明図である。植付伝動ケース(37)の後端に軸支されている入力軸(41)とチェーンを介して連絡される横送り駆動用ベベル(371)と、縦送りカム軸(372)とチェーンを介して連絡される横送り歯車(373)との間に、カウンター歯車(374)が設けられている。カウンター歯車(374)は、用途に応じて交換でき、例えば、苗載台(31)の横送りを不等速に行う場合には、非円形歯車を用い、アームを一つにして疎植する場合には、1:2のギヤ比の歯車を用い、植付爪(32)の軌跡を変更する場合には、1:1のギヤ比の円形歯車でタイミング調整を行う。カウンター歯車(374)には、「S」や「O」のタイミング調整用マークが刻印されている。シフトキー(374a)を操作して、横送り駆動用ベベル(371)に対するカウンター歯車(374)のタイミングを、「O」から「S」へ約30度ずらすと、苗の横送りのタイミングが疎植のタイミングに合うようになる。そのため、植付伝動ケース(37)内の部品を交換することなく、苗送りのタイミングの最適化の他、上部停止位置を変えることなく、苗の取量が安定化される。
【0024】
図6は、株間変速を行う一様態を示す説明図である。入力軸(131)とアイドル軸(132)とに設けた株間変速切替機構(株間変速)によって、疎植時は植付駆動の回転を不等速にし、植付爪(32)が下死点近傍で高速になるようにしている。すなわち、疎植時には入力軸(131)の歯車(28)と噛合するアイドル軸(132)に配置した非円形歯車(71)を介して植付出力軸(134)を駆動させている。これによって、疎植時に苗が前傾姿勢で植えられないようにし、苗の姿勢の統制に寄与している。
【0025】
つまり、植付出力軸(134)を不等速で駆動させる場合には、
図6における歯車(75)を有する変速機構を、入力軸(131)上に遊嵌される歯車(74)に噛み合わせることで、入力軸(131)の駆動力が、歯車(28)から非円形歯車(71)を介して、アイドル軸(132)を不等速回転させ、このアイドル軸(132)の動力が、アイドル軸(132)に設けた歯車(24)から上記歯車(74)を通過して変速機構から株間変速軸(133)および副株間変速を介して植付出力軸(134)に不等速として伝達される。
【0026】
従って、入力軸(131)と、アイドル軸(132)とに株間変速切替機構(株間変速)を設け、この株間変速切替機構により植付出力軸(134)の回転を等速/不等速に切り替え可能とし、疎植時には入力軸(131)に設けた歯車(28)と、この入力軸(131)に設けた歯車(28)と噛合するアイドル軸(132)に配置した非円形歯車(71)を介して、入力軸(131)の駆動力が植付出力軸(134)を駆動させて植付駆動の回転を不等速にしたので、密植時と疎植時の作業に対応させて植え付けた苗の姿勢を統制させることができる。
【0027】
また、アイドル軸(132)に伝達され、このアイドル軸(132)から株間変速軸(133)を介して植付出力軸(134)を駆動するので、入力軸(131)の動力をアイドル軸(132)で不等速に確実に切替えて、この不等速回転を植付出力軸(134)に伝達することができる。
【0028】
さらに、植付爪(32)が下死点近傍で高速になるように構成したので、植え付けた苗の姿勢を統制させることができる。
そして、作業機変速装置の入力軸(131)と、植付出力軸(134)との間には、副株間変速機構(副株間変速)を設けたので、株間変速切替機構で植付出力軸(134)の駆動を、疎植時(不等速)と、密植時(等速)の密植第1段および密植第2段とに切替可能としたことに加えて、上記疎植時(不等速)と、密植時(等速)の密植第1段および密植第2段の各駆動力を、さらに副株間変速機構(副株間変速)によりそれぞれ2段階に切替可能とすることで、植付作業の微調整を行うことができる。
【0029】
さらに、エンジン動力を変速する変速装置を備え、変速装置の入力軸(131)にエンジン動力が伝達され、不等速と等速とに複数段変速する田植機の作業機変速装置において、入力軸(131)の回転駆動力によって常に回転し、不等速駆動力を伝達する歯車(28)と、等速駆動力を伝達する歯車(72)、(73)とが複数備えられ、複数の歯車(28)、(72)、(73)のいずれかが選択されることで植付部(30)の駆動力を等速と不等速とに切り替えて伝達するので、植付出力軸(134)の駆動を多段に変更可能であるとともに、等速、および不等速に切替可能であるため、植付出力軸(134)の駆動を細かく変更することが可能となり、植付作業の微調整を行うことができる。従って、苗の植え付け作業の状況に対応させて植え付けた苗の姿勢を統制させることができる。
【0030】
さらに、エンジン動力を伝達する軸(131)上に等速駆動力を伝達する歯車(74)が遊嵌されているので、等速から不等速に切り替えられた際には、エンジン動力を伝達する軸(131)上に遊嵌されている歯車(74)を空転させ、それと噛合する歯車(24)を介して植付出力軸(134)を不等速で駆動させることができる。従って、苗の植え付け作業の状況に対応させて植え付けた苗の姿勢を統制させることができる。
【0031】
さらに、入力軸(131)の軸心を中心として不等速駆動力を伝達する歯車(74)が遊嵌され、入力軸(131)の回転速度と、不等速駆動力を伝達する歯車(74)の回転速度とが異なるので、等速から不等速に切り替えられた際には、入力軸(131)と、遊嵌されている歯車(74)とを異なる速度で回転させ、遊嵌されている歯車(74)と噛合する歯車(24)を介して植付出力軸(134)を不等速で駆動させることができる。従って、苗の植え付け作業の状況に対応させて植え付けた苗の姿勢を統制させることができる。
【0032】
そして、変速装置と直列に配置され、植付部(30)に伝達する駆動力を変速するための副株間変速機構を備えるので、株間変速切替機構で植付出力軸(134)の駆動を、疎植時(不等速)および密植時(等速)とに切替可能であるとともに、副株間変速機構で植付出力軸(134)の駆動を変更可能であるため、植付出力軸(134)の駆動を細かく変更することが可能となり、植付作業の微調整を行うことができる。従って、より正確に植え付けた苗の姿勢を統制させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
なお、この発明は、株間変速軸を備えるあらゆる田植機に適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
10 走行車体
11 車体フレーム
12 エンジン
13 ミッションケース
131 入力軸
132 アイドル軸
133 株間変速軸
134 植付出力軸