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特許5763185未処理の塩水を用いることによる塩化水素またはその水溶液の製造方法および電気透析システム
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  • 特許5763185-未処理の塩水を用いることによる塩化水素またはその水溶液の製造方法および電気透析システム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763185
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】未処理の塩水を用いることによる塩化水素またはその水溶液の製造方法および電気透析システム
(51)【国際特許分類】
   C01B 7/01 20060101AFI20150723BHJP
   C25B 1/22 20060101ALI20150723BHJP
   B01D 61/44 20060101ALI20150723BHJP
   B01D 61/54 20060101ALI20150723BHJP
   B01D 61/52 20060101ALI20150723BHJP
   C01B 3/02 20060101ALN20150723BHJP
   C01B 13/02 20060101ALN20150723BHJP
【FI】
   C01B7/01 B
   C25B1/22
   B01D61/44 500
   B01D61/44 510
   B01D61/54 500
   B01D61/52
   !C01B3/02 H
   !C01B13/02 Z
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-515707(P2013-515707)
(86)(22)【出願日】2010年8月27日
(65)【公表番号】特表2013-532113(P2013-532113A)
(43)【公表日】2013年8月15日
(86)【国際出願番号】EP2010005284
(87)【国際公開番号】WO2011160662
(87)【国際公開日】20111229
【審査請求日】2013年7月5日
(31)【優先権主張番号】102010017491.2
(32)【優先日】2010年6月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504371996
【氏名又は名称】ヴェーエムエー・ゲゼルシャフト・フューア・ヴィンドクラフトベトリーベン・ミーアヴァッセレントザルツング・エムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】フス、ライナー
【審査官】 廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第10217885(DE,A1)
【文献】 特開2000−143211(JP,A)
【文献】 特開2002−239554(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/023740(WO,A1)
【文献】 特開昭52−136885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 7/00−11/24
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
未処理の塩水(RW)を使用することによって塩化水素(HCl)またはその水溶液を製造する方法であって、
a)塩化物イオン(Cl)を含む第1電解液(E1)を提供するステップと、
b)電気透析を実施するステップであって、
前記第1電解液(E1)が、結果としてカソード液(K)を生成するカソード還元に付され、
前記第1電解液(E1)の塩化物イオン(Cl)濃度が低下し、
前記第1電解液(E1)の水酸化物イオン(OH)濃度が上昇し、かつ
塩化水素(HCl)またはその水溶液の形態で生成物(P)が生成する、ステップと、c)前記カソード液(K)の少なくとも一部を処理するステップであって、
その結果として前記第1電解液(E1)が生成し、
未処理の塩水(RW)が使用され、
前記カソード液(K)の塩化物イオン(Cl)濃度が上昇し、かつ
前記カソード液(K)の水酸化物イオン(OH)濃度が低下する、ステップと、
d)ステップ(c)に従い処理された前記カソード液(K)の少なくとも一部を前記第1電解液(E1)としてステップ(b)で再使用するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記未処理の塩水(RW)が、天然または合成の塩水であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記未処理の塩水(RW)の塩類濃度が、0.4〜25重量%の範囲にあることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(a)において、前記第1電解液(E1)が、前記未処理の塩水(RW)から製造されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(c)に従う前記カソード液(K)または前記第1電解液(E1)またはこれらの両方の処理が、回分式または連続式で実施されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記電気透析が、電気透析セル(2)内で実施され、
前記電気透析セル(2)が、3室、すなわちカソード(22)を収容するカソード空間(12)、中間室の形態で実装された生成物空間(14)、およびアノード(24)を収容するアノード空間(16)を備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1電解液(E1)または前記カソード液(K)またはこれらの両方が、少なくともステップ(b)の最中に、電気透析セル(2)のカソード空間(12)を通って前記カソード液(K)または第1電解液(E1)またはこれらの両方のための貯留槽(4)を経由して循環することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1電解液(E1)または前記カソード液(K)またはこれらの両方が、ステップ(a)〜(d)の少なくとも1つの最中に、温度調節されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1電解液(E1)または前記カソード液(K)またはこれらの両方が、ステップ(a)〜(d)の少なくとも1つの最中に、気体を発生することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1電解液(E1)の塩化物イオン(Cl)濃度および前記カソード液(K)の塩化物イオン(Cl)濃度の少なくとも一方が、ステップ(a)における前記第1電解液(E1)の塩化物イオン(Cl)濃度の30〜70%の範囲の濃度になったら直ちにステップ(c)が実施されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(b)の最中に、セル電圧が4〜9Vの範囲にあること、および、セル電流密度が500〜3,000A/mの範囲にあること、の少なくとも一方であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
さらに、
e)ステップ(b)の最中に、第2電解液(E2)またはアノード液(A)またはこれらの両方をアノード側で使用するステップであって、前記第2電解液(E2)または前記アノード液(A)またはこれらの両方が、非酸化性酸またはこれらのアルカリ金属塩またはこれらの混合物を含む、ステップ
を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
さらに、
f)ステップ(b)の最中またはその後に、前記生成物(P)を、塩酸水溶液の形態で取り出すステップ
を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
さらに、
g)前記生成物(P)を用いて、塩水を淡水化プロセス用に状態調整するステップ
を含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法を実施するための電気透析システム(1)であって、前記電気透析システム(1)が、少なくとも、
・電気透析セル(2)であって、
・陰イオン交換膜(18)、
・陽イオン交換膜(20)、
・カソード(22)、および
・アノード(24)
を備える前記電気透析セル(2)と、
・前記カソード液(K)または前記第1電解液(E1)またはこれらの両方のための貯留槽(4)と、
・反応槽(6)と
を備える、電気透析システム(1)。
【請求項16】
前記電気透析セル(2)が、3室、すなわち、
・前記カソード(22)を収容するカソード空間(12)、
・中間室の形態で実装された生成物空間(14)、および
・前記アノード(24)を収容するアノード空間(16)
を備えることを特徴とする、請求項15に記載の電気透析システム。
【請求項17】
前記電気透析システム(1)が、アノード液(A)または第2電解液(E2)またはこれらの両方のための貯留槽(8)をさらに備えることを特徴とする、請求項15または16に記載の電気透析システム。
【請求項18】
前記電気透析システム(1)が、
・前記生成物(P)用の貯留槽(10)
をさらに備えることを特徴とする、請求項1517のいずれか一項に記載の電気透析システム。
【請求項19】
記アノード液(A)または前記第2電解液(E2)またはこれらの両方のための貯留槽(8)が、気体を排出するための少なくとも1つの手段を備えることを特徴とする、請求項17に記載の電気透析システム。
【請求項20】
前記カソード液(K)または前記第1電解液(E1)またはこれらの両方のための前記貯留槽(4)が、気体を排出するための少なくとも1つの手段を備えることを特徴とする、請求項15〜19のいずれか一項に記載の電気透析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の、未処理の塩水を用いることによる塩化水素(HCl)またはその水溶液すなわち塩化水素水溶液または塩酸の製造方法、および請求項15に記載の電気透析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
塩酸は多くの技術分野に使用されており、その消費地に移送するまでに大きな問題が発生することもある。
このことは、消費地が到達しにくい使用地域にある場合に特に当てはまる。このような例として、塩酸が海水淡水化工場でスケール防止剤および洗浄剤として大規模に使用される場合が挙げられる。
【0003】
さらに塩酸は、石油掘削において岩に掘削孔を開削する目的や、搬送効率を高めるために炭酸塩岩に二酸化炭素を発生させる目的で使用されている。
さらに塩酸は、辺境地域においては洗浄剤、殺菌剤、または媒染剤としても使用されている。
【0004】
特に、消費地が地方の辺境部や島などの、到達に困難を伴い得る地域に位置する場合は、上に挙げた目的に濃塩酸が使用される。濃酸の使用には、輸送する嵩を小さく維持できるという有利な一面もある。
【0005】
ところがその一方で、対応する輸送容器に漏出が起こるリスクが常に存在する。さらに、発煙性の濃塩酸を輸送する際には、通常、揮発性HClガスも環境中に放出される。このせいで、輸送容器周辺に腐食が発生する場合がある。
【0006】
その替わりとして工業用硫酸の使用が好まれる場合も多い。後者は実質的に濃度がより高く、約3倍高い規定濃度mol/L(val/L)をもたらす。
このように、予め定められた処理に塩酸の方が適している場合が多いにも拘わらず、周囲に影響を与えず腐食性がより低い非発煙性の硫酸を用いることが好まれている。その一方で、硫酸はアルカリ土類金属イオンであるCa2+、Sr2+、およびBa2+と難溶性の塩を形成する。これが望ましくない析出物を生じる可能性がある。
【0007】
したがって、上に説明した技術的理由および安全性を考慮し、例えば海水淡水化工場や石油掘削プラットフォーム等の到達が困難な使用地域では希塩酸を使用することも望ましいであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、未処理の塩水を用いて塩化水素またはその水溶液をその消費地で直接製造することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1の特徴を有する塩化水素またはその水溶液の製造方法、および請求項15の特徴を有する電気透析システムにより達成される。
【0010】
本発明に従い、未処理の塩水を使用することにより塩化水素またはその水溶液すなわち塩酸を製造するための方法が提供され、その方法は、
a)塩化物イオンを含む第1電解液を提供するステップと、
b)電気透析を実施するステップであって、
第1電解液がカソード還元に付され、その結果としてカソード液が生成し、
第1電解液の塩化物イオン濃度が低下し、
第1電解液の水酸化物イオン濃度が上昇し、かつ
塩化水素またはその水溶液の形態の生成物が生成する
ステップと、
c)カソード液の少なくとも一部を処理するステップであって、
その結果として第1電解液が生成し、
未処理の塩水が使用され、
カソード液の塩化物イオン濃度が上昇し、かつ
カソード液の水酸化物イオン濃度が低下する
ステップと、
d)ステップ(c)に従い処理されたカソード液の少なくとも一部をステップ(b)の第1電解液として再使用するステップと
を含む。
【0011】
本明細書においては、生成物が塩化水素またはその水溶液すなわち塩酸の形態で生成する電気透析方法の実施を初めて提案する。本明細書においては、電気透析において生成したカソード液の少なくとも一部は、未処理の塩水を用いて処理される。次いで、こうして処理されたカソード液の少なくとも一部がステップ(b)における第1電解液として再使用される。
【0012】
こうすることにより、電気透析において生成したカソード液の費用の嵩む廃棄が有利に回避される。
さらに、処理後のカソード液を再使用することにより、本発明の方法では、さらなる化学物質、特に、例えば濃塩酸等の濃酸の少なくとも一部を使用せずに済ませることが可能になる。
【0013】
このようにして、電気透析の出発物質にかかる費用が削減されるだけでなく、さらなる化学物質を使用せずに済ませることも可能である。すなわち、本発明により、至る所に存在する無害の天然の塩水から塩化水素または塩酸を消費地で直接製造することが可能になる。
【0014】
したがって、本発明による方法は、到達が困難な消費地または相当な運搬費用をかけないと化学物質を供給することができない消費地で塩化水素またはその水溶液を提供することを可能にする。
【0015】
本発明による電解液とは、イオン伝導性流体、特に、塩類を含む水溶液と理解される。カソード液とは、カソード還元による電気化学的作用を受けた後の電解液と理解されたい。アノード液とは、アノード酸化による電気化学的作用を受けた後の電解液と理解されたい。
【0016】
本発明による製造方法の有利な発展形態は、添付の請求項2〜4の主題である。
したがって、未処理の塩水は天然の塩水であっても合成の塩水であってもよいが、好ましくは、海水、汽水、地下水、湧水、天然または合成の塩水、またはその混合物もしくは濃縮物である。
【0017】
つまり、実質的に任意の天然または合成の塩水を、本発明による方法に用いるための未処理の原水として使用することが可能である。したがって、実質的に遍在する出発物質を使用することによって、本発明による方法が地理上の幅広い地域で用いられる。この種の塩水は実質的に至る所で低コストで入手できる。
【0018】
さらに、未処理の塩水の塩類濃度、特に、アルカリ金属塩化物の濃度は、飽和濃度まで、好ましくは0.4〜25重量%、より好ましくは2〜10重量%、特に2.8〜4.6重量%の範囲内とすることができる。
【0019】
これにより、本発明の方法の範囲内において、有利なことに、塩類濃度が高い水、例えば塩類濃度の高い工業廃水、濃縮海水、または例えば塩類濃度の高い自然の海水(例えば、死海の水等)を利用することが可能になる。他方、一般的な海水も本発明の方法の未処理の原水として容易に使用することができる。
【0020】
さらに、ステップ(a)において、第1電解液は、未処理の塩水から製造することができる。
ステップ(c)に従うカソード液および/または第1電解液の処理は、回分式または連続式で実施することができる。
【0021】
回分式で処理を行うと、第1電解液の処理される割合がより高くなり、したがってシステム効率をより高めることが可能になる。
他方、カソード液を連続式で処理する場合、有利なことに、この方法を実施するのに必要な槽がより小型になり、かつ/または必要な槽の数が減る。
【0022】
さらにこの電気透析は、3室、すなわちカソードを収容するカソード空間、中間室の形態で実装された生成物空間、およびアノードを収容するアノード空間を備える電気透析セル内で実施することができる。
【0023】
このように、塩化水素または塩酸を得るための電気透析を実施するために、特に本発明の方法を実施するために、3室型電気透析セルを使用することを初めて提案する。ただし、従来使用されている4室型電気透析セルとは異なり、生成した塩化物イオンおよび水酸化物イオンをさらなる膜によってそれ以上分離することは行われないという欠点が存在する。したがって、塩化物を含まないNaOHを得ることはできない。
【0024】
その一方で、3室型電気透析セルを使用すると、さらに追加の膜を使用せずに済むという利点がある。その結果として、電気透析セルの構成が構造面で簡素化され、より費用効率が高くなる。
【0025】
さらに、本発明による電気透析方法は、より低いセル電圧で実施することができ、それによって、有利なことに必要なエネルギーが少なくなる。
さらに、第1電解液および/またはカソード液は、少なくともステップ(b)の最中に、電気透析セルのカソード空間を通ってカソード液および/または第1電解液用の貯留槽を経由して循環させることができる。
【0026】
この第1電解液および/またはカソード液を循環させることにより、異なっていた濃度が等しくなるように均一化することができる。
さらに、循環を行うことによって、第1電解液および/またはカソード液の状態調整が簡素化される。ここで言う状態調整とは、所定のpH、所定の温度、および/または(例えば塩化物および/または水酸化物イオンを)所定の濃度に調整することと理解される。濃度の調整は、使用済みのカソード液を選択的に除去することと、新鮮な電解液または好ましくは処理された電解液を選択的に供給することによって行うことができる。
【0027】
さらに、第1電解液および/またはカソード液は、ステップ(a)〜(d)の1つを行う最中に温度調節、特に冷却することができる。
つまり、温度をより高温に調整することによって、電解液の導電率をより高くすることが可能である。しかしながら、電解液の温度を45℃以下に調整する、例えば電解液および/またはカソード液を冷却することにより、電気透析セル中に設けられた膜を熱による損傷から保護することができる。
【0028】
ステップ(a)〜(d)の少なくとも1つを行う最中に、第1電解液および/またはカソード液は、気体、特に水素ガスを発生する場合がある。
カソード液から水素ガス等の気体状反応生成物が放出されるため、カソード液の導電率がより高くなることによって電気透析反応が改善され、かつ/または生成物の濃度または分圧が低下することによって電気透析反応が促進される。
【0029】
さらに、ステップ(c)は、第1電解液および/またはカソード液の塩化物イオン濃度がステップ(a)における第1電解液の塩化物イオン濃度の30〜70%、好ましくは33〜50%、特に37〜43%の範囲の濃度になったら直ちに実施することができる。
【0030】
これにより、電気透析を実施している最中に、本発明の方法のステップ(c)によるカソード液の処理を既に開始しておくことができる。電気透析およびその結果として得られるカソード液の処理の少なくとも一部を並行運転することにより、全体の処理に必要な時間を短縮することができる。
【0031】
一方、本発明に従い、電気透析反応の開始時点において本発明の方法のステップ(c)による処理を既に開始しておくことさえできる。
塩化物イオン濃度の低下と一緒に電気透析反応の効率も低下するため、電気透析および処理の少なくとも一部を同時に実施することにより、塩化物イオン濃度が低い状態で電気透析セルを運転することが回避されるので有利である。
【0032】
ステップ(b)の最中のセル電圧は、4〜9、好ましくは5〜7ボルト(V)の範囲とすることができる。さらに、セル電流密度は、500〜3,000、好ましくは1,000〜2,000アンペア毎平方メートル(A/m)の範囲とすることができる。
【0033】
このようなセル電圧およびこのようなセル電流密度を用いることによって、本発明の方法の電気透析反応が最適な形で進行することが見出された。
さらに、この方法は、
(e)ステップ(b)の最中に、第2電解液および/またはアノード液をアノード側で使用するステップを含んでもよく、第2電解液および/またはアノード液は、非酸化性酸、好ましくは硫酸、硝酸、もしくはリン酸、および/またはそれらのアルカリ金属塩、好ましくは硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、もしくはリン酸ナトリウム、またはこれらの混合物を含むことができる。
【0034】
このさらなる第2電解液および/またはアノード液は、有利なことに、導電率を高め、したがって電気透析反応を促進する役割を果たす。第2電解液および/またはアノード液に酸を使用した場合、これは低コストなプロトン供給源の役割を果たす。第2電解液および/またはアノード液として塩、例えば硫酸ナトリウムを使用した場合、この塩は電気透析を行うと対応する酸に短時間で変換される。
【0035】
さらに、この方法は、
f)ステップ(b)の最中またはその後に、生成物を塩酸水溶液の形態で、好ましくは電気透析セルの生成物空間から取り出すステップ
を含むことができる。
【0036】
さらに、この方法は、
g)この生成物を用いて、塩水、特に未処理の塩水を、淡水化プロセス用に状態調整するステップ
を含むことができる。
【0037】
この生成物を用いて、塩類を含む水を淡水化プロセス用に状態調整することにより、有利なことに、例えば海水淡水化工場において地下に固着する難溶性の硬い外皮の形成、いわゆる「スケーリング」が防止される。例えばこれらが塩水を加熱する器具の表面に堆積するのを回避することにより、壁面から液相への熱伝達が高く維持され、それによって工場全体の効率を高水準に維持することができる。
【0038】
製造技術面に関しては、この目的は、本発明による方法により製造される製造物、好ましくは塩化水素またはその水溶液により達成される。本発明の方法の利点が同様に当てはまる。
【0039】
本発明による生成物を用いて、塩水、特に未処理の塩水を淡水化プロセス用に状態調整することができる。
【0040】
これにより、被脱塩水にさらなる安定剤を使用することを有利に回避することができ、それによって経済的支出だけでなく、例えば、海水淡水化工場の運転にかかる物流のための支出も削減される。
【0041】
使用面に関しては、塩水、特に未処理の塩水を淡水化プロセス用に状態調整するために、この生成物、好ましくは塩化水素またはその水溶液、特に本発明の方法により製造されたものを使用することができる。
【0042】
この場合も本発明の方法の利点が同様に当てはまる。
装置の技術面に関しては、本発明の目的は、請求項15に記載の電気透析システムにより達成される。
【0043】
したがって、好ましくは本発明による製造物を製造するために、好ましくは本発明の方法を実施するための電気透析システムであって、少なくとも、
・電気透析セルであって、
・陰イオン交換膜、
・陽イオン交換膜、
・カソード、および
・アノード
を備える電気透析セルと、
・カソード液および/または第1電解液用貯留槽と、
・反応槽であって、好ましくはステップ(c)を実施するための反応槽と
を備える、電気透析システムを初めて提案する。
【0044】
ここでも本発明の方法の利点が同様に当てはまる。
本発明による電気透析システムの有利な発展形態は、従属請求項1620の主題である。
【0045】
したがって、電気透析セルは、3室、すなわち、
・カソードを収容するカソード空間、
・中間室の形態で実装された生成物空間、および
・アノードを収容するアノード空間
を備えることができる。
【0046】
さらに、電気透析システムは、
・アノード液および/または第2電解液用貯留槽
を備えることができる。
【0047】
アノード液および/または第2電解液用貯留槽に関しては、カソード液および/または第1電解液用貯留槽に関する利点が同様に当てはまる。
電気透析システムは、
・生成物用貯留槽
をさらに備えることができる。
【0048】
生成物用の貯留槽を提供することにより、この生成物の製造および利用を別々の時間に行うことが可能になる。
最後に、カソード液および/もしくは第1電解液用貯留槽ならびに/またはアノード液および/もしくは第2電解液用貯留槽は、気体、特に水素および/または酸素ガスを排出するための少なくとも1つの手段を備えることができる。
【0049】
電気透析処理の抽出物または生成物から気体を抜き取ることにより、電解液の導電率を高め、かつ/または生成物の濃度または分圧を低下させることができる。こうすることにより、電気透析反応が促進され、その効率が高くなる。
【0050】
以下の実施例によって、図面の図を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明による製造方法を実施することができる、本発明による電気透析システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1に示す電気透析システム1は、電気透析セル2、第1電解液E1および/またはカソード液K用貯留槽4、反応槽6、第2電解液E2および/またはアノード液A用貯留槽8、ならびに生成物P用貯留槽10を備える。
【0053】
電気透析セル2は、カソード空間12、生成物空間14、およびアノード空間16を備え、カソード空間12は生成物空間14から陰イオン交換膜18によって分離されている。アノード空間16は生成物空間14から陽イオン交換膜20によって分離されている。カソード空間12内にはカソード22が配置されており、これは第1電解液E1および/またはカソード液Kに囲まれている。同様に、アノード空間16内にはアノード24が配置されており、これは第2電解液E2および/またはアノード液Aに囲まれている。
【0054】
第1電解液E1および/またはカソード液K用貯留槽4は任意の所望の形状、好ましくは円筒形を有している。
反応槽6は、好ましくは円筒形、好ましくは先端が円錐状の円筒形を有するが、これらに限定されるものではない。
【0055】
第2電解液E2および/またはアノード液A用貯留槽8ならびに生成物P用貯留槽10は、任意の所望の形状を有することができる。
電気透析セル2のアノード空間16内においては以下のアノード反応が起こる:
2HO → 4H +O↑ + 4e
この反応によれば、アノード液Aが水HOを失うと同時にプロトンHおよび酸素ガスOがアノード24から放出される。アノード液Aは、好ましくは、導電率を高める役割を果たすがアノード反応においては反応しない硫酸HSOを含む。
【0056】
カソード空間12内においてはいわゆるカソード反応が起こる:
2NaCl + 2HO + 2e → 2NaOH + 2Cl + H
イオンが膜を通って移動することにより、カソード液Kの塩化物イオンClの濃度は低下する。これに対し、水酸化物イオンOHの濃度は上昇する。水素ガスがカソード22からさらに放出される。
【0057】
塩化物イオンClはカソード空間12から陰イオン交換膜18を通って移動する。他方、プロトンHはアノード空間16から陽イオン交換膜20を通って移動する。生成物空間14においては、これらの2種のイオン種が化合して所望の生成物である塩化水素HClまたはその酸すなわち塩酸水溶液が生成する。
【0058】
電気透析セル2のカソード空間12に含まれる第1電解液E1および/またはカソード液Kは、ポンプP3により貯留槽4を経由して絶えず循環する。こうすることによって、水素ガスHを放出することによりカソード液Kから脱気を行うと同時に、貯留槽4に外部から塩化物イオンClを供給することにより塩化物イオンClを富化することが可能である。明瞭化のため、水素ガスHを放出する手段は図1に示していない。
【0059】
最後に、カソード液Kを貯留槽4に循環させることによって、カソード反応に最適な塩化物イオンCl濃度が得られるように調節することができる。
上述したアノード反応のため、アノード空間16のアノード液Aが絶えず水を失うと同時にアノード20では酸素ガスOが形成される。ポンプP4を用いてアノード液Aを貯留槽8に循環させ、酸素ガスOを除去することによって、アノード液Aから効果的に脱気を行うことが可能になる。明瞭化のため、酸素ガスOを放出する手段は図1に示していない。
【0060】
さらに、アノード液Aの濃度は、反応前に脱イオン水を供給することによって出発濃度に希釈される。
生成物Pすなわち希塩酸HClは、ポンプP5によって、電気透析セル2の生成物空間14を通って貯留槽10に輸送される。
【0061】
生成物Pは、ポンプP6によって、消費者、例えば海水淡水化工場等に排出される。排出量に対応する量の脱イオン水が、ソレノイドバルブMV4を介して、定水位制御方式で供給される。
【0062】
カソード液Kの塩化物イオンClは電気透析中に使い果たされてしまうので、所定の最低塩化物イオンCl濃度に到達したら使用済みカソード液Kを新鮮な電解液と交換しなければならない。塩化物イオンClの最低濃度は、電気透析反応開始時点のステップ(a)における第1電解液E1中の塩化物イオンCl濃度の30〜70%、好ましくは33〜50%、特に37〜43%の範囲である。
【0063】
ここで、塩化物イオンClの濃度は、カソード液Kおよび/または第1電解液E1の導電率によって測定される。別法として、電気透析反応中に伝導した電荷から塩化物イオンCl濃度を求めることもできる。
【0064】
上に記載したように、ステップ(c)に従い、カソード液Kの少なくとも一部を、結果として第1電解液E1が再び生成するように処理することができる。この詳細に関しては、同一出願人により同時出願された特許出願である、表題“Verfahren zur Aufbereitung eines salzhaltigen Rohwassers zur Herstellung eines Prozesswassers, damit hergestelltes Prozesswasser und Vorrichtung zur Durchfuehrung des Verfahrens”(「プロセス水を生成するために未処理の塩水を処理する方法、それによって生成されるプロセス水、および前記方法を行うための装置」)(出願人用通し番号:11/WM09K05/DE)の内容全体を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0065】
処理に必要な塩化物イオンClは上記出願の方法に従い製造されるプロセス水PWに供与される。
本発明による方法は使用者に多くの利点を提供する。つまり、全体で必要となるのは未処理の塩水および抽出物としての脱イオン水ならびに電流のみである。
【0066】
どの電解液も十分な導電率を示す。その結果、セル電圧および必要とされるエネルギーは低くなる。処理ステップ(c)と、その後に続くステップ(d)における本発明に従い処理されたカソード液Kの少なくとも一部の再使用とに、未処理の塩水として海水を使用する場合、電気透析反応に必要なエネルギーは、生成した塩化水素HCl 1mol当たり例えば0.2〜0.4kWhである。
【0067】
未処理の塩水の濃縮物を使用すると、導電性が高くなるため、必要なエネルギーをさらに低減することができる。
ステップ(c)に従いカソード液Kの少なくとも一部を処理すると、障害の原因となるアルカリ土類金属イオンが有利に分離され、ほぼ定量的に液体から除去される。この結果および、個々のセル空間に存在するpH条件とイオンの移動によって、難溶性のアルカリ土類金属塩の電気透析セル2内における析出が効果的に回避される。これにより、有利なことに、電気透析システムの膜の耐用期間が延びる。
【0068】
本発明によれば、水素Hおよび酸素Oは互いに別々に排ガスとして生成し、これは、問題も危険もなく、排出するかまたは他の何らかに用途に利用することができる。
さらに、本発明の方法による生成物Pは、アノード空間16内のアノード液Aおよび/または第2電解液E2に計量供給することができる。ここで生成した酸素O−塩素Clの混合気体は水の殺菌に好適である。
【0069】
さらに、詳述しないが、電気透析システム1は、さらなる導管、ポンプ、バルブ等を備えることができ、それによって、個々の槽、例えば、電気透析セル2、貯留槽4、反応槽6、貯留槽8、および貯留槽10等を互いに連結する。このようにして、出発物質、中間生成物、および最終生成物を電気透析システム1内で輸送することができる。
【0070】
本発明に従い、電気透析反応の生成物である水酸化物イオンOH濃度が高いカソード液Kは、未処理の塩水RWの処理に、つまりステップ(d)に従う処理方法の抽出物として使用される。
【0071】
そして今度は、この処理方法の生成物すなわち塩化物イオンClが富化されるとともに水酸化物イオンOHが使い果たされた第1電解液E1が、電気透析反応の抽出物として使用される。
【0072】
一方、抽出物および生成物を相互に使用し合うことにより、出発物質および化学物質の使用が回避されるかまたは少なくとも削減される。他方、それと同時に、それぞれで生成した生成物の効果的な処理が確実となる。
【0073】
本発明による「塩」とは、知られている任意の塩、好ましくはアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩と理解され、さらなる好ましい態様においては、塩は、ハロゲン化物イオンを陰イオンとして含み、特にNaClまたはその混合物である。
【0074】
上に説明した実施例に加えて、本発明はさらなる設計による手法が可能である。
したがって、カソード液K用貯留槽4は、これと同時に、ステップ(c)の処理方法のプロセス水PW用貯留槽として使用することができる(詳述せず)。こうすることにより、貯留槽の数を有利に減らすことができる。
前記実施の形態から把握できる技術的思想を以下に示す。
(付記1)
未処理の塩水(RW)を使用することによって塩化水素(HCl)またはその水溶液を製造する方法であって、
a)塩化物イオン(Cl)を含む第1電解液(E1)を提供するステップと、
b)電気透析を実施するステップであって、
前記第1電解液(E1)が、結果としてカソード液(K)を生成するカソード還元に付され、
前記第1電解液(E1)の塩化物イオン(Cl)濃度が低下し、
前記第1電解液(E1)の水酸化物イオン(OH)濃度が上昇し、かつ
塩化水素(HCl)またはその水溶液の形態で生成物(P)が生成する、ステップと、c)前記カソード液(K)の少なくとも一部を処理するステップであって、
その結果として前記第1電解液(E1)が生成し、
未処理の塩水(RW)が使用され、
前記カソード液(K)の塩化物イオン(Cl)濃度が上昇し、かつ
前記カソード液(K)の水酸化物イオン(OH)濃度が低下する、ステップと、
d)ステップ(c)に従い処理された前記カソード液(K)の少なくとも一部を前記第1電解液(E1)としてステップ(b)で再使用するステップと
を含む、方法。
(付記2)
前記未処理の塩水(RW)が、天然または合成の塩水、好ましくは、海水、汽水、地下水、湧水、天然もしくは合成の塩水、またはこれらの混合物であることを特徴とする、付記1に記載の方法。
(付記3)
前記未処理の塩水(RW)の塩類濃度、特にアルカリ金属塩化物の濃度が、飽和まで、好ましくは0.4〜25重量%、より好ましくは2〜10重量%、特に2.8〜4.6重量%の範囲にあることを特徴とする、付記1または2に記載の方法。
(付記4)
ステップ(a)において、前記第1電解液(E1)が、前記未処理の塩水(RW)から製造されることを特徴とする、付記1〜3のいずれか一項に記載の方法。
(付記5)
ステップ(c)に従う前記カソード液(K)または前記第1電解液(E1)またはこれらの両方の処理が、回分式または連続式で実施されることを特徴とする、付記1〜4のいずれか一項に記載の方法。
(付記6)
前記電気透析が、電気透析セル(2)内で実施され、
前記電気透析セル(2)が、3室、すなわちカソード(22)を収容するカソード空間(12)、中間室の形態で実装された生成物空間(14)、およびアノード(24)を収容するアノード空間(16)を備えることを特徴とする、付記1〜5のいずれか一項に記載の方法。
(付記7)
前記第1電解液(E1)または前記カソード液(K)またはこれらの両方が、少なくともステップ(b)の最中に、前記電気透析セル(2)の前記カソード空間(12)を通って前記カソード液(K)または第1電解液(E1)またはこれらの両方のための貯留槽(4)を経由して循環することを特徴とする、付記1〜6のいずれか一項に記載の方法。
(付記8)
前記第1電解液(E1)または前記カソード液(K)またはこれらの両方が、ステップ(a)〜(d)の少なくとも1つの最中に、温度調節、特に冷却されることを特徴とする、付記1〜7のいずれか一項に記載の方法。
(付記9)
前記第1電解液(E1)または前記カソード液(K)またはこれらの両方が、ステップ(a)〜(d)の少なくとも1つの最中に、気体、特に水素ガス(H)を発生することを特徴とする、付記1〜8のいずれか一項に記載の方法。
(付記10)
前記第1電解液(E1)の塩化物イオン(Cl)濃度および前記カソード液(K)の塩化物イオン(Cl)濃度の少なくとも一方が、ステップ(a)における前記第1電解液(E1)の塩化物イオン(Cl)濃度の30〜70%、好ましくは33〜50%、特に37〜43%の範囲の濃度になったら直ちにステップ(c)が実施されることを特徴とする、付記1〜9のいずれか一項に記載の方法。
(付記11)
ステップ(b)の最中に、セル電圧が4〜9、好ましくは5〜7Vの範囲にあること、および、セル電流密度が500〜3,000、好ましくは1,000〜2,000A/mの範囲にあること、の少なくとも一方であることを特徴とする、付記1〜10のいずれか一項に記載の方法。
(付記12)
さらに、
e)ステップ(b)の最中に、第2電解液(E2)またはアノード液(A)またはこれらの両方を前記アノード側で使用するステップであって、前記第2電解液(E2)または前記アノード液(A)またはこれらの両方が、非酸化性酸、好ましくは硫酸(HSO)、硝酸(HNO)、もしくはリン酸(HPO)、またはこれらのアルカリ金属塩、好ましくは硫酸ナトリウム(NaSO)、硝酸ナトリウム(NaNO)、もしくはリン酸ナトリウム(NaPO)、またはこれらの混合物を含む、ステップ
を含むことを特徴とする、付記1〜11のいずれか一項に記載の方法。
(付記13)
さらに、
f)ステップ(b)の最中またはその後に、前記生成物(P)を、塩酸水溶液の形態で、好ましくは前記電気透析セル(2)の前記生成物空間(14)から取り出すステップ
を含むことを特徴とする、付記1〜12のいずれか一項に記載の方法。
(付記14)
さらに、
g)前記生成物(P)を用いて、塩水、特に、前記未処理の塩水(RW)を淡水化プロセス用に状態調整するステップ
を含むことを特徴とする、付記1〜13のいずれか一項に記載の方法。
(付記15)
付記1〜14のいずれか一項に記載の方法により製造された生成物(P)、好ましくは塩化水素(HCl)またはその水溶液。
(付記16)
塩水、特に前記未処理の塩水(RW)を淡水化プロセス用に状態調整するために使用することができることを特徴とする、付記15に記載の生成物。
(付記17)
塩水、特に前記未処理の塩水(RW)を淡水化プロセス用に状態調整するための、前記生成物(P)、好ましくは塩化水素(HCl)またはその水溶液、特に付記1〜14のいずれか一項に記載の方法により製造されたものの使用方法。
(付記18)
好ましくは付記15または16に記載の前記生成物(P)を製造するために、好ましくは付記1〜14のいずれか一項に記載の方法を実施するための電気透析システム(1)であって、前記電気透析システム(1)が、少なくとも、
・前記電気透析セル(2)であって、
・陰イオン交換膜(18)、
・陽イオン交換膜(20)、
・カソード(22)、および
・アノード(24)
を備える前記電気透析セル(2)と、
・前記カソード液(K)または前記第1電解液(E1)またはこれらの両方のための前記貯留槽(4)と、
・反応槽(6)であって、好ましくはステップ(c)を実施するための反応槽(6)と
を備える、電気透析システム(1)。
(付記19)
前記電気透析セル(2)が、3室、すなわち、
・前記カソード(22)を収容するカソード空間(12)、
・中間室の形態で実装された生成物空間(14)、および
・前記アノード(24)を収容するアノード空間(16)
を備えることを特徴とする、付記18に記載の電気透析システム。
(付記20)
前記電気透析システム(1)が、前記アノード液(A)または前記第2電解液(E2)またはこれらの両方のための貯留槽(8)をさらに備えることを特徴とする、付記18または19に記載の電気透析システム。
(付記21)
前記電気透析システム(1)が、
・前記生成物(P)用の貯留槽(10)
をさらに備えることを特徴とする、付記18〜20のいずれか一項に記載の電気透析システム。
(付記22)
前記カソード液(K)または前記第1電解液(E1)またはこれらの両方のための前記貯留槽(4)、および、前記アノード液(A)または前記第2電解液(E2)またはこれらの両方のための前記貯留槽(8)の少なくとも一方が、気体、特に水素ガス(H)または酸素ガス(O)またはこれらの両方を排出するための少なくとも1つの手段を備えることを特徴とする、付記18〜21のいずれか一項に記載の電気透析システム。
図1